いつかは終わるヒーローたちのアカデミア   作:Agateram

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前からちょこちょこと出ていたオリ主の暗躍が少しだけ皆にばらします。

そして次回、雄英高校体育祭本番です。

明日には投稿できると思いますのでよろしくお願いいたします。


第29話 戦とは、戦の前にどれだけの準備をしたかによって9割決まる

「さて、漸くA組全員そろったな。」

 

厳格と厳しさと理不尽と無精が服を着ているような我らが相澤先生…ほとんど褒めてないな、いや褒めるつもりだったのだが外見といつもの行動が、な。ヒーロー時は素晴らしい人物なのに…それはさておき、漸く、と前置きしたのは俺の入院のため、クラスの皆がそろうのが3日ほど遅れてしまったからだろう。それについては申し訳ない。俺の力不足だ。

 

そんな俺の思いとは裏腹に、相澤先生は普段ならまずしない行動に出た。

 

「改めて、すまなかった。俺達プロヒーローがついていながら、お前たちを守ることができなかった。その上、一番の重傷者は俺達教師ではなく、生徒だった。これは、雄英高校始まって以来の失態、そして俺の怠慢だ。皆の安全も守れず、ヒーローとして、教師として本当に、申し訳ない」

 

そう、あの厳しさと理不尽さが際立つ相澤先生が頭を下げて謝罪したのだ。しかし、それも無理からぬことかもしれない。先生は教師であり、プロヒーロー。それが多数のヴィラン、転移という反則級の個性による強襲、脳無という特大のイレギュラー、そんな理不尽があったとしても、それを乗り越えるのがヒーローだと日ごろから言うのがこの学校の教師だ。

それが己の至らなさでできなかった。見た目とは裏腹に熱く、しかし合理的に物事を判断するプロの相澤先生にとってはそれだけの痛恨と悔恨が残る出来事だったのだろう。

 

これもまた、プロヒーローの一面だ。プロはいつだって完璧を求められ、そしてそれが為されなかった場合、犯行を行ったヴィランではなくヒーローを責めるという者は一定数いる。そしてその理不尽を受け止めてもなお立ち上がって活動を止めないのがヒーローなのだ。

 

だからこそ、その一礼をもって、相澤先生はいつものようにこちらを見て、教師として言葉を放つ。

 

「あんなことがあったばかりだが、次の戦いは既にそこまできている。―――雄英体育祭の今年の開催が正式に決まった!」

相澤先生のその一言にクラスの中が驚喜に包まれる。確かに今回は未曽有の事態、雄英高校への代替数のヴィラン侵入と生死の境をさまよった生徒(俺のことだ、情けないが)や教師生徒を含め重軽傷者多数出ることになった事件だった。

 

だからこそ、今回どうなるのか皆気になっていたのだろう。先の歓喜にも納得がいく。雄英体育祭は個性ありの体育祭。昔のオリンピックと同等に扱われるほどに国民の認知度が高い、そしてプロヒーローたちからも注目され、卒業後のスカウトを受けやすくなるという年に一度、高校生活で三度しかない一大イベントだ。

 

相澤先生曰く、例年の5倍以上の警備を雇って開催することが決まったとのことであった。

正直言ってよかった。俺が一時期生死の境をさまよったために、若干開催が危ぶまれていたのか、いつもならとうに開催の告知があるはずの行事の開催が教師の口から聞いていないと出久や響香から連絡をもらっていたからだ。

さすがに死人が出ていたなら、悠長に例年通りの行事ができないかもしれないからな。先生方には心労をかけてしまっただろう。そこは本当に申し訳ないことをしてしまった。

 

だが開催決定したのなら、後は全力で取り組むだけだ。

それに、これまでコツコツと集めていた情報や関係性を有用に活用する機会でもある。

 

その後相澤先生は雄英体育祭の詳しい説明をしていき、2週間後の体育祭に向けて皆の興奮は否が応でも高まっていった。だがそれが高まったのは何も俺達1-Aのヒーロー科だけではないかったらしい。

 

その日の放課後、早速出久と訓練、B組も誘えるなら誘おうと以前から予約していた体育館Ωの使用許可書(20名まで利用可能)をもって教室の扉に向かおうとした途端、視界に映ったのは大勢の同学年の生徒たちだった。最も扉に近かった青山が扉を開いたらしいが、こちらを食い入るように覗き込む視線と人の波で出られなかったようだった。廊下側の窓をみれば、そちらにも長蛇の列。まるで珍獣でも見るかのようにA組の教室の外は生徒たちが群がっていた。

 

静寂はない。それぞれが統一されていない2,3人のグループの寄せ集めという感じの言葉の波。A組の誰かに用事があるというわけでもないらしい。ただの喧騒と好奇心に満ちた視線だ。観察ならわかる。敵情視察ならば尚良い。だがここにいるのは闘争心など欠片もないただの野次馬根性であるというのが、個性で『視る』ことをせずともわかってしまう。

状況は理解した。つまりはヴィラン相手にケガを押しても立ち回って全員生き残ったという話題性抜群の1-Aを見ようと、そういうことだろう。無視してB組に行きたいが見たところ隙間なく、廊下中を生徒達が埋め尽くしている。はっきり言って

 

「邪魔だ。どけモブ共」

 

威圧する声と共に現れたのは、A組の爆弾問題児、爆豪だ。教室の前に群がった生徒達を睨ながら、堂々とせいろ……暴言を吐いた。他のA組の生徒達から制止の声が掛かるが時すでに遅し。爆豪の暴言を聞いた生徒たちから、不満や怒りの声が飛ぶが本人は更に反論しようとしている。

まぁ、頃合いか。珍しく同意見だし、大ごとになる前に収集をつけよう。

そう考えてドアはふさがれていたので、失礼ながら窓から廊下に出る。半分は視線をこちらに集めるために。そして視線が集まったのを確認して大きく言い放つ。

 

「A組、彼岸 四季だ! 非常に癪だが、モブ発言以外はそこの爆豪と同意見だ。」

 

「ちょっと四季!?」

クラスから響香のこちらを止める声が聞こえるが、構わず続ける。とりあえず、言いたいことは言わないとな。邪魔は確かだし。

 

「見たところ同じ一年と見受けるが、俺達を放課後見に来たところであなたたちが知れる情報などたかが知れている。ここで俺達の誰かが個性を大っぴらに語るとでも思ったか?いまから情報収集でもするつもりか? ならばそもそも行動が遅い。もし雄英体育祭のためにそんなことをしているなら、帰って勉強なり、訓練なりした方がよほど有意義だ。そして俺達も時間を無駄にしたくない。してる暇など一切ない。

———つまり、訓練の邪魔だ。興味本位ならさっさと失せろ。それ以外の要件なら話してくれ。」

 

さぁ来いと右手をあげて手招きしながら周囲を見渡す。若干の威圧を込めて見ると黙るのが大多数、しかし、いるな。まだ粗削りでもいい『色彩』を持った奴が。

 

「1-Cの心操、だったか。受験会場で同じだったな。あんたは何か言いたいことがあるみたいだが?」

 

俺に言われて驚いたように一歩下がり、眼を見開く。紫がかった髪、180近い身長、やや寝不足そうに見える瞳。

 

「どうして、俺の名前を!?」

 

「雄英に入学してから既に2週間だぞ?名前くらい調べていて当然だ。さっき言っただろう、行動が遅い、と。

雄英体育祭は国民誰もが知るような一大イベント。そして競い合うことは既にわかっていることだ。なら、入学が決まった時から情報くらい集めていて当然だ。」

 

そう、情報ってのは大事だ。初対面の得体のしれない相手とこちらだけが相手のことを知っている状況、どちらが容易く勝てるかなど小学生でもわかる。

 

「だから当然、あんたのことも覚えているし調べていた。受験会場で助けた人の一人だが、その後に仮想ヴィランの装甲を盾にしたり投げたりしながら応戦していた。ただ逃げるだけではなくがむしゃらに向かって行った。だからマークしていた。理不尽な状況でも、どんな不利でも最後まで諦めない奴が一番油断ならないからな。それで、改めて聞こうか。何か俺達に言いたいことがあるのか?」

 

「……すげぇなアンタ。アンタみたいなのがヒーローになるんだろうな。でも、俺はここに野次馬できたわけじゃない!体育祭の結果によってはヒーロー科に編入できる制度がある。だから俺は今日、ヒーロー科に宣戦布告に来た。アンタたちに、勝つ。勝ってヒーロー科に行く。それが俺の要件だ」

 

臆しながら、震えながら、それでもそう言い放つ。周りの生徒も唖然としている。

そこまでの覚悟がないからだ。あるいは彼を愚かと思っているのかもしれない。普通科がヒーロー科に何を言っているのか、と。

だが、それでいい。それでもお前はこの状況で俺達に、意思を示した。その心の強さを示した。だからこそ

 

「言い分、確かに聞いた。だが、返事をする前に一つ、おせっかいをさせてもらう。その志は少し変えておいたほうがいい」

「なんだと?」

 

だからこそ、もったいないのだ。ヒーローを目指すなら、付け加えることがあるはずだ。

 

「俺達に勝ってヒーロー科に来る、だけが目標じゃないだろう?ヒーロー科に来たらお前は満足か?」

 

さあ、もう一度と再度手招きをする。心操はその様に、驚いた顔をした後に、不敵に笑った。

 

「ああ、言い間違えた。俺はアンタたちに勝つ。勝ってヒーロー科に行って、そしてヒーローになってやる!!」

「よく言った!なりたいビジョンがあるなら、なりふり構わずぶつかってこい。拙い身だがこの全身全霊で相手をしよう。」

 

互いに笑みが出た。悪くない。この邪魔な時間が、なかなかに有意義になった。

 

「ほかに名乗り出るものがいなければ通してくれ。俺達は訓練をしたい。ヴィランも体育祭も待ってはくれない。立ち止まっている者の相手はしたくない。」

 

そう言うと他の生徒たちはそれぞれが左右に分かれ、道を譲ってくれた。

だが、その先にいるのが3人。

 

「おうおう、ヴィランのこと聞こうと思ったがなかなか根性ある奴らじゃねぇかよ」

「それはどうも1-Bの鉄哲徹鐵。個性『スティール』のバリバリの近接戦闘スタイル、であっていたかな?」

「……マジで情報収集済みってか。そこは男らしくねぇな」

「その男らしさは無知であることか? なら捨てろそんなもの。知らなかったから勝てませんでした、なんて将来ヒーローになった時に被害者に、その家族にそれで納得してもらえると思っているのか?」

「ぐっ………」

 

「まぁいいさ。今日体育館Ωの使用権がとれている。パワーローダー先生が作った失敗作やら瓦礫やらがある場所で個性使用OKの場所だ。定員は20名。申込責任者は俺だ。訓練するやつがいればB組も誘ってみようかと思っていたところだ。どうせならお前もどうだ。もちろん拳藤さんや角取さんもよければどう?個性が使える場所はこれから争奪戦になるからできるだけ使える時に使っておいたほうがいいんじゃないか?」

 

俺は鉄哲からその後ろに立っていた、以前一度一緒に外で遊んだ二人に声をかける。

できるだけフレンドリーにしたが、

 

「そうやって、B組の個性を調べようってこと?」

「え?そうなのデスか彼岸サン?」

 

まぁ、さきほどの会話を聞いていたならこっちの思惑もわかっているだろうな。角取さんの方は単純にこちらを心配してくれたらしい。うん、それは本当に申し訳ない。なんせ俺だけだからな、ヴィラン襲撃のケガで登校できなかった生徒って。

 

「半分はそうだな。けど半分は研鑽だ。正直俺も雄英に入れて少しばかり増長していた。その結果、ヴィランに大けが負わされた。授業受けて満足しているようじゃだめだ。そんな牛歩より、どこぞのウサギヒーローのように常に疾走しないとトップは取れない」

 

トップ、という言葉を入れたのはわざとだ。

普通科やサポート課への焚き付けはさっきので、まぁ今はいいだろう。

あとは、A組とB組、双方にできるだけ燃えてもらわないと困る。

 

「ああ!!?トップは俺だクソ留年野郎!!」

 

そこで横から暴言が入った。まぁ今まで無言でいたのが奇跡みたいなやつだからな。そういえばモブ発言の謝罪をしていないが……、それはコイツ自身がやらなきゃならないことか。

 

「なら、行動で示せ。あと、他人をモブ呼ばわりするのはいい加減止めろ。それはヒーローが言う言葉じゃない」

「うるせぇ!」

 

「あー、そいつがA組の2大問題児の一人の爆豪君かぁ。うん、確かに聞いたとおりの問題児だね」「ああ!?誰が問題児だこの馬髪野郎!」

「ああ、まぁ…こんな奴でな。すまない拳藤さん、こいつ基本人を名前で呼ばないんだ。」

「うん……。苦労するねお互い。」

「ああ…。まぁこっちはクラス委員長たちがいるからまだ俺は楽だがな。」

「無視してんじゃねぇぞテメェ等」

 

以前話していたA組の問題児、爆豪と峰田のことはB組には伝わっている。だから互いに話した情報に嘘はない、くらいには彼女も警戒を解いてくれたか。爆豪が戦闘以外に役に立つことがあるとはな。

 

「私は拳藤一佳。B組のクラス委員だよ。とりあえずよろしく爆豪君」

「ああ!?テメェなんて知るか!!」

 

笑顔で握手を求めた拳藤をスルーして爆豪は人混みの中でできた道とその先のB組の三人も通りすぎて帰っていった。帰り際に俺に親指で首を切る仕草を残して。

 

「重ね重ねすまんね。ウチの爆豪が」

「いや、構わないよ。聞いてたとおりの奴だったし。それに実力はあるんでしょ?」

「ああ、まぁ戦闘面の実力は保障する。性根も腐ってはいない。性格と言動がクズみたいに聞こえるだけだ」

 

それで、と前置きを終えて

 

「訓練、どうする? ちなみにこれから体育祭まで2週間、日曜日以外は入学初日に訓練するためにどこかの体育館、ないし運動場のどこかしらの使用権は一応押さえている。マイナス面は個性を見られること、プラス面は他の奴らの個性を見られること、だけじゃない。希望すれば俺が相手をする。つまりは、俺の個性、そしてもっているスキルは体感できるぞ。」

「……OK。私は参加する。B組にも声かけてみるよ。体育館や運動場の使用権は大きい。今から申請しても2,3年の人がほとんど取っているだろうし、先生たちの監督もあるんでしょ。なら自分の手をさらしたくない奴以外は使わない手はない。」

「英断だな。さすがクラス委員長。そういうわけで、A組も個性を見られたくない奴は無理にとは言わない。だが情報がほしい、あるいは付け焼刃だろうがなんだろうが体育祭までに仕上げたい奴は、来てくれていい」

 

そんな風に俺がB組と話している傍らで、出久は心操と会話をしていた。

出久は個性がなく、それでも進んできた。おそらくは個性があるが戦闘系ではない心操に共感を感じて訓練に誘っているのだろう。

……自分も大変なときにおせっかいを焼くのはホント変わらない。

最もそれが緑谷 出久か。困っている人は他人だろうとも構わず全力で助ける。そのヒーローとしての覚悟と思いの在り方に俺は惹かれたのだから。

 

とはいえ、これで体育祭までの舞台は整った。これだけ周りを煽れば、自分の個性を限界まで磨きたい奴は訓練に参加し、そうでないものは家やどこか別のあてをつけて研鑽をするだろう。普通科、サポート課も俺の発言やヒーロー科の自主的な合同訓練に多少なりとも思うところがある者は体育館の使用せずとも情報だけは集めて一泡吹かせようとするような輩なども出てくるかもしれない。

 

玉石混交だが、多くの石はまいた。これでいい。

切磋琢磨しないと原石は磨かれない。

 

緑谷 出久という原石は。

 

 

 

 

「しかし、彼岸ってあれだな。普段はただ無表情で、言動はいいやつなんだけど…」

「ああ。わかる。実際は腹黒かもな。」

「計算高い、或いは先見の明があるといったほうが適切じゃないか?」

「むしろ年の功、かもしれないな」

 

「よーし、そこで人の陰口たたいている上鳴、峰田、障子、佐藤の四人は今日は強制参加な!全員足腰立てなくしてやろう。安心しろ。その後はちゃんと治療する!」

「できるか!おいらは個性を隠したほうが勝率が上がる」

「おいおい、そんなことじゃプロになった後、やっていけないぞ。あと、知らなかったのか?古今を問わず、『魔王からは逃げられない』」

「自分で魔王発言してるじゃねぇか!間違いなく腹黒だよお前!!」

 

 

そんなことがあったりしながら、2週間はあっという間に過ぎ去り、雄英高校の一大イベント、雄英体育祭がやってくる。

 

 

 




まぁ、つまるところ、主人公にとって他の友人枠でないクラスメイト、知り合いどまりは『緑谷 出久』を鍛えるための石なのです、という主人公の人間性が垣間見えた回でした。

この主人公はいつか書いたように身内に入れば激アマかつスパルタ。惜しみない愛情と友情とその人のためなら何でもできる男ですが、それ以外の人には塩対応基本です。特にヒーロー志望には顕著です。

ヒーローへの意識の高さはステインと方向性は違っても似通っているところもあります。

ちなみに雄英体育祭の開催発表が遅れたのは生死を彷徨った生徒がいたことが批判をあび、警備強化などの対策が本編より遅れたのが原因です。
決して、主人公の退院日じゃ体育祭前のイベントに間に合わない。ヤバい。なんてことはありませんでした。ありませんでした。

それでは次回もどうかよろしくお願いします。


緑谷出久にヒロインは必要でしょうか?あるいは必要なら誰がいいと思いますか?

  • 必要なし。あるいは主人公がヒロインだろ?
  • 原作ヒロイン麗日お茶子
  • ケロケロな蛙吹梅雨
  • B組もいいかも。
  • 壊理ちゃんでもええやん
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