いつかは終わるヒーローたちのアカデミア   作:Agateram

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ホントは入学式書きたかったんですよね。
でも多分入学式っていっても雄英高校って普通の保護者とか参列してなさそうなイメージだし。
早く作品も進めたかったし。というわけで入学式はなく、原作通り個性把握テスト編、2話ほどお付き合いください。




第12話 雄英高校入学式!はありません!!むしろある作品を見たい!!

「お友達ごっこがしたいなら他に行け…ここは雄英高校ヒーロー科だぞ」

 

一言で騒ぎを断ち切る鋭い声をあげる者がいた。それは経験から来るものなのか、もとよりそうなのか、若い生徒たちにはない威厳を持った声であった。ただし、それだけが教室の喧騒を絶ったわけではない。

 

教室の外、廊下に寝転んだミノムシがいた。いや別にそういう異形系なわけではない。

何故か寝袋に入っているだけだ。それが、問題なのだが。

 

好奇の視線を独占しながらその寝袋は立ち上がるとのっそりとその姿を見せる。無精髭に伸び放題に見える肩にかかるくらいの髪の毛、鋭い瞳がその髪の間から覗かせる。

 

「静かになるまで8秒かかりました。時間は有限。君たちは合理性に欠けるね」

 

彼は自分たち1-Aの担任である相澤 消太であると伝えると寝袋の中から服をとりだした。たしかアレは入学の書類に書いてあった体操着だ。

 

「これに着替えてグラウンドに出ろ。」

 

酷く簡単な指示だった、体操服に着替えてグラウンドに出ろ、それだけ。そしてグラウンドで告げられた次の指示は個性ありの体力テスト、個性把握テストを行うということだった。

 

もちろん、非難もあった。今日は本来入学式の日である。保護者や関係者が参列されてもうすぐ式が始まるだろう。しかしそれを無視していきなりテストと来た。そりゃ非難くらいでて当然である。だがそれを、相澤と名乗った教師はやはりすぐに切りかえす。

 

「お前等はヒーローを目指してきたんだろ。それならそんな悠長な行事、出る時間ないよ。雄英高校の校風は『自由』が売り文句。それは俺たち教師陣もまた然り。」

 

これから一年、俺たちの担任となる教師が最初に提示したのは、常軌を逸していた。

だがこの高校のヒーロー科は様々な事故、人災、天災にすら立ち向かうヒーローを育てる場所。ならばこそ、どんな事態にも、どんな時にも対応できる能力が求められるということだろう。まぁそれがいきなり来るとはこちらも思っていなかったが。

 

「個性禁止の体力テスト、お前らも中学の時にやってきただろう。だがそこに個性という諸君らが本来持っている能力は異形型以外は含まれていない非合理的なものだ。全ての個性を取り入れてこそ現代の体力テストというもの。諸君には、まず自分の体力、個性の限界を知ってもらう。」

 

文句を言わせない強い口調。そして鋭い眼光。

なるほど、そういえばここのヒーロー科の教師陣は全てプロヒーロー。

それも日本最難関の学校の教鞭を取るに足りると見なされた精鋭。非難をしていた、あるいは状況に戸惑っていた連中の気を一瞬で引き締めた。

 

「まずは、…そうだな。今年の入試首席、彼岸」

「はい」

 

指名を受け返事をすると、周囲の視線が俺に向けられたのがわかった。入学主席ということはそれだけ好奇の視線にさらされる。だがそんなことに気を割いている暇はなさそうだ。

 

「お前の中学時代のソフトボール投げの最高記録は」

「70mです」

「よし。じゃあ個性を使ってやってみろ。円から出なきゃ何をしてもいい。ただし全力でな」

 

何をしてもいい、と来たか。なるほど、ならばつまりは渡された計測用のボールに、何をしても構わないと取っていいのだろう。だが一つだけ相澤先生からボールを受け取った時に確認をした。確認したのはここから雄英の敷地の外までの距離だ。3キロと少しという返事が返ってきた。なるほど、それがわかれば後は十分。

 

渡された計測用のボールの重さや耐久を握りこみ確認しながら指定された円へと入る。

さて、せっかくの指名だ。それも主席とあっては無様な真似はさらせない。なんせ、出久がこちらを見ている。

 

出久は、オールマイトから個性を継承した。

ヒーローにふさわしい精神をもった彼が、無個性でもヒーローになれると信じられる彼がナンバーワンヒーローの個性を手にしたのだ。これでヒーローになれないなら、むしろヒーローの制度を疑うほどのレベルで俺は彼が将来ヒーローになることを確信している。

 

だが、だからこそ全身全霊で彼を上回り続けねばならない。

彼にとっての高い壁であり続けなければならない。

そうすることで、彼はより成長するだろう。彼は壁を感じた時に足を止める人間ではなく、壁をよじ登ろうとする人間なのだから。

 

そして、俺自身も今までのままじゃダメだ。

ヒーローになると決めた。ルミ義姉さん…ミルコやオールマイトのような他人のために全身全霊をかけるヒーローにはなれない。

けれど、友くらいは、自分の周りの人くらいは何があっても守れるくらいのちっぽけな、けれどヒーローと確かに呼ばれる存在を目指したのだ。

 

なら、その人たちと張り合うくらい、それを超えるくらいの気概がなければ、守れるはずもない。力ない意志など、現実では無力なのだから。

 

「『紅く目覚め、夏の太陽のように視界の全てに手を伸ばし、蹂躙しろ』」

 

故に、自己暗示で強化率を高める。生命力を活性化させる『夏』の個性を更に増強する。

それは、生命力が見えない人でも可視化されるほどに強く、俺の体を包むように、巻き付き流れる流水のように、或いは絡みつく炎のように具現した。

 

「炎の個性?でも熱くない」

「入試で見た時は少し赤い光が出てただけだったのに…」

「いきなり飛ばすなぁ四季」

 

周囲の騒ぎは無視し、まずは目の前に集中する。

要はコレをどれだけ遠くに飛ばせるか、だ。

ならば単純に投げるなんて、俺にとっては愚行。

 

「え?」「は?」「なにしてんだアイツ!?」

 

多数の生徒が俺の行動に疑問を持っただろう。

当然だ俺は手に持ったボールを前に投げるではなく、ただ上に放り投げただけだったのだから。

だが、相澤先生は言った。円から出なきゃ何をしてもいいと。

ならば、これはボールを投げる、という前提だって無視していいってことだ。

 

だから、こうした。その場で1回、2回、3回転。切り替わる視界の中で落下するボールを把握し、回転の度に上げた速度に腰を回した勢いをそのまま足へつたえる。

 

放たれたのは下段回し蹴り。その標的は放り投げた計測用のボール。

 

「蹴ったー!!?」「有りなのかソレ!?」「それより、どこまで…飛んで」

 

確かな手ごたえ、もとい足ごたえを感じた。やり方に困惑するものもいるが、この世は基本結果が全て。そして俺は過程もルールに収めている。だって俺は指定された円を出ていない。

故に、空の彼方へ飛んでいき既に見えなくなったボールを見て唖然とする生徒たちの中で、相澤先生だけは端末に反映された結果をこちらに見せながら言う。

 

「まず自分の最大限を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段。

 彼岸四季、ボール投げ一投目の記録2980m」

 

「マジかよ!!」「ていうか蹴ってたけど有りなんだ」「いやキロ越えとか普通に無理だろ。どんな強化だよ」「これが、入学主席…」「凄い!面白そー!!」

 

様々な感想が飛び交う中、相澤先生は一言に反応する。

 

「面白そう、か。ここはヒーローを育成するための機関だ、それをその程度の志の低さで3年も過ごせるつもりか?」

 

そして、ゆっくりとその言葉は放たれた。

 

「この個性把握テストのトータル成績最下位の者を見込み無しとして、除籍処分とする。

理不尽に思うか?だが、理不尽を覆すのがヒーローの役目だ。俺たち教師陣はこれから三年間、お前たちにあらゆる理不尽を、苦難を与え続ける。既に聞いただろう『Plus Ultra』。それがここのやり方だ。ヒーローになりたいと思うなら、全力を尽くして乗り越えてみせろ」

 

 

「さすがに驚いたね」

「まぁ将来はあらゆる理不尽から人を救うヒーローになる人材を育てる場所だ。それもここはその最高峰。このくらいはやるだろうさ」

 

「いやいや、何普通に会話してんのアンタたち」

「そうだよ。いきなり除籍とか。まだ入学の説明すらちゃんと受けてないのに」

 

響香と出久に話しかけていたショートカットの…確か麗日お茶子という名前の女子が先生の言葉を普通に受け入れている俺たちにツッコミを入れてきた。まぁ確かにいきなりの展開だし普通驚くだろう。こういう説明は出久が適任だが、あまり女子と話したことがないからか、少し緊張した様子なので、とりあえず俺が対応する。

 

「まぁ落ち着け。要は自分の個性をどの種目にどんな風に活かせるかを見られているんだ。まずは種目と個性との適性を見て、それから応用を考えればいい。」

 

種目は八つ。

50m走

握力測定

立ち幅跳び

反復横跳び

ボール投げ

上体起こし

長座体前屈

持久走

 

俺は増強型の『夏』を使うだけで問題ないだろう。出久も個性の出力さえ誤らなければそうだ。だがそれ以外のものはもっと深い自分の個性の理解と応用が求められる。

 

自分の個性が何ができて、何ができないか。それを踏まえて創意工夫をすることが求められている。

 

「響香はイヤホンがある。上体起こしや長座体前屈では単純にプラグの長さで優位をとれるだろう。あとは何ができる?」

 

「えっとウチの個性はイヤホンジャック。音を拾ったり、プラグ部分を相手に刺して大音量を流し込んで内側から砕いたりとかはできるけど」

 

「耳たぶ、イヤホンのコードの長さの調節もできるんだろう?教室の時と試験の時の長さ違うもんな。それを例えばボールに絡ませてハンマー投げみたいにするのも手だし、音を一点に集中させたりできれば物理的な威力で飛ばしたりもできるだろうけど、どうだ?」

 

「ううん…多分音は拡散するから一点に集中させるのはそれ用の戦闘服がいる。ハンマー投げとかならただ腕で投げるよりはマシかも……」

 

「そんな感じで自分にできることを考えてやればいい。まずはできない、向いてないって考えを捨てて何ができるのか、自分の強みを探すんだ。応用はそれを基準にして考えたらいい」

 

「なるほど……うん。考えてみる」

 

そう言うと響香は自分の耳を伸ばしたり振り回しながら、自分の個性と種目も見てできることを考え始めた。次に麗日にアドバイスしようとしていると、こちらに向かって声がかかった。

 

「余裕だな彼岸。それだけ余裕ならお前にはもう少し高い壁を用意してやろう。この個性把握テストで5位以内に入れなければ、お前は除籍処分とする。年齢的にもそのほうが合理的だろう?」

 

「「「そんな!?」」」

 

こちらへのいきなりの問答に俺の話を聞いていた麗日、響香、そして出久がそろって反応する。まぁ、確かに俺はここにいるみんなよりも年上だしな。それに何より

 

「了解しました。けれど先生?」

 

別にトップをとっても構わないでしょう?

 

そう言って、俺は珍しく不敵に笑った。それがただの虚勢であっても、まだ俺はここに立ち続けなければいけないんだから。

 

 




最後あたりで、死亡フラグ!?って思ったのは訓練されたFGO,あるいはFATEファンの方でしょうか?話が合いそうです。

ただ一応フラグではありません。自分を追い込んでいるだけです。
この主人公、出久君や自分の身内のためにはどこまでも本気になる身内贔屓です。

けれど彼の身内認定は出久やミルコなど、自身よりも強い、あるいは強くなるであろう人ばかり。それを守るために自分も死ぬほど鍛えこまないといけないと思ってます。ある意味一番追い込まれているのは主人公かもしれません。

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