このすば!この微笑ましい双子に幸運を   作:先導

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次回はオリジナル章に突入します。後書きに予告もありますよん。


この素晴らしき仲間たちに祝福を!

「女神の名を騙る魔女めええぇ!!!!」

 

「簀巻きだぁ!!!簀巻きにしろぉ!!!」

 

「誰の許可で髪を青くしてるのよぉ!!!」

 

アクシズ教徒を救おうとアルカンレティアの噴水広場でアクアはダクネスと共に演説を行ったが、温泉をお湯に浄化させたこと、アクアが自分を女神だと言い放って逆に怒りを買ってしまい、夜中にこうしてアクシズ教徒たちによる暴動が起きてしまったのだ。このままでは炙り出され、アクシズ教徒たちにボコボコにされると危惧したカズマたちは窓の外からアクシズ教徒たちから逃げ出した。

 

「偽アクアが逃げたぞぉ!!!!」

 

「偽アクアを探せぇ!!!!」

 

カズマたち・・・というかアクアが逃げ出したのに気づいたアクシズ教徒たちはすぐさまアクアをボコボコにするために街中を捜索することになった。勧誘とは違う理由で追いかけ回されるはめになったカズマたちは路地裏で隠れながらこれからどうするべきか話し合っていた。

 

「源泉が怪しいと思うの!」

 

アルカンレティアを救うを事を諦めてないアクアが温泉で1番大事な源泉に汚染の根元があると言い出した。

 

「まぁ、それは確かに」

 

「そこを浄化すれば温泉が元に戻ると思うの。臭いにおいを根元から断つのよ!」

 

「ちょ・・・待ちなさい!私は協力するなんて一言も・・・」

 

「いたぞお!!パチモンだぁ!!!」

 

アクシズ教徒嫌いのアカメが反対の意を示そうとした時、アクシズ教徒たちに見つかってしまった。カズマたちはすぐさまアクシズ教徒たちから逃げ出す。

 

「あんなこと言ってる連中なんて、助けなくていいんじゃないの?」

 

「ううぅぅ・・・でも、私のかわいい信者たちがぁ・・・」

 

こんな目にあってまでもアクシズ教徒たちを救いたいアクアは泣いてはいるものの、決して折れようとはしなかった。

 

「まぁ・・・このまま街にいても、アクアのせいで安息はないからな。一旦源泉まで行くぞ」

 

「・・・はぁ・・・」

 

「・・・クソ・・・」

 

アクシズ教徒に捕まればボコボコにされると踏んだカズマは避難という意味で源泉に行くことを伝えた。源泉の汚染を断つのはあくまでついでだが。納得のいっていない双子は渋々了承した。そういうわけで、カズマたちはアクシズ教徒たちをかいくぐりながら、源泉へと向かっていった。

 

 

ーこのすばー

 

 

何とかアクシズ教徒たちに捕まらず、源泉に行くことができる門の前まで辿り着いた。しかしながら、この門は閉ざされている。門番である騎士も立っており、警備は厳重である。それでもアクアは通してもらおうと説得しようとする。

 

「ねぇ、私アクシズ教のアークプリーストなんですけど!ほら!私の冒険者カードをちゃんと見て!」

 

「いくらアークプリーストでも無理なんです」

 

「先ほど入られた管理の方からも、誰も入れるなと言われてまして・・・」

 

「管理の人?」

 

「まぁ、それが普通の反応なんでしょうけど・・・」

 

「でも、このタイミングで?」

 

この奥に入っていった管理人が誰も入れるなという単語に引っかかるカズマと双子。考えられる可能性としては、管理人が温泉の汚染状況が深刻だと思ったからなのか、あるいはその管理人が汚染の元凶か、あるいは・・・。そんな可能性を考えていると、アクアが女神としての口調で騎士たちを諭そうとする。

 

「・・・汝、敬虔なるアクシズ教徒たちよ。これは必要なことなのです。正しい行いなのです。私たちを通すことでこの街が・・・」

 

「「あ、自分らエリス教徒なんで」」

 

だが騎士は異常なアクシズ教徒ではなく、正常なエリス教徒なので、軽く流されてしまった。

 

「なぁんでよー!!!何でこの街で生活してるくせにエリス教徒やってるのよー!!ねぇ、お願い通して!!この先の源泉が危ないの!!私、この街を救いたいだけなんです!!」

 

「・・・このまま成り行きを見てみよう」

 

「結果は予想つくけどね・・・」

 

「あんたもいい性格してるわ、くく・・・」

 

カズマはこの成り行きを面白がって様子見をしようとしている。

 

「ダメなものはダメなんです」

 

「ほら、帰った帰った」

 

「あ!ちょっと待って!あなたってなんだか・・・その・・・そこはかとなくイケメンよね!」

 

門前払いされようとした時、アクアが騎士の1人を褒めてきた。褒めてるのかどうかは疑問だが、恐らく褒めて機嫌よくさせて立ち入り許可をもらおうという浅はかな考えなのだろう。

 

「横顔のところがレッドドラゴンに似ていてかっこいいと思うの」

 

「それは俺がトカゲ顔だと言ってんのか!!ふざけんなぁ!!!」

 

が、褒めるチョイスがかなり間違ってるため、逆に騎士を怒らせてしまう。当然である。

 

「・・・わかったわ。どうしてもここを通さないっていうなら・・・あんたたちエリス教徒にひどいこと言われたってアクシズ教会に駆け込んでやるから」

 

アクアの脅迫にアクシズ教会の異常さを十分に理解している騎士たちはそれには顔を青ざめている。が、それでもここを通す気配は一切ない。

 

「な、何バカ言ってんだあんた!!クソ!これだからアクシズ教徒は質が悪いんだ!!」

 

「だいたいその青い髪!!あんた先日温泉をお湯に変えるいたずらをした人じゃないのか!!?」

 

「ギクッ!!ち、違うの・・・あれは温泉を浄化しただけで・・・」

 

「やっぱりあんたか!!!そんな奴入れられるか!!!ほら、帰ってくれ!!」

 

「やっぱこうなったか・・・」

 

それどころか痛いところを突かれて逆に体よく追い返されそうになっている。こうなると予想したカズマは仕方ないといった表情でダクネスに近づく。

 

「ほらダクネス、数少ないお前の出番だ」

 

「数少ない!!?お、おい!!私だってたまには役にたっているぞ!!おい押すな!!いったい何のつもりだ!!?」

 

ダクネスはカズマの言っている意味がわからないでいたが、勘のいい双子と知力が高い紅魔族であるめぐみんはこの状況を覆す方法に気が付いた。

 

「控えおろう!!!この方をどなたと心得るのです!!ダスティネス家のご令嬢、ダスティネス・フォード・ララティーナであらせられます!!!これは緊急事態なのです!!!」

 

「「「えっ!!!???」」」

 

まさかのダスティネス家のご令嬢の登場に騎士たちは驚き、まさか自分の家の名家を出されるとは思っておらず、驚くダクネス。

 

「ほらお嬢様!その胸元に隠してあるペンダントを・・・ちょ、お嬢様、抵抗なさらず・・・ほらとっととよこせお嬢様!!!」

 

カズマはダスティネス家の証拠のペンダントをダクネスから取り上げようとするが、名家に頼りたくないダクネスは必死の抵抗をする。

 

「スティール」

 

必死の抵抗をしているダクネスだが、ティアがダクネスに向かってスティールを放った。非常に運が高いティアは難なくスティールを成功させ、ダスティネス家の証拠のペンダントを盗み取った。

 

「あああ!!お、おいティア!!それを返せ!!」

 

「おっと力比べで勝とうなんて100年早いわよ」

 

「あ、アカメ・・・貴様いったい何のつもりだぁ!!!」

 

ダクネスは簡単にカズマを払いのけて、ティアからペンダントを取り返そうとするがアカメに立ちふさがれた。力で押し返そうとするが、元から筋力が高く、レベルアップによってステータス面で物理攻撃力、腕力が高くなったアカメの前では無力に近かった。

 

「よしいいぞアカメ!そのままお嬢様を抑えとけ!」

 

「ほらダクネス大人しく・・・ちょ・・・痛い痛い!!ほら、ウィズもダクネスを抑えて抑えて!!」

 

「ウィズ!!早く来てください!!ダクネス、ちょっと辛抱するだけですから!!」

 

「あ・・・え・・・えっと・・・ご、ごめんなさい!!ダクネスさんごめんなさい!!」

 

「お、お前たち離せ!!!ダスティネス家は不当な権力の行使は・・・ぬあああああ!!!」

 

「いいから大人しくしてろドMお嬢様!!」

 

復活したカズマを含め、ウィズやパーティメンバーがダクネスを抑える。そうしてる間にもティアはダスティネス家の証拠のペンダントを騎士たちに見せつける。

 

「本物だ・・・これはとんだご無礼を・・・失礼しました!」

 

「この先の山にはモンスターも生息しています。行かれるのであれば、どうかお気をつけください」

 

ダクネスがダスティネス家の人間だとわかった途端騎士の態度は豹変し、あっさりとカズマたちを通すことを許可したのであった。

 

 

ーこのしゅばぁ!!!ー

 

 

ひと悶着があったが、何とか源泉へ続く山に入ることに成功したカズマたち。が、先ほどの一件でダクネスは非常に不服そうに涙目で双子たちを睨みつける。

 

「まだ拗ねてるの?しょうがないじゃん、ああでもしないと通してもらえないって」

 

「そういう問題ではないバカ者!!!!お前たちと言う奴らは!!お前たちと言う奴らは!!!」

 

「貴族として扱われたいのか仲間たちと扱われたいのかハッキリしなさいよ、面倒くさい奴ね」

 

「面倒くさいとか言うな!!アカメもティアも私より年下だろう!!」

 

かなり拗ねていていて苛立ちが止まらないダクネスにカズマが優しく声をかける。

 

「あいつらがああいう態度でいられるのは、ダクネスが仲間だと認めているからだよ。もちろん、俺たちも認めてる。そう、年上のお嬢様、ララティーナ様としてではなく、頼れるクルセイダー、ダクネスとしてな」

 

「そ・・・そうか・・・それなら・・・まぁ・・・別に・・・」

 

仲間として認められて、素直なダクネスはまんざらでもない笑みを浮かべている。

 

「チョロいな」

 

「チョロいですね」

 

「チョロいね」

 

「チョロいわね」

 

「チョロ甘ね」

 

かなりチョロいダクネスにカズマたちはそう思わずにはいられなかった。

 

 

ーみ、皆さん!ー

 

 

源泉がある山に入ったカズマたちはずんずんと奥へと入っていく。長い距離を歩いてきたが、今のところモンスターが出る気配はない。

 

「それにしても、管理人の人は大丈夫かなぁ?」

 

「何がよ?」

 

「ここ、モンスターも出るんでしょ?遭遇したら太刀打ちできないんじゃ・・・」

 

「案外、もうぽっくりと惨たらしくやられちゃったりしてね」

 

「おい、そういうフラグみたいなこと言うなよ」

 

ティアの疑問は最もだ。騎士の話だと管理人は冒険者じゃないただの老人だという話だ。そんな老人がモンスターと渡り合えるとは思えないのだから。

 

「・・・ピョー・・・」

 

「どうしたのよアレクサンダー。餌でも見つけたの?」

 

するとアレクサンダーが何かに威嚇してるような体勢をとっている。そちらの方を見てみると、何やら黒い物体を見つけた。

 

「な、何でしょうか・・・これは・・・」

 

「これは・・・黒い毛皮・・・ね」

 

「ねぇ・・・この毛皮、犬牙がついてるんだけど・・・」

 

その黒い物体は何かの生物の毛皮で、この毛皮には犬牙がついていた。まるでこれは生物である言わんばかりである。しかもこの毛皮と犬牙にはどこか見覚えがあった。

 

「なぁ・・・これはもしかして、初心者殺し・・・ではないのか・・・?」

 

ダクネスに言われて見てみれば、初心者殺しの姿に瓜二つであった。しかし、どう見てもその姿は異常であるのがわかる。なぜならこの初心者殺し、自分の肉が毛皮で見えないくらいまでに衰弱してしまっているのだ。まるで、酸のような液体で溶かされたような・・・。

 

「初心者殺しって中堅冒険者がやっと倒せるぐらいの相手だったよな?だとしたらこれは・・・」

 

カズマの言葉を理解しためぐみんたちはいつもより緊張感を高まらせる。

 

「温泉管理のおじいちゃんはものすごく強いってことね!早く合流して私たちを守ってもらいましょう!」

 

が、アクアだけカズマの言っていることを理解してない様子である。

 

「ただの管理人のじいさんが初心者殺しを倒せるわけねーだろ!!この初心者殺しの溶けた死体とかおかしいだろ!!どう考えたって人外の何かの仕業だろーが!!」

 

「な、何よ!!」

 

「・・・もうアクアのバカはほっといて早く行こうよ」

 

「なんにしても、警戒した方がいいけどね。どうもただの管理のジジイじゃなさそうだし」

 

ぶつくさ文句を言っているアクアを無視してカズマたちは先へと進むのであった。

 

 

ーこのすばー

 

 

ずんずんと先を進んでいき、ようやく温泉が見えてきた。

 

「見えてきましたよ」

 

「!ちょっと待って、なんか温泉がおかしいんだけど・・・」

 

温泉の異常に気付いたティアたちは急いでその温泉まで駆け付けていった。温泉を覗いてみると、温泉の一部が禍々しく、黒く濁っていた。

 

「お、おい!このお湯黒いぞ!!?」

 

「毒なんですけど!!?これ思いっきり毒なんですけど!!?」

 

どうやらこの黒く濁っているお湯には毒が含まれているようだ。温泉の質が悪くなっていたのは、これが原因のようだ。

 

「この様子だと、既に源泉も汚染されてしまっているかもしれませんね」

 

「急ぎましょう!」

 

思っていた以上の緊急事態にカズマたちは急いで源泉の元まで向かっていく。その途中にある温泉はいくつもあったが進むにつれて、毒による濁り具合がひどかった。そんな惨状を目の当たりにしながら、ようやく源泉の元まで辿り着いた。

 

「!待て!誰かいる」

 

湯気で見えづらいが源泉の元に誰かがいるのに気づいたカズマたちは岩陰に隠れて様子を見る。よく目を凝らして見てみると、双子にとって見覚えのある男が立っていた。

 

「あれ?あの人、湖にいた石鹸洗剤のおじさんだ・・・」

 

そう、あの肌が浅黒く、茶色い短髪の男は双子がリビングで、湖で見かけた男である。

 

「・・・あれ?俺もあいつ見たぞ。あいつ昨日の混浴にいたんだ」

 

どうやらカズマも先日、混浴であの男を見たらしい。

 

「・・・なんか、今にも身投げしそうな雰囲気ね」

 

「まぁ、あのおっさんもだいぶアクシズ教徒共にやられてたしね」

 

「いや・・・待て!」

 

男を見てみると、本当に身を投げるような行動に出た。

 

「危ない!!!早まっちゃダメだああああああああ!!!!」

 

カズマは身を投げようとする男をすぐに止めようと岩陰から出てきて、男の方に駆け寄った。

 

「・・・ふぇ?」

 

が、男は身を投げるようなことはしておらず、カズマに声をかけられてマヌケな声をあげた。ただ異常な光景があるとすれば・・・男が源泉のお湯に触れた個所が黒く濁りだし、ぐつぐつと煮えたぎっている。どう見ても毒であるのが見え見えである。そして男は毒に触れても平気な様子だ。

 

「・・・ふぇ」

 

これを見てカズマも男と負け劣らずのマヌケな声を出した。

 

 

ーこのすば!!!ー

 

 

毒に触れても平気という異常な光景を目の当たりにしたカズマたちはそのことを男に問い詰めようとするが、この男は誤魔化そうとする。

 

「これはこれは観光ですか!!実はこの温泉、腰痛、肩こり、疲労回復、美容効果その他、憂鬱、邪念、各種呪いなど諸々効果がありまして!!各国の聡明な方々からも大変高評しておりまして、ですからですね・・・」

 

男は必死に誤魔化そうとしているが、なぜかウィズには視線を合わせようとはしなかった。

 

「・・・この方・・・見覚えが・・・」

 

「み、見覚えなんてそんな・・・初対面ですよ」

 

「・・・ああ!!ハンスさん!!ハンスさんですよね!!」

 

「・・・・・・!!!!」

 

「えっ?」

 

ウィズはこの男と知り合いのようで男のことを思いだしたウィズは嬉しそうな声をあげている。ハンスと呼ばれた男は非常に焦っている。

 

「だ・・・誰の事ですか?私はここの管理人の・・・」

 

「ハンスさん!お久しぶりです!私ですよ!ウィズです!リッチーのウィズですよー!」

 

「ちょ・・・ちょっと何を言っているのか・・・」

 

「確かハンスさんはデッドリーポイズンスライムの変異種でしたね!もしかして、ハンスさんが源泉に毒を入れていたんですか?」

 

「スライム・・・!」

 

「デッドリー・・・スライム?」

 

ウィズの口からぽんぽんぽんぽんと情報を漏らされ、男はかなり焦っており、ウィズを無視している。

 

「ねぇ、ハンスさん!さっきからどうして私を無視するんですか?ウィズですよ!」

 

「なんですか?私はあなたのことなんて・・・ちょ・・・揺さぶるのはやめてください」

 

「ひょっとして、私のこと忘れちゃったんですか?ほら、昔魔王さんのお城に・・・」

 

「ああああああああっと!!!!急ぎの用が・・・今すぐに街に戻ります・・・」

 

ウィズが今結構重要なことを口走りそうになり、男はそれを大声で遮り、その場から立ち去ろうとするが、カズマたちがそれを許そうとしない。

 

「どこへ行こうというのだハンス!」

 

「ここは通さないわよハンス!」

 

「そんな言い訳が通用すると思っているのですかハンス!」

 

「往生際が悪いわよハンス!」

 

「もう証拠は揃ってるんだよハンス!」

 

「悪あがきはやめて、いい加減正体を現せよ、ハンス!」

 

カズマたちはハンスハンスと連呼されて男はかなり鬱陶しそうな顔つきになっている。

 

 

ーハンス!!!!!!ー

 

 

「チキショーーーー!!!!ハンスハンスと気安く呼ぶなクソ共がぁ!!!」

 

男・・・いや、デッドリーポイズンスライムのハンスは本性を現し、気安く名を呼ばれて逆ギレする。

 

「ウィズ・・・お前店出すとか言ってたじゃねぇか!!温泉街をうろついてないで働きやがれ!!!」

 

「ひ、ひどい!!私だって頑張ってるんです!!ですが働けば働くほど貧乏になっていくのですが・・・」

 

先ほどまでハンスはしらを切っていたが、やはりウィズとハンスは魔王軍の関係者だったようだ。

 

「はぁ・・・年月をかけ隠密にやってきたっていうのに・・・。ウィズ、確かお前、結界の維持以外では魔王軍に協力しない、その代わり俺たちに敵対しないっていう互いに不干渉っていう関係だったはずだ。それがどうして俺の邪魔を・・・」

 

「ええ!!?私ハンスさんの邪魔をしてしまいましたか!!?久しぶりに会ったから声をかけただけじゃないですかぁ!!」

 

「それが邪魔になってんだぁ!!!」

 

どうやらウィズは無自覚で声をかけただけのようだが、隠密作戦を実行するにあたって、知り合いに声をかけられては確かに邪魔になっているのだ。

 

「あんたのせいでどれだけ苦渋を舐めたか・・・覚悟しなさい・・・」

 

アクシズ教徒に追いかけ回されるきっかけを作ったのはアクア本人のせいだが・・・元を正せば温泉の源泉を汚染しようとしたハンスに原因があるため、アクアの言い分は結果的には間違って・・・いないのだろうか・・・?

 

「・・・どうするんだウィズ?俺とやり合う気か?」

 

「この人は私の友人なんです!話し合いとかできませんか?」

 

ウィズの言い分にハンスは小ばかにするように鼻で笑った。

 

「相変わらずリッチーになってからは腑抜けてるんだなウィズ。お前がアークウィザードとして俺たちを狩りまくっていたあの頃には、話し合いなんて言葉出てこなかっただろうに!」

 

「あ、あの頃は、周りが見えていなかったというか・・・」

 

「ウィズ、こいつとは顔見知りなんだろ?戦いづらい相手だろうから、下がっていてくれ」

 

ハンスの言い分にしどろもどろになっているウィズを下げさせ、カズマがちゅんちゅん丸を抜き、ハンスと対峙する。

 

「俺の名はサトウカズマ!数多の強敵を屠りし者!」

 

「か、カズマさん!確かに私として、戦うことは避けたいのですが・・・」

 

ウィズはカズマを止めようとしているが、カズマの意志は揺るがない。

 

「行くぜ・・・相棒・・・(イケボ)」

 

「ちゅんちゅん丸」

 

「違う」

 

かっこよく決めているようだが、めぐみんがそれを台無しにさせる。

 

「いいだろう・・・誰もが俺の本性を見ると恐れひれ伏し、許しを請うてきた・・・お前は骨がありそうだ・・・」

 

(最弱モンスターのくせに何言ってんだ?デッドリーポイズンの名からして、毒攻撃してきそうだが、こっちには毒を浄化できるアクアがいる。負ける様子が見当たらない)

 

カズマはスライムというモンスターはゲームでいうところのザコモンスターとして認識しているため、スライムであるハンスにかなり強気である。だが、ここはファンタジーの常識をぶち壊す世界。カズマの強きがハンスの言葉で一気に崩れ去る。

 

「俺の名はハンス・・・魔王軍幹部の1人・・・デッドリーポイズンスライム(ねっとり)のハンスだ」

 

「!!?今なんて?魔王軍幹部!!?」

 

ハンスが魔王軍幹部だと聞いて、カズマは目が点となる。

 

「ハンスさんは幹部の中でも高い賞金を懸けられてる方です!とても強いので注意を!」

 

この世界ではスライムが強いという常識を知らないカズマすがる思いで仲間たちに現実を否定してもらおうと質問する。

 

「な・・・なぁ・・・スライムってのはザコだろ?ザコだよな?」

 

「そんな大嘘塗れの話誰から聞いたのさ!!?スライムは滅茶苦茶強敵だよ!!?」

 

「スライムってのはね、言ってみれば私の天敵よ。まず私の得意とする物理攻撃が効かない。1度貼りつかれたらそれこそ死だと思いなさい」

 

「死・・・!!?ぐ、具体的には・・・」

 

「スライムの消化液で内臓を溶かされるか、窒息させられるか・・・スライムに張り付かれたらその2つが待ってると思え!」

 

「何それ怖い!!!」

 

「しかもそいつは、街中の温泉を汚染できる猛毒の持ち主です!触れたら即死だと思ってください!!」

 

「そ、即死!!!???」

 

仲間たちからスライムの恐ろしさを聞かされたカズマはここはゲームの常識を壊すような世界だったと改めて思い知ったと同時に、目の前のハンスの存在に恐怖で心臓がバクバクしっぱなしである。

 

「大丈夫よカズマ・・・死んでも私がついてるわ!でも捕食だけはダメよ?骨まで消化されたら蘇生できないからね」

 

しかも骨まで消化されたらいくらアクアでも蘇生できないと聞き、カズマは血の気が引いて、完全に身を縮こまった。

 

『緊急クエスト発生!!!

魔王軍幹部、デッドリーポイズンスライムのハンスを討伐せよ!!!』

 

「フハハハハ!!!さあかかってくるがいい勇敢なる冒険者よ!!!この俺を倒し・・・」

 

「すいません!!!!本当にすいませーーーーーーーん!!!!!」

 

恐れをなしたカズマは誰よりも早く、一目散に逃げだしたのだった。

 

 

ーこのしゅばーーーーー!!!ー

 

 

恐ろしい存在ハンスを前に逃げ出したカズマ。めぐみんたちもハンスには太刀打ちできないと判断し、カズマと共に逃げている。

 

「ちょ・・・何で逃げるの!!??」

 

「バカ野郎!!早く来い!!あいつは今までの中で1番やばい!!」

 

「ああ・・・スライム・・・スライムが・・・」

 

「ダクネス!!さすがにあれは死にます!!」

 

最もアクアは納得していない様子、ダクネスはせっかくのスライムに弄ばれるのを期待していたため、すごくがっかりしているが。

 

「!!ちょ・・・ちょっと待ちなさい!!あれ・・・あれを見なさい!!」

 

「ひぇっ・・・」

 

前方に何かを発見したアカメはカズマたちにストップをかけた。前方の何かを見たティアは顔を青くさせる。前方でカズマたちを待っていたのは・・・

 

『悪魔倒すべし!!魔王しばくべし!!悪魔倒すべし!!魔王しばくべし!!』

 

アクアを追っていたアクシズ教徒の集団であった。偽アクア打倒を元に、アクシズ教徒たちは警備さえも退けさせ、こんなところまでやってきたのだ。

 

「嘘でしょ嘘でしょ・・・こんな場所まで・・・はぅ・・・」

 

「ちょ!!ティア!!しっかりしなさい!!」

 

アクシズ教徒嫌いのティアは軽くめまいを起こし、倒れそうになった。それをアカメがしっかりと支える。

 

「・・・うん。もう源泉は諦めようぜ。どうせアクシズ教徒なんていらない子たちだし」

 

カズマの放った言葉は世間にとってはごもっともな事なのだが、アクシズ教の女神であるアクアはやはり聞き捨てならなかった。

 

「何言っているのねぇ!!!??この星のアクシズ教団が崩壊しちゃううううう!!!」

 

「「「「いいことじゃない(か)(ですか)」」」」

 

「うわあああああああああああん!!!!!」

 

アクシズ教団は滅んでも構わないというカズマたちの答えにアクアは泣き喚く。

 

「あ、アクア様をからかうのはやめてください!」

 

「ウィズだって心の奥底ではなくなってしまえって思ってるんじゃないの?」

 

「そ、そんなこと・・・ない・・・はず・・・です・・・」

 

「なんでそんな弱気なのよねぇ!!!??」

 

アクアを庇っているウィズだが、ティアの発言に心ではなくなった方が幸せなのではと若干思っていたので何とも言えない。

 

「もういいわよ!!!」

 

「あ、おい!!」

 

「あのクソザコバカ・・・1人で何ができるってのよ・・・」

 

もう頼りにならないと判断したカズマはたった1人でハンスを倒そうと戻っていった。それを見届けためぐみんたちはカズマとアクシズ教徒嫌いの双子をじっと見る。

 

「・・・いいのか?このままでは、もっとひどいことになるぞ」

 

「もちろん、双子のアクシズ教徒嫌いはわかっています。ですが、盗賊団ならこう言った状況、どうしますか?」

 

ダクネスやめぐみんの問いかけに、双子とカズマはお互いに顔を見合わせる。少しの沈黙の後、3人はため息をつく。

 

「・・・これは貸しだってあのザコに言っておきなさい」

 

「本当は助けたくないけど・・・いいよね、カズマ」

 

「・・・しょーがねーなー」

 

あれほどいやいやと言っておきながら、なんだかんだでアクアに協力しようという姿勢にめぐみんたちはその姿を頼もしく思い、笑みを浮かべた。

 

 

ーこのすばー

 

 

源泉の元ではハンスがお湯に手を突っ込み自身の毒を混ぜ込んでいる。そんな破壊工作の最中、ハンスを倒そうとアクアが戻ってきた。

 

「ちょっとあんた!!毒属性なんてそんなの流行んないのよ!!暗いのよ!!どうせそんなだからモテなくて魔王軍なんかに身をやつしたんでしょ!!悔い改めなさい!!」

 

「なんだと・・・」

 

アクアの言葉に癪に障ったのかハンスはアクアを睨みつける。

 

「アクアー!!」

 

「!カズマ!」

 

カズマもこちらにやってきて、アクアは笑みを浮かべる。やはりアクアはカズマを信用しているのがよくわかる。

 

「・・・どの面下げて戻ってきた、ザコ共」

 

やはりハンスに怯えているカズマだが、双子はかなり強気だ。

 

「はっ、ザコかどうか、試してみる?おっさん」

 

「舐めてかかってると、痛い目に合うよ」

 

「減らず口を・・・。まぁいい・・・何にしても、この街の温泉を汚染さえ完了しちまえば、この街にもう用はない。ようやくだ!!ようやくこの忌々しい街からおさらばできる!!!」

 

「ま、まぁ・・・気持ちはわからなくもないんだけどね・・・」

 

アルカンレティアでハンスと同じ苦しみを体験してきた双子たちは少なからず気持ちだけは理解できる。そんな話をしていると、アカメは先にここに来ているはずの管理人のことを思い出す。

 

「そういえば、あんた管理人じゃないわよね。だったら、本物の管理人のジジイはどうしたのよ?」

 

「喰った」

 

アカメの問いかけにハンスは率直に答えた。喰った・・・ということは文字通り、ハンスは管理人を喰らったということなのだろう。それに驚愕したカズマは思わず聞き返した。

 

「え・・・?今、なんて・・・」

 

「だから喰ったと言っている。俺はスライムだ。食べることが本能だぞ?そもそも喰った相手じゃないと擬態が・・・」

 

「カースド・クリスタルプリズン」

 

ハンスが淡々と答えたその時、ウィズが氷の魔法、カースド・クリスタルプリズンをハンスに放った。この魔法の冷気によって、冷気が通った場所が一瞬で凍り付き、ハンスの左手も巻き込み、凍らせた。

 

「!!!!???があああああああああ!!!!!」

 

「う・・・ウィズ・・・?」

 

「あんた・・・」

 

魔法を放ったウィズを見ていると、その顔は明らかに怒りで染め上がっていた。今まで見たことがないウィズの顔にカズマたちはもちろん、付き合いが長い双子も驚いていた。

 

「・・・確か、私が中立でいる条件は、戦闘に携わる人間以外の人間を、殺さないことに限る・・・でしたよね・・・?」

 

「ウィズ!!!やめろ!!!魔法を解け!!!」

 

「冒険者が戦闘で命を落とすことはしかたのないことです。彼らだってモンスターの命を奪い、それで生計を立てていますから。自らも、狩られる覚悟は持つべきです。そして騎士もそうです。彼らは税をとり、その代価として住民を守っている。対価を得ているのですから、命のやり取りはしかたありません」

 

「ウィズ!!!俺と本気でやり合う気か!!??ここでまともにやり合えば、この辺り一帯は完全に汚染され・・・」

 

「ですが・・・ですが管理人のおじいさんは、何の罪もないじゃないですか!!!!」

 

「ウィズが怖いんですけど・・・」

 

普段見せないウィズの姿にアクアとめぐみんはビビってカズマの後ろに隠れている。とはいえ、ウィズがあそこまでやる気を出しているのだから、カズマ自身も腹をくくった。

 

「氷の魔女と恐れられたお前を相手にするには・・・やむを得ん!!!!」

 

そう言ってハンスは凍らされた左手を自らの手で切断した。すると、切断した個所から、禍々しく、ぶよぶよとした液体が切口から出てきた。

 

「本能のままに喰らいつくす・・・」

 

そこまで言い放つとぶよぶよとした液体はハンスの肉体を全て覆い尽くし、どんどんと膨れ上がっていき、1つの屋敷を丸のみにできるほどに巨大化した。そう・・・このぶよぶよした液体こそが、デッドリーポイズンスライムハンスの本当の姿なのだ。

 

「おお・・・何と見事なスライムだ!惜しい!毒がなければ持って帰り、我が家のペットにするところだ!」

 

「脳みそ溶かされてんのかああああああああ!!!!」

 

ダクネスがバカなことを言っている間にも、ハンスは行動に出た。ハンスは自身の身体の一部を辺り一面を無差別に放った。当然、毒が入っているため、一部が温泉に入るとその箇所が黒く汚染される。

 

「あああ!!!温泉が!!!」

 

「アクア!!?何やってるの!!?危ないから下がって!!!」

 

アクアは毒が入った温泉を浄化しようと危険を顧みず温泉に近づき、ピュリヒケーションを一心不乱に放った。

 

「なんだあれは!!!???」

 

「あいつが温泉を汚していたのか!!!」

 

そうしている間にもアクシズ教徒の集団がここに集まってきて、今現在起こっている事態に戸惑いを見せている。

 

「ピュリヒケーション!!ピュリヒケーション!!ピュリヒケーション!!ピュリヒケーション!!ああああ!!熱い熱い!!!」

 

「もうそんなんいいから!!とっとと逃げろぉ!!!」

 

「だってだって!!ここを守らないとうちの子たちがぁ!!」

 

アクアが熱いのに耐えながらも必死に温泉を浄化しようとしているのを見て、アクシズ教徒たちはアクアが本当に温泉を守ろうとしていたというのに気が付く。

 

「見ろ!!」

 

「青い髪の子が言っていたことは本当だったんだ!!」

 

「やっつけろーーーー!!!!」

 

『ヒール!!ヒール!!ヒール!!』

 

アクシズ教徒たちはハンスをやっつけようといろいろなものをハンスに向けて投げていく。アークプリーストたちはアクアにヒールをかけて回復させる。

 

「お姉ちゃん!!頑張ってぇ!!!」

 

アクシズ教徒の少女がアクアを応援していた時、ハンスの毒が少女に迫ろうとしていた。

 

「危ない!!」

 

「ダメだ!!間に合わない!!」

 

ダクネスが少女を助けようとするが、素早い速さでなければ間に合わない。もうダメだと思った時、なんとアカメが少女を素早く抱きかかえて毒を避けた。

 

「お姉ちゃん!!」

 

「ほっ・・・」

 

アカメと少女が無事でティアもカズマも一安心。

 

「赤髪のお姉ちゃん・・・」

 

「前に出すぎんな!!!死にたいの!!?」

 

「ご、ごめんなさい・・・」

 

またも迫ってきた毒にアカメは少女を守りながら毒を1つ1つ避けていく。

 

「みんな!!ここは危険だ!!下がれ!!」

 

ダクネスがアクシズ教徒たちを避難させようと声をかけるが・・・

 

「何言ってんだこのエリス教徒があ!!!!」

 

「この邪教徒!!!」

 

「にゃあああああああ!!!」

 

アクシズ教徒たちはダクネスに向かっていろいろな投げたり、ほうきで払われたりして、ダクネスはぞんざいな扱いを受けた。

 

「私の爆裂魔法で木端微塵にしてあげます!!」

 

「やめて!!この山自体が汚染されちゃう!!」

 

確かに爆裂魔法なんて放ったらハンスの身体が四散し、毒が辺り一面を汚染してしまうだろう。

 

「あんな毒を持った相手、バインドじゃ縄を溶かされちゃうしどうしたら・・・」

 

「くそ!ウィズ!何とかならないのか!!?」

 

「今の私の魔力ではあの大きさを凍り付かせることはできません!なんとか、あれを小さくさせることができれば・・・」

 

小さくさせると言われてもあれほどの大きさでしかも毒を持った相手だ。触れれば逆に自分が捕食されてしまうため、最大困難だと思われるのでカズマも対処が困る。

 

「俺たちの大事な温泉を毒で汚しやがって!!許さねぇ!!!」

 

「この罰当たりのすっとこどっこい!!!!」

 

アクシズ教徒たちは怒りでどんどんと物を投げていくが、無傷どころかほとんどのものがハンスに吸収されていく。ハンスはアクシズ教徒たちが投げた饅頭に目を付けて、触手を伸ばして饅頭を吸収していく。その途中で石鹸と洗剤があったが、ハンスはそれを吸収せず、すぐ近くにあった饅頭だけを吸収する。

 

「せ、石鹸と洗剤だけ避けてるよ・・・」

 

「す、スライムでも選り好みするのか・・・」

 

「ちょっとカズマ!!」

 

「なんだ?」

 

「あんたお得意のこずるい打開策を考えて何とかしなさいよ!!正直こっちは限界なんだけど!!」

 

「こずるいとか言うなよ」

 

少女を守り続けて避けてるため、アカメには疲労の顔が見える。一言余計だと言わんばかりの顔をしたカズマはハンスの体内に人間の骨があるのを見つけた。

 

「あああ!!温泉の管理人さん!!」

 

「あの野郎!!喰っちまったのか!!!絶対許さねぇ!!!」

 

どうやらあの骨は本物の温泉の管理人でまだ完全に消化しきれてないようだ。それを見たカズマは苦渋な表情をしながらも、イチかバチかの打開策を閃いた。

 

「アクア!!完全に消化されてなければ、蘇生できるか!!?」

 

「え!!?できるわよ!!」

 

「ウィズ!あいつが小さければ、氷漬けにできるんだな!!?」

 

「え、ええ。今の半分くらいになれば・・・」

 

一通りの確認をしたカズマはこれならばなんとかできると確信を持った。

 

「めぐみん!爆裂魔法を撃たせてやるぞ!!あっちで待機してるんだ!!」

 

「!!う、撃っていいんですか!!?撃ちますからね!!!」

 

爆裂魔法を撃っていいと確認すると、めぐみんはうきうきした様子で待機地点に移動する。

 

「ティア!お前はこれでもかってくらいにアカメの武器に電気属性の付与を頼む!!」

 

「わ、わかった!!限界を超えるほどの威力を出させるよ!!」

 

「アカメ!!とどめはお前にくれてやる!!再起不能ってくらいにやっちまえ!!」

 

「・・・はっ!上等よ!やってやろうじゃない!アレクサンダー!!」

 

「ピィーヒョロロローーー!!!」

 

作戦を理解したアカメは少女と共にアレクサンダーの背中に乗り込む。

 

「私は飛び散るハンスの破片から皆を守ればいいんだな?」

 

「そういうことだ!頼りにしてるぞ!」

 

「ダクネス!こいつ頼んだわよ!」

 

「わー!やめろ邪教徒!!!」

 

「行こうお姉ちゃん!」

 

自分の役割を理解したダクネスはアカメから嫌がっている少女を預かる。ティアがアレクサンダーに乗り込み、双子は指定ポイントに移動する。

 

(温泉街に幹部クラス登場なんて・・・たく!ゲームバランスどうなってんだこの世界は!!)

 

カズマ自身も内心のこの世界の理不尽さを愚痴りながらも作戦を決行するために行動を始める。ハンスは未だに温泉を浄化しているアクアを喰らおうと近づいてきている。そのハンスを止めるため、カズマは饅頭をハンスに向かって投げつける。それによってハンスはカズマに気付いた。

 

「お前の餌は・・・この俺だ!!!」

 

カズマは自らを囮にし、ハンスを引き付けようとした。カズマの狙い通り、ハンスはスライムの本能のまま、カズマを喰らおうとして追いかける。

 

「サンダーズエンチャント!エンチャント!エンチャント!エンチャント!!エンチャント!!!」

 

「爆走、爆走、爆走・・・最高最強にして最大の魔法、爆裂魔法の使い手・・・我が名はめぐみん。我に許されし一撃は同胞の愛にも似た盲目を奏で、塑性を脆性へと葬り去る・・・強き鼓動を享受する!!!!」

 

指定ポイントに移動しているめぐみんは爆裂魔法を放てられるように詠唱を唱えており、ティアはアカメの武器に電気属性を自分の魔力が尽ききるまで付与させ、威力を限界以上まで底上げさせる。ウィズもハンスを氷漬けにできるように魔力を限界まで練る。

 

「お前の運の尽きは、この街に来たことじゃない・・・俺たちを相手にしたことだあああああああ!!!」

 

ハンスを源泉から崖まで離させたカズマはそのまま崖を飛び降りる。ハンス自身もカズマに狙いを定めて、崖から飛び降りた。

 

「後は任せたぞ!!みんなああああああああああうぎゃあああああああああああああ!!!!!!」

 

カズマは仲間たちに後を託し、ハンスに飲み込まれて骨だけになってしまった。

 

「哀れな獣よ、紅き黒炎と同調し、血潮となりて償いたまえ!!!

穿て!!!!!エクスプロージョン!!!!!!

 

ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!

 

ハンスが着地したと同時にめぐみんが爆裂魔法を放ち、大爆発を起こす。この爆発によってハンスは自身の毒が飛び散っていく。

 

「危ないぞ!!!下がれ!!!」

 

ダクネスは飛び散った毒からアクシズ教徒たちを守っていく。毒に当たりはしたがさすがは防御に極振りしたクルセイダー。飛び散った破片くらいでは少ししかダメージを喰らわない。今の爆裂魔法でハンスはもう骨しか残っていない。

 

カースド・クリスタルプリズン!!!!!」

 

さらに追撃としてウィズが最大威力のカースド・クリスタルプリズンをハンスに放った。放たれた強大な冷気によって、ハンスは一瞬で氷漬けになる。そこへ、轟雷をともいえる電気を纏った短剣を握りしめ、アカメがハンスに突進する。

 

これで終わりよ!!!轟雷・三連斬!!!!!

 

ゴオオオオオン!!!!!!ゴオオオオオン!!!!!!ゴオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!

 

短剣の斬撃はまるで本当に雷が落ちてきたかのような威力を放ち、ハンスの骨を粉々にまで砕け散らせた。轟雷が落ち着いた頃には、辺りには粉々になった骨しか残っておらず、アカメの短剣は限界まで来たのかパキンと粉々になった。

 

「はぁ・・・はぁ・・・さすがに・・・疲れたわね・・・」

 

「お疲れ様、お姉ちゃん。めぐみんもウィズも、お疲れ」

 

自分の限界の力を使ったアカメは息を整える。そこへめぐみんを背負ったティアとダクネスが駆け付ける。

 

「はぁ・・・はぁ・・・魔力を尽きる前に、ハンスさんを止めることができて・・・よかった・・・」

 

「やったのか!!?」

 

ハンスを倒すことができただろうと思っていたその時・・・

 

「・・・ここまで俺を追いつめるとは・・・」

 

「何!!?」

 

「ちょっと・・・嘘でしょ・・・」

 

「まだ・・・生きてるの・・・?」

 

ハンスの骨の残骸から、先ほどよりかなり小さくなり、有名ゲームの回復スライムのような姿をしたハンスが出てきた。疲労しきっている双子たちはそれには驚愕する。

 

「だがまだだ・・・すぐにお前たちを喰らって食らい尽くしてくれる!!!」

 

いくら小さくなったとはいえ、全てを出し尽くした状態で戦ったら負けるのは目に見えている。そしてダクネスの斬撃はいつだって空振り・・・絶体絶命になったその時・・・

 

『悪魔倒すべし。魔王しばくべし。悪魔倒すべし。魔王しばくべし』

 

「悪魔倒すべし・・・魔王しばくべし」

 

アクシズ教徒の集団を引き連れたアクアがやってきて、拳を構えてハンスを睨みつける。

 

ゴッドブローーーーー!!!!!

 

アクアはいつも失敗ばかりの神技の1つ、ゴッドブローを力いっぱいに放った。

 

「ぐっ・・・何かと思えば・・・素手ぐらいでは俺は倒せんぞ、このへなちょこプリーストがあああああ!!!!」

 

「お姉ちゃーーーーーーん!!!!!!」

 

ハンスに触れてしまったため、ハンスの毒がアクアの拳を包み込み、アクアを飲み込まんとする。アクアは自身の浄化体質でそれに対抗する。

 

「アクシズ教、教義!!!!」

 

アクシズ教徒たちはアクアが勝つと信じて、アクシズ教の教義を唱え始めた。

 

『アクシズ教徒はやればできる!!できる子たちなのだから上手くいかなくてもそれはあなたのせいじゃない!!うまくいかないのは世間が悪い!!』

 

「自分を抑えて真面目に生きても頑張らないまま生きても明日は何が起こるか分からない・・・なら分からない明日の事よりも、確かな今を楽に行きなさい!!」

 

「汝、何かの事で悩むなら、今を楽しく生きなさい・・・楽な方へ流されなさい・・・水のように流されなさい・・・自分を抑えず、本能のおもむくままに進みなさい!!」

 

「嫌なことからは逃げればいい!!逃げるのは負けじゃない!!逃げるが勝ちという言葉があるのだから!!」

 

「「迷った末に出した答えはどちらを選んでも後悔するもの!!どうせ後悔するのなら今が楽な方を選びなさい!!」」

 

アクシズ教徒たちが教義を唱えていると、アクアのもう片方の拳がこれまでとは比べ物にならないほどの神々しさが纏っている。

 

「!なんだ・・・その光は!!?」

 

この現象にハンスは戸惑いが生まれ、困惑する。

 

「悪人に人権があるのならニートにだって人権はある!!汝、ニートである事を恥じるなかれ!!働かなくても生きていけるならそれに越した事はないのだから!!」

 

「汝、我慢をする事なかれ!!飲みたい気分の時に飲み、食べたい気分の時に食べるがよい!!明日もそれが食べられるとは限らないのだから!!」

 

「汝、老後を恐れるなかれ・・・未来のあなたが笑っているかそれは神ですらも分からない・・・なら今だけでも笑いなさい!!!!」

 

『悪魔倒すべし!!!魔王しばくべし!!!』

 

以前アクアが言っていた。信者の数と信仰心がそのまま神の力になると。今起こっている現状は全て、アクシズ教徒たちの女神アクアの強い信仰心によって生まれたものなのだ。

 

「かわいい信者たちの大切な温泉を汚したその罪・・・万死に値するわ!!神の救いを求め、懺悔なさい!!!」

 

「・・・!!!まさか・・・」

 

エリスの胸はパッド入りいいいいいいいいい!!!!!!!

 

ゴッドォ・・・レイクエムうううううううううう!!!!!!!

 

アクアは神々しい光を纏った拳に力を込めて、ハンスにアッパーを放ち、ゴッドレクイエムを放った。

 

「ぐああああああああああああああ!!!!!あいつらが崇拝している、忌々しい女神とは・・・まさか・・・お前があああああああああああああああああ!!!!!!」

 

アクアのゴッドレクイエムによって、ハンスは浄化され、消滅した。そして、神々しい光は、この山全体を包んでいき・・・。

 

 

ーこのすばー

 

 

こうして、ハンスとの戦いは終わった。アクアたちは汚染騒ぎの功労者として感謝され・・・ることはなかった。

 

「私頑張って浄化しただけなのに!!なんでみんなに怒られるのよ!!?」

 

なぜアクシズ教徒たちに怒られることになったのかは・・・やはり原因はアクアにあった。アクアの放ったゴッドレクイエムにより、アルカンレティアの全ての温泉はお湯になってしまったのだ。アクシズ教団の財源の元を断つという魔王軍の目的を結果的には手助けしてしまったのだ。まぁ、毒に汚染されるよりかはマシだが。ということなので、カズマと管理人の蘇生を果たした後は、そのまま馬車で帰ることになったのだ。

 

「「二度と来るかこんな街!!!!」」

 

双子たちはアルカンレティアには二度と来ないと心から誓った。本当ならウィズのテレポートでアクセルに帰るのだが、浄化の力に当てられてまたも消えかかってしまっているので、これは断念。馬車に揺られながら、カズマたちはアクセルに帰還。アクセルに戻った後はバニルにウィズを返却し、自分たちは住まいの屋敷に戻っていく。

 

「お、温泉行ってたんだって?いいご身分じゃねぇか~」

 

「おかえりー!」

 

「カズマ、今晩ギルドで飲もうぜ~」

 

「ぶえええええ!!無事で・・・無事でよがっだああああああ!!」

 

「おかえりなさい!大変でしたね!」

 

「生きて帰ったか・・・やはりお前は・・・いや、気のせいか・・・」

 

帰ってきたカズマたちにダストたちが飲みに誘ったり、ミミィ、ルナが労いの言葉をかけてもらったりしていた。荒くれ者も、カズマたちが帰ってきてふっと笑っていた。やっと戻ってきたカズマたちの屋敷で・・・

 

「皆さんおかえりなさい!さあめぐみん!今日こそ勝負よ!!」

 

「・・・毎日、待ち伏せていたようですね」

 

「ち、ちちちち、違うわよ!!今日たまたまここに来たのよ!!」

 

めぐみんと勝負してもらおうと毎日ここに来ていたゆんゆんが待ち伏せていた。それにはカズマたちは少しあきれていた。

 

「ふぅ・・・しかたありませんね。久しぶりにかまってあげましょうか」

 

「え?いいの?」

 

めぐみんはふっと笑いながらゆんゆんに付き合ってあげることにした。その間にカズマたちは自分たちの荷物を屋敷へと運んでいく。

 

「ただまー!」

 

「おかえりー」

 

「やっぱり我が家が1番ね!!」

 

帰ってきたカズマたちは旅の疲れをゆっくりと癒すのであった。

 

 

ーこのすばー

 

 

一方、自分の部屋に戻った双子はポストに届いていた封筒の中身を見て、お互いに顔を合わせながら、困ったような顔になっている。

 

「・・・ねぇ、これ、どうすんのよ?」

 

「どうって・・・そりゃ、1回アヌビスに戻る他ないんじゃない?」

 

「はぁ・・・なんだってこれに私たちが選ばれんのよ・・・」

 

「本当だよ・・・お姉ちゃんだけ無様な姿をさらせばよかったのに」

 

「あ?」

 

「は?」

 

お互いに口喧嘩に発展しそうになったが、封筒に入っていた用紙を見て、それはとどまった。

 

「・・・言ってても仕方ないし、カズマに明日相談しよ」

 

「そうね。でも今は休んでもいいわよね。期間はまだあるんだし」

 

旅で疲れているため双子たちはリビングで身体を休めに向かった。双子が置いていった用紙には、このようなことが書かれていた。

 

『灼熱都市アヌビス誕生50周年記念祭、開催のお知らせ』

 

アヌビスで開かれる街の催し物がカズマたちの、新たなる災難の始まりになろうとは、この時のカズマたちはまだ、知らないのであった。




新章突入!

10年に1度のアヌビス誕生記念祭の巫女役として選ばれたアカメとティアの双子たち。双子はカズマに手伝いを申請。

アカメ「あんたたち、記念祭の準備を手伝ってちょうだい」

ティア「報酬は前払い、アヌビスにあるプール施設の招待を・・・」

カズマ「今プールと仰いましたか?」

プールにホイホイとつられ、手伝いを承諾したカズマ。アヌビスへ行く道中、様々なモンスターと対面!

???「・・・コロス・・・ノ・・・?」

カズマ「殺せるわけねぇだろおおおおお!!!」

ダクネス「んにゃあああああ!!!砂マグロがぬめぬめすりゅううううううう!!!!」

めぐみん「もう我慢できません!!!撃ちます!!!」

???「ウホ♡いい男♡やらないか?」

カズマ「いやあああああああああああ!!!!助けてええええええええええええ!!!!」

ウェーブ盗賊団本部の人間との初めての出会い・・・

ネクサス「カズマさんや・・・あんたうちのバカ共とどういった関係だ?」

バーバラ「君って本当に罪作りな男だねー」

カテジナ「あの2人をここまで育てあげたのは、ネクサス様なのですから」

記念祭の準備が進められる中流れる噂とうごめく暗躍・・・

マホ「最近夜になるとドラゴンが飛び回るって噂になってるぜ」

???「この砂漠地帯もなくなることでしょう・・・」

そして始まる記念祭・・・だがそこでトラブルが。

???「アヌビスも、この砂漠も壊し、崩壊記念日を作ってやるぜええええええええ!!!」

果たして、アヌビス記念祭を無事成功で収めることができるのか・・・?

新章、『そりゃないぜ、双子ちゃん』

カズマ「冷えてきたし、宿に戻るかー」

アカメ「・・・冷えてる・・・かしら・・・///」

カズマ「お前のこと、少しは見直したぜ」

ティア「そ、そう・・・?あ、ありがとう・・・///」

次回、この砂漠地帯で漁業を!
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