このすば!この微笑ましい双子に幸運を   作:先導

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この理不尽な要塞に終焔を!

アクセルの街にデストロイヤー警報が鳴り響いている中、街の住人は避難の準備を整えている。双子はそんな中、カズマと合流するために急いで屋敷に戻る。屋敷に戻ってみると、阿鼻叫喚と化している。

 

「逃げるの!!どこか遠くへ逃げるのよ!!」

 

アクアは逃げ出すために多めの荷造りの準備を整えている。めぐみんもめぐみんで小さな荷物を抱えて、逃げる準備ができている。

 

「・・・何やってんのよあのアホは」

 

「いや、それが、デストロイヤー警報とかを聞いた途端、荷造りの準備を始めてな・・・」

 

「いや、まぁ・・・相手がデストロイヤーだから気持ちはわからなくもないけど・・・」

 

「だからデストロイヤーって何なんだよ!!?」

 

未だにデストロイヤーの存在がわかっていないカズマはそう言い放ち、ティアが説明する。

 

「機動要塞デストロイヤー・・・それが通ったらアクシズ教徒以外、草も残さないと言われている大物賞金首の動く要塞だよ」

 

「ねぇ、私のかわいい信者がなぜそんな風に言われてるの?ウィズもそうだけど、なぜ双子だけじゃなく周りはみんなうちの子を嫌うの?みんな普通のいい子なのよ!!?」

 

さりげなくアクシズ教徒を異常者扱いをするティアにアクアは突っかかってきたが、全員は無視をする。

 

「なあめぐみん、爆裂魔法でどうにかならないか?名前からしてでかいんだろう?遠くからでも見えるし、撃てるだろう?」

 

「無理ですね。デストロイヤーには強力な魔力結界が張られています。爆裂魔法の1発や2発、防いでしまうでしょう。というか、デストロイヤーに挑むなど、無謀もいいところです」

 

どうやらデストロイヤーは魔法の結界が張られているようで、爆裂魔法でさえも弾いてしまうようだ。

 

「ねえ、うちの信者はいい子たちよ!!?巷で悪い噂が流れてるのは心無いエリス教徒の仕業なの!!みんなエリスを美化してるけど、あの子あれで結構自由奔放だし、やんちゃなのよ!!?悪魔相手だと私以上に容赦ないし、暇なときに街に遊びに行ってるに違いないわ!!」

 

「バカアクア、無宗教の私が言うのもなんだけど、女神を自称だけでなく、女神エリスの悪口を言うと重い天罰が下るわよ?」

 

「自称じゃないってー!!信じてよーー!!」

 

アクアとアカメが無意味な言い合いをしている間にも、鎧を身に纏ったダクネスが到着する。

 

「遅くなってすまない。・・・ん?どうしたカズマ?早く支度をしてこい。お前ならギルドに行くんだろう?」

 

「当たり前だ。お前ら、急いで準備をしろ!」

 

本来面倒事には関わりたくないカズマであったが、今日はなぜか妙にやる気に満ちていた。

 

「どうして!!?」

 

「苦労してやっと手に入れた家を簡単に壊されてたまるかあ!!ほら、お前ら、ギルドに行くぞ!!」

 

カズマたちはデストロイヤーと立ち向かうために、冒険者ギルドへと向かうのであった。

 

 

ーこのすばー

 

 

カズマたちが冒険者ギルドまで辿り着くと、そこには大勢の冒険者が集まっていた。

 

「お!やっぱ来たかカズマ!!お前なら来るって信じてたぜ!!」

 

そこにはダストたちのパーティ、スティーヴとアクセル支部の盗賊団、他にもクリスもそこにいた。まだカズマに気づいてはいないが、中にはミツルギもいた。が、関わり合いになりたくないカズマは人ごみに混ざって見つからないようにする。

 

「・・・あいつら本当にパーティ組んでたんだな・・・」

 

双子が本当にパーティを組んでいたことに、ステイーヴは驚いていた。その間にも、デストロイヤー対策会議が開かれた。

 

「お集りのみなさん!本日は緊急の呼び出しに応えてくださり、大変ありがとうございます!!ただいまより対機動要塞デストロイヤー討伐の緊急クエストを行います。このクエストはレベルも職業も関係なく、全員参加でお願いします!!無理だと判断した場合は、街を捨て全員で逃げることになります。皆さんがこの街の最後の砦です。どうか、よろしくお願いします!!」

 

ルナのこの言葉に冒険者全員は固唾を飲んでいる。

 

「それでは、ただいまより、緊急作戦会議を行います!まず、機動要塞デストロイヤーも説明が必要な方はいますか?」

 

その問いかけにカズマを含めた数名の冒険者が手をあげた。

 

「機動要塞デストロイヤーは元々は対魔王軍用の兵器として魔道技術大国ノイズで造られた超大型ゴーレムです。国家の予算から巨額を投じられて造られたデストロイヤーは外見はクモのような形状をしております。小さな城ぐらいの大きさを誇っており、魔法金属がふんだんに使われ、外見に似合わない軽めの重量で八本の巨大な脚で馬を超える速度が出せます。特筆するのはその巨体と進行速度です。凄まじい速度で動くその八本の脚で踏まれれば、大型モンスターとて挽肉にされます。そしてその体にはノイズ国の魔道技術の粋により常時、強力な魔力結界を貼られています。これにより、まず魔法攻撃は意味を成しません」

 

「魔法が効かないため、物理攻撃しかないわけですが・・・接近すると轢き潰れます。なので弓や投石などの遠距離攻撃になりますが・・・元が魔法金属製のゴーレムなため、弓はまず弾かれ、攻城用の投石器も機動要塞の速度からして運用が難しいと思われます。それにこのゴーレムの胴体部分には、空からのモンスターの攻撃に備えるため自立型のゴーレムが飛来する物体を備え付けのバリスタで打ち落とし、なおかつ戦闘用のゴーレムが胴体部分の上に配備されています」

 

「そして、その機動要塞デストロイヤーがなぜ暴れているかですが・・・研究開発を担った責任者がこの機動要塞を乗っ取ったといわれています。そして現在も機動要塞の中枢部にその責任者がおり、指示を出しているとか・・・。速度が速度ですのでこの大陸においてすでに荒らされてない地はほとんどなく、そのクモのような脚でどれほどの悪路でも踏破してしまいます。現在のところ、人類、モンスター合わせ、平等に蹂躙していく機動要塞・・・それがデストロイヤーです。これが接近してきた場合は街を捨て、通り過ぎるのを待ち、そして再び街を建て直すしか方法がないとされています。まさに天災として扱われています」

 

受付嬢たちの説明にざわついていた冒険者全員は一気にシンと静まり返った。正直無理ゲーに近い。

 

「現在機動要塞デストロイヤーは街の北西方面からこちらへ向けてまっすぐ進行中です。到着まで、後1時間!時間がありません。すぐにでもご意見をどうぞ!」

 

1時間という短い猶予の中で、様々な冒険者が意見を出す。

 

「あの・・・その魔道技術大国ってどうなったのですか?それを造った国なら、何か対抗策を用意してなかったんですか?」

 

「デストロイヤーの暴走で真っ先に滅ぼされました」

 

「なら落とし穴を作るとか・・・」

 

「やりましたが・・・巨大な大穴を掘り、デストロイヤーを穴に落としたまではよかったのですが・・・なんと八本の脚を使い、ジャンプしました。上に岩を落として蓋をする暇もなかったくらい・・・」

 

しかし、どれもこれも試されたものらしく、デストロイヤーには全く通じなかったようで難航している。

 

「やっぱり、ダメなんじゃないかな?早くみんなで逃げた方がいいよ」

 

「いやダメだ。街の人々が帰る場所を失ってしまう」

 

クリスが逃げた方がいいと提案するが、ダクネスが真っ先に反対する。

 

「相変わらず頑固だなー、ダクネスは」

 

「ねぇ、カズマ、何とかならない?持ち前のずる賢さで機転に回るようなさ」

 

「ずる賢い言うな。そんなこと言ったってねぇもんはねぇよ。そもそも魔法を弾く結界を貼ってる時点で・・・結界?」

 

何か案はないかとティアがカズマに問いかけた。カズマは対抗策がないと言葉を紡いだ途端、何かを閃いた。

 

「アクア、前にウィズが言ってたろ?確か、2、3人程度の幹部が残ってたら魔王の城の結界を破れるとかどうとか。それって、機動要塞にも通用するのか?」

 

「え?うーん・・・あんたにこの地に落とされてから力が弱まってるから、やってみないと破れるかどうかわからないわよ?」

 

破れるかどうかはわからないが、結界を破れる可能性は0ではなくなったようだ。

 

「破れるんですか!!?デストロイヤーの結界を!!」

 

この話を聞いていたルナが非常に驚いた反応を示している。

 

「いや、話を聞く限りだと絶対とは言い切れないみたいよ?」

 

「それでも、やれるだけやってみてくれませんか?結界さえ破れれば、魔法攻撃は利くはずです!!」

 

「わ、わかったわ。やってみる」

 

0の可能性でないのなら、やってみてほしいと言われ、アクアは自信なさげに承諾した。

 

「後は・・・ダメージを与えられる魔法さえいれば・・・」

 

「いるだろ」

 

「え?」

 

「火力持ちならいるじゃないか・・・頭のおかしいのが」

 

火力の高い魔法使いがいないか不安を抱いていたルナだが、セドルがそう言った瞬間、周りの冒険者の顔色が明るくなった。

 

「そうか!頭のおかしいのが!」

 

「いたな・・・おかしい子が!!」

 

続けて、ヘインズ、ガリルもそう言い放ち、一部の冒険者は除いて、全員の視線はめぐみんに注がれた。

 

『じぃー・・・』

 

「おい待て!!それが私のことを言ってるなら、その略し方はやめてもらおう!さもなくば、いかに私の頭がおかしいか、今ここで証明することになる!」

 

全員の視線にめぐみんは文句を言う。その瞬間ほとんどの冒険者がめぐみんから視線を逸らす。

 

「確かにこの街では爆裂魔法は最大火力だね。どう?めぐみん、いけそう?」

 

「あう・・・我が爆裂魔法でも・・・さすがに一撃では仕留めきれないと思われ・・・」

 

どうやらめぐみんの爆裂魔法でも一撃で葬るのは難しいようだ。それには周りが落胆しかけている。

 

「ならせめて・・・1人、2人くらいの魔法使いが必要となりますが・・・そんな魔法使いは・・・」

 

「心配しなくていいわ。いるじゃない。この街に強力な魔法使いが」

 

「おうよ。ついでにいや、もう1人、強力な魔法使いがいるぜ」

 

アカメとダストがこの街に強力な魔法使いがいるといったその時・・・

 

「悪い!!遅くなっちまった!!モンスターショップの店主のマホだ!!デストロイヤー討伐に参加しに来たぜ!!」

 

「すみません、遅れました。ウィズ魔道具店の店主です。一応冒険者の資格を持っているので、私もお手伝いに・・・」

 

タイミングよくマホとウィズがやってきた。全冒険者はこれによって、希望を見出した。

 

「店主さんだ!!」

 

「貧乏店主さんが来た!!」

 

「魔道の勇者様も来たぞ!!」

 

「勝てる!!これで勝てるぞ!!」

 

「え?え?」

 

「おい誰だ今魔道の勇者って言ったの!!オレはもう引退したんだ!!その名はやめろ!!」

 

ウィズとマホになぜこんなに妙に人気者なのかを疑問を抱くカズマはテイラーとリーンに尋ねる。

 

「なあ、なんであの2人はこんなに有名なんだ?ていうか、ウィズの場合貧乏店主はかわいそうだからやめてやれよ」

 

「知らないのか?ウィズさんは元は高名な魔法使いで凄腕アークウィザードとして名を馳せていたんだ」

 

(その正体はアンデッドのリッチーだけどな・・・)

 

「一方のマホは前は魔道の勇者って呼ばれていたほどのアークウィザードなの。冒険者を引退しても、その腕は劣ってないから全魔法使いの憧れの的なのよ」

 

(し、知らなかった・・・あいつそんなに強い魔法使いだったのか・・・)

 

とにもかくにも、ウィズとマホが人気の理由は理解できたカズマだった。

 

「ウィズ魔道具店の店主さん、マホさん、これはどうもお久しぶりです!ギルド職員一同、歓迎いたします!さあ、こちらにどうぞ!」

 

受付嬢に促されるまま、ウィズとマホは中央テーブルに座らさせられる。

 

「では、店主さんとマホさんをお越しいただいたところで作戦をまとめます。まずアークプリーストのアクアさんがデストロイヤーの結界を解除。そして、おかし・・・ではなく、めぐみんさんが爆裂魔法を撃ち込む、という話になっていました」

 

「なら、爆裂魔法で脚を潰した方がいいな。デストロイヤーの脚は左右で4本ずつあるから、オレが右側の脚4本を全部、左側の2本をめぐみんとウィズさんで爆裂魔法を撃ち込んじまえば、後はどうとでもなる」

 

マホの出した案にウィズはコクコクと頷いて肯定する。その後は気休め程度ながらもバリケードを張るという案も採用された。これでデストロイヤー討伐の作戦が決まった。

 

「それでは皆さん!!緊急クエスト、開始です!!」

 

『うおおおおおおおおおお!!!!』

 

後はデストロイヤーに備えて準備するだけ。冒険者全員は、高らかに声を張り上げた。

 

 

ーこのすば!!ー

 

 

『緊急クエスト!!

機動要塞デストロイヤーから街を守れ!!

レベル制限なし!!全員参加!!』

 

街の前には、デストロイヤー討伐に参加する冒険者だけでなく、突貫作業でバリケードを作っている街の人や大工さんたちが来ている。皆、考えていることは同じなのだ。そんな中で、デストロイヤーを待ち構えようと、ダクネスが誰よりも前に最前線で立っている。ここから動こうとしないダクネスを無理にでも説得しようと、アカメが前に出る。

 

「ダクネス、悪いことは言わないからさっさとそこをどきなさいよ。あんたの堅さは知ってるけど、デストロイヤーはどうしようもないわよ。今ここをどいてくれたら、とびっきりのご褒美でいじめてあげるから」

 

「いや、私はここを動かん」

 

いつものダクネスならいじめることにたいして食いついてくるのに、今日に限っては全くそんなことはなかった。それにはアカメも目を見開いて驚いている。

 

「・・・アカメ、私の普段の行いのせいでそう思うのも仕方がない。が、私が自分の欲望にそこまで忠実な女だと・・・」

 

「思うわよ。当たり前じゃない」

 

「なっ・・・!即答⁉」

 

最後まで言っていないにも関わらず即答したアカメにダクネスは若干興奮したが、咳ばらいをして、話を戻す。

 

「・・・私には、この街の住民たちを守らなければならない。街の人たちは気にしないだろうが・・・少なくとも私はそう思っている」

 

「・・・ずいぶんお優しいことで。まるでお人好しの貴族様みたいな考え方ね」

 

「貴族・・・か。間違いではない」

 

「はい?」

 

貴族であるという部分を否定しなかったダクネスにアカメは豆鉄砲をくらったかのような顔になる。

 

「私の本名は、ダスティネス・フォード・ララティーナという」

 

「ララ・・・何?」

 

「この近隣を治めるダスティネス家の娘だ」

 

「はあ!!?あんた・・・金持ちのお嬢様ってこと!!?て、待ちなさい!ダスティネスって言えば・・・国の懐刀って言われてる大貴族じゃない!!」

 

ダクネスが国の懐刀と言われているダスティネス家のご令嬢と聞いて、アカメは今まで以上の驚きを示している。

 

「皆には言うな」

 

「え・・・あ・・・」

 

「私は騎士だ。領民の暮らしを守ることは私の義務であり、誇りだ」

 

ダクネスのカミングアウトには驚かされたが、ダクネスの思いにアカメは小さくため息をつく。

 

「・・・ウェーブ盗賊団。名前くらいは聞いた事あるでしょ?」

 

「?なぜそこでその盗賊団の名前を?」

 

「私とティアは、その盗賊団の一員よ」

 

「何!!?」

 

アカメがウェーブ盗賊団員だと知ったこと、アカメがそのカミングアウトしたことにダクネスはアカメと負けないくらいに驚いている。

 

「世界には法では裁けない人間の悪が存在する。その悪の自由で誰かの自由を奪うのはあってはならない。それで死んだらそれこそ、ベルディアなんてアンデッドを生み出す一方よ」

 

「それは・・・」

 

「そういう奴を生み出さないために私たちウェーブ盗賊団が悪の自由を盗み、人の自由を守る。そのために、いろんなところに盗賊団がいる。このアクセルも例外じゃないわ」

 

「!まさか、アルダープの屋敷に入った盗人というのは・・・」

 

「そこは別に重要じゃない。そうでしょ?」

 

「あ、ああ」

 

ダクネスは一応貴族であるため、アルダープの盗み騒ぎに関しては耳にしている。そしてその盗人の正体が双子だと気づいたが、今はそれは置いておく。

 

「仲間は決して見放してはならない。それが盗賊団の掟の1つよ。あんたが領民を守るように、私たちにも盗賊団の仲間を守る義務がある」

 

「待て、お前がアクセルの街を守る理由はわかった。だが、なぜそれを私に?」

 

「あんた、自分が貴族だってことを隠してたみたいだったし、そこでカミングアウトされたら、話さざるを得ない。それだけの話よ。それとも嫌気がさしたかしら?仲間だと思ってた奴が、本物の盗人だと知ってさ」

 

アカメの皮肉ともとれる発言にダクネスは内容に驚きはしたが、ふっと笑ってみせた。

 

「私は、お前たちが悪者だとは思ってはいない。それは、これまでのお前たちを見ればわかる。だから私は、お前たちを嫌ったりするものか」

 

「・・・ふん、お人好しも大概になさいよ」

 

嘘偽りないダクネスの発言にアカメは悪態をつきながらも、口元には笑みを浮かべていた。変わらなく接してくれているのが、嬉しい証拠だ。

 

「一応は秘匿しなければいけないのだから誰にもしゃべるんじゃないわよ。特にティア、しゃべったって知ったらうるさそうだわ」

 

「ああ、わかっている。お互い様だ」

 

「なら、もう何も言わないわ。後は好きになさい。私は戻るわ」

 

「ああ、最後に1つ聞かせてくれ。お前は、我がままで頑固な仲間は嫌いか?」

 

ダクネスの問いかけにアカメは頭をかく。

 

「盗賊団の仲間は頑固者もいるし、どっかのアークプリーストもわがままよ。そいつらの頑固は嫌いだけど・・・それに比べたらあんたのはかわいいくらいよ。嫌いじゃないわ」

 

「・・・そうか」

 

アカメの答えにダクネスは笑みを浮かべ、デストロイヤーが来るのを待ちかまえる。

 

「・・・ララティーナw」

 

「そっちの名前で呼ぶなあ!!!」

 

アカメが笑いそうな顔でさりげなく本名で呼ぶと、ダクネスは怒りだしたのだった。

 

 

ーこのすばぁ!!ー

 

 

ダクネスの説得に失敗したアカメはめぐみんたちが待機している街の外壁の上に上る。

 

「あ、お姉ちゃん、どうだった?」

 

「説得に失敗したわ。あれはもうどうしようもない頑固さだわ」

 

「そっかぁ・・・。ならダクネスの無事のために、何としてでも成功させないとね」

 

「そ・・・そそ・・・そうですか・・・私がやらなきゃ・・・ダメですね・・・わ、私が・・・私が・・・」

 

「ああ!!こっちはこっちで緊張してガチガチだ!!」

 

作戦の成功の要は自分にかかっているため、かなり緊張してガチガチ状態になっているめぐみん。だが、緊張をほぐす暇もなく、それは訪れた。

 

「冒険者の皆さん!!そろそろデストロイヤーが見えてきます!!戦闘の準備をお願いします!!」

 

街の外の先で、遠くからガシャンガシャンと街に近づいてくる音が聞こえてきた。そして、その姿はすぐに現した。城ほどの大きさを誇り、全てを蹂躙させる巨大な金属のクモ型要塞・・・機動要塞デストロイヤー。遠くからでも、その巨大さがわかる。

 

「ちょっとウィズー!大丈夫なんでしょうねこれ!!?」

 

「任せてくださいアクア様・・・これでも私は最上位のアンデッドなのですから・・・」

 

「本当に大丈夫なんでしょうね!!?」

 

「もし失敗したら、みんな仲良く土に還りましょう・・・」

 

「冗談じゃないわよ!!冗談じゃないわよ!!!」

 

アクアが心配そうにしている。ウィズの縁起でもない発言に余計に不安を覚えるアクア。

 

「ちょっとカズマー!!そっちは大丈夫なんでしょうねー!!?」

 

「おいマホ、そっちは大丈夫か?お前は4本まとめてだぞ?いけるか?」

 

「はっ!任せろよ!ネクロノミコンの力の見せ所だ!!足くらいなら吹き飛ばせる!!」

 

「おお!!そいつは頼もし・・・」

 

「オレ、この戦いが終わったら、お前らの借金を1割減らしてやるんだ・・・」

 

「それ死亡フラグだぞ!!?てか終わりのやることショボいな!!!いや、ありがたいけども!!!」

 

マホは気合は入っているが、緊張しているのかショボい死亡フラグを言い放った。

 

「おい双子!そっちは大丈夫かー?」

 

「だ・・・ダイジョウビ・・・ワタシハツヨイ・・・ワタシハツヨイ・・・」

 

「無理そうだわ・・・」

 

「めぐみん落ち着いて!あんまり深く考えちゃダメ!」

 

「わ、わ、我が爆裂魔法で・・・け、け、消し飛ばしてくれるわー」

 

「早い早い!タイミングまだ早いよ!」

 

未だに緊張しているめぐみんをティアは落ち着かせることで精いっぱいだ。

 

「普通のやり方じゃダメよ。いい?こういう時は・・・」

 

「来るぞぉ!!!」

 

アカメがティアにめぐみんのやる気を引き出させ方を教えてる間にもデストロイヤーがどんどんと近づいてきている。それに合わせて、イチかバチかで、アクアも行動に出る。

 

「セイクリッド・ブレイクスペル!!!!」

 

アクアは解除魔法であるセイクリッド・ブレイクスペルの光をデストロイヤーに向けて放った。デストロイヤーが当たる瞬間、デストロイヤーは魔力結界を張った。結界とブレイク・スペルは互いに均衡している。

 

「ぐ・・・ぐぅ・・・ああああああああああ!!!!」

 

だが負けじとアクアはブレイク・スペルを最大出力まで引き出し、威力を高めた。均衡を保っていた結界は耐え切れず、破れ去った。これで魔法攻撃が通用するようになった。

 

「今だぁ!!!」

 

「マホさん、めぐみんさん!!同時発射です!!」

 

「あの・・・ウィズさん・・・あいつらまだ・・・」

 

「おおい!!?まだ緊張してんのかあいつ!!!」

 

今が好機だというのに、未だにめぐみんは責任の重大さに押し潰れそうになっている。そこでティアがアカメに教えてもらった方法でめぐみんのやる気を引き出させる。

 

「めぐみん!!めぐみんの爆裂魔法の愛はその程度のものなの!!?ここでウィズやマホに負けたりしたら紅魔族(笑)の称号を得ることになるよ!!?」

 

「!!!」

 

「それともめぐみんの爆裂魔法はあんな要塞も壊すこともできないポンコツネタ魔法なの!!?」

 

「何をぅ!!?我が名をこけにするよりも、1番私に言ってはならないことを口にしましたね!!!見せてあげますよ・・・本物の爆裂魔法を!!!」

 

「それでこそめぐみんだよ!!」

 

「ティア、ナイスだ!!!ウィズ、マホ!!今だ!!」

 

「はい!!」

 

「おう!!」

 

めぐみんがやる気になったところでめぐみんは爆裂魔法の詠唱を始める。それと同時に、ウィズもマホも爆裂魔法の詠唱を唱える。

 

「「「黒より黒く、闇より暗き漆黒に、我が真紅の混交を望みたもう・・・覚醒の時来たれり・・・無謬の境界に落ちし理・・・無響の理となりて現出せよ!!!」」」

 

3人の詠唱を唱え終え、狙いをデストロイヤーの八本の脚に定める。

 

「「「エクスプロージョン!!!!!!」」」

 

3人のエクスプロージョンの熱はこれまでの爆裂魔法より熱く、凄まじい魔力を帯びている。3つの爆炎はデストロイヤーの脚へと向かっていき・・・

 

ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!

 

デストロイヤーの脚を見事に霧散させてみせた。機動力を失ったデストロイヤーは地面に転げ落ち、凄まじい速度に合わさって地面を滑っていく。その勢いはダクネスに当たる直前で止まり、完全に動き1つとらなくなった。

 

「・・・終わったようね」

 

「ふぅー・・・やったよ、めぐみん!」

 

爆裂魔法を放った瞬間、めぐみんは魔力をつき、お約束として倒れてしまう。ウィズはもともとから魔力が高いため普通に立っている。マホもネクロノミコンの恩恵のおかげで立つことができている。が、2人の魔力も底をつきかけているのは事実だ。それだけ強力な魔法なのだ、爆裂魔法は。

 

「くぅ・・・さすがはリッチー・・・片や魔道の勇者・・・私を簡単に上回るレベル・・・上には上がいると思い知りました・・・悔しいです・・・」

 

「はは、よく頑張ったね、めぐみん」

 

威力的にも同じように見えたが、めぐみんにはウィズとマホとのレベルの違いがわかるようで、自身が劣っていたことにたいして悔しそうにしている。

 

「やったか!!」

 

「俺、これが終わったら結婚するんだ・・・」

 

(は⁉おいおい、こんな時にフラグになるような発言は・・・!)

 

冒険者の誰かがフラグを言い放った瞬間、カズマは嫌な予感を感じた。そしてそれを察していないのかアクアが続けてフラグを言い放つ。

 

「さあ!帰って乾杯よ!!報酬はおいくらかしらね?」

 

「このバカーーーー!!!なんでお前はそうお約束が好きなんだーーーー!!!」

 

「え?」

 

アクアがフラグを言った瞬間、デストロイヤーの複数ある目が赤く点滅しだした。まだ終わりではないことを示している。見事にフラグを回収した瞬間である。

 

「ほら見たことか!!!」

 

「えええええ!!??」

 

「なに!!?なになになに!!?」

 

冒険者全員がざわついていると、デストロイヤーから緊急放送が流れる。

 

≪被害甚大につき、自爆機能を作動します。乗組員は直ちに避難してください。乗組員は直ちに避難してください≫

 

『・・・マジかよおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!???』

 

デストロイヤーが自爆すると聞き、この場の全員が絶叫した。

 

『超緊急クエスト!!!

機動要塞デストロイヤーの自爆を阻止せよ!!!』

 

「無理だああああああああああ!!!」

 

「逃げろおおおおおおおおおお!!!」

 

もうダメだと判断したこの場の大勢の冒険者は街の中へと逃げ出していく。カズマたちパーティはダクネスを迎えに行った。

 

「ダクネス!!避難するぞ!!」

 

「・・・私は最後まで引くわけにはいかない」

 

「あんた・・・」

 

「領民より騎士が先に逃げるなど、あってはならない・・・」

 

「ダクネス・・・」

 

ダクネスの立派な騎士道にカズマたちは少しじーんと感動している。

 

「それに、街を吹き飛ばすほどの爆弾に、身を晒しているのだとするとどうだ?」

 

「「「はい?」」」

 

「なんだ・・・このかつてないほどに沸き上がる興奮は・・・!果たして私は耐えられるのだろうか・・・!いや、いくら頑丈とはいえ・・・無事では済まないだろう・・・!もう・・・辛抱溜まらん!!!」

 

前言撤回。ダクネスのこの発言で全てが台無しに変わってしまっている。

 

「カズマ!!」

 

「はいはい、カズマだよ」

 

「私は突撃するぞ!!!」

 

「え?お、おい・・・」

 

「では・・・行ってくりゅ!!!どっひいいいいいいいいい♡!!!」

 

ダクネスは興奮を隠さずにデストロイヤーへと突進していっている。その姿は他の冒険者たちも見えていた。

 

「おい!!ダクネスさんが突撃してるぞ!!」

 

「そうか!!爆発する前に破壊するつもりなんだ!!」

 

「街を守るために!!」

 

半分正解半分間違いの解釈に冒険者一同の考え方は変わった。特に・・・男の連中は。

 

「やるぞ俺はぁ!!!この街には世話になってるからな!!!」

 

「俺も・・・もうレベル30を超えているのに、なぜ未だにこの駆け出しの街にいるのかを思い出した!!」

 

男の冒険者たちが真っ先に思い浮かべたのは・・・サキュバスの店である。街・・・というよりかはサキュバスの店を守りたいのが正しいのだろう。

 

「どこだろうと関係ねぇ!!!世話になってるんだったら、ここでやらなきゃおかしいだろぉ!!!」

 

『おおおおおおおおおお!!!!』

 

スティーヴと男の盗賊団全員もサキュバスの店を守ろうと躍起になっている。女性の盗賊団は事情は知らないが、若干男に引いている。

 

「むしろ、今まで安くお世話になってきた分、ここで恩返しできなきゃ終わってるだろぉ!!!」

 

「「おおおお!!」」

 

ダストたちのパーティの男たちも気合十分である。リーンはちょっとこのテンションについていけてないようだが。

 

「ビビってんじゃねぇ!!!俺らも続くぞぉ!!!!」

 

『おおおおおおおお!!!!乗り込めえ!!!!』

 

しかも大工の親方率いる街の男たちも続いてフックのついたロープを使って、冒険者たちに続いてデストロイヤーへと乗り込んでいく。みんなサキュバスの店のために必死すぎである。

 

「カズマさん、もしかしたら、制御装置を見つけることができれば、自爆を止められるかもしれません」

 

「ダクネスの奴、絶対そんなこと考えずに突っ込んだよな」

 

「ていうか、入れてないわよ、ダクネス。見てみなさいよあれ」

 

「え?」

 

デストロイヤーの方を見てみると、デストロイヤーへと登ろうとしているダクネスが重い鎧が災いして、むしろロープをぶちきってしまうという役立たずっぷりを見せている。

 

「・・・ダクネスの奴、何してんだ・・・?」

 

「あー・・・ありゃあれだな。鎧が重すぎてロープの負担が耐えきれないってところだろ。見たところ、地面からじゃ入れなさそうだし」

 

「役立たずじゃん!!!」

 

「かっこいいことを言った手前かっこ悪いぞ!!いや、それも台無しになったんだが」

 

全くデストロイヤーに入れてない時点でもう役に立たないただのお荷物になっているダクネス。

 

「ていうか!!あいつのせいでロープ全部切れたぞ!!?どうすんだ!!?」

 

「心配いらないわ。ティア!!」

 

「わかってる!!ダブルバインド!!」

 

ティアがダブルバインドを使い、片方を岩の方に縛り、もう片方をデストロイヤーの入り口へと続く柱に括りつけた。

 

「こうやって2本のロープを括れば・・・これで私たちも登れるよ!!」

 

「ナイスだ!!よし、行くぞお前ら!!」

 

「わかってるわ。責任者をぐちゃぐちゃに潰さないと気が済まないわ」

 

「いやいや、この分だと他の人に任せて大丈夫よ。帰ろう?帰ってまた明日がんば・・・」

 

「アクアも行くんだよ!!!」

 

「いやああああああああ!!」

 

カズマたちはめぐみんをここに置いていき、デストロイヤーの中へと侵入していく。嫌がっているアクアはティアがバインドで自身の体に巻き付けて抵抗させないようにする。

 

「マホさん!私たちも行きましょう!」

 

「わかってるよ、ウィズさん!!」

 

カズマたちに続いてウィズとマホもデストロイヤーの中へと入っていく。

 

「ま、待て!!私も・・・!!」

 

ブチッ!

 

カズマたちが侵入したのを見て、ダクネスも中に入ろうとティアのバインドロープを手にもって渡ろうとした瞬間、ロープが切れてしまった。もうダクネスはデストロイヤーの中には侵入できないのだ。

 

「くそう!!なぜだ・・・みんなばっかりずるいぞ!!私にも中に入らせろぉ!!!」

 

入れないダクネスは放っておいて、デストロイヤーでは現在、冒険者たちが戦闘用のゴーレムと戦闘を繰り広げている。そのゴーレムはカズマたちにも襲い掛かってくる。

 

「ん、おいでなすったわね!」

 

「わああああああ!!だから嫌って言ったのにいいいいい!!」

 

「アクアうるさい!!ここまで来たら腹くくって!!」

 

襲い掛かってくるゴーレムをアカメは短剣スキルで1体ずつながらも一撃で薙ぎ払っていく。

 

「おお!どのゴーレムも一撃で!」

 

「お前やるじゃねぇか!シーフは攻撃力低いはずだろ?どうなってんだ?」

 

「簡単よ。私は攻撃スキルにしかポイントを振ってないからよ」

 

「んだそりゃ⁉けど今はそれが結構役立ってるぜ!」

 

「そっちに行ったぞーーー!!」

 

戦闘用ゴーレムを対処していると、奥の方から他のより大きいゴーレムが現れる。

 

「こいつは戦闘用でも結構でかいぞ!」

 

「関係ないわ。切り刻んであげる」

 

大型戦闘用ゴーレムの登場に、なぜかカズマは得意げな顔をしている。

 

「おいお前ら、いいものを見せてやる。スキルの有用な使い方ってやつをな」

 

「え?ちょっ・・・カズマ待っ・・・」

 

「スティーーール!!!」

 

カズマは戦闘用ゴーレムに向かってスティールを放った。そうしたらゴーレムの頭はカズマの手元に収まっている。これによってゴーレムは頭がなくなり、ピクリとも動かなくなった。そして・・・

 

ズシンッ!

 

「ぎゃああああああああ!!俺の手がーーーーーー!!!」

 

「何やってんの!!?」

 

「あんたバカでしょ」

 

ゴーレムの頭の重さが重力に従い、カズマの手を巻き込ませて地に落ちる。これには当然カズマは悶絶している。

 

「大丈夫ですかカズマさん!!?重いものを持ってるモンスターにはスティールを使ってはいけませんよ!!」

 

「ほら、今どけてやるから・・・しっかりしてくれよな?」

 

「一応ヒールかけてあげるけど・・・あんまり調子に乗ってバカなことしないでね?」

 

「アクアに言われるとか屈辱すぎる!!」

 

ウィズとマホが力を合わせてゴーレムの頭をどけて、カズマの手を助ける。そしてアクアがヒールをかけて手を治してもらうが、アクアの言われたことが屈辱でいっぱいになるカズマ。

 

「開いたぞーーー!!!」

 

そうしている間にもデストロイヤーの数々のフロアが冒険者たちの手によって開かれ、戦闘用ゴーレムも蹂躙されていく。普段はまとまりがないのに、一致団結すると頼もしいものはない。カズマたちは冒険者たちの後に続いて先を進んでいく。

 

「お、カズマ、いいところに来たな。見てみろ、あれを・・・」

 

とある部屋にたどり着いたカズマたち。そこには多くの冒険者たちが集まっていた。テイラーに言われた先を見てみると、そこには白骨化した人の骨が椅子に腰を掛けている。

 

「搭乗員・・・でしょうか・・・?」

 

「だろうな・・・この骨の着ている服が物語ってるぜ・・・」

 

この白骨化した骨はどうやら元はこのデストロイヤーの搭乗員らしい。

 

「すでに成仏してるわね・・・アンデッド化どころか、未練のかけらもないくらいそれはもうスッキリと・・・」

 

「いや未練ぐらいあるだろ!!?これ、どう考えても1人寂しく死んでいったみたいな・・・」

 

「あれ?なんかあるよ?」

 

骨を探っているとティアが何かを見つけたようだ。何やら手記のようだ。ティアはすぐにその手記の埃を払ってから手記を開いてみる。

 

「あ、これ日記だね」

 

「日記?なんて書いてあるのよ?」

 

ティアが取り出した日記にはこのような内容が書かれていた。

 

『○月○日。

国のお偉いさんが無茶なことを言いだした。こんな低予算で機動兵器を造れという内容だった。無茶にもほどがある。ていうか、設計図まで渡されたんですけど。無理だと思うんだけどなー、どうしよう・・・。そう思ってた時、設計図の上に俺の大嫌いなクモが出てきた。俺は悲鳴を上げてそのクモを潰してやった。そしてやばいと思った。だって潰したクモの下は設計図だからな。これで弁償しろと言われても知るか。だいたい金ねーんだよ。もう面倒だ。このまま提出しちゃえ』

 

『○月△日。

あの設計図が予想に反して大好評だった。え?お偉いさん、それでいいの?だってそれ、クモを潰した後ですよ?なんかどんどんと話が進んでるし、その実物までもうすでに設計まで始めてるんですけど。これ、俺いらなかったんじゃね?クモを潰すなんて誰でもできるし。あ、でもなんか動力源がどうこう言われたっけな。でもそんなこと知るか。そんなもん、伝説のレア鉱石のコロナタイトでも持って来いと言ってやった』

 

『○月×日。

本当に持ってきちゃったよ・・・。どうしよう・・・他の研究員がもうコロナタイトを設置しちゃったんですけど!これで動かなかったら俺極刑とかじゃないの?やだ。俺まだ死にたくない。動いてください、お願いします!!』

 

『○月□日。

終わった・・・。起動実験前の翌日、なんか動いていると思ったら、現状把握。現在、ただいま、暴走中。まさかコロナタイトに煙草の灰を入れただけでこんなことになるなんて・・・これ絶対俺指名手配犯になってるよ・・・。ちくしょう・・・俺の人生ここでおしまいかぁ・・・。デストロイヤーで開発者潰されねぇかなぁ・・・』

 

『○月※日。

あ、国滅んだやべぇ!!滅んじゃったよ、やべぇ!!!国のお偉いさんや国民は逃げたみたいだけど・・・どうでもいいか!だって今俺、めちゃくちゃ気分いいし!スカッとしたし、満足!よし、決めた!もうここで余生を暮らすとしよう!だって降りられないしなwもう止められないしなwこれ造った奴、絶対バカだろ!!・・・おっと、これ造った責任者、俺でしたwww』

 

『・・・・・・』

 

全く反省の色が見えない責任者の日記内容にこの場の全員が冷めた顔つきになっている。

 

「・・・お、終わり・・・」

 

『なめんなぁ!!!!』

 

そしてこの場の全員がそうハモったのであった。

 

 

ーこ・の・す・ばぁ!!!ー

 

 

その後はカズマたちは先に進んで、動力源のある部屋を見つけた。動力源にはデストロイヤーが動く源となっている鉱石、コロナタイトが赤く輝いている。

 

「こいつがコロナタイトってやつか・・・」

 

「ダストたちは先に逃がしたけど・・・どうすんだこれ?」

 

「暴走してますね・・・」

 

「とりあえずこの鉄格子をどうにかすべきじゃない?」

 

「なら、とっとと鉄格子を切り刻んでやるわ」

 

暴走しているコロナタイトをどうにかしようと、アカメが鉄格子をマジックダガーで裂こうとした時、カズマが制止する。

 

「まぁ待てよ。こうすれば取ることはできるだろ?スティ―――ル!!」

 

カズマがスティールを発動すると、鉄格子の奥にはコロナタイトはなく、カズマの手元には、コロナタイトがあった。・・・燃え続けている状態の。

 

じゅうううううう・・・

 

「ぎゃーーーーーー!!!熱いーーーーー!!!手がーーーーーーー!!!」

 

「またかお前!!!」

 

「燃えてるコロナタイトをスティールしたらそうなるよ!」

 

「あんたやっぱバカでしょ」

 

「フリーズ!フリーズ!」

 

「ヒール!ヒール!」

 

やけどを負ったカズマの手をウィズがフリーズを、アクアがヒールをかけて治す。カズマの足元にはその燃え続けているコロナタイトがある。

 

「やべぇな・・・そろそろ爆発しちまうな・・・。早くどうにかしねぇと・・・」

 

「アクア、これどうにかならないか?よくあるだろ?女神が悪しき力を封印するとかどうとか・・・」

 

「何その身勝手な妄想?それはゲームの話でしょ?どうにもならないわよ」

 

カズマはアクアにどうにかならないかと尋ねても、アクアではどうにもならないようだ。

 

「ねぇウィズ、マホ・・・どうにかならないの?」

 

「・・・1つだけ方法があるな。テレポートさえ使えればこいつをどうにかできる。ただ・・・オレもウィズさんも爆裂魔法で魔力切れだ。今じゃ初級魔法しか使えねぇよ」

 

2人とも魔力切れで転移魔法、テレポートを使うことができないらしい。

 

「・・・あの、カズマさん・・・お願いが・・・」

 

「な、なんでしょう・・・」

 

そこでウィズはカズマの頬に触れる。その親指はカズマの唇まで迫っている。

 

「・・・吸わせて・・・もらえませんか・・・?」

 

「喜んで」

 

何をとは言わない。カズマはここで動揺したり、すっとぼけるような鈍感系ではない。

 

「ありがとうございます!!」

 

「こちらこそ」

 

「では・・・まいります・・・」

 

ウィズは自身の顔を徐々にカズマの顔まで近づいていく。

 

「お父さん・・・お母さん・・・俺・・・異世界で大人にあああああああああああああ!!??」

 

「すいません!ドレインタッチ!!」

 

カズマは鈍感系ではないが勘違い系ではある。ウィズのドレインタッチによってカズマは魔力と体力を吸われていく。

 

「ちょ、ちょちょ・・・ウィズさん!!もうそれ以上はやめとけ!!それ以上やったらカズマが干物になって死んじまう!!」

 

「はっ!す、すみません!!」

 

「何という期待外れ・・・」

 

「こんな時に何を期待してたの?」

 

「この変態」

 

干物になりかけているところをマホが止めに入る。勘違いをしたカズマにたいして双子は軽蔑な視線を向ける。

 

「これでテレポートの魔法が使えます!でも問題が・・・転移先を選ぶのに、制限がありまして・・・」

 

「確かに・・・オレもウィズさんも転移先が複数の街と王都しかねぇんだよなぁ・・・」

 

「ダメじゃんそれ!!」

 

何のためにカズマがドレインタッチをされたのかわからないくらいに場所が制限されているため、使えなくなる。するとコロナタイトは白く輝きだした。

 

「やばいわよ・・・。赤を通り越して白く輝きだしたわよ。何とかならないのかしら?」

 

「・・・ランダムテレポートなら・・・すぐに飛ばせるのですが・・・」

 

「じゃあそれで!!」

 

「いや待て!ランダムテレポートは本当にどこに飛ばされるかわからんぞ!!?下手をしたら、人が集まってる場所に送られるかもしれんぞ!」

 

「構わないわ、やっちゃいなさい!」

 

どこに飛ばされるかわからんというランダムテレポートの使用にアカメはすぐに使うように指示する。

 

「世の中は本当に砂漠以上に広いわ。それは私が保証する。そんな簡単に人が集まるとこに飛ばされたりしないわ。安心なさい、私はカズマ並みに運がいいのよ。全責任は、私が取るわ」

 

「お姉ちゃん・・・かっこつけすぎだよ。どうせ責任を取るなら、私も一緒だよ」

 

「ティア?」

 

ランダムテレポートの使用責任をアカメが取ろうとした時、ティアもその責任を受け持つと言い出した。

 

「私たちは双子だよ?どんな時だって、いつも一緒じゃん。今までも、そして、これからも。行くときは、一緒だよ。大丈夫・・・私とお姉ちゃんの運が合わされば、カズマ以上の運だし・・・2人合わされば・・・幸運だって生まれるよ」

 

「・・・全く・・・あんたって子は・・・」

 

ティアの言葉に負けたと言わんばかりにアカメはティアに笑みを浮かべ、ティアもまた、微笑を見せている。

 

「・・・そういうわけよ。全責任は私たち双子が取るわ」

 

「だから・・・やっちゃって、ウィズ」

 

2人の迷いのない笑みを見て、ウィズは少し呆気にとられたが、すぐにその顔は微笑みに変わった。

 

「・・・わかりました。お2人とも、お願いします」

 

ウィズは2人の意志をくみ取り、ランダムテレポートの発動を決めた。

 

「行きます!!ランダムテレポート!!」

 

ウィズのランダムテレポートが発動し、コロナタイトはこの場から姿を消し、どこかへと飛ばされていった。

 

 

ーこのすばー

 

 

コロナタイトがテレポートしたのを確認したカズマたちはデストロイヤーから出てきた。外ではダクネスが仁王立ちで待っていた。

 

「おーい、ダクネスー、無事に終わったぞ。はぁー・・・人生最大で1番疲れたぜ。早く屋敷に帰ってご飯でも・・・」

 

「いや、まだだ。私の強敵をかぎつける嗅覚がまだ香ばしい危険な香りを嗅ぎ取っている。まだ終わっていないぞ」

 

「はあ?」

 

ダクネスがまだ終わっていないと発言したその時、デストロイヤーは急に振動音と共に震えだした。危険を感じ取ったのか他の冒険者もデストロイヤーから距離を取る。

 

「おいおいどうなってんだ!!?コロナタイトは取り除いたはずだろうが!!」

 

「こいつは・・・内部に溜まった熱を吹き出してやがる!!このままじゃデストロイヤーが爆発して、街が火の海になるぞ!!」

 

「コロナタイト飛ばした意味ないじゃん!!!」

 

「私たちの責任返しなさいよこの!!!」

 

どうやらダクネスが言った危険な香りとはこのことを指していたようだ。このままでは街は危険なままだ。

 

「もう1度エクスプロージョンを使ってその爆発でデストロイヤーの爆発を相殺させるんだ!!」

 

「すみません・・・私もマホさんも魔力が足りません・・・」

 

「魔力か・・・」

 

もう1度エクスプロージョンを使えればどうにかなるだろうが、肝心の2人は魔力が足りていない。そこでカズマはまたここで閃いた。

 

「よく考えたら借金はこの街のギルドが立て替えてるんだし、ここでぽんってなっちゃえば・・・」

 

「おいクソ女神、そんなことをしたらてめぇの借金を何億倍に増やしてやるからな」

 

「あああああああああああ!!!マホがいるからどうやっても借金地獄から逃げられないいいいいいいいいいいい!!!!」

 

アクアがバカなことを言っている間にカズマはアクアに近づく。

 

「おい自称なんとか」

 

「カズマ助けて!!このままじゃ私の人生はぱああああああああ!!?」

 

カズマはアクアの手を繋ぎ、そのままドレインタッチを使いアクアの魔力を吸い取る。

 

「ヒキニートこの非常事態に何すんのよ!!?」

 

「非常事態だからだよ!!今からお前の魔力をウィズかマホに分けて爆裂魔法を使う!」

 

「待って!私の神聖な魔力を大量注入したらこの子絶対消えちゃうわよ!!?」

 

「ならマホにでも・・・」

 

「冗談じゃねぇ!!この非常事態でもオレはごめんだ!!このクソ女神の魔力をもらうくらいならいっそここで死んじまった方がマシだ!!言っとくが本気だからな!!!」

 

「なぁんでよおおおおおおおおお!!?」

 

「おう・・・なんてこった・・・そこまで嫌うか・・・」

 

ウィズだと消滅の可能性あり、マホがアクアの魔力を分けたら本気で死ぬ発言でもう消去法として残されたのは・・・

 

「真打ち登場」

 

カズマたちの前に現れたのは、荒くれ者に背負われているめぐみんであった。

 

「先ほどは後れを取りましたが・・・あれはそう・・・ほんの少し調子が悪かっただけです!私が真の爆裂魔法を見せてあげましょう!!」

 

全ての希望は、めぐみんに託されたのであった。

 

 

ーふっはっは!

 このすば!ー

 

カズマはもう危険が迫っているデストロイヤーの前に立ち、めぐみんが爆裂魔法が撃てる準備を行う。

 

「よし、やるぞ!」

 

「いつでもいいですよ」

 

「チャンスは1度きり・・・お前の輝きに賭けるぜ!」

 

ダクネスたちは爆裂魔法に離れないように荒くれ者と一緒に離れる。

 

「ねぇ、わかってる?吸いすぎないでね?吸いすぎないでね?」

 

「わかってるわかってる。宴会芸の神様の前振りなんだろ?」

 

「ちっがうわよ!!芸人みたいなノリで言ってんじゃないわよ!!」

 

「はいはい」

 

「おい何でもいいから早くしろ!!このままじゃやべぇぞ!!」

 

「ドレインタッチは皮膚が薄く心臓に近い部分から吸うのが効率がいいですよ」

 

ウィズからドレインタッチのアドバイスを受け、すぐに行動を開始するカズマ。

 

「ふっふっふ・・・日に2回も爆裂魔法が撃てるなんてうはあああああああああ!!??」

 

カズマはめぐみんの背中に触れ、ドレインタッチをしようとするがその前にめぐみんが飛び跳ねてこれを失敗。

 

「いきなり何をするのですか!!?心臓止まるかと思いましたよ!!なんですか!!?セクハラですか!!?この非常事態にセクハラですか!!?」

 

「待ったそうじゃない!!効率を考えてのドレインタッチだ・・・あ、ちょ、お前まで逃げようとすんな!!」

 

「いやあああああああ!!」

 

「前に手を突っ込まないだけありがたいと思え!!」

 

「いいから早くしろ!!ぶっ殺すぞてめぇら!!」

 

じゃれ合っているカズマとアクアにマホがキレて2人を早くドレインタッチをするように急かす。

 

 

ーこのすばぁ!!(ゲス声)ー

 

 

ドレインタッチはとりあえずは妥協案として首元にすることになった。カズマはアクアから魔力を吸い取り、めぐみんの首元に魔力を送り届ける。

 

「おお・・・来てます来てます・・・これは・・・過去最大級の爆裂魔法が放てそうです・・・」

 

「ねぇ、めぐみん・・・まだかしら?もう結構な量を吸われてると思うんですけど・・・」

 

「もうちょい・・・もうちょいいけます・・・あ・・・やばいかも・・・やばいです・・・」

 

随分と気持ちよさそうにしているめぐみんの魔力が満タンになり、めぐみんは再度爆裂魔法を今度はデストロイヤー本体に狙いを定める。

 

「光に覆われし漆黒よ・・・夜より纏いし爆炎よ・・・他はともかく、爆裂魔法のことに関しては私は誰にも負けたくないのです!!」

 

今までにかつてないほどの魔力量がデストロイヤーの周りを覆い囲んでいる。

 

「行きます!!我が究極の破壊魔法・・・エクスプロージョン!!!!!!!

 

ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!

 

かつてないほどの爆裂魔法の大爆発はデストロイヤーを覆いかぶさった。この大爆破によって・・・長きにわたる災厄とされるデストロイヤーは・・・その終焉を迎えたのであった。

 

 

ーこのすば!ー

 

 

デストロイヤーが討伐された翌日の夜・・・場所は変わり、砂漠の砂に覆われているウェーブ盗賊団のアジト。その建物にある会議室・・・そこでは、団長であるネクサスと秘書である女性2人、そして、幹部である各街にある支部の支部長が集まって盗賊団会議が行われている。

 

「では、これにて、盗賊団会議を終了する。長引かせてすまなかったな。全員街に戻ったらゆっくり休んでくれ。それでは、解散!」

 

ネクサスの解散宣言に支部長たちはネクサスに一礼をして、会議室を退室していく。3日間かけて行われた会議も終わり、ネクサスは一段落する。

 

「ふぅ・・・」

 

ネクサスが椅子にもたれかかっていると・・・

 

「大変だぁ!!リーダー!!大変なんだよ!!」

 

アクセルの街から戻ってきたスティーヴが会議室に駆けこんできた。その様子は何やら慌てているようだ。

 

「騒がしいですよ、スティーヴ!ネクサス様の前ですよ!」

 

「まぁ、待て、カテジナ。ただ事じゃなさそうだな。どうした、スティーヴ」

 

スティーヴの様子からネクサスはデストロイヤー関連なのではと想像する。

 

「アカメとティアが・・・検察官に捕まっちまったぁ!!!」

 

「はあ!!??」

 

だがその予想とは違い、それよりももっと大事・・・双子が・・・盗賊団の仲間が捕まってしまった。その報告にネクサスは心の奥底から驚いたのであった。




次回、この噓つき娘に嘘発見器を!
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