いつかは終わるヒーローたちのアカデミア   作:Agateram

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サブタイトル、意外と思いつかないものですね。
私の物語の進みが遅いのもありますが。

それはそれとして感想をくださった皆様、お気に入りや評価をくださった皆様、誠にありがとうございます。

これからも亀の進みではありますが、物語を描き切るつもりですのでよろしくおねがいします。


第11話 そして雄英高校へ。いや打ち切りではありません。ただのタイトルです。

 

雄英から渡されている資料は持った。

もちろんハンカチなどの備品もぬかりない。

 

入学式という晴れの日を、忘れ物や遅刻などで曇らせたくはない。

これから高校に通った3年後、あるいはもっと早くに俺の見た未来は訪れるかもしれない。

 

だから一日、一秒、一瞬でも無駄にはできない。いや、無駄にしない。

 

今日が終わりかもしれないと思って生きろ。

今から死地に向かうと思って進め。

 

そう、それが俺が義姉から得た教訓だ。

 

準備は済んだ。

覚悟はできている。

 

だから行こう。

 

そんなことを考えていたからだろうか。

アパートの玄関を出て、直ぐに頭に衝撃が来た。

 

「だ、か、ら、お前は少しくらいは笑えって言ってんだろう。

どこに高校の入学式にそんな死ににいくような面構えで行くやつがいる?」

 

頭の衝撃の心当たりはすぐにわかった。

我が義姉にして、身元引受人であるヒーローミルコである。

 

「ルミ……ミルコさん、昨日の夜は名古屋で大物ヴィランを捕縛してたってニュースで見たばかりだったんだけど」

「ああ?それは昨日の夜だろうが。今は朝だ。こっちにいてもおかしくねぇだろ」

 

いや、昨日(今日未明)ヴィランを捕縛したのは深夜1時を過ぎていたはずだ。

だから今朝のニュースでしか情報は知らなかったし、その時間からここに来るような交通機関はないはずだ。だから、彼女がここにいるとは思わずに驚いている。

 

けれど、偽物ではない。この眼に映る彼女の『色彩』を見間違えることはあり得ない。

 

「1時すぎにヴィランをぶっ飛ばした。2時過ぎに警察に渡した。手続きで3時には解放された。それから走ればここに来るくらい朝飯前だ。」

「いや、なんで。そんな無茶しなくても…」

 

見れば彼女はオフのラフな恰好ではなく、ヒーローのコスチューム。それも所々破けていたり、血がにじんでいる所を見ると無傷ではない。

そんな体で、ここまで来る理由なんて

 

「何言ってんだ。あたしの義弟の晴れの入学式だぞ?

家族が送り出してやらなくてどうすんだよ。」

 

「——————そ、んな…」

 

そんなことでこんな無茶を、なんて続けようとして言葉に詰まった。

 

泣いてはいない。

 

涙なんて当の昔に捨ててきた。

 

けれど、少しだけ、そう少しだけ言葉がでなかっただけだ。。理由は知らない。

 

「なぁ、四季」

 

そんな俺の精いっぱいの我慢を知らないように、彼女は気安く、そしていつもより眼を細めた笑顔で、声をかけてくれた。

 

「制服、似合ってんな。超かっこいいぜ」

 

————ああ、本当に、この人にはまだまだ敵わない。

 

 

 

 

 

 

「1-A、1-A……さすがにこれだけ敷地が広いと教室探すのも一苦労だな」

 

「普通校舎自体は、そんなに変わらないよ。演習場や技術部門とかが桁違いなだけ。ほら、あのおっきな扉のところだよ」

 

出久と校門で待ち合わせ、同時に校舎に入ったが初めてゆっくり歩きまわる校舎は迷路と変わりない。

いや見た目は普通の校舎っぽいのだが、非常時の備えなのか教室の配置や場所がそれぞれの科と学年で分散させられているのでわかりにくい。

 

まぁそもそも雄英バリアの名前で親しまれている、雄英の学生証などの通行証を持つ者以外を通さないように設定してある鉄壁以上の硬度の壁がこの雄英高校という広大な敷地に張り巡らされていることを考えると、この学校の緊急時の備えはそこかしこにあるのだろう。教室の分散化などその簡単な一例に過ぎない。

 

「ところで体の方はどうだ?」

「あー……それが、さ。どうにも変なんだ」

「変?まさかなんか異状があったのか?」

 

最後に出久にあったのは昨日の朝のトレーニングの時だ。

出久にオールマイトの個性が継承された日以降、出久はその身に有り余るほどの個性の出力を制御するために俺との模擬戦を行い、オールマイト、そしてたまにヒーローミルコがアドバイスを送ったり、ダメなところを肉体言語で理解させられたり(主にミルコ)する日々を送っていた。ミルコが来るのは俺を盗られないため、らしい。そもそもあなたのでもないし、先日の地上最高クラスの格闘戦を地上最高クラスのどうでもいい理由で始めた二人の不毛な争いは最終的に出久はオールマイトの、俺はミルコの弟子ということで完結した。

そこに地形を変えかねないほどの戦闘があったが、それは二人のヒーローが互いの切磋琢磨のための訓練の一言で片付いた。というか片づけた。

 

そうしないと日本のトップヒーロー達が個人的な理由でド派手にケンカをしたなんて記事が全国紙に載りかねなかったのだ。

 

まぁそれはいい。もう忘れよう。とりあえず大事なのは今だ。

ヒーロー達の縄張り争いもひと段落つき、その後出久は無事個性を継承した。そして現在安定して動ける個性の発動能力がオールマイトを100とした時に40~50というところだ。

 

それをしょぼいということなかれ。オールマイトは腕の一振りで上空の雲を吹き飛ばせるという、個性を含めても人類なのか疑わしい膂力の持ち主である。なお雲とは霧雲などの地上付近に見られる雲などを除き、ほとんどが低くとも2㎞~10数㎞ほどは離れている。ちなみに俺が言っているのは後者である。そのパワーは測定すら難しいものであり、その半分近くの力を使える出久の危険度は局地的なハリケーンと大した違いはない。

 

つまり、既にこの170cmほどの少年は、10分もあれば今歩いている校舎を瓦礫に変えられるほどの存在なのである。

まぁそんなことを緑谷出久がするはずもないが。

 

とはいえ、そんな力をもった彼に不調があれば、一大事になりかねない。

大きな力はそれを持つ者次第で凶器にもなりうる。

彼が力を持て余してしまえば、その余波だけで人が死ぬには十分すぎるのだ。

 

だからこそ、俺は内心慌てていたが、出久の感想は変な夢を偶に見るようになった、とそれだけであった。

だが、そこにはオールマイトに似た影や、他に7つの人影が見えたらしい。

 

オールマイトは出久を九代目だと言っていた。

ならば、これは偶然、というわけではないかもしれない。

とはいえ、今のところ本人の体に直接的な被害はないとのことだったので、この話題はオールマイトに後で相談することになった。

 

そんな悠長に会話をしていたからか、既に1-Aの教室のドアは目の前にあった。

そろそろ時間も予鈴前になる。俺たちは互いにうなずきあって話題を打ち切り、互いに三年間を共に過ごすであろう雄英高校の面々に期待と不安が半々になりながら扉を開き、

 

「机に足をかけるな!雄英の偉大な先輩方や机の製作者に申し訳ないと思わないか!?」

 

「思わねーよそんなこと。どこ中だよ端役!」

 

机に足をかけふんぞり返って椅子に座る、爆発ヘアーの見慣れた、見慣れすぎた爆豪勝己(バクハツバカ)と、プレゼント・マイクの説明の最中に俺と口論になりかけた眼鏡君が揉めていた。

 

 

ああ、いろいろあったから忘れていた、あの爆豪もここに受かっていたのだった。

しかし、せめてクラスが別ならよかったのに……。

 

雄英高校にクラス替えはあったかな、なんて考えていると俺の袖をつつく感触があり、そちらに眼を向けると、見知った顔と特徴的な耳があった。

 

「試験振り。やっぱり受かってたねアンタ」

 

「ああ。そっちもやっぱり受かってたな。」

 

実技試験会場が同じであったイヤホン少女、耳郎響香がそこにいた。

 

「やっぱりって、ウチあんたみたいに派手な活躍してなかったけど?」

 

「活躍はよくは知らない。けど言ったろ。この学校がよっぽど馬鹿じゃなければ響香は受かってるって」

 

———見ず知らずのバカを助けるためにここまで来た奴と自分の命だけ優先して逃げた奴ら、どちらがヒーローの素質があるかなんて一目瞭然だろう?

 

そんな言葉を俺は彼女に向かって言った。それだけ彼女はあの巨大仮想敵を前にしても、恐怖に負けることなく近くにいた俺の命を優先して動いていた少女だ。それが、受かっていないはずはない。

 

「…………」

 

「どうかしたか?」

 

俺の台詞にフレンドリーに返してくれるものだと思っていた彼女は何故か顔をそっぽむけて返事をしてくれなかった。何か気に障ったか。やはり呼び捨てはよくなかっただろうか。

 

「えと、気にしないで。四季はいつもこんな感じだから。」

 

出久から謎のフォローをもらって響香は出久に向かって「そう…」とだけ言って大きくため息を吐いてから出久と自己紹介を始めた。俺のことを紹介しながら、親し気な…というより苦労を共有したような雰囲気で話していた。

 

なんだ。何か置いてけぼりにされた感じがするのだが。

 

「とにかく、袖振り合うも他生の縁、だ。今後ともよろしく響香」

「ああ、うん。よろしく。ええっと………四季?」

「ああ、彼岸四季であっている。よろしく」

 

響香は呆れた様に、けれどしっかりと俺と握手を交わしてくれた。

 

 

さて、ここから俺の、俺たちの雄英高校の生活が始まる。

どんな難題や試練があっても乗り越えていこう。『Plus Ultra』の校訓のように。

 

 

 

・・・・・そんな感じで初日の最初は〆たかったのだが。

「デクに留年野郎! まぐれで受かったからってなめてんじゃねーぞ!」

「おお!やはり君も受かっていたか。ぼ…俺は飯田天哉だ。よろしく」

「ああ!槍の人!やっぱり受かってたんやね。私麗日お茶子!よろしくね」

 

怒涛の自己紹介と、ケンカ腰の連続。極めつけは

 

「お友達ごっこがしたいなら他に行け…ここは雄英高校ヒーロー科だぞ」

 

何故か寝袋に入り廊下に寝ている無精ひげ伸びっぱなしでゼリー飲料をすすっている男まで現れた。

 

 

なるほど。これが日本の最高峰、雄英高校。

どいつもこいつも一筋縄では行かないらしい。

 

 

 




そんなわけで次回は個性把握テスト。

そしていよいよ出久君のOFAが解禁となります。たぶん。今書きかけの文章では。

ところで、そろそろ初回アンケート打ち切ります。

多数の方のご意見ありがろうございます。
参考にさせていただきます(作品に反映できるかは手腕がないので保障できかねます。ご了承ください)

それでは次回もよろしくお願いします。
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