よいお年を!
この噓つき娘に嘘発見器を!
砂漠のウェーブ盗賊団のアジトの会議室・・・そこでスティーヴから双子が検察官に捕まったという報告を聞いて、ネクサスはあまりに渋い顔をしている。
「・・・すまん。俺の聞き間違いか?もう1度言ってみてくれ」
「だからさぁ・・・双子が検察官に捕まったんだって!嘘じゃねぇよ!」
「よりにもよって検察官にとは・・・」
聞き間違いでないことがわかってネクサスは非常に頭が痛そうな表情になっている。
「嘘・・・アーちゃんとティーちゃんが・・・捕まった・・・?」
「捕まった・・・とは、穏やかではないですね・・・」
双子が捕まって驚いているのは何もネクサスだけではない。ネクサスの秘書である橙色の髪の少女、バーバラも、同じく金髪のスーツ姿の女性、カテジナも同じ気持ちだ。
「ふぅー・・・スティーヴ、どういうことか詳しい説明を頼めるか?」
「お、おう・・・。あれは俺とアクセル支部の連中と一緒にデストロイヤー討伐の報酬を受け取ろうとギルドへ行った時のことだ・・・」
スティーヴはなぜ双子が捕まってしまったのかを、その経緯をネクサスに報告した。
ー・・・このすば・・・ー
機動要塞デストロイヤーが討伐されてから数日、カズマたちパーティはデストロイヤー討伐の報酬を受け取りに冒険者ギルドまでやってきた。
「みんな・・・改めて礼を言う。よくこの街を守ってくれた・・・。どうも・・・ありがとう・・・。いつかお前たちには・・・私の隠してることを話そうと思う。なぜ私が、この街を守りたいのかというのを・・・」
そんな中でダクネスはカズマたちに改まって頭を下げ、街を守ってくれた感謝を述べている。ダクネスの秘密はアカメだけは知っているせいか、妙にくすくす笑っている。
「・・・あんた、あの時は妙にかっこよかったわね。1番誇らしいともいえる姿だったわ」
「そ・・・そうか・・・。なんだ・・・お前らしくないな・・・」
「どうしたのお姉ちゃん?本当にらしくない・・・」
アカメに褒められたダクネスはアカメらしくないと思ったが、少し嬉しそうだ。その証拠に少し照れ臭そうに顔をそっぽを向いている。らしくないと思ったのはティアも同じだった。
「・・・まぁ、あんた1番何もしてなかったけど」
「!!??」
そしてここで1番の爆弾発言をアカメは言い放つ。ダクネスはビクリと肩を震わせた。
「そういえばダクネスは今回街の前に立ってただけねー。私はがんばったわよ?結界破ったし、カズマの傷も治したし!あと、めぐみんに魔力を分け与えたし!」
「ティアはあんたが潰してくれた侵入経路を見事に作ってくれたわ」
「お姉ちゃんだって道中に現れた戦闘用ゴーレムをこれでもかっていうくらいの数を蹴散らしてたしね」
「それだけじゃなくて、コロナタイトを飛ばした時、率先して責任を負ってくれたしな、お前らは」
「私はもちろん、日に2回も爆裂魔法を撃って大活躍でしたしね。しかも、二発目はデストロイヤーを粉砕してやりましたよ!」
続けてそれなりに活躍したメンバーたちがそう口にし、またダクネスの肩が跳ね上がった。
「カズマさんこそ大活躍だったじゃないですか。見事な指揮を執ってそれでいて、ちょっと失敗はしましたが、結果として大物ゴーレムを倒し、コロナタイトを鉄格子を取り出し、そして私に魔力を供給してくれて・・・」
「いやいや、今回のMVPはウィズさんだろ?爆裂魔法をはじめ、やけどしたカズマの手を冷やしたり、爆発しそうになったコロナタイトをテレポートしたんだぜ?文句なしだろ」
「マホだって、爆裂魔法で脚4本まとめて潰したし、魔法の知識を率先して俺たちに教えてくれたしな。おかげで助かったよ」
いつの間にかカズマたちと一緒にいるウィズとマホの活躍にダクネスはもうプルプルと涙ぐんでおり、顔を両手で覆っている。
「・・・で?街を守ると駄々こねただけでなく、侵入経路を潰してくれたあんたの活躍は何?」
「こ・・・こんな・・・!こんな新感覚は・・・!うわああああああああ!!」
「やっぱお姉ちゃんはお姉ちゃんだったよ・・・」
アカメがダクネスをからかっていると、ギルドのどんちゃん騒ぎは急にぴたりと止まった。何事かと思い、双子がその原因を見る。
「ん?なんか静か・・・げっ!」
「どうしたの・・・げっ・・・」
双子がその原因を見た瞬間、顔を青ざめている。そしてすぐさま、人ごみの中に隠れていく。
「ん?おい、お前らどうし・・・なんだ?」
カズマたちも静まった原因を見た。静まった原因となっているのは、騎士2人を従えている黒髪でメガネをかけたいかにも凛々しい女性だった。女性はカズマたちの前までやってくる。
「冒険者、サトウカズマさんですね?」
「あ、はい、そうですが・・・」
女性はカズマに向かって、私情は挟まず、本題を持ちかけてきた。
「あなた方のパーティに、アカメとティアという双子のシーフがいるはずです。彼女らはどこですか?」
「え?あいつらなら・・・」
『ここにいますけど』
「「おいこらぁ!!!」」
アカメとティアの居所を尋ねられ、全冒険者はアカメとティアの居場所を丁寧に教えた。それには双子はなぜか怒りだした。それもそのはずだ。この女性は、双子にとって・・・いや、盗賊団にとって天敵ともいえる存在なのだから見つかるとまずいからである。女性は双子を目の仇のようにして睨みつけた。
「アカメとティアだな!貴様ら2人には現在、国家転覆罪の容疑がかけられている!自分と共に来てもらおうか!!」
「「こっ・・・!!?」」
女性から国家転覆罪の容疑をかけられていると言われた双子は本当にぎょっと驚愕している。
「あ、あのー・・・あんたは誰なんだ?国家転覆罪って?なんで俺の仲間を?」
話についていけてないカズマは女性にそう尋ねた。
「申し遅れた。自分は王国検察官のセナ。国家転覆罪とはその名の通り、国家を揺るがす犯罪をしでかした者が問われる罪だ。そこの2人には、現在、テロリストもしくは魔王軍の手先の者ではないかと疑いがかけられている」
王国検察官の女性、セナが淡々とカズマの問いに答える。カズマはその問いかけにぎょっとなり、双子に視線を向ける。双子は冷や汗がだらだらと流れている。
「ちょっと2人とも!あなたたちいったい何をやらかしたの!!?私が見てないところでどんな犯罪をやらかしたの!!?ほら、謝って!!私も一緒にごめんなさいしてあげるから謝って!!」
アクアは双子の無理やり頭を下げさせながらセナに謝罪するように言っている。
「おいおい待て待て!確かにこいつらは問題を起こすかもしれないけども!!それでも双子は犯罪を犯すような真似をするわけないのはお前も知ってるだろ!!」
「そうですよ。何かの間違いなのではないですか?この2人は先日よなよなどこかへ出かけていたのは知っていますが、国家転覆罪に問われるほどの罪はしてないはずです!」
「ちょっとめぐみん、それ犯罪してる前提で話をしてない?」
「あんた、私たちを庇うのか庇わないのかどっちなのよ」
カズマとめぐみんは双子は何もやっていないと主張する。めぐみんの場合、庇っているとは言えないような発言をしているが。
「ダクネスからも言ってやれ!あいつらは何もやってないって!!」
「あ・・・ああ・・・。そうだな・・・」
ダクネスはアカメの口からウェーブ盗賊団の1人だと聞かされているため、若干戸惑い気味だ。義賊として世のための盗みを行っているが、政府側はそうは思ってはいない。下手をすれば、本当に国家転覆罪になりかねないとわかっているため当然の反応だ。それでも仲間のために、ダクネスは双子を弁護する。
「その2人は無罪だ。いかにティアが自身の身の保身のために仲間を犠牲にしたり、アカメが誰かを陥れようとしたりするが、そんな大それた犯罪ができるとは思えん」
「ちょっ・・・誤解を招くような言い方はやめてよ!!」
「あんたの場合事実でしょうが!このドクズ犯罪者の妹!!」
「何をぅ!!?お姉ちゃんだって事実を言われてんじゃん!!この鬼畜の犯罪者の姉!!」
「なんですってこの・・・!!」
「ええい!!お前ら!!こんな時に限って喧嘩すんな!!どっちも事実だから否定できねぇだろ!!」
ダクネスの弁護に関してですぐに喧嘩を始める双子。こんな非常時でも喧嘩をする双子を止めるカズマ。
「それで・・・セナさん?なんでこいつらが国家転覆罪に?」
本題をカズマが振ったところ、セナは双子が国家転覆罪になった理由を話す。
「そこの2人の指示で転送された機動要塞デストロイヤーの核であるコロナタイト。それがこの地を治める領主様、アレクセイ・バーネス・アルダープ様の王都にある別荘の屋敷に爆破したのだ」
「「んなぁ!!?」」
まさかの盗賊団の標的となっていたアルダープ。その男の別荘の屋敷を爆破させたと聞いて双子は驚愕している。例え標的であっても殺してはならない。それが盗賊団の鉄より硬い鋼の掟であるのだから双子には焦りが生じる。
「ま・・・まさか・・・私たちが領主をこ、こ、殺・・・?」
「そうか・・・そうなのね・・・じゃあそうなっても仕方な・・・」
「死んでいないし、勝手に殺すな!!幸いにも使用人もアルダープ様も外に外出していたために怪我をしていない。別荘は吹っ飛んでしまったがな」
幸いにもアルダープは死んでいないため、双子は鋼の掟を破らずに済んだようだ。
「ほっ・・・殺してないなら安心・・・かな」
「何が安心よ!!?あんた状況わかってんの!!?別荘とはいえ、屋敷を吹っ飛ばしただけでも十分に罪に問われるわよ普通!!」
ティアは安心しているが、アカメは状況が理解できているため、かなり焦ったままだ。
「とにかく、だ。貴様ら2人にはテロリスト、魔王軍の手先の者かと疑いがかけられている。詳しい話は署で聞こう。自分と共に来てもらおう」
双子がセナたち検察官側に連れていかれそうになった時、めぐみんを含めた冒険者全員が双子を庇う。
「ふっ・・・何を言い出すのかと思えば・・・。確かにデストロイヤーの石を飛ばした指示を出したのはその2人ですが、緊急の措置で仕方なくやったことです。あの機転がなければコロナタイトの爆発で死者だって出てたかもしれません。感謝こそされど、非難される謂れはありません」
「そうだ!双子は冒険者であっても犯罪者なんかじゃねぇ!!」
「国家権力の横暴だ!!」
「冒険者は自由なんだよ!!」
全冒険者たちはセナに異議を申し立てているが、セナは動じることなく、淡々と述べる。
「国家転覆罪は主犯以外の者たちにも適用される場合がある。この2人と共に牢獄に入るのなら、止めはしない」
そう言われた瞬間、全冒険者たちは静まり返った。長い沈黙を破ったのはアクアの言葉だった。
「そういえば、2人は全責任は自分たちがとるって。2人揃えばカズマ以上の幸運だって!」
「はっ!!?まさか!!私たちを売るつもりなの!!?」
「おいクソアクアふざけんじゃんないわよ!!あんたぶっ殺されたいの!!?」
さっきまで庇っていたのにあっさりと仲間を引き渡そうとするアクアに双子は忌々し気にそう叫んだ。
「も・・・もし!!私がその場にいればきっと2人を止められたはずなのに!!しかし、その場にいなかったものは仕方ありません!ええ・・・仕方ありませんねえ・・・」
「めぐみーーーん!!?」
「あんたもふざけんな!!!クソ!!クソ!!あんたらマジでただで済むとは思わないでちょうだい!!!」
めぐみんも自分たちを売るような発言にティアは頭を抱え、アカメは2人を呪うような発言をしている。他の冒険者たちは知らんぷりする素振りをする。これだけで双子はここの冒険者たちは使えないと判断する。
「待て・・・そうだ!主犯は私だ!!私が指示した!!だからその牢獄プレイを・・・ではない!!激しい攻めを負わせるがいい!!」
明らかに自分の欲を優先はさせてはいるが、ダクネスだけは双子を庇ってくれている。が・・・
「はい?あなたはデストロイヤー戦では何の役にも立たなかったそうじゃないですか」
「!!??」
「ああ!!ダクネスがショックを受けてる!!」
「やめたげなさいよ!!この子は自分の欲には正直なだけよ!!それはあまりにもかわいそうだわ!!」
セナの発言で再びダクネスはショックを受ける。
「そ、そうだ・・・カズマ・・・カズマは・・・?」
「・・・いない・・・あいつ逃げたわね!!!あの鬼畜のクソ野郎のゲスマ!!!!」
辺りを見回してみるとカズマはどこにもいなく、潜伏スキルで逃げ出したのだというのは容易に想像ができる。
(おい!!誰が鬼畜のクソ野郎のゲスマだ!!)
だがカズマは潜伏スキルで隠れてるだけであってこの場から去ったわけではない。
「あ、あの・・・テレポートを使ったのは私であって・・・2人が捕まるのなら私も・・・」
「ダメだウィズさん!あんたまで牢屋に入っちまったらあんたがリッチーであることがバレちまうぞ!」
「で、ですが・・・あまりにあんまりでは・・・」
「それに、あいつらはあんたに世話になったって聞かされたぞ!あんたまで牢屋に入ることは、2人は望まないだろ!」
「ですが・・・」
「わかってる!耐えろ・・・今は耐えてくれウィズさん!」
ウィズはテレポートを使ったのは自分だと名乗ろうとした時、マホが止めに入る。マホは悔しそうに今の状況を耐えている。
「「・・・・・・」」
もう味方が誰にもいない状況に双子は冷や汗をかき始め、そして・・・
「・・・せい!!」
ドゴッ!
「ぐは!!?」
ティアは実の姉であるアカメを蹴り上げ、騎士の前まで転ばせる。そしてそのまま検察官から逃げるようにギルドから出ようとする。
「!!ティアの逃亡を確認!!直ちに捕まえよ!!」
1人の騎士はティアを追いかけていき、もう1人の騎士はティアによって転んだアカメに手錠をかける。
「くっそあの腹黒クソ妹!!!!覚えてなさいよコラぁ!!!!」
「大人しくしろ!!!」
暴れるアカメに騎士は取り押さえる。アカメが下を見た時、ある文字が書かれているのが気づいた。
『必ず助けてやる』
この文字を書いたのは潜伏スキルで隠れているカズマであった。それを見た瞬間、アカメはカズマを信じることに決めた。
「たく・・・わーったわよ。連れていくなら連れていきなさい」
「確保ぉーーー!!!」
「いやあああああああ!!!離してえええええええええ!!!」
アカメが観念している間にも、ティアは騎士に捕まった。双子は国家転覆罪の容疑によって、ドナドナと連行されていくのであった。
「・・・や、やべぇ・・・急いでリーダーに知らせねぇと・・・!」
一部始終を見ていたスティーヴはデストロイヤーの討伐の報酬を受け取ってからウェーブ盗賊団のアジトへと戻っていくのであった。
ー・・・このすば・・・ー
「・・・て、わけなんだよ・・・」
スティーヴの報告を聞き終えたネクサスと秘書の2人は苦い表情を浮かべている。
「盗賊団がバレたわけでなく、国家転覆罪の容疑かぁ・・・」
「しかし、取り調べであの2人が盗賊団員であるとバレるのは明らかです」
「・・・スティーヴ、お前は途中から来たと言っていたな?告訴した貴族の名前はわかるか?」
貴族の名前を尋ねられたスティーヴは迷いもなくその名を口にする。
「デブ領主だデブ領主!アレクセイ・バーネス・アルダープ!!あいつが告訴しやがったんだ!!」
「よりにもよってアルダープ・・・ですか・・・」
「確かにな・・・あのおっさんなら絶対言いそうだ・・・」
アルダープと関わりがあるのかカテジナとネクサスがさらに渋い顔つきになる。
「やべぇぞこれ!!このままじゃあいつら、殺されちまう!!冤罪で裁判にかけられて有罪になった連中みたいに!!」
「殺されるって・・・いくら何でも死刑になるほどじゃあ・・・」
「いや、それが通るんだよ。バーバラ、これを見てみろ」
いくら何でも死刑はありえないと言うバーバラにネクサスはある資料をバーバラに見せる。それを見た瞬間、バーバラはありえないといった顔つきになる。
「な、何これ!!?本当にありえないっしょ!!?」
「残念ですが全て事実です。アルダープが罪を犯した裁判では証拠があるにも関わらず無罪、一方で自分で仕掛けた裁判においては無罪になってもおかしくないにも関わらず有罪。全ての裁判において、勝利で納めているのです」
「裁判内容もひどいっちゃあひどいが・・・もっとひどいのはなぜあいつが勝利で収まるのかいまだにわかっちゃいないんだよ。ゆえに要注意人物・・・S級ランクに値するターゲットになってんだよ」
全ての裁判において勝利を納め続けるアルダープがどれだけ危険な存在かはこの説明だけでわかった。
「というよりバーバラ、あなたネクサス様の幼馴染ということは、アクセル出身でしょう?なぜこのことを知らないのですか」
「だって政治興味ないしー」
「言うと思ったわ。盗賊団になったからにはそれくらい知れよ」
「えー・・・なんでー?」
「なんでって・・・なんでだよ!!?」
バーバラの自由奔放な性格にはその場の全員が頭を抱える。
「・・・話を戻しますが、アカメとティアをこのまま見捨てるなんてことは・・・」
「もちろん、見捨てるわけがねぇ。俺たちは決して仲間を見捨てたりしねぇ。それがウェーブ盗賊団だ。あいつらは必ず助け出す。それにあの双子はあいつの・・・」
「リーダー?」
「・・・いや、何でもねぇ。前団長が仲間を見捨てないように、俺も仲間は絶対に見捨てねぇし、諦めねぇ。それが俺っていう男だろ」
アクセルの冒険者たちと違い、ウェーブ盗賊団は双子を助ける方針を固めるのだった。
「スティーヴ、よく報告してくれたな。後のことは任せろ。お前は帰って来たばかりで疲れただろう。ゆっくり休め」
「お・・・おう・・・」
いろいろ不安は抱えるが、スティーヴはネクサスを信じて、後を託して自分の部屋へと戻っていく。
「ネッ君、本当にやるの?だって死刑って言われたら死刑確定なんしょ?無理じゃね?」
「だとしてもやらなきゃいけねぇだろ・・・あいつらになんかあったら、俺はあいつに顔向けできねーだろうが・・・!!」
「しかし、いかがなさいましょう」
「双子の身分がバレたら検察官の連中もここを嗅ぎつけてくるかもしれねぇ・・・遺憾ながらこの拠点を放棄するか・・・」
ネクサスたちは双子を助けるためだけでなく、どう盗賊団を検察官から守るべきなのかも考える。
「・・・カテジナ、お前はアクセルの街へと行け。お前ならこの状況をどうにかできる。そしてお前に謝罪する。表舞台に出たくないお前が・・・」
「何を今さら。私はネクサス様に救われ、今ここにいます。今度は私がネクサス様につくす番です。ネクサス様の命令を、この私が背くはずがありません。いかなる命令も従います。それが今ここで服を脱げと言うならば、私は喜んでこの衣服をネクサス様に捧げましょう。さあ!!ネクサス様、この忠実なるメス豚めにご命令を!!」
「お、おう・・・そこまで望んじゃいないが・・・頼りにしてる・・・」
ネクサスに対する忠誠心で気が狂っている状態の秘書であるカテジナにネクサスは頼りにしながらもこの性癖にたいしては引いている。
「バーバラ、お前は新しい拠点となる土地を探してくれ。なんだったらお前の属してる宗教の手も借りてもいい。お前ならできるだろう?」
「成功の暁にはエリス教からアクシズ教に入信してくれる?」
「アホ、それとこれとは話が別だ。いいからやれ、団長命令だ」
「ちぇ、せっかくネッ君を邪神エリスから解き放てると思ったのにな」
「はあ・・・仕事はできるのになぁ・・・これでアクシズ教徒じゃなければ・・・まぁいいが・・・」
ネクサスは秘書であり、幼馴染であるバーバラにたいしてなぜアクシズ教徒に入ったんだと頭が痛くなりつつも放送機種を使い、本部の全盗賊団員に通達をする。
「全盗賊団員に告げる。この地が検察官に割り出される可能性がある。明日にでも荷物をまとめ、アヌビスにある冒険者ギルド、すなわち仮拠点へと移動せよ。遺憾ながらこのアジトを・・・放棄する」
ーこのすば!ー
ガシャンッ!!
場所は変わり、アクセルの街の夜、街の中央にそびえ立つ警察署。双子がここの牢屋に連れてこられ、牢屋に入れられてしまった。
「こんのクソ妹!!!!!よくも私を蹴飛ばしてくれたわね!!!!!おかげで真っ先に捕まったじゃない!!!!!」
「何さ!!!!結局のところ私まで捕まったんだから文句言わないでよ!!!!」
「文句言うに決まってるでしょうが!!!!実の姉を売ってまで逃げ延びようとか最低かあんたは!!!!!」
「姉妹とか関係ないし!!!!あんな状況になったら自分だけ助かろうと考えるのが普通だし!!!!」
「あんた行くときは2人一緒とか言ってたでしょうが!!!!思いっきり言ってることとやってることが違うじゃない!!!!」
「そんなこと言ってないよ!!!!お姉ちゃんの幻聴でしょ!!!!」
牢屋に入った双子は真っ先に取っ組み合いの喧嘩をしており、何とも醜い光景が広がっている。
「おい!!うるさいぞ!!静かにしろ!!」
これには騎士がやってきて双子を叱る。叱られた双子はそれで一応は落ち着きを取り戻す。
「はぁ・・・まさかこんなことになるなんて・・・」
「嘆いたってしょうがないわ。確か、明日には取り調べをするって言っていたわよね。何とか乗り切って、裁判の開催を防ぐしかないわ」
「でも何とかするって言ったって・・・お姉ちゃん、ちゃんと・・・」
双子が話をしていると、遠くから複数の足音が聞こえてきた。
「いてててて!おうコラ、抵抗しねぇつってんだろ!もうちょっと丁寧に扱えや!」
「黙れチンピラ!とっとと歩け!」
どうやら別の犯罪者がこの警察署に連行されてきたようだ。
「え?ちょっと待って・・・牢屋って・・・ここ1個しかないんだけど・・・」
「はあ?冗談じゃないわよ。どこの馬の骨とも知らない奴と過ごせっていうの?」
双子が文句を言っている間にも、騎士がその犯罪者を双子がいる牢屋に入れる。しかもその犯罪者は双子には見覚えがあった。
「とっとと入れ!まったく、貴様は何度ここに来る気だ。牢屋はお前の部屋ではないのだぞ?今日は先客がいるが、喧嘩するなよ」
「へいへい、わかってるわかってる。それじゃお邪魔するぜ・・・て、お前ら、カズマんとこの双子の姉妹じゃねーか」
その正体はこの街でチンピラ冒険者として悪評が強いダストであった。
「あなたは確か、最近カズマと仲良くやってる・・・」
「そうそう、俺だよ俺」
「名前は確か・・・【ピーッ】カスだったかしら?」
「ダストだよ!!前に一時的にパーティ一緒だったろうが!!名前覚えろや!!」
あんまりな扱いにダストは思わず憤慨する。
「こんなとこで奇遇じゃねーか!なんだよ、お前ら何やらかしたんだ?」
「見ての通り、テロリスト扱いされて・・・こっちは散々な目にあってるわ」
「デストロイヤーの核のコロナタイトを転送指示を出したんだよ。で、送られた先が領主の別荘の屋敷でチリ1つ残さず吹っ飛んだんだってさ」
双子の説明を聞いて、ダストは清々しそうに笑っている。
「ぷっ!うひゃひゃひゃひゃひゃ!やるじゃねーか!そーかそーか、あのクソ領主はマジでクソみたいな奴だからな!よくやった!クソ領主ざまーみろ!」
「何笑ってんのよ。こっちは狙ってやったわけじゃないっつーの。それを笑い飛ばして・・・ぶっ殺すわよ」
「ていうかダストは何をしてここに入れられたのさ?聞いた感じ、なんか常連みたいな感じだったけど」
「俺か?いやさ、デストロイヤー撃破の賞金が配られるって聞いたから散々ツケで飲み食いしてたんだけどよ。さぞかし大金が入ってくるだろうと借金でギャンブルもやったさ。そしたら思ったより賞金が少なくて返済に足りなくてよ。金もないから馬小屋で寝るしかねーんだがこの寒い季節に馬小屋とか凍え死ぬだろ?だったら飯も出るし、凍え死ぬこともないここに泊めてもらおうと思ってな。ちょっと無銭飲食してきたんだよ。ここにいれば借金の取り立ても来ないだろ?」
「「カズマよりカスね(じゃん)」」
どうやらダストは借金をこさえた上に無銭飲食を行ったらしい。捕まっても仕方がないような行為をしたダストに双子は軽蔑の目でダストを見るのであった。
ーこのすば!ー
牢屋の深夜、アカメは支給された薄い布団にかぶってぐっすり眠っている。ダストも別の薄い布団でぐーすか寝ている。
「・・・お姉ちゃん、お姉ちゃん」
すると起きていたティアがアカメを起こしてきた。それには少しアカメは不機嫌気味だ。
「・・・何よ?また睡眠妨害する気?」
「こんなところで寝てないで逃げよう?ここから脱出するの」
「はあ?」
ティアがここから脱獄すると言い出してアカメはわけわからないといった顔つきになる。
「何言ってんのよ?立場を危うくさせる気?」
「もう十分危ういでしょ?情報部が教えてくれたでしょ?アルダープは陰湿で執念深い奴だから権力の力で事実を捻じ曲げられちゃうよ」
「さすが領主様・・・相手を蹴落とすために自分勝手に権力を振りかざす・・・悪党らしくて反吐が出るわね」
「でしょ?だから今はここから逃げて遠くへ逃げるの」
ティアが脱獄計画を説得しようとしている姿勢を見てアカメは少しため息をつく。
「逃げるって言ったって・・・どうやって逃げるのよ?」
「忘れたの?私たちはシーフだよ?お姉ちゃんが無理でも、私には施錠スキルがある。鍵の解除なんてお茶の子さいさいだよ。で、その後は潜伏スキルでここを脱出するの」
「・・・・・・」
「まぁ、見てなって。鍵くらい楽勝だって」
ティアは脱獄のために鍵がかかっている錠に施錠スキルで開けようとするが、その錠を見てぴたりと止まった。アカメもその錠を見てみると、錠にはバラバラの数字が並べられている。
「・・・ダイヤル式じゃない・・・」
そう、この錠はダイヤル式でパスワードでないと開くことができないのだ。それは施錠スキルがあっても捻じ曲げることができないのだ。
「・・・寝ましょうか」
「・・・そうだね・・・」
あっさりと脱獄計画を潰されたティアはアカメの言うことに従い、自分も寝ることにした。
ーこのすば!ー
一方その頃、屋敷では・・・
「待て駄女神。お前どこに行く気だ?」
「決まってるでしょ?2人を助けに行くのよ。朝に2人を庇ったって捕まっちゃ意味ないでしょ?」
「バカかお前。国家転覆罪の奴が脱獄なんてしたらそれこそ見つかったら1発で死刑だろうが。裁判で勝つしかねぇだろ」
「カズマこそバカなの?国家転覆罪は最悪死刑なのよ?どっちも同じよ同じ!だったら脱獄させるのがいいでしょ?」
「いいから大人しくしてろ。お前が行ったってどうにもならんだろ」
「いやよ!!だってこのまま放置したら帰って来た時、絶対に恐ろしいほどに仕返しされるもの!!」
「お前ついに本音を言ったな・・・」
カズマとアクアが不毛な言い争いを繰り広げていた。
ーこのすばー
翌日の朝の牢屋、双子は昼ごろまでぐっすりと眠っていた。
「貴様ら起きろ!取り調べの時間だ!一緒に来てもらう!」
そこへセナが双子の取り調べのために起こしに来た。
「ふわあ・・・何よ、もう朝なの・・・?」
「朝ならまだ寝かせてよ・・・気分最悪なんだから・・・」
「もう昼前だ!貴様らは日頃どんな生活をしている!」
双子は基本的には生活態度は普通だ。ただ捕まったことのショックで出不精が出てきただけだ。セナに言われるがまま、双子はとある部屋にたどり着いた。そこにはセナの部下の男と真ん中には取り調べの机、何かのベルがあった。
「まずは貴様らの言い分を聞いてやる。そのうえで裁判にするかどうかが決まる。よく考えて発言しろ」
セナと双子は対面するようにベルが置いてある机の椅子に座る。双子は机に置いてあるベルに視線を向ける。
「これが何か知ってるか?」
「いいえ、知らないわね」
チリーン。
「「・・・・・・」」
アカメが発言した瞬間、突然ベルが鳴り響いた。何かに反応したかのような鳴り方だった。
「これは取り調べや裁判に使われる魔道具で、部屋の中にかけられてる魔法と連動し、今のように嘘に反応して音が鳴る仕組みだ。重々、肝に銘じるがいい。では、始めるぞ」
どうやらこのベルは嘘発見器の役割を持っているそうで、さっきの音はアカメの嘘に反応したらしい。つまり双子はこの魔道具を知っていることを意味している。
(どうすんの!!?完全にお姉ちゃん殺しの魔道具だよ!!?)
(安心なさい。私にだってそれなりのわきまえはあるわ。そう簡単には鳴るわけがないわ)
「おい!聞いているのか!!」
「「あ、すみません」」
こそこそと耳打ちをしている双子をセナが一喝する。そして気を取り直して取り調べを始める。
「アカメとティア・・・年齢は2人とも16歳で職業は冒険者・・・就いているクラスはシーフか。ではまず、出身地と冒険者になる前はいったい何をしていたか聞こうか」
「出身地はアヌビス。冒険者になる前はアヌビスでぬくぬくまったりと生活して・・・」
チリーン。
「「・・・・・・」」
アカメの発言で魔道具はさっそく音を鳴らした。さっそく嘘をはいた証拠である。
「・・・出身地、経歴詐称」
「ちょ・・・待ちなさいよ!私は嘘なんて・・・」
チリーン。
「「・・・・・・」」
またも鳴り響いた魔道具に双子は押し黙り、今度はティアが口を開く。
「・・・出身地はアヌビスで2人で冒険者ギルド熱風の波の冒険者のばか騒ぎを見ながら騒がしい毎日を送っていました」
・・・・・・。
「・・・反応なし・・・」
魔道具が反応しないということは少なからずティアは嘘を言っていないことになる。
「・・・なぜぬくぬく暮らしたと嘘をはいた」
「ちょっと待ちなさい!一応は同じ意味・・・」
チリーン。
「おいクソ魔道具!!」
アカメの発言だけ反応している魔道具に対してアカメはキレている。
「それは姉が嘘をはくのが大好きな人だからです」
「あんたもあんたで何言ってんのよ!言っとくけど私は嘘をはくのが好きなんて・・・」
チリーン。
「ぶっ壊すわよこの!!!」
「そ、そうか・・・では取り調べを続ける。正直に答えろ」
「クソ!このクソ魔道具嫌いだわ!!」
・・・・・・。
嫌いという部分だけ反応しなかった。とはいえ、序盤からこんなに躓くようでは先が思いやられるのは事実だ。
「では次の質問に移る。お前たちが冒険者になろうと思ったきっかけはなんだ?」
「そりゃもちろん魔王軍みたいな奴らを野放しにする気がなかっ・・・」
チリーン。
「・・・・・・」イラッ
「ハッキリ言って覚えてないです。なんか、冒険者見てたらいつの間にかなってたー、みたいなそんな感じです。姉も同様です」
・・・・・・。
「は、反応なし・・・。そ、そうか・・・では次だ。お前たちは領主様に恨みはあるか?いろんなところで愚痴をこぼしていたと聞いたぞ」
「そりゃ愚痴を言うでしょうよ。デュラハンの時に何の指示も出してなかった奴が偉そうにってね。でも外壁を壊したこと自体は悪かったとは・・・」
チリーン。
「・・・・・・」ムカッ
「なんて綺麗事なんて考えてるわけもなく、街を救った英雄様にこの仕打ちかよ、絶対ぶっ殺してやるって思ったことはあります」
・・・・・・。
「そ、そうか・・・では次だ・・・」
アカメの発言に魔道具が反応し、ティアが訂正を施すという今の光景にセナは若干ながら引いている。
「あのね、いい加減にしてもらえないかしら?まどろっこしいのよ、やり方が」
ついに我慢の限界に達したのかアカメはストレートな言葉を言い放った。
「ちょ・・・お姉ちゃん!ステイ!ステイ!」
「うるさい愚妹!ステイって私は犬か!だいたい・・・」
チリーン。
「まだ何も言ってないでしょうが!!」
(あれ?これってお姉ちゃんの言葉に反応する魔道具だっけ?)
まだ先の発言をしていないにも関わらず魔道具が鳴り、アカメはキレかけ寸前である。
「・・・もうハッキリと聞きなさいよ。例えばお前たちは魔王軍の手先かとかコロナタイトは狙ってテレポートをしたのかとか。私たちは魔王軍の手先でも何でもないし、何度も言ってるけどコロナタイトは狙ってやったわけじゃないっつーの。コロナタイトを飛ばさないと街は存続できなかったかもしれないのは知ってるでしょ?というかそもそも、王都に領主様の別荘があるなんてギルドで初めて知ったわ」
・・・・・・。
魔道具には反応を示さない。この時点で双子は魔王軍関係者でもなく、コロナタイトも狙って別荘に送ったというのも、双子がアルダープの別荘を知らなかったのも嘘ではないとセナは理解した。
「・・・どうやら、そのようですね。自分が間違っていたようです。あなたたち双子には悪い噂しか聞かなかったもので・・・申し訳ございません」
セナは途端に先ほどの厳つそうな言動はせず、丁寧な口調を使い、双子に深々と頭を下げる。恐らく先ほどの厳しい言動は犯罪者用でこちらの丁寧な口調がセナの本当の姿なのだろう。
「い、いえいえそんな・・・お気を・・・」
「まーーったく!噂ぐらいで人を疑うなんて、検察官にあるまじき姿だわ!恥を知りなさい!検察官失格よ失格!」
「うぐっ・・・す、すいません・・・申し訳ございません・・・」
(うわっ!!今までやられてきたから調子に乗り出したよこの姉!!)
ティアは相変わらずセナには頭が上がらない様子だったが、アカメは魔道具にいいようにやられてきた鬱憤が溜まっていたのか途端に調子に乗り始めた。
「だいたい、検察官様なら私たちのパーティの貢献度がどんなものか知ってるでしょ?魔王軍幹部のベルディアの討伐の際には私たち、リーダーの指示の下で最前線に出たし、機動要塞デストロイヤーでは妹は道を造ったし、私はゴーレムはこれでもかとなぎたおしたのよ?にもかかわらず感謝の言葉もなく、こんな署の牢屋に入れるとは・・・」
「もういい加減にしてよバカ姉!!」
バシンッ!
ぐちぐちと文句を言っているアカメの言葉を遮るようにティアがアカメの頭をはたいて、すぐにアカメの顔を机に突っ伏させる。そして自身も頭を下げてセナに深く謝罪する。
「すいまっせん!!それが検察官のお仕事にも関わらず、うちの姉が本当にすいまっせん!!」
「い、いえ・・・もちろん、サトウカズマさんのパーティに属しているあなた方のご活躍は知っていますので・・・。あ、今お茶を入れてきますので・・・」
セナは一旦お茶を入れようと部屋から退室する。残ったのはセナの部下である男と、双子・・・そして机にある魔道具だけ。
(ちょっと!せっかく容疑が晴れかかってるのに余計なことを言って台無しにさせないでよ!)
(なんでよ!このクソ魔道具のせいでどれだけイラついてると思ってるのよ!仕返しくらいさせなさいよ仕返しくらい!)
(普段の行いのせいでしょ!これに懲りたら嘘は控えてよね!!)
(このクソ魔道具が意味がほぼ同じにもかかわらず、何も言ってないにもかかわらず鳴ったのが悪いんでしょ!絶対不良品よこれ!!)
(魔道具がお姉ちゃんの本質を見抜いたからでしょ!)
双子が耳打ちで喧嘩している間にセナが帰って来た。帰って来た瞬間双子は大人しくなる。セナは双子にお茶を差し出す。
「どうぞ」
「こ、これはどうも・・・」
「はんっ・・・」
双子は出されたお茶をすすってようやく落ち着きを取り戻す。
「あの・・・先ほどはすみません・・・この迷惑極まりない姉が・・・」
「い、いえ・・・アカメさんのおっしゃってることもごもっともなので・・・」
「・・・あ、あのー・・・セナさん?先ほど私たちの悪い噂で疑ってたみたいですけど・・・具体的にはどんな噂なのでしょうか・・・?」
「そ、それが・・・ジャイアント・トードから逃げている最中に仲間を犠牲にしてまで逃げ延びたりとか・・・偽物の剣を渡して試し切りさせた後に売り払ったと相手を絶望させたり・・・他にも仲間であるにもかかわらず、嫌がるアークプリーストとアークウィザードを縛ってジャイアント・アースワームの口の中に放り込ませるなどといった、人間性を疑うような噂ばかりでして・・・」
「「・・・・・・」」
セナの口にした噂にたいして、双子は冷や汗をかきはじめた。それもそのはずだ、その噂は全て事実なのだから。
「・・・あの・・・そういえば先日、あなた方を捕まえる時、ティアさんはアカメさんを蹴飛ばしましたが・・・噂は噂ですよね・・・?」
「「ウ、ウワサデスヨ・・・?」」
チリンチリーン。
明らかに片言になった双子の発言に魔道具は2回鳴らし、2人分の反応を示した。魔道具が反応したことに合わせ、セナの顔つきは初めて出会った時と同じ厳しい顔つきになって、双子を睨みつける。
「「・・・すいません・・・」」
「・・・パーティ内の話ですから、自分からは何も言いませんが・・・あなた方、サトウカズマさんに感化されてませんよね?サトウさんが巷でなんて呼ばれているかご存知ですか?カスマだとかクズマだとかゲスマだとか・・・」
「わぁ・・・まさに鬼畜のクズマに相応しいあだ名じゃん・・・」
「特にアカメさん、あなたも人のことは言えませんよ?あなたは巷ではアクメとかエスメとか呼ばれていますよ」
「何それ?」
「あ、悪魔のアクだからアクメで、ドSのエスでエスメか」
「はあ!!?誰よそんなあだ名付けやがった奴!見つけたらズタズタにしてやる!!」
カズマの不名誉なあだ名はともかく、アカメのあだ名にたいして本人は怒っている。まぁ、カズマもアカメも事実だから否定はできないのだが。
「そう言うこともあって、アカメさんとサトウさんは血も涙もない鬼畜コンビとも・・・」
「ちょっと!あのクズ男と同列にしないでちょうだい!」
「いやどっちもどっちだから!」
カズマと同列に扱われ、アカメはさらに憤慨するが、ティアはどっちも同じだと思っている。
「はぁ・・・念のためもう1度聞きますが・・・本当に魔王軍の関係者ではないのですね?魔王の幹部と交流があるとかはそんな・・・」
「え?あるわけないじゃないですかそんなの。ましてや魔王軍とだなんて・・・」
チリーン。
「えっ!!??」
ティアの発言に魔道具は反応した。手先ではないという点では反応しなかったはずなのにだ。この反応によって、セナの顔つきはさらに厳つくなる。
「ましてや・・・何です?」
「いや、待ってください!え?なんで?私嘘なんて1つも・・・」
チリーン。
またも魔道具が反応を示した。ティアがなぜ魔道具がなりだしたのか非常に困惑している。そこでアカメがティアに耳打ちする。
(あんた、ウィズの存在のこと、忘れてるでしょ)
(・・・あ・・・)
そう・・・ウィズはなんちゃってとはいえ、魔王軍の幹部の1人であるのだ。そんな重要なことを忘れていたティアは自分の失態をやらかしてしまい、顔を青ざめる。
「・・・・・・ではついでに、もう1つだけ、質問をさせてください」
厳つい表情のままでセナはある質問を双子に突きつける。
「先日、領主様の屋敷に盗人が入り込んだという噂はすでにご存じかと思います」
「「・・・!!」」
「私は、これらの犯行を、ウェーブ盗賊団の仕業だと考えています」
「「そ・・・それで・・・?」」
「単刀直入に聞きます。あなたたち2人は・・・そのウェーブ盗賊団の団員ですか?」
セナのこの問いかけに双子は冷や汗が尋常にないほどにまでかいている。ここで発言すれば、絶対にウェーブ盗賊団であるとバレるからだ。
「・・・その沈黙は、肯定とみなしますが・・・」
「「いいえ、違います」」
チリンチリーン!!!チリンチリーン!!!
セナの誘導尋問に引っかかった双子は違うと答えた。それには当然ながら魔道具は鳴り出した。しかも・・・魔道具が今までにないくらい高い音を出すくらいにまで反応している。これによって双子は再び牢屋に入れられ、裁判が開催されることが決定したのであった。
アカメです・・・定時報告です・・・。
私とティアは現在、やばい状況下にあります・・・。
1人の冒険者として、1人の人間としての価値観を問われている最中です・・・。
ですが、私は至極全うな人間です。人に頼られている存在です。それはティア同様です。
人に頼られまくって、周りを引っ叩きたくなることは自ら手を下すことは全くありません。
・・・だからお願いです・・・私だけを助けてください・・・。
読む人間・・・なし
次回、この不当な裁判に救援を!