読まなくなった本、魔導書、不要なスクロール、買い取ります! 作:竜田竜朗
意気込んだはいいが、本当にどうやってローゼの事をみんなに認めて貰えれば良いかが浮かばない。何か分かりやすいイベントでも発生してくれればと思ってしまうのだが、実際そんな物は影も形もないし、やっぱり少しずつ距離を詰めていくのが一番だと思う。
分かっているのだが、それでも早く何とかしたいと思うのだ。
悩んでいる間に四限目の授業開始のチャイムが鳴り響き、先生が入ってくる。そういえばこの時間は何をするんだったかと思い返せば、「クラス活動」という、具体的に何をするのか分からない授業が二コマ連続していた事を思い出した。
「さっきぶりだねみんな。じゃあ始めようか」
担任のレン先生がこの授業を担当するそうだ。クラス活動という名前から担任の先生が受け持つ事は道理だろう。
起立、礼、よろしくお願いします。のルーティンを経て着席した。
「まず最初にこのクラス活動の説明だね。ざっくり言っちゃうとこれと言って決まってはいないんだ。ただ、クラスメイト全員、或いはクラスの中でグループに別れて何か活動をする。これさえ外さなければ何をしてもいい時間だ」
とレン先生が切り出した。
「みんなで決める事もあると思うんだけど、取り敢えず今日は僕が課題を作ってきた」
言うなり、背後の黒板の方を向いて、チョークで書いていく。
「何人かのグループに別れて、オールヴェールについて。何でもいい。調べて来て欲しい」
とても抽象的で、いまいちピンと来ない課題だった。
「オールヴェールの歴史でも、お店の事でもいいんだ。過去にはオールヴェールに現在何軒の建物があるのか数を数えた人も居た。もう本当にこのオールヴェールの事であれば何でもいいよ。期間は一週間後、来週のこの時間。それまでに活動した事をまとめて発表してもらいたいんだ」
大体イメージは掴めてきたが、やはり具体的にどうしようかと悩む。それに肝心のグループというのが決まっていない。
「グループは……うん、仲のいい人で4から6人で集まってやってみようか。今から時間をとるから、みんな席を立って、グループを作ってみて」
レン先生の合図と共にみんなが席を立ち、仲の良い人達で集まり出す。それは当然アルカも同じだ。
「ローゼちゃん、一緒にやろっ!」
「……えぇ。よろしくお願い致しますわ」
速攻でローゼに声を掛けた。少し間はあったが、ローゼは笑顔を浮かべて誘いを受け入れる。次の行動も早い。
「ノヴァー!」
と、手招きしてノヴァを呼べば、それに気付いたノヴァが近寄ってくる。
「アルカさん〜!御一緒にしていいんですか〜?」
「もちろん!」
「ありがとうございます〜」
いつものように柔らかい笑顔を浮かべたノヴァ。これで三人は決まったが、レン先生は4人から6人と言っていたのであと一人足りない。なのであと一人誘わなくてはいけないのだが。
「……うーん……」
誰も彼もがグループとして出来てしまっている様で、肝心の後一人が見当たらない。三人で集まった所があれば合併する形もとれるのだが、そんな様子もなさそうで、気が付けば一人余る様な所もなく終わってしまっていた。
「一通りできたみたいだね。もし一人足りない所とかあったら、そこはそのまま三人でもいいよ」
アルカ達の状況を察してか、レン先生はそう言ってくれた。結果オーライではあるものの、ちょっとした罪悪感が残った。
「そしたら早速出来上がったグループで、何について調べるか。調べ方はどうするか。どういう形にまとめて発表するかを話し合って欲しい」
と、先生が言うなり他の人達は椅子はそのままに、他の人の席に座ったりしてグループで着席していく。何だか手馴れている様だ。遅れないようにアルカ達も話し合いの席を作る。アルカ達のグループは、アルカ、ローゼが席の最後尾にいるためここに座ったままで良いのだが、ノヴァの席が足りない。
「あの!席、貸してもらってもいい?」
それに気付いたアルカが自分の前の席の人に声を掛け、椅子を貸してもらう。こうすることでアルカとローゼは自分の席に座ったまま、ノヴァだけ席を貸してもらうことで上手い具合に形作れるわけだ。
「えっ…………あ、うん、いいよ」
「ありがとうっ!」
前の席の男子には何だか嫌そうな表情を浮かべられたが、許可は貰えたので、笑顔を作ってお礼を言ってから椅子をクルッと後ろに向けて、ノヴァに座ってもらう。
「なんとかなったね」
「はい〜!アルカさんありがとうございます〜」
ノヴァはそうお礼を言いながら腰を下ろした。
「それではまず、三人で具体的に何を調べるか案を出していきましょう」
そうローゼが切り出して話し合いが始まる。のだが、意見はなかなか出ない。期限の一週間の内に調べてまとめる。それを考えると選択肢は多いようで少ないのだ。
「やはり、ここはわたくし達の住まうこのオールヴェールの郷土史をまとめて発表しましょう」
「美味しいケーキ屋さんをまとめるのはど〜でしょ〜?」
しばらくしてからローゼ、ノヴァはバラバラに案を上げた。オールヴェールの領主の娘たる者として無難な案と、ノヴァの意外性が突出した面白い案。どちらも悪くないとアルカは思った。両者とも興味はある。
「……けれど、郷土史では他のグループと意見が被る可能性もありますわね……」
自分で言ってから、思い返した様にローゼは呟く。せっかく発表するのなら他と被らない内容が良いと考えているのだろう。郷土史なんて誰かしらやりそうな内容ではある。学園内の図書館などで資料が充実しているし、まとめやすい内容だからだ。
「アルカさんは〜?何かありませんか〜?」
というノヴァの問いに対し、アルカは「うーん」と唸った後。
「……ギルドはどうかな?」
と、提案した。
「ギルド……ですか」
「ふむふむ〜」
顎に手を当てて何か思考するローゼと腕を組んで頷くノヴァ。ちょっと反応は悪い。冷静に考えてみれば、ローゼは領主の娘で、ノヴァはまったりした性格。どちらもギルドに依頼を出すなどでお世話になる事はあれど、自分から進んで関係を持つ事を望む立場には無さそうだ。やはり二人の案から選んだ方が良いかと思って。
「良いのではないでしょうか?」
「はい〜!わたしもいいと思います〜!」
意外な事に賛同を得られた。
「えっ、いいの?」
「わたくしもハンターを目指す身。これを機に深く調べたく思いますわ」
「わたしはハンターにはなれないと思いますが〜、お父さんが武器を売っていますから〜」
両者とも想像以上に乗り気な様だった。
「……それに、現在ハンター協会ではハンターの体験も実施していると聞き及びましたわ」
「体験!?」
アルカは身を乗り出して食い付いた。
「え、えぇ。一定階級以上のハンターの方付き添いの元、難易度の低いクエストに同行できるという物でしたわ」
「クエストに行ける……!」
なんともお誂え向きな行事を執り行ってくれているものだと思った。実際のハンターの体験ができるのであれば、自分の経験は当たり前として、いいレポートが書けるはずだ。それに、もしローゼとクエストやって彼女が活躍できれば、発表においてローゼの凄さを伝えられるかもしれないと踏んだ。
しかし問題もある。
「でも〜、一定階級以上のハンターさんの付き添いですと〜、誰にお願いするんですか〜?」
ハンターとしての資格を持たない者を引率してクエストに行くのだから、それなりの階級を求められるだろう。詳しい階級システムをアルカは知らないので何とも言えないが、高くなきゃいけなさそうなのは想像に難くない。それでもって体験会に同行してもらうとなれば、その数は極端に限られてくるわけで。
「……最悪、わたくしのお兄様や護衛の者がおりますが……」
バツの悪そうな表情を浮かべたローゼ。あまり家の関係者にお願いはしたくないのだろう。
「(階級の高いハンターさんかー……)」
思い浮かぶ人物は居る。というか、その人物以外は思い浮かばない。
「私に心当たりがあるから、お願いしてみるよ」
話に乗ってくれるかは分からないが、何もしないよりマシだ。
「よろしく頼みますわ、アルカ。もしダメだった時は、わたくしにお任せ下さいな」
「うん。その時はお願い」
こうして、取り敢えずはハンターの体験に行くという事で話は纏まったのだが、ノヴァの方は自前の武器はあれど戦闘はからっきしで、走ったりするのもあまり得意じゃない……というか一分も走れば息切れしてしまうとの事で、資料面を調べる方向に。つまり体験に出るのはアルカとローゼの二人だ。
粗方決まったところで休み時間に入り、次のコマが始まって直ぐ、レン先生がこの時間は図書室を使っていいとの事だったので、三人は図書室に向かいギルドに関する資料を読み漁り、紙にまとめる。見たことないくらい蔵書にアルカは目を輝かせていたが、それも最初だけで、しばらくすれば本を読むことに集中していた。
「(……あれ)」
そして、一冊の本のとあるページで手を止める。
ギルドが取り扱った大きな問題を取り上げた資料。その中に、見知った名前を見つけたからだ。
【黒翼の誕生】
課題には関係ない。だが、これをスルーできるほどストイックな精神を、アルカは持ち合わせていなかった。
「(……魔導書作家で有名な『ノーテラス・グレイスロータ』の一人娘である彼女は、その類稀なる魔法の才能と知識で、オールヴェール魔導学園高等部に13歳で入学……僅か一年で卒業……へぇ、ユノさんやっぱり凄いんだ)」
尊敬する彼女の凄さを改めて感じつつ、ページを捲る。
「(その一年後、
確かクラリス先生もそんな事を言っていたと思い返した。
「(しかしユノ・グレイスロータの到着から三分で、ブラッドケーンの装備者は死亡。この事件は幕を下ろした………………ってことは…………ううん、だから、か)」
これでまた一つ、ユノについて、アルカは知る事ができた。同時に、この街に対して少しだけ怒りを覚えて──
「アルカさん〜、少し相談が〜」
「ふぇっ……あ、どうしたの?」
つんつんとノヴァに肩を突かれて、アルカはノヴァの方に向き合った。
「本棚の上の方の本が取れないんですが〜、良かったら肩車してくれませんか〜?」
「ええっ!?脚立を使おうよっ!あっちにあるよ!」
「……あぁ〜、ほんとですね〜」
「お二人共、図書室ではお静かに。ですわよ」
なんてやり取りがありつつも、三人は課題に取り組んでいくのだった。
学校から帰った。今日の仕事は終わった。それから状況は説明した。力を貸して欲しいと頼んだ。しかし、やんわり断られそうになったので。
「……ユノさん……おねがいします〜っ!」
アルカは全力で頼み込む。
状況の説明は簡単だ。業務終了後に二階のリビングでコーヒーを飲みつつ、ユノにギルドのハンター体験の同伴をお願いしている。
「うっ……」
アルカのちょっとうるうるとした視線に、ユノはたじろぐ。歪んだ精神の持ち主はこの様な純粋なお願いには弱いのだ。
「……でも土曜日に行くんだよね?」
「はいっ!……って……あ、そっかお店……」
今日の話し合いで、ローゼとの予定のつく土曜日に行くことになった。明日は金曜日ではあるが、急な話だ。
しかし問題はそれだけじゃない。冷静に思い返してみれば、アルカとユノが店を出た場合、オーナーしか居ない。ユノの一存で決められる事では無さそうだ。
「別に構わないぞ」
と、料理をしながら話を聞いていたオーナーが一言。
「うぐっ……退路が……」
切り札である「仕事」はアルカの頼みを断る事に関して有効に働かなかった。
「どこのどいつか分からない奴に、アルカの命を任せる訳にもいかないだろ」
「……まぁ、確かに……」
オーナーの言葉にユノは頷いた。
「じゃあ、そうだ。ボクがギルドについて有ること有ってはいけないけど有ってしまう事を話すからそれでどうだい?」
「それ話していいんですか!?」
なんかとんでもない事を教えて貰えそうだった。というかそれをまとめて学校で発表するのはとってもいけない事な気がした。
「大したことじゃないよ。北ギルドの受付嬢さんの一人が実は娼婦をやって」
「黙れ」
「……しょーふ?」
アルカには何のことだかさっぱり分からない。が、オーナーが止めるのを見る辺り、本当に聞いちゃいけない事なのだと思った。
「……ユノ」
「うん?」
ユノを呼びながら、オーナーはキッチンから出てユノの方へと近寄り、ある程度距離が詰まってからゆっくりと口を開いた。
「分かるぞ、子供のお守りは大変だ。割に合わないし面倒だ。言う事聞かねえし好き放題しやがるし、取り返しのつかないことしても平気な顔で笑うからな。煩わしいし喧しい。些細な事で拗ねるし七面倒臭い事この上ない」
「えっ、いやボクは別に何もそこまで」
「(…………あれ、私そこまで酷いのかな……?)」
とっても不安になって自分の行いをアルカは見つめ直し始めた。
それでもオーナーの言葉は続く。
「だがな、行って欲しいっつーのはユノを見込んでの頼みだ」
「っ!?」
ユノはハッとする。
「俺はユノ以上にできる女を知らない。俺が独断でアルカの下宿を許可したにも関わらず、ユノは笑って受け入れてくれた。器量があって面倒見が良くて、その上、そこそこ強い。お前の作る飯は……まぁ普通だし、魔法の事以外は可もなく不可もなくだが…………お前はいい女性だ」
果たしてそれで褒めているのか。ツッコミを入れる者はいない。
「だから、アルカ達を頼めるか?」
と、オーナーは小さく頭を下げ、それを受けたユノは。
「大船に乗ったつもりで待っていてねオーナー!オールヴェールの黒翼と呼ばれたこのボクがっ!二人に冒険者の何たるかを教えてくるよっ!!このボクにかかれば二人は帰ってくる頃にはベテランハンターの風格を醸し出している程度にはなっているからね!」
もうなんかノリノリだった。とても目が輝いていた。
「お、おう。任せたぞ」
自分から乗せといてなに引いてんだとツッコミを入れる者も残念ながらいない。
「ちょっと明後日に備えて準備をしてくるね!」
「それは気がはや……」
オーナーの静止は届かず、ユノはとんでもない勢いで三階へ続く階段を駆け登っていった。その瞳に五芒星の様な魔法陣──「身体能力強化5th」という、この世では最も優れた身体能力強化の魔法陣が浮かんでいた。
「……まぁやる気があるのはいい事だな」
と、納得してキッチンへと戻り。
「オーナーさん……私……何か直した方がいいところありますか……?」
なんて、物凄く不安そうにアルカは瞳を濡らしていた。
「無い、大丈夫だ。頼むから、アルカはそのままで居てくれ」
「……?」
MOの中は今日も平和だった。
「はぁ……」
ガチャッと自室の扉を閉めて、ローゼは漸く一息ついた。今日も今日とて自分の家という場所は息が詰まる。
間違いなく、生活という面だけでみればとても恵まれているのだろう。使用人達が毎日健康的な食事を用意してくれて、掃除や洗濯なんて物も全てこなしてくれる。お風呂だって毎日決まった時間に沸かしてくれているし、困る事など何一つとしてない。
だが、それでも落ち着かないのは彼等が仕事として自分のお世話をしてくれるからだ。
会話はほとんど無い。事務的な内容で終わってしまうことばかりだ。必要のない会話は無い。使用人同士はかなり仲が良さそうだが、ローゼと談笑をする様な人物は一人としていない。
ローゼと使用人達は、雇う側と雇われる側としての冷たい関係だけがある。
今更冷たい関係だと嘆きはしない。これはこの別館に越して来た三年前から変わっていないからだ。
では何が気苦しいかと問われれば、使用人達からの冷たい視線があるからと答える。
雇われる側としてしっかり仕事をし、雇い主に文句を言われないために顔色を伺いつつ業務をこなす。そんな彼らの視線が苦しいのだ。
「(……さて、昨日の続きを始めましょう)」
部屋の本棚から昨日も使った魔導書を取り出す。タイトルは「火属性魔法の基礎」というもの。有名な魔導書作家である「ノーテラス・グレイスロータ」の魔導書だ。
彼の魔導書はどれも分かりやすく、最も魔法を習得し易い本だと言われている。ローゼは彼の本によって様々な魔法の知識を得ていた。故に、この本だって何度読み返したかは分からない。要点は既に頭の中にあると言ってもいい。
なのに、この本を読み返す理由は。
「(アルカの測定紙は赤色、火属性……でしたら、何かアドバイスできるような事が記されているハズですわ)」
別に、恩を着せたいわけじゃない。だが友人と慕ってくれる彼女が成長するために、何かしてあげたいという純粋な気持ち。それだけでローゼはこの本を開いているのだ。
飾りはないが、座り心地のいい椅子に腰を下ろし、栞を挟んだページを開いて卓上の魔導具のスイッチを入れる。暖色系の暖かい光に文字が照らされ、ローゼはしっかりと読み込んでいく。
「(火属性魔法も他の魔法と違いはない。基礎である魔法陣を覚える事が肝要。火球の魔法陣は形の形成……炎の生成のルーンの配列が──)」
頭の中で復唱する様にして、既知の知識を更に深めていく。ほとんどその繰り返しだ。
だがその繰り返しが実を結ぶのだとローゼは信じている。そう信じて生きて来た。
「(──以上を踏まえ、瞳に陣が浮かべばおめでとう)」
というキリのいいところで一息ついて、かなり時間が経過している事を時計で確認した。
そろそろ寝ないとと思い、席を立ち、ベッドに入る前に用を足そうと部屋から出た。
トイレは自室のあるこの二階の反対側の突き当たりだ。本館ほどではないが少し長い廊下を進んで行く。途中で一階から上がってくるための階段の前に差し掛かり──
「──って聞いたんですよ」
と、使用人の一人の声が一階から聞こえた。
「……」
あまり良くないのは分かっているが、ローゼは二階から聞き耳を立てる。距離があるためハッキリとは聞こえないが、息を殺していれば十分に聞こえるのだ。
「……そうよ。貴女は入るタイミングがほんとに良かったのよ。半年くらい前なんか酷かったんだからね」
「(…………あぁ、また、この話ですのね)」
これは、何度も聞いた話だ。
「少しでも汚れが残っていたりしたら、ピーピー煩かったんだから。必要のない話も振ってくるし。あなたのご家族はどうですの?とか。領主の娘様に心配されてもねぇ……?」
「そうなんですね。でも今はそんな事も無さそうに見えますけど」
「今はね。でも少し前、なんか、学園でイジメに遭ったって聞いた。そのせいか夜に全然帰ってこない事が一回だけあって……その頃からかしらね、大人しくなったの。楽でいいわ」
そこまで聞いて、ローゼはトイレの方へと進んで行く。なるべく音を立てないように、ゆっくりと。静かに用も足して、水を流し、部屋へと戻る。再び階段に差し掛かった時には、もう声は聞こえなくなっていた。
冷静に考えれば水を流す時の音で聞こえてしまったのだろう。しかしそれもどうでもいい事だ。
自室に入り、ベッドに横たわり布団を被る。
「(…………信頼を取り戻すには……いいえ、信頼を勝ち取るには、どれだけの時間が掛かるのでしょうね)」
積み重ねて来た失敗が、もう取り返しのつかないところまで積み重なってしまったのかもしれない。だが自分はオールヴェールの姓を持つのだ。諦める訳にはいかない。
「……もっと、がんばりませんと……」
そう言い聞かせてから目を瞑り、柔らかいベッドの感覚に浸る。浸れば、意識も沈んでいく。
こうやって、ローゼは磨り減っていく。
アンケートご協力してくださった方ありがとうございます〜!
20日現在は主人公と元主人公の半々……やはり強いキャラ強いんやなと思うこの頃。
まだまだ序盤ですが何か気に入ったとか、気になるとか、印象に残ったキャラクターが居れば投票おなしゃす!
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アルカ・コノエ
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ユノ・グレイスロータ
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ローゼ・オールヴェール
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ノヴァ・ブランク
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オーナー