いつかは終わるヒーローたちのアカデミア 作:Agateram
まきでいくといいながら、この進行の遅さ、不味いとは思ってます。
改善できるかはこれから次第ですが。
また先日1話の前にプロフィールをあげましたが、超ネタバレを含みますので、そういうのが嫌な方は反転されないほうがいいかと思います。
誤字報告をくださった M@C様、りゅう。様、誠にありがとうございます。
書きあがったらとりあえず上げていくスタイルなので誤字が多いので、本当に助かります。
もちろん後で書き直すつもりはあるのですが……自分の書いた文章、自分で読むのって結構ハズイですね。投稿しといて今更ですが。
それでは、今回、轟VS八百万 をどうぞ。
八百万 百
個性は『創造』。物質の構成と構造さえ理解していれば、生物以外を創り出せる個性。
まるで万能のように聞こえるが致命的な欠点が二つ。
一つは知っていなければ、何も作ることができないこと。これは先人の知識と自信の努力で何とかなる。何とかしなければならない。
だがもう一つは時間だ。大きな物はそれだけ複雑な構造と多くの物質と多量のエネルギーがいる。そして何より、それを理解し、組み立て、生成するための時間こそが必要なのだ。
だから自分はあらゆる場面に対応できる能力があっても、対応できる場面にいない。その場にいるのは対応できるまでの準備をしようとしている自分だ。つまり迅速な行動が必要な現場では、自分にヒーローとしている意味などないということだ。
あらゆる場面に対応できる自分にとって一番の敵はヴィランでも今から相手をする轟さんでもない。
時間こそが、八百万 百にとっての天敵なのだ。
神羅万象に等しく流れる時間に抗うことだけが、八百万 百の最大の課題であり続ける。
それは、今もそうだ。
戦う相手は強敵だ。同じクラス、隣の席、授業で、放課後の訓練で、何度も見てきたその雄姿を。強さを。自分との差を見せつけられてきた。
一対一の直接戦闘。それも同時にスタートをするトーナメントという状況下、冷静に考えれば自分に勝ち目はほとんどない。
けれど、時間さえあれば、時間という最大の課題さえ乗り越えれば、勝機はある。
だからこそ、時間を作る。それが、唯一無二の勝機。
『Ready、Start!!』
開始の合図、それと同時に両腕を振るった。
そこから出て行ったのは、木製の細長いだるまのような形をした人形、マトリョーシカ。自分が一番最初に創造した、最も簡単に生成できる人形。
そんなものが3つ、宙を舞った。
だが、果たしてこの場所で、この戦う場所で、自信満々の笑みで放った人形が、ただの人形だと誰が思うだろうか。それに自分は見てきた。轟 焦凍という人間を。だから、戦場で、それもあらゆるものを創造できる個性をもつ敵が放った物を無視できるような悠長な性格をしていないことを知っている。即断即決。それが彼の長所の一つ。それを逆手にとる。
放った人形は数秒もしないうちに氷漬けにされた。彼の個性で右脚から放たれた冷気が床を伝って氷柱を作り、宙に浮いたままで凍結された。
チャンスは、ここだ。ここだけが勝機だ。違う。
放ったのはただの人形で、張り付けた笑みはただの強がりだ。
だけれどその虚構が稼いだ数秒が次の創造のための時間になり、そしてその想像が、さらに次の創造のための時間となる。
時間との勝負には、とりあえず有利をとった。
さぁ、ここからが轟 焦凍と八百万 百の勝負です。
矢が飛んでくる。矢継ぎ早とはこういうことかと頭の片隅と思うほどに、1秒の間もおかずに次々と飛来する矢は一つ一つは小さいものだ。矢じりも大きくない。当たってもよほど当たり所が悪くなければ致命には至らない、かすり傷程度でおさまるだろう。
もっとも、その先端に何かが塗られていなければの話だ。
油断して一撃もらった。最初の氷結で相手のよくわからない人形を凍らせて防御した際に、氷で作ってしまった死角から回り込んで狙い打たれた。正確には油断というよりも、相手が1枚上手だったということだろう。だが矢の勢いは弱く、矢も小さい。左足の太ももに食い込んだのもほんの1,2cmほど刺さった程度だ。
一般人ならまだしも、ヒーロー科でその程度の傷で臆する奴はいないだろう。だが、矢を受けた右足は今感覚が鈍く、しびれて動きが阻害されている。間違いなく、あの矢には毒の類、しびれ薬のようなものが塗ってあったのだろう。
緑谷のアイテム、『蹴り穿つ微睡の槍』を参考にでもしたのだろうか。おそらくそう強い毒ではない。しびれているのは右足の傷を負った部分の周辺だけだ。だが即効性はあるようだ。まさか毒の成分まで知っているとは思ってなかった。それを体内で作れるのだから、『創造』の個性と八百万の知性の恐ろしさを感じずにはいられない。
その矢が、次々と飛来する。『創造』は万能だが時間がかかる個性だと聞いていた。実際に訓練でもチームを組んだ時もそうだった。創造するには時間がかかる。それをアイツは今克服している、わけではない。
創造されているのは簡単なボーガンだ。しなる弓と張りつめたツル、そしてつがえている矢を準備して後はそれを発射するだけの作り。だがそれだけ作るにしても数秒程度はかかるはずだ。弓もツルも矢も材料はそれぞれ違うし、生成する位置も少しでも異なれば矢を射出できず、その意味をなさなくなる。加えて矢もただの矢じりがついているものだけではない。
だが、本来はそんな繊細な作業はどうしたって何秒かは時間がかかるはずだ。それが八百万が言っていた自分の弱点だったはず。まぁたかが数秒でそれを作り出せるだけの能力があるのが十分すぎるほどに凄いが。だがこちらはその数秒の前に決着をつける一撃を撃てる、はずだった。最初の奇襲、あの凍結したままの謎の人形に時間を割いた時はともかく、それ以降なら一撃で相手を倒せる時間があったはずだった。
だが相手はそれを、片手ずつ交互に『創造』していくことで、俺が攻撃できるはずの数秒を稼ぐことに成功していた。そして、その数秒が更に一秒を、もう一秒をと加算されていく。その間に時折、矢じりの近くに棒状の物が一体化してついてあり、それが小さな爆発をする、あるいは煙を吹き出しこちらの視界を奪う発煙筒付き、と思えば今度は散弾銃のように更に小さい矢が一斉に雨のように降り注ぐといった具合に、多彩なバリエーションまで交じり始め、こちらは防ぐことに専念することになり、あちらはより複雑な物を創造する時間を稼ぐことができる。気づけばこちらにとっては良くない循環、戦況を展開させることを許してしまっていた。
『こりゃ、スゲェ!!こういっちゃなんだが、左ブロック同様に瞬殺劇すら予想していたぜ!しかし蓋を開けてみれば、優勢なのは絶えず創造して多彩な弓矢を放ち続ける八百万の方だ!!』
『万能性、という観点から見た際にアイツの『創造』の個性は理論上では人が対応できる範囲でならあらゆる場面に対応可能だ。だが、それはその場面に対応できる物の構造を、分子、下手したら原子レベルで知っていなければならんはずだ。その知識量には脱帽するが、選択肢が多すぎること、そして創造するために時間が必要なこと。この2点が八百万の課題だった。だが、それをまさか片手で創造しつつ、もう片手では狙い打ち、脚は常に走らせ、脳では絶えずその並列処理を行う。そんな無茶を通すことで解決するとはな。まさにPlus Ultraというところか。この試合で確かに八百万は今までの限界を超えてみせている。それは素直に賞賛にしよう。だが、このままでは今度は別の時間が足りなくなるかもしれん』
『別の時間?どういう意味だよイレイザーヘッド?』
『マイク、お前は走りながら両手で別々の精密作業をやり続けることができるか?できたとして、その集中力は何秒持つ?』
『ああー、そういうことか。つまりは、
『ああ。いくら八百万が卓越した知識と頭脳を持っていても、あれだけの並列処理を続けられる時間は限られているはずだ。それまでに決着の道筋を立てられているか。それが勝負のカギの一つ、だが………その前に、決着はつくだろう。よく見ていろ。もう一人も、今までの限界を超えようとしているぞ。』
片手ずつ、別々の作業を並列処理。
単純にすげぇと思った。そんなこと、俺には思いつきもしなかった。だからこそ、参考にさせてもらう。練習は、やってきた。この1ヶ月にも満たない期間だが、少しずつ手ごたえはつかんできていた。だが、違うことを別々にやるってことがいまいちピンとこなかった。
だからタイムラグがあった。身体の動きを止めて集中しないと調整できずにいた。
だが、今ならできる。いや、やらないといけない。
だって相手はそれ以上に難しいことを、全力で行っている。全力で息を切らせながら、眼を充血させながら、鼻血を流しても、なお止めることなくこちらへの攻撃の手を緩めない。
その姿に、その覚悟に、その無茶に、敬意と感謝を。
俺も今から、一歩先に進もう。お前のように。
そう考えた次の瞬間、両足の裏から氷と炎、その両方が吹き出し、爆発的な勢いでこの身を前へと押しだした。『半熱半冷』その双方を同時併用したが故の、今までよりの氷の生成だけに頼った加速よりも初速が早く、そして速くなった移動手段。
それをもってして、矢の雨を潜り抜け、八百万に肉薄する。
あと一手で勝負は決する。そう判断した。
だが、それはあちらも同じだった。
八百万 百はこの瞬間を待っていた。彼女は奇策をもってして様々な矢を放つだけで勝てると思うほど、轟焦凍のことを過小評価していない。むしろ、それを乗り越えてくることを信じていた。信じて、そしてそのための準備を、時間を稼ぐためにこそ、今までの弓矢はあったといってもいい。そして漸く、準備を終えられた。轟がこちらに加速する前兆、その両足に氷と炎が見えた、その瞬間に構造、設計、作成までの準備が為されていた、この試合に置いての切り札。両肩の服が破れた後出てきたのは、肘先程度の長さ、黒光りする四つの砲門を備えた銃。その速射性と威力は数百年前に戦争の在り方を変えたとすら言われる機関銃。通称、ガトリングガン。
「これで、決めますわ!!」
もはや後はない。全身全霊の覚悟をもって、計8門の砲身が唸りを上げた。
八百万 百の切り札。創造によって作り出されたガトリングガン。そこから放たれるのは毎秒30発、両肩合わせて計60発放たれるゴム弾。だが、その速度、その数、その威力は、1秒でも受けたとしたら、たとえゴム弾としても即意識を奪い、救護室か病院で目を覚ますことになるだろう。
ここに勝負はついた。ただし、それは八百万の勝利を意味しない。今の轟は両足を同時発動させることで、今までよりも速い加速をしている。そしてそれは同時に今まで加速する際に用いていた片手の炎の噴射を、今度は攻撃だけに回せることを意味していた。
爆炎。
そう言って差し支えない猛火の渦をまく。それは炎の盾。近づく物を根こそぎ焼き払う、『個性』なき時代には考えられない質量無き、熱量のみの盾だった。そしてその盾は八百万 百が放った必殺の一撃を一瞬で燃えし尽くし、更にその中心からを半身を凍結させ、氷の鎧と化した轟が突破してきた。轟と八百万、彼我の距離は既にない。そして八百万が次の1手を打つより先に、轟が伸ばした右手から生成された氷の刃が、そっと八百万の首元に当てられた。
「そこまで!!勝者 轟 焦凍!!」
決着はついた。作戦は十全、とはいえずとも納得のいくものではあったはずだ。きっと轟さんが前のように氷だけを使っていれば勝てたと思う。けれど、自分も相当に無茶をして、限界を超えたつもりだったが、相手もまた限界を、こちらの予測と対策を超えてきた。完敗だ。
そう思った瞬間、体の力が抜けた。膝から崩れ落ちる。
当然、かもしれない。自分でも今までの人生で一番集中した時間だった自負はある。その反動で、おそらくは脳がもはや動くことも億劫であるかのように思考も、体の制御も放棄しているように感じられた。そのまま地面に倒れてしまおうとして、そっと体を支えられた。
「大丈夫か八百万?」
それはさっきまで真剣に勝負をしていた相手であり自分を打ち破った轟さんだった。ただ先ほどまでの真剣で敵対するような圧は微塵もない。ただただこちらを心配してくれる15歳の同い年の少年の顔をしていた。推薦入試であった時、入学したての頃はこんな顔をしていなかったのに、ただの1,2ヶ月で変わったなぁと思う。そう思えるくらいには、この人を見ていたから。
「大丈夫、です。少し、疲れただけですわ」
宣言とは裏腹に、まだ体に力は入らない。もしかしたら精神面だけでなく、単純に体を動かすためのエネルギーが足りないのかもしれない。基本自分の『創造』は脂肪を燃料として使うが、体や脳を動かすためのグリコーゲン、糖分も相応に必要である。少しのめまい、脱力感は低糖質症状の一つだったと自分の知識の一部を拾って判断する。つまり無理をしすぎた。その一言につきる。
未だに動けない情けなさと、それだけやりきったのだという妙な達成感が混ぜこぜな中で、体に浮遊感を感じ、気が付くと自分は轟さんに抱えあげられていた。それも膝裏と肩に腕をまわされて、抱き上げられている。つまりは、これは、その、なんというのだったか。
「すぐに救護室まで運ぶ。どっか痛いところがあったら言ってくれ」
ああ、この人はここがどこで、どれだけの人が見ていて、この状態が俗になんという態勢なのか何もわかっていない。かと言って、それを拒否することはできるはずもなくて、私は顔を何とか動かした腕隠しながら、短く「はい」とだけ返事をした。
たとえ赤くなった顔を隠したところで、先ほどとは別の歓声を聞くことから逃れることはできず、視界に映ったミッドナイト先生がニヤニヤしながら轟さんに親指を立てている姿を見ていても、もはや力も気力も、抵抗する気もない私にはどうすることもできなかった。
またお仕事が始まりますので、更新が遅くなりますが今後もどうかよろしくお願いします。
ちなみに轟くんは下心は一切なく、善意で行動しております。天然で無自覚なのです。
緑谷出久にヒロインは必要でしょうか?あるいは必要なら誰がいいと思いますか?
-
必要なし。あるいは主人公がヒロインだろ?
-
原作ヒロイン麗日お茶子
-
ケロケロな蛙吹梅雨
-
B組もいいかも。
-
壊理ちゃんでもええやん