最初に、これを伝えておこう。これは悲劇で始まって、喜劇で終わる物語だ。

———仮に私たちの生死が、生き方が、既に定まった運命というレールに乗せられたモノに過ぎないとしたならば、あなたの人生に、その体に宿っているといわれている魂に、その身を動かす意思に、意味はあるのでしょうか。

———意味はある。運命なんて変えられる。
ボサボサのくせ毛の英雄は、強い瞳で言い切った。

———そんなものを壊すためにオレがいる。
暗い暗い笑みを浮かべる敵はそう吐き捨てた。

———「              。」

鏡に映った自分は、まだその問いに答えを出せないままに、今日も拳を握る。
運命という理不尽に対峙する度胸も、実力も、覚悟もないままに。
それでも、拳をにぎり、疾走する。
誰よりも自分を信じられないくせに。
誰よりも、運命から逃げられないとわかっているくせに。

「さあ、とりあえず殴って、蹴って、縛り上げて解決しとくか!」
「言いかた――――!!」

後方からの力強いツッコミを受けながら、笑顔で走り出す。
振り返る暇はない。時間は有限。無駄な時間などないのだ。だから走る。
走り続ける。走って殴る。走りながら蹴る。止まろうが腕を、足を、意思を前へ伸ばす。
もう一度、確認しておこう。これは悲劇(死)で始まって喜劇(死)で終わる物語だ。

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