今回の話はOVA沿いのお話でございます。時間軸としては・・・そうですね、初代バニルを討伐した後日ってところですかね。
この素晴らしいチョーカーに祝福を!
願いを叶えるチョーカーを覚えているだろうか。それはまだ双子がウィズの店で居候していた時にアカメが偶然見つけたものでそのチョーカーを首に付けた瞬間、その人間の願いを叶える・・・なんていう夢のあるものではなく、実際には自分で願いを叶えないとチョーカーは外れないどころか日を追うごとに装備した者の首を締めあげていくというとんでもない不良品の魔道具である。
今回の物語は、その願いを叶えるチョーカーを身に着けた愚か者と、その者の欲望に巻き込まれる女性たちのちょっとした閑話である。
このすば!この微笑ましい双子に幸運を
番外編、この素晴らしいチョーカーに祝福を!
アクセルの街のある日のこと、今日は双子はウィズの店の手伝いのためにカズマたちを連れてやってきた。
「ウィズー、今日は店を手伝いに来たよー」
「手足となる奴隷共を連れてきたわよ。感謝なさい」
「おい、誰が奴隷共だ。ようウィズ、今日は手伝わせてもらうぜ」
「ああ、今日はよろしく頼む」
「なんでアンデッドの店なんか・・・」
みんな手伝いに乗り気だが、その中でアクアだけが不服そうに頬を膨らませている。
「アカメさん!ティアさん!それに、皆さんも!今日はわざわざありがとうございます!」
「・・・?」
めぐみんは商品棚の後ろに誰かが隠れていることに気が付いた。その隠れている人物はじーっとめぐみんを見つめている。
「・・・ふん」ぷいっ
その人物についてよく知っているめぐみんは顔をしかめ、そっぽを向いた。
「!!?い、今見たよね!!?なんで無視するの!!?」
隠れていた人物、めぐみんの自称ライバルのゆんゆんは無視されたことで涙目になって商品棚の裏から出てきた。
「我が自称ライバル、ゆんゆんじゃありませんか」
「自称って言わないでよ!!」
「おや、違いましたか」
「違うから!!ちゃんとライバルだから!!」
自称云々は置いておいて、ゆんゆんはいつもの恒例のように、めぐみんに指をさし、勝負の申し込みをする。
「さあめぐみん!!たまたま偶然、ここで会ったわけだけど、ちょうどいいわ!!今日こそ決着をつけるわよ!!」
「・・・決着も何も、今まで勝負はほとんど私の勝ち越しじゃないですか」
「う、うるさいわよ!!・・・あ、すいません。お店に迷惑をかけないよう、外に出てやりますので・・・」
ゆんゆんは店の迷惑をと考え、ウィズたちに頭を下げる。
「いえ。ゆんゆんさんがこの店に通うようになってくれたのも、めぐみんさんたちがたまに遊びに来るって聞いてからですし」
「ああああああああ!!あ、あ、あの!!今日はこれください!!このかっこいいチョーカー・・・」
「はいはい、照れ隠し照れ隠し」
「ほらほらみんな手伝って。バニルがいない今がチャンスなんだから」
ウィズに真実を暴露されて顔が赤くなったゆんゆんは商品棚から1つのチョーカーを取り出す。慌てるゆんゆんを余所に、双子は陳列する商品の箱を取り出し、仕分けを開始する。
「なぁゆんゆん。その・・・遠慮せず、いつでも私たちの屋敷に来ていいのだぞ?」
「えっ⁉本当に?でも・・・たくさんのお菓子とジュースを持って遊びに行ったら・・・『えぇ?本当に来たの?社交辞令って知ってる?』みたいな迷惑そうな顔しません?」
ゆんゆんの面倒くさい思考にめぐみんは我慢できず、ゆんゆんの胸倉を掴んで突っかかる。
「相変わらず面倒くさい子ですね!!来たいなら来ればいいじゃないですか!!それで、どうするんですか!!勝負するんですか!!?」
「あ、あ、待ってめぐみん!!こんなにたくさんの人と話せる機会がないから・・・勝負は夕方とかに・・・うあああああ!!」
「本当に煮え切らない子ですね!!これだからボッチは!!」
「ねぇー、私お茶ほしいんですけど。後お菓子ほしいんですけど」
「「はああん?」」
紅魔族のいちゃつきを余所にさっそくくつろぐ気満々のアクアの言葉に双子たちは視線をアクアに変える。
「奴隷の分際で何言ってんのあんた?相当お仕置きされたいらしいわね?」
「それを言うなら手伝いが終わってから言いなよこのごく潰し!!」
「いひゃいいひゃいいひゃいいひゃい!!!奴隷って何よ!!この高貴な女神様に向かってそんな・・・いひゃいいひゃい!!」
アクアはアカメに頬を引っ張られたり、ティアはアクアの頭をぐりぐりられるなどのお仕置きを受けている。
「あ、あの・・・お2人とも、アクア様にそんな乱暴な・・・」
「あ、アクアばかりずるいぞ2人とも!!やるなら私にやるんだ!!むしろやってくれぇ!!」
双子の暴行を止めに入るウィズとダクネス。ダクネスの場合は根本的に欲を優先させているが。
「相変わらず騒々しい連中だ・・・たまには癒しが欲しい・・・ん?」
騒がしいメンバーと一緒にいて疲れが出ているのがわかるカズマは先ほどゆんゆんが落とした商品のチョーカーに気が付いた。
「これは・・・当店では珍しく売れている人気商品、願いが叶うチョーカーです・・・珍しく売れてるとか書いちゃうのは、どうかと思うが・・・」
ウィズの説明欄を読んでツッコミを入れるカズマはこのチョーカーの値段を確認する。
「・・・お値段は強気の十万エリス・・・」
カズマはチョーカーの値段を見た後、すぐに騒々しいメンバーを見る。
「なんですか!!なんですかこの胸は!!また育ったのですか!!見せつけているのですか!!」
「やめてぇ!!自分が育たないからって私に当たらないでぇ!!」
めぐみんはゆんゆんのよく育った胸に当たって胸に往復びんたをかましている。
「これでもか!!これでもお菓子が欲しいと物申すか!!そんな怠惰は誰かに変わってお仕置きよ!!」
「痛い痛い痛い!!!誰かって誰よ!!?そこは月に変わっておし・・・ぎゃああああああああ!!!!」
「これは体罰じゃないの!!アクアのためを思ってのことなの!!もっと自立してもらうために!!」
双子のお仕置きはだんだんエスカレートしていき、ついにはもっともらしいことを言ってアクアにプロレスの寝技を繰り出している。
「もうその辺でいいだろう・・・ところでウィズ、さっき見つけたこの獣に群がられるポーションというのは?た、例えば、飢えた野獣のような男たちに襲われやすくなるとか・・・」
「それは獣型モンスターが集まってくるポーションです。休む間もなく次々とモンスターが襲い掛かってきて・・・」
「いただこう!!」
ダクネスは絶対にいらないポーションを見つけては興奮して買おうとしている。そんなハチャメチャなメンバーたちを見て、カズマは思わずため息がこぼれる。
「・・・装備すると幸運度が上がるとか、そんなものか?」
少し気になったのでカズマはお試し感覚でそのチョーカーを首に装備した。
「だいたいあんたは・・・て、はああ!!?」
「え?何?どうしたのお姉ちゃん?」
「!!か、カズマさん!それ・・・」
アカメの視線がカズマに変えた時、アカメはありえないと言わんばかりな顔をする。ウィズもそれを見て、顔が青ざめていく。
「あんたあれ捨てなさいって言ったわよね!!?なんでまだここにあんのよ!!」
「ご、ごめんなさい!!他の商品が全然売れなかったので・・・つい魔が差したんですぅ~・・・」
「この【ピーーッ】がぁ!!!」
「ひ、ひどい!!」
かなりオーバーな反応を示しているアカメにもしかして、やらかしたかみたいな顔になりだすカズマ。
「な、なぁ・・・どういうことだ?」
「お姉ちゃん、たかがチョーカーでしょ?もしかして、お試しで使ったらまずい?」
「まずいどころの話じゃないわよ!!あれは自分の願いを叶えるまでは外れない上に日を追うごとに徐々に首が締まっていく最悪の魔道具よ!!」
「えええ!!?」
「呪いのアイテムかよ!!!」
「ち、違います!女性に人気の商品なんです!死ぬ気になれば絶対に絶対に痩せられるっていう・・・」
「ウソっ⁉自分で叶えないといけないの!!?」
「バカにしてんのか!!?」
あまりにもばかばかしい魔道具の説明にティアは驚愕し、カズマは憤慨する。
「いてて・・・やっと解放された・・・それで、カズマはいったい何をお願いしたのよ?」
「それが・・・特に何か願ったわけでもないんだよ・・・」
「ちょっと!どうすんのよそれ!!このままだとあんた、チョーカーがゆっくりとじんわりと首を締めあげて、4日後に・・・あんたの首は・・・」
「俺はこんなバカバカしいダイエット器具で死ぬってのかぁ!!?」
願いを叶えないと最終的には死を意味すると理解し、カズマはさらに憤慨する。
「私のせいだ・・・私がそのチョーカーを落としたせいで、カズマさんが・・・」
チョーカーを落としてしまったゆんゆんはこんな事態になってしまったことに責任を感じている。
「ゆんゆんにつかみかかった私も悪いですよ・・・」
「ううん、私がアクアのお仕置きに集中してたから・・・ごめんカズマ!」
「いや、私やウィズが双子の仲裁に気を取られていなければ・・・すまない、カズマ・・・」
「いや、悪いのは私の方よ。1番最初にあのチョーカーを見たのは私で、それに気づけなかったわけだし・・・」
「1番悪いのは私ですから!アカメさんの忠告を聞かずに、魔が差してこんな危険な商品を店を並べていたのが悪いんですから・・・」
罪悪感を感じていたのはこの場にいる全員がそうだった。・・・ただ1人、アクアだけ除いては。
「カズマさん・・・なんとしてでもそのチョーカーを外してみせますから・・・安心してください!」
「私も協力します!!」
「こ、紅魔族随一の天才たる我にかかれば、その程度の魔道具など!」
「私も尽力しよう!!」
「ウェーブ盗賊団の掟、仲間を見捨ててはならない!!」
「ま、私たちが仲間と決めた以上、何とかしてみるわ」
ウィズをはじめとした全員がカズマが着けたチョーカーをなんとしてでも外そうと決めた。
「・・・わ、私は何も悪くないわよ?でも一応言っておくわ・・・ごめんね?もし死んでもリザレクションかけてあげるから!」
・・・前言撤回。空気を読めていない愚か者がここに1名いた。アクアの空気の読めていない発言にカズマは白けたような顔になっている。
「・・・今度死んだら生き返らないでおこうかなぁ」
「え?」
「人生をストライキするわ」
カズマの生き返らない発言にアクアは焦り始めた。
「な、何言ってるの?私と魔王討伐するのはどうなるのよ?」
「後俺が死んだら、膨らんだ借金全部お前のものだから」
「わああああああ!!!わかったわよ!!私も協力すればいいんでしょ!!?」
ここで借金が決め手となり、アクアも涙目ながらに協力することを決めた。
「カズマのチョーカーが外れるまで、みんなで
「・・・今、
アクアのこの一言で、カズマはにやりと口元に笑みを浮かべた。こうして、カズマのチョーカーを外すための4日間が今、始まろうとしていた。
ーこのすばぁ(ゲス声)ー
1日目・・・
「あ、あの・・・カズマさん・・・?」
「うん、カズマだよ」
「寝心地はいかがですか・・・?」
チョーカーが外すために必要なことは、カズマの願いを叶える、ただそれだけである。しかしカズマ自身が何も願いを考えていなかったので、それがなかなか難しい。ならば、カズマの欲望を叶えることこそが、チョーカーを外せる・・・と、考えているのだが・・・現在カズマはさっそく欲望のままにウィズに膝枕をしてもらって、寝っ転がっている。
「ウィズの太ももは~ひんやりしていて悪くない。後、とても柔らかい。そして・・・ウィズが恥ずかしがってる様子もとてもいい」
「そ・・・そうですか・・・それは、その・・・ど、どうも・・・///」
ウィズの太ももに頭をのせているカズマは彼女の太ももを愛でるように撫でている。膝枕をしているウィズはとても恥ずかしそうにしているが、チョーカーを外すためと思い、耐えている。この時カズマは思った。願いのチョーカーはいいものだ、首が完全に締まるまで四日もあるからなんとかなる、と。
「この男・・・願い事の一発目から欲望全開ですよ・・・」
「サイッテー・・・」
「このゲスが・・・」
この光景を見ているめぐみんたちはドン引きしている。双子は軽蔑の視線を向けており、ダクネスはどんな指令が来るかワクワクしている。
「いいだろう!貴様が何を望むか知らないが、この私が全て受け止めて・・・」
「お前は鎧を脱いで腕立て伏せ100回」
「ん・・・くぅぅ!!///」
最後まで言わせてもらえず、突如出されたカズマの指示にダクネスは興奮する。そして、ダクネスは指示に従い、自分の身にまとっている重い鎧を全て脱いで、腕立て伏せを開始する。腕立て伏せをするたびに、ダクネスの大きな胸が床に当たり、カズマはそればかり凝視している。
「・・・ほぉ・・・これは悪くないな」
「なっ!あ、あんなけだもののような視線に晒され、逃れることもできないとは!奴の頭の中で私はもっとあられもない姿で剥かれ・・・や、やめろおおおおおお!!」
「うわぁ・・・こんな時でも平常運転だね・・・」
カズマの視線に気づいたダクネスは平常運転であらぬ妄想を繰り広げていた。そんな姿にティアはカズマもそうだが、ダクネスにドン引きしている。
「だが!私は騎士として・・・屈するわけにはいかない!!」
「なんてこと・・・この男ったら・・・ここぞとばかりに美しい私たちに欲望の限りを尽くすつもりね!!」
カズマの欲望を見て次は自分がああなるであろうと恐怖をするアクア。
「お前はダッシュで焼きそばパン買ってこい」
「なぁんでよおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
「アクア様ーー!!」
「・・・アクアがこうもパシリが似合ってるのはなんでだろう・・・」
だがカズマがアクアに命令したのはおいしい展開とは無縁のパシリであった。欲望の対象外として認定されたアクアは悲痛な叫びをあげながら焼きそばパンを買いに走っていった。
「さて、双子には・・・」
カズマの欲望の矛先が双子に向けられ、双子は警戒心を露にする。
「今から俺が用意した衣装に着替えてもらいます」
カズマの出した指令はただ衣装に着替えるだけ。それだけの指令に双子はお互いに目を見開いてお互いに顔を見合わせる。
「・・・マジですか・・・それだけでいいの?」
「・・・まぁ・・・それで済むのなら別にいいわよ」
「衣装は俺の部屋に置いてあるから、着替えてくるといいよ」
「う、うん・・・」
「じゃあ・・・着替えてくるわ」
なんだか変に違和感を覚える双子はカズマが用意した衣装に着替えるため、カズマの部屋へと向かっていく。
「あの・・・カズマ。あなたはいったい何の衣装を用意したのですか?」
「んー?後のお楽しみにだな」
めぐみんの問いかけにカズマは何も答えない。しばらくすると・・・
「いやあ!!!なんなのこれぇ!!!???」
「ざっけんなざっけんなざっけなあのクソッタレェ!!!!!!」
カズマの部屋から双子の怒号が響きわたった。双子の大声にめぐみんとゆんゆんはカズマに軽蔑な視線を向ける。カズマは非常に悪そうな顔つきでにやついている。
「・・・さて・・・お前たち、ライバル関係だったよな?」
「いえ、ゆんゆんが勝手に・・・」
カズマの欲望の矛先がついにめぐみんとゆんゆんに向かれ、2人は警戒心を露にする。
「2人には、今から勝負してもらいます」
「はあ!!?」
カズマの口から勝負と聞いて、めぐみんは驚愕し、ゆんゆんはとっても嬉しそうな顔になる。
「し、しょうがないわねぇ!勝負よ、めぐみん!!」
「何を嬉しそうにしてるんですか・・・」
「対戦内容は俺が決め、勝敗も俺の独断と偏見で決めます」
「「へ・・・」」
勝負内容も勝敗もカズマが決めると聞いて、めぐみんとゆんゆんはすごく嫌な予感を感じ始めた。
ーこのすば(イケボ)ー
勝負をする場所は屋敷の庭でやるそうだ。そして、勝負の見届け人であるカズマはというと・・・
「・・・あ、あのぅ・・・」
「・・・スゥー・・・」
ウィズに膝枕をしてもらって寝ているのだが、その寝方がウィズの太ももに顔を埋めるという変態行為である。
「膝枕って顔の向きが逆なんじゃあ・・・」
「俺が生まれた国ではこういう膝枕もあるんだ」
「そ、そうですか・・・」
噓八百の説明でウィズを無理に納得させるカズマ。すると、焼きそばパンを買いに行っていたアクアが戻ってきた。
「
「遅い!!後、買ってきましただろ!!」
「
カズマはアクアが買ってきた焼きそばパンの袋を受け取り、中から焼きそばパンを取り出した・・・が、その焼きそばパンは半分だけなくなっていた。アクアの方を見てみると、頬がリスみたいに膨らんでおり、口の周りには青のりやらソースやらがついていた。とどのつまり、アクアは焼きそばパンを半分食べたのだ。
「・・・おい。お前これ半分食っただろ」
「
「こいつリスみたいな顔しやがって・・・!」
勝手に人が頼んだものを食べたアクアにカズマが一言物申そうとした時・・・
「「くぉらああああああああ!!!クズオおおおおおおおおお!!!」」
カズマの部屋で指定された衣服に着替えていた双子が怒り狂ったように現れた。アクアはそんな双子の姿を見て固まった。
「やってくれたわね!!!何よこれは!!!」
「は、恥ずかしくて死んじゃう・・・!///」
今双子が着こんでいるのは動物の毛を使った水着であった。しかも、動物耳のカチューシャに動物グローブ、動物ブーツに動物の付け髭、おまけに尻尾の5セット付きである。アカメは犬のような姿で、ティアは猫のような姿である。こんなのに着替えさせられた双子は当然顔が真っ赤である。
「うんうん、俺の目に狂いなく、よく似合っているじゃないか」
「あんたって奴は・・・!」
「あのさぁ・・・やっていいことと悪いことが・・・」
いくらチョーカーを外すためとはいえ、このような格好させられた双子はカズマに物申そうとした時、カズマはアカメに片手を出す。
「お手。語尾はワンで」
「「は?」」
突然差し出され、お手と言われたことの意味がわからないでいる双子。
「お手」
「・・・あ、もしかして、お手しろってことじゃない?」
「はぁ!!?ざけんなこら!!!誰がそんなことするか!!!」
本当に犬みたいなことをしろとティアに指摘され、プライドが高いアカメは断固として否定の意を示している。すると、カズマはわざとらしくチョーカーに触れる。
「あー・・・どうしたことかなぁ・・・首がどんどん締まってきた気がするなぁ~俺死んじゃうのかなぁ・・」
「くっ!!こいつぅ!!!」
実際にはまだ首が締まっている段階ではないことはアカメにはわかっているのだがチョーカーを例に出されては逆らえなく、仕方なく四つん這いになり、カズマの言うとおりにする。
「わ・・・ワン・・・///」
「はぁ・・・やはりペットはかわいいなぁ・・・よしティア、おすわり。語尾はにゃあで」
「うっ・・・うぅ・・・///。にゃ・・・にゃあ・・・///」
今度はティアにおすわりを指名され、逆らえないとわかっているティアは語尾をつけて正座で座り込む。が、ここでカズマが指名する。
「違う!!そこは犬猫のおすわりだろ!!もう1回!!」
「ううぅ・・・///!にゃ、にゃおーん///!!」
座り方まで指示を出され、ティアは猫の鳴き声を真似しながら両足を屈み、両手を地面につけ、本当に犬猫のおすわりになった。しかも、両腕でティアの胸が強調されるので、それを見てカズマはにやけている。
「あんた・・・びっくりするくらい欲望にストレートね・・・!さすがの私もドン引きだわ・・・!」
欲望に正直すぎるカズマにアクアは超が付くほどにドン引きしている。するとカズマは今度はめぐみんとゆんゆんの方に視線を向ける。
「「じゃんけんぽん!!」」
めぐみんとゆんゆんはじゃんけんをしており、めぐみんはチョキで、ゆんゆんはパーでめぐみんの勝利だ。
「ふっ・・・我が勝利こそ・・・世界の定め・・・」
勝利しためぐみんは紅魔族らしくかっこつけ、敗北したゆんゆんはなんと、自分が履いているスカートを脱いだではないか。パンツを隠そうとしているゆんゆんは当然ながら顔を赤くさせる。
「・・・ね、ねぇ・・・あの2人は何をしてるの・・・?」
「野球拳させてる」
「あんたの欲望は、とどまるってことを知らないの?」
野球拳とは歌い踊りながらじゃんけんをする宴会芸、郷土芸能である。ただじゃんけんをすればいいだけなのだが、バラエティの影響で負けた相手の服を脱がせるという本来の趣旨が異なっている。その異なった部分を認識しているカズマは決まり顔、双子やアクアはドン引きしている。
「ゆんゆん、このままでは共倒れです」
「い、いずれ紅魔族の長となる者として、めぐみんに負けるわけにはいかないのよぉ!!」
「こんな時だけ強情な・・・!!」
めぐみんは何とかゆんゆんに勝負をやめるよう説得するが、めぐみんに負けたくないゆんゆんは勝負を譲ろうとしない。
「まさか!次は私にもあれをやれっていうつもりじゃあ・・・!」
アクアは自分にも野球拳させられると思い、カズマから距離をとる。
「次は高級シュワシュワ買ってこい」
「なぁんでよおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
「アクア様ーー!!」
だが指示を出されたのはまたもやパシリであった。またも欲望の対象外として認定されたアクアは悲痛な叫びをあげながら高級シュワシュワを買いに走り出していった。
「「じゃんけんぽん!!あいこでしょ!!あいこでしょ!!」
めぐみんとゆんゆんの野球拳は今もなお続いていた。しかし、あいこばかりが続くので、見ているカズマとしては面白くない。
「あいこが後3回続いたら2人とも1枚脱ぐこと」
「「!!?」」
カズマから出された指示にめぐみんとゆんゆんは固まった。束の間の沈黙が続き、めぐみんがゆんゆんに声をかける。それも、煌びやかな笑顔で。
「・・・ゆんゆん。私は信じていますよ。我がライバルであり、友人でもあるあなたは、あんな言葉に惑わされたりしないことを」
「め、めぐみん・・・」
めぐみんから友人と言われたゆんゆんは感動の涙を流している。
「私もあなたを信じてる・・・行くわよ」
ゆんゆんはカズマの言うことを真に受けず、このままじゃんけんを続行させる。この次もきっと、あいこが来るであろうと信じて。
「「あいこでしょ!!」」
じゃんけんの結果はゆんゆんがチョキで、めぐみんがグーとなっている。見事にめぐみんに裏切られたゆんゆんは固まり、当のめぐみんはしてやったりと言わんばかりに憎たらしい黒い笑顔を浮かべている。
「・・・わああああああああ!!!」
めぐみんに裏切られたゆんゆんは涙を浮かべて逆切れをして、めぐみんの服を脱がそうとつかみかかってきた。
「な、なんですか!!?負けたからと言って逆切れですか!!?ああ!!ちょっと待ってください!!ポロリと行きます!!」
めぐみんはゆんゆんに脱がされまいと必死になって抵抗を続ける。そんな姿にウィズはどうすればいいかおろおろとしだす。その間にも焼きそばパンを食べ終えたカズマは標的を双子に変える。
「よーし、ワンちゃんネコちゃん、今からこの骨を投げるからそれを取ってこーい」
「「はあ?」」
カズマの言うことに双子は何言ってんだこいつみたいな顔をする。
「ちなみに・・・これを取ってこれなかった片方は、今よりきわどいのを着させる」
「「!!??」」
今より恥ずかしいものを着させると告げられた双子は衝撃を受けた。その間にもカズマは骨を投げる体制に入る。
「そーら、取ってこーい」
カズマが骨を遠くへ投げ、双子はそれを取ろうと一斉に骨に向かってダッシュしていった。
「ちょっと!あんた邪魔よ!どきなさいよ!!」
「そっちが邪魔してんでしょ!そっちがどいてよ!!」
「これでも惨めなのにこれ以上きわどいのとか嫌よ!!」
「私だって嫌だよ!!お姉ちゃんが犠牲になってよ!!」
「あんたが犠牲になれこのダメネコ妹!!」
お互いに今以上に恥ずかしい格好になりたくない双子は不毛な喧嘩をしながら骨を取ろうとする。だが同時に取ったのでここからは骨の奪い合いだ。
「何やってんのさ!その手を離してよ!!」
「あんたが離しなさいよ!!」
「これは私が先に取った骨だよ!!」
「何言ってんのよ!あんたは後出しでしょうが!!」
「そっちが後出しでしょこの生意気犬!!」
骨を巡った喧嘩が双子の間で始まった。あっちで喧嘩、こっちで喧嘩でウィズはもうおろおろするしかなかった。
「あ、あの・・・カズマさん・・・これ以上は・・・」
「ウィズ・・・仕方ないんだ・・・こうでもしないと・・・チョーカーは外れないから・・・」
「・・・そう・・・ですね・・・」
「ありがとう、わかってくれて」
チョーカーを引き合いに出して今の状況を続けさせた小賢しいカズマとチョーカーがある以上、何もすることができないウィズであった。
「カズマ!腕立て100回終わったぞ!」
するとそこへ屋敷に1人取り残され、腕立てを終えたダクネスがやってきた。
「まさか1人だけ室内に放置されるとは思わなかったが・・・屈辱感と孤独感がなかなか・・・」
「次は腹筋100回な」
「ひゃ、ひゃい~!」
カズマはまたもダクネスに筋トレを命じた。ダクネスは最後まで言わせてもらえず、またも興奮する。もはやこの状況、カズマの思うがままである。
ーこのすば!ー
こんな状況は夕方まで続いた。その頃にはゆんゆんとめぐみんは地面に突っ伏し、双子も殴り合いの末に倒れる。ダクネスは地面に倒れ、息を整える。
「う・・・うぅ・・・私、汚された・・・女神なのに汚された・・・うわああああん!!!ひどいよぉ~~!!」
一方カズマの遊びに付き合わされ、顔に墨汁で落書きされたアクアは泣きわめく。
「えっと・・・まだ、チョーカー外れませんか・・・?」
「うん・・・とても残念だが・・・明日も俺の願望を叶え続けるしかないな・・・」
明日もカズマのゲスイ願望を叶えなければいけない。そう宣言されたアクアは泣き止み、固まった。そう、カズマの欲望は、まだ、とどまるところを、知らない。
ーこ・の・す・ば!!ー
2日目・・・それからカズマは思いつく限りの願いを叶え続けた。例えば、ソファに寝っ転がってウィズの胸を枕として使ったり・・・
「なんで私がこんなことを・・・!」
アクアが大きな羽団扇を使ってカズマを涼ませてあげたり・・・
「今日も・・・筋トレ・・・なのか・・・?」
ダクネスの重い鎧を脱がせて、今日も筋トレをする姿を拝んだり・・・
「うぅ・・・恥ずかしい・・・///」
「この服の選択に悪意を感じます・・・」
ゆんゆんをバニーガールの制服に着替えさせたり、めぐみんにブルマの体操服に着替えさせたり・・・
「今日も・・・なんなのよ、このふざけた服は・・・!」
「うぅ・・・2人はプリ○○アって何なのさ・・・!」
女児童が好むアニメのコスプレを双子に着させてそのポーズをさせたりと、もうやりたい放題である。
ーいいねぇ!!はい次!!ー
3日目・・・今日のカズマの願いは混浴・・・つまり他のメンバーと一緒にカズマはお風呂に入るのだ。しかも、カズマはめぐみん、ゆんゆん、ウィズ、双子に体を洗ってもらって、いい御身分である。
「・・・私は、自分の身体を洗っているだけでいいのか・・・?」
「そうだ。それでいい。そしてそれを見ている俺!!」
ダクネスに出された指令はただ自分の身体を洗うだけ、カズマはそれをじっくり見つめるのだ。
「今日も女神たる私を汚すつもりね!!いったい何をさせるつもり・・・?」
アクアの場合だとただの自意識過剰なのだが、カズマは気にすることなくアクアに指示を出す。
「お前は天然温泉掘り当てろ。できるだろう?」
「は?なんでよ?」
思っていた指示と全然違っていたアクアは思わずきょとんとする。
「お前水の女神だろ?おっと悪い、宴会芸の神だったか」
「!!やってやるわよ!!女神の実力、見せてやるわ!!」
宴会芸の神様と言われて、意地になったアクアは天然温泉を出そうとその気配を感じ取ろうとする。
「カズマ、どこかかゆいところはない?」
「ふむ・・・しいて言えば前の方かな」
「「「「!!??」」」」
前がかゆいと言い出して、ティアを含めた女性陣は顔を赤くさせる。
バキィッ!!
「ぶはっ!!?」
調子に乗りすぎているカズマはもう我慢の限界と言わんばかりにアカメがカズマを思いっきりぶん殴った。ぶん殴られたカズマは倒れ伏し、ぴくぴくさせる。
「調子に乗るな・・・!!」
「お、お姉ちゃん何やってんの!!?みんな、お姉ちゃんを抑えて抑えて!!」
そのまま追撃で殴ろうとするアカメにティアを含めた女性陣全員が止めに入る。
「お、落ち着いてくださいアカメさん!!そんなことしたらカズマさんのチョーカーが・・・」
「関っ係ないわよ・・・!」
「あ、アカメさん!気持ちはわかりますが落ち着いて!」
「アカメ!ここは冷静に、冷静になりましょう!!」
みんながアカメを止めているおかげで、進行は思いとどまっている。
「!!来たぁ!!!」
ブシャーーーーー!!!!
「ぎゃああああああああああああ!!??」
そこへ、アクアが天然温泉の気配を感じ取り、女神の力でその温水を噴射させる。ただその温水は倒れ伏しているカズマに直撃する。当たりどころがかなり悪いのでカズマは苦しい悲鳴を上げている。ただその後のカズマの顔はまるで乙女のような顔でとても気持ち悪かった。
ーこ・の・す・ばぁ♡ー
風呂上り・・・一同は一度大広間へと移動し、カズマのチョーカーの様子を確認する。首についているチョーカーは一向に外れる気配が全くない。
「・・・なぜ、取れないんだろう・・・?思いつく願いは、叶えてるはずなのに・・・」
「カズマの思いつく願いって、あんなのばっかりですか・・・」
「うんうん・・・」
カズマの思いつく願いにめぐみんはカズマをどうしようもなく思い、ゆんゆんもそれに同意する。
「・・・ウィズ、シュワシュワを飲ませてくれ」
「は、はい!」
「口移しで」
「ええ!!?」
「あああああああああああもう!!明日で4日目よ!!?カズマのクズい願望を叶えててもダメなんじゃないの!!?」
「なんだとこの駄女神!!!」
こんな時でもゲスイ願望を叶えようとするカズマにアクアが正論を言い放った。これによってカズマとアクアは互いに言い争いになる。
「もういっそのこと首ちょんぱすればいいんじゃないかしら?経験済みだしいけるでしょ」
「それ死んじゃうじゃないですか!!そんなことしなくてもチョーカーだけをどうにかすればいいんじゃあ・・・」
アカメが物騒なことを言い出し、ゆんゆんが必死になってそれを止める。
「カズマカズマ!!じわじわと首を絞められていくってどんな気分だ!!?最高かカズマ!!?じっくりとコトコトと縛っていくのは最高か!!?」
「や、やめろおおおおおおおおおおおおお!!!」
ダクネスはただ単純に聞いているだけだと思うが、内容が内容だけに物騒すぎる故にカズマは想像し、頭を抱えてしまう。
「ねぇカズマ!!他になんか願いはないの!!?あんなゲスイ願望とかじゃなくて、心の奥底から願いたいことはないの!!?」
ティアはカズマが真に願っていることを聞き出そうとした時、カズマはぴたりと止まって動かなくなる。
「・・・・・・思いつかない」
どうやらゲスイ願い以外は何も思い浮かばないらしく、もうほとんどお手上げ状態になってしまっている。
「思いつかないじゃないですよ!カズマに死なれては、私も困ります!」
カズマが死なれては困るのはこの場にいる全員が同じ考えだ。だがそれでも、カズマの願いがわからない以上、夜も遅いので今日は終わり、最終日の明日にチョーカーを外すしか選択肢がなかった。
ーこのすばー
どうすることもできず、今日はもう解散する形となった。解散した後、双子は屋敷の屋根の上に上り、何をするわけでもなく、ただぼんやりと、きれいな星空を見上げていた。
「・・・明日・・・カズマ、死んじゃわないよね・・・?」
「そういうことは、思ってても口にするべきじゃないわよ」
「それはわかってるけど・・・」
カズマに残された猶予は明日しかない。そう考えると、双子の気持ちをどんよりと沈んでいく。
「・・・明日、絶対何とかしてチョーカーを外そうよ」
「はぁ・・・あいつ自身の願いが何なのかわかんないのに?」
「それでもやるの!!」
お手上げ状態の中でも、ティアは最後の時まで諦めず、何とかカズマのチョーカーを外そうと意気込んでいる。そんな妹にアカメは肩をすくめるアカメ。
「・・・ま、仲間を見捨ててはならない。それがうちらの掟だしね。どちらにせよやるしかないわ」
「うん。それに・・・私たちが今日まで頑張ってこられたのは、カズマのおかげだから・・・」
双子はアヌビスでの出来事を振り返る。普段から喧嘩ばかりするおかげで仕事は失敗ばかり。喧嘩に巻き込まれることもあって他の盗賊団の仲間は誰も双子とパーティを組みたがらなかった。たまたま組んだ相手だってネクサスの口添えがあったからこそ組めただけで真のパーティとは言えなかった。転勤を言い渡され、アクセルにたどり着いても同様だった。自分たちで初めて組んだパーティで自分たちの本性を知られてから、パーティは解散し、誰も進んでパーティを組んでくれなかった。困っていた時に見つけたのが、アクアたちが出したパーティ募集の張り紙だ。あれがあったからこそ、双子はカズマと出会えて、今日までカズマのパーティとして仕事を取り組むことができたのだ。感謝してもしきれないほどに、双子にはカズマに多大な恩があるのだ。
「とにかく!大きな恩がある以上、それを返さないのは失礼だよ!」
「何それ?恩返しってわけ?」
「嫌そうなこと言って、本当はお姉ちゃんだって同じ気持ちなんじゃないの?」
「はぁ・・・本当、なんでこういう時だけ、あんたと思考が同じになっちゃうのかしらね」
「当たり前じゃん。だって私たちは、双子なんだから」
「あ?」
「は?」
同じ思考になるのは当たり前と言われた時、アカメはティアを睨みつけ、ティアもアカメを睨みで返す。睨みあうこと数秒で、双子はお互いににっと口元に笑みを浮かべる。
「・・・ま、とにもかくにも、明日は尽力を尽くしましょう」
「もちろん!カズマには、もっと生きていてもらいたいし!」
必ずカズマのチョーカーを外すという気持ちを固め、双子は屋根から降りて自分たちの部屋へと戻り、睡眠に入るのであった。
ーこ・の・す・ば!!ー
最終日・・・今日こそはチョーカーを外そうと意気込むメンバーたちは大広間に集まった。そこで女性陣が目にしたのは、カズマの誠心誠意の土下座であった。その姿には当然女性陣はきょとんとしている。
「ありがとうみんな。俺、幸せだったよ」
「「「「「「「・・・はあ?」」」」」」」
カズマの口ぶりからして、まるで死を悟っているかのような言い草であった。それには当然女性陣は口をあんぐりとしている。
「・・・昨日みたいにひどい命令は・・・」
「もういいんだ・・・今まで付き合ってくれてありがとう。本当に、ありがとう」
「どうしたのよ急に・・・らしくないわね・・・」
「そ、そうだよ。まるで、死を受け入れてるみたいじゃんか」
「わ、私は筋トレして体を洗っただけだぞ!もっとえぐい命令・・・を・・・?」
先日みたいに欲望のままに命令してもいいと言っているのだが、当のカズマはそれらを思い返して、まるで虚無そのもののような顔つきになっている。
「・・・恥の多い人生を歩んできました。欲望のままふるまっても、ただ虚しさが残るだけ・・・」
「クズは欲望が抜けると死ぬんですか・・・⁉」
今までに見たことのないカズマの姿にめぐみんたちは戸惑いを隠せないでいた。その間にカズマは愛用していたジャージを女性陣に渡す。
「俺が死んだら、このジャージをもらってくれ。俺がこの世界にいたせめてもの証に」
「ま、待ちなさいよ・・・」
「アクア・・・お前が買ってきた焼きそばパンとシュワシュワ・・・おいしゅうございました」
カズマはアクアににこやかな笑みを浮かべて、手を合わせてそう言い放った。
「「「「カズマ・・・」」」」
「「カズマさん・・・」」
女性陣全員は死を悟っているカズマに近づき、カズマのために涙を流している。
「死なないで、カズマ・・・私と一緒に、魔王を討伐するんでしょ?・・・確か・・・」
「私たちは、まだあんたと一緒に冒険したいのよ・・・簡単に諦めるんじゃないわよ・・・」
「カズマを・・・死なせたくない・・・。何でもいいから・・・もっと、命令してよ・・・」
自分のために涙を流してくれているメンバーたちを見て、カズマは少なからず、"癒し"を得ていた。仲間たちの気遣いに、カズマは涙を流している。
(ああ・・・これが・・・癒されるってことか・・・)
心が癒されてきたカズマは晴れ晴れとした顔ですっと立ち上がる。
「・・・そっか・・・だったら最後に・・・謝りたいことがあるんだ」
どのみち命が尽きると悟っているカズマはみんなに思っていることを懺悔し始める。
「めぐみん・・・爆裂魔法を撃った後、お前をおぶって帰ってた時、平らな胸の感触を少しでも感じられるように、わざと揺らしたり、体制を変えたりしてたんだ」
「!!??」
「ごめんな・・・」
非常に欲望全開の懺悔にめぐみんは信じられないといった顔になる。カズマの懺悔はまだまだ続く。
「ゆんゆん、ウィズ・・・実はお前たちと話す時、俺の視線はいつも胸のところに固定されてたんだ。ウィズは豊かだし、ゆんゆんは胸元エロイし・・・そんな体をしているお前たちが悪いんだって思ってたんだ」
「「えぇ!!?///」
「ごめんな・・・」
カズマが自分たちをまさかそんな目で見ていたなんて思わなかったウィズとゆんゆんは胸元を隠しながら顔を赤らめている。まだカズマの懺悔は続く。
「アカメ、ティア・・・お前たちは胸以外は同じだって思ってたけど、実はアカメはお尻が僅かにティアに勝ってるんだって気づいて、俺はお前たちの胸とお尻の成長を、嘗め回すように見守っていたんだ」
「「!!!??」」
「ごめんな・・・」
カズマがスリーサイズを見守るようなことをしていたと告白され、アカメはお尻を抑え、ティアは胸を隠して嫌悪感丸出しの顔になる。カズマの懺悔は終わらない。
「ダクネス・・・屋敷で一緒に暮らし始めてからお前には、おっぱいしか求めていない。お前は・・・おっぱいだ、おっぱい」
「・・・っ!!」
「ごめんな・・・」
ダクネスは自分にはどんな言葉が来るんだろうと期待をしていたが、カズマの求めるものに、逆に鳥肌が立ちそうになる。
「まさか!女神である私まで汚すようなことを・・・」
最後になったアクアはまさか自分にも何かしら事をやったのではと危惧している。そして、カズマは懺悔する。
「アクア・・・馬小屋で寝泊まりしていた時・・・何とかお前をヒロインとしてみようと思ったけど無理だったわ・・・」
実際の懺悔はアクアが思っているようなことではなく、逆にアクアがヒロイン失格の烙印を押してしまったことであった。今までアクアに変な要求をしてこなかったのは、それが理由だったようだ。
「ごめんな・・・」
「あっきらめないでよカズマさん!!諦めないでよぉ!!お願い、お願いだからもうちょっと頑張ってよカズマさぁん!!」
ヒロイン失格の烙印を押されたアクアは涙を流しながらカズマに訴えかけている。
(これで思い残すことはない・・・本当に、ありがとう・・・)
懺悔することを全て懺悔したカズマは心の奥底から仲間たちに感謝していると・・・
パサッ・・・
なんと、あれほど外れなかったはずのチョーカーがカズマの首から外れたではないか。
「・・・あれ?なんで?」
どうして今になって外れたのかわからないカズマは記憶を探って一から思い返してみる。そこで、1つだけ、思い当たる節があった。それは、カズマがチョーカーを着けたあの日、めぐみんたちがハチャメチャをしていた時を見て、言い放った一言・・・。
『たまには癒しが欲しい』
そう・・・カズマの真の願いとは、疲れ切った心を真に癒すことだったのだ。つまり、死を悟っていたカズマを思う女性陣の気持ちによって、カズマは真に癒されたのだ。
「俺の願いは・・・癒されることだったのか・・・」
チョーカーが外れたのを見た女性陣たちは先ほどのカズマの懺悔で怒りがあるため、さっきとは打って変わってカズマをゴミを見るような目で見つめている。目のハイライトも全員から消えていた。
(おっと皆さん・・・ごみを見る目ですね・・・)
何も言わなくても女性の怒りを感じ取ったカズマは冷や汗をかき始める。
「・・・ねぇクズのクソゲス野郎・・・もう1度このチョーカーを着けてみなさいな♪」
「大丈夫だよ・・・優しいみんながきっと助けてくれるから・・・ね♪」
「は、はは・・・ははは・・・」
アカメはチョーカーを拾い上げ、カズマにもう1度チョーカーを着けようと迫ってきている。この場に逃げ場がないのはわかっているカズマは・・・ただ苦い笑いを上げることしかできなかった。
ーそしてその後・・・ー
女性陣からチョーカーを着けられ、許しを請うという願いを叶えられなかったカズマは今、死後の世界の神殿におり、目の前には女神エリスとマサヒロがカズマを見つめていた。
「・・・あの・・・1つ言ってもいいですか?」
「・・・どうぞ・・・」
「・・・こんなくだらないことで死なないでください・・・」
「だから言っただろ?変な欲望を抱くと、早死にするって」
(・・・ぐぅの音も出ない!!)
その後カズマは何とか許しを得てアクアからリザレクションをかけてもらい、蘇生することに成功した。カズマたちの、バカでくだらない冒険は、まだまだ続きそうだ。
おまけ
ティア「・・・ところで私たちが着たあの服って何なの?」
カズマ「あれは俺の故郷でやってた女児が好むアニメで主人公2人が変身した時の服装がそれなんだよ」
ダクネス「アニメ・・・?」
めぐみん「変身してあんな格好になるんですか・・・」
アカメ「はっ、あんな格好をして、主人公もかわいそうね」
アクア「そうかしら?私はかわいいし、かっこいいと思うわ。あ、あの時の2人はなかなか様になってたわよ!2人は○○キュアってね」
双子「あああああああああああああああ!!!///」
当時のことを思い出し、顔を真っ赤になり、手で顔を覆いながら地面を転げまわるのであった。