このすば!この微笑ましい双子に幸運を   作:先導

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この強敵に爆裂魔法を!

本日の冒険者ギルドでは、キャベツのクエストで収穫されたキャベツが売り出されたため、冒険者たちはその報酬を受け取るためにカウンター席に並んでいる。もちろん、カズマのパーティもキャベツの捕獲分の報酬を受け取りに・・・というか、もうアクア以外は全員報酬を受け取ったために、その報酬を使った買い物に行って来ている。その中で、残っているのがカズマとティアで、報酬を受け取る冒険者たちの列に並んでいるアクアだけだ。

 

「ねぇねぇカズマカズマ」

 

「はいはいカズマですよ」

 

「カズマはキャベツの報酬、何に使うの?」

 

ティアの興味本位の質問にカズマは嘘偽りなく話す。

 

「俺たちの住まいが馬小屋なのは知ってるだろ?馬小屋生活脱却のために、とりあえずはどっかの一軒家を手に入れるために、ひとまずは貯金ってとこだな」

 

「そのお金でどっかの宿に泊まればいいのに・・・」

 

「今はどこも埋まってて、泊まれる場所がないんだよ。それから、ウィズんとこで寝泊まりしてるお前らにだけは言われたくない」

 

「大変だね・・・」

 

馬小屋生活を送っているカズマにティアは少し同情をしている。

 

「そういうティアは報酬を何に使うんだ?」

 

「う~ん・・・私、これといってほしいものはないんだよ。だから私もカズマと同じく貯金かなーって」

 

「だったらウィズになんか買ってやったらどうだ?一応住まわせてもらってんだし、そのお礼ってことでさ」

 

「あ・・・確かにいいかも。ありがとうね、カズマ。参考にするよ」

 

「おう」

 

カズマとティアが報酬で何に使うかという話をしている間にも、ダクネス、めぐみん、アカメが戻ってきた。そんな中で、ダクネスがカズマたちに話しかけてきた。

 

「カズマ、ティア、見てくれ!修理に出していた鎧が直ったのだが、以前よりこんなにピカピカになった!どう思う?」

 

今のダクネスの姿は初めて出会った時の鎧を着こんでいるが、彼女の言うとおり、鎧は以前と比べると見違えるほどに輝いている。着こんでいるダクネス自身もうれしそうだ。

 

「なーんか成金主義のぼんぼんが付けている鎧みたい」

 

「む・・・私だって、素直に褒めてもらいたい時があるのだが・・・」

 

カズマの発言はダクネスにとってはあまりいい言葉ではないようで、珍しく拗ねているような表情をしている。

 

「だが・・・カズマはどんな時でも容赦ないな・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

だがすぐに平常運転でドM心を発揮している。

 

「でも本当に綺麗で素敵な鎧だよ、ダクネス。まるで本物の貴族のお嬢様騎士みたいだね」

 

「き・・・貴族のお嬢様は・・・その・・・やめてくれないか?」

 

「あれ?褒めたはずなのに嬉しくない?」

 

ティアは素直に褒めたはずなのだが、ダクネスはあまりいい気持ちにはなれなかったようだ。

 

「まぁそれはいいとして・・・今はあいつらには構ってる余裕はない・・・というか、関わりたくない」

 

「ああ・・・それは、確かに・・・」

 

カズマとティアは自分たちの座っている席の隣にいるめぐみんとアカメを若干引いた目で見る。

 

「まずそこにいる変態共のあの浮かれ具合をなんとかしろよ・・・」

 

「はぁ・・・はぁ・・・魔力溢れるマナタイト製の杖のこの色つや・・・たまりませんねぇ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

「はぁ・・・はぁ・・・ああ・・・ようやく巡り合えたわね、マジックダガー・・・あなたのその輝く刃で・・・何かを切り裂く瞬間・・・はぁ・・・想像するだけでよだれが・・・」

 

めぐみんは手に入れたマナタイト製の杖を頬ずりしており、アカメは念願のマジックダガーをうっとり見つめたり、べろりと刃を舐めまわしている。正直言って、危険人物と言われてもおかしくない光景である。

 

「何ですってーーー!!??もういっぺん言ってみなさいよあんた!!!!」

 

すると、アクアが従業員に突っかかっている声が聞こえてきた。そちらを見てみると、本当にアクアがルナに突っかかっている。

 

「みんなあんなに報酬をもらってるのに、なんで私だけこれっぽっちなのよぉ!!!私がどれだけのキャベツを捕まえたのかわかってんの!!?ちゃんと数えたのかしら!!?」

 

どうやらアクアの受け取った報酬の額が他の冒険者と比べて異常に少なかったことにたいして文句を言っていたようだ。

 

「それが・・・そのぅ・・・言いにくいことなのですが・・・」

 

「何よ?」

 

「アクアさんが捕まえてきたのが、ほとんどがレタスでして・・・」

 

「なんでレタスが混じってんのよーー!!?おかしいでしょう!!?」

 

どうもアクアが捕まえたキャベツの中にはレタスが混じっていたようで、その混じったレタスが多かったから報酬が少なかったようだ。

 

「あの中にレタスが混じってたのかよ・・・」

 

「確かに、レタスの換金率は低いな」

 

「でもレタスって最低でも30玉か50玉くらいしか混じらなかったはずなんだけどなぁ・・・」

 

「つまりは・・・その30か50のレタスをアクアが捕まえたってことだろ?」

 

「それは・・・ある意味すごいな・・・」

 

どう足掻いたところで報酬が変わらないと判断したアクアは抗議をやめてカズマに近づいてくる。カズマはというと、関わりたくないといった顔をしている。

 

「カーズーマーさん?キャベツで手に入れた報酬はおいくら万円ですかー?」

 

「・・・・・・150万エリス」

 

「「「「「ひゃくごっ・・・!!?」」」」」

 

一玉が1万エリスということは、普通ならカズマは少なくとも150玉は回収していることになる。だがカズマの場合、150なんて捕まえられるはずもない。ならなぜか?簡単だ。かなり高い経験値を持ったキャベツを収穫したため、普通より報酬が多いのだ。それだけ稼げているカズマにパーティメンバー全員は驚いている。そしてアクアの目の色が変わり、すぐに行動に入る。

 

「か、カズマ様ー?前から思ってたんだけどー・・・そこはかとなくいい感じよね!」

 

「そこはかとなく言うな。特に褒めるとこがないなら無理すんな。褒めた程度じゃ金はやらないぞ」

 

お金を出さない発言をされたアクアは目元に涙を潤ませ、すぐに駄々をこねた。

 

「カズマさん!!私、今回の報酬が相当な額になるっふんで持ってたお金全部使っちゃったんですけど!!ていうか大金は入ってくるって見込んでこの酒場に10万近いツケまであるんですけど!!」

 

「んなもん俺の知ったことか!!今回の報酬はそれぞれのものにって言ったのはお前だろ!!?」

 

「だって!!私だけ大儲けできるって思ったんだもん!!」

 

「お前最低だな・・・余計に払いたくなくなるわ・・・」

 

「お願いよ~!!お金貸して!!ツケ払う分だけでいいから~!!」

 

アクアのあまりにしつこい駄々にもカズマは聞く耳持たずだ。

 

「うるさい駄女神!!自分で招いた結果だろ!!自分の付けくらいは自分でなんとかしろ!!んなことで人様に迷惑をかけんじゃねぇ!!地道に働いて返しやがれ!!」

 

「わああああああん!!カズマに見捨てられた~~!!」

 

もうカズマではダメだと判断したアクアは今度はめぐみん、ダクネス、アカメに狙いを定める。

 

「お願いよ~~!!めぐみんでもダクネスでもアカメでもいいからお金貸してよ~~!!こんな4万ぽっきりじゃ全然足りないからぁ~!!このままじゃ私、ひどい目にあっちゃう~~!!」

 

アクアは泣きながらめぐみんたちにお金を貸すように頼んでみる。

 

「無理ですよ。これ払ったら今泊ってる宿代がなくなるじゃないですか」

 

「すまない・・・私も、鎧の修理費で報酬を全て使い切ってしまった」

 

「出さないわよ。生活費だって溜めてるんだから」

 

「うわあああああああん!!」

 

みんなお金を貸す余裕がないらしく、それを聞いたアクアは大泣きしてしまう。すると1人だけ報酬を使っていないティアのことを思い出し、アクアは最後の望みと思い、ティアにすがる。

 

「お願いティア!!お金貸して!!みんなお金を出してくれないの!!もうティアだけが頼みなの!!最後の希望なの!!」

 

「えぇ~・・・私、これから何か買おうと・・・」

 

ティアはお金を貸すのに渋っている。その様子を見てアクアは泣きながらティアが飲んでるジュースに指を突っ込む。するとティアのジュースが浄化されていき、色がだんだんと薄くなってきている。

 

「なぁんでよ~~~!!まだ報酬使ってないんだからいいじゃない!!ねぇ、お願いよ~~~!!!クエストの報酬で何でも買ってあげるから!!10万程度でいいから~~~!!!」

 

「きゃあああああ!!?じゅ、ジュースがあ!!?わかった!!わかったって!!払う!!払うからジュースに浄化魔法を使うのはやめてええええええ!!!」

 

結局ティアは自分の報酬の一部をアクアに渡したのだった。ちなみに、ジュースを浄化したのは浄化魔法ではなく、体質によるものだ。

 

 

ーこのすばぁ~!!!(泣)ー

 

 

「カズマさん・・・仲間って・・・いいわよね!」

 

「お前って奴は本当に・・・」

 

お金をもらって調子が上がったアクアはるんるんした気分で酒場の人間につけを払った。その様子にカズマは本当にあきれ果てている。一方、ジュースを浄化されてしまったティアはというと・・・

 

「・・・もうこれ・・・ただの水だ・・・私のジュース・・・」

 

「あんたは悪くないわ・・・。私がジュース買ってあげるから、元気出しなさい・・・」

 

好きなジュースだったのかティアは目が死んだように落ち込んでる。その姿にさすがに哀れと思ったのかアカメがティアを元気づけている。

 

「・・・では、アクアのツケ問題も解決したので、そろそろクエストに行きましょう。さっそくこの新調した杖の威力を試したいのです!!」

 

「そうね。クエストに行きましょう。私も、念願のマジックダガーの切れ味を、もう試したくて試したくて・・・」

 

「そうだな。なんか割に合うクエストが1つでもあるといいんだが・・・」

 

クエストに向かうという方針を決めたカズマたちはさっそくクエストボードでクエストを確認するが・・・

 

「あれ?なんだこれ?依頼がほとんどないじゃないか」

 

クエストボードにはいつもと比べて依頼数が極端に少なく、残っているクエストというのが・・・

 

「カズマ!!私はこれがいいぞ!!ブラック・ファングと呼ばれる巨大熊討伐を!!」

 

「んなもん俺はすぐに死ぬわ!!却下だ却下!!ていうか、なんだよこれ⁉高難易度のクエストしか残ってないじゃないか!」

 

そう、残っているクエストといえば、強敵モンスターの討伐などといった高難易度クエストしかないのだ。カズマが困惑していると、ルナが現状を説明する。

 

「申し訳ありません。実は最近、魔王の幹部らしき者が街の近くに住み着きまして・・・」

 

「えっ!!?マジですか!!?」

 

「はい・・・ですので、その影響か、近辺の弱いモンスターは隠れてしまい、仕事が激減しておりまして・・・」

 

「えええ~・・・何でこのタイミングで・・・」

 

「なので、腕利きの冒険者や騎士が王都から派遣されてくるまでは高難易度クエストしかできないと、お考え下さい・・・。大変、申し訳ございません」

 

ルナはカズマたちに頭を下げて謝罪してから通常業務に戻る。クエストが減った原因を聞いたカズマたちは落胆する。

 

「まったく、やってくれたわね!幹部だかなんだか知らないけど、もしアンデッドなら見てなさいよ!絶対浄化してやるんだから!!」

 

「わ・・・私は、高難易度クエストはむしろ望むところなのだが・・・」

 

「強敵討伐はやらないからな」

 

「むぅ・・・」

 

「つまり、元に戻るまでは、大人しくしとけってことかぁ~・・・辛いなぁ~・・・」

 

思わぬ邪魔が入ってしまい、カズマたちパーティはしばらくはクエストに行くのはやめるようだ。

 

「はぁ・・・マジックダガーの試し切りできると思ったのだけど・・・この退屈をどうまぎれさせたらいいのかしら・・・」

 

アカメが特にやることがなく、退屈そうにマジックダガーを眺めていると、めぐみんが声をかけてきた。

 

「暇を持て余しているのなら、ちょっと付き合ってもらいたいのですが・・・よろしいでしょうか?」

 

ウィズの店を手伝う以外はやることがないアカメは少しの刺激を得るためにめぐみんの誘いを了承するのだった。

 

 

ーこのすば!-

 

 

めぐみんの誘いというのは、爆裂魔法の練習の付き添いらしい。めぐみんの爆裂魔法は1発撃てば動けなくなるため、最低でも1人はおぶる人材が必要なのだから当然と言えば当然だ。

 

「・・・で?なんで俺まで付き合わなきゃいけないんだ?」

 

爆裂魔法の練習の付き添いにはアカメだけでなく、カズマも来ていた。カズマは明らかに不服そうにしてはいるが。

 

「どうせ暇してるんだから少しは付き添いなさいよ。本物のニートになりたいなら、帰っても構わないけど」

 

「それは嫌だけどさ・・・魔法の練習なら1人で行けばいい話じゃねぇか」

 

「そうしたら、いったい誰が私をおぶって帰るのですか?1発撃ったら動けなくなるんですよ?」

 

「というわけで、動けなくなっためぐみんをお願いね」

 

「・・・まさか、そのためだけに俺を呼んだのか?」

 

「当たり前でしょう」

 

どうやらアカメはめぐみんをおぶって帰るのが面倒だからわざわざカズマを呼んできたらしい。ちなみにアカメは刺激が欲しいから来ているだけだ。

 

「もうこの辺でいいだろ?適当に魔法撃って帰ろうぜ?」

 

1秒でも早く帰りたいカズマはそう提案するが、めぐみんはそれを拒否する。

 

「ダメなのです!街から離れたところじゃないと、また守衛さんに叱られます!」

 

「今お前、またって言ったな。音がうるさいとか迷惑だとか言われて怒られたんだろう」

 

カズマの問いかけにめぐみんは恥ずかしそうにしながら首を縦に頷いた。

 

「なら、あれならどうかしら?あれならどんなにぶち壊したって、誰も文句は言わないでしょ」

 

2人より目がいいアカメが指しているのは、大きな崖にそびえ立っている不気味な雰囲気を放っている廃城であった。少し歩いたところで2人もその廃城が見えてきた。

 

「あれは・・・廃城でしょうか?」

 

「薄気味悪いな・・・」

 

「標的にするには、いい的だと思わないかしら」

 

「そうですね。あれにしましょう」

 

とりあえず標的を決めためぐみんはすぐに爆裂魔法の詠唱を唱える。

 

「紅き黒炎、万界の王。天地の法を敷衍すれど、我は万象昇温の理。崩壊破壊の別名なり。永劫の鉄槌は我がもとに下れ!!!」

 

詠唱を唱え終え、めぐみんは爆裂魔法を放つ。

 

「エクスプロージョン!!!!!」

 

ドオオオオオオオオオオン!!!!!

 

廃城は爆裂魔法の大爆発に直撃したが、少しは頑丈なのか、原形はまだとどまっている。爆裂魔法を放っためぐみんはぐったりと倒れこむ。

 

「燃え尽きろ・・・紅蓮の中で・・・。・・・はぅ・・・最高・・・です・・・」

 

爆裂魔法を放った後はカズマがめぐみんをおぶって、アクセルの街へと帰還するのであった。

 

 

ーこのすばぁ♡ー

 

 

ということもあって、こうしてアカメ、カズマ、めぐみんの新しい日課の始まりであった。

 

一文無しのアクアはというと、毎日アルバイトに励んでいる。

 

ダクネスはしばらくは実家で筋トレをしてくると言って、帰省している。

 

ティアはウィズの店の手伝いをしている。アカメは同じくウィズの店の手伝いをしながら爆裂魔法の日課に参加している。

 

そういうわけで、特にやることがないめぐみんは同じくやることがないカズマを連れて毎日、あの廃城に爆裂魔法を放ち続けた。

 

「エクスプロージョン!!!」

 

それは寒い氷雨が降る夕方・・・

 

「プロージョン!!!」

 

それは穏やかな、食後の昼下がり・・・

 

「ジョン!!!」

 

それは早朝の散歩のついでに・・・

 

「「「ばっくれっつばっくれっつらんらんらーん♪」」」

 

どんな時でも、めぐみんは何度もあの廃城に赴き、爆裂魔法を放ち、めぐみんの傍らで爆裂魔法を見続けてきたカズマとアカメはその日の爆裂魔法の出来がわかるまでになっていた。

 

「エクスプロージョン!!!!!!」

 

ドオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!

 

そして今日も今日とて、めぐみんは爆裂魔法をあの廃城に撃ち放った。

 

「お、今日のはいい感じだな。爆裂の衝撃波がずんと骨身に浸透するがごとく響き・・・」

 

「それでいて、肌を舐めるかのように、空気の振動が届いてくる・・・実に美しかったわ」

 

カズマとアカメは本当に爆裂魔法の出来を理解したようで、専門家みたいな発言をしている。

 

「「・・・ナイス、爆裂!!」」

 

「ナイス、爆裂」

 

カズマとアカメはめぐみんにグッドサインを送り、めぐみんもグッドサインで返す。これぞ、ナイス、爆裂。

 

「カズマもアカメも爆裂道がわかってきましたね。どうです?いっそ本当に、爆裂魔法を覚えてみては?」

 

「私はシーフとしての誇りがあるから、悔しいけど、断念するわ。カズマはどう?」

 

「うーん・・・まだ考えてないんだよな、そこは。でも将来、余裕があったら習得してみるのも面白そうだな」

 

「よい心掛けです」

 

こうして3人は今日も日課を終えて、めぐみんをおぶりながらアクセルの街へと戻るのだった。

 

 

ーこのすば!-

 

 

翌日、今日は珍しくパーティ全員が冒険者ギルドに集っている。そろそろクエストを受けられそうかなと確認をしてみてるが、未だに進展はない。

 

「んー・・・今日も高難易度のクエストしかないなぁ・・・」

 

「本ッ当にムカつくわねー。ちょっと魔王軍の幹部でもしばいて来ようかしら?」

 

「軽くそんなこと言うなよ。相手は魔王の幹部なんだぞ?」

 

「それに、その魔王の幹部がどこに住んでるかなんてわからないでしょ?」

 

まだクエストが受けられない状況下にアクアはいら立ちを隠せないでいた。とはいえ、どこにいるのかもわからないのだからどうしようもできないのもまた事実である。

 

「じゃあ今日もクエストは休みってとこね」

 

「むぅ・・・私としては高難易度でもいいのだが・・・仕方ない。今日も実家で筋トレでもするか・・・」

 

とりあえず、本日も冒険者稼業は休みということに決めたカズマたち。

 

「ではカズマ、アカメ、今日も爆裂魔法の練習に行きましょう。今日は昨日より、いい爆裂魔法が撃てそうなのです」

 

「お、それは楽しみだな!」

 

「ふふふ、今日の爆裂魔法は何点なのか、採点が楽しみね」

 

「え、ちょっとカズマさん、私がバイトをやってる間にそんな楽しそうなことやってたの?」

 

「うわぁ・・・お姉ちゃんが爆裂中毒者になりかけてる・・・」

 

カズマたちがそんな話をしていると、緊急放送が鳴り響いた。

 

『緊急!緊急!全冒険者の皆さんは、直ちに武装し、戦闘態勢で街の正門まで集まってください!』

 

街の緊急放送によって街にいる冒険者は全員、戦闘態勢を整えてから街の正門まで集まっていく。カズマたちも各々が戦闘の準備を整えてから街の正門まで集まっていく。

 

「あれは・・・!!ただ事じゃねぇ!!」

 

街の正門の前に待ちかまえていた存在を見て、荒くれ者を含めた冒険者たちは驚愕する。街の正門の前に立っていたのは、首が存在しない亡霊馬に乗り込み、暗黒騎士の甲冑を着込んだ首なしのアンデッド、デュラハンだ。デュラハンは自分の頭を担いで、じっと冒険者たちを見据える。

 

「・・・俺はつい先日、この近くの城に越してきた、魔王軍幹部の者だが・・・」

 

魔王軍の幹部の1人であるデュラハン・・・ベルディアはプルプルと震え、そして声を荒げて叫んだ。

 

「ま・・・ま・・・ま・・・毎日毎日毎日毎日毎日!!!!俺の城に毎日欠かさず爆裂魔法を撃ち込んでくる頭のおかしい大馬鹿者はどこのだれだあああああああああああ!!!???」

 

魔王軍の幹部であるベルディアは、それはもうたいそう、ご立腹でした。そしてカズマとアカメ、めぐみんはその城に心当たりがありまくった。

 

「・・・・・・」

 

「・・・まさか、あのデュラハンの城っていうのは・・・」

 

「・・・間違いなく、あの廃城のことだろ・・・なんてこった・・・」

 

そう、毎日爆裂魔法を放ったあの廃城こそ、ベルディアが住んでいる城だったのだ。まさか魔王軍幹部の城だったとは思わなかった3人は冷や汗をかきまくっている。

 

「もう1度聞く・・・毎日俺の城に毎日爆裂魔法を放つ頭のおかしい大馬鹿は誰だああああああああああああ!!!???」

 

もう怒り心頭のベルディアは声を荒げてもう1度要点を言い放った。

 

「・・・爆裂魔法?」

 

「爆裂魔法を使えるやつって言ったら・・・」

 

「爆裂魔法って言ったら・・・」

 

冒険者たちは誰が爆裂魔法を使えるのかというのを知っているため、全員がめぐみんをじっと見つめている。ビクついためぐみんは責任転換する気なのか他のウィザードに視線を向ける。それに合わせて冒険者全員はそのウィザードに視線を向ける。

 

「ええっ⁉私⁉なんで私が見られてるの⁉私、爆裂魔法なんて使えないよ⁉」

 

濡れ衣を着せられかけているウィザードは涙目になって自分じゃないと主張する。カズマとアカメは真犯人であるめぐみんをじっと見つめる。めぐみんは2人の視線と、涙目のウィザードに罪悪感を感じたのか、観念してベルディアの前まで歩いていく。

 

「き・・・貴様が・・・貴様が毎日毎日俺の城に爆裂魔法を撃ち込んでくる頭のおかしい大馬鹿者かぁ!!!!貴様!俺が魔王軍の幹部だと知っていて喧嘩を売っているつもりなら、堂々と攻めて来ればいいだろう!!?その気がないなら街の家でガタガタと震えていればいいだろう!!?ねぇ、なんでこんな陰湿な嫌がらせをするの!!?どうせ雑魚しかいない街だと思って放っておいてやったのに、調子に乗って毎日毎日ポンポンポンポンポンポン!!!撃ち込みにきおってからに!!!!頭おかしいんじゃないのか貴様ぁ!!!???」

 

鬱憤が溜まりに溜まって文句を言い放つベルディアにめぐみんは冷や汗をかきながら高らかに名乗りを上げる。

 

「我が名はめぐみん!!アークウィザードにして、爆裂魔法を操る者!!!」

 

めぐみんの名乗りを聞いて、ベルディアの頭は白けたような顔をしている。

 

「・・・めぐみんってなんだ?バカにしてんのか?」

 

「ち、違うわい!!」

 

どうやらめぐみん・・・というか、紅魔族の名乗りは魔王軍の方でも不評のようだ。

 

「我は紅魔族の者にして、この街随一の魔法使い!我が爆裂魔法を撃ち続けていたのは・・・魔王軍幹部のあなたをおびき出すための作戦・・・こうしてまんまとこの街に1人で出てきたのが、運の尽きです」

 

『おおお・・・』

 

めぐみんの放った言葉に冒険者たちは感心の意味で驚愕しているが、カズマたちパーティは全くそんなことはなかった。

 

「めぐみんの言うことはかっこいいけど・・・あれ、本当に作戦だったの?」

 

「そんなわけないじゃない。あんなの、見栄を張って言っているだけよ」

 

「というかそもそも、俺たちはあの城があのデュラハンの城だったなんて知らなかったんだよ」

 

「しかもさらっと、この街の随一の魔法使いと言い張ってるな・・・」

 

「しー!黙っておいてあげなさいよ。今日はまだ爆裂魔法を使ってないし、後ろにたくさんの冒険者が控えてるから強きなのよきっと。今いいところなんだから、このまま見守るのよ!」

 

いろいろ言いたいことはあるが、今はアクアの言うとおり、見守ることに決めたカズマたち。

 

「ほう・・・貴様は紅魔族の者だったか。なるほど・・・通りでそんないかれた名を持っているわけだ。本当にバカにしているわけではないようだな」

 

「おい、両親からもらったこの素晴らしい名に文句があるなら聞こうじゃないか」

 

「ふん・・・まぁ、そんなことはいい。俺はお前ら雑魚共にちょっかいをかけるために来たわけではない。この地にはとある調査のために来ただけだ。しばらくはあの城に滞在するつもりだが・・・これからは、爆裂魔法を使うな。俺が言いたいのはそれだけだ」

 

ベルディアは言いたいことを言ってからその場を去ろうとするが、爆裂魔法を使うなという指示をめぐみんは拒否する。

 

「嫌です。紅魔族は日に1度に爆裂魔法を撃たないと死ぬのですから仕方ないのです」

 

「お、おい!!聞いたことがないぞそんなこと!!てきとうな嘘をつくんじゃない!!」

 

もちろん、めぐみんが言っていることは嘘である。

 

「どうあっても爆裂魔法を撃つのをやめる気はないと、そう言いたいんだな?」

 

ベルディアの問いかけにめぐみんは首を縦に頷く。

 

「・・・俺は魔に身を堕とした身ではあるが、元は騎士である。弱者を刈り取る趣味は俺には持ち合わせていない。だが・・・これ以上俺の城にあのような迷惑行為をするのなら、こちらにも考えがあるぞ」

 

「迷惑をしているのは私たちの方ですよ!あなたがあの城に居座っているせいで、こっちは碌に仕事も回ってこないのですよ!余裕ぶってられるのも今のうちです。こちらには対アンデッドの専門家がいらっしゃるのですから!先生、お願いします!!」

 

めぐみんはアクアを先生と呼び、前に出させようとする。当のアクアはまんざらでもないといった顔をしている。

 

「しょうがないわねぇ~。魔王の幹部だかなんだか知らないけど、この私がいる時に現れるなんて運がなかったわね!あんたのせいで、まともなクエストが受けられないのよ!さあ!覚悟はいいかしら!!」

 

アクアは意気揚々と前に出る。

 

「私にも行かせなさい。あいつのせいでせっかく新調したマジックダガーがお蔵入りされかけていて、イライラが溜まっていたところよ。思いっきり切り刻んであげる」

 

「お姉ちゃん⁉」

 

「ちょ!お前まで行くなぁ!!っておい!!?なんでティアまで連れていくんだよ!!?」

 

クエストに行けないイライラが溜まりに溜まっていたのかアクアに続いてアカメもティアを無理やり連れていきながら前に出る。カズマが止めに入るがもうアクアとアカメはめぐみんと並んでベルディアの前までたっていた。ティアは3人の後ろに隠れる。

 

「ほう・・・これはこれは・・・プリーストではなくアークプリーストか。それにそちらは・・・盗賊ではなく、シーフ・・・しかもその装束・・・アヌビスの冒険者か・・・。駆け出しの街だと聞いていたが・・・そこそこの強さの冒険者が集まっているようだな」

 

ベルディアはアクアとアカメを見て、興味深そうにしているが、視線はめぐみんに定めたままだ。

 

「だが、俺は仮にも魔王軍の幹部の1人・・・こんな街の低レベルのアークプリーストに浄化されたり、アヌビス出身とはいえ、シーフごときに倒されたりされるほど、俺は落ちぶれてはいない。アークプリースト対策も施されているため、恐れるに足らんが・・・そうだな・・・ここは1つ、紅魔の娘を苦しませてやろうか」

 

ベルディアは手に暗黒の力をかざし、視線をめぐみんから・・・アカメへと切り替える。

 

「私の祈りで浄化してやるわ!!」

 

「もう遅い、間に合わんよ。汝に死の宣告を。汝は一週間後に・・・死ぬだろう」

 

「なっ・・・」

 

ベルディアはアカメに死の呪いの宣告を放った。呪いの力がアカメに当たる直前・・・

 

「ほれ」

 

「はあ!!??」

 

「えっ!!??」

 

後ろに控えていたティアを盾代わりに使うアカメ。盾代わりにされたティアもそうだが、ベルディア自身も驚いていた。死の宣告の呪いはアカメに当たることはなく、ティアに直撃した。

 

「あ、あいつそれでも姉かよ!!?自分の妹を盾代わりにしやがった!!?」

 

「ず、ずるいぞティア!!盾代わりなら、私の方が1番適任だというのに!!!お預けプレイか!!?お預けプレイなのか!!?」

 

「お前は変なところでうずうずしてんじゃねぇ!!ティアー!大丈夫かー!」

 

呪いを受けたティアの元にカズマと羨ましそうにしているダクネスが駆け付ける。

 

「き・・・貴様!人として恥ずかしくないのか!!?紅魔の娘から貴様に狙いを切り替えたのは、仲間同士の結束が高い貴様らならこれが堪えそうと思ったのになんだそれ!!?貴様には人という心はないのか!!?」

 

「何言ってるのよ。妹は姉のために存在する・・・なら、姉を守るのが妹の務めだというのは当たり前のことでしょう」

 

「お前血も涙もないド畜生だな!!!」

 

ベルディアの正論にアカメは暴論で返した。全く悪びれない様子のアカメにティアはアカメの胸倉を掴む。

 

「お姉ちゃんはとんでもない悪魔だ!!この人でなし!!もしさっきのやつで死んだらどうすんの!!?全部お姉ちゃんのせいなんだからね!!?」

 

「何言ってるのよ。あんたも同じ立場だったら、私と同じ事やるでしょ?」

 

「それは否定しない!!!」

 

「いや否定しろよ!!?なんで妹も姉と同じことをやろうと考えるんだ!!?くっそ!!この街には頭のおかしい連中しか集まってこんのか!!?」

 

ティアもアカメと同じことをやろうとしていたことを聞いてベルディアは思わず自分の頭を投げつけたくなりそうなほどに頭を抱える。

 

「・・・ま、まぁいい・・・その呪いは今は何ともない。若干予定と違ったが・・・どうもその娘は盾にした娘の妹らしいのだからより都合がよいか」

 

ベルディアは少し落ち着きを取り戻し、視線をめぐみんに切り替える。

 

「聞け、紅魔族の娘よ。そして呪いを受けたシーフの姉君よ。その娘は1週間後に死ぬ」

 

「「なっ・・・」」

 

「くくく・・・お前たちの大切な仲間は死の恐怖におびえ、苦しむことになるのだ。そう・・・貴様らのせいでな」

 

「「・・・っ」」

 

自分の行った爆裂行為が、自分の行為のせいでティアが1週間も死の呪いで苦しめられることになることに、罪悪感が募っていく。

 

「これより1週間、仲間の苦しむ様を見て、自らの行いを悔いるがよい!くくく・・・素直に俺の言うことを聞いておけばよかったのだ」

 

ベルディアの発言によって、ダクネスはプルプルと震えている。

 

「何ということだ・・・つまり貴様は、仲間に呪いをかけ、呪いを解きたくば俺の言うことを聞けと!つまりはそういうことなのだな!!」

 

「ふぁ?」

 

ダクネスの発言にベルディアは素っ頓狂な声を上げる。

 

「う・・・う・・・羨ましすぎるぞティア!!」

 

「な、何が・・・?」

 

「わからんのか!!見てみろ!!あのデュラハンの兜の下のいやらしい目を!!あれはお前をこのまま城へと連れ帰り、呪いを解いてほしくば黙って言うことを聞けと、凄まじいハードコア変態プレイを要求する変質者の目だ!!」

 

「えっ・・・」

 

ダクネスによる突然の変質者呼ばわりされて、かなり戸惑いを隠せないベルディア。それはそうだ。自分にそんな気は微塵もないのに突然そんなことを言われれば戸惑う。

 

「くううぅぅぅ・・・!!!この私の体は好きにできても、心までは自由にできるとは思うなよ!!城に囚われ、魔王の手先に理不尽な要求をされる女騎士とか・・・!!私は!!!そんなシュチュエーションを受けてみたかった!!!!ティア!!できることなら私と代わってくれ!!いや、お願いだから代われ!!私は、そのような辱めを受けた経験は、今まで1度もないんだ!!だからお願いだぁ!!!」

 

「え、ええぇぇ・・・」

 

「そんな経験しなくていいわ!!!というか!!あちらのデュラハンがめちゃくちゃ困っているだろ!!いいからお前は黙れこの、変態がぁ!!」

 

ドM根性むき出しの懇願にティアはおろか、ベルディアまでもが困惑している。話が進まないと判断したカズマは声を荒げてダクネスを黙らせる。それにはベルディアもほっとしている。

 

「と、とにかく!!俺の城に爆裂魔法を撃つのはやめろ!!そして紅魔族の娘よ、呪いを受けたシーフの呪いを解きたくば、俺の城まで来るがいい。俺のところまで来ることができたならば、その呪いを解いてやる。だが、お前たちに、果たしてたどり着くことができるかな?くくくく・・・はーっはっはっはっはっは!!!!」

 

ベルディアはそう宣言すると大きく高笑いをしながら、首なし亡霊馬に乗り、街から去っていく。あんまりの展開に、冒険者全員は呆然と立ち尽くす。それはカズマたちパーティも同じだ。そんな中でめぐみんは1人、街の外へ出ようとする。

 

「どこへ行こうというのかしら?」

 

そんなめぐみんをアカメが呼び止める。

 

「・・・ちょっとあの城まで行って、あのデュラハンに1発爆裂魔法を撃ち込んでティアの呪いを解かせてきます。今回の責任は、私にありますから」

 

めぐみんなりに責任を感じていたようで、決意は固いようだ。その決意にアカメはほんの少し、笑みを浮かべる。

 

「あんた1人でどうにかできる問題でもないでしょう。私も行くわ。妹に呪いがかかったのは、私の責任でもあるわ。苦しい戦いになるでしょうけど、ティアの苦しみに比べれば安いものだわ」

 

自分のやったことだとはいえ、ティアに呪いがかかったことに責任を感じているアカメもめぐみんと同じ決意を抱いて、ベルディアの城まで行くようだ。その様子にカズマは苦笑を浮かべる。

 

「俺も行くに決まってるだろ。アカメはティアがいないと思うような戦闘ができないし、めぐみんじゃ雑魚相手に魔法を使って、それで終わっちゃうだろ?というかそもそも、俺も毎回一緒に行きながら、幹部の城だって気づかなかったマヌケだしな」

 

「・・・では、一緒に行きましょうか」

 

仲間を思ってのことか、めぐみんは渋ったような顔をしているが、カズマの言うことも最もなので、同行を許可することにした。

 

「でも城にはアンデッドが犇めいているらしいです。となると、武器は効きにくいですね。私の魔法の方が効果的なはずです。なので、こんな時こそ私を頼りにしてくださいね」

 

「なら、ティアには全く及ばないが、俺の敵感知スキルで城内のモンスターを索敵しながら、潜伏スキルで隠れつつ、こそこそやっていこう。毎日城に通って1階から順に爆裂魔法で倒して帰還。毎日地道にそれで行こう」

 

「なら、見つかった際は、私が囮になるわ。私は足が速いから、あんたたちが逃げた後にでもすぐにでも撒いて見せるわ。1週間もあるし、何とかなるわよ」

 

「ならばその囮役、私も務めさせてもらおう。私は防御力が高いから、遠慮なく盾代わりに使ってくれ。それに、私はクルセイダーだ。苦しんでいる仲間を放っておくことなどできん」

 

「「「ダクネス・・・」」」

 

作戦会議中にダクネスも城に行くことを提案する。ダクネスの思いを聞いて、カズマたちはもちろんそれを承諾する。だが、ティアは仲間が危険な目に合うのを承諾できていない。

 

「みんな・・・私のためなんかに危険を冒すのはやめて。お姉ちゃんのやったことも、私、気にしてないから・・・」

 

「ティア、言ったはずよ。あんたは何があっても私が守ってあげるって。だから、ここはお姉ちゃんに任せて、あんたは安心して・・・」

 

「セイクリッド・ブレイクスペル!!」

 

アカメがティアを安心させようとしたところに、アクアが解呪魔法、セイクリッド・ブレイクスペルを発動する。ティアは解呪魔法の光に包まれて、晴れやかな表情になる。

 

「「「「・・・えっ?」」」」

 

突然のことで4人は呆然とし、魔法を受けたティアも晴れやかな表情の後、何があったのかと戸惑っている。

 

「この私にかかれば、デュラハンの呪い解除なんて楽勝よ!どう?私だって、プリーストっぽいでしょ?」

 

つまり先ほどの解呪魔法によってティアの呪いは解かれたようだ。アクアのこの行為に周りの冒険者たちは感激して、アクアをもてはやしている。確かに珍しくパーティ内では役に立ったことであろう。・・・さっきまでの状況でなければの話だが。取り残されたカズマたち4人はこう思う。

 

さっきまでのやる気を返してくれ、と。




次回予告的なもの

女神アクアです。経過報告をさせていただきます。

ごく一部にトラブルはあったものの、これまでほとんど・・・いえ、ばっちり良好でございます☆
むしろ私のおかげで極めて非力で社交性のない佐藤和真氏が身も心も救われているものです。
渾身的な私に和真氏も感謝しているようなので、つきましては私の天界への帰還の許可を・・・。
え?ダメ?そんな!!?そこをなんとか!!!

カズマのお言葉

カズマ「お前の行動のせいでこっちは散々で大迷惑してんだよ!!そんなお前にどう感謝しろって言うんだよこの駄女神がぁ!!!」

アクア「なぁーんーでーよぉーーーー!!!???」

次回、この魔剣の勇者に鬼畜コンビを!

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