いつかは終わるヒーローたちのアカデミア 作:Agateram
原作とはわずかに変わっていることもあります。
この段階で既にオールマイトがAFO生存を知ったこと。
オールマイトの活動時間は脳無の相手をしてないので縮んでおらず、主人公の力で活動時間も長くできることなど些細な違いも含めて、今後も少しずつ原作と乖離していくところはあると思います。
そしていつの間にかお気に入り登録200件超えてました!!
皆さま、本当にありがとうございます。
日本最高峰のヒーロー養成科を持つ雄英高校に対しての集団ヴィラン、彼らの言い分をそのまま使うならヴィラン連合による襲撃事件は、重傷者4名、そのほか多少差はあれども生徒はほとんどが軽傷程度で済んでいる。
生徒で重傷と呼べるのは右腕が完全骨折している緑谷出久と、左肩、および肋骨の数か所骨折、及び内臓にダメージを受け、なおかつその状態で相手の対平和の象徴とされたヴィランと直接戦闘を行った後に、イレイザーヘッド、および13号に個性を使用した応急処置を行って意識を失った彼岸四季の2名だ。幼馴染の緑谷出久の情報提供では自分の生命力を他に分け与えることにより、どんな重傷者でも治癒を期待できるが、その代わりに己への負担が大きく、使いすぎれば命の危機を生存本能が感じ取り、今回のように自動的に休眠状態に入るらしい。つまりはある意味一番の重傷者は彼だと言えるだろう。
彼の次に重傷者であったイレイザーヘッドは上記した彼岸四季の個性の特性の一つ『春』の治療によって、幸い後遺症もなく、数日の医療系の個性もちの治療で回復する予定である。13号に関してももう少し時間はかかるが体に傷跡が残るようなことはないそうだ。
そして、連中の中枢であった脳無と呼ばれる敵は緑谷出久、爆豪勝己、轟 焦凍の三名が倒し、首謀者と思われた死柄木 弔と言われた青年と転移の個性をもつ厄介な黒霧というヴィランは、逃がした。
いや、逃がされた。それも最悪の相手がバックにいることがわかった。
オールフォーワン。
かつて、平和の象徴と言われた全盛期のオールマイトをして死力を賭して、それこそその戦闘の後遺症で内臓の多くがまともに機能しなくなり、今では個性なしではガリガリの骨と皮だけにしか見えないほどに憔悴するほどの死闘の末に討ち取った、ものと思われていた超大物のヴィラン。それこそ世紀単位で生きていた化け物だ。多くの犠牲を払って倒されたはずの、忌まわしい過去の象徴。
それが、生きていた。
たとえ相手も相応の手傷を負っていたとしても、それでも裏社会では伝説として語られるほどの、教科書には間違っても乗せてはいけないと判断されるほどのヴィランの頂点が、生き残っていた。
これを最悪の情報ととるか、本格的に奴が動く前にわかったことを喜ぶべきか、いや、あるいは、自分ではなく自分の手ごまにオールマイトを殺させようとした時点で、奴自身も弱っている可能性もある。それを含めれば……今回の事件は良くも悪くもトントン、というところか。
そのあたりをぼかしながら、報告書を書き終えた警官塚内 直正は一息ついた。
友人であり、平和の象徴と言われた彼が務めることになった国立雄英高校。
第一報を聞いたときは彼がいるから、などと楽観していたが、蓋を開ければここ数年で一番の厄介事だった。
「この先、どうなるか…」
一抹の不安がよぎる。友人、オールマイトも依然と違い万全とは言い難い。
そこに来て、あの魔王ともいえる化け物ヴィランの復活。
まだ、これから先の未来は誰も知らないし、わからない。
そう、例えば未来視の類のような個性持ち以外には、誰もこの時はこの後の参事など想像もしていなかったのだ。
入院生活とは基本、暇である。
むしろ暇でなくてはならない、まである。何故なら入院しているということは検査などを除外すれば、安静を強要されなければないほどのケガや病気を患っているということに他ならないからだ。
つまり暇、というよりは体をゆっくり休めるために休養するべき時間だということだ。
俺が言いたいことはわかってもらえただろうか。
つまりは、そう、つまりはだ。
「よし!次はそこの柵に脚をのせて、そのまま片足スクワット100回だ。ああ、眼もつむれよ。バランス感覚も視覚だけに頼らない体の動かし方も一緒に鍛えられるからな」
「……了解」
俺、一応まだ左肩にギブスつけて内臓治ってなくて点滴と流動食くらいした食えない体なんだが。
そんなことはおかまいなしに、こちらに鬼のような病室でもできる筋トレメニューを言い渡してくるのは日本が誇るヒーローボルトチャートトップ10に20代の若さで名を連ねる女傑、ぶっちゃけ我が義姉、ヒーローミルコである。^
動かせる場所があるならそこを鍛えねぇとな。入院してっと体がすぐになまるからな
そんなことを言って部屋を訪れては、鬼のような筋トレメニューを言ってくる。まぁ、心配をかけてしまったからこのくらいのメニューはこなすが。
そんなことをしているとコンコンと控えめな、しかしはっきりとしたノックの音が響いた。
「どう「おー入っていいぞ」…ルミさん、ここ俺の病室…」
入室の許可を得て入ってきたのはまず、フルーツの詰め合わせをもった出久、次に焦凍、飯田、最後に二人、八百万で響香だった。
「やっぱりミルコでしたか。お久しぶり、でもないですね」
「おお、出久か。義弟の見舞いに来てくれたんだろ。こんなところじゃもてなしもできないがゆっくりしていってくれ。そっちの四人ははじめましてだな。私服じゃわかりづらいかもしれねぇが、ラビットヒーローミルコ、本名兎山ルミだ。」
「は、はじめまして飯田天哉と申します。1-Aの委員長をさせてもらっています。今日はクラスを代表して5名で参りました」
「轟 焦凍です」「や、八百万 百と申します。」「う、ウチは耳郎 響香です。」
順番に自己紹介するが、出久以外の4人はルミさんへ、俺へと視線の移動がせわしない。
そりゃそうだろう。入院しているクラスメイトをお見舞いに来たら、プロヒーローが私服でいて、その正面のベッドでは柵に乗って片足スクワットをしている俺がいるのだから。
端的にいって、わけがわからないのではなかろうか。
だが、そんなことはスルーしてルミさんは初対面の四人に近づいていき、フレンドリーにそれぞれに握手していた。
「大変なことがあったあとに、義弟のためにすまないな」
「いえ、彼岸は友だち、ですから当然です」
クラスメイトの保護者と聞いていたが、プロヒーローの相手ということもあってか、やや緊張した様子で握手に応じる4人。その間に出久はフルーツ籠を備え付けの棚の開いているスペースに置いている。この状況をスルーするのはさすがに付き合いが長くなってきたせいだろう。
「あの、入院して静養中と聞いていたんですけど……何で四季……くんはそんなところで筋トレを?」
一通り挨拶を終えてから、恐る恐るといったように響香が切り出した。それに当然のようにルミさんは返す。
「ああ、入院中は暇だろう?それに走ったりできねぇからせめて筋肉が落ちねぇように筋トレさせてんだ。」
((((それは入院患者にさせることではないのでは?))))
「今、お前たちの考えていることが何となくわかったが、基本ルミさんに常識は通用しない。ここ、いずれプロになって一緒に現場に出たときに大事だぞ。」
「よっし、元気そうだな。次は右手で逆立ち腕立てを、と思ったが、まぁせっかくダチが見舞いに来てくれたんだ。今日はこのくらいでいいだろ。あっ花も持ってきてくれたのか。花瓶ねぇからな。ちょっと買ってくる。悪いが少し待っててくれ」
そう言い残してルミさんはクラスメイトと俺を置き去りにして花瓶を買いに病室から出て行ってしまった。5人の入室からおよそ一分。どこまでもマイペースな我が義姉に唖然としていた。
「まぁなにはともあれ、座ってくれ。出久、すまないがそっちに折り畳みの椅子があるから」
「了解。みんなコレに座ってね。あっ窓際のソファでもいいけど。」
「いや、折り畳み椅子でいいが……」
病室の隅に置いてある椅子をてきぱきと準備して、花はいったん食事をするための移動テーブルにおく。そこでようやく落ち着いて全員が座って話ができるようになった。
「すまないな皆。せっかくの休日に見舞いに来てくれて」
「それはいいですけど…あの、何故あのようなハードな筋力トレーニングを?」
「当然の疑問だな八百万。簡単に言うと、姉さんのわかりにくい気遣いだ」
((((どこら辺が気遣い!?))))
「ああ、お前たちの言いたいことはわかっている。気遣いではなくキ〇ガイだろうと言いたいのだろう?」
「そこまで思ってないけど!?」
「いいツッコミをありがとう響香。しかしまぁどう説明したものか…」
俺が説明に困っているとくすくすと笑いをこらえるような出久が買ってきてあったお茶を出して紙コップで皆の分を準備していた。
「ただお互い心配しあってただけだろうから、気にしないでいいと思うよ」
「心配?筋トレがか?」
焦凍、疑問に思うのはわかるが突っ込まないでほしい。
そんな皆にお茶の入った紙コップを渡しながら出久はこちらを見る。話していいか、という確認だろう。俺は顔を背けることで肯定も否定もしなかった。それにまたくすくすと笑う。お茶を配り終えたお盆で口元を隠しながら。
いや、お前は俺の母親か?仕草も気遣い方もまるで母親…ああ、そういえばこいつ旦那さんが長期出張とかでほとんど家にいないから、家事やらマナーやら癖やらはほとんど母親譲りか。
「簡単に言えばミルコは四季の体が本当に大丈夫か心配でいろんな動く部位を動かさせて異常がないか様子を見ていた。まぁ怪我人にやらせることじゃないけど、自分の眼で視ないと不安なくらい心配してたんだろうね。そして四季はそんなミルコに心配かけまいとなんてことないように淡々と筋トレして見せていた、とそんなところじゃないかな。」
二人とも変なところで不器用だから、なんて笑ってこっちを見る。
釣られて他の四人もこっちを見た。おい、なんだ八百万。その微笑ましいものを見たような生暖かい目は。やめてほしい。こっちはもうすぐ18にもなるというのに2つも年下から何故にそのような視線を受けなければならないのか。出久の説明に、否定はしないが。
「とにかく、俺は明後日には退院できる予定だ。明日までは検査で休むがケガもほとんど問題ない」
「ホントに問題ないの?」
食い気味でこちらに質問してきたのは響香だ。身を乗り出してこちらのベッドに手をかけて嘘は許さないというような目で、泣きそうな眼でこっちを見ていた。
確かにあの時に心配する声を振り切って行った先でこの大けがだ。信用は、ないよな。でも、俺は
「ヴィランには平気で嘘をつく。他人にも嘘をついても心は痛まない。ただの同級生にも少し誤魔化すくらいなら簡単に嘘をつくさ。俺は正直者でもお人よしでもないからな」
ああ、響香、そんな眼をしないでほしい。苦手なんだ。友達が、近しい人が悲しむ顔は何より苦手なんだよ俺は。だから、
「それでも、俺は友だちには、大切な人には嘘はつかない」
そんな、ちっぽけな誰にでもあるような正義感しかもたない俺だからこそ、それくらいの誠意だけは最低でも持ち続けたいと思うんだ。
「だから、俺は響香には嘘はつかない。信じてもらえるか?」
ベッドに乗せた響香の両手にマトモに動く右手を乗せる。
信用はないだろう。一度失った信用は元に戻るのは簡単じゃないだろう。
それでもこの思いの欠片だけでも、伝わってほしい。
そう願って手をにぎり、相手を見返すことしか俺にはできないけれど。
「……うん。ウチ信じるよ。」
そうして、漸く俺は響香からの信用をもらえたらしい。
「心配かけてすまなかった。それとありがとう」
精一杯の感謝を、笑顔できっと言えたと思う。
どれだけ時が経ったのかわからないけれど、しばらくそうしていると、響香がどんどん赤くなっているような……
「あ、あの、わたくしたち、外に出たほうがよろしいでしょうか?」
「は?えっ、ちょ、ちがっ……えと」
「どういうことだ緑谷?」
「うん、まぁ……四季ってこういうところあるから。」
(いや、今までより少し違うかも。ミルコに言うのは……いやまだ様子見かな)
そんなお見舞いの一幕を経て、俺達の非日常は終わり、日常が返ってくる。
雄英体育祭という、年に一度の大きな行事を伴った、日常が。
漸く次回から体育祭編へといけます。
序盤の山場、なのですが……轟君、家の問題解決しているんですよね。炎の使い方も若干上がってますし、躊躇もなく放ちます。
そして出久君も原作よりもはるかに強い、と。
会場、壊れませんかね。
まぁそこは会場にも̟プラス ウルトラしてもらうということで。
今回も読んでくださった皆様ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。
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