いつかは終わるヒーローたちのアカデミア   作:Agateram

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特に本編に関係はありませんが、作者はハッピーエンドが好きです。けれどそれは、誰かにとっての幸せであって、誰かにとっては不幸かもしれない。

全ての人に対してのハッピーエンドがあるのなら、それはどんなものでしょうか?

特に本編には関係ありません。本編には。ただもしかしたら、そういうIFを本編を書き上げたあとに書くかもしれません。

まぁその前にこの作品、結構ブレッブレですから、まずはしっかりと作品を完結させますね。ちなみにこの作品のラストは、超常解放戦線辺りを予定しております。


第19話 勝つために必要なのは鍛錬という努力と、遊びというリラックス(偽)である

「へぇ、B組の人とも仲いいんだね()()

「あら?B組の委員長の拳藤さんと、もう一人の方はよく存じませんが、たしか同じB組の方でしょうか?」

 

さて、現在の状況を整理しよう。今俺は他のクラスの女子二人と話題になっているアイス店で購入したアイスを食べながら、次はどこに行こうかなどと話してたところに、偶然にも同じクラスメイトの耳郎響香と八百万百に遭遇し、牢屋に入ったヴィランを見るような冷ややかな目で見られている。

多少過剰な反応だと思うが、入学してから一週間と経たない最初の休日に同じクラスでもない女子2人(年下)を連れてアイスを食べながら談笑している男子クラスメイト。

 

控えめに言っても軟派野郎、くらいは思われるだろうか。とはいえ、クラスメイトに見られたからと言って解散とはいかない。

『お互いのクラスの困った奴をどうにかしよう&この辺りを不慣れなクラスメイトに案内しよう』などという題目を掲げて集まった3人なのだ。それまだ始まって20分ほどでいきなり解散とはいかない。今小休憩という形でアイスなんぞ食べているがこれは大事なことなのだ。

 

そう、これは上記のような建前を使った情報収集の一環なのだから。

 

情報収集は何事においても基本の基本。俺にはルミさんやオールマイトのような直感で当たりを引き当てるような天性の才などないのだ。

 

ならばこその情報戦。

 

そして選ぶなら常日頃観察できるA組よりも、普段交流があまりないB組の情報収集に使ったほうが有意義な休日の使い方と言えるだろう。

 

ちなみにこちらが出すのは峰田というルミさん…ミルコのスリーサイズを聞こうとした性欲魔人がいるからそちらも気を付けたほうがいいという情報のみ。後は入試主席ということで多少目立つ俺の情報を小出しするくらいだ。それなら誰も何も困らない。むしろ峰田が起こすかもしれないセクハラまがいの行為からB組を守ることになるかもしれないという意味では良心的といえるだろう。

そしてすこし打ち解けた相手から、今後は聞き役に徹して相手のクラスの困った奴の性格や談話の中でさらっと個性把握テストや入学試験、初めての戦闘訓練の話などを織り交ぜて話している。そうすることで断片的ではあるがBクラスの情報が手に入るのだ。

そしてこれで二人と仲良くなれば、普段の学校でも何気なく話しかけたりして情報収集がしやすくなる。そんな打算まみれの真っ黒な腹を隠して隣のヒーロー科の情報収集をしていますという本音は隠さねばなるまい。

 

ではここで、何と答えるのが正解だろうか…。

まず嘘はダメだ。相手はクラスメイト、それに片方は既に俺の中で友人というカテゴリーに入っている。他人ならいくら騙そうが心は痛まないが友人や近しい者を騙すことはできない。

ならば、巻き込みうやむやにするか、建前の方を前面に押しだすのが上策か。

 

「ちょうどよかった。響香、それに八百万も。こちらは男子一人だけだから意見が偏ってたところだし、暇なら少し付き合ってくれないか?」

 

「はい?」

 

「実は今日はお互いのクラスの情報交換をしていたところでな。といっても峰田のこととか、互いのクラスメイトで少し危なそうだったり、ちょっと変な奴のこととか、どうにかならないかとかお互い注意しようとかそんな話をしようってのと、日本に疎いクラスメイトに案内ついでにこの辺りの人気スポットを巡ろうってのが、今日の集まりの趣旨でな」

 

ほら、いきなりミルコのスリーサイズを聞こうとしたり、死ねとか普通に言っているやつとかウチのクラスに問題児っぽいのが多いだろ?などとそれらしい、しかし嘘ではない言葉を並び立てる。

 

頭脳明晰だが世間知らずっぽい八百万はこれで大体納得してくれるか。響香は……とりあえず様子見といったところで俺たちと一緒に行動することになった。

 

だが、女子の比率が増えてしまってばかりではやはり唯一の男子である俺に他の視線が集中してしまってうまく情報を引き出しづらい。発言もそうだが、グループ内の唯一のものがあるのは目立つのだ。

故に素早く情報を打診。一人で目立つなら他を用意すればいい。

そして、こういう時に来てくれる奴で頼りになる、あるいは俺よりも目立つのは…二人。

 

というわけで、こっそりと居心地が悪いので合流してほしい旨連絡の文章を端末に送った二人は、急な呼びかけにも関わらずその15分後には合流してくれた。

 

 

 

 

 

なんか、こうして見ると不思議な面子がそろったなぁと、有名なファーストフード店のコーヒーを飲みながら思う。

 

「というわけで、僕はまだ個性に慣れてないんだ。だから上限解放はできるけど、加減が難しくて、拳藤さんも増強系だよね?どんなイメージとか、コツとかある?」

「んーー私は増強系だけど手が大きくなる異形もあるから、やっぱり少しずつ普通の打撃と個性を使った打撃で威力の質を測ったりして…」

「そういえば、ハンバーガー屋に来て同い年の奴らとしゃべったりするのは初めてだ」

「まぁ轟さんもですか?実はわたくしもなんです。今日は初めてのことが多くて新鮮ですわ。ところでこのポテトを食べるためのお箸かフォークはないのでしょうか?」

「そういやそうだな。箸もらってくるか」

「いや焦凍、八百万、すまないがコレは手で直接持って食べるものなんだ。油が手につくのが嫌ならフォークもらってくるが」

「おお…この二人はナチュラルに育ちの違いを見せてくる」

 

という会話の流れでわかるかもしれないが、私とヤオモモが合流してしばらく経ってからきたのが緑谷と轟だった。まぁここにいるもう一人の男子、彼岸四季の友好関係を考えれば当然かもしれない。四季はだいたい誰とでもある程度仲がいいけれど友人といえば大体一緒に行動している緑谷が筆頭だろうし、先週のヒーロー基礎学の後から轟とも仲がよくなった様子が見られていて、よく三人か、それに飯田を混ぜた四人でいることが多い。

流石に女性四人に男一人では話題も偏るだろうと呼んだのは四季だ。だから二人が来ることに不思議はない。

だが、私たちA組はともかくとして、B組の拳藤さん、それにもう一人、

 

「角取さんは、日本語少し苦手みたいだが、雄英の筆記は大丈夫か?日本語って外国の人からしたらややこしいだろ?」

「イエース。日本語は難しいデス。でもノープロブレム。話すのは難しいですが、書いたりするのはできます」

「ああ、確かに俺たちも英語話せなくても問題なら解ける奴も多い。日本語での会話ができるなら筆記にも対応できるのか。しかしポニーなんてかわいらしい名前の割に個性の角はずいぶんと鋭利で強そうだな。もしかして見た目と違ってインファイターなのか?」

「NOです。できなくはないかもですが、私の個性は『角砲(ホーンホウ)』イイマス。角を飛ばしてコントロールできるのです。」

「おお……ロケットパンチならぬロケットホーンか。しかも遠隔操作できるとか少しうらやましいな。俺は基本的に近づかないといまいち決定打に欠けるから遠距離の技もほしいところだ。でも角飛ばすってことは頭から取れるってことだろ。痛くないのか?それに2本とも飛ばしたら自分は無防備になるだろう」

「Oh。やさいしいデスね彼岸サンは。でもそちらもノープロブレムデス。飛ばすときに痛みもないですし、実は私の個性はあと2本角を生やして飛ばすことができるデース」

 

角取ポニー。ヒーローの本場アメリカからやって来た日系アメリカ人。ブロンドのロングヘアーとその間から出る角、大きな瞳が特徴的なB組女子生徒。

日本に不慣れなところがあるらしく、B組の委員長の拳藤さんが気を使ったのか遊びに誘ったところに、拳藤さんと以前面識を作っていた彼岸が声をかけてこの集まりとなった、らしい。

 

最初の趣旨は互いのクラスの問題児の話と角取さんにこの辺りを案内することだったらしいが、今は盛大に話題がずれて、普通の学生っぽいおしゃべり会になっている気がする。

いや、別に休日に四季が誰とあってようが私には関係なかったし、今回は前回の食堂での一件で同じような境遇(壁ドン被害者)になってなんとなく話すようになったヤオモモと初めての外出をしてただけだから、特にこれといった目的はないからいいんだけど。

いいんだけど、なんかモヤっとするなぁ。

 

「どうした響香?顔、しわがよっているぞ?腹減っているなら追加で何か注文してもらってこようか?」

「足りてないのは、アンタのデリカシーだよ」

 

こいつは何でこういう時には察しが悪いのか。そして何故私にはヤオモモや角取さんみたいな気遣いはないのか。

 

どうにも拳藤さんや角取さんとの会話を優先しているようなコイツにムカムカとする。お気に入りの曲を弾いて歌っている時にギターの弦が切れてしまったときのようなイラつきと、コードが少しずれているような違和感がある。

上手く言葉にできないが私は今、そのような感じで余計に気分が良くない。

 

身勝手だな、と自責の念にかられる。そもそも私はまだ会って一ヶ月。四季とはクラスメイトの一人、友人と呼ぶために必要なほどに私たちは互いのことを大して知りえないし、その程度の時間しか過ごしていない。下の名前で呼んでいるのだって大した理由はない。ただ相手が私の姓ではなく、名前を呼んでいるからだ。

 

彼が何をしていようと自由であり、別に問題ないのだ。

友人なら、止めてもいいかもしれない。

ただのクラスメイトならそのまま無視して過ごせばいい。

 

けれどどっちもできないくせに、どちらにもなれてない。そんな自分が嫌いで、

 

「よし!これからカラオケにでも行くか!」

「はっ?」

「悪いな皆。どうにも無性に歌いたい気分になっちまった。雄英来てから、あるいは来る前も学生っぽいことなんてあんまりやってこなかっただろう?だから今日はいかにも学生っぽいことたくさんしてみないか? ウチの響香より歌が上手い奴がいたらカラオケ代くらいは俺が奢るぞ」

 

そんな言葉一つで、少し気分があがる自分の単純さが、今日ちょっとだけ好きになった。

 

 

 

 

「それで、今日の収穫はあった?」

 

帰り道が同じである出久と二人になった後、出久の方からそう切り出してきた。

 

「……まぁまぁだ。」

 

さすがに付き合いが長いだけはあり、今日の俺の目的、つまりは友情ごっこをしたかったわけでもなく、ただ単に敵情視察の一環、すぐに来るイベントのための情報収集の手始めをしていたくらいはお見通しだったらしい。

俺の腹黒さも許容して、なお俺を親友と呼ぶコイツの神経は相変わらず極まっている。

 

「で、それを途中で止めたのはどうして?」

 

「……なんとなくだよ。たまには歌いたかった。それだけだ」

 

「そっか。良かった」

 

「何がだ」

 

「四季が久しぶりに、自分の感情を、ただ普通の学生の日常を優先したから。」

 

コイツは本当に偶に俺以上の眼をもっているのではないかと思うことがある。

 

まぁいい。そんなことは、日常は今日に置いていく。

明日からはまた、コイツをヒーローを助けるための日々が始まるのだから。

いや、少しちがうか。

俺が視たその日は明日かもしれないし、今日かもしれない。

だからまた今から、疾走しよう。

 

「走るか出久。今日訓練ほとんどできてないからな」

「あっ、ちょっと四季」

 

日常なんてものは必要ない。だから置いていく。

そうしないと守れないモノが多いから。

 

ヒーローには日常は必要ないんだ。たとえ偽りのヒーローでも、偽りのヒーローだからこそ、それ以外には置いていかないと、走ることなんてできなくなってしまうのだから。

 

 




さて、特に読み飛ばしても問題ない日常回?でしたが、次回からはまた本編に戻ります。具体的には決死の脳無戦です。

アンケートはまだ行っておりますので、よろしくお願いします。

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