いつかは終わるヒーローたちのアカデミア   作:Agateram

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ようやく、試験までたどり着いた。

普通、二次創作なら試験から盛り上げてやらない?とか、いや、前編ってまだ試験終わらないのかよとかのツッコミはなしでお願いします。

後編は2,3日中には出す予定です。

それと、出久君とオリ主にカップリングとかないの?と聞かれたのですが、それもまぁ多分ぼちぼちわかると思います。




第8話 VS雄英高校入試試験 前編

『雄英高等学校』——通称“雄英”と呼ばれる全国最難関の一つであるヒーロー科を主体とするの学校。偏差値は軽く70を超え、毎回倍率は軽く300を超え、他の高校とは桁そのものが違う始末。

 

ここを受けるのは本当にヒーローを目指すものか、あるいは物見遊山か記念受験のものくらい。

 

受かるかも、などという曖昧な意思など拒絶するかのような狭き門がそこにはある。

 

そこに、一人の無個性が立っていた。

恐れも気負いもなく、覚悟を決めた瞳で淀むことなく歩を進める。

隣を歩く少年は、その覚悟の決まり方に、気負いも緊張も吹き飛ばすような眼光に息を吐く。

 

「お前、緊張とかねぇの?」

「あるよ。でもそれを受け入れても進まなきゃダメだ。そうしないとヒーローなんてなれっこない。」

 

これである。

これが15になったばかりの子どもの覚悟の決め方なのか。まぁ確かに先日行われた筆記試験はお互いに問題ない手ごたえを感じている。

後は今日の実技試験に全力を出すだけだ。

だから緊張しておらず、油断もない。いつも通りが一番で、このいつ、いかなる時でも全力を出せる気の入り方こそ、緑谷出久のいつも通りだ。

 

違うのは一つだけ、背中に背負った長物。

今回の試験は持ち込み自由。自分の個性や試験に生かせそうなものがあれば、事前申請をすることで法の範囲での持ち込みが可能となる。

故に出久は武器を持ち込んでいる。もちろん刃引きされているが、出久の技量と獲物の重量ならば、大抵のものなら問題なく破壊できるだろう。

 

つまりは、ガチもガチ。本気でこいつは無個性で雄英高校に受かり、その先のヒーローになるために来ている。

 

「それじゃ、お互いに」

「ああ、合格を勝ち取ろう。」 

 

コツンと拳を合わせて、同時に雄英高校の門を潜る。

 

妥協はない。油断もない。覚悟は決まっている。準備も済ませた。

後は結果を御覧じろ。

 

 

 

 

「今日は俺のライブへとようこそ!エヴリバディセイヘイ!」

「「yo-koso―!!」」

「おお!いいぜいいぜ。今年のリスナーは怖いもんしらずがいるじゃねぇか!

ここで返事をしたのはお前さんたちくらいだぜクレイジーボーイズ!!」

 

出久と二人で返事をしたことを褒められた。いやまぁ二人で勉強していた時に息抜きでヒーロー『プレゼントマイク』のラジオはよく聞いていたからノリでしてしまった面もある。

 

とはいえ、そのくらいリラックスした状態でなければ全力なんて出せない。だから二人して声を合わせて返事をした。まぁ出久は若干生ヒーローに感動している感はあるが。

 

そうこうしているうちにプレゼントマイクの入試説明は進んでいく。

途中で出久の隣の爆豪から舌打ちが聞こえたが、俺も出久も無視した。そんなことより今は入試の説明が優先だ。

 

受験生はこの後10分間の模擬市街地演習を行う。武器などの持ち込みも自由、ここまでは入試要項の通りだ。だから出久も自分の得物を所持している。

俺は自分の受験票を取り出し演習会場を確認する。演習会場はH、デクはAか。同じ中学校の人間が協力して試験に臨まない様にする為の予防措置ってとこだろう。

演習場を仮想敵が三種類、多数配置してありそれぞれの攻略難易度によってポイントを設けてあり、仮想敵を行動不能にしてポイントを稼ぎ、それが点数になる。ただし他人への攻撃などアンチヒーローな行為はご法度。

 

そこまではいいが、プリントに乗っている仮想敵のシルエットは4種類。ということはまだ何かあるのか?

「質問よろしいでしょうか!」

 

プレゼントマイクの言葉を切るように、説明会場の中央辺りの生徒から声が上がった。プレゼントマイクが許可を出すとビシッと手を挙げていた生徒が立ち上がり講堂に響く声で質問を投じた。

 

「プリントには四種の敵が記載されています!これが誤載であれば、日本最高峰である雄英高校ヒーロー科に於いて恥ずべき痴態!我々受験者は、模範となるヒーローの教示を得るべくこの場に座しているのです!」

 

言いかたと頭は固いが確かにそこは疑問点だった。だが、それってプレゼントマイクが説明終わってからでもよくないか?

 

「ついでにそこの縮れ毛の君と髪を後ろで結わえている君!先ほどからヨーコソーなどと、ライブにでも来ているつもりか!物見遊山のつもりなら即刻、ここから去り給え!」

 

……いいだろう。俺は平和主義だが売られたケンカは買ってやるぜメガネ?

こちらも無言で手を挙げるとプレゼントマイクから少し面白そうな顔でOKが出たので立ち上がって声を張り上げた。

 

「俺が言いたいのは三つだ眼鏡君。

1つ、俺たちがここから出るかどうか決めるのは俺たちの意思と学校が決めること。お前が決めることじゃない。

2つ、お前がさきほど質問したこともプレゼントマイク先生の説明が終わって質問がないか聞いてから聞くべきことで、説明を遮ってまで聞くことじゃない。

3つ、俺たちが返事をしたことだが、プロヒーローが、俺たちに問いかけ反応を期待しているなら応えるのが礼儀だろう!それとも何か?たかが試験ごときでビビッて声も出ないか?俺たちはここに何をしにきた?」

 

「何をって、雄英高校の試験を受けるために決まっているだろう!ふざけているのか!」

 

「ふざけているのはお前だ眼鏡!雄英高校のヒーロー科は狭い門だ。緊張するのもわかる。けれどそれくらいで緊張して縮こまっている奴が、誰かを救うヒーローになんてなれるわけねぇだろうが!だから俺たちはこう言うべきだ。俺たちは雄英高校に受かるためでなく、ヒーローになりに来たと!そしてヒーローになりたいなら、この程度の緊張くらい飲み込んでいかなくてどうする!先人の挨拶にくらい、しっかり応えてみせろ!」

 

「んん……そうか、そうだな。すまない。君たちと他の受験生にも無駄な時間をとらせてしまったことを謝罪しよう。申し訳なかった」

 

ふむ、ただ頭が固いだけじゃなくてしっかり他人の考えにも耳を傾けられるタイプか。

いいな。ああいうのは経験を重ねればその分伸びる。俺がそんな風に眼鏡君への評価を改めているとプレゼントマイクがじゃあ、改めてやらせてもらうぜ、なんて受験生を試すような笑いをしてきた。

来る言葉はわかっている。そして、今度はきっと、この場にいる受験生なら、

 

『受験生のリスナー!今日は俺のライブへとようこそ!エヴリバディセイヘイ!』

『yo-koso―!!』

 

そうだ。ヒーローになりたいというなら、このくらいの『色彩』は見せてもらわないとな。

その後、プレゼントマイクから四体目はお邪魔虫用の0ポイントの仮想敵であることが知らされ、一通りの説明は終わった。

 

「OK。近年稀に見るグッドな時間だったぜお前ら! 最後にそんなグッドリスナーたちへ我が校から校訓をプレゼントするとしよう!

かの英雄ナポレオン・ボナパルトは言った…『真の英雄とは、人生の不幸を乗り越えていく者』だと!更に向こうへ――『Plus Ultra』!!。それではリスナーたち、良い受難を」

 

 

 

 

 

 

受験生を乗せたバスのが止まると、そこには先目の前には大きな壁があった。演習会場はどうやら壁に覆われているらしい。しかもその中には壁を超えるような高さの建築物が見える。

 

「いや…マジか。受験場所がマジで街とか…どんだけだよ」

 

うん。誰が呟いたか知らないがホントそれな。

凄い税金の無駄遣い……いやもしかしてこれは個性とかで作られただけかもしれないから全てが建築業者で作られたものではないかもだが、この規模が複数あるとかホント凄いわ。雄英は防犯対策で詳しい校舎の設備とかは出回らないし、在校生や卒業生も基本的に守秘義務があるから情報はあまり出回らないからなぁ。

 

周囲を見渡すかぎり、民家という大きさの建物はない。

ビルばかりということは市街地の想定。見渡すかぎり人影らしきものはない。もしかしたら仮想敵から取り残された人を助けるとか、そういうのも隠しポイントであるとか思ったが、単純に戦闘できるかどうかを測られているのか。

 

そんな思考をしていると腹を抑えて前のめりになっている人影を見かけた。

体調でも悪くなったのだろうか。

 

「おい、大丈夫か。なんか気分わるそうだが。」

 

「あっ、あんたさっき講堂で反論してた人…」

 

「うん、それは記憶の彼方に置いといてくれ。少しばかり短気なだけで基本臆病な平和主義者だからな俺。それより腹を抑えているようだけど酔ったとか?」

 

「いや、ちょっと緊張しちゃって。お腹いたくなっただけ。ウチ緊張するとどうもお腹痛くなっちゃうみたいでさ」

 

ふむ……。まだテストまでは余裕があるし、このくらいならルール違反にもならないだろう。

 

「少し、待ってろ。………『穏やかなる春の息吹を持って健やかなる癒しをここに』」

 

個性を発動する。俺の個性である『春夏秋冬』の春は基本的に癒しを体現する個性。

それには精神や心身のリラックス効果なども含まれる。彼女に使用したのはそのリラックス効果を高めるだけのものだ。

 

「あ……なんか、あったかい。痛みも引いてきたかも…。これがアンタの個性?」

 

「一応な。けどこれはお前さんを強化したわけでも傷をいやしたわけでもない。ただちょっとだけリラックスさせただけだ。実力が出し切れないで落ちたなんて悔いが残るだろう?」

 

「……ありがと。」

 

「どういたしまして。お互い、頑張ろう」

 

ひらひらと手を振ってその場を去る。まぁこのくらいのケアは違反にはならんだろう。

ヒーローは困っている人がいれば助けるのが仕事だしな。

 

さて、そろそろ始まるころか。

出久はどうしてるかな?

 

 

 

集中する。

オールマイトのことも、試験のことも今は考えない。

 

目の前にあるのは自分の信頼する得物。そして鍛え上げてきた自身の肉体。

 

それだけが、緑谷出久の武器。

「個性」という手札がない。

 

だから、スタートから全力疾走。

己の最速、最短、最強の動きを終始行い続けなければ、この試験の合格はない。

 

周囲の、少なくとも見える範囲の状況確認は済んだ。

後は、スタートを待つだけ。

いつでも動けるように姿勢は前傾、

 

「はいスタート!……どうした!?実戦にカウントなんざ」

 

 

プレゼントマイクからのスタートの合図を聞いた瞬間、反射的に足が動き出す。ほかの受験生たちやプレゼントマイクの声が後方に聞こえるが、一切無用。

 

既に賽は投げられた。ならば、基本能力に劣る自分は疾走するだけ。

少し走ると、異形と会敵する。

腕を覆う装甲部分には2と書かれている四足の機械。

 

「標的発見…ブッコ!!」

 

遅い。ブッコロスとか言おうとしてたのだろうけど、そんなこと言う暇があったら先に攻撃するべきだ。だからそうした。

 

己が持つ長物の先が相手の頭のわずか下、首筋を貫き、少しばかり回転させた後一瞬で引き戻す。

それだけで2と書かれた仮想敵は沈黙した。

 

やはり、仮想敵とはいえ首や頭など人体の急所と弱点はほとんど同じらしい。それなら、やりやすい。自分でも物騒だな、なんて考えたが、そんな考えは既に二体目の頭を貫いているうちに捨ててきた。親友の動きに比べれば遅いし、脆いし、単調だ。屠るのは容易いが油断は禁物。ここは雄英。何か知らされていないギミックなどがあっても不思議じゃない。

 

後ろから大量の足音が聞こえる。

他の受験生がスタートの合図に遅れて気づいて駆けだしてきたのだろう。

 

ならばここは乱戦になる。そうなればポイントの奪い合い。ならもっと奥へ。

 

走り出す。周囲の敵の頭や首を穿ちながら、疾走する。

 

その両手には憧れのオールマイトは決して持ちえない得物が握られていた。

 

槍、人類でも最古の武器の一つで、おそらくは白兵戦武器の中で最も多くの敵を殺したと言われる武器。それが、緑谷出久が使う主な武器。己の四肢と並ぶ最大戦力である。

 

 

緑谷出久は個性がない。だから体を鍛え、技術を突き詰めた。しかし悲しいかな。彼は身長170cmと少し。鍛えていてもまだ15の肉体は未成熟と言わざるをえず、異形型で3m以上の肉体を持つものも決して珍しくない現代において、そのウェイト、間合い、破壊力では肉体のみでは劣ってしまう。

 

だからこそ、武器を持った。

武器の有用性は人類の歴史が証明している。マンモスのような自身より大型の獣も、豹やライオンのような俊敏な獣も、人類は武器や道具を用いることで屠ってきた。

 

だからこそ、出久が武器を取ったのも必然。

その中でも槍は使い勝手が良かった。出久の槍は素槍に近い棒状のもので、突きに特化しているが、他にも格闘戦の補助にも使え、石突も少々改良してある。

その持ち慣れた槍を振るいながら、出久は駆ける。

 

初手こそ出久は先んじたが、個性持ちが身体的、物理的に優位なのは変わらない。

 

気合を入れなおして出久は槍で仮想敵の頭を穿った。

 

 

ここからが正念場だ。

 

 

 





アンケート機能というのを使ってみたいこの頃。
しかしアンケートが0ならちょっと寂しいので使いづらい…。

次回、雄英高校入試 後編、お楽しみに。
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