八月某日、虹ヶ咲学園。夏休みを利用した合同練習にて。
「愛さんっ、お水をどうぞ!」
「おっ、ありがと!」
「塩飴も置いておきますね!」
「気が利くじゃん! ナデナデしてあげる!」
「えへへ。──じゃあ、善子ちゃん達にも渡してきますね!」
はにかんだルビィは、小走りに愛のもとを離れる。愛はキャップに口をつけながら、隣に座る実の姉へ話を振る。
「ルビィはいい子だね〜」
「当然ですわ! なんと言っても、わたくしの自慢の妹ですもの!」
「こんな立派な妹がいて、ダイヤが羨ましいな〜」
「そうでしょうそうでしょう!」
「一日借りてもいい?」
「勿論ですわ! ──って、はい?」
「おっ、まさかの二つ返事! サンキューダイヤ!」
「ちょっ……お待ちなさい! 今のは違いますわ!」
思わず立ち上がったダイヤを、頬を膨らませて愛は見上げる。
「いいって言ったのに〜」
「それは、勢いに釣られたと言いますか……。とにかく、そう簡単にルビィは渡しませんわよ!」
「え〜? ──じゃあかすみんと交換にしよ!」
運悪く近くを歩いていたかすみは、ボトルを取り落とす。
「ちょっと⁉︎ 何でかすみん巻き込まれてるんですか⁉︎ そもそも愛先輩の妹でもないんですけど⁉︎」
「いや、しかし……かすみさんとルビィでは釣り合いが……」
「ダイヤ先輩もかなり失礼ですからね⁉︎」
「え〜? じゃあさじゃあさ、アタシ住んでるの商店街だし、近所のおばちゃんが作ってる抹茶の和菓子差し入れする!」
「う……そ、そこまで言われては無下にするのは憚られますわね……」
「かすみん、抹茶に負けた……」
人知れず落ち込んだかすみを無視し、ダイヤはブンブン頭を振る。
「い、いえ! まだですわ! 我々が何を言おうと、ルビィの意思を尊重しなければ!」
「あ、確かにそれはそうだね。──おーい、ルビィ〜」
愛の声に気付き、トタトタ駆け寄ってくるルビィ。
「あの、どうかしました?」
「ねぇねぇ、愛さん家でお泊まりしない? アタシ、ルビィともっと仲良くなりたいんだよね!」
「えっ、ホントですか! ルビィも、愛さんとお話ししてみたいです!」
悩む素振りもなかったルビィに、姉に向かって愛がピースサインを見せる。
「……ルビィがそう言うのであれば、わたくしも反対はしませんわ。存分に楽しんでらっしゃい」
「よっしゃ善は急げだ! 今日この後うちにおいでよ! 着替えは貸したげるからさ!」
「は、はい!」
楽しそうな二人を見ながら、ダイヤはため息一つ。
「まあ、仕方ありませんわ。かすみさん、いらっしゃい」
「何が仕方なくなんですか⁉︎ てゆーか、かすみん関係なくないですか⁉︎」
「かすみさんでは愛しのルビィには程遠いですが、一日くらいならなんとか代わりになりますわね」
「ルビィちゃんの評価が高すぎるのか、かすみんの評価が低すぎるのか、もう分かんないです……。新鮮で美味しいお魚が食べたいです……」
もはや何を抗議しても結果は覆らないと判断したかすみは、諦めてその場を離れる。
「そんじゃ一日ルビィ借りるね!」
「お姉ちゃん、行ってきます!」
「あまり心配はしていませんが、愛さんのお宅に迷惑の無いようにするのですよ、ルビィ」
「はいっ!」
虹ヶ咲学園からほど近い商店街を歩きながら、二人は世間話に花を咲かせる。
「へ〜、砂浜で練習っていいトレーニングになるんだね〜」
「軸をブレないようにする体幹の練習には最適だけど、ステージの床は柔らかくないから実はやり過ぎは禁物なんだって果南ちゃんが言ってました」
「なーるほど〜。それはそうだ。でも練習の選択肢は増える訳じゃん? やっぱり海が近いっていいねぇ」
「お台場だって、海のすぐそばですけど……」
「んーでもさ、ココって元々埋め立て地じゃん? 確かに海との距離は近いんだけど、身近じゃない感じするんだよね〜。ビーチとか無いしさ」
「た、確かに……」
「愛さん泳ぐの大好きだし、内浦でダイビングとかやってみたいなぁ」
「ぜ、是非来て下さい! その時は、今度はルビィのお家に泊まって……あっ、でも千歌ちゃんとか果南ちゃんの家の方が、海の近くだ……」
「アハハハハ! ルビィはいい子だよね〜! そんな距離、ここから内浦に比べたら微々たる差じゃん! そりゃ旅館とかダイビングショップとかもキョーミあるよ? でも今は、ルビィとお泊まりする事が愛さんのしたい事!」
「愛さん……」
「でもそれはいつかの約束で──今日は、愛さん家でお泊まり! 着いたよ」
愛が立ち止まり、ルビィが建物を見上げる。
「あれ、でもここって食べ物屋さん……?」
「ああ、言ってなかったっけ? アタシの家、もんじゃ焼き屋だからさ」
「ええ⁉︎ す、凄い……」
「何が凄いのか分かんないけど、とにかく入りなよ。晩ご飯には愛さんスペシャルご馳走してあげる!」
愛がにこやかに笑って引き戸を開けると、
「──あら、愛ちゃんお帰りなさい」
見知らぬ女性が出迎えてくれた。
「あれっ、おねーちゃん⁉︎」
この時のルビィは、愛さんにもお姉ちゃんがいるんだな、くらいの感想しか持っていなかった。
「愛ちゃんが他校の子とお泊まり会するって言うんだもの。きっとスクールアイドルの子なんだろうなって思ったら、ちょっとお話聞きたくなっちゃって」
「うええ、サプライズされちゃったなぁ。今日は来ないって言ってたのに」
「お邪魔だったかしら……」
「全っ然そんな事ないってば! 嬉しくてビックリしちゃっただけ! 絶対盛り上がるもん!」
「ちゃんとお店のお手伝いもするから」
「そーゆーのはアタシがやるから、おねーちゃんはゆっくりしてなきゃダメ!」
「愛ちゃんいつもそう言うんだから……」
「……?」
だが、姉妹の会話にしては微妙に違和感がある。そして女性が、ルビィに小さく手を振る。
「初めまして、川本美里です」
「え、え、え……?」
名乗られた事で、ルビィの混乱はさらに加速する。離婚、再婚、別居、様々なかつ重い可能性がルビィの脳内を巡ったが、
「あ、そっかちゃんと説明しないと分からないわよね……。──ごめんね、愛ちゃんとは昔から近所の付き合いなだけで、血は繋がってないのよ。ちょっと歳の離れた幼馴染みたいな関係なの」
幸いにも混乱を読み取った美里から助け舟。
「あ、な、なるほど……」
「で、こっちは、沼津にある浦の星のスクールアイドル、Aqoursのルビィ!」
「く、黒澤ルビィです!」
思わず背筋を伸ばしたルビィに、美里は小さく笑う。
「そんな緊張しなくてもいいのに。よろしくね、ルビィちゃん」
挨拶を済ませたルビィの背中を、愛が軽く叩く。
「よしっ、じゃあ先に着替えてこようか。制服にもんじゃの匂いつける訳にはいかないもんね。アタシの服貸してあげるから!」
「ごゆっくり〜」
愛の自室に通されたルビィは、部屋のカラフルさに少し目を丸くする。そして壁にかけられた表彰状を見つける。
「あーそれ? そんな大した事してないよ。楽しくやってただけだから」
「や、やっぱり愛さんって凄い人なんだ……」
「Aqoursのライブ見てたら、ルビィが頑張り屋さんの凄い子だって分かるよ? もっと胸張っていいって!」
そう言って愛は、着替えをルビィに手渡す。
「サイズ合わなかったら言ってね」
「……あの、愛さん」
袖を通したルビィだったが、おずおずと挙手。
「お、どした? 腰回りとかキツかった?」
「キツいというか、胸元が……」
「っあ〜……」
二人のバストサイズには、決定的な違いがある。それ故かルビィの襟首がゆるゆるに垂れている。とても、人前に出られる格好ではない。
「そっか〜それは盲点だったなぁ……。──あ、じゃあちょっと待ってて」
愛はタンスを奥の方をゴソゴソと漁ると、
「──あった! 小学生の時のジャージ! これならどう?」
シンプルな運動着を引っ張り出した。
着替えてみたルビィは、
「……ピッタリです」
「良かった〜! じゃあ下行こっか! 愛さんスペシャルもんじゃ、振る舞ってあげるからねっ!」
「小学生の愛さんと、今のルビィのスタイルが同じ……。──ルビィ、もっと牛乳いっぱい飲むっ!」
人知れず決意を固めていたルビィだが、愛は気付かない。
一階へ降りたルビィは、お店の裏側のリビングへ通された。
「お店はお客さんいて騒がしいし、ずっと座席占領する訳にもいかないからね。広くない鉄板でゴメンだけど、我慢して!」
そう手を合わせた愛に、ルビィはとんでもないと首を横に振る。
「お店もあるのに、ルビィに付きっきりでごめんなさい……」
「なーに言ってんの! 今日はちゃんとお休み貰ったし、ルビィは気にしなくていいの!」
「そうよルビィちゃん。愛ちゃんはね、いつもお手伝い頑張ってるの。だからたまには休んでも、誰も気にしたりしないのよ」
「おねーちゃんそういう事は言わなくていいの!」
ボウルに具材を入れて持ってきた愛は、ルビィの前に置く。
「もんじゃ焼きって、作った事ある?」
「えっと……多分、無いです」
「じゃあ、ちょっと作ってみる?」
「で、できるかな……」
「簡単簡単! ──まずは具材をかき混ぜる……だけど、これはもう下準備でやっちゃった。から、鉄板で具材を焼くよ〜」
指示通り、ルビィは野菜や海産物が混ぜ込まれた具材を落とし込み薄く広げる。
「そしたら、ヘラを使って細かく切る!」
「こ、こうかな……」
「土手を作って──ドーナツみたいに、真ん中に穴を空けて」
分かりやすく言い換えてくれた指示で、ルビィは真剣な表情でヘラを動かす。
「あ、おねーちゃんカメラ係お願いね」
「言われなくても、準備してるわ。だってルビィちゃん可愛いんだもの」
「え、えええ……」
何やらケータイのカメラを向けられているようだが、今のルビィにはそれに反応する余裕はない。
「最後に、残った出汁を流し込む!」
ボウルの底に残った液体を真ん中の空洞へ流し込むと、途端に香ばしい匂いが辺りを包んだ。
だが、高温の鉄板で沸騰した出汁の飛沫が、ルビィへと飛んだ。
「あちゅ……っ⁉︎」
反射的に手を引っ込めたルビィ。
「油撥ねちゃった⁉︎ 大丈夫⁉︎ ──おねーちゃん氷!」
「任せて」
次の瞬間には、愛がルビィの手を握っていた。その表情には、いつものにこやかさは無い。
「飛んだのどの辺?」
「えっと、甲の辺りに……」
真剣すぎるその眼差しに、ルビィは驚きをない混ぜにされるがままだった。
「──はい、氷とタオル」
美里がビニール袋に入った氷と濡らしたハンカチを手に戻ってくると、愛はようやくルビィの手を離した。
「ちょっと撥ねただけっぽいから、火傷の心配はなさそうかな。でも念の為、氷で冷やしておいてね」
「あ、ありがとうございます……」
氷とハンカチを受け取ったルビィは、
「愛ちゃん、こう見えて心配性な所もあるの。だから安心させてあげて、ね?」
と美里からウインクされた。
「──っと、ちょうどもんじゃがいい感じに焼けたね! じゃあここからは、愛さんにお任せあれ!」
愛の華麗なヘラ捌きを見つめながら、ルビィは手の甲の冷たさを感じていた。
火傷騒動以外は賑やかで楽しい食事会を過ごし、『愛さんスペシャル』で満腹になったルビィは愛の自室で電話をしていた。愛本人は、美里を送り届ける為この場にはいない。
「──うん、すっごく楽しかったよ。もんじゃ焼きも美味しかったし!」
『まあ、そうでしたのね。あの愛さんですからあまり心配はしてませんでしたが、退屈していないのなら何よりですわ』
「かすみちゃんは、どうしてるの?」
『せっかくなので、秘蔵のスクールアイドルのライブ映像鑑賞をしようと思っていたのですが……』
「ですが?」
『……宿題を、後回しにしていた事が発覚したんですの』
「ああ……」
『なので今は、それを片付けている最中ですわ。──かすみさん! ケータイを弄っている場合ですか! またおバカ王の称号を獲得したいんですの⁉︎』
『──ダイヤせんぱーい……ちょっとくらい息抜きしましょうよぅ……。かすみん、もう頭パンクしそうです……』
『課題をサボっていたあなたが悪いんでしょう!』
『うえぇ〜ん……ルビィちゃん助けて〜……』
『──話が逸れましたわ。愛さんは勉強もできますし、ルビィも分からない部分があれば教えてもらうと良いですわね』
「うん、でもいつもお姉ちゃんが教えてくれるから、ルビィは困ってないよ」
『ルビィ……。うっ……こんな健気で可愛い妹を持てて、わたくしは幸せですわ……』
『じゃあ〜、同じく健気で可愛い〜かすみんに免じて〜、勉強会はここらで切り上げませんか〜? 今日はかすみんがダイヤ先輩の妹なんですし〜?』
『黙らっしゃい! わたくしの妹はルビィ一人で充分ですわ!』
『何でそこだけ急に頑固なんですか⁉︎』
向こうの勉強会はまだまだ時間がかかりそうだと察したルビィは、適当な所で通話を切り上げる。ケータイを耳から離した直後、
「──ただいま〜」
愛が部屋のドアを開けた。
「お、電話終わった?」
「はい、お姉ちゃん……と、かすみちゃんと」
「向こうも楽しそうだった?」
「勉強会、してました……」
「あ〜、かすかすってば、また宿題サボってたなー? これはまた、抜き打ちテストで目を覚まさせなきゃかな〜」
悪戯を思いついたような笑みを浮かべる愛。
「同好会のメンバーの勉強って、愛さんが見てるんですか?」
「んーいや? そういう訳じゃないよ。三年生の範囲は分からないし、流石に全員分把握するのはアタシでもキビシ〜からねぇ。訊かれたら教える感じ」
「勉強もスポーツもできて、スクールアイドルのパフォーマンスもバッチリ……やっぱり愛さんって凄い……!」
「そんな持ち上げなくていいってば〜。例えば、ルビィのキュートさはアタシには無いモノだし……スクールアイドルへの知識とか、好きなモノへの情熱は敵わないもん」
あっけらかんとした愛の態度に、ルビィは驚嘆して言葉に詰まる。
「お互いの褒め褒め合戦も悪くないけど、そろそろ寝よ? 明日も合同練習あるんだし、夜更かしさせたらダイヤに怒られちゃいそう!」
「た、確かに……」
お泊まり会の翌日の練習で大あくびなんてしては、自分はともかく愛までお説教されてしまうかもしれない。ルビィとしてもそれは避けたい。
促されるままベッドに潜り込んだルビィは、その横に当たり前のように愛が寝転がるのを見て思わず目を見開いた。
「え、ええっ?」
「あれ、嫌だった? いや〜ごめんっ。ついついりなりーの時と同じ感じに……」
サラッと凄い事実を知った気がするが、それはともかくルビィは小さく首を横に振る。
「い、嫌とかじゃないです! ちょっとビックリしただけで……」
「まあシングルベッドじゃ狭いもんね。──でもさ、ルビィとこうして一緒に寝てみたかったんだよね〜」
「そ、そうなんですか?」
「うん。カナちゃんは『ルビィちゃん体温高そうだから、抱き枕にしたら絶対すやぴできる〜』って言ってたし、エマっちも『いつかルビィちゃんを膝枕して、いい子いい子してあげるの』って笑ってたから」
「…………」
他校の先輩にとんでもない目で見られていた事を知り、ルビィは一人戦慄する。
「まあ安心してよ。アタシは寝付きいいし、ルビィを困らせて眠れなくするような事はしないからさ!」
愛は何度も見せた快活な笑顔を浮かべると、ルビィの前髪を払って頭を撫でる。
「おやすみ」
「おやすみなさい……」
その声色に、不思議と安心感を覚えたルビィはすぐに眠りに落ちていった。
翌日。
自然と目を覚ましたルビィは、目の前の景色に違和感。それから、追いついてきた思考で現状を把握した。
隣で寝ていたはずの愛の姿は見えない。寝坊したのかと壁の時計を確認するが、朝練で起きる時間よりやや遅い程度。今日の合同練習の集合時間には、まだ余裕がある。
「愛さん、どこ行ったのかな……」
二度寝するには時間が中途半端なので、ルビィはベッドから降りて部屋のドアを開ける。──そして、鼻腔をくすぐるいい匂い。
匂いを辿るように一階へ降りると、愛がキッチンに立っていた。
「お? ルビィも起きたんだ。おはよっ!」
「お、おはようございます」
すぐに気付いた愛は、振り返って笑顔。
「ご飯できたら起こしに行こうと思ってたんだけど、匂いにつられちゃった?」
「そ、そんな事は……」
否定しようとしたルビィの言葉を遮るように、そのお腹からくぅ、と小さな音が鳴る。
「…………」
「食いしん坊さんめ〜」
「うぅぅ……」
顔が熱くなるのを感じながら、ルビィは空気を読まないお腹を押さえる。
「いいじゃんいいじゃん! 朝からお腹が空くのはいい事だよ! もうちょっとでできるから待っててね〜」
「は、はい……」
虹ヶ咲学園にて全員集合すると、ルビィも昨日ぶりに姉と顔を合わせる。
「ルビィ、いい子にしてましたか?」
「そりゃあもうメッチャいい子だった! アタシが言うんだから間違いない!」
「それなら良かったですわ」
その横で、練習前から元気の無いかすみをルビィは見やる。
「ルビィちゃん、ダイヤ先輩といつも一緒なの尊敬する……」
「そ、そんな事ないと思うけど……」
「なんですか人を悪代官みたいな言い方して」
「かすかすが宿題やってないからでしょ〜?」
「かすかすって言わないで下さい!」
「嫌なら、ちゃんと宿題やって愛さん見返してみなさい!」
「うぐっ……それを言われると……」
何も言い返せなくなったかすみへと、
「やはり、かすみさんではルビィの代わりには遠く及びませんですわ……」
ダイヤの容赦ない追い討ち。
「かすみん巻き込まれただけなのに、どうしてこんなメンタルボロボロにされなきゃいけないんですか……」
「そーなんだよ! ルビィメッチャいい子でさ! りなりーみたいにぎゅーって抱きしめて守ってあげたくなっちゃうの!」
熱弁される横で、ルビィは恐縮して小さくなる。だが次なる爆弾発言で、弾かれたように顔を上げた。
「──今日から改名して、『宮下ルビィ』になっちゃおうよ!」
「ええっ⁉︎」
「絶っっっっ対にぶっぶーですわ!!!」