レオニの日野森志歩のお話。

※かなり妄想入ってます。
※クラフトエッグ繋がりで、微妙なクロスオーバーあり。

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Leo/needのベーシスト

 私達がバラバラになったあの日から、私はずっとベースを練習し続けていた。

 あのステージに立ってみたいだとか、あのフェスに出てみたいだとか。なにか、明確な目標があるわけじゃない。自分でも認識出来ないような、根底にぼんやりとあるのは、一歌や穂波、咲希達とを繋いでくれるものだったから。そんな理由のような気がした。

 だから、離れてしまってもベースだけは捨てられなかったんだと思う。初めて音を合わせた時の感覚。奥底から湧き上がってくる、情熱的だけどクールでいて。新しいようだけど、なんだか懐かしくって。馬鹿みたいに笑い合っている事が、カッコ悪いくらいにカッコイイ。そんなリリックが、ふつふつと浮かんで来るような高揚感。その感覚を、私は忘れない為にベースを続けていたんだと思う。

 だから、懐かしむようにライブハウスへと飛び込んだ。ライブハウスでなら、あの時感じた感情的な鼓動を。……皆で見た、最高の夜空をもう一度見ることができるような気がして。

 

「志歩ちゃん、終わったらステージ上の掃除お願いね」

「分かりました」

 

 ライブハウススタッフ専用の、スタッフTシャツを着てモップを持つ。ここのライブハウスは、演者が入る前と演奏した後2回に分けて掃除を行っている。今は、1回目の掃除だ。

 

「そういえば、志歩ちゃん明るくなったよね」

 

 いきなり、ちょっと失礼なことを言い放ってきた先輩。私は、その言葉の意味を測りかねながらも、つい無愛想な表情をしてしまう。

 

「明るいって……。何処がですか?」

「んー、なんだろ。雰囲気とかは特に変わってないんだけどー、なんだか楽しそうって言うか」

 

 楽しそう。志歩は、思わずあの三人のことを思い出す。

 クールに見えるけど、以外と心配性な一歌。見た目はギャルだけど、とっても友達想いの咲希。誰にでも優しいけど、ダメな事はダメと言える穂波。その3人と、つい最近仲直りしていたのだ。

 その事が、自然と雰囲気とかに出ていたのかもしれない。

 

「……ま、いっか。そろそろ演奏さん達も来ちゃうし、掃除終わらせちゃおう!」

「……分かりました」

 

 自分から振っておいて、自分で占めた先輩だった。

 そんな中、私はライブハウスの受付スタッフとして呼ばれていく。スタッフの中には、演者さん達と打ち合わせする人もいるのだが、生憎今日は忙しい所へと飛ばされた。

 開演時間まで、ひたすらお客さんを捌く。そこそこの規模感があるライブハウスだった為、2人の受付だとなかなかきついものがあった。

 私は、溜息をつきながらも受付処理を済ませていく。

 

 ーー数十分後。

 

 

 私は、若干の倦怠感を覚えながらもライブステージの扉を開いた。

 受付が終わり、お客さんたちが帰るまでは少し時間がある。私は、その時間を休憩に当てることなく演者のステージを見ることに集中していた。

 少しでも、演者の技術を盗む。見て覚えろとはよく言ったもので、私も食入るように演者の演奏を見ていく。

 

 ーーそんな、いつもの風景の中。異彩を放つものがあった。

 

 それは、5人組のガールズバンドだった。黒……いや。限りなく黒に近い深緑の、ドレスのような衣装を身にまとい、ステージ中央へと歩み出る。

 ボーカル、ギター、ベース、ドラム、キーボードの構成だった。私の所属する"Leo/need"も同じ構成の為、私は一層集中して見ることにする。

 

 だから、気づけたのかもしれなかった。

 

 鐘が鳴り響く夜、黒い咆哮。ギターのサウンドが迸り、観客たちを震わせる。

 ベースと、ドラムの低音が心地いい。度々目を合わせながら演奏するその姿は、余裕すら垣間見えた。

 キーボードが音を際立たせる。強弱の強い、それでもメインに経つことのいその技量は、どうやったら身につくのか。

 極めつけはボーカルだった。

 

 "私達は頂点へと向かう"

 

 そんなことを思わせるような力強い声の中に、しっかりと残る"私は歌いたい!"という感情。全力で楽しみ、全力で今を歌うその姿に、私は圧倒されていた。

 

 ーー私も、こうなりたい。

 

 ライブを聞いている最中、私はぼんやりとそう思う。

 ベースは、私にとって繋ぎ止めるものだった。みんなとの絆を忘れないようにする、大切なものだった。

 だけど、これからはーー?

 

 そう。これからは、私も一回り上を行かなければならない。ただ、ぼんやりと練習し、上達しているだけでは勿体ない。

 ああなりたいい、こうなりたい。あんなふうに歌ってみたい、演奏してみたい。皆で、星空のもと音楽を楽しみながら、皆の想いを感じながらそれを音にしていきたい。

 

 ぼんやりと、また私の目標が定まりつつあるような気がした。

 

 ライブが終わり、演奏が降段していく。途中から、高い技量を持つベーシストしか目に入ってなかった私は、バイトが終わるなりそのバンドのことを調べ始めた。

 なんでも、限りなくプロに近い"高校生"達らしかった。私といくつも違わない、高校生。近いのに遠いような、そんな感じがする。

 だから、私はその人達を目標に決めた。近いけど、遠い様な感じのガールズバンド。特に茶髪のハーフアップだったベーシストを、目標に定めた。

 

 ーー私の目標は、この人達みたいな演奏。全力で楽しいと思えるような、想いを感じられるような演奏。

 

 

 その想いを胸に。私、日野森志歩は今日もベースを弾いていく。

 

 


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