いつかは終わるヒーローたちのアカデミア   作:Agateram

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日常回、前編です。

長くなりそうなので先に出しておきます。後編は日曜日に。

……原作と時系列ちょっと違わない?というツッコミはなしでお願いします。



第18話 偶にこんな日常を。…日常かなこれ?

雄英に入ってからというもの、一日一日があまりに濃かった。

 

まず初日にいきなり篩にかけられ(合理的虚偽、らしい)、二日目でプロとアマチュアの差を知り膝をつき(俺がクックヒーローに勝手に挑み勝手にやられただけだが)、そして初めてのヒーロー基礎学で何も教わらないまま行われた、それぞれの個性を使ったほとんどの生徒が初めてとなるであろう、コンビを組んだ対人戦闘訓練(俺だけコンビ組んでいない)。

 

たった二日でこれである。

 

故に三日目もなにかあるのではないかと、思っていたら、まずは校門の前にオールマイトが赴任したことにより、コメントを求めるマスコミの山。

それをかき分けるのは大変だった。正直コメントなんて三日目で求められても困る。まだ一回しか授業を受けてないんだぞ?

朝からそんなことがあったものだから、今日もまた何かあるのではないかと朝のホームルームから皆に妙な緊張感があった。

故に担任の言葉を前に皆緊張を高めていた。

そして、少しのための後、相澤先生のゆっくりと口が開く。

 

「今日は、学級委員長を決めてもらう」

 

『ようやくまともな学校っぽいの来たぁぁぁぁ!!!』

 

初めてこのクラスの総意が一致した瞬間だったかもしれない。そのくらいこの高校の一日は濃ゆかったから仕方ないかもしれないが。

 

さて、言われた言葉は確かに学校らしい課題だ。今まで寝袋での初登場、入学式突然不参加、最下位は除籍などの度肝を抜いてきた寝袋合理主義者、もとい相澤先生の発言としては普通すぎて逆に何かあるのではと疑うレベルだ。

 

しかし、学級委員か。

通常のクラスならほとんどがやりたがらないクラスのリーダー。なぜならその実態はあらゆるところでこき使われ、クラスをまとめなければいけない苦労人と小学校からの経験で大体みんな知っているからだ。

だがここはヒーロー科。集団を導くというのもヒーローの大事な要素。特にトップヒーローたちは多くのサイドキックたちをまとめ上げなければ成り立たない。その手腕を磨くというなら悪くない立ち位置だ。

 

故に、ほとんどの者が自己推薦として手をあげていた。

ほとんどということは、例外もいるということだ。

 

つまりは俺のようにこのあらゆる意味で個性豊かなクラスをまとめるのが面倒だと思う奴とかな。というか、クラス委員はこのクラスまとめる自身あるんだろうな?

言っておくが問題児だらけだぞ。たぶん俺を含めて。

 

「静粛にしたまえ!雄英のクラス委員はいわば、多くのヒーローの卵たちを導く聖職!簡単に決めて良い筈がない。より多くの者の信頼を勝ち取ったものが行えるよう投票を行うべきだ!!」

 

結局その飯田の提案が採用されて全員の投票によって決めることになった。

しかしそんな彼も、誰よりも綺麗に真っ直ぐに手があげていたのでクラスのツッコミ役たちからそうツッコミを受けていたのはご愛敬か。

 

さて、てきぱきと用意された投票用紙に誰を書くか。

 

まず俺自身は却下。出久は…さっき手をあげていなかった。今は自分を磨くことに集中したいのだろう。では、信頼に値するのは誰か…。

 

我先にとあげられた手で決まりそうもない中、この投票に至るまでの道筋を作ったのは飯田。ならばその意気込みを酌もう。

 

そして結果は、俺に…2票、だと?

「僕が2票?」

「ぼ、俺にも2票だって?いったい誰が…」

「私も2票…とうことは」

 

「四人の決戦投票、とするべきか」

 

やはり、案を最初に出したのは飯田だ。だが俺に投票してくれた人には悪いが多を牽引するのに俺は向かないし、そのつもりもない。

そしてそれは出久も同じだったようで、「投票してくれた人はごめんなさい、僕は自分の個性を使い切れてない未熟者。みんなを引率できるほどに余裕がありません。できるなら、僕の票をもって飯田君を推薦します。」と言って断った。

ならば俺も…

「同じく、辞退する。投票してもらっておいて悪いが俺は器じゃない。それよりも先ほどのように混沌とした事態を静めた飯田、戦闘訓練で最も適格な知見を披露した八百万にそれぞれ一票を投じたい。もし、俺に投じてくれた人が納得してくれるなら、だがな」

 

それぞれの辞退に反対意見は出ず、委員長は飯田、副委員長を八百万が務めることになった。

 

それだけで終われば、平穏な日々だったといえるのだが、残念ながら現実はいつだって理想を裏切り、想像の斜め下を行くものである。

 

無事委員長も決まり、その日はヒーロー基礎学もないこともあって、俺たちは午前の授業を終え、ゆっくりと昼食をとっていた。俺はクックヒーローの技術や味を盗むことに必死だったが。

 

まぁそれはさておき、そんなようやくおとずれた平穏な日常を破ったのは一つの警報だ。

結論から言えば、雄英高校の誇る部外者を物理的にシャットアウトする外壁、通称雄英バリアが何者かによって破壊され、マスコミが大量に押し寄せたことにより避難誘導案内が流れ、多くの者が集まる食堂が大騒ぎになる事件があったというだけの話である。無論それも大事件ではあるが。ちなみにそこで飯田が委員長として相応しい行動をせねば、と麗日の個性を借りて浮遊し、自身のエンジンで加速して扉の上に走るポーズのままに真横に張り付き、生徒たちに落ち着いて行動するように促したという、おもしろ……失礼、立派な一面を見る機会があったが、それも重要ではない。

 

「ようやく騒動が収まりそうだな。大丈夫か響香」

「う、うん…」

「そっちは大丈夫か焦凍、八百万も」

「ああ。とりあえずケガはねぇ。お前も大丈夫か八百万」

「は、はい、大丈夫、です」

 

食堂で同じ机で食事をとっていた俺と出久に同席してきたのは、互いの友人、といっていいだろう4人。俺の友人として轟、響香。出久の友人として麗日、飯田。そして響香が既に「ヤオモモ」といって意外にも相性が良かったのか仲良くなっていた八百万の7人。

 

今は迅速に避難しようとしたあまり廊下で満員電車よりもすし詰め状態になった状態でケガをしないようにそれぞれ近くにいた女性を守るよう壁に両手をついている俺と焦凍。そしてその両手の間に挟まれているのがそれぞれ響香と八百万だ。

 

ここに仮に峰田がいたら「リアル壁ドン×2とかお前等の人生どうなってんだよーー!!」などと言って血涙を流す姿が見られたかもしれない。などと想像できるくらいには、俺や轟には余裕があった。俺たちに互いに姉という身近な異性がいるため、異性との距離感が近いからといって特に動転することはない。だが響香や八百万は一人娘と聞いている。その上雄英高校に受かるために努力をしてきた二人だ。男女の付き合いに現を抜かしている暇はなかっただろうし、家庭環境的にも同年代の男子と密着する機会は少なかったのだろう。さらに面識も少ない男子とこの距離間だ。嫌悪や緊張、混乱の最中だろう。とはいえまだ少しだけ我慢してもらう他ない。ケガさせないようにするためとはいえ、この状態は後で謝罪はするべきだろう。

 

しかし、やはりというかなんというか、この学園は毎日何かしらの驚きを生徒に与えねば気が済まないのか。いや今回は明らかに外部からの干渉だが。

 

 

………外部から?雄英の敷地に無断に入ることは禁止してあり、ここは国立の高校だ。つまりはこの敷地は、国の許可なく入ることが法的に禁じられた場所であり、故に雄英バリアなどとあだ名がつくほどに物理的にも並の個性では崩せないほどの屈強な壁がある。

 

国立高、それも雄英ほどの管理を敷いている特殊な場所への無断侵入に関しては法的にマスコミ本社、または当事者に厳重注意かあるいは多少の罰則があるだろう。

だが、雄英バリアに関しては最低でも器物破損という罪になる。ただでさえ法的にNGな場所に勝手に入っておいて、その上明らかな罪を重ねるほどマスコミは愚かではないだろう。……たぶん。

 

 

しかし、雄英バリアはその辺の個性なんぞ弾きかえすほど堅牢な壁だ。それを壊すには相当な労力がいるため通常の手段ではこえられない。それこそあの数のマスコミを通すほどにバリアに大穴をあけるほど破壊的な個性の使用が必要だ。

 

そしてそれは更に個性の無断使用という罪を重ねることになる。

 

 

………ああ、くそ、嫌な予感がしてきた。

 

そういえば出久とあってからというもの一年に一回以上はヴィランに会敵したり、面倒な事態に巻き込まれたりしていた。最後に巻き込まれた事件は約11ヶ月前。つまりはもうすぐ一年経ってしまうわけで。

 

今年も何かしらのヴィランがらみの騒動に巻き込まれた、と感じるのは被害妄想だろうか。

 

そんなことを考えていたからだろう。

騒ぎが収まったことに気づかずに、近くにいた轟たちが普通に距離をとった後もそのままの体勢でいてしまったのは。

 

さて、ここは衆人環視のど真ん中。騒ぎも収まり、緊張から解放された民衆が周りを見渡した時に、騒ぎの時と変わらぬ姿勢(壁ドン)で見つめあっている男女を見たときの反応を考えてほしい。

 

大人ならさらっと流すだろう。子どもならからかいの一つでも投げるだろう。

では思春期の高校生の反応は?

 

答えは、息を殺して様子を見守る野次馬と化す、だった。

つまりは傍から見て、俺は響香に無理に迫っているような体勢を変えずにいたわけで、響香は思考していた俺よりも周囲の視線に先に気づいて羞恥で顔を真っ赤にさせていた。ふむ、可愛いな。端的にそんなことを考えていたから、更に対応が遅れた。そしてその後は………結論から言えば響香の体内に爆音を流す個性というのはかなり強力なものであると体でわからされたのだった。

 

 

そんなことがあり、漸くの休日である。

雄英高校に入っての初めての休日。ぶっちゃけかなり疲れている。

 

今日くらいは早朝トレーニングを休み、午前中に趣味である料理の材料をゆっくり選んで、じっくり調理し、いつもよりちょっと拘ったランチを食べ、昼間に軽食とちょっとした情報収集とかねて他のクラスの奴との親睦を深めながらさらっと情報収集に努め、夕方に訓練して一日の最後にゆっくり湯舟につかり、好みの音楽を聴いて眠りにつく。

 

そのくらいのゆったりとした……ゆったりしているのかなこれ。まぁそのくらいゆったりした休日を送ることくらいは許されてもいいかな、などと思っていた自分の浅い考えが恨めしい。

 

俺が休日ということは、同じ高校に通う奴らも同じく休みということ。同じ高校に通う圏内にいる者が同じ日に休みをとり、自由に闊歩する。

ならば確率が低かろうと当然このような事態も想定して然るべきだったのだ。

 

「へぇ、B組の人とも仲いいんだね彼岸」

「あら?B組の委員長の拳藤さんと、もう一人の方はよく存じませんが、たしか同じB組の方でしょうか?」

 

 

1つだけ言わせてほしい。これは情報収集であって、決して邪な思いからではないのだ。

なので、その酔っぱらって婦女子に手を出して牢屋に入ったヴィランを見るような冷ややかな目で見るのは止めてほしい。

 

さて、この状況、どうしたものか。

 

 

 

 




いつも作品を見てくださる皆さま、今回初めて目を通してくださった皆様、誠にありがとうございます。

相変わらず話は進めども内容は進んでおりません。日常回も二回にわける始末です。

なかなか戦闘シーンが書けないとかではありません。ええ。ありませんとも。

それはともかくまたアンケート機能を使わせていただきます。

よろしければご意見をお願いします。

また誤字が多い件につきましては脳無戦後に直していきたいと思っておりますので、ご容赦ください。
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