重いとかはともかく今回は今後のアリーゼさんの言動に大きな意味を持つ回になります。
正花が覗くは絶望の深淵
気付けば私は真っ暗闇の中にいた。
辺りを伺っても何も見えない。ただただ真っ暗。
というかまず視界は動かせても、身体を一切動かせない…いや、身体の感覚がない?
私は状況を捉えきれず困惑する。
ここはどこかもなぜここにいるのかも分からない。
そもそも私は直前まで何をしてどこにいたのだろうか?それさえも思い出せない。
何もかも分からず一つ一つ答えを導き出せないかと考え込む私。
すると突然一瞬視界がチカッと閃光に埋め尽くされる。
何事かと思うと、視界に映ったのは土埃の漂う薄暗い洞窟。
これは…ダンジョン?
そう私が把握したのに合わせるように立ち込めていた土埃は消えていく。
そうして私の目に飛び込んできたのは…
リオンの姿だった。
土埃に周囲を纏わりつかれながら地に蹲り、顔を伏せるリオン。
表情は見えない。
けれど彼女の金色に輝く髪から。
彼女のいつも纏っている緑色の外套から。
そして何よりこの私がリオンの姿を見間違えることなど有り得なかった。
リオン!リオン!私のリオン!私の愛しのリオン!
私は思わず歓喜する。
リオンに会えた。
その事実は暗闇にずっと一人だったせいで心細さまで感じてしまっていた私にとって心細さを吹き飛ばす希望に他ならなくて。
私は勢いのままにリオンを抱き締めて、いつものように赤面させてやろう。そう思った。
だが私の身体はピクリとも動かなかった。
そもそも歓喜した時にさえ声は出ていなかった。
どうなっているの?
どうしてリオンに近づけないの?
どうしてリオンに声を掛けられないの?
自らの置かれた状況に改めて困惑…いや、もう不安まで抱き始める私。
そんな私にこの状況を作り出した何者かはさらに悍ましい光景を見せつけてきた。
『ああああああああああああああああああっっ…』
聞き逃せなかった。
聞き逃すことは許されなかった。
この場で初めて聞くリオンの声。
その声は…絶望に押し潰されたかのように…恐怖が滲み出ていた。
そして声を上げながら顔を上げたリオンの綺麗な顔は…数え切れない涙腺によって完全に歪められていて。
私はリオンのあまりに痛ましい様子に目を背けそうになる。
だが私は目を背ける訳にはいかないと心に喝を入れた。
そもそも身体を自由に動かせない以上自らの意思で目を背けることができないとしても、目を背けようと考えてしまうこと自体論外だと思ったから。
まずはリオンの事情を知り、そしてリオンに元気を…笑顔を取り戻さなければ。そう思った。
私がリオンに希望を届けなければ。
どんな絶望であろうとも私が吹き飛ばさなければ。
そう思うことさえもできなくなったら私は終わりだと思った。
ただそう思った所で身体は私の望み通りには動かず。
リオンを抱きしめて慰めてあげたいのに。
それでもダメならリオンのあらぬ所を触ってでもリオンの沈んだ心境を何とか変えたいのに。
私の身体は微動だにしない。
それどころか私の視界には絶対に見たくなかったものまで映り込む。
大切な仲間達が…無惨に引き裂かれた亡骸として残っていたのだ。
輝夜とライラの亡骸が…リオンのすぐそばに横たわっていたのだ。
二人の姿を見た瞬間急に頭が痛くなる。
二人の亡骸が私に途轍もない動揺をもたらしたのは当然のこと。
動揺を吹き飛ばすために叫び声でも上げてやりたくなるも私の今の状況では叶うこともなく。
代わりに二人の姿を認めたことが引き金にでもなったのか私の頭に一気に情報が流れ込んできた。
それこそが唐突に感じさせられた頭の痛みの本当の原因だったのかもしれない。
そうして流れ込んできた情報のお陰でようやく思い出した。
この場に来るまでに私は何をしていた?
私は大切な仲間の命を奪ったあの怪物を足止めしよう殿として残った。
他でもないリオンと輝夜とライラだけでも逃すために。
だが…この光景が私の目論見が完全に失敗したことを物語っている?
輝夜とライラは亡骸として横たわり。
リオンは絶望に染め上げられている。
これが大切な友人で愛情を抱かずにはいられなかった大切な愛しのリオンを騙してまでして殿として残った成果?
これがせめて大切な仲間を守れなかった団長としての責務を果たそうとして殿として残った成果?
あり得ない。
あってはならない。
これでは私のあの時の判断が何の役にも立たなかったかのようではないか。
まるで何もできずに無駄死にしたかのよう…
そうか。だからか。
私は死んだのか。
取り戻した記憶と視界に映る光景から私はそう推測を立てた。
身体が思い通りにならないのも納得。
声を上げることもできないのも納得。
そもそもあの怪物を足止めするために殿を務めようとした時点で死は覚悟していたから、納得するのも簡単だった。
ただよくよく思い出そうと試みても、私が殿として残りあの怪物と対面した後の記憶がどうにも朧気で何があったのか思い出せない。
要は私がどのように死んだのか思い出せないのだ。
とは言え目の前に広がっている最悪な光景こそが私の愚かな判断の結果…そう判断するしかない。
私は殿として残ったにも関わらずリオンも輝夜もライラも守れなかったのだ。…そう判断せざるを得なかった。
恐らくは自らの罪を悟らせるためにこの残酷な光景を見せつけられている。そんな自虐的な推測も添えて。
だがその判断を早々に覆す材料が新たに見えてくる。
それは肉塊の血溜まりのそばに残された白い布切れ。
…
そう気づいた途端に見えてくるものも変わってくる。
私達はあの怪物の襲撃を受けた現場からの逃走には成功していた。
なのに周囲には
あれだけの犠牲を出しておいて私が殿として残った後にリオン達を襲撃するような余裕はあるはずもない。
それだけでなくこの場所はよくよく観察してみれば、二七階層?
そこは私達があの怪物に最初に襲撃された場所で。
この光景は私のリオンだけを守りたいという願いが実現した世界?
なぜか私にはそう察することができた。
私の姿も確認できない。輝夜もライラも命を落としてしまっている。
私の判断に輝夜とライラが従い、リオンが何も声を上げられなかった時に訪れていた未来。
リオンの叫びが回避させたリオンにとって最悪な未来。
私はそんな未来を見せられているのでは?
私があの時如何にリオンに残酷な未来を強いようとしていたのかを悟らせるために。
そう思い至った瞬間リオンが徐によろめきながら立ち上がる。
どうしたのかと思えば、リオンは私に背を向け逃げるように走り出していた。
輝夜とライラの亡骸を置いて。
遠くから眺めることしかできない私を置いて。
リオンの後ろ姿を眺めるだけでも私の胸は張り裂けてしまいそう。
けれどこれは始まりに過ぎなかった。
閃光に視界を塗りつぶされては移り行く私の視界に映る光景。
まるで私は何かのダイジェストでも見せられているかのようだった。
それもリオンのたった一人で孤独に戦い続ける姿を映し出すダイジェスト。
仕組んだ者がもしいるとしたら最悪としか言いようがない趣味のダイジェスト。
そしてその仕組んだ最悪な趣味の持ち主は私自身だった。私がリオンを最悪の未来に追い込みかけた。
そんな事実を何度も何度も私の心に刻み込むようにダイジェストはよりリアルにより凄惨に私の視界に流れるように映し出された。
十の武器を抱えて泣きじゃくるリオン。
リオンが抱えていたのは私達の愛用していた武器。
リオンがたった一人残されてしまったという事実を厳然と私に突き付けてくる。
十八階層の森の中で佇むリオン。
リオンは持ち帰った武器を供えた私達のお墓を作ってくれていた。
私達の他愛もない話を覚えてくれていたのか、とほのぼのとしたことを考える余裕は私には与えられない。
私達のお墓に背を向けたリオンの瞳が映していたのは…
怒りと憎しみであった。
リオンは確かに絶望から脱却したように見えた。
けれどその方法は希望を取り戻すことではなく怒りと憎しみに自らの身を委ねることによってであった。
アストレア様と対面するリオン。
リオンはアストレア様に目を合わせることもなく額を床にこすりつけて
その理由をリオンは語らなかった。
だが私には自らのこれから行う行いにアストレア様を巻き込まないためだと察してしまった。
アストレア様を心から慕う優しいリオンならそうする…そう納得してしまった。
そしてアストレア様はリオンに言った。
『リュー…正義を捨てなさい』、と。
そう言い残してアストレア様はリオンの前から立ち去った。
それから私が目の当たりにしたのは怒りと憎しみの引き起こす衝動のままに返り血を浴び続けるリオンの姿。
正攻法一辺倒でライラを呆れさせた策を一切用いないあのリオンが闇討ちや罠、奇襲…あらゆる手段を用いて。
目の前にいるリオンはもう私の知っているリオンではなかった。
返り血を浴び続けながら、敵を殺戮するリオンの空色の瞳は完全に濁っていた。
けれど敵を殺戮して一人残り血溜まりで立ち尽くすリオンはいつも空を見上げた最初の一瞬だけはその瞳が綺麗になるのだ。
まるで返り血を浴びて敵を殺戮することに成功したことに清々しているかのように。
まるでその瞬間だけは心に圧し掛かる重石から解き放たれたように。
リオンは殺戮の中に喜びを見出しているように見えた。
私は気付いてしまった。
この瞬間のリオンは殺戮に復讐という価値を見出しているのだ、と。
その瞬間のリオンは…文字通りの復讐鬼であった。
だがそれも一瞬だけでリオンはすぐにその瞳は濁る。その瞳が綺麗になるのはリオン自身が嫌がっているかのように一瞬だった。
まるで殺戮に成功したことを残念がっているかのように。
まるで心に圧し掛かる重石を欲しているかのように。
リオンは絶望に染まることに安心感でも得ているかのように見えた。
その時私はなぜリオンが戦い続けているのか理解してしまった。
リオンは死に場所を求めているのだ。
だから殺戮が成功したことで残念がり、その瞳が濁る。
リオンは裁かれたがっているのだ。
だから絶望から解放されないことを望み、その瞳が濁る。
リオンの瞳が綺麗であろうと、濁っていようと変わらない。
今のようなリオンを見たいと私が望むはずもないのだから。
だが私はそんなリオンの姿から目を背けることは許されない。
もう私は苦痛のあまり最初の目を背けまいという何の意味もない自尊心か何かが生んだ決意も打ち砕かれていた。
だから完全に及び腰になり、逃げれるものなら逃げ出したかったが、それも無理な相談。
そうして繰り返し繰り返し見せられるリオンの様々な殺戮の場面。
場面を変えられようとリオンが絶望と復讐に憑りつかれたまま戦い続けている姿は変わらない。
もう私は気が狂いそうだった。
いや、いっそ気が狂ってしまえば良かったのだ。
リオンが何をしているのか。
リオンがどんな表情をしているのか。
リオンがどれだけ苦しんでるのか。
私が目を背けたくなるような事実に気付かずに済む。
私は本当に狂ってしまいたかった。
にも関わらずこんな時に限って私の頭脳は明晰に機能する。
リオンに最悪な未来を押し付けかけた時は機能しなかったのに、である。
気付いてしまった。
戦い続けるリオンがいつも一人であることに。
命を落としてしまったらしい私達はともかくとして。
【フレイヤ・ファミリア】も【ロキ・ファミリア】も。
【ガネーシャ・ファミリア】も【ヘルメス・ファミリア】も。
都市二大派閥どころか私達と共闘していたはずの派閥のメンバーさえいない。
いつもいつもいつもリオン一人。
誰もリオンのそばにいない。
誰もリオンを支えようとしない。
リオンだけが戦っていた。
リオンだけが一人ぼっちで戦っていた。
その事実を私はできることなら見抜きたくなかった。
そしてリオンは燃え盛る廃墟の上に立っていた。
この廃墟を作り出したのはリオン。
周囲への被害にも一切考慮を及ぼさず破壊と殺戮を続けたリオンを見ても何も感じられない辺りもう感覚が麻痺しているのかもしれない。
それでも私はリオンの表情だけは読み取れてしまう辺り感覚が麻痺する程度になるくらいなら私を苦しめるだけの正気を奪ってくれと誰かに懇願したくもなった。
ただそんな懇願を心に抱いたところで視界に映る光景は変わらない。
するとどこからともなくリオンの前に姿を現した男。
神ルドラだった。
その神ルドラが歪んだ笑みと共にリオンに言い放った言葉に。
『今の顔をしたお前を、ぜひ俺の眷族に迎え入れたかったなぁ』
私のあの時の判断はリオンをどん底に突き落とすことが確実だったのだと悟らされた。
☆
リオンと神ルドラの対面の場面が終わり、再び閃光が私の視界を遮った後。
私は再び真っ暗闇の中に戻されていた。
どうやら私の判断がもたらしたかもしれない最悪な未来のダイジェストはあれで終わりだったらしい。
だが終わったからと私はホッと息を吐くことなど到底できなかった。
確かにあの最悪な未来は回避したはず。
リオンの叫びが私を導いてくれたから。
過ちを繰り返す私をリオンの理想が正してくれたから。
リオンのお陰であの最悪な未来は回避したはずなのだ。
私と別れた後のリオンと輝夜とライラがどうなったのか私は知る由もない。
だがあの時のリオンは今見せられたリオンとは別の意味で私の知るリオンではなかった。
ライラをお姫様抱っこで抱え、十八階層から増援の冒険者を連れてくると私に宣言したリオンは私の知るリオンではない。
私の知るリオンではないからこそそんなリオンを信じる気持ちが強くなる。
成長し良い意味で変わることができたリオンなら大丈夫。
この点では楽観的になれる私はリオンを信じ、より良い未来を掴み取れると思えそうだった。
だが私が楽観的なのはこの点だけだった。
私の見せられたあの最悪な未来の可能性はいつもは楽観的な私でさえも絶望に追い込まれそうになった。
【ロキ・ファミリア】も【フレイヤ・ファミリア】も
これは私のこれまで見てきた『二七階層の悪夢』以来の現実から当然のように思えた。
だがそれだけではない可能性も悟らされた。
【ガネーシャ・ファミリア】も【ヘルメス・ファミリア】も
【ガネーシャ・ファミリア】を率いるシャクティも【ヘルメス・ファミリア】を率いるアンドロメダも私達の長きに渡る戦友で同志で。リオンにとっての大切な友人であった。
私達が命を落としたぐらいで共闘を取りやめるなど考えたくもない。
だが情勢の変化が何を起こすかなど分からなかった。
彼女達をもリオンと戦わない可能性を踏まえずにはいられなかった。
そしてリオンの求めに応じて以来一度たりとも姿を現さなかったアストレア様。
あのアストレア様があのままリオンを見捨てるなんて考えたくもない。
だがあのアストレア様の言葉は…現実味を感じずにはいられなかった。
【ロキ・ファミリア】も【フレイヤ・ファミリア】も【ガネーシャ・ファミリア】も【ヘルメス・ファミリア】も。
…アストレア様でさえも。
リオンを誰も助けない。
リオンを誰も支えない。
あり得ない可能性だ。起こりえない未来だ。そう断言することはできない。
私は既にこれまで見てきた現実を鑑みるだけでもその可能性を見出さずにはいられなかった。
私はかつての戦友の無行動も神々の振る舞いも知らないわけではない。
あり得ると思った。リオンがあのような絶望に追い込まれる未来が。
リオンはたった一人で絶望と向き合い続け、暴走を繰り返してしまう…
そんな未来の可能性があるならば…私は勝手に死ぬ訳にはいかないと思った。
生きなければ。
絶対に生き延びなければ。
リオンを絶望に染め上げさせてはいけない。
リオンが希望を取り戻す手助けをしないといけない。
私が殿としてあの怪物と戦ってどうなったかなど分からない。
だが死ぬ訳にはいかなかった。
リオンを一人遺すなど論外であった。
生き延びる。
絶対に生き延びる。
湧き上がる生への渇望。
例え私の魂が天へと還っていようとも天界にいる神様全員張り倒してリオンの元に帰ってやる。
例え肉体が消え去っていても亡霊になってリオンのそばで力になれるように頑張ってやる。
例えどちらもできないとしてもすぐに転生してリオンを助けられるようにしてやる。
そう心に決める。
リオンのためなら私は手段など選ばない。
だって私はリオンに約束したのだ。
リオンを抱き枕にして。
リオンと結婚して。
私はリオンと一緒に幸せな未来を掴み取るとリオンに約束していたのだ。
その約束を私は絶対に破ってはいけない。
その約束を私は絶対に破りたくない。
リオンと私の希望を守り抜いてみせる。
今まで通り希望を私自身とリオンに届けてみせる。
私はそんな決意と共にこの閉塞感のような真っ暗闇を無理矢理でも抜け出そうと考える。
が、ふと気付いてしまった。
今の私は本当に私自身とリオンに希望を届けることができるのか、と。
そう思った瞬間先程までの私の自信は霞のように消えていく。
そもそも
一人
あれだけの悲壮な覚悟の元戦い続けたリオンを助けないような連中を団結させることなどできるの?
というか自らを犠牲にまでして戦ったリオンを助けようとしない
私にはリオンに希望を届けるための考えが全く浮かんでこない。
それどころか私自身へ届ける希望さえも見出せなかった。
リオンをあんな最悪な未来に追い込みかけた私が何ができると言うの?
私が下手にリオンを助けようと動けば、あの判断の時のようにリオンに絶望をもたらすことに繋がるだけではないの?
成長したリオンにとっては私がいない方が望ましいんじゃないの?
そう考えると、途端に消えてしまいたくなる。
段々と消えてく自信は先程までは湧き上がっていた生への渇望をも奪い去る。
私は私自身の存在意義自体も見失い始めた。
私には分からなくなった。
私は生き延びなければならないのか消えた方がいいのか分からなくなった。
リオンのより良い未来を掴み取るためにどうすればいいのだろうか?
可能なら誰か教えて欲しい。
リオンに私は必要なの?
リオンに私は不必要なの?
その答えを自らの力ではどれだけ考え込んでも出すことができない。
だからなのかもしれない。
真っ暗闇が段々と明るくなっていく。
ダイジェストらしきものを見せつけられた時に度々私の視界を遮った閃光とは違う弱弱しく優しさを秘めているかのような光だ。
その光が視界を照らしていくうちに私の身体の感覚も戻り始める。
そうか。
私の意識が戻ろうとしているのか。
答えを出すために。
リオンにとって私がどんな存在であるべきか探るために。
私は機会を与えられようとしている。
リオンのためにどうやって生きることができるか考える機会を与えられようとしている。
ならば…
私はその機会を存分に生かそう。
頑張って考えて、必死に行動して。
リオンに溢れんばかりの私の愛を今度こそ伝えて。
リオンにこれまでの過ちの数々を今度こそ償う。
その先に私が見出す答えに私の運命を委ねよう。
私はリオンのそばにいることが許されるのか。
私はリオンのそばにいることが許されないのか。
その答えを探す旅に出るために…
私はようやく目覚めた。
アリーゼさんが見たのはアリーゼさん達が命を落とし、シルさんに拾われるまでの間の期間でした。
どうしてその後のシルさんやベル君に救われる場面は見せなかったの?というのは色んな意味でのご都合主義です。
シルさんとベル君に救われる所まで描いたらアリーゼさんの原動力になりにくくなりますからね。
今作でリューさんの心の支えとして一番大きいのはアリーゼさんという点を揺るがす予定はありません。アリーゼんさんは今作のもう一人の主役ですから!(そのもう一人の主役が十話以上セリフがなかったのは気のせい)
それはともかくアリーゼさんのリューさん一人を生かすという判断はある意味最悪という評価はあながち間違ってないと思ってます。それを覆すのが今作の大きなテーマの一つだった訳ですが。
ただアリーゼさんなのでくよくよせずに反省して過ちを正そう!という思考に進んでいけると思ってます。
だからアリーゼさんはもう意地で生還した。走馬灯の如くこんな未来を見てる辺り生死の境を彷徨ってたのは明らかですが、まぁもう意地で意識を取り戻した。
全てはリューさん愛の力です!愛の力は死という壁さえも乗り越える!(私の小説で定期的に出現する精神論)
ただリューさんのためにとりあえず生還するという所までは問題ないんです。
ですが希望をアリーゼさん本人とリューさん達に取り戻せるかは話が別で。
その希望がどれだけ重大かはこれまで散々語ってきたわけで。
ある意味アリーゼさんが目覚めたここからが問題の始まりとみなすべきでしょうね。