いつかは終わるヒーローたちのアカデミア   作:Agateram

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さて、今回のお話を読む前に、一つだけ忠告があります。
一部のキャラクターが原作のキャラのカッコよさを損なうような言動をしております。

もちろんアンチではありませんが、いやコレはないだろうというキャラ崩壊に近いものがあるかもしれません。

そこのところ踏まえて広大な大自然のような何者をも拒まない気持ちで読んでいただければ幸いです。

以上、言い訳でした。


第10話 合否判定!そして継承へ……のはずだったんだ

さて雄英高校受験から、はや数週間、俺たちの手元には既に受験結果が届いていた。

封筒を開けて中から出て来たのは紙ではなく円錐形の機械。

小型の立体プロジェクター。

おそらくは、いや確実に合否判定のデータが入った物だ。

 

そして、それを前にしているのは俺、彼岸四季だけではない。

 

「ほれ、さっさと開けろ。どうせ待ってても中の記録は変わらねぇぞ」

 

俺以上にウキウキしながら、俺の保護者は今か今かとその結果発表を待っていた。

その特徴的な長い白耳は完全にこちらを向き、赤く輝くような瞳はメリーゴーランドを目の前にした童女のように楽しみに彩られている。

その瞳には俺の合格以外の結果は映っていない。むしろ何位で合格したのかだけを見に来たとばかりに喜色だけが映っている。

 

これ、俺が落ちていたら雄英高校に殴り込みに行きそうじゃねぇか?

 

まぁ、一応ポイントは稼げている自信があるし、筆記も問題ない。

 

少しばかり周りのことに気を使いすぎたり、0ポイントが危険すぎたので試験に関係なかろうと排除したりと、もっと取れたであろう点を逃していることは否定できない。

 

だが、それでも全力は尽くした。ならばここで臆するのは男が廃るというものだ。

 

俺はそう意気込んで立体プロジェクターのスイッチを押した。

 

『わーたーしが投影、されたーー!!』

 

「オール、マイト?」

 

 

プロジェクターが映し出したのが珍しくもスーツ姿に身を包んだナンバーワンヒーロー、オールマイトであったことに驚く。確かに俺たちとはこの約1年ほど濃ゆい時間を過ごしてきたが、しかし何故雄英高校の手紙にオールマイトが出て来るのか?

 

『驚いてしまったのなら謝ろう、突然すまないね。まず第一になぜ雄英高校のプロジェクターの映像に私が映っているかと言うと、私がこの雄英高校に勤める事になったからだ。』

 

雄英高校に、オールマイトが?

いやそれも当然か。彼はもともと後継者を探していると言っていた。ならば母校であり、日本最高峰の一つである雄英高校に渡りをつけるのは当然の帰結だろう。

 

なら、ここで彼が出たのも納得できた。あとは結果だ。

 

『さて、あまり焦らしても仕方あるまい。彼岸四季少年!雄英高校、合格だ!!』

 

その台詞に重い溜息をついた。本来ならガッツポーズをとったり涙ぐむところだろうが、俺としてはとりあえず第一関門突破というだけの意味合いが強い。

俺が為すのはその先だ。だからこれはまだスタートライン。そう胸に刻みこもうとしたところで、さらにオールマイトの台詞が続いた。

 

『君が獲得したヴィランポイントは68ポイント!これだけでも今回実技2位に食い込む好成績だ。しかし、実はこの試験にはもう一つ、受験生達には教えられていない評価基準がある。その名も救出ポイント!どんな差し迫った、たとえば自分の人生を左右しかねない試験の現場でも、人助けというヒーローの前提をどれだけできたかという、審査制で得られるコレは、ヒーローの大前提を測る重要な基礎能力!!』

 

大きく手を振り上げ、背後にある点数表が記載された掲示板が光を灯す。

その頂点をオールマイトがゆっくりと指差し、告げる。

 

『彼岸四季少年、畏縮していた少年少女たちへの迅速な救助、及びアドバイスで救出ポイント35ポイント!そして巨大な0ポイントヴィラン出現の際にも皆を落ち着かせ救助を促し、さらにその元凶をも破壊するという実力を示し、皆を安心させた!さらに70の救出ポイントを加算!総合成績、173ポイント!!近年最高のポイントで主席合格だ!!』

 

ありがたいことを言われている。その自覚はあった。

けれど、それよりも重要なことが一つあった。

それは掲示板に映った第2位、つまり次席合格者の名前

 

『緑谷 出久  135ポイント』

 

3位以下に圧倒的な差をつけ、そこに俺の友人が、無個性で傷ついて、それでも何度でも立ち上がってきた不屈の意思を持つ友人の名前が確かに刻まれていた。

 

ああ、本当にお前は凄いよ出久。

だからこそ、あんな未来は許せない。あんな未来だけは来させない。

たとえ、この身がどうなろうとも、あの未来だけは否定してやる。

 

 

そんなことを考えている内に、合格案内は終わっていたらしい。

 

呆けていた俺を確かめるように、息がかかるような近さで、俺の保護者が目の前で俺の眼を見ていた。

 

「おーいどうした?主席だぞ主席!!こんな時くらいその仏頂面を崩して笑え!」

 

 

白い髪に褐色の肌、そして赤い目と白い天に向かって伸びる髪と同じ色の耳。

そこに勝気で不敵な笑みを浮かべて、俺の仏頂面の両頬を両手で押し上げる。

 

「笑っている、つもりなんだけど…」

「どこがだ!せっかくの雄英高校合格!それも主席だってのにその面!そんなことじゃヒーローなんかにはなれねぇぞ」

 

俺の恩人にして身元保証人、そしてサイドキックと呼ばれる一緒に前線で戦ったり、または情報を集めたりして主となるヒーローを支える相棒や同僚を一切持たずに独自の情報網と聴力、日本を縦横無尽に駆ける高機動を持って日本でトップ10に20台の若さでランクインする女傑。

 

ラビットヒーロー『ミルコ』、本名兎山ルミがそこにいた。

 

俺にすれば正に目の上のたんこぶというか、逆らう気すら起きない存在であり、彼女の言葉を借りるなら、俺は彼女にとって弟であり、弟子であり、将来気が向いたらサイドキックにしてやるという存在、らしい。

 

俺にとっては、義理の姉という認識だ。まぁ弟子というのも間違いではない。体術に関しては彼女に教わった部分が多いのも事実だ。だが、気が向いたらサイドキックとかは止めてほしい。

なんせ彼女は全国でも超がつくほどの有名人。なんせ女性ではトップのヒーローランクを誇る人だ。

 

それが唯一サイドキックを雇ったなんて知れた日にはどれだけマスコミが押し寄せるか考えたくもない。そんなことを考えてもいない彼女は能天気に俺の頭の上に顎を乗せて、何が面白いのか俺の頬をぷにぷにとつつく作業に移行していた。

 

ちなみにこれが彼女が俺の家でくつろぐ時の定位置である。最近は身長が俺が高くなったので肩に顎を乗せてくることが少しは増えたが、基本は家にあるソファの下に俺が据わり、彼女はソファに座って俺の頭を枕替わりか机替わりに顎を乗せて、腕を俺の肩に伸ばしてのんびりとテレビを見たりするのが、たまにこの家に来る彼女の習慣であった。

別に今更変えようとも思わないが、傍から見れば、年ごろの女性がそれはどうなんだという体制とだらけようである。あと距離が近い。

 

そんなことを考えているとふと、携帯電話にメッセージが入った。

 

『いつもの海岸で20時に待っている。できればきてほしい』

 

そんなメールが来ており、それを見たルミさん——家やプライベートではそう呼べと言われている——が読み上げた。

 

今更彼女が俺の携帯電話を勝手に見ることは珍しくもないので、それはいい。だが内容は問題だった。なぜならそのメールはオールマイト(一応八木さん、で登録はしてあるが)からのものであり、彼女は今までその人にあったことがない。

 

互いに忙しいヒーロー業。二人が顔を合わせたことはない。

そしてルミさんは俺たちに特訓をつけた人がオールマイトとは知らない。

だからこそ、彼女は個性であるウサギがしそうもないような肉食獣めいた笑みを浮かべて言いきった。

 

「20時、ね。行ってみるか。あたしの義弟に勝手に仕込みやがった奴の面を拝みにな」

 

——あっこれ、ヤバいわ。

 

俺はとりあえず彼女に隠れて一通だけメッセージを送った。

 

———行きますが、義姉が付いてくるので絶対にヒーローモードでいてください。じゃないと多分ヤバいです。死にます。

 

 

 

 

豆知識になるが、一般的にウサギも自分の縄張りや親しい相手、場所にマーキングをする習性があるのをご存じだろうか。そしてウサギのマーキングには人の手をなめるという行動のほかに、下あごの皮膚にある臭腺を擦り付けるという行為が存在する。そして、ヒーローミルコの個性はウサギっぽいことがウサギよりもできるという異形型の個性である。

 

さて、それを踏まえた時に、彼女は誰によく下あごを置いており、その誰かは彼女に詳しい経緯を伝えずに、どこの誰に特訓を受けたのだっただろうか。

 

それを踏まえて、両者が会ったときの反応を想像してみてほしい。

 

 

結果は、既に目の前にある。

 

 

「まっさか、あたしの義弟を掠め取ろうとしたのがアンタだったとはなぁ!!予想してなかったよ!オールマイト!!」

「か、掠め取るとは人聞きの悪い! 少しこちらの弟子と一緒に稽古をつけただけさ」

「それでも!あたしが何を言ってもヒーローにならなかったアイツが、ヒーローを目指したのは、アンタが理由だよなぁ!!?」

「いや、そこは詳しく知らないけどね!!?」

 

 

日本における、おそらくは最強の男女ヒーローの熱い肉弾戦が、割としょうもない理由で繰り広げられていた。

まぁ理由の発端となった俺のいうことではないのだが。

 

ああ、ちなみこの騒ぎのために、オールマイトから出久への個性の継承は後日に引き伸ばされることになった。

 

いや、なんというか、ホント申し訳ない。

俺は心の中でオールマイトと出久に土下座したのだった。

 




さて、今回は短めで申し訳ございません。

そしてヒーローミルコのカッコよさが好きな方、イメージを崩されてしまったかもしれませんね。

そこはホント申し訳ないのですが、割とこの辺りまでは最初から構想してたので今更変えられませんでした。

処女作とはいえ、作品作りはいと難しいものでございます。

いや、ホント申し訳ない。

次回は雄英高校入学、そして個性把握テスト編となります。
出久くんへの個性譲渡?……いやホントはシリアスに書く予定でしたよ?しかしシリアスは作者の力量不足により犠牲になりました。

不評ならいずれ改めて書き直しや閑話をいれます。



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