夜中のアクセルの街の近郊・・・そこのとある屋敷に近づいている2つの影あり。その2つの影は屋敷がよく見える建物の上で屋敷を見上げる。
「着いたね、お姉ちゃん」
「ええ。あれが、今回のターゲットの屋敷よ」
2つの影の正体はアカメとティアの双子の姉妹である。双子がここに来たのは、このアクセルの街での初めての盗賊団の仕事である。
「アレクセイ・バーネス・アルダープ・・・アクセル街の領主らしいね」
「こいつのあくどい噂は私たちが来る前から有名らしいわね。全く、いったいどんな不正で領主になったんだか」
今回のターゲットであるアレクセイ・バーネス・アルダープは悪徳領主として非常に有名で、前々から盗賊団のターゲット候補に選ばれていた。だがアルダープは人を食い物のように扱うような要注意人物らしく、中々盗みを決行できずにいた。だがそのアルダープが現在、街の屋敷から離れているという朗報があり、今夜初めて盗みを決行するのだ。それを受けたのが、この双子である。
「離れてるとはいえ、やっぱり警備はいるわね・・・」
「ここは私の潜伏スキルを使ってから窓から入ろう」
「ええ、頼むわ」
ティアは自分とアカメに潜伏スキルを使い、姿を消してアルダープの屋敷に近づき、窓の鍵をティアの施錠スキルで開けて中に潜入する。自分たちが入った痕跡を消しながら屋敷の奥へと向かっていく。
「さーってっと、何かやましくて、見られたらまずいものって、ないかなー?」
「今は余計なことを考えず、私たちは依頼通り、この屋敷にある不正で得た汚い金をいただけるだけいただきましょう。深追いは自分を自滅させるだけだもの」
「わーかってるって。要注意人物ほど、少しずーつ追いつめて、最後に一気にズドンと落とすのがベストだもんね」
潜伏スキルで誰にも見つからずに奥へと進み、不正の金が詰まった金庫へとたどり着く。
「ふん、こんな金庫が何よ。ティア」
「はいはーい。罠感知は・・・特になし。こんな鍵くらい、私にかかれば楽勝」
ティアは施錠スキルで難なく金庫の鍵を開け、持ってきていた袋の中に依頼料ほど入れる。
「金は私が持つわ。ティア、鍵閉めよろしく」
「はいはーい」
アカメがお金を入れた袋を持った後、ティアはバレないように金庫の鍵を閉める。
「今回の目標は達成したわ。支部に戻ってさっさと帰るわよ」
「うん。後はみんなが被害者の元にお金を返しておくだろうしね」
アカメとティアは不正のお金をもって、潜伏スキルを使いながら潜入した痕跡を消してアルダープの屋敷から去っていく。
「次はいつ辺りに攻めるのかな?」
「さあね。でも悪徳領主はさっさとどうにかしたいから次で終わらせたいものだわ」
アカメとティアはそんな話をしながら支部へと戻っていく。支部に戻った後は依頼品を納品し、他の盗賊がお金をもって被害者にお金の返却をしに行ったのを見届けてからカズマたちが住む屋敷へと戻っていった。
ーこのすば!ー
翌日、双子は今日は気分転換がてらアクセルの街を散歩しに回っている。街の商店街は相変わらず賑わっている。
「私たちもだいぶこの街に馴染んできたね」
「そう思えてくるのはこの街の構造をよく理解できた証拠だわ。正直、ここまでとは予想してなかったわ」
アクセルの街を気にいった双子はリザードの串焼きを食べながらそんな会話をしている。
「・・・あ、お姉ちゃん、あれ・・・」
「ん?」
街を歩いていると、奥地にスーツを着こんだ男たちが顔を青ざめている様子で街中を探索している。このスーツの男たちは双子には見覚えがあった。
「あれは・・・クソ領主のとこの使用人じゃない。もう嗅ぎ付けたのかしら」
「顔を青くしてる状態だから間違いないんじゃない?」
その男たちは先日侵入したアルダープの屋敷の使用人である。男たちはアルダープが不正で得たお金が盗まれたことに気が付き、犯人探しに勤しんでいるのだ。
「はっ、あいつらもバカね。見つけられるはずもない相手に必死になってさ」
「さすがにかわいそうだと思うけど、悪いのはアルダープの方なんだから悪く思わないでね。私たちは法で裁けない奴を裁いてるだけなんだから」
「ま・・・いずれはそのクソ領主を地のどん底まで落としてやるわ。それまでせいぜい必死になってなさい」
双子はそう話ながら男たちとは正反対の道のりを歩いていく。
「・・・あ、お姉ちゃん」
「何?今度は何を見つけたのよ?」
別の方向でティアが見たのは冬場なのにピンクの半袖で金髪で眼帯をした男だ。そしてこの男は双子にとってものすごい見覚えのある男だ。
「あれスティーヴじゃない?ほら、アジト防衛担当の・・・」
「見ればわかるわよ。あの【ピーーーーッ】野郎、何しに来たのよ」
その男はウェーブ盗賊団の仲間であり、双子を街まで送り届けた本人、スティーヴであった。スティーヴは何やらにやついた笑みを浮かべている。
「なーんかすごい浮かれてるね」
「あいつのにやけた面、腹立つわね。ちょっと問いただしてみましょう」
双子は何をしにアクセルまで来たのかを問いただすためにスティーヴに近づいていった。
ーこのすばー
時は本日の朝ごろに遡って、スティーヴはこの街の入り口に馬車を止めて、街の中へと入っていく。
「へへへ・・・この街で使えるサキュバスの店の無料券・・・こいつを使わない奴はいないだろうよ・・・」
スティーヴの目的はこの街にある店の無料券を使うためだけにこの街の宿に泊まりに来たのだ。
スティーヴが目的とするのはサキュバスが経営しているお店、サキュバスの店である。ちなみにサキュバスの店はアヌビスとアクセルの街に二軒しかないのだ。
サキュバスというモンスターは淫魔と呼ばれる悪魔で人間の性的な精気を吸いとるのだが、アクセルとアヌビスのサキュバスは男性冒険者と共存関係にある。
冒険者は馬小屋生活を強いられたり、女性冒険者と一緒で付き合ってない関係であると、男としていろいろ溜まるものはあるだろう。しかし、かと言って女性に手を出したり、イタズラしようものなら、他の女性に袋叩きにされるのがオチである。
そんな男性冒険者の欲求不満を解消してくれるのがサキュバスの店でサキュバスである。男性冒険者の望む素敵な夢を精気を少し吸う代わりにそれを見せてくれるのだ。精気を吸うと言っても、仕事や体調に支障をきたさぬから問題はない。男たちは欲求不満を解消でき、サキュバスたちは精気にありつく事ができる。お互いに利害が一致しているのだ。そしてこのスティーヴもそのサキュバスの店の常連客である。
「さーて、今日はどんな夢を見ようかね・・・ぐへへへ・・・」
スティーヴはいかにも変態が浮かべるような笑いをしながらアクセルの街のサキュバスの店へと向かっていく。
「・・・そーいやあいつら・・・ここでちゃんとやれてんのかね?」
スティーヴが少しだけ双子のことを考えている間にもサキュバスの店にたどり着いた。スティーヴが他の人物・・・特に女性がいないか確認をした後に店の中へと入っていく。
「いらっしゃいませ!」
お客であるスティーヴを出迎えたのはそれはもう美人で魅力的な体つきしたサキュバスであった。店の回りにはこのサキュバスと同じ格好をしたサキュバスがたくさんいた。これだけでも男の下心は鷲掴みでスティーヴは鼻の下を伸ばしている。
「さぁさ、お客様、どうぞこちらへ」
「は、はい」
スティーヴはサキュバスに案内され、1つの座席に座り込む。スティーヴが着席するとサキュバスは1枚の用紙をスティーヴに差し出す。
「では、こちらのアンケートにご希望する夢をご記入ください。外見も立場も思うがまま、お書きいただければ結構です。だって・・・夢ですもの」
今渡されたアンケートに自分が望む夢を書き込めば、自身が眠りに入ればその夢をサキュバスが見せてくれるというのだ。王様や英雄、女性側になってみたいなどなど、何でもありである。それを何回も経験して理解しているスティーヴは夢の内容をどうするかを悩んでいる。
「んー・・・今日はどうすっかなぁ・・・。いっそのことハーレム系いってみっかなぁ・・・?」
どんな夢を見ようか悩んでいるスティーヴはうんうんと首を捻っている。そうしていると、隣の席にいる巨漢で髭を生やしたモヒカンヘアの荒くれ者の存在に気がつく。
「うおっ!!?」
「へっ!地獄の扉へようこそ!」
荒くれ者はスティーヴに向かってにかっと笑みを浮かべている。どうやら荒くれ者もこのサキュバスの店の常連客のようだ。
「せいぜい、がんばんな、命知らず!へへへ・・・腕がなるぜ!」
意味不明なことを言いながら荒くれ者はアンケートを書き終えて、店から出ていく。
(そうだ、この街の連中の好みに合わせてみるか!どれどれ・・・)
スティーヴはアクセルの街の好みを真似ようと考え、荒くれ者が書いたアンケートを覗きこむ。そのアンケートの職業欄を見て、驚愕する。
(機織り職人!!?え、あのおっさん冒険者じゃなかったのかよ!!?)
荒くれ者はいかにもな見た目なので絶対冒険者稼業をやってるかと思えばまさかの機織り職人なので、ある意味最大の驚きである。
「あのう、お客様?」
「え?あ、はい」
スティーヴが驚いている間にサキュバスが声をかけてきた。その視線はまだ書かれていないアンケート用紙に向けられている。
「まだアンケートをご記入されていないようですが・・・」
「あ、ああ、すんません。まだちょっと何するか決めてなくて・・・」
「あまり深く考えず、自分の思うがままに書いてもよろしいんですよ?だって・・・夢なんですもの。夢の中なら、何をしたって、問題ありません」
「自分の・・・へへへ・・・思うがまま・・・」
サキュバスは自分の胸などを触ったりしてスティーヴの男心を煽っている。もうこれだけでも満足しそうになるスティーヴ。だがこれで満足してはと思ったスティーヴは自分の思い描いた夢をスティーヴはアンケート用紙に書く。
「あ、そうだ。この店で使える無料券があるんですが・・・」
スティーヴはサキュバスの店の無料券を取り出し、書き終えたアンケートと一緒にサキュバスに渡す。
「はーい、いつもご利用、ありがとうございまーす。それでは、ご就寝時にお伺いさせていただきます。あ、ご存知かと思いますが、今晩のお酒ご利用は控えてくださいね。熟睡されると、夢を見せることができませんので」
「はい!!ありがとーごぜーます!!!」
スティーヴは非常にウキウキした様子で店から出ていく。その際にかなりそわそわしながら入ろうとしているダストやキース、そしてカズマとすれ違ったがお互いに関わってないのでこれはスルーだ。
「やっぱ最高だな!サキュバスの淫夢サービスは!1度経験したらドはまりだぜ・・・ぐへへ・・・」
スティーヴはかなり浮かれた様子で妄想しながら自分が泊まる予定の宿へと向かっていく。
「スティーヴ、ちょっと止まってー」
「ちょっと止まりなさいよこの【ピーー――ッ】野郎」
「うおああっ!!??」
すると目の前にアカメとティアの双子が立ちふさがった。急に現れた双子にスティーヴは現実に引き戻されていく。
「お、お前ら・・・急に現れんなって・・・驚くだろ・・・」
「久しぶりに会ったのに第一声がそれ?なんか嫌な感じー」
「てゆーか、ここに来たのに私たちに挨拶もなしとはどういった了見なのよ」
「遊びに来るのになんでお前らの挨拶が必要なんですかねえ」
久しぶりに会っても何も変わってない双子の態度を見てスティーヴは内心ちょっと安心したりもした。
「まぁ、挨拶は別にいいよ。それよりこの街に何しに来たの?今日は休みだったっけ?」
「ギクッ!あ、ああ・・・そうだ。休みなんで・・・この街に遊びに来たんだよ・・・」
「ふーん。ずいぶんエンジョイしてるみたいね?変ににやけた面して・・・気持ち悪い」
「ドキィ!!!」
安心したのもつかの間、スティーヴは最大のピンチに瀕している。わかっているとは思うが、女性はサキュバスの店の存在自体知らない、男だけの秘密である。もしも店の存在が女性がバレでもしたら、女性冒険者はサキュバスを退治するだろうし、男たちもただで済むわけがない。それだけに飽き足らず、店まで潰れてしまうやもしれないのだ。そうなってしまっては男たちの生きる活力がなくなってしまう。
(やばい・・・!もしサキュバスの店のことが女に・・・特にこの双子に知られでもしたらこの街の店どころかアヌビスのサキュバスの店まで潰しかねない!なんとしてでも・・・なんとしてでも軌道修正させねぇと・・・!!全ての男の夢を守る・・・責任重大な役目だ!!!)
サキュバスの店の存在を知られないためにも、スティーヴは何とか誤魔化そうとする。
「そ・・・そんな大したあれじゃねぇよ・・・。ほ、ほらあれだ、高い酒を買っ・・・」
「大嘘ね。目が泳いでるわよ」
「ギクゥ!!!」
「スティーヴ、忘れたの?お姉ちゃんは嘘には結構敏感なんだよ」
(そ、そうだったぁ・・・!こいつの前では変な嘘は通用しないんだった・・・!!)
相手の嘘を見抜くアカメの特技をすっかり忘れてたスティーヴはさらに動揺している。
「で?本当は?何をやってたのよ?」
「そ・・・それは・・・言えん・・・」
「なんで?ますます怪しい・・・」
「・・・な、なぁ、お前ら?もうこれ以上俺のことを詮索すんの、やめにしないか?ほら、問答をやめてくれたらこの街で1番高い酒を買ってやるからよ・・・」
もう嘘ではどうこうできないと判断したのか正攻法な交渉でこの場をどうにかしようとするステイーヴ。
「・・・高いお酒だって。どうする、お姉ちゃん」
「どうするって・・・ここで放っておくのは腹立つ・・・でも高い酒は欲しい・・・うーん・・・」
「究極の選択だね」
(いや究極の選択じゃねーんだよ。頼むから納得してくれよ・・・!)
高いお酒を買ってくれると聞いて、双子はすごく真剣に悩んでる。これは下手をしたら本気でサキュバスの店の存在がバレるかもしれないと判断したスティーヴはここで思い切る。
「ええい!!もうわかった!!なら1番高い酒を俺の全財産分買ってやるからよお!!!」
「「よし乗った!」」
1番高い酒を全財産分買ってくれることで双子は納得してくれた。これでスティーヴは所持金0になってしまうことになるが、サキュバスの店の存在を守るためなら安いものだとスティーヴはプラスに考えることにした。
(とほほ・・・せっかくの休みなのに・・・クエストに行って一泊分稼ぐか・・・)
双子のせいでこれから一文無しとなるスティーヴはアクセルの冒険者ギルドでお金を稼ぐことに決めたのであった。
ーこ・の・す・ばぁ!!ー
スティーヴに高い酒をスティーヴの持ち金全部で買ってもらった双子はその酒瓶が入った籠を持って屋敷へと戻っていく。
「いやー、今日はなんか得しちゃったね、お姉ちゃん!最高級品だよ!最高級品!アクアが持ってたお酒よりもさらに上玉の!!」
「しかも、ケチくさい【ピーー―ッ】野郎のスティーヴからの奢りの品よ。人から払ってもらったお酒に加えて最高級品なんて、まずくないわけがないわ」
「それにしても、よくあんなにお金を持ってたものだね」
「スティーヴのくせに生意気ね」
最高級品の酒が手に入って双子はにやけ顔が止まらなかった。
「お姉ちゃん、今日はお姉ちゃんのリクエストを作ってあげるよ」
「ありがとうティア。じゃあ私も何か1品を作るし、ティアには多めに作ってあげるわ」
「本当に?ありがとうお姉ちゃん!!大好きだよ!!」
「私もよ、ティア!!」
いつも喧嘩を始めてしまう双子だが、よほど機嫌がいいのかお互いに抱き合い、いつもなら使わない愛の言葉を述べながら心からのいい笑顔を浮かべている。いつもとは真逆の光景はハッキリ言って、気持ち悪いと言われても仕方がないような展開である。
「今晩が楽しみだね、お姉ちゃん!」
「ええ本当、すごく楽しみで仕方ないわ」
ウキウキと話をしている間にも双子は屋敷の前まで戻ってきた。
「ただいまー」
「今戻ったわよ」
双子が戻って来ても誰も出迎える様子はない。それには双子は少しむっとなる。奥にいるアクアたちにもの申そうと奥へと入っていく双子。
「みんなー?」
「ちょっと、何で誰も出迎えないのよ」
「ん?ああ、すまない。帰って来ていたのか」
「2人ともおかえりなさい」
双子の目に入ったのは厨房に向かって何かを運んでいるダクネスとめぐみんだった。どことなくめぐみんは運んでいる何かを目を輝かせていた。そしてさらにひょっこりと顔を出したアクアが出てきた。
「帰って来たわね、2人とも!喜びなさい!今日の晩御飯は、カニよ!カニ!!」
「「か、カニ!!??」」
今日の晩御飯がカニと聞いて、双子は目の色を嬉々としたものへと変わっていった。ダクネスとめぐみんが運んでいるものを見ると確かにカニである。しかもこれはただのカニではない。
「!!!???お、お、おおおおおお、お姉ちゃん!!こ、こここ、これ、霜降り赤ガニだよ!!霜降り赤ガニ!!」
「あ、あああああ、あんたたち!!こ、っこここ、これ・・・どうしたのよ!!??」
そう、これはカニの中でも高級の品物である霜降り赤ガニである。あまりの高級品に双子は声が上ずっている。
「ああ、それは私の実家の者が引っ越し祝いにもらったものなんだ」
「しかもすごいのよ!!見てよこれ!!超高いお酒!!これまでつけてきたのよ!!普段世話になってるパーティメンバーである私たちのお礼ですって!!」
「はぅ・・・貧乏暮らしである私が・・・まさか・・・こうして霜降り赤ガニにお目にかかれるとは・・・!」
どうやらダクネスの実家の人間がやってきて引っ越し祝いにもらったものらしい。しかもご丁寧にも、双子が今日手に入れた最高級のお酒までついている。
「お姉ちゃん・・・今日はツイてる・・・運が私たちに回ってきているよ!」
「ええ!ええ!普段から幸運値が高いことに深く、深ーく感謝ね!」
ステータス的にも幸運値がカズマ並みに高い双子はその幸運値を高いことを感謝しながら霜降り赤ガニを嬉々として見つめている。
「・・・て、ああああああああ!!!よく見たら双子が持ってるそのお酒!!今まさしく私が持ってるそれじゃない!!」
「何!!?おい、それをどこで手に入れたのだ!!?うちにはそんな余裕はなかったはずだろ!!?」
ようやく双子が持っている酒瓶に気付いたアクアは驚愕し、ダクネスも驚きながらもどこで手に入れたかを双子に問いただしてきた。
「久しぶりにアヌビスの仲間と会ったんだよ。ね、お姉ちゃん」
「そうそう。それでうまくやってる祝いとしてお酒をこんなにもらったってわけ」
「そうだったのか・・・それはよかったな」
ちゃっかり嘘が混じってあるが、正しく言えばただ単にスティーヴがサキュバスの店を悟られないためなのだ。が、しかし、そんなことは双子どころか3人が知るはずもない。
「ああ・・・もう本当に・・・幸せ・・・霜降り赤ガニを食べれるだけじゃなく、高級のお酒がこんなにも・・・」
「わかります・・・わかりますよアクア・・・晩御飯が待ち遠しいです・・・」
霜降り赤ガニと最高級の酒が揃い、贅沢三昧の晩御飯を想像したアクアとめぐみんはもう明らかに満面な笑みである。
「これはもう・・・本気の本気を、出すしかないんじゃないかしら、ティア」
「わかってるよお姉ちゃん。カニを全部厨房に持ってきて!私の本気を、披露してあげるから!」
「ほ、本気中の本気!!?」
「まさか、今のご飯よりも遥かにおいしくなるのですか!!?」
基本的においしい料理しか出さないティアだが、それよりもはるかに上を行く本気の本気と聞いて、アクアとめぐみんの期待はさらに高まる。
「やけに気合が入っているな。私も手伝おうか?」
「いや!お手伝いはお姉ちゃん1人で十分!というか、他が手伝われると味が落ちる!!手伝おうとしないで!!」
「ま、そういうわけだから、あんたらはただカニを運ぶだけでいいのよ」
「そ・・・そうか。では、楽しみにするとしよう」
ダクネスたちはもらったカニを厨房に入れるのを再開し、双子は厨房に入って今晩の晩ご飯の準備を始める。
「さて・・・私も1品は作ることにしますか。ティア、やるわよ」
「任せてお姉ちゃん・・・私、今猛烈に料理がしたくして腕が鳴ってるの!」
双子はすでに運ばれてきたカニを取り出して、すぐさまカニの調理を始める。
ーこの・すば!ー
双子がカニを調理してから時間が経ち、晩ご飯の時がやってきた。食卓にはティアが作り上げたカニ料理の数々が並べられている。
「待たせたわね・・・いよいよ晩ご飯の時間よ」
「さあ、とくとご覧あれ!ティア特製の・・・カニのフルコースディナー!!」
「「「おおおおおお!!」」」
食卓にはメインであるカニ鍋・・・それ以外にもカニの活け造り、カニ寿司、茶わん蒸し、カニの炊き込みご飯、天ぷらにから揚げ・・・エトセトラエトセトラ・・・。とにかくもう贅沢でしかない料理がもうびっしりと埋め尽くされていた。
「すごいな・・・これ、全部ティアが作ったのか?」
「揚げ物だけは私が作ったわよ。ティアのと比べたら、味は負けるけど」
「それでも、お姉ちゃんの作る揚げ物はおいしいから!」
「そうか・・・それは早く食べてみたいものだな」
どうやら揚げ物シリーズはアカメが作ったものでティアの保証付きもあり、3人はより一層味に期待が膨らむ。
「ふふん・・・いいわよ・・・いいわよ!まさに女神である私が食するにふさわしい料理の数々だわ!」
「はわわ・・・私がこんな贅沢をしていいのでしょうか・・・いえ、日ごろから頑張ってますからいいですよね!」
「おーい、帰ったぞー」
アクアとめぐみんが感激している間にも、外に出ていたカズマが帰って来た。
「・・・て、おわ!!?なんだこりゃ!!?すげぇ豪勢な晩飯だな!」
このカニレパートリーの豪華な晩ご飯にカズマは大驚愕。
「カズマ喜びなさい!今日の晩御飯は超豪華よ!!なんてったってカニよカニ!!最高級食品の霜降り赤ガニ!!」
「ダクネスの実家の奴が来たらしくて、日ごろ世話になっているお礼だってさ。ダクネスに感謝なさい」
「い、いや・・・私は別に・・・」
「品物が品物だからね!今日は本気を出したよ!ささ、座って座って!」
「おう。いやぁ、しかし本当にうまそうだな」
カズマも椅子に座ったところで、これで全員が揃った。後はいただきますを言って晩御飯を食べるだけ。
「まさか、霜降り赤ガニにお目にかかれる日が来ようとは・・・今日ほどこのパーティに加入してよかったと思った日はないです」
「へえ・・・ティアも本気出したみたいだし、よほどの高級品だろうな」
「当たり前です!このカニを食べる代わりに今日は爆裂魔法は我慢しろと言われれば、大喜びで我慢して、食べた後に爆裂魔法をぶっ放します!それくらい高級品なのですよ!!」
「おお!!そりゃすご・・・て、あれ?お前最後なんて言った?」
明らかに爆裂魔法を我慢できていない発言をしているが、それは些細なこと。全員はいただきますを言って、カニのフルコースを食べていく。
「!!う、うまい!!これほどの料理・・・3つ星レストランでも通用するほどのレベルだぞ、これは!!」
「「はわあ~・・・幸せ~・・・まるで天国のよう・・・」」
「当然よ、私の自慢の妹だもの」
「ほぅ~・・・霜降り赤ガニ、おいしぃ~・・・」
ティアの料理は前に出したカレーとは比べ物にならないほどの抜群のおいしさのようで、ダクネスを含めた女性陣は全員幸せそうな顔をしている。
「・・・ごくり・・・」
おいしそうに食べているアクアたちを見て、カズマもカニ料理を口に運んでいき、味を確かめる。
(!!!ぬああ!!!アカン!!!!これは食う手が止まらん!!!!)
カズマも大絶賛。カズマはカニの殻をすい!すい!と剥きながら中身を頬張っていく。
「もー、ダメ。私、もうこの味しか食べたくなーい。ティアー、明日からこれと同じ奴作ってー」
「絶対言うと思ったよ。ダメ。確実にダメ人間になるから」
アクアはこの絶品の味を毎日食べたいみたいなことを言いだし、ダメ人間になることを阻止しようとティアが拒絶する。
「えー、いいじゃなーい。こんなにおいしいんだからー」
「ダメなものはダメ!明日から普通のご飯出すから!」
「ティアは頑固だもの。諦めなさい」
「ぶー・・・」
「その代わりとして、これのいい飲み方を教えてあげるわ」
「え?何々?いい飲み方?」
アカメは代わりとして高級酒のいい飲み方をアクアに伝授することになった。
「カズマ、ティンダーをちょうだい」
「ほい、ティンダー」
カズマは小さな網焼きにティンダーで火をともす。そこにすかさずアカメはカニ味噌が入った甲羅を網焼きに設置する。
「こうやってカニ味噌が入った甲羅に高級酒を温めて・・・じっくりと待つ」
「何よー、私が持ってる飲み方の1つじゃないー」
「ふっ・・・甘いわね」
ちょっと時間が経ち、甲羅に焦げが付いたところにアカメはアヌビス産のスパイスを取り出す。
「ここにアヌビス産のスパイスを加えて・・・カニ味噌ごと混ぜる」
「なん・・・ですって・・・⁉」
「色が馴染んできたところを・・・一気にぐいっと」
スパイスを甲羅の酒の中に入れ、色が馴染んだところでアカメはぐいっと酒を飲み干す。飲んだ後のアカメの顔はほっこりとしていた。
「ふぅ・・・どうよ?こんなの、あんたの知識にあったかしら?」
「くぅ・・・悔しい・・・!でも、負けてもいい!だって・・・あんなおいしそうに飲んだら、私も飲みたいもの!」
アクアはさっそくアカメのさっきのやり方を試す。さっきと同じ要領で出来上がったカニ酒をくいっと飲む。
「・・・ほぉ~・・・」
よほどおいしいのかアクアは超ご満悦だ。この光景を見て、カズマもやりたそうにしているが、ぐっとこらえている。それもそのはず、何故ならカズマはあのサキュバスの店を初めて利用したからだ。サキュバスが言っていた酒を飲むのは控えるようにと・・・それを必死に守っているのだ。
「はあ~・・・おいしい・・・カニ味噌の味が染みわたる~・・・」
「おお!確かにスパイスが酒とカニ味噌がマッチしていてうまいな!」
カズマが耐えている間にも、ティアとダクネスもさっきと同じやり方でカニ酒を飲んでいる。
「私にもください!いいでしょう?今日ぐらい」
「ダメだよめぐみん。お酒は15歳になってから!めぐみんにはまだ早い!」
めぐみんもカニ酒を飲もうとするが、ティアがそれを阻止する。何度も言うが、この世界では日本とは違い、お酒を飲めるのは15歳になってからである。
「?どうしたカズマ?うちから贈られてきたもの、口に合わなかったか?」
するとここでカズマが食が進んでおらず、酒も飲まずにもんもんと悩んでいるのをダクネスが気が付く。
「い、いや、カニはすごくうまい!ただ、今日は昼間に知り合いと飲んでもう飲めそうにないんだ。明日!明日もらうよ」
「・・・そうか。ならせめて、たくさん食べてくれ。日頃の礼だ」
ダクネスの純粋そうな笑顔を見て、カズマは後ろめたさを感じる。まぁ、日頃からろくでもないことを言ってカズマをドン引きさせてはいるが。
(そうだ・・・みんなと一緒に飲んで、夢のことは忘れちまえばいい。目の前の仲間の顔を見ろ。いったいどちらが大切か考えろ!そう・・・最初から悩む必要なんてなかったんだ・・・)
そこまでのことを考え、カズマは決断した。
「それじゃあ、ちょっと早いけど、俺はもう寝るとするよ!お前ら、おやすみ」
カズマは仲間を選ばず、自分の望む夢を見ることを選んだ。カズマは、自分の欲望を叶えるため、早めに部屋に戻って寝ることにしたのだった。
ーこのすば~ー
食事を済ませた後、ダクネスはお風呂へ入るために浴室に、アクアはまだ飲み足りないのか残りの高級酒を取りに厨房へと向かっていく。リビングに残ったアカメは暖炉の前で読書を、ティアとめぐみんはチェスで遊んでいる。
「ふっふっふ・・・これでどうです?」
「ああ、この盤面なら、こうだね」
「あああ!!それはずるいですティア!!・・・いや、ここは・・・これでどうです!」
「ならここはこうっと」
「はうぅ!!」
局面的にはめぐみんが負けている状況らしい。
「さー、ここからどうするー?めぐみんの勝ち目は薄いよー」
「ぬ・・・ぬ・・・ぬ・・・!!」
絶体絶命のピンチにめぐみんはどう切り抜けようと悩み・・・
「ぬあああああ!!エクスプロージョン!!!」
「あああああああ!!」
最終的に盤面を自らの手でひっくり返した。エクスプロージョンはこの世界のチェスのルール的にはありである。その際に飛んできた駒がアカメの頭にコツンと落ちてきた。
「・・・ちょっとあんたたち、チェスをやるのはいいけど、私がいる時にエクスプロージョンはやめなさい。読書に集中できないじゃない」
「あ、ごめん・・・気が散ったよね」
「すみません・・・」
騒々しくしてしまって読書の邪魔をしたことに謝罪をするティアとめぐみん。
「ところで、何を読んでたのですか?」
「小説よ小説。これがなかなか面白くてね」
「ああ、確かにそれ、面白いよね。私もついつい読んじゃうんだよね」
「そんなに面白い小説なのですか?」
「ええ。面白いわ。よければ貸してあげてもいいわよ」
「本当ですか?楽しみです」
3人がアカメが読んでいた小説の話で盛り上がっていると・・・
「この曲者!!であえであえ!!!みんな!!!この屋敷に曲者よ!!!」
突如としてアクアの声が屋敷内から響いてきた。内容からして、何やら穏やかではない様子だ。
「曲者?」
「何よ?なんか変な奴でも引っかかったのかしら?」
「とにかく、行ってみましょう」
3人はひとまず状況を確かめるために部屋から出て、アクアの元まで行く。廊下を歩いていると、アクアが見えてきて、他にも誰かがいた。
「3人とも!見て見て!私の結界に引っかかって身動きをとれなくなったサキュバスを捕まえたわ!!」
「はあ?サキュバス?」
「わ!本当にサキュバスだ!」
「きっと男であるカズマの精気を狙って来たのでしょうね」
そう、アクアが捕まえた曲者というのは、見た目がかなり幼いサキュバス・・・いうなれば、ロリサキュバスのことなのだ。しかもこのサキュバス、ただのサキュバスではない。
「おい!!!アクアーーーー!!!」
と、そこへ何故かタオルを腰に巻いた状態のカズマが何故か怒った様子でやってきた。
「あ、カズマ。今こっちにさ・・・て、ああああああああ!!??」
「はぅ・・・///」
「こっちにも曲者が!!」
「寄るな変質者!!」
「だ、誰が曲者だ!!?誰が変質者だ!!?」
今のカズマの状態を見てめぐみんとティアは顔を赤くし、アクアとアカメはカズマに敵意を向ける。カズマの状態を見ればしょうがないことだが。
(・・・て、あれ?この子・・・サキュバスの店の・・・)
そう、このロリサキュバスはサキュバスの店の店員の子で、精気を吸うのは事実だが、真の目的はカズマの望む夢を見せるためにやってきたのだ。
「さくっと悪魔洗いしてあげるわ!」
「大人しく滅されるがいい!」
「ただ何もなしはつまらないわ。苦痛に歪みに歪んでから、果てなさい」
「恨むなら、悪魔として生まれた自分を恨むんだね!」
今にもロリサキュバスを滅そうとしている女性陣4人はいかにも悪魔のような顔である。一方のロリサキュバスは怯え切っている。どっちが神様でどっちが悪魔だかわからない光景である。
「観念するのね!今飛び切りの対悪魔用の・・・」
アクアが浄化魔法を放とうとした時、ロリサキュバスを庇うようにカズマが前に出る。
「・・・え?」
「・・・逃げろ(イケボ)」
「で、ですが・・・」
カズマはロリサキュバスを庇い、逃げるように指示をロリサキュバスに出す。
「何をやってるのカズマ⁉その子はあんたの精気を狙って襲いに来た悪魔なのよ⁉」
「正気ですかカズマ⁉」
これには当然ながらアクアたちは戸惑いを隠せないでいた。そして、まさか守られるとは思わなかったロリサキュバスも戸惑っている。
「ですが、この状況になったのは、侵入できなかった未熟な私が悪いんです・・・。お客様に恥をかかせるわけにはいきません・・・。私は退治されますから、お客様は何も知らないふりを・・・」
ロリサキュバスはカズマに知らないふりをしろと言っているが、カズマは断固として譲ることはなかった。
「・・・あんた、どういうつもりよ?この偽女神じゃないけど、この屋敷に入ってきた不届き者を見逃すわけにはいかないわよ?あんた・・・ボロボロにぶち壊されたくなかったら、さっさとどきなさいよ」
アカメは拳の骨をぼきぼきと鳴らしながら、脅してきた。いや、アカメの場合だと脅しではなく本気なのだが、それでもカズマは一歩も引かなかった。
「今のカズマはそのサキュバスに魅了され、操られている!!」
そこへ遅れながらダクネスがやってきた。その顔は何やら恥ずかしさで赤く染まっている。
「先ほどからカズマの様子がおかしかったのだ!!夢がどうとか設定がこうとか口走っていたから間違いない!!!おのれサキュバスめ・・・あんな辱めを・・・!!!ぶっ殺してやるぅ!!!!!」
よほどキレているのかダクネスは物騒なことを言いだしている。ちなみ、さっきまでカズマはダクネスと風呂場で混浴をしたという男としてちょっぴり嬉しい体験をしていたのだ。
「カズマ、いくらかわいくてもそいつは悪魔、モンスターだよ?何をトチ狂っちゃってんの?」
「・・・いけ(イケボ)」
「ですが・・・」
「どうやら・・・引く気はないってわけね。いいわ・・・あんたをけちょんけちょんに【ピーーッ】って捻り潰した後、そこのサキュバスを拷問にかけて消してやるわ」
「・・・いくぜ(イケボ)」
ロリサキュバスを消そうとする女性陣とロリサキュバスを守ろうとするカズマ・・・圧倒的にもカズマが不利的状況だが・・・それでも、男として、譲れないものがある。絶対に・・・守りたいものがあるのだ。
「・・・かかってこいやあああああああ!!!しゃううううううううううう!!!!!」
バキッ!!ドゴ、バチンバチン!!ゲシ!ゲシ!グシャ!!
が、あっという間に女性陣に袋叩きにされ、顔の原型がとどめれてないほどに痛めつけられたカズマ。だがこの騒ぎに乗じてロリサキュバスは屋敷から逃げていった。
「サキュバスには逃げられましたね・・・」
「この距離じゃ捕まえられそうにないや」
「塩撒いとくわ」
この件を機にカズマは、サキュバスの店を利用する時は屋敷で寝るのはやめようと、心の奥底からそう決めたのであった。
ーこのすば!ー
サキュバス騒動から翌日、双子は朝から散歩しに出掛けている。気分転換も1の理由なのだが、もう1つはアルダープの使用人がいなくなったかどうかの確認だ。
「・・・なんか、妙ね」
「お姉ちゃんもそう思う?確かに変だよね」
「お、お前ら、また会ったな」
双子が疑問を抱いているとスティーヴが声をかけてきた。
「スティーヴ、まだこの街にいたの?」
「いや、これから帰るとこだ。お前らはまた散歩か?」
「そうよ。昨日サキュバスがうちに来たから退治してやろうかと思ったら、うちのパーティの男が邪魔してきてね、その気晴らしにね」
「ん?お前らパーティ組んだのか?マジで?」
「大マジだよ。今度紹介してあげる」
「そ、そうか・・・」
双子がパーティを組んだ事態にスティーヴは少なからず驚いており、そしてパーティを組んだ相手を哀れに思った。ちなみに、サキュバスの騒動はカズマがサキュバスに操られていたという事でカズマの記憶もあいまい・・・ということになっている。
「それから、ちょっとした確認をしに来たんだけど・・・おかしいんだよね」
「おかしいって何がだよ」
「昨日あんなにクソ領主の使用人がいたにも関わらず、今日は誰もいないことに関してよ」
双子が疑問に抱いていたのはアルダープの使用人がこの街に誰1人としていないことである。
「この街のクソ領主って、アルダープのことか?そりゃ見つけるのが不可能と判断したからだろ?」
「だとしても、切り上げるタイミングが予想以上に早いんだよ。アヌビスでは最低でも1ヶ月はかかってるのに」
「それに情報部によるとそのクソ領主、昨日戻る予定だった。なのにあいつはまだ戻って来ていない。疑問を抱かない理由を教えてほしいくらいだわ」
「そう言われてみりゃ・・・確かにな。何でだ?」
双子とスティーヴが抱いたこの疑問は1つの緊急町内放送によって、解答された。
『デストロイヤー警報!!デストロイヤー警報!!現在、機動要塞デストロイヤーがこの街に接近中です!!全冒険者は戦闘準備を整えて、冒険者ギルドに集合してください!!街の住民の方々は直ちに避難してください!!』
この世界で厄災とされている存在、機動要塞デストロイヤーが近づいて来ていると聞いて、双子もスティーヴも驚愕している。
「マジかよ!!?デストロイヤーが近づいて来てんのか!!?」
「そうか・・・それで全員逃げたってわけか・・・この街を捨てて・・・!」
「職務放棄してる奴は放っておきなさい!今はとにかく、屋敷にもどるわよ!!」
「う、うん!」
「お、俺はこの街の支部の連中をかき集めてくる!!」
このような非常事態にスティーヴは支部の盗賊団を集めに、双子はカズマたちと合流しに向かった。この非常事態に立ち向かうために。
ダクネスの騎士の心得覚書・第20条
騎士たるもの、味方を置いて逃げるようなことがあってはならない。
それが例えどれほど強大な敵であってもである。
兼ねて注意したいのだが、肉体的苦痛を望んで性的満足を得ようなどと思ってはならないことである。
そのような考えは極めて異質で騎士以前に人間としてどうかという最低の行為である。
カズマの反応
カズマ「お前が言うなこのドMのド変態がぁ!!!」
ダクネス「ド・・・変・・・!!?ど・・・どんな時でも容赦のないその罵倒・・・やはりお前は、容赦がないな・・・はぁ・・・はぁ・・・」
カズマ「ほらそういうとこぉ!!!」
次回、この理不尽な要塞に終焔を!