アクセルの街の冒険者ギルド、双子はここでの初めてのクエストにとりかかろうとクエストボードを確認している。
「さて、今日から初めてのクエストだけど・・・どれにする?」
「そうね・・・とりあえず、まずは近場に慣れるっていう意味を込めて、極めて簡単なクエストにしましょうか」
「私たち、ここに来てまだ日が浅いもんね、異議はないよ」
まだこのアクセル領地を深く知らない双子は高難易度のクエストはやめて、近場でもこなせそうな低難易度クエストを選択することにする。
「でも問題はパーティはどうするの?私たちだけじゃまともにこなせないよ?」
この双子特有の喧嘩は仕事に支障が出るほどなのだから2人だけでクエストに行くのは得策ではない。それは砂漠で仕事をこなしてきたからよく理解しているから断言できる。彼女らに必要なのは彼女らを導くことができる指導者なのだと。
「そうね。とりあえずクエストを選んだらすぐにパーティ募集を見るわよ」
「話は聞かせてもらったぜ!」
その会話を聞いていたのかすぐ隣にいた冒険者が待ってましたと言わんばかりに声をかけてきた。
「砂漠のお嬢ちゃんたち、一稼ぎしようってんなら、俺たちのパーティがおすすめだぜ」
「そうそう、俺たちとパーティを組めよ。そしたら、金なんて溜まり放題だぜ?」
「こう見えても俺たちは、このギルドじゃそこそこの強さを誇る。熟練者のあんたたちなら、わかるよな?」
このパーティご一行は双子がこのギルドに来た時から双子をずっと目をつけていた。自分たちの金の稼ぎの役に立ちそうという簡単な理由を持っていたからだ。
「といってもねぇ・・・」
「あんたたち、シーフっていう上級職なんだろ?だったら大丈夫さ。あんたたちさえいれば、どんなクエストでも楽勝さ」
いかにも根拠のない発言だが、能力を認めているというのは間違いないだろう。・・・この双子ならではの問題があるということも知らずにだが。
「あら、中々にわかってるじゃない。そうよ、私なら討伐でも採掘でも楽勝よ」
「お姉ちゃん?」
アカメはこの強者パーティに賛同的だが、ティアはなんだか不安を覚えている。すると、一部始終を聞いていた他のパーティが割って入ってきた。
「ちょっとあんたたち!またそうやってまた変に取り込もうとして・・・絶対にダメだからね!」
「なああんたら、こいつらのパーティはやめた方がいい。こいつらはベテランに取り入ろうとするどうしようもない奴らなんだ。自分たちの稼ぎのことしか考えてない」
「僕たちの元に来るといい。一から経験を積んで、一緒にアクセル領地を知っていこう」
どうやらこのパーティは双子たちを心配してこうしてパーティを誘ってくれているようだ。当然ながらこの割り込みに強者パーティは反論する。
「はあ?別に1人締めしようってわけじゃねぇんだからいいだろうが。つか経験者なら一からとか、必要ねぇだろ」
「経験者だとかそんなのは関係ない!彼女たちはここに来たばかりなんだ。ならまずこの場所を慣れさせてからでも遅くはないはずだ!」
「どうせあんたたちは上級職が相手ならなんだって構わないから媚びを売ってるんでしょ!」
「ああ!!?誰でもいいわけねぇだろ!この間連れていった頭のおかしい爆裂娘のせいで俺たちは偉い目にあったんだぞ!」
「ちゃんと話を聞かないからそうなるんだ!」
「なら聞くが、お前は自分を女神とか言い張ってる残念な新人を連れていきたいと思うか⁉」
「それは・・・私たちも嫌だけど・・・どうもアクシズ教関連みたいだし・・・」
お互いの方針が全く異なっているために、強者パーティと慎重派パーティは言い争いをしている。その間に双子は少し話し合う。
「ねぇお姉ちゃん、この人たちの言うとおり、一から経験を積んだ方がいいって。私たち、まだこの地を知らないんだよ?」
「何よティア、怖気ついたとでもいうの?情けないわね。それでも私の妹かしら」
「そうじゃなくって!いきなり遠くへ行くのはリスクが高いって言ってるの!わっかんないかなぁ!」
「じゃああんたは大儲けしたくないわけ?私たちの生活にもきっと潤うはずなのに?」
「そりゃしたいけど、別にそんなドカンと一発勝負じゃなくてもいいじゃん!地道にやっていこうよ、ね?」
「人生はギャンブルというでしょ?」
双子の話し合いがだんだんとヒートアップしていっている。
「あ、あのー・・・お2人さん?」
「もうそろそろ・・・」
それに気づいた両パーティも恐る恐る止めているが、聞く耳が持たない。そしてついには・・・
「いい加減にしろって言ってるでしょ!!何で私の言うことを聞けないのよこの【ピーーッ】の【ピーッ】の【ピーッ】が!!」
「お姉ちゃんが自分勝手すぎるから言ってるんでしょこのすっとこどっこい!!放送禁止用語の達人!!」
『・・・・・・』
この激しい取っ組み合いを見て周りの冒険者は厄介ごとに巻き込まれないように他人事だと装ってる。パーティに誘ってきた両メンバーも若干ながら後悔している。
「もういい!!勝手にすれば?私はこの人たちと安全にお仕事をこなすから!!」
「え?あ、ありが・・・とう・・・?」
ティアは慎重派のパーティに入ることを決めたようで慎重派のパーティはどう反応すればいいかわからなかった。
「あっそ、好きにすればいいじゃない。私はこいつらと大物を狙い続けてやるわ」
「お、おう・・・?そいつは・・・頼もしい・・・な・・・?」
アカメは強者パーティに参加を決め、こちらも同様、何がどうなっているかわからなかった。両パーティたちは別々になった双子たちを交互を見る。
「いいよそんなわからず屋は。どうにも、そっちの野蛮人と一緒の方がいいみたいだし」
「は、はぁ・・・」
「そんな臆病者は放っておきなさい。どうせまともな戦力にもなりはしないのだから」
「お、おう・・・」
アカメとティアはそれぞれのパーティから離れさせるように促し、パーティリーダーを連れ歩く。
「あー・・・えーっと・・・なんか当初の予定と外れたが・・・気を取り直して・・・今回俺たちが受けるクエストは一撃熊の討伐だ!俺たちのパーティじゃ勝てることはなかったが、俺たちにはベテランのシーフが来てくれた!その知識さえあれば、もう怖い者なしだ!!」
「任せておきなさい、どんな相手だろうと、私がいれば一捻りよ」
「おおお!!なんて頼もしいんだ!!」
「この人さえいれば、俺たちは無敵だ!!」
強者パーティはアカメが入ってくれたことにたいして大きく喜びを見せている。一方の慎重派のパーティはというと・・・
「えーっと・・・何が何だかよくわからないけど・・・とりあえずはいったんは私たちと同じパーティにいるってことでいいんだよね?」
「もちろん!あんなんがいたら気が休まらないし」
「ああ・・・まあ、いいならいいが・・・。じゃあ気を取り直して・・・。今回受けるクエストは採掘クエストだ。目的の鉱石を必要数納品すれば依頼達成だ。洞窟は何があるかはわからないからな。シーフの探索スキル、当てにさせてもらうぞ」
「任せて!しっかりサポートしてみせるから!」
慎重派も慎重派でティアの能力を期待はしているようだ。
「よーし!さっそく行くぞぉ!!俺たちの未来は明るい!!」
「時間が惜しい、早く行こう。日によって危険が高くなるかもしれん」
話がまとまったところで両チームはそれぞれのクエストに向かいに行くのだった。その際双子はお互いを睨みあう。
「「ふん!!」」
だがすぐにそっぽを向き、それぞれのパーティの元へ行き、クエストへと出かけるのであった。
ーこのすば!-
それから数日後、夕方ごろのウィズ魔道具店・・・
「「大変申し訳ございませんでした!!」」
リビングで双子がお互いに向かって土下座をして謝っている姿が映し出された。その姿を見ているウィズは困惑している。
「あ、あの・・・アカメさん、いったい、何があったのでしょうか・・・」
アカメが言うにはこうだ。先日の一撃熊の討伐に向かった強者パーティご一行についていったアカメは一撃熊を倒そうと試みた。だが、一撃熊の攻撃は全て避けることができたのだが、どういうわけか攻撃スキルが全て一撃熊には当たらなかった。しかも、隙ができて動きが止まっているのにも関わらずにだ。それだけでも苦労しているのに、攻撃スキルによる轟音によって、途中で初心者殺しが現れ、散々だったらしい。それによってクエストは大失敗、その後も討伐クエストに何度も出かけたのだが、どれもこれも結果は散々だったらしい。いよいよ使えないと判断した強者パーティはアカメをパーティから除名し、今に至る。
「そ、それで、ティアさんの方は・・・」
ティアの方はというと、クエストに必要な鉱石が出る洞窟へと向かったのだが、そこでティアは敵感知スキルや罠感知スキルを使って安全を確認しながら奥へと進んでいった。だがそのスキルはどれも完全に発揮することができず、採掘の途中でモンスターが現れ、危険を晒されたり、感知できなかった罠を踏んでしまい、危険な目にあってしまい、こちらも散々だったらしい。その後も簡単なクエストを受けたようなのだが、結果は同じだったそうだ。さすがに命が危ないとのことで慎重派のパーティはティアをパーティに除名して、今に至る。
「・・・私は改めて思ったのよ。意見や主張が違っていても、私にはやっぱり妹であるあんたが必要なのであると」
「そうだね・・・事あるごとに喧嘩をしたり争ったりするけど、私が万全な状態でいるにはお姉ちゃんが必要なんだとわかったよ」
「これからはお互いに、協力していきましょう・・・」
「それは保証しかねないけど・・・頑張っていこう、お姉ちゃん・・・」
アカメとティアはお互いに手を取り合い、笑顔で笑っている。だが笑ってはいるが、これまでの振る舞いが許せないのか、互いにキリキリと手を握る力を強めている。
「あのぅ・・・それで、パーティに入る当てはあるのですか?」
「ないけれど何とかするしかないよ」
「ええ。とりあえず明日にでもパーティ募集の張り紙でも見てみるわ」
「お2人が天職と言えるパーティに巡り合えることを、私は祈ってますよ」
「ありがとう・・・気持ちが楽になったよ」
「ま、期待してて祈ってちょうだい」
いろいろと災難はあったものの、一応?は双子の結束が固まって、より一層絆が団結したのである。・・・多分。
ーこのすば!ー
翌日、本格的にパーティに入れてもらえるような人材を探すためにパーティ募集の張り紙を1つ1つ見ていく双子。
「とにかく何でもいいから入れてもらえそうなやつを見つけようよ」
「・・・でも、これは中々に厳しいわよ・・・。これを見てみなさい」
アカメは1つのパーティ募集の張り紙をティアに見せる。文面自体は普通の募集となんら変わりはない。だが問題はその注意書きだ。注意書きにはこう書いてある。
『ただし、仲違い双子、頭のおかしい爆裂娘、ドMはお断り!』
「・・・他のはともかく・・・この仲違い双子って・・・」
「完全に私たちのことね・・・」
姉妹喧嘩の仲裁を面倒がってか、それとも、2つのパーティのような危険を恐れてかは知らないが、双子の噂は瞬く間に広まり、誰も双子を雇ってくれそうなものがない。
「全く、命の危険があるからって、とんだ薄情な奴らね」
「これじゃあアヌビスにいたころと全く変わらないよぅ・・・」
「あの時はお頭が仲間を連れてきてくれたから何とかなったけども・・・」
「お頭の存在が本当にありがたく感じるよ・・・」
アヌビスの方ではネクサスが双子の仕事のために何人かをついていくように指示していたが今回ばかりは違う。その頼れるネクサスはいない。自力でなんとかして仲間を作らなければならないのだ。とはいえ、双子のギルドでの評判はガタ落ち、難しいことであるのは事実である。
「本当どうしよう・・・このままじゃ仕事に出かけることもできないし・・・ウィズにも迷惑が・・・」
「ん・・・?いや、ちょっと待ちなさい。1つだけ私たちを否定しないものがあったわ」
「え!嘘⁉どれ⁉」
アカメが1つだけパーティに加われそうな紙を見つけ、それをティアに見せる。その内容は上級職に限るが、どんな人材でもOKとのことだ。しかも、お断りのことは何も書いていない。
「本当だ・・・お姉ちゃん!これって!」
「ええ・・・ようやく、私たちにまともな仕事ができるってわけよ・・・。こんなチャンス、逃す手はないわ」
「でも・・・もしも私たちを除名って言われたら・・・」
「その時はあの手この手を使って、無理やりにでもパーティに居座ってやるわ。例え除名されたって、弱みなんて、誰にだってあるもの。それを速攻で見つけてだして・・・」
「さすがはお姉ちゃん!卑怯なことを実践するその心意気さえあれば、きっといけるよね!」
「そう褒めなくてもいいわよ。さてと・・・ちょっといいかしら?」
さっそくこれを張り出した人物を特定するために近くを通りかかった受付嬢、ルナに声をかける。
「はい、どうされましたか?」
「この募集を張り出した奴って今どこにいるのかしら?」
「ああ、それでしたら・・・ほら、ちょうどあそこに・・・」
ルナが指した場所には、もう何時間も待っているであろう人物たちがいた。1人はこの世界では見たことがない服装、ジャージを着こんだ男、もう1人は美しい長い青い髪、青い服を着こんだ女がそこにはいた。どうも彼らで間違いないようだが、誰も彼らの元には訪れていない。
「何よ、いかにも冴えない男じゃない。こんな張り紙を出すのも納得だわ」
「でも、もうなりふり構ってる余裕はないよ、お姉ちゃん」
「わかってるわ。教えてくれてありがとう」
多少のことは我慢はすると決意して、双子はさっそくこの募集を張り出した2人組の元に近づくのであった。
ーこのすば!-
カズマこと佐藤和真は異世界転生者である。この世界に来る前は日本で自分の家で引きこもっていたが、たまたまが外出していた際に、命を失ってしまったのだ。だが、その死に方がトラックに跳ねられそうになった女子高生を助けて死んだ、なんてかっこいいものではなく、実際にはトラクターをトラックと勘違いし、轢かれたという恐怖心からなる心臓麻痺のショック死という、人類史上の中で最も情けない死に方をした男である。しかも、助けようとしていた女子高生も、カズマが突き飛ばさなければ怪我することもなかったゆえに、何とも不憫な男である。
日本で死んだカズマは死者の案内所らしき場所で女神アクアと出会い、3つの選択肢を迫られた。1つはその名の通り、天国に上るということ。天国といってもカズマが思ってるような場所でなく、ただ天国にいったものとおしゃべりするだけの場所である。
もう1つは新しい人生としてもう1度生まれ変わられるものである。もちろんその場合は生前の記憶は消されてしまうが。
そして最後の選択肢はこの世界に向かい、魔王を討伐するというものである。俗にいう異世界転生である。正しくは転移かもしれないが。もちろんその場合、普通のモンスターがいるために、危険が伴うが、もともとゲーム好きであるカズマは迷わずにこの世界の転生を望んだ。
そして、異世界転生の際、何かしらの特典・・・いわばチートをもらえるようなのだが、カズマが選んだ特典はなんと女神アクア、その人物であった。理由としては女神の力で楽できると思ったからだ。全然そんなことはなかったが。もう1つは自分をバカにするその態度が気に入らなかったからその仕返しである。
そういう経緯でこの世界に転移してきたカズマとアクアは冒険者として活躍する・・・かと思いきや2人は土木作業員として今の生活を勤しんでいた。数日がたって、さすがに違うと考えたカズマはアクアを連れてクエストを決行・・・したのだが、結果は散々、おまけにアクアは粘液塗れになってしまうという何とも哀れなものだ。
これではいけないと思い、パーティ募集の張り紙を張り、上級職で自分のパーティに入ってくれるものを待っているという。ちなみにこれを張り出したのはカズマではなくアクアの方である。結果はご覧通り、誰もが知らんぷりだが。
「・・・なぁアクア、さすがにハードルを下げようぜ。どう考えたって上級職は無理があるって」
「ううぅぅ・・・だってぇ・・・だってぇ・・・」
自分の思い通りの展開になっていないことにアクアはかなり涙目になっている。
「このままじゃ本当に誰も来ないぞ?そりゃお前は上級職のアークプリーストだけどよ・・・俺は最弱職の冒険者だ。俺の肩身が狭くなる一方だ。それじゃ困る」
カズマはそう言って募集の張り紙の条件を変えようと席を立つと・・・
「上級職を求めてるって張り紙を見て来たんだけど」
自分たちに話しかけてきた。まさかこの問題ありの張り紙で来るとは思わなかったカズマは目をぎょっとして話しかけてきた人物を見る。
1人は身軽そうな左右非対称の赤色の装束を着込み、短い赤い髪を持った少女。
もう1人はその少女と全く同じ顔で、左右非対称の青色の装束で短い青い髪を持った少女。
そう、この2人はアカメとティアの双子の姉妹である。歳はカズマと同じくらいである。
「あんたみたいな冴えない奴と一緒にいるのは少々あれだけど、ま、このベテランの私たちが、あんたたちのパーティに入ってあげてもいいわよ」
なんだこの偉そうな態度の女は。カズマは心の中でそう思ってると、ティアが謝罪をする。
「ごめん!お姉ちゃんは誰に対してもこうなんだ。不快にさせてしまったら謝るよ」
「あ、ああ、気にしてないから大丈夫だ」
なんて素直でいい子なんだ!とカズマは心の中で喜びを表している。
「一応話は聞いてやるけど・・・とりあえず、なんか頼もうか?」
「あ、本当?なら・・・蛙のから揚げを頼もうかな」
「私も同じもので。後、シュワシュワもちょうだい」
「カズマカズマ!私も蛙のから揚げを頼んでちょうだい!そして私にもシュワシュワを飲ませなさい!」
いかにもアカメとアクアが図々しいと思いながらもカズマは蛙のから揚げとシュワシュワを頼んだ。
ーこのすば!-
蛙のから揚げとシュワシュワが来たところでアクアはさっそくから揚げにガブリつき、シュワシュワを飲んでご満悦だ。一方の双子はアカメがシュワシュワを飲み、ティアがから揚げを食べて食事を楽しむ。そこでカズマが本題に入る。
「まずは自己紹介だな。俺はカズマ。で、こっちがアクア。よろしくな」
カズマとアクアの名前を聞いて、双子は珍しい名だと思った。何せカズマの名は先代団長と似たような名前であり、アクアの方はあの悪名高いアクシズ教徒のご神体であるアクアと同じなのだから。まぁ、アクアは本物の女神だが。
「私はアカメ、シーフよ」
「私はティア。アカメの双子の妹で姉と同じくシーフだよ」
「へぇ、2人は双子なのね。通りで同じ顔だと思ったわ」
アカメとティアが双子だと聞いてアクアは驚くどころか逆に感心している。
「なぁアクア、シーフって上級職なのか?」
「ええ。盗賊の上級職ね。盗賊技能が盗賊よりも遥かに上だし、探索や隠密スキルなんて役に立つスキルが盛りだくさんね。もちろん、戦闘に使える武器スキルも多彩よ。雇っておいて損はないと思うわそれに・・・」
アクアは双子が着こんでいる服装を見て口を開く。
「その衣装を見る限り、アヌビスから来たのは間違いなさそうだし」
「アヌビス?」
「灼熱の街って呼ばれてる砂漠都市の名前よ。そこの周りにいるモンスターってこの街の外のモンスターと比べると結構レベルが高いのよ。そしてこの子たちがそこ出身ってことは・・・」
「かなりレベルが高い冒険者ってことか!!?」
まさかの大ベテランが自分たちのパーティに入ってくれるなんて思わなかったカズマは非常に感動した。これで楽ができる、と。
「ま、そういうことよ。私たちをパーティに入れれ・・・」
「ぜひとも入ってくれ!いや、入ってくださいお願いします!!」
アカメが何かを言う前にカズマが土下座をして2人にパーティ入りを懇願している。それを聞いた瞬間、ティアはぱぁと明るい顔になる。
「やったねお姉ちゃん!これで・・・これでやっと・・・うぅぅ・・・」
「好きなだけ泣きなさい・・・今日は好きなものを何でも頼んでいいから・・・」
パーティ入りしたことでうれし涙まで流すティア。そんなティアをなだめるアカメ。パーティ入りでなぜそこまで泣くのか少し気になったが、カズマにとっては些細なことだった。
「あのー・・・それで・・・なんですけど・・・」
「何よ?地味男。何か言いたいことでも?」
「カズマだよ!!いやそうじゃなくて・・・そのぅ・・・実は俺たち今、クエストを受けてるんだけど・・・」
「要するに手伝ってほしいの?」
「はいそうです」
カズマのクエストを手伝ってほしい宣言に双子はやる気を見せている。
「もちろん!カズマに私たちの実力、見せつけてあげようよ!」
「期待以上の戦果を挙げることを約束するわ」
「おおお!!すげぇ頼もしいぜ!!」
「うんうん!これで、もうあのカエルなんか恐るるに足りないわ!今こそ、あのカエルにリベンジよ!!」
非常に期待が膨らんでいるカズマだが、後々に後悔することになる。なんで、この2人を仲間にしたんだろうと・・・。
ーこのすば!-
『討伐クエスト!!
3日以内にジャイアント・トードを10匹倒せ!!
2日目』
討伐対象モンスターである巨大なカエル、ジャイアント・トードが現れる平原にやってきたカズマパーティ一行は討伐対象であるジャイアント・トードを2匹発見する。
「とりあえず、私たちの実力を見せつけてあげたいんだけど、あのカエルが1匹が邪魔になってるんだよ」
「戦闘中に加入されたら面倒よ。1匹は私たちがやるから、あんたたちはそいつの足止めをしてちょうだい」
「よしわかった!おいアクア!聞いての通りだ!元何とからしく、しっかりとお前も役に立てよ!」
「元何とかってなによ!!言っておくけど私、現在進行形でちゃんと女神なんですけど!!」
アクアの放った女神発言に双子は首を傾げる。
「「・・・女神?」」
「というのがあいつの妄想なんだ。気にしないでくれ」
「ちっがうわよ!!妄想なんかじゃなくて私は本物の・・・」
「あー・・・アクアって、かわいそうな子だったんだね・・・」
「いくら女神アクアと同じ名前だからって・・・本当、哀れね」
アクアが本物の女神であると信じていない双子はアクアに同情した顔つきになる。その様子にアクアは涙目になっている。
「なぁんでよー!!何で2人とも私をそんなかわいそうな目で見るの!!?私、本当に女神なの!!お願いだから信じてよ!!」
「と言われてもね~・・・」
「あんたが女神だっていう証拠がないじゃない」
女神の証拠と聞いてアクアは急にやる気を見せている。
「証拠を見せれば女神だって信じてもらえるのね!!なら見せてやろうじゃない!!女神にしか使えない、とっておきの技を!!」
「お、おいちょっと待てアクアーーー!!」
アクアはやる気を出してジャイアント・トードに向かって走り出していく。その様子を止めるカズマだがもう遅い。アクアは勢いよくジャンプし・・・
「女神の必殺スキル!!ゴッドブレイク!!!!」
そのままジャイアント・トードに向かって勢いのついた強力な蹴りを放つ。
「ゴッドブレイクとは!!女神の怒りと闘志が合わさった一撃!!相手は死ぬ!!!」
「す、すごい・・・あんなスキル、見たことないよ!!」
「でもジャイアント・トードって確か・・・」
「ご察しの通りだ・・・あのカエルは・・・」
ぷよんっ・・・
どてっ
「打撃が利かない」
アクアの放った蹴りはジャイアント・トードに当たったが、その柔らかい肉体が打撃を吸収し、勢いが弱まったアクアはそのまま地面に滑り落ちる。そして、ジャイアント・トードを見上げて一言・・・
「・・・ねぇ、よく見たらあなたって、素敵だと思うの」
パクッ
恐らくは褒めて食べられるのを防ごうとしたのだろうが当然、ジャイアント・トードには通用せず、アクアは空しく食べられてしまう。
「「・・・・・・」」
なんの活躍もなく無様に食べられるアクアを見て、双子は何とも言えない表情になる。
「よし!アクアが1匹のジャイアント・トードの足止めをしてる間に思いっきりやれぇ!!」
カズマは仲間であるにもかかわらずアクアをそのまま放置している。何とも薄情である。
「わかった!やるよ、お姉ちゃん!」
「ええ、カエルごとき、ぶちのめしてやるわ」
双子も双子でアクアのあの行動をなかったことにしている。こちらも薄情である。
「まずは先手必勝よ。ティア!」
「うん!バインド!!」
ティアはバインドを放ち、ジャイアント・トードの身動きを取れなくさせる。
「スキル発動速度が・・・速い!!」
身動きが取れなくなったジャイアント・トードは顔だけをティアに向け、舌を伸ばして捕食しようとする。
「ティア!!」
「わかってる!!」
当然その動きを感知し、ティアはその舌をジャンプして躱し、さらにバインドでジャイアント・トードの首を締め上げる。
「げ・・・ゲコ・・・コ・・・」
「これでもう舌は伸ばせないはずだよ!お姉ちゃん!!」
「必殺の一撃を食らいなさい」
完全に動けなくなったジャイアント・トードにアカメは素早い動きで近づき、サンダー・エッジよりも強力な雷を短剣に乗せる。
「ライトニング・エッジ!!!」
ドオオオオオオオンッ!!
サンダーエッジよりも強力な雷の斬撃がジャイアント・トードを包み込み、1匹の討伐を成功させる。
「おおお!!速いだけでなく、すげぇ威力だ!!」
凄まじい威力にカズマは強く感心している。
(双子ってことはティアもアカメと同じくらい強いはずだよな!この2人の強さが合わされば、ジャイアント・トード10匹なんてあっという間・・・いや、もっと高難易度のクエストだってこなせるはずだ!頭がおつむな駄女神を連れて、もうダメかと思ってたけど、いっきに俺の異世界生活の未来は明るくなったぜ!!)
カズマが妙な希望を見出していると・・・
ボコッ、ボコォ・・・
先ほどの轟音で目が覚めたのか、地中に潜っていたジャイアント・トードが姿を現し、カズマたちを捉えた。
「へへ!また出たことろで、この2人の敵じゃねぇ!ティア!アカメ!ジャイアント・トードをまとめて片付けてくれ!」
「「まとめて?いやそれ、無理だから」」
「よーしじゃあ・・・今なんて?」
無理発言を聞いたカズマは聞き間違いと思いたかった。されど現実はそうでもなかった。
「無理だって言ったのよ。そんなことも聞こえないのかしらこの地味男は」
「私たちが相手できるのって、精々1匹ずつでしかないから、複数で来られたら、私たちじゃ対処できないんだ」
「い、いやいやいや、だとしてもだ!あいつらは今2匹で来ている!お前ら双子だろ⁉2対2でも対処できるはずだろ⁉同じ戦闘能力なんだろ⁉」
「・・・いつ誰が同じ戦闘能力って言ったの?」
カズマの勝手な解釈にティアは目が点になる。その様子にカズマも目が点になり、アカメが説明に入る。
「何か勘違いしてるようだから言わせてもらうけど・・・ティアは戦闘能力を全く有していないいわばゴミ同然の子よ。この子に戦闘で何かを期待してる時点で、あんたの目論見は大きく外れてるってことよ」
「ちょっと。いくら戦闘能力がないからと言って、その言い方はないでしょ?謝ってよ、私をゴミ扱いしたことを謝ってよ」
「事実なんだから謝る必要なんかないでしょ」
「その態度に謝れって言ってるの!!」
「お、おい喧嘩はやめてくれ!・・・っていうかそれだと・・・まさか・・・」
また変に喧嘩をしようとする双子にカズマが止めながら、嫌な予感がして、恐る恐るジャイアント・トードに振り向く。ジャイアント・トードは今まさに、カズマたちまで迫ろうとしていた。
「・・・お姉ちゃん・・・」
「・・・ええ。ここは・・・」
「「逃げるが勝ち!!」」
「結局こうなるのかよおおおおおおお!!おわあああああああああ!!」
アクアと同じ二の舞になるのを避けるため双子とカズマは2匹のジャイアント・トードから必死に逃げ回る。
「やばいやばいやばい!!カエルに飲み込まれるなんて、俺はごめんだぞ!!」
3人は必死にジャイアント・トードから逃げるが、ジャイアント・トードは執念深いように、3人の追跡を諦めない。
「カズマカズマ!!」
「カズマですが何か!!?」
「君の犠牲は忘れないよ!!」
「はっ!!?」
ゲシッ!!
「ぐえぇ!!?」
必死に逃げていたティアは隣にいたカズマを蹴り上げる。ティアに蹴られたカズマはごろんと転げる。飲み込まれたくない必死さでここでティアの腹黒い部分が出てしまった瞬間である。
「こ、こいつやりやがったな!!?いくらカエルに飲み込まれたくないからって仲間を・・・」
カズマが起き上がろうとした時、ジャイアント・トードはすでにカズマの目の前まで迫っている。それを見たカズマは冷や汗をかいて・・・
「いいいいいいいいいやああああああああああああ!!!!」
すぐさまに起き上がり、ジャイアント・トードから逃げていく。1匹はカズマに夢中になったが、もう1匹はまだ双子を追いかけている。そして、ティアはこう思った。
(ここでお姉ちゃんも犠牲にすれば、私は飲み込まれずに済む!!)
腹黒ティアはさっそく実践に移そうと、さっきの段階と同じように、アカメを蹴り上げようとする。
「あああっと!!足が滑ったーーー!!」
「させるかあああああああ!!」
ところが、さすがは双子と言ったところか。ティアの考えはアカメには丸わかりであり、ティアの蹴り上げた足をアカメは蹴りで受け止める。
「ちっ!引っかかると思ったのに!」
「あんたの考えなんて最初から丸わかりよ!なーにが協力しよう、よ!思いっきり裏切り行為をしているじゃない!」
「協力しようって言ったのはお姉ちゃんじゃん!お姉ちゃんだって同じ立場だったら同じことするくせに!」
「はあ?自分の身を自分で守って何が悪いのよ?そこに仲間とか妹とか関係ないわよ!」
「ついには言い切ったね!!この人でなし!!」
「腹黒のあんたには言われたくないわよ!!」
ジャイアント・トードに追われている状況だというのに双子は立ち止まって喧嘩を始めてしまう。それを見たカズマはさっきまでの良好な関係はどこに行ったんだと言わんばかりの顔をしている。この騒動に気付いたカズマ側のジャイアント・トードは立ち止まり、双子を見つめる。
「人でなし人でなし人でなし!!」
「1番の人でなしは何も言わずに平然と裏切るあんたの方よ!」
喧嘩している間にも双子側のジャイアント・トードは双子まで辿り着き、そして・・・
パクッ
「あ・・・」
ティアはぱくりと食われてしまう。そして、それと同時にカズマ側のジャイアント・トードは舌を伸ばし、アカメを捕まえ・・・
「あっ⁉あああああああ!!!」
パクッ
そのままぱくりと食われてしまう。ティアの方は自業自得であり、アカメの方は妹の責任は姉の責任、いわば連帯責任である。仲間が全員食われているこの光景はカズマが昨日見た光景と全く同じであった。
「お・・・お前らあああああああああ!!!!」
カズマは食われた仲間を救出しに、ジャイアント・トードに剣を振るい放った。
ーこのすばぁ!!!-
結局、この2日目でジャイアント・トードを10匹倒すことは叶わず、討伐した数はカズマが昨日討伐したのを合わせれば6匹、クエスト達成には程遠い。しかもクエストの期限は明日まで。いよいよ本格的にやばくなってきている状況だ。
「うっ・・・うぐっ・・・ぐすっ・・・生臭いよぅ・・・生臭いよぅ・・・」
「あ?」
「お?」
夕方になり、とりあえずアクセルまで戻ってきたカズマたちはアクセルの街に戻ってきたカズマたち一行。カズマの後ろにいるアクアはさっきからめそめそ泣いているし、双子は互いに睨みあっていてなかなかにないシュールな絵だ。
「はぁ・・・とりあえず今後の戦闘面ではアカメを頼りにしてだな・・・えーっと・・・ティアは何が得意分野なんだ?」
「え?私は今日みたいなサポート・・・それから、ダンジョンの探索が結構得意、かな?」
「じゃあこれからは喧嘩しないように、討伐クエストはアカメを連れていって、探索クエストはティアを連れていくようにするか。それなら思う存分自分の能力を発揮できるだろ?」
「残念なことに、それは無理よ」
効率のいい提案をカズマが提案するとアカメはそれを否定した。その様子に訝し気になる。
「は?なんでだよ?何か問題があるのか?」
「私たちはその・・・姉妹揃ってないと使えるスキルが中途半端になっちゃって・・・思うような効果が発揮できなくなるんだよ」
「ただ揃ってるだけじゃダメよ。私とティアの意志がちゃんと合わさっていないと中途半端になってしまうのよ」
「・・・てことは何か?お前ら・・・個人だけじゃまともに仕事をこなせないってことなのか?」
「結果的にそうなっちゃうね・・・。これまでも別々のパーティで仕事をやってたら散々な結果になったし・・・てへぺろ」
「これでわかったでしょ?効率を求めるなら、私たちをちゃんと連れていった方がいいわ」
まさか双子が個人だけでは全く役に立たないお荷物になると聞いて、カズマは落胆する。そしてアクアはというと・・・
「素晴らしい!実に素晴らしいわ!歪な間柄でも、互いの欠点を補い、姉妹を助け合う!なんという美しい姉妹関係なのかしら!私は感動したわ!」
「へへ、ありがとう。そう言ってくれるのはアクアが初めてだよ」
「あら、ちゃんとわかっているじゃないアクア。あんたのこと、見直したわ」
妙に感動して双子を称えている。当の双子たちもまんざらではない様子だ。だがカズマだけは訝し気だ。
(ダメだこいつら・・・。ただでさえこいつらの仲が悪いのに、こいつらの意志を1つに合わせるだと?そこまで気を配ってたらこっちの苦労が増えるばかりだ!そんな苦労はこの駄女神だけで十分だ!)
そこまで考えるとカズマは決断する。この双子をパーティから外そうと。
「あー、そうかー。よくわかったよ。俺たちのクエストをここまで手伝ってくれて、ありがとなー。後は自分たちだけでも何とかなりそうだー。仕事が終わったら報酬は山分けしてあげるからさ。おっと、俺たちはこっちだから。そっちも茨の道だろうけど、達者でなー。機会があればまた・・・」
カズマは遠回しに双子をパーティから除名するようなことを言ってその場を去ろうとした時、双子はそれぞれカズマの右腕、左腕を掴んで引き留めている。
「カズマ、ここは乗り掛かった船だしさ、最後までクエストは付き合うよ。持ちつ持たれつっていうでしょ?」
「ありがとう。でもこれ以上ベテラン様にご迷惑になるわけにもいかないし、俺たちは弱小冒険者らしく、地道にコツコツとやっていくからさ。きっとお前らでもやっていけるパーティが見つかるはずさ」
「あら、あんた随分都合のいいことを言うじゃない。あんた、自分で言ったことを忘れたのかしら?私たちをあんたらの仲間に入れてほしいって」
「ああ、言ったさ。でもな、よく考えてほしい。そっちはベテランで上級職のシーフ、俺は初心者で最弱職の冒険者、どう考えたって俺たちと釣り合うのは難しいだろ?」
双子は何とかカズマのパーティに居座ろうと考えているが、カズマの意志は変わらず、双子を追い出そうとしている。そして、互いに沈黙し・・・
「わーん!!お願いだから私たちを見捨てないでよ!!この街で私たちの評判がガタ落ちして、誰も私たちをパーティに誘ってくれないんだよー!!カズマだけが頼りなんだよー!!」
「ええい!!離せえ!!どうせそんなこったろうと思ったよ!!自業自得だ!!パーティに加入してほしかったらすぐに喧嘩を引き起こそうとするお前ら姉妹関係をどうにかしてから言え!!お前らの姉妹喧嘩の仲裁に巻き込まれるなんてごめんだ!!」
「あんたどうしようもないクズね。こんなにかわいらしい美少女がこんなに頼み込んでいるのに、平気な顔をして断ろうとするなんて、恥を知りなさい」
「俺は真の男女平等主義者で女でもドロップキックをかませられる、カズマさんだぞ!都合の悪いときに美少女と名乗ってかわい子ぶって同情を引こうとしてもそうはいくか!クズと呼ぶならそう呼べ!俺は決して曲げたりしないぞ!!」
あまりにも固い意志を持つカズマに普通の手段じゃダメだと判断したアカメは手を放し、未だにカズマの手を引っ張っているティアに耳打ちをする。内容を聞いたティアはアカメと共に首を縦に頷き、カズマの手を放す。
「はぁ、やっと理解してくれたか。それじゃあ・・・」
カズマが手を放してくれたのを安心して去ろうとすると・・・
「お兄ちゃん!ひどい!!私たちを・・・こんなにヌルヌルにしておいて、飽きたら捨てるだなんて・・・あんまりだあああああ!!」
「んなぁっ!!?」
ティアがカズマを兄さん呼びをして、周りの住民に聞こえるようにわざとらしく被害者ぶって大きな声をあげる。それにはカズマは動揺を隠せない。
「私・・・お兄ちゃんを喜ばせるのに必死だったのにぃ・・・だからこんなヌルヌルにも我慢したのむぐっ!」
「だあああああ!!黙れえええええ!!誤解されるだろおおおお!!」
これ以上の被害者面されるとこの街の拠り所がなくなることを恐れたカズマはすぐにティアの口をふさぐが、それだけでは止まらない。アカメもいるからだ
「見損なったわ兄さん!!私たちをヌルヌルを使って、あーんなことや、こーんなことをしておいて・・・私たち兄妹の絆はそんな薄情なものだったの!!?」
「そのヌルヌルはカエルに食われた結果だろ!!そして俺はお前らの兄貴じゃねぇ!!」
どうにか黙らせようと奮闘しようとするカズマに街の人のひそひそ話が聞こえてきた。
「やだ、あの男・・・自分の妹を粘液塗れにしておいて、捨てようとしているわ」
「隣のあの子だってヌルヌルの粘液塗れよ・・・」
「とんだクズの変態野郎ね。自分の欲望のためならなんだってする鬼畜な男に違いないわ」
間違いなくあらぬ誤解を生みだしてしまったカズマはかなり冷や汗をかいている。双子の顔を見てみると、してやったりといった顔をしている。
「お兄ちゃあん・・・ティアを見捨てないでぇ・・・」
「兄さん・・・アカメも見捨てないでよ・・・どんな変態プレイにも耐え・・・」
「よーーし!!わかったーー!!今後ともよろしくなー2人とも!!」
これ以上の風評被害を避けるため、結局カズマは双子のパーティ入りを認めることとなった。
ーこのすばー
「ウィズー、ただいまー」
「ほ、ほええええ!!?アカメさん!ティアさん!どうして粘液塗れになってるんですか!!?」
「ああ・・・とりあえず、シャワー、使わせてちょうだい」
次回予告的なもの
拝啓、お父さん、お母さん、カズマです。
僕は今、異世界までやってきています。まるで生まれ変わったように清々しい気持ちでいっぱいです。
家も仕事も見つかって気力十分です。
僕には新しい仲間もできたし、そして何より、女神様が付いているんです。だから、心配なんてしなくてもいいんですよ。
大丈夫・・・大丈夫・・・多分・・・。
仲間の会話
ティア「家ってどこに住んでるの?」
アカメ「どうせカズマのことよ、馬小屋かなんかでしょ?」
アクア「ちょっとカズマ、もう会えないのに家族の手紙なんか書いててちょー受けるんですけどー、プークスクスw」
カズマ「なんで住まいを知ってんだよ!?後アクア、お前は後で絶対に泣かす!」
次回、この中二病に爆焔を!