いつかは終わるヒーローたちのアカデミア 作:Agateram
そこにできるだけ、と付け加えさせてください。
アンケートはまだまだ募集中です。ただあくまで参考程度にさせていただく旨を付け加えさせていただきます。
作者は恋愛物とかそれっぽいシーン書くのは苦手なので。
罪には然るべき罰を。
被害者には出来得る限りの救済を。
加害者には知り得る限りの罰則を。
加害者の背景?被害者との関係?どちらが本当の被害者で、加害者だったのか?
難しい問題は知らない。だが、一つ決めていることがある。
他者に理不尽を強き、そこに快楽と救いを見出した『罪有りし者』に、然るべき報いを。
苦しんで、穢されて、貶められ、しかし他者を傷つけなかった『罪なき者』にせめてもの慈悲を。
故にこそ、
「己の欲望でA組女性陣に精神的負荷をかけた罪には罰がなくてはならない。死をもってして、その罪は禊がれる。さぁ最後の言の葉を残すといい。クラスメイトとして、隣人としてあなた方の凶行を止められなかった責は負おう。故に遺言は聞き届け親類縁者へ伝えると、彼岸四季の名においてここに誓おう」
テレビの前の子どもには見せられない、否見ることが出来ない直視でのみ認識可能な鎖で縛られた罪人二人は、頭を垂れるように拘束され、その隣には切っ先がない古き世代にて処刑人が持つ剣を携えた彼岸四季の前にいた。
「いや!おかしくね!?これはさすがにやばくね!?」
「オイラたちは少しだけ場を盛り上げようとしただけだ!!」
「反省はなし。遺言もなし。ならばこれ以上生きている価値もなし。せめてこの手で罪を禊ぎ祓い奉る。」
処刑人、彼岸四季は無表情にその手に持つ剣を高々と掲げ、今渾身の一刀を
『落ち着けー!!いや、マジでな!彼岸!それ公開処刑だから!放送コード引っ掛かるとかそんな問題じゃなくなるからな!!』
『彼岸、女子生徒を騙してコスプレ紛いのことをさせた罰は教師側が出すものだ。お前による刑罰は私刑と変わりなく、合理性に欠く。俺達に任せろ』
振り下ろす前に、二人の教師に止められた。ならば仕方なし。
罪を裁くものが、正当にいるのならばそちらに任せるべきである。
そう結論づけて、彼岸四季はその剣と鎖を消した。
発端は、正座させられた二人、上鳴 電気と峰田 実が嘘の報告を八百万にしたことだ。
曰く、午後の部の最初に、ヒーロー科女子によるクラス対抗の応援合戦があるので、準備しておくように、と相澤教諭より伝言を預かったとのことであった。
純朴であり、実直なお嬢様の八百万はその言葉を鵜呑みにして、自身の個性『創造』を使って即席のチアガールのコスチュームを作り、そして1-Aの女性陣は否応なくその犠牲になったというだけの話である。
しかし、忘れてはならないのがこの雄英体育祭は10万人超の観客がいる超級のスタジアムであり、なおかつ全国放送されているという事実。つまり、彼女たちの映像は既に全国に拡散している。
その映像、画像はおそらく全て消すことは不可能だ。いずれ彼女たちがプロヒーローとして有名になったとしたのならば、おそらくは何かのバラエティ、週刊誌などのメディアでその姿は披露される可能性があるだろう。
そして、その嘘に騙され、上記の結論に明晰な頭脳をもって至った八百万が崩れ去った瞬間に拘束したのが彼岸四季である。
今、この時点では決して上鳴と峰田は知りえないが、彼が行動を止めたことに息をついたのは鎖につながれていた本人たちではない。本気でやるかもしれないと危惧していた彼の事情を知る一部のトッププロヒーロ―と教師陣の一部だ。
努力し結果を成した者に祝福を。困難に立ち向かい、折れても何度でも立ち上がる気高き精神に敬服を。そして理不尽を他者に引き、愉悦に浸る罪有りき者には罰と救いを。
彼の根源に位置する行動指針の一つである。
さりとて、それがさらに明るみに出てくるのは未だ先の話である。
コントにも見える一幕を置いて、場面はレクリエーション競技に移り、最終種目にむけて徐々に盛り上がっていく。
雄英体育祭のレクリエーション競技は、ただのレクリエーションではない。そこは各種目で落ちてしまった、しかし少しでも自分を目立たせようとする者たちの最後のアピールの場所でもある。
例えば大玉転がしで玉を転がさずに、複製腕をフル活用して一人で他の皆もまとめて担いでいった障子であったり、組対抗リレーで弱酸性水たまりを作って自分以外の走者を軒並み滑らせた芦戸であったり、その後を走ることになっていた常闇と切島が個性『ダークシャドウ』で飛び越えたり、素足をスパイク状に『硬化』させて走り抜けて一着をとったりと、1-Aの予選敗退者たちも自分の個性をできるだけ披露しつつ、楽しんでいた。
だが、そんな見て楽しいイベントもその後の大イベントにとっては前座だ。
雄英体育祭の大本命、1年最終種目、ガチバトルトーナメントの開始である。
そしてミッドナイトが主審として指さした電光掲示板に発表示されたのは左右に枝分かれした16名によるトーナメント表。
左ブロック一回戦組み合わせ
『緑谷VS砂糖』
『角取VS心操』
『尾白VS爆豪』
『飯田VS拳籐』
右ブロック一回戦組み合わせ
『耳郎VS口田』
『轟VS八百万』
『発目VS塩崎』
『彼岸VS上鳴』
トーナメント表を見て、参加者の反応は悲喜こもごもだが、一つだけ共通していることは、どのようにして相手に勝つか。それだけである。かくして舞台は整い、その戦いは始まる。
『Hey!Are you all ready!?』
『yeah!!!!』
セメントスが試合会場をセメントを操るという、街中であれば間違いなく強い『個性』で作り上げたという報告を聞いたプレゼントマイクがいよいよという雰囲気で決勝種目、ガチバトルトーナメントの開催を告げ、観衆も大いに盛り上がる。ここからが、おそらく個人としては最大の見せ場となるだろう。
『障害物競争、騎馬戦といろいろやってきたが、最後はコレだ!!頼れるのは己のみ!1対1のガチバトル!!周りの助けは一切なし!己が鍛え上げてきた心・技・体に加えて個性、戦術、虚実、運、何もかも総動員して、頂点を目指せ!!
1年生、最終種目、ここに開催だ!!トップバッターはこの二人!』
溜めに溜めた空気が、会場を、そしてテレビのラジオの前の日本、あるいは海外のメディアの前の観客の耳を震わせる。熱気は最高潮。そしてその先陣を切るのは、
「初っ端でスタートゲートを蹴り飛ばす常識外れのパワーを披露!第一種目2位、第2種目3位。堂々の成績を残した、見た目に惑わされれば吹き飛ばされるぜ!個性ありきの純粋なパワー、スピードは1年生では随一との呼び声高い、近接戦闘の雄!緑谷出久!!」
「対して、パワーならば負けられない!!力こそパワー、パワーこそが自身の生きる道!!優しい心に大きな体躯!!一回戦から派手なパワーファイトを見せられるか、佐藤力道!!」
「さて、この試合どう見る?」
そんな切り出しを行ったのは一回戦の組み合わせで最後になった彼岸であり、応えるのは決勝種目に届かなかった1-Aに割り当てられた観客席に座る切島たちである。そこには最終種目に残れなかった悔しさと、そこに残ったクラスメイト二人への羨望が見て取れた。だからこそ彼岸は言った。少しでも試合を見てくれるように。
「そりゃ……佐藤には悪ぃが、勝つのは緑谷だろ。佐藤もスゲェ力してるけど緑谷はそれ以上のパワーに加えてスピードまである。お互いに近接戦闘だし、その差はデケェよ」
切島の意見にほとんどの者が頷く。緑谷 出久はそれほどまでに身体能力に特化した個性の持ち主として皆の脳裏に深く刻まれているということだ。
だからこそ、彼岸四季は言う。違うと。
「ケロ?彼岸ちゃんは緑谷ちゃんが勝つと思ってないの?」
不思議な面持ちにこちらを見上げてくる蛙吹に同調するようにその場にいる1-A全員の視線が彼岸に集中する。その上で再度彼岸は口を開けた。視線を会場から、緑谷出久から一切離すことなく。
「勝つのは出久だ。それは確信している。けれど、見るべきところは別にあるってことだ。おそらく、出久はこの試合、本気で来る。久しぶりに緑谷出久の本領が見られるぞ」
「本領?パワー以外にも何かあるというのか?」
1-Aの中でも冷静さには定評がある障子をして、この対戦の見所は緑谷と佐藤のパワー対決だと思っている。互いの個性を見た場合はその認識に間違いはない。
「ただし、それは個性だけを考えた場合だ。緑谷の本領はもっと別のところにある。
———はじまるぞ。一瞬たりとも目を離すなよ」
『READY!START!!』
プレゼントマイクの掛け声に、砂糖力道は全身に『個性』による筋力増加を施して真正面から突っ込んだ。
スピード勝負では間違いなく負ける。勝つにはどうしたらいいか。
砂糖力道は頭が悪い方ではない。雄英高校に入るだけの学力があり、戦力を冷静に分析できるだけの判断力もある。
だが、だからこそ理解しているのだ。彼我の戦力差。
自分の長所は体格とパワーだ。それが取り柄で、それだけを鍛えぬいてきた。
だから、それが通じない相手にどうするか。決まっている。
全霊の力を更に滾らせ、前進するのみ。つまりは最初のラッシュに全ての力を籠めるというこれ以上ない脳筋のやり方だ。
力を鍛えてきた。あらゆる筋肉を鍛え上げてきた。『シュガードープ』という身体能力を五倍にまで引き上げる個性。地力を上げれば上げるほどに強くなれる個性だ。だから鍛え上げてきた筋力を信じずしてどうする!
だから、行った。前進の速度と体重と力を乗せてこれ以上ないほどの力を込めた右ストレートを挨拶替わりに振り下ろし、その力が全て吸い込まれるような感覚を得た。
「は?」
そのまま天地が逆転し、彼の頭蓋と背中に猛烈な衝撃が襲う。
肺の中の空気が痛みと共に押しだされる。なにがあった、そんなことを考える間もなく、視界に拳が映り、その意味を理解する前に即座に右に転がる。
ズン、とコンクリートをめり込ませるような一撃が聞こえたが、それを気にする暇はない。まずは立たないと。
そう思って体を立たせようとした刹那に、視界が揺れた、気がした。
「なん…」
言葉は最後まで続かなかった。どんなに力を入れようとしても動かない。立とうとした足がまるで自分のものではないようだ。そして、どうしようもなく、抗えない何かで、自分の意識が溶けるような感覚。
砂糖が最後に見た光景は揺れる視界の中で、脚を振りぬいた緑谷の姿だった。
『け、決着ぅぅ!!振り下ろしの一撃を一本背負いで叩きつけ、距離を取って立ち上がった瞬間に顎に左フックと止めの右回し蹴り!!正に電光石火!!瞬きすら許さない一瞬の決着!!勝者は緑谷出久!!』
あまりにも一瞬の決着。10秒に満たない瞬殺劇。
それが一回戦第一試合の結末だった。
「これが、緑谷出久の本領だ。」
盛り上がる会場の中で、ひたすらに冷めた視線で緑谷の一挙手一投足を見定めていた彼岸四季は、同じように会場を見つめていたクラスメイトたちに声をかけた。
「いや、その、凄いってことしかわからなかったんやけど……つまりどういうこと?」
代表したように麗日が彼岸に聞き、試合が終わっても未だ緑谷から目を離さない彼岸はそのままで応える。
「まず、前提として言っておく。緑谷出久は今の試合。一瞬たりとも『個性』を使用していない」
「はい?」
「緑谷出久の本当に怖いところは3つ。
その一つが今見せた技術だ。たかが数年鍛え上げただけの体と武術。しかしその数年の一日一日の重みが違う。無個性で個性ありきの世界でヴィラン相手に挑むということは素手で重火器を持った相手や戦車に挑むようなもんだ。それを前提にアイツは鍛えてきた。だから訓練の、技術の密度が違う。俺は毎日殺すつもりでアイツに拳を、武器を振るってきた。そしてその中であのバカは生き残ってきた。だから、たかが自分の数倍の筋力、眼で追える程度の速度なら、力任せの特攻なんて無駄だ。その程度で倒れるなら、とっくの昔にヴィランか俺が殺している」
今、何と言ったのか。その情報を整理する前に更に彼岸は口を開く。
「砂糖の敗因はそれを忘れていたことだな。『個性』は強力だ。だがアイツの一番の武器かと言われるとそうではない。個性なんてアイツの持っている怖さの中では精々2、3番目だ。それをわかっていれば……、いやどの道技術も個性も磨いている途中。どの道出久に勝つには少しばかり早かったか。」
「……どうして、出久くんは個性使わなかったん?」
「はっ!舐めプだろ元クソナードの分際でよ」
諸所の疑問や気になるところは置いておくとしても、そのデメリット、個性を使わなかったことが解せない。その答えは彼岸ではなく、轟が口に出した。
「個性の制御。指一本でも相手を殺しかねない『個性』を制御しきれていないから、か?」
「さすがだな焦凍。8割正解だ。あいつは個性を使えるようになって2ヶ月。全開で戦うことはできてもその状態で技術との併用にはまだ齟齬がある。相手が傷つけてもいい凶悪なヴィランならともかく、無用な傷をつけないようにできるほどに熟達していない。これが力量が近い相手や格上なら使うだろうが、それ以外では『個性』に頼る真似は極力控えるだろう。」
だが、それでは駄目なのだ。
アイツに必要なのは正にその齟齬を埋めること。個性を全力にしつつ、使える技術を十全に使えるようにしないといけない。
故に必要なのは個性を使わざるを得ない強敵、難敵。
そんな実践の中でしか磨けないものがある。今回の武術と『個性』がかみ合っていないところなど正にそれだ。
瞬間的な一撃なら、武術と個性をうまく合わせたものはある。必殺の一撃である『刺し穿つ葬送の槍』、または投擲と合わせた『打ち砕く飛翔の槍』。どちらも技の一つとしてなら良い。だかそれはあくまで一つの動き、一つの型でしかない。そんな必殺技のようなものではなく、動きの全てに『個性』を乗せる、緑谷出久にしか使えない動きが、技術が必要なのだ。
アイツにはこのトーナメントでその糸口だけでもつかんでもらう。
その上で、これは他の誰にもいえず、彼岸の中でだけ思っていることであるが、『最終種目で出久だけは優勝させてはならない。』
何故なら、彼岸四季は、何年も緑谷出久を見てきた彼は、その必ず訪れる死の未来を変えるためには、挫折こそが必要だと確信しているからだ。
普通なら成功体験、この場合ならしのぎを削りあって、その上で優勝することこそがアイツの自信となり、最も糧となるだろう。緑谷 出久が普通なら。
だが、生憎と彼岸四季から見た緑谷出久は普通ではない。あの英雄の卵にとって必要なのは全て出し切った末の敗北。そして、その上で折れずに立ち上がってくる強さだと確信している。今までがそうであったように、これからもそうであると信じている。
緑谷 出久はこの雄英体育際の切磋琢磨の中で磨き上げられる。その中で成長するだろう。だが、その程度で未来は変えられない。彼がヴィランに殺される未来は変えられないのだ。
ならば必要なのはただの成長ではない。筋肉が負荷に耐え切れずその繊維を切れてから超再生することでより強靭になるように、あのヒーローという名の狂人は敗北をこそ糧にして更なる飛躍をするだろう。これまでのように、きっと何度砕け散るような痛みに、敗北に、絶望に、膝を負っても地面を這いつくばっても、その度に立ち上がり、強靭に狂人になっていく。
そのためだけに、彼岸四季はこの体育祭をできるだけ煽り続け、それぞれの全力を出せるような舞台を用意した。
緑谷 出久という玉を鍛えるための石は、自分だけでない方がいい。様々な石が玉となるだろう原石が、それぞれの最大を出し尽くし、熱く燃え盛り、互いにぶつかりあってこそ、本当の玉になると思うが故にこそ。
それが、未来を変える最低限。己を限界の更に先まで鍛え上げぬいてこそ、わずかなりとも可能性がある。血反吐を吐きつくすまで己を鍛え、頭が沸騰するまで策を張り巡らせて、善も悪も毒も皿も全て飲みつくしてやれることは、全てやる。それが人事を尽くすということだ。その上で、天命とやらを己と己が築き上げた総力を持ってねじ伏せる。
未来とは、世界とは、人の世とはそういうものであってほしいと、そう願うからこそ、今日は、今は、この体育祭では、出久には優勝などさせない。
彼岸四季はその個性が見せる未来が、生命の終着点が、その生き方までもが誰かによって決められたものではないと、そう信じたいがために、緑谷出久を救う。
結局のところ、彼岸四季とはそういうものでしかない。
今は誰もそこに気づかないままに、舞台は進む。
『さあさあ第2試合、こちらも注目だぜ!!普通科からの快進撃!いまだその個性の全容を見せないダークホース、1-C 心操人使!!
そして相手はヒーローの本場から来たブロンドガール!ハーフで可愛い外見とは裏腹に、その尖った角の一突きで相手を鎮めることさえできるオールレンジ対応のパワフルな個性が火をふくか!1-B 角取ポニー!!」
相手は遠距離攻撃。そして俺の個性は相手に触れないと発動しないと思っている、と前提して動く。
そうしないとこの試合以降が勝ち進めない。いや最悪でも一回戦は勝たないといけないなら惜しまずに……違うな、目指すなら頂点、だったか。
ヒーロー目指すなら、せめて頭を使えよ心操人使。
俺の個性『洗脳』は言ってしまえば一発芸だ。それをうまく使って勝ち残っていくにはこの試合でぼろを出していてはダメだ。それなら、
『READY!START!!』
プレゼントマイク先生の掛け声と同時に突っ込む。一回戦の佐藤、とかいう生徒と同じ動きだ。手のひらを開けて姿勢は前傾、相手からの的を小さく絞るように正面からではなく少し迂回しながら走る。
「甘いデス!私の『角砲』はその程度では避けられません!」
接近を嫌ったのだろう。すぐさま『個性』である飛んでくる角。
当然だ。俺は先ほどの2種目目でB組の騎馬を行動不能にしている。彼岸が作ってくれたロープと発目のアイテムで間接的に相手に触れるという行為の後に、意識を失ったことをよほどのバカでないかぎりはクラスメイトに聞いているはずだ。
こいつが、バカでなくて良かった。
飛んでくる角はこちらを警戒しているのか、一本だけ。もう一本は自分とこちらの中間点の空中で静止している。避けられた時を警戒したのか、油断せずに戦術を組み立てている。
だから、助かった。そのままいけばこちらに飛んで来た角を肩から思い切り体当たりするようにしてぶつかる。そしておそらく当然のように当たり負けるだろう。あの俺の体よりも何倍も小さい角一つに、俺の全力の体当たりでも当たり負ける確信があった。相手はヒーロー科で、先ほどの2種目目でも爆豪ってやつを縦横無尽に跳びまわらせたり、高速で回収していた個性だ。
一本でも人一人くらいの重量なら押し返せるくらいはやるだろう。だが、これでいい。当たり負けするのは前提。むしろそのために直前にバックステップを入れた。受け止めるように両手を広げて、腹に直撃。
分かっていても胃の中の物が逆流する不快感を感じるが、両手でがっしり掴んで、離さない。逃がさない。無論、相手はこのまま俺を場外まで運べるだろう。現に俺は今脚が宙に浮いている。一本でこれだ。二本同時なら、受け止めることはできなかったし、一本でも下手したら失神していた。けどこれで布石は打てた。
さあ、笑え心操人使!狙いどおりうまくいったと。何のダメージもないかのように、全ては手のひらの上だと他の奴が勘違いしてくれるように、笑え。
「捕まえたぞ。コイツ、お前の一部には違いないんだろう?なら、俺の、勝ちだ!」
「無駄です!すぐに場外……に………」
掛かった。俺の勝ちだ。
そのまま角取の角を離さずに場外に行くように命令する。そして試合は終了。
この光景を見れば、きっと相手はこう思う。間接的にでも、たとえ本体から離れていてもその個人の一部に触れさえすれば操れる『個性』だと、勘違いしてくれるだろう。
勝利を告げるアナウンスに高々と拳を上げながら、俺は腹の痛みを無視して、できるかぎり不敵に、相手にとって脅威に映るように笑った。
まだ、上にいくために。俺も、やれるだけやってやる。
今年、おそらく最後の更新になります。
いつも読んでくださる方々、今回読んでくださった方々、いつもありがとうございます。
前半部分の主人公がチアを見たときの反応を見たかったという方がいらっしゃれば申し訳ありません。当方のオリ主は他人が騙されようとも特に何も感じないように見える男ですが、友人が絡めばガチになる阿呆ですので、響香が騙されて恥ずかしがっている=汝罪有りきとなったわけです。実は細かい設定とも絡んできますがそれはまたいずれ。
なかなか遊びも帰省もままならず、あるいはお仕事の方もいらっしゃるとはおもいますが、皆さまの来年が良い年となりますように。
また来年もよろしくお願いします。
緑谷出久にヒロインは必要でしょうか?あるいは必要なら誰がいいと思いますか?
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必要なし。あるいは主人公がヒロインだろ?
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原作ヒロイン麗日お茶子
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ケロケロな蛙吹梅雨
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B組もいいかも。
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壊理ちゃんでもええやん