忍と武が歩む道   作:バーローの助手

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第十三話

 

 

「こんなもんで良いかな?」

 

目の前の荷物を手早く仕舞い、天衣は呟く

時刻は既に深夜に入り始めた22時、通常なら外出を控える時間だが天衣は敢えてこの時間を狙って準備をしていた。

 

「食料、水はOK。お金もOK、後はテントを解体するだけかな?」

 

最後の作業、その事を確認して天衣は軽く息を吐いて…この数日感の事を思い出す。

ただひたすら忙しかったこの三日間

慣れない作業で神経を削った三日間

密かに不安でビクビクしていた三日間

 

…だけど、本当に楽しかった三日間…

 

 

「……仕方、ないよ…ね…」

 

 

どこか名残惜しそうに、どこか躊躇う様にそう呟く

そして最後の作業、テントの解体を行おうとした…その時だった。

 

 

「――何が仕方ないのですか?――」

 

 

背後からその声が響く、予期せぬ背後からの声…だが驚きはしなかった。

何となく、その人物が来る予感がしていたからだ

 

「…こんな時間に、何か用?」

 

そんな声を掛けながら、天衣は振り向く

天衣の振り向いた視線の先、そこには天衣の予想通りの人物がいた

 

「驚かないのですね?」

「これでも元四天王だよ?」

「ではお聞きします。契約では、あと三日ほど勤務日があった筈です

それなのに、どうしてここから離れる準備をしているんですか?」

「…そうだね。確かに、仕事を紹介してくれた君には…最低限の筋は通すべきだよね」

 

天衣の目の前にいる人物、イタチに対してそんな風に軽く返して小さく笑う。

次いで軽く息を吐いて、改めてイタチに向き直って

 

「…どっちから聞いたの?」

「両方からです。ちなみに二人共『いきなりドタキャンとか舐めてるのか?』だそうです」

「はは、確かに。全くその通りだね」

 

そう言って、彼女は自嘲気味に笑う

小さく薄く儚げに笑って

 

「――ありがとう、この三日間…私の事をずっとフォローしてくれて」

「別にお礼を言われる事ではないですよ、あれは俺の仕事でしたので」

「後、私とあの娘が顔を合わせない様に、ずっと影で立ち回ってくれてたでしょ?」

「お互い気持ちの整理と準備をしてからの方が良いと、判断したまでですよ」

 

天衣の言葉にイタチは淀みなく返していく

そんなイタチのやり取りをした後に、天衣は力を抜くように小さく笑って

 

 

「やっぱり、君って良い人だね」

 

 

安心した様にどこか納得する呟く。

次いでその表情と笑みに影がさし、僅かに曇り

 

「…明日から、助っ人も来るみたいだし人手も足りる…私みたいに不慣れで不安定な人間が居ても、もう邪魔になるだけ。寧ろ私のフォローとサポートがない分、スムーズに仕事も回ると思う…何かやらかして大きな迷惑を掛けるよりも、ずっと良いと判断しただけ」

 

「その事で一つ、鉄心様から言付けがあります。

門下生の上位組を教えられる人材が不足しており、出来れば指導役を受けてくれないか?との事です」

「そっか…でも、失礼ながらお断りするよ。これ以上迷惑は掛けられないよ」

 

どこか決意した様に、その声が響く

そして天衣の雰囲気が変わる、その雰囲気や視線に真剣な空気が纏わって

 

「先に言っておくよ。君には、君たちには本当に感謝してる

お金を拾ってくれた、仕事を紹介してくれた、お金も稼げて美味しい物もたくさん食べれた

こんな思いになれたのは、久しぶりだった…あんなに楽しいと思ったのは、本当に久しぶりだった

…本当に感謝してる、言葉じゃ全部言い切れないくらいに感謝してる」

 

月明かりが森を照らす中で、天衣は微笑んで今までの自分の気持ちを語る

しっかりとイタチの瞳を見据えて、その気持ちに嘘偽りが無い事を示して

 

「でも、だからこそ…私はここに居れない、居られない」

 

「…訳を聞いても?」

「別に良いよ、本当に大した事ない…下らない理由だしね」

 

そう言って彼女は少し罰が悪そうに頭を掻いて、小さく呼吸を整え

 

「…炊飯器、壊れちゃったね」

「あれは寿命です」

「幸平さんも、ぎっくり腰になった」

「誰にでも起こり得る事です」

 

「人手が急に足りなくなったのも、私と君が知り合った直後だった」

「偶然です」

 

「そうだね、ただ偶然が重なっただけ…運とタイミングが悪かっただけ…きっと君に限らず、皆そう思うだろうね…私以外は」

「…………」

「面倒くさい女でしょ?」

 

少し声のトーンを下げて静かに、だが重い響きを持たせてその声が響く

次いで天衣は少しだけ瞼を閉じて、少しだけ何かを思い出す様に沈黙して

 

 

「でもね…ずっとそうだったんだ」

 

 

 

静寂な闇夜に、そのまま解け消え去りそうな程に小さな声で天衣は呟く。

 

「今まで、ずっとそうだった…私にはいつも不幸が付いて回ってた

私だけじゃない、私に優しくしてくれた人、親切にしてくれた人…

私の傍にいた、私の近くにいた、ただそれだけで…その人達は巻き添えになっていた」

「今回もご自分の所為だと?」

「多分ね…今までずっとそうだったから…確かに偶然が重なっただけかもしれない、間が悪かっただけかもしれない」

「………」

「確かにそうかもしれない、私には全く関係ない事が原因でそれが事実かもしれない

……でもね、私自身が…どうしてもそう思えない、『私が原因だ』『私が皆を巻き込んだ』…そんな声が頭の奥にこびり着いて離れないんだ」

「………」

 

「こんな女、近くに居ても嫌な空気になるだけ…迷惑になるだけだよ」

 

 

それで言いたい事を言い終えたのか、天衣はイタチに背を向けたままテントに向き直る

自分がここに立ち退く為の最後の作業、テントの解体を行う為だ。

 

つまり、それは天衣の意思の現れ

もうこれ以上話す事はないし、あっても自分の意思は変わらないという事だろう。

 

 

「天衣さんの話は良く分かりました…ですが最後に、俺の話を聞いてくれませんか?」

 

 

再び、イタチの声が響く。

その言葉をきいて、天衣も再びイタチに向き直る

互いに向き合い、互の瞳が交差して、その空気は再び緊張感を帯びていく。

今までとは少し、真剣な気持ちや思いが滲み出るように空間と空気を侵食していく

そして

 

 

「天衣さん、『人』という字はですね――」

「あーもういいや、言いたい事分かったから」

 

 

その瞬間、緊張感が霧散する。

イタチの最後の言葉、一体どんな言葉かと構えていた天衣だったが

その緊張も構えも、イタチの一言で保てなくなったからだ。

 

「フム、と言いますと?」

 

しかし、当のイタチはそんな様子を気にもせず天衣に返す

天衣の方も全く動じていないイタチに対して、愚痴にも似た溜息を吐いて

 

「人という字は、お互いに支えあっているとか言いたいんでしょ?

その手の話は色々な人に、何度も聞かされたよ…ていうか、寧ろ知らない人の方が少ないんじゃないの?」

「確かに、俺でも知っているくらいですからね」

「そもそも『人』っていう字、あれって支え合ってない。片方がもう片方に寄りかかって楽してる…結局はそういう事だよ」

「そうですね、全くその通りです」

 

天衣の言葉を否定せず、概ね同意しながらイタチは小さく頷く

次いで改まって天衣の瞳を見据えて

 

 

 

「――結局、人というのは…誰かに支えて貰っているんですよ――」

 

 

 

その言葉を、気持ちを、想いを、イタチは天衣にぶつける。

 

「…俺だってそうです、今でこそ住み込み作業員の様な事をしていますが…

俺は川神院に大きな助けを…それこそ先程天衣さんが仰った事とは、比べ物にならない程に助けられ、迷惑をかけ、支えられました」

 

イタチは嘗ての自分を思い出し、そして語る

家もなく、金もなく、記憶もなく、名前すらなかった自分

そしてそんな自分に手を差し伸べてくれた百代

自分の代わりに入院費を負担し、身元引受人になってくれ、自分を受け入れてくれた川神院の皆

 

「そしてそれは、何も俺達に限った話ではない…例えば百代

彼女は確かに素晴らしい素質と才覚に恵まれ、それに驕ることなく日々鍛錬している」

 

語るのは、恐らくイタチにとって一番身近な少女の事。

 

「――ですが生活面のみ見れば、彼女もまた養われの身です

確かに、小遣い程度の金はアルバイト等で稼いでいるでしょう、ある程度自身で稼いだ事もあるでしょう

だが彼女もまた家の金で食事をし、生活をし、学び舎に通う…言わば親や家に食わせて貰っている身です」

「………」

「そしてこれは、恐らく誰にでも言える事です…人間なんて、結局誰かの助けが無ければ生きていけない

結局誰もが知らない所で他の誰かに迷惑を掛けて、助けられて、支えられている…そしてその上で生きているのだと思います」

 

そしてイタチは天衣に一歩歩み寄る

次いで二歩三歩と天衣との距離を詰めて、ゆっくりとその手を差し出す。

 

「かけましょうよ、迷惑」

「……で、でも…」

「仮に迷惑を掛けても、この数日間の様に返していけば良いんです

幸いな事に、それでも良いと仰ってくれた奇特な人達が…川神院には少し多い様ですから」

 

既に自分の想いと気持ちは伝えた

既に川神院は天衣を受け入れる用意もあると伝えた。

 

後は、本人の意思次第

天衣の気持ち次第

 

「やっぱり、できないよ」

 

だが、彼女の意志はまだ変わらない。

 

「私は、君やあの娘とは違う。君達は仮に迷惑を掛けても、ちゃんと返す事ができる

あの娘も今は確かに養われの身だけど、必ず武人として大成する…そしてその力は川神院への大きな貢献になる

君だってそうだよ。幸平さん達から聞いたよ、凄い仕事ぶりで前よりもずっと院の整備と手入れが行き届いているって」

「………」

「…でも私はそうじゃない、周りを巻き込んで迷惑をかけるだけ…その分を返そうとしても、周りに迷惑をかけて困らせるだけ…ただの悪循環になるだけ

返そうとして頑張っても、もっと迷惑をかけてもっと困らせるだけ…マイナスがマイナスを呼んで、結局ただそれだけなんだ」

 

自分を責める様に、相手を責める様に天衣は語る

怒る様に泣く様に、叫ぶ様に嘆く様に天衣は自分の想いを吐露する。

 

そしてその気持ちは、全ての目の前のいるイタチに注がれる

呪いにも似たその言葉は、全てイタチにぶつけられる。

 

故にイタチは

 

 

 

「じゃあ、俺が天衣さんに迷惑をかけます」

 

 

 

イタチもまた、再び天衣にその言葉をぶつける。

 

「――え?」

「貴方の気持ち、良く分かります。俺もそうでした、川神院の皆に助けられてばっかりで、支えられてばっかりで…感謝と申し訳ない気持ちで一杯でした

だから、せめて自分が出来る事で返そうとした。そうする事で恩返しができたと思えた、そうする事で安心できた、自分は此処に居て良いと思えた」

「………」

「もしもソレすらも出来なかったとしたら、俺ももしかしたら貴方と同じ事をしていたかもしれない。何も返せない自分を恥じ、そのまま何も告げずに姿を消していたかもしれない…だから、貴方の気持ちは良く解ります」

 

語りながらイタチは思い出す、川神院に身を寄せたばかりの頃を

居場所を貰い、三食と寝床を提供してもらい、助けて貰ってばかりの頃

タダ飯を食らって平然としておれず、せめて自分なりに出来る事で恩返しをしようと思った。

 

だから、今の天衣の気持ちは良く分かった。

 

「だから、俺が天衣さんに迷惑をかけます、我侭を言います、困らせます

だから貴方が俺に迷惑を掛けても、困らせてもお相子です

貴方が周りに迷惑を掛けても、俺がフォローします。そしてその俺が貴方に我侭を言います

そうすれば条件は一緒です、何も気にする必要はありません」

「…じゃあ聞くけど、どんな事を言って私を困らせるの?」

 

 

「――鼻でスパゲッティーを食べろ、とかどうでしょう?」

「ブフッ!」

 

 

その一言を聞いて、今までの真剣さや誠実さをひっくり返す様な一言を聞いて

天衣は思わず吹き出す、今までの緊張の反動も合って盛大に吹き出して

 

「プ、く…ククっ…!…確かに、それは困るね、うぷ、ぷ…確かに迷惑だ…っ!」

 

口元を手で押さえて、天衣は笑う

それはイタチも初めて見る、心の底から楽しそうな彼女の笑顔

一頻り笑った後に、彼女は改めて表情を作り替えて

 

「…色々話が脱線しちゃっけど、本題に戻ろうか…やっぱり、私にはそんな風に簡単に割り切れない。周りに迷惑をかける事も、君に迷惑をかけられる事も、今すぐこの場では決められない」

「…そうですか」

 

 

「――だから、最初の約束は守るよ」

 

 

イタチの目を真っ直ぐに見据えて、彼女は決断する。

 

「一番最初に取り決めした、調理場の手伝い。残り後三日間、ちゃんと行くよ

残り三日間やってみて、考えてみて、その上で決めるよ」

「…そうですか」

 

彼女のその答えを聞いて、イタチも小さく笑う。

完全に引き止められた訳ではない、彼女からしっかりとした答えを聞けた訳でもない。

 

だが、変わった

今までどこか卑屈だった、後ろ向きだった、そんな彼女の想いや感情が

このやり取りで、確かに変わった

そしてソレは両者が感じ取っていた、その確かな違いを感じていた。

 

「ねえ、最後に質問していいかな?」

「はい、何でしょう?」

 

悪戯っぽく微笑んで、天衣はイタチに問いイタチも頷く。

 

 

「…どうして君は、そこまでして私を引き止めてくれたの?」

 

 

それは、このやり取りの中で天衣がずっと抱いていた疑問だった

目の前の人物とはまだ数日程度の付き合い、関係で言えばただの同僚だ

普通ならここまではしないし、する必要もない

仮に川神鉄心に頼まれたとしても、そこまでする義理も義務もない

 

ましてや、こんな面倒な女に対してだ。

 

「…言わなきゃだめですか?」

「出来れば正直に答えて欲しいな」

 

どこか言いにくい雰囲気を作るイタチに対して、天衣の笑みはますます悪戯っぽい色を帯びる

さっきの意趣返し、という訳ではないが…これ位の意地悪は良いだろうと思ったからだ

イタチは僅かに考えるような仕草をして、改めて天衣に顔を向き合わせて

 

「正直、理由は色々です。嘗ての俺を見ているみたいで放っておけなかった…

折角出来た仕事仲間、もっと言うなら下っ端仲間ができて嬉しかったから

このまま後味の悪い終わり方で、お別れをしたくなかった…とまあ、理由はそんな感じです」

 

「…なーんだ、もうちょっと違う答えを期待してたんだけどな」

「そうですね。ここで気の利いた台詞の一つでも言えれば…もう少し格好がついたかもしれませんね」

「はは、そうかもね」

 

肩を竦めながら呟くイタチに、天衣も小さく笑いながら返す

そしてこれでお互いに言いたい事を終える

そして天衣はこの男と出会ってからの数日間の事を、改めて思い返す。

 

本当に色々な事があった、本当に沢山の出来事があった

正直、まだ完全に割り切れていない

まだ卑屈な考えや後ろ向きな感情は、まだ残っている

 

だけど、それ以上に新しい想いが芽生えた

真っ直ぐに前を向いて、改めて色々な事に向き合っていこうという気持ちが芽生えた。

 

この日、この時、この瞬間、確かに彼女の中で何かが変わり始めた。

 

そして

 

 

(……運命の、出会いか……)

 

 

 

その言葉を思い出す

数日前は気にも留めていなかったその言葉、その言葉を改めて思い出して

 

 

(――今回は、ちょっとだけ信じてみようかな?――)

 

 

胸に燈った小さな感情を噛み締めながら、天衣は夜空を見上げて微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「う~ん、明後日からとうとう日本かー。今からワクワクするなマルさん!」

「そうですね。私もお嬢様と同じ気持ちです、年甲斐もなく気持ちが昂ぶっています」

 

そこは川神から遥かに離れた場所

川神を越え、本州を越え、日本を越え、更に海を越えた国にある、とある邸宅の一室

数多くの愛らしいヌイグルミや小物に溢れた部屋に、長い金髪の少女と長い赤髪の淑女がいた。

 

「あっちの学校が始まるまでに、色々な所を回っておきたいなー

京都ではサムライやシノビが居ると聞いたし、沖縄は海が凄く綺麗だと聞いたし、北海道は雪景色が素晴らしいと紹介してあったし

…うーむ、全部行ってみたい所だが…流石に全部回れる時間がなー…マルさんはどう思う?」

 

「そうですね…やはりどれも捨てがたい、京都は何度来ても巡り終わらない観光名所の宝庫と聞きます。また北海道は冬は雪景色、春先は残雪の景色が楽しめ遊覧船等のツアーも始まると聞いています。そして沖縄、四月の沖縄は気候も安定して暖かく、海でダイビングやシュノーケリング等が楽しめるそうです」

「うわあぁ! ますます悩んじゃうじゃないかー!」

「まだ時間はありますので、ごゆっくり選考された方が良いかと」

 

一つに絞りきれず、唸るように声を上げる『お嬢様』を見て

『マルさん』と呼ばれた赤髪の淑女、マルギッテ・エーベルバッハは柔らかく微笑む

明日からこの二人は日本の川神に移住し、そこの学校に通う

既に新たな住居や転入手続きは終わっており、新生活が始まる前に日本を観光して回る予定だ。

 

しかしその観光先を絞りきれず、今に至る。

 

「あ、そうだ!マルさんはどこに行きたい?どこが良い?」

「私の行きたい場所は、お嬢様の行きたい所です」

「もー!そういうのじゃなくて、マルさんの中でビビっと来た場所とかココだ!って思った場所はないの?」

「…そうですね」

 

目の前のお嬢様に詰め寄られ、マルギッテは今まで得た日本の情報を思い出す。

そして、一つの光景を思い出す。

 

「実は一つだけ、気になっている場所があります」

「何だ、やっぱりあるんじゃないか」

「ですが、あまり参考にならないかと」

「それでも良いから。それでどこ?沖縄?京都?北海道?」

「川神院です」

 

観念する様にマルギッテは答える。

そのマルギッテの答えを聞いて、目の前の少女は少し意外そうな顔をして

 

「カワカミイン?……確か、日本の武術の総本山と言われる場所だったな…でもそこは…」

「そうです。お嬢様と私の新たな生活拠点と同じ川神、つまりこれからは、行こうと思えば何時でもいける場所なんです」

「…ふむ、成程」

「ですので、後はお嬢様次第という訳です。じっくり選考された方が良いかと」

「むー、そっか。よーし、それなら待ってろマルさん!最高の思い出になる様に、しっかり考えて選ぶからな!」

「はい、期待しております」

 

その後、簡単な取り決めと雑談を終えてマルギッテは部屋を後にする

既にその日の業務は終わっているが、まだ幾つか片付ける事がある為に自室に戻る。

 

そして

 

 

――そう、これからはいつでも行ける――

 

――そして、いつでも会いに行ける――

 

 

「…フっ…」

 

 

気が付けば、口元が僅かに緩んでいた

次いでその口元を改めて引き締めて、マルギッテは自室に向けて歩みを進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*****情報を更新します*****

 

 

 

川神百代…好感度59. 

マルギッテ…好感度18. 

橘天衣…好感度66. NEW!

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後書き
皆さん、お久しぶりです。気が付けばもう新年、今年もよろしくお願いします。
かなり長くなりましたが、これで天衣さんの話は一先ず終了です。
本当は百代とのやり取りも書きたかったのですが、そこまで書くと終わりどころが完全に分からなくなる為、今回はお預けです。

そしてイタチの方ですが、天衣さんに対して特別な感情とかは今のところないです
作中でも述べていますが、天衣さんに『有り得たかもしれない自分の姿』を感じての行動です

ちなみにイタチの本名、まさかの剛田さんの所のタケシさんという可能性が――すいません、嘘です(笑)

そして次回、マルさん襲来!実に八ヶ月ぶりの再登場になります。
という訳で、また次回にお会いしましょう。


Q、前回と次回のマルさん回、違う所はどこですか?
A、特に違いはないです。強いていえばクリスもいる位です。




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