このすば!この微笑ましい双子に幸運を   作:先導

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この右手にお宝(パンツ)を!

ウィズ魔道具店のリビングで、双子はリビングに集まり、ウィズと共に朝食を食べている。今日の朝食は走り鷹鳶の卵を使った目玉焼きトーストと、キャベツのサラダである。アカメが目玉焼きトーストを食べようとすると、ティアがキャベツのサラダをじっと見つめているのを気づいた。

 

「何してんのよ?食べないの?」

 

「ううん。ただ・・・もうすぐだなーって思って」

 

「もうすぐって・・・何が?」

 

意味深なティアの発言にアカメは首を傾げながらフォークを持って千切りキャベツをぶっ刺す。心なしかキャベツが動いたような気がした。

 

「ティアさんはもうすぐ収穫の時期だと言いたいんですよ」

 

「ああ。そういえば、この街の予報では今日だっけ?収穫」

 

「その通り!!」

 

アカメの疑問にウィズが答える。アカメが納得するとティアが興奮したように足をテーブルに乗せる。

 

「その収穫の時期こそ!!私が冒険者レベルをアップするための唯一の手段の1つ!!取りまくるよ・・・そしてガッポガッポと、お金も経験値も、稼ぎまくるよぉ!!ヒャッハーー!!!」

 

異常にテンションが上がっているティアに、アカメは気にせず朝食を食べ続け、ウィズは苦笑しながらティアを注意する。

 

「あの、ティアさん?お気持ちはとてもわかりますが・・・とりあえず、足を下ろしてもらえませんか?お行儀が悪いですよ?」

 

「ああ、ごめんね」

 

ウィズに注意されたティアは申し訳ないように足を下ろしてキャベツのサラダを食べ始める。

 

「まぁ確かに、この子がレベルアップする手段なんて限られてきてるし、一応、手を貸してやらんこともないわ」

 

「さすがはお姉ちゃん!大好き!」

 

「その気持ち悪い発言はやめてちょうだい。ご飯がまずくなる」

 

アカメのこの発言でウィズはまた喧嘩が始まると警戒しているが・・・。

 

「まぁまぁそう言わずに♪お姉ちゃんが協力してくれたら心強いのは事実だし♪」

 

「あ、あれ?」

 

普段なら突っかかってくるのは間違いないのに、ティアはそれをしなかった。それにはウィズは目を丸くしている。

 

「この子、この時期になるとレベリングと金儲けにだいぶ浮かれてるのよ。私の発言を気にしないほどにね」

 

「は、はぁ・・・」

 

「私の未来は明るいぞー!!」

 

ティアは唯一のレベリング手段と金儲けで有頂天になっているため、アカメの嫌味は受け流せるほどに寛容的になっているのだ。

 

「で?ウィズは収穫には参加すんの?」

 

「もちろんです。ここのところ、赤字続きでしたので、それを取り戻そうと、やる気に満ちてるんですよ」

 

どうやらウィズもお金儲けのためにその収穫とやらには参加するようだ。理由は言わずもがな、ゴミ魔道具が全く売れないことにある。

 

「ふーん。ま、私たちの邪魔さえしなければ、好きにすればいいわ。ごちそうさま」

 

「私もごちそうさまー!」

 

「はい、お粗末さまでした」

 

話し込んでいる間にも、双子は朝食を完食する。

 

「食器、片付けておきますね?」

 

「いや、私も手伝うわ。どうせ夜まで帰るつもりはないし、朝くらいは手伝わないと」

 

「で、でも・・・」

 

「でももクソもない。ほら、とっと皿洗いを済ませるわよ」

 

「は、はい。ありがとうございます」

 

「お姉ちゃん!お皿洗いが終わったら収穫の準備を手伝ってよ!」

 

「はいはい、終わったらね」

 

アカメはウィズの皿洗いの手伝いをした後、ティアの収穫の準備を手伝ってからギルドに向かうことにしたのだった。

 

 

ーこのすば!-

 

 

ティアの準備、およびウィズの店の手伝いを終える頃にはもうすっかり昼ごろになっており、双子は揃って冒険者ギルドに向かっている。

 

「収穫収穫~♪早く来ないかなぁ~」

 

「鬱陶しい・・・」

 

あまりに浮かれているティアにアカメは本当に鬱陶しそうにしている。冒険者ギルドにたどり着き、扉を開けると、遠くでアクアが宴会芸を他の冒険者に披露している。

 

「そーれ!花鳥風月~♪」

 

「おおおお!いいぞー、嬢ちゃんー!」

 

アクアの扇子に水が噴き出すという宴会芸は冒険者たちには受けているようだが、双子からすれば不評のようで何とも言えない表情をしている。ティアも浮かれ具合が覚めるくらいなのだから。

 

「あら!2人とも遅かったじゃない!どう?私の宴会芸スキルは!女神に相応しいスキルだと思わない?」

 

((単なるゴミスキルじゃない(じゃんか)・・・))

 

クエストには役に立たないスキルだと思っているが、双子はあえてアクアには言わないことにした。

 

「そ、それよりもアクア、カズマとめぐみんはどこにいるの?」

 

「ああ、それならカウンター席にいるはずよ」

 

「そう、わかったわ。あんたはそのまま宴会芸を続けてなさい」

 

カズマとめぐみんの場所を聞いた双子はすぐに2人がいるカウンター席へと向かう。カウンター席にはアクアの言うとおり、カズマとめぐみんがいた。

 

「やっほー、カズマ。何やってんの?」

 

「ああ、お前ら。お前らも昼まで寝てたのか?」

 

「私はあんたと違うんだから、そんなわけないでしょ。野暮用よ野暮用」

 

「ふーん」

 

双子はカズマの隣の席に座り、カズマとめぐみんを見る。めぐみんはスモークリザードのステーキを食べており、カズマは自分の冒険者カードをじっと眺めている。

 

「それで、本当に何やってたの?あ、私、カエル肉のバーガーくださーい」

 

「昨日のカエルのクエストでレベルも上がったから、たまったスキルポイントを使って、スキルを覚えようと思ったんだけど・・・おかしいんだよ」

 

「おかしいって、何がよ?私はワニ肉のバーガーをお願い」

 

「いや、俺のカードのスキル習得欄、1度見たスキルしか出てこないんだよ。これって、まだレベルが足りてないってことか?」

 

「ああ、そのことかー」

 

「心配しなくてもいいわ。それは仕様よ、仕様」

 

カズマの疑問に双子はしっかりと答える。仕様の意味がわからないカズマは首を傾げる。

 

「えっと、冒険者っていう職業はレベルアップだけじゃスキル習得はできないんだ」

 

「じゃあどうやったら習得できるんだ?」

 

「簡単だよ。まず誰かにスキルを教えてもらうんだよ。そしたらカードにスキル獲得項目にそれが現れるから、溜まったポイントをその項目に振ればスキル習得完了ってなるんだよ」

 

ティアの説明を理解したカズマは感心した声を上げる。

 

「へぇー。じゃあつまり、めぐみんに教えてもらえれば、俺でも爆裂魔法が使えるようになるってことか?」

 

「その通りなのです!!!!」

 

「うおっ!!?めぐみん!!?」

 

話を聞いていたのかめぐみんは目をキラキラと輝かせている状態でカズマにぐいっと迫ってきた。

 

「その通りですよカズマ!爆裂魔法を覚えたいならいくらでも教えてあげましょう!というか、それ以外に覚える価値があるスキルなんてありますか?いいえ、ありませんとも。さあ!!!私と共に、爆裂道を歩もうじゃないですか!!!!」

 

「なんか軽く私たちの習得スキルをバカにされたような気になるのは気のせいかしら?」

 

「仕方のないことだよ。めぐみんの爆裂道愛は本物だからね」

 

ぐいぐい迫ってきているめぐみんをカズマはとりあえず彼女の肩を掴んで落ち着かせる。

 

「ちょ・・・落ち着けロリっ子!つか、今の俺じゃ爆裂魔法の習得には全然・・・って・・・めぐみん?」

 

「・・・ろ、ロリっ子・・・?」ガーン・・・

 

「あれ?」

 

誰が見てもわかるようにロリっ子発言にショックを受けためぐみんは席を座り直し、ステーキについていたニンジンを切り、それを口の中へと運ぶ。

 

「・・・ふっ・・・この我が・・・ロリっ子・・・」

 

よほどショックを受けたのかめぐみんはかなり遠い目をしている。

 

「はぁ・・・なぁ・・・双子よ・・・なんかお手軽なスキルないか?俺でも簡単にお手頃に使える感じのやつ・・・」

 

「ああ、それだったら・・・」

 

ティアが何かお勧めのスキルをカズマに教えようとすると・・・

 

「探したぞ。昨日の話をしようじゃないか」

 

「げっ・・・!!」

 

「あら、ダクネスじゃない」

 

パーティ入りを諦めていないダクネスがカズマたちに話しかけてきた。ダクネスのことは話を聞いていただけのティアは首を傾げている。

 

「昨日は飲みすぎだと言っていたが・・・大丈夫か?」

 

「あ、ああ・・・お気遣いなく!」

 

カズマは飲みすぎといってやんわりと断りを入れていたつもりだったが、ダクネスにはその意図が全く伝わっていなかったようだ。

 

「では、昨日の話の続きだ。私をあなたのパーティに・・・」

 

「お断りします!!!」

 

「くうぅぅぅん!!!即断・・・だと・・・!はぁ・・・はぁ・・・///」

 

カズマは即決でダクネスのパーティ入りを拒否するとダクネスは非常に喜び、興奮をしている。それがたまらなく嬉しかったのか今度はアカメが絡んできた。

 

「ねぇ・・・?ダクネス・・・あんた・・・どぉーしても入りたいのかしら?」

 

「もちろんだ!!!」

 

「なら・・・もっとふさわしい言い方ってのが・・・あるでしょう?ほら・・・言ってごらんなさい?ぜひともこの薄汚いメス豚風情の私めを、パーティに入れて、めちゃくちゃにしてくださいって。ほらぁ・・・さぁ・・・言ってごらんなさい?」

 

「く・・・くふぅ・・・わ、私は騎士の端くれ・・・このような辱めには・・・///」

 

「ちゃぁーんと、言えたなら・・・もぉっといい快楽を・・・教えて、あ・げ・る♡」

 

「もっと・・・いい快楽・・・それって・・・もっと・・・しゅごいことぉ!!?」

 

お互いの琴線に触れあっているのか、アカメもダクネスも非常に嬉々とした表情になっている。

 

「うわー・・・喜んでるし・・・」

 

「うわー・・・お姉ちゃんがドSモードに・・・引くわー・・・」

 

このカオスな光景を見て、カズマもティアも2人を引いた目で見ている。

 

「あはは、ダメだよダクネス。そんな強引に迫っちゃさ」

 

盗賊の少女、クリスがダクネスの興奮を軽く声をかけて抑える。

 

「あら、クリス、久しいわね」

 

「クリス、久しぶりー」

 

「やぁ、アカメにティア。久しぶりー。ダクネスとお楽しみのようだね」

 

久しぶりにクリスと出会い、アカメとティアは軽く挨拶をする。

 

「なんだクリス、この2人と知り合いだったのか?」

 

「うん。まぁ、仕事関係上で、ね」

 

ダクネスがクリスが双子と知り合いだったことにたいして、少なくとも驚いてはいる。クリスのことを知らないカズマが尋ねてきた。

 

「えっと・・・あなたは・・・」

 

「アタシはクリス。見ての通り盗賊だよ。ダクネスとは友達で、双子とは盗賊仲間かな」

 

非常にまともそうな人物が現れて、カズマは内心ほっとしている。

 

「君、役に立つスキルが欲しいみたいだね。盗賊系のスキルなんてどうかな?」

 

「え?」

 

「さすがにシーフに劣るところはあるけど、盗賊技能は冒険者には結構お勧めだよ。シーフと比べてもスキル習得ポイントも少ないし、便利なスキルが盛りだくさんで役に立つよ」

 

「へぇー!」

 

自分でも手ごろに使えて冒険に役立つのならカズマにとっては魅力的な話だ。双子の職業、シーフのお得スキルも気にはなるが、それでも初心者でも簡単にこなせる盗賊スキルの方が重要だとカズマは考えた。

 

「どうだい?今ならシュワシュワ一杯で教えてあげるよ」

 

「安いな!よし、お願いします!すみませーん!こっちの人にキンキンに冷えたシュワシュワを1つ!」

 

カズマはその魅力的な話を受けるためにクリスにシュワシュワを一杯奢るのだった。

 

 

ーこのすば!-

 

 

クリスがシュワシュワを一杯飲み、双子も昼食を食べ終えて、カズマはギルドから外に出て、クリスからスキルを伝授してもらっている。双子とダクネスはその協力者としてついてきている。まずクリスは敵感知スキルと潜伏能力を使い、その技をカズマに見せつけた。ただその際、スキルを教えるためとはいえ、クリスがダクネスに小石をぶつけたせいで、ダクネスが無言で怒って、クリスが隠れていた樽を転がすというトラブルはあったが。

 

「とまぁ、盗賊のスキルには、このように敵感知とか潜伏とかがいろいろあるけど、特に私の1番の一押しはこれ。行くよ、よく見てて」

 

「うすっ!クリスさん、よろしくお願いします!」

 

クリスはカズマに向かって手をかざしている。スキルが発動するであろうとカズマは身構える。

 

「スティール!!」

 

クリスがスキルを発動すると、クリスの手から光が発する。そして、光が止むと、クリスの手元にはなんと、カズマが持っていた銭袋があった。

 

「あっ!俺の財布!」

 

「これが窃盗スキルのスティール。成功すれば、相手の持ち物を奪い取ることができる。そして、君がこのスティールを習得できれば・・・アカメ、お願いできる?」

 

「仕方ないわね。・・・スティール」

 

クリスに頼まれ、アカメもクリスに向かって窃盗スキル、スティールを放つ。そして、発動した瞬間、クリスの持っていたカズマの銭袋はアカメの手元にある。

 

「あっ!アカメの手に俺の財布が!」

 

「ま、こんな感じで奪われてもこうやってスティールが成功すれば、取り返すことが可能ってわけ。理解できたかしら?」

 

「ああ!ためになったよ。ありがとうな」

 

「じゃ、財布を返・・・」

 

「待った、そのままでいて」

 

アカメがカズマの銭袋を返そうとした時、クリスが待ったをかけた。

 

「ねぇカズマ君、アタシと勝負しない?」

 

「勝負?」

 

「君も盗賊スキルを覚えて、アタシから当たりを1つ、盗んでみなよ。そうすれば、財布を返すし、その当たりもあげちゃうよ」

 

「おー!それはいいね!ぜひとやっちゃいなよ!」

 

突然持ちかけられた勝負にティアは勝負を受けるようにカズマにそう言った。

 

「お、おい・・・それはあんまりではないのか?」

 

「何言ってんのよ。世は弱肉強食、シュワシュワ一杯で安請け合いしたこいつが悪いのよ」

 

(まぁ、それは確かにな・・・高い授業料だと思えば、なんてことないか・・・)

 

ダクネスはやりすぎではないかと思っているようだが、カズマはアカメの言っていることに心の中で同意している。

 

「まぁ、どっちにしても君、冒険者なんでしょ?時には危ない橋もちゃんと渡らないとね」

 

「クリスの言うとおりだな。よし、いいぜ。その勝負受けるよ」

 

「決まりだね!じゃあ冒険者カードを使って、スキルを習得してみせてよ。私から習ったスキルが表示されてるはずだよ」

 

クリスの勝負を受け、カズマはさっそく自分の冒険者カードを取り出す。スキル習得欄には確かにクリスから習ったスキルがあった。

 

「敵感知スキルに1ポイント、潜伏スキルに1ポイント、窃盗スキルに1ポイント・・・」

 

クリスに習ったスキルにポイントを振り分けていくカズマは、ここで1つ、気になるスキルを見つける。

 

「・・・花鳥風月?花鳥風月ってなんだ?」

 

「ああ、それ?それ、アクアが披露してた宴会芸スキルだよ」

 

「宴会芸のくせに5ポイント取るのかよ!!?高すぎるわ!!これはポイ捨てしてっと・・・」

 

カズマは宴会芸スキルを項目から抹消してからスキルポイントを使って、盗賊スキルを習得する。

 

「さあ!これで盗賊スキルは君のもの!いつでもどうぞ!」

 

「よーし!何を盗られても泣くんじゃねぇぞ!!」

 

「それでクリス、何を当たりにするの?」

 

ティアが何を当たりにするかを尋ねると、クリスは得意げに笑う。

 

「ふふん、当たりはこのマジックダガーだよ」

 

「マジックダガーって・・・1つ40万エリスする超高価な代物じゃない!私もずっと狙っているやつ!」

 

「おおおお!!」

 

40万もする代物にカズマは非常に関心を示している。アカメがそう言うくらいなのだからカズマも欲しいくらいだ。

 

「ちなみに残念賞は、この石っころだよ!」

 

「あああ!!汚ねぇ!!」

 

「ふふん、これで当たりを引き当てる確率は低くなったね?」

 

「な、舐めんなよ!やってやる!」

 

例え低い確率だとしても、ここは引くべきではないと考えるカズマは、クリスの挑戦を受けた。

 

「行くぞ!!スティーーーーール!!!」

 

カズマはさっそく窃盗スキル、スティールを放った。光が晴れると、カズマの右手には何かが握られていた。

 

「よし!とりあえずスキル習得は成功だ!」

 

「!あ、ああぁ・・・!!」

 

するとクリスはなぜだか顔を恥ずかしそうに顔を赤く染めあげている。

 

「・・・で、なんだこれ?なんか布みたいな・・・」

 

何を盗み取ったのか気になったカズマはそれを広げてみる。

 

「!!お・・・おお・・・!!?」

 

カズマが広げたそれは・・・純白の白に、かわいらしいリボンの柄が入った布切れ・・・

 

「当たりも当たり・・・大当たりじゃああああああああああああ!!!!!」

 

「いやあああああああああああああ!!!!!ぱ、パンツ返してえええええええええ!!!!!」

 

そう、カズマがクリスから盗んだものは、クリスがさっきまで履いていたパンツだったのだ。

 

「ひゃっはあああああああああああああああ!!!!!ぐわああっはっはっはっはっはっはああああ!!!!!」

 

カズマは興奮したようにクリスのパンツをぶんぶんと振り回している。パンツを盗られて恥ずかしがっている本人の前で、何とも鬼畜な所業である。

 

「うわぁ・・・カズマってとんでもない変態だったんだね・・・」

 

「見なさい、あの血走った目を・・・本当、最低のクズね・・・」

 

この光景を目撃している双子はカズマを信じられないものを見る目でかなり引いている。

 

「な・・・なんという鬼畜の所業・・・やはり私の目には狂いはなかったぁ!!!」

 

そしてダクネスはというとカズマは期待通りの人間らしく、パーティ入りの思いがますます強くなった。

 

 

ーこのすばぁ!!(ゲス声)-

 

 

あの大惨事を終えた後、カズマたちはギルドへと戻っていった。クリスはというと一応はパンツは取り戻せたが、未だに泣いている。

 

「あ、カズマ、それにアカメにティア。どこに行っていたんですか?」

 

「・・・て、その人どうしたの?」

 

カズマたちを出迎えたアクアとめぐみんは泣いているクリスを見て、どうしたのか尋ねてきた。

 

「クリスは盗賊スキルをカズマに教えてたんだけどね、そのスキルでパンツを盗られた上に所持金全部をむしり取られて泣いてるんだよ」

 

「おいティアあ!!?何口走ってんだぁ!!!?」

 

「事実でしょうが」

 

事実ではあるものの、そのことを話したティアにカズマは本気で焦っている。それも当然だ。このギルドには男冒険者だけでなく、女性冒険者、女性従業員もいるのだから、女性からは冷ややかな目で見られるのは間違いない。

 

「財布返すだけじゃダメだって・・・ぐす・・・じゃあいくらでも払うからパンツ返してって頼んだら・・・うぐ・・・自分のパンツの値段は、自分で決めろって・・・う、ううううぅぅ・・・!!」

 

「待てよ!!?おい待てぇ!!!間違ってないけど、本当まてぇ!!!」

 

「さもないと、このパンツは・・・うぐ・・・我が家の家宝として奉られることになるってぇ!!!」

 

「ちょおお!!??本当にやめて!!?アクアやめぐみんだけじゃなくて、他の女性の方全ての目が冷たいものになってるから・・・本当にやめて!!!」

 

「お姉ちゃん・・・」

 

「ええ・・・本当に、変態ね」

 

「当事者のお前らまで冷めた目で見るのはやめてぇ!!!」

 

クリスの発言で女性は全員カズマに冷たい視線を送っている。カズマがこんなことになっているのは、自業自得である。当のクリスはそんなカズマの顔を見て、してやったりといった顔をしている。どうやらクリスなりにやられた仕返しを行っていたようだ。

 

「それで、カズマは無事に盗賊スキルを覚えられたのですか?」

 

めぐみんの発言にカズマは得意げな顔になる。

 

「ふふふ・・・まぁ見てろよ・・・行くぞぉ、アカメぇ!!」

 

「は!!?ちょ、待ちなさいあんた・・・」

 

「スティーーーール!!!!」

 

カズマは証拠とするためにアカメにスティールを放った。光が収まると、カズマの右手には何かが握られていた。何かを盗られたアカメはカズマにどす黒く、冷たい視線を送っている。

 

「・・・何だこれ?赤・・・」

 

カズマの手に握られていたのは、真っ赤な布切れ・・・それすなわち、パンツである。

 

ドグシャッ!!!

 

「ぐはあああああ!!?」

 

自分の勝負パンツを盗られたアカメはカズマに無言でアッパーを放つ。アッパーをくらったカズマは宙を舞って、そのまま地面に不時着する。倒れた状態のカズマをアカメは容赦なくカズマの顔を踏みつける。

 

「ふがっ!!?」

 

「あんた・・・私から勝負パンツを盗もうなんて・・・いい度胸しているじゃない・・・このごくつぶし変態野郎・・・」

 

「しゅ・・・しゅみましぇん・・・」

 

カズマを踏みつけているアカメの目は本当にゴミを見るかのように黒く、冷たかった。その視線に恐れを抱いたカズマは謝罪する。

 

「ゴミのあんたに2つ選択肢を与えてあげる・・・。このまま永遠に地面に這いずるか、パンツを返してきついのを1発もらうか・・・どちらがお好みかしら?」

 

「ぱ・・・パンツ返却でお願いしみゃす・・・」

 

アカメの選択肢をカズマは消去法で後者を選んだ。パンツを返してもらったアカメは足を下ろして、カズマの胸倉をつかんで立たせる。

 

「いい子ね・・・そんなゴミにご褒美よ!!!」

 

バチーンッ!!!

 

「ぶっ!!!!」

 

アカメの強力なビンタをくらったカズマはそのまま地面に倒れる。そんなカズマにめぐみんが声をかける。

 

「カズマカズマ」

 

「はい・・・カズマだよ・・・」

 

「レベルもステータスも上がって、転職は別にいいのですが・・・変態にジョブチェンジはやめた方がいいですよ」

 

「いや・・・このスティール・・・盗れるものはランダムのはずなんだけど・・・」

 

痛い目にあったカズマはビンタされた跡を抑えながらゆっくりと立ち上がる。するとダクネスがカズマに一言物申す・・・

 

「こんな公衆の面前で女性の下着を剥ぎ取るなんて!!真の鬼畜だ許せない!!そして・・・その女性のあの蔑んだようなあの視線・・・!!ぜひとも私を、あなたのパーティに入れてほしい!!!」

 

かと思いきや、パーティ入りを懇願してきた。

 

「いらない」

 

もちろんカズマはそれを即拒否。

 

「あはああぁぁん・・・!!」

 

それには自重することなく、ダクネスは喜んで興奮している。

 

「ねぇ、カズマ・・・この人、昨日言ってた私とティアとめぐみんがお風呂に行ってる間に面接に来たって人?」

 

間違いなく知ってほしくないメンバーにダクネスの存在を知られた瞬間である。

 

 

ーこのすばぁ・・・♡ー

 

 

とりあえずパーティ一同はダクネスの面接のため、ダクネスの冒険者カードを一度確認する。

 

「ちょっと!この方クルセイダーではないですか!断る理由がないのではないですか?」

 

「私もそう言ってるんだけど・・・カズマがねぇ・・・」

 

ダクネスのパーティ入りはパーティ一同が賛成しているが、カズマはかなり渋っている。理由は当然、ダクネスが身も心もドMだからだ。

 

「ダクネス・・・実は君には、どうしても聞いてもらいたいことがある」

 

ダクネスを追い出す方法を思いついたのか、カズマがダクネスに声をかける。

 

「実はな・・・俺とアクアはこう見えて、ガチで魔王を倒したいと思っている」

 

「そうなの!すごいでしょ!」

 

得意げにしているアクアは放っておいて、カズマは話を進める。

 

「この先、俺たちの冒険はさらに過酷なものになるだろう・・・特にダクネス、女騎士のお前なんて、魔王に捕まったりしたら大変だぞ?それはもう・・・とんでもないことを晒される役どころだ!」

 

「ああ・・・全くその通りだ。昔から、魔王にエロい目に合わせられるのは女騎士としての仕事だと相場が決まっているからな。それだけでも、行く価値がある!!」

 

「あれ?」

 

カズマはダクネスがドMだというのは気づいているが、まさか自分から危険な目にあいに行くとは思わなかったカズマは完全に予想外だと思った。

 

「め、めぐみんも聞いてくれ!相手は魔王!この世で最強の存在に喧嘩売ろうってんだよ?そんなパーティに、無理して残る必要は・・・」

 

「我が名はめぐみん!!紅魔族随一の魔法の使い手にして、爆裂魔法を操りし者!我を差し置き、最強を名乗る魔王・・・そんな存在は、我が最強の爆裂魔法で消し飛ばしてあげましょう!!」

 

この際にめぐみんを除外しようと説得しようと思ったが、こっちも効果なしだった。

 

「アカメにティアも!魔王という存在は人々に危険を齎す存在だ!そんな奴らと戦おうという集団に、お前たちが身を投じる必要は・・・」

 

「上等じゃない。魔王の苦痛に歪む表情・・・想像するだけで興奮するわ」

 

「人々の自由を奪おうとする魔王なんて、私たちがやっつけるよ!!」

 

双子もパーティから除名しようと説得したが、全滅。全員残る気満々で、カズマは思わず頭を抱える。

 

「カズマカズマ、話を聞いてたら、なんだか腰が引けてきたんですけど。なんかもっと、楽な方法とか思いつかない?」

 

「お前が1番やる気出せ・・・」

 

そんな中で1番の関係者であるはずのアクアだけが戦意喪失しかけている。すると・・・

 

『緊急クエスト!!緊急クエスト!!冒険者各員は至急、正門に集まってください!!』

 

緊急クエスト発令放送を聞いて、街にいる冒険者は全員、ギルドから出ていって、正門前に集まる。カズマたちもこれに乗じて、正門に前に集まる。

 

「緊急クエストってなんだ?モンスターの襲撃なのか?」

 

「違う違う。キャベツだよキャベツ、キャベツの収穫」

 

「はあ?」

 

緊急クエストがキャベツの収穫と聞いてわけわからないといった顔をするカズマ。

 

「今年は荒れるぞぉ・・・」

 

「嵐が・・・来る・・・」

 

荒くれ者とめぐみんが一言発すると、徐々にアクセルに近づいてくる緑の物体の数々が見えるようになる。そして・・・

 

『収穫じゃああああああああああ!!!!!』

 

「マヨネーズ持ってこーーーーい!!!!」

 

冒険者全員は声を張り上げて気合を入れている。ティアなんて特に、誰よりも気合が入っている。緑の物体を確認できたカズマはこう叫ぶ・・・

 

「なんじゃこりゃあああああああああああああ!!!!???」

 

『キャベキャベキャベキャベ・・・』

 

カズマが確認できた緑の物体の正体は、空を飛ぶ生きたキャベツであった。

 

『全員参加クエスト!!

街に飛来したキャベツを収穫せよ!!』

 

「皆さーん!今年もキャベツの収穫時期がやってまいりましたー!今年のキャベツは出来が良く、一玉の収穫につき1万エリスです!できるだけ多くのキャベツを捕まえ、この檻の中に収めてください!」

 

『ヒャッハーーーーーー!!!!』

 

街の冒険者全員はこの時を待っていたのか全員笑顔でキャベツを多く収穫しようとキャベツの大群へと突っ込んでいく。

 

「カズマは知らないでしょうけど、この世界のキャベツは・・・飛ぶわ。味が濃縮して、収穫の時期が来ると、簡単に食われてたまるかと言わんばかりに、町や草原を疾走とする彼らは、大陸を渡り、海を越え・・・そして最後に、人知れぬ秘境の奥で、誰にも食べられずに、ひっそりと息を引き取ると言われているわ。それならば!私たちは一玉でも多く捕まえて、おいしく食べてあげようってわけよ!!」

 

「・・・俺、帰って寝てもいいですかね?」

 

この世界でのキャベツの常識を知らないカズマにアクアが説明を入れる。するとカズマは急にやる気がなくなってきている。

 

「行けええええぇぇ!!!」

 

『おおおおおおおお!!!!』

 

荒くれ者の合図で冒険者一同はキャベツに向かって突進し、キャベツを切ったり、射抜いたり、捕まえたりしてキャベツの収穫に勤しむ。

 

「いよーーーし!!!ガッポガッポと、取りまくるよぉーーーー!!!そーれバインドぉ!!!」

 

ティアは周りの冒険者に負けないようにバインドを駆使してキャベツを1つ、また1つと捕まえていく。

 

「ふはははははははー!!!こうやって捕まえるだけで経験値がガッポガッポ稼げるだけでなく、お金までもらえるこのイベント・・・気持ちが高ぶらずにいられますかぁ!!いやない!!!絶対ない!!!キャベツ!!君たちは本当に最高だーーーーー!!!」

 

「キャベべーーーー!!」

 

キャベツを1つ1つ捕まえていくティアに別のキャベツが体当たりを仕掛けようとしている。すると・・・

 

ザシュッ!

 

「キャベーー!!?」

 

ティアを守るようにアカメが短剣で体当たりしてきたキャベツを真っ二つに切り裂く。

 

「ティア!あまり調子に乗りすぎよ!もう少し冷静に・・・」

 

「さあキャベツ!!今すぐに私に捕まってよ!!そしてその血肉を、私の経験値とお金に捧げちゃいなよーー!!キャベツに血とかでないけど!!」

 

「聞いちゃいない・・・たく、世話がかかるわね!」

 

ザクッ!

 

「キャベ!!?」

 

体当たりしようとしたところにまたキャベツを切るアカメ。一応はキャベツを捕まえたいという双子の気持ちは一緒なのか双子のコンビネーションはこれでもかというほどに息ピッタリである。

 

「俺はこの異世界でキャベツを倒すために来たわけじゃないのに・・・。ティアなんかもう血走ってるような目をしてるし・・・。はぁ・・・もう・・・日本に帰りたい・・・そして家に引きこもりたい・・・」

 

普通じゃありえない光景を目にし、そして狂気的な気持ちの高ぶりを見せているティアを見て、カズマはもう日本へとホームシックしたくなってきている。

 

「カズマ、といったか。ちょうどいい機会だ。私のクルセイダーとしての実力を、その目で確かめてくれ」

 

ダクネスはカズマにそう言って、両手剣を構えてキャベツの群れに向かって突進していく。

 

「はああああ!!!」

 

スカッ、スカッ、スカッ、スカッ・・・

 

ダクネスは一心不乱にキャベツに攻撃を加えようとしているが、両手剣はキャベツに当てるどころかかすりもしない。これは不器用どころの話ではない。

 

(全然当たらないじゃないか・・・)

 

これはもういよいよ使えないと思い込んでいるカズマ。

 

「ぐわああああ!!!」

 

キャベツたちの逆襲と言わんばかりに、冒険者たちはキャベツの体当たりで倒れる者が続出する。

 

「はぁ・・・はぁ・・・さすがに、堪えるわね・・・」

 

「ぜぇ・・・はぁ・・・さすがに、疲れてきたよ・・・」

 

怒涛のキャベツラッシュに双子も疲れの色が見え始めてきた。

 

「キャベーー!!!」

 

「!しまった!」

 

「きゃあっ!!」

 

双子が疲れてきたところにキャベツが双子たちに向かって突進しようとしている。

 

「危ない!!!!」

 

ドゴォッ!!

 

体当たりが双子に当たる直前、ダクネスが双子の前に立ち、キャベツの体当たりを身を挺して防いだ。

 

「ここは私に任せて・・・今のうちに・・・」

 

「「ダクネス!!」」

 

数多くのキャベツの怒涛の体当たりはまだまだ続く。キャベツの重い一撃が1発ずつダクネスに直撃し、少しずつ鎧が壊されていく。

 

「鎧が!!」

 

「何のこれしき!!」

 

「バカやってんじゃないわよ!!やられてる一方じゃない!!早く逃げなさい!!」

 

「バカを言うな!!!仲間を見捨てる行為など・・・できる・・・ものかぁ!!!」

 

素肌が少しずつ見え始めてきても、仲間に一喝を受けても、ダクネスは仲間を守る行為を決してやめることはなかった。

 

「騎士の鑑だ・・・」

 

「早く逃げて騎士様!!」

 

男冒険者、特に騎士系の冒険者はダクネスの姿を見て、尊敬を覚えており、女性冒険者はダクネスの身を心配している。

 

「・・・・・・」

 

そんな中でカズマはダクネスを見て、冷めたような目で見ている。

 

(み・・・見られている・・・男たちが私の肌を見て興奮している・・・!なんという辱め・・・!汚らわしい・・・たまらん!!最高のご褒美だ!!!)

 

(やっぱり・・・喜んでる・・・)

 

ダクネスはキャベツの体当たりを食らい、男たちの興奮した目つきで見られて、ドMとして興奮している。カズマはそれを見て、ダクネスをかなり引いている。

 

「あんなになってまで人を守るなんて・・・」

 

「俺も騎士として見習わないとな・・・」

 

(違う!!!みんな誤解してるぞ!!!目を覚ましてくれ!!!)

 

そうとは知らない他の冒険者は盛大に勘違いしている。

 

「ふ・・・肉壁のくせに・・・生意気よ!私だって負けてられないわ!!」

 

ザシュッ!

 

「キャベー!!?」

 

「あんなの見せられたら・・・疲れなんて・・・どこのそのーーー!!」

 

ダクネスの勇姿を見た双子はダクネスが取り逃がしたキャベツを切り裂いたり、捕まえたりして元気を取り戻す。そしてそこに・・・

 

「真打登場。我が必殺の爆裂魔法の前において、何者も抗うことなど敵わず・・・」

 

「ここにもややこしい奴がーーーー!!!!」

 

めぐみんが爆裂魔法を放とうと、狙いを大量のキャベツに向ける。

 

「あれほどの敵の大群を前にして、爆裂魔法を放つ衝動を抑えられようか・・・いやない!!!!だから撃つのです!!!!」

 

「いやあるよぉ!!?まだ他の冒険者がいるだろぉ!!?」

 

カズマのツッコミもいざ知らず、めぐみんは爆裂魔法の詠唱を唱え始める。

 

「光に覆われし漆黒よ・・・夜を纏いし爆炎よ・・・紅魔の名の元に、原初の崩壊を顕現せよ。終焉の王国の地に、力の根源を隠匿せし者・・・我が前に統べよ!!!」

 

詠唱を唱え終えると、ダクネスたちの周りの大気が大きく震え始めている。

 

「お姉ちゃん・・・」

 

「ええ・・・ここは・・・」

 

「「逃げろーーーーー!!!!」」

 

めぐみんが爆裂魔法を撃とうとしているのを見た双子は守ってくれたはずのダクネスを置いて一心不乱に逃げていく。

 

「エクスプロージョン!!!!!!」

 

ドオオオオオオオオオオン!!!!!!!

 

爆裂魔法の大爆発によって、双子と周りにいた冒険者たち、そしてキャベツの一部はその爆風で吹き飛ばされていく。そしてダクネスは多くのキャベツと共に爆裂魔法の大爆発に巻き込まれるのだった。

 

『全員参加クエスト!!

街に飛来したキャベツを収穫せよ!!

結果:大豊作!特別ボーナス獲得!!』

 

 

ーこのすば!-

 

 

キャベツの収穫を終えた冒険者たちは捕まえたキャベツの料理を食べながら騒いだり飲んだりしてどんちゃん騒ぎだ。カズマたちのパーティもキャベツを使った野菜炒めを食べている。

 

「納得いかねぇ・・・なぜたかがキャベツの野菜炒めがこんなにうまいんだ・・・」

 

カズマはぶつぶつと文句を言いながらも、キャベツの野菜炒めをうまいと言いながら食べている。

 

「あなた、さすがクルセイダーね。あの鉄壁の守りにはさすがのキャベツたちも攻めあぐねていたわ」

 

「いや・・・私など、ただ固いだけの女だ。誰かの壁になって守ることしか取り柄がない」

 

アクアがダクネスのクルセイダーとしての能力を褒めると、ダクネスは照れている。

 

「アカメとティアのコンビネーションも中々のものでした。お互いを守り合いながらあのキャベツの大群をなぎ倒すのですから。紅魔の里でも、あれほどのコンビネーションは滅多に見られませんよ」

 

「冒険者歴10年の私たちなら、当然のことよ」

 

「喧嘩することが多いけど、意思疎通は出来てなきゃ、ね」

 

めぐみんはアカメとティアの双子のコンビネーションを高く評価しており、アカメは鼻を鳴らして自慢し、ティアは少し照れ臭そうにしている。

 

「それよりアクアの花鳥風月も見事なものだったわ。正直、見直したわ」

 

「だね。冒険者のみんなの指揮を高めつつ、収穫したキャベツの鮮度を保つなんて。バカにしてた自分が恥ずかしいよ」

 

「まぁね。みんなを癒すアークプリーストとしては当然よね!」

 

「それ、絶対いらないだろ・・・」

 

双子がアクアの花鳥風月を褒めて、アクアは結構ご満悦だ。カズマは未だに花鳥風月をバカにしているが。

 

「めぐみんの魔法も凄まじかったぞ。キャベツの群れを一撃で吹き飛ばしていたではないか」

 

「ふふん!紅魔の血の力、思い知りましたか!」

 

「ああ・・・あんな火力の直撃は・・・今まで食らったことはなかったぞ・・・。あれは・・・いい!」

 

「直撃させんなよ・・・いつか死ぬぞ・・・」

 

ダクネスは爆裂魔法の威力を思い出して、興奮している。めぐみんは爆裂魔法を褒められて、鼻が高くなっている。

 

「あ、カズマ!あんたも中々なものだったわよ!」

 

「確かに・・・潜伏スキルで気配を消して、背後からスティールで強襲するその姿は、まるで暗殺者の如しです」

 

「冒険者歴10年の私たちだけど、スティールをあんな風に使う奴はあんたが初めてよ」

 

「うんうん。私たちでさえ、あれで捕まえたことなんて、1度もなかったし」

 

パーティ一同はカズマのキャベツ方法について褒めていたが、カズマはちっとも嬉しそうにしていない。

 

「カズマ、女神の私の名において、華麗なるキャベツ泥棒の称号を授けてあげるわ」

 

「お前そんな称号を本気で与えたらマジでぶん殴るからな」

 

アクアからもらった称号が気に入らないのかカズマはこめかみがひくひくさせている。

 

「では改めて・・・私の名はダクネス。一応は両手剣を使ってはいるが、戦力としては期待しないでくれ。何せ、不器用すぎて攻撃が全く当たらないんだ。だが、壁になるのは大得意だ!」

 

正式にカズマのパーティに加わったダクネスは改めてメンバーに自己紹介をした。中々濃いメンツが揃って、アクアは得意げだ。

 

「ふふん、うちのパーティの顔ぶれも中々豪華になってきたじゃない。アークプリーストの私に、シーフのアカメにティア、アークウィザードのめぐみん、そしてクルセイダーのダクネス。6人中5人が上級職のパーティなんてそうそうないわよ?」

 

それとは対照的に、もういろいろと苦労させられる気がしているカズマはもうため息をつくしかなかった。

 

「それではカズマ、これからも遠慮なく、私を囮代わりに使ってくれ。パーティの足を引っ張るようなことがあれば、アカメのように強めに罵ってくれ!何なら!捨て駒として見捨ててくれたっていい!ふふ・・・想像しただけで武者震いが・・・」

 

想像するだけで興奮するダクネスを見て、もうカズマはもういろいろと諦めている。

 

「改めて、これからよろしく頼むぞ」

 

ダクネスは笑顔を浮かべながらカズマに手を差し伸べた。カズマはもう諦めて、渋ったような顔でダクネスと握手を交わすのだった。




次回予告的なもの

拝啓、学校の先生、佐藤和真です。

僕は今、異世界で勉学を学んでいます。
社会の仕組みを、人間というものを、生きるということを。
ここで起きる素晴らしい出来事の何もかもが自分を成長してくれてるんだと感謝しています。
ありがたすぎて、うれし涙が出てきます。
枕で涙を濡らさなかった夜は一夜もありませんでした。
・・・いや、いい意味で、いい意味でですよ?

仲間の会話
めぐみん「カズマ、急にどうしたのですか?お腹でもくだしましたか?」
アカメ「て・・・あんた・・・本当に泣いてんの?」
ダクネス「お、おい・・・いったいどうしたというのだカズマ」
カズマ「何でもない・・・何でもないからほっといてくれ・・・ぐす・・・」
ティア「よくわかんないけど・・・きっといいことあるよ!多分・・・」
カズマ「いやそこ自信持てよ・・・」
アクア「ぐーすかー・・・zzz」

次回、この夜の墓場にリッチーを!
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