オリジナル展開及び綺麗な空手部大活躍というお話に異世界スマホファンの人たちと淫夢民の人たちからどのような罵倒が飛び出すか不安のあまり日々デカ枕を濡らしてすごしております(恐怖)
「着いたのじゃ!」
スゥシィによる案内から10分後、木々が鬱蒼と茂った森の中、その空間だけ別世界のように広がっていた。円形の広場となっているそこは、色とりどりの花々が咲き乱れており、まさに花の絨毯とも言うべき光景。花の蜜を求めて数匹の蝶が舞うことで、まるで御伽噺の世界に迷い込んだかのような錯覚を覚える。
「なんだこの場所は……たまげたなぁ(感動)」
「すごいゾ~ここ」
「ポッチャァ」
「まさに秘密の場所、ですね」
「何とも見事な……美しい光景でござる」
口々に呆然としつつ、美しい花畑に見惚れる一行。フフンと自慢げに鼻を鳴らしたスゥシィは、できるだけ花を避けるようにして先に進む。
「さぁ、花を摘むのじゃ。早くしないと日が暮れてしまう」
「お、そうだな」
「ポチャ」
「摘みますよ~摘む摘む」
「花を踏まないように気を付けないといけませんね」
「心得たでござる」
一歩足を踏み入れると花の甘い香りが鼻腔をくすぐる。それが何とも心地よい。
「あ~いいよいいよいいよいいよ~……ここを秘密にしたくなるって、はっきりわかんだね(乙女)」
「確かに、素晴らしい場所でござるな……大勢が踏み入れてはいけない、自然の聖域のようでござる」
両頬に手を当ててうっとりしている野獣と、感動の面持ちでこの景色を目に焼き付けていく八重。その間にも、スゥシィは摘んでいく花を吟味していた。
「ん~、一色にまとめるか、或いはいろんな色にするか……どんな風にするか迷うのぅ」
「スゥちゃんが送るんだからどんな色でもカッチャマなら喜んでくれるゾ」
「そういうわけにもいかん! せっかく母上に送るプレゼントなんじゃ、適当に摘んでは逆に美しくない! それにあまり摘みすぎては花が可哀想じゃ」
「だよね……摘みすぎるのもよくないよなぁ」
「ファッ!? は、蜂が飛んでる! 八重、パスパス!」
「ちょ、拙者の方に誘導しないで欲しいでござるよ野獣殿!?」
「ポチャ!?」
「いやアンタら何してんですか」
そうしてしばらくの間、スゥシィが幾つもの花に触れてはあぁでもない、こうでもないと悩みながら移動する。一行もまたスゥシィに気になった花を勧めてみるも、どうもピンと来ないようだった。
「う~ん、なかなか決まらんのじゃ……」
「焦らなくてもいいんだゾ。こういうことで悩むのはとってもいいことだからなぁ」
「うぅ、すまんのじゃ。お主らも一生懸命探してくれているというのに……」
「僕たちのことは気にしないでいいよ。勝手についてきただけなんだから」
「チクッ(必殺の一刺し)」
「ヌッ(即死)」
「あぁ!? 野獣殿が蜂に刺されたでござる!?」
「ポチャァ!」
「だからアンタら何してんですかって言ってんだろ」
やがて時間だけが過ぎてゆく。うーんうーんと唸るスゥシィだったが、やはりどれも彼女の中で納得のいく色合いが出来上がらないでいた。
「やっぱりダメじゃ。わらわは花を選ぶセンスが無いのぅ……」
「そんなこと無いゾ。納得いくまで俺たちも付き合うからな~」
「けど、さすがにもう少ししたら帰ろう? 暗くなる時間まで外を出歩くのは公爵さんも心配するだろうし」
「そう、じゃな……けどもう少しだけ、もう少しだけ探させて欲しいのじゃ」
「やっぱ、九重さんの……軟膏を……最高やな!(復活)」
「せ、拙者の貴重な軟膏が……」
「ポチャ(肩ポン)」
落ち込むスゥシィを励ます三浦と木村。ついでに木村は後ろの光景はもう無視した。
「あっこの花とかどうかゾ?」
「ん? どれじゃ?」
三浦が自身の足元に生えている花を指さす。スゥシィもその花がどんなものか気になり、三浦と一緒に覗き込んだ。
三浦としては、この行動に他意はない。ただちょうど気になった花を見てもらおうと、スゥシィを呼んだだけだ。
「……っ!? 二人とも、危ないでござる!」
それが結果的に、八重が感じ取った殺気からスゥシィと三浦を救うことになるなど誰も思わなかっただろう。
三浦の傍に屈んだスゥシィの大きな帽子が吹き飛ぶ。そして鋭い音をたて、花畑の中にスゥシィの帽子が落ちた……そこに一本の矢が突き刺さった状態で、だ。
「ファッ!? 矢だよ!(見たまんま)」
「な、何じゃ!?」
「スゥちゃん、俺の傍から離れちゃダメだゾ!」
「ポチャ!」
唐突すぎて混乱する一行。咄嗟に八重が刀を抜き放ちスゥを背中に庇う位置に立ち、三浦たちも立ち上がってスゥに背を向けるようにして立つ。全員がスゥの盾になるような陣形のまま、一行は警戒する。
やがて、木々の間から黒づくめの服を纏った男たちが現れる。数は八人。静かな足取りで一行に走り寄り、そして一定の距離を保ったまま取り囲む。
明らかに友好的とは言えない。一人一人から発せられる殺気、そして手に持っている切っ先鋭い剣が、何のためにここにいるのかを物語っている。
「何者でござるか、お主ら」
いきなり矢を放ってくるような連中に対し、友好的態度を示せるわけがない。八重は刀を構えながら静かに、それでいて怒気を滲ませながら男たちに問いかけた。
「…………」
「質問されたらちゃんと答えるのが礼儀だって、それ一番言われてるから(一般常識)」
男たちは答えない。ただ沈黙を保っている男たちを野獣もまた怒りを湛えつつ口にした。
だが一行には連中の正体に当たりをつけている。スゥシィがこの場にいる時を狙ったかのように現れ、そして矢を使っての襲撃。これらから導き出されるのは一つ。
「もしかして、こいつら……」
「明らかに以前スゥの馬車を襲撃した輩の仲間だろう」
木村が本を携えつつ、そして三浦は閣下モードへ切り替わって拳を構える。野獣はと言うと、どこに隠し持っていたのか、以前リザードマンから奪い取った曲刀を手に構えた。
花畑を、殺気が覆っていく。やがて男たちは、ジリジリと距離を詰め出した。一歩、男の一人が足を踏み出す。
その際、ぐしゃりと音をたてて花が踏み潰された。
「「「あっ」」」
「っ!?」
「あぁっ……!?」
戦いにおいて、冷静さを失うのは悪手だというのは常識である。常に頭は研ぎ澄ませておき、いかなる状況にも対応できるようにする……それが勝利の秘訣だ。
しかし、時としてそれが当てはまらない場合がある。怒りはエネルギーだ。そのエネルギーが爆発した時、人は予想だにしない行動をする時がある。
今回の場合、怒りのエネルギーが爆発するキーは二つ。一つは、目の前で男が無慈悲にもスゥシィにとって大切な場所の花を踏み潰したこと。二つ目は、スゥシィがそれを見て思わず泣きそうな声を上げたこと。
そのキーに……迫真空手部の怒りの琴線に触れた男たちに襲い掛かったのは、
「「「アァァァアァァアァァア!! テメェェェェェェェェェェェェッ!! なにしてんだぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」」」
凄まじいまでの怒号と、ブッ刺さるような怒気である。
「っ!?」
空気を震わせる程の叫びを耳にして、男たちが狼狽える。何が切っ掛けとなったのかわからない男たちには、野獣たちが突然怒りの咆哮を上げたことに対して理解ができなかった。故に隙を曝け出す結果となってしまう。
まぁ、理解する必要はなくなったわけだが。その理由は、単純明快。
「頭行きますよぉ!(顔面)」
まず一人目が一瞬にして接近してきた野獣の剣の背を利用したフルスイングを顔面にモロに受けて意識をかっ飛ばされ、
「この畜生めがぁっ!!」
「ポッチャァァァ!!(怒りの叫び)」
二人目が三浦の飛び回し蹴りを受けて壊れた人形のように倒れ込み、その際三浦の肩に乗りつつ強力な水弾を発射したポッチャマによって三人目もまたぶっ飛ばされ、
「風よ来たれ、暴風の鉄槌、ウィンドブロウ!」
四人目が木村の風魔法を身体全体で受け止めて吹っ飛んでいったためだ。
「ふっ! はぁっ!!」
唯一狼狽えることのなかった男二人はスゥシィを狙って駆け出すも、スゥシィを背にしている八重によって振るわれた刀の峰によって昏倒する。冷静なようでいるようだが、八重もまた怒りの炎を胸に湛えたまま戦っていた。
「八重、殺すな。黒幕を知るためにもこいつらはかならず捕えて突き出すぞ」
「わかっているでござる! 同じ轍は踏みはせぬ!」
三浦にそう答えつつ、襲ってきた男の剣を刀で受け止める。そして受け流してがら空きになった腹に拳を叩き込み、気絶させた。その隙を突いた別の男が八重へ向けて剣を振るうも、瞬時に接近した三浦の手刀を首筋に受け、何もできずに倒れ込んだ。
これで全滅……否、まだ終わってはいない。
「全員警戒しろ! まだ弓を持っている敵がいるはずだ!」
三浦が叫び、再びスゥシィを庇うように陣形を組む。気絶した男たちは弓を持っていない。それすなわち、最初の矢を放った敵が残っているという証でもある。一瞬逃げたかとも考えたが、いまだ森の中から気配を感じる。故に警戒を緩めることはできない。
しかし、気配はすれども姿は見えない……いつまでもここで持久戦をしているわけにもいかない。
「一体、どこに潜んでいるのでござろう……?」
「わ、わかりません……何か、遠くを覗けるような物があれば探しようがあるんですけど……」
木々に隠れている敵だが、かならずどこかに隙間がある。矢が突き刺さった位置、そして傾き具合を鑑みると、おおよその位置はわかるも、正確な位置までは判別つかない。木村の言うように、双眼鏡のような物があれば探しようがあるのだが……。
「う~し……見とけよ見とけよ~?」
ここで野獣が動く。懐を探りながら、いまだ姿を見せない襲撃者に向けて野獣の目が鋭く光った。
男は、仲間たちが全滅したのを見て焦っていた。最初はあの坊主頭の男を狙ったが、運は連中を味方し、矢は命中することなく地面に突き刺さってしまった。最初の一手で確実に一人を仕留めるつもりだったのが、いつの間にかこちらが窮地に立たされていることに男は今になって気付いた。
依頼主からは娘を生きて捕えて来いと言われていたが、連中は手強い。誰か一人に向けて矢を撃てば、位置がバレてしまってこちらがやられる。応援を呼ぶ手段もない。つまり、もう依頼を遂行することは不可能だ。
腹立たしい。一介の冒険者風情に自分たちがやられるなど……男はプライドを傷つけられ、憤る。
そして決意する。一人は確実に殺すと。それは腹いせ以外の何物でもないのだが、男はそんなことを気にすることはない。
大丈夫、自分がどこにいるのか連中はわかっていない。いつ来るかわからない攻撃に怯えつつ、せいぜい突っ立っているといい……そう嘲りながら男は矢の弦を引いていき、狙いを手前側に立っている肌黒い男に決めた。そしていざ、矢を放とうとした。
が、その男が奇妙な掌サイズの銀色の板をこちらに向けているのを見て、思わず「は?」と声を上げ、矢を撃つのを忘れてしまった。
「いたぞぉ!」
「やれ、ポッチャマ!」
スマホを構え、拡大した液晶画面に映る鋭い光を発見した野獣が叫ぶ。すかさず三浦の肩の上のポッチャマが腹を膨らませ、
「ポッッッチャァァァァァァァ!!」
凄まじい勢いのみずでっぽうが小さな嘴から飛び出した。
「ぶわっ!? う、うわぁぁぁぁぁっ!?」
みずでっぽうは木の葉が密集している一本の木、もといそこに隠れ潜んでいた男に命中、直後に慌てふためく声が聞こえたかと思うと、男は枝から落下。柔らかい草の上に落ちて、呻き声を上げたかと思うと動かなくなった。遅れて男が持っていたとされる弓も地面に落ちる。
「やった……!」
「気配は……もう無いでござるな。拙者たちの勝利でござる!」
「FOO! やったぜ」
「スゲー疲れたゾ~」
「ポチャァ(勝利のV)」
合計九人。黒づくめの男たちを倒した一行は、互いの健闘を讃えてハイタッチを決めたのだった。
「またお主たちには助けられたの……礼を言うぞ」
男たちをロープでふん縛ってから、スゥシィが一行に礼を言った。襲った男たちはいまだ気絶しているが、野獣と八重によってもう二、三発殴られて頭にでかいタンコブをつけている。
「スゥちゃんは怪我無かったゾ?」
「わ、わらわは大丈夫じゃ……帽子はダメになってしまったがの」
三浦の気遣いに笑って返す。しかし、その顔はどこか暗く、泣くのを堪えているかのようだった。
「……けど……」
言って、笑顔を消したスゥシィが三浦たちから視線を外す。その先には、先ほどまで美しく咲き誇っていた花々……の、無残な姿。男たちが踏み荒らしたせいで幾つもの花が散り、潰れたり茎が折れていたりと、先ほどまでの景観が台無しだった。
「スゥ殿……」
何と声をかければよいのか、八重にはわからない。母親に見せたかったという秘密の場所を踏み荒らされて辛くないはずがない……が、スゥシィは気丈にも笑って見せた。
「へ、平気じゃ! 花はダメになってしまったけど、プレゼントの候補は他にもあるからの!」
「っ……」
嘘をついている。それがわかるからこそ、余計八重は居た堪れない思いを抱いた。
もっとうまく立ち回っていれば、花は無残にも踏み潰されずに済んだかもしれないのに……強い後悔が、八重を襲った。
「さ、帰るのじゃ。連中のことを父上に報告せねばならぬしな!」
「……御意にござる」
言って、堪えている顔のままスゥシィは歩き出す。それに八重も続こうとした。
が、それに待ったをかける者たちがいる。
「あ、おい待てぇい(江戸っ子)。肝心なことやり忘れてるゾ」
「ん……おかのした」
「わかりました」
「ポッチャ」
「……? 三人とも?」
呼び止めた三浦に野獣と木村、ポッチャマが続く。唐突に何をするつもりなのかと、スゥシィが首を傾げる。
と、三人と一匹が屈み込んだかと思えば、潰れた花に手を伸ばす。そして、
「よし、じゃあ植え直してやるぜ」
「ポチャポチャ」
「こいつ立たねえなぁ……じゃあ俺が立たしてやるか! しょうがねぇな〜(慈愛の心)」
「丁寧に扱ってやってくださいよ。花だって生きてるんですから」
潰れた花や折れた花を丁寧に戻し始めた。
「お、お主ら、何をやっておるのじゃ?」
突然のことにポカンとしているスゥシィに、野獣たちはきょとんとした。
「何って……見りゃわかんだろ? ちょっとでも元通りにしようと思って植え直してんだよ」
「当たり前だよなぁ?」
「ポッチャ」
「前のような見栄えになるには時間がかかるけど、少しでも以前のような形にしたいからね」
「だ、だけど……」
男たちに踏み荒らされた花は数えきれない程ある。もはや原型を留めていない花だって少なくない。にも関わらず、野獣たちはやめない。
「お前スゥさぁ、花潰されてさぁ、悲しい思いしてるの自分だけだと思ってないよな?」
「そうだよ。せっかく綺麗だったのに台無しにされて俺だって悲しいゾ」
「これは僕たちのためでもあるんだよ。それに植物の力って、案外侮れないんだよ? 次来た時には元に戻ってるかもしれないし」
「っ……!」
彼らだって美しい花畑を前にして感動していたというのに、それを滅茶苦茶にされて怒らない筈がない。ましてやそこが友人の大切な場所なのであれば尚更だ。
だから自分たちにできる部分は可能な限り戻す……後悔しかしてなかった八重にとって、それは衝撃であり、そして何故気付かなかったのかと自省した。
スッと、八重も野獣たち同様身を屈め、まだ比較的傷のない萎れた花に手を伸ばす。着物が泥だらけになろうが、構わず花の茎を折らないように丁寧に戻していく。
「八重……?」
「スゥ殿、拙者も共にやるでござる。お母上に贈る花がまだあるやもしれませぬゆえ」
スゥシィのために、そして自分たちのために、迫真空手部である四人と一匹は丁寧に、それでいて騒ぎ合いながらも花を戻していった。
「木村も結構、植え方うまいじゃん」
「ありがとうございます」
「しっかり根っこから掘り出してな~」
「野獣殿、そこの花はまだ大丈夫な花ではござらぬか?」
「チクッ(リベンジ)」
「ヌッ(昇天)」
「ってまた蜂に刺されてるでござる!?」
「ポッチャァ……(放置)」
「っ……」
いつもと変わらない様子の彼ら。土まみれになっても騒ぎ合っていても手だけは止めない。それを前にして、スゥシィは堪えていた物が決壊しかけ……しかし必死に袖で目元を拭ってどうにか持ち堪えた。
そして、笑顔を取り戻したスゥシィも彼らに加わった。
「わらわも……わらわもやるぞ! お主たちにだけやらせはせんからな!」
「いいゾ~それ! また来た時にスゥちゃんのカッチャマが喜ぶように頑張ろうな~」
「チクチクチクチクチクッ(無慈悲な攻撃)」
「アー逝キソ逝キソアッアッアッ……(チーン)」
「野獣殿ぉぉぉ!?」
「ポチャァッ!」
「あの、遊んでないで手伝ってくれませんか野獣先輩?」
こうして、彼らは黒づくめの男たちを横に転がしながら空が夕焼けに染まる頃まで騒ぎ合うのだった。
最後、ポッチャマがみずでっぽうで小雨の如く花に水を与えた際に発生した美しい虹。元通りとはいかずとも、やがては以前の景色を取り戻すであろう花畑を思いながら眺めるその景色を、スゥシィは忘れない。
~1145141919秒後~
「そうか……またもやスゥを狙う輩が現れたか……」
「はい……恐らく、以前馬車を襲った同一犯かと思います」
日が暮れて今は夜。一行は捕えた男たちを衛兵に突き出し、スゥシィを送り届けるために再び公爵邸へ訪れていた。スゥシィを休めてから屋敷の一室で事の顛末を向かい側のソファに座る公爵に説明し、公爵の顔は険しくなる。
「……本当に君たちには世話になってばかりだ。まさか二度もスゥを救ってくれるとは……ありがとう以外に感謝の言葉を伝えられるのならと思ってならない」
「こ、公爵殿、どうか頭をお上げくだされ!」
再び頭を深く下げる公爵に八重が慌てる。またも王族の頭を下げさせてしまい、八重の肝が冷える。
「別にいいって言ってんじゃーん。俺らだってスゥとたまたま会ったからこうなっただけだし」
「そうだよ。偶然だゾ」
「野獣殿~三浦殿~……!」
なのにこの二人は相変わらずときた。恨みがましい目で二人を見るも、野獣と三浦はどこ吹く風。
「けど、妙ですよね……スゥちゃんが家を出るのを知っていたのは一部の人だけだって言っていたし……」
「そのことなのだが……」
木村の疑問に、公爵が答える。何とも苦々しい顔だった。
「実はスゥが襲われたという報告を聞いてから、一人のメイドが姿を消したのだ。恐らくそのメイドもスゥを襲った奴らの仲間だったのだろう……私としたことが、何という体たらくだ」
「ファッ!? スパイがいたってのかよ!?」
「ポッチャマ」
驚愕する野獣と三浦。ここで八重も疑問を抱く。
「そのメイド、何故ゆえに屋敷内でスゥ殿を狙わなかったのでござろう。隙はいくらでもあったというのに」
「おそらく、我が公爵家に取り入るために従順な振りをしていたのだろう。信用を得ればそれだけ疑いの目は向かなくなるからな」
「多分、今回の襲撃も僕たちがいることは予想外だったんだと思います。そうでなければもっと人数が多かった筈ですし」
「ったく、どんだけスゥのことを狙いやがるんだよ! 頭にきますよ!」
「まったくだゾ。どんな理由でもスゥちゃんのような幼い子供を狙うなんて、大人の風上にも置けないよなぁ」
三浦の言い分に公爵も頷いた。
「ともあれ、君たちのおかげでスゥを狙う黒幕の手がかりが掴めるやもしれん。重ね重ね礼を言う……何か礼をしたいのだが……」
「いいよいいよ。今回は俺ら冒険者ギルドの依頼の途中だったし。まぁしいて言うなら、スゥのことあんま怒らないでやってくれよな~頼むよ~」
「そうだよ。全部カッチャマに喜んで欲しいっていう気持ちで外に出てたんだからな~」
「ですね。僕からもお願いします」
「拙者からも……お頼み申し上げるでござる」
「ポチャ(懇願)」
スゥシィの思いを知る彼らからの頼みを前にして、公爵は小さく唸る。それは不満から来るものではなく、彼らの心意気を前にしたことよる感嘆から来るものだった。
「不思議な者たちだな、君たちは。人並に欲があるようでいて、他者の想いを優先するその心……それが人を惹き付けるのだろう。だからこそ、スゥも懐いているのやもしれんな」
「なんだ公爵嬉しいこと言ってくれんじゃねぇかよ~(照れ笑い)」
「いいゾ~これ」
「もう、真面目な話をしてるんですから失礼なこと言わないでくださいよ先輩!」
「うぅ、拙者はもう胃が痛いでござるよ……」
変わらない彼らのやり取りを前にして、公爵は朗らかに笑った。
「わかった。君たちの言う通り、スゥが無断で抜け出したことに関しては目を瞑ろう。ただ、私も親だ。心配かけさせたことに関しては口を出さなければな」
言って、軽くウィンクをする。それを見て一行は安堵するのであった。
「母上! 見てください!」
「まぁ……なんて綺麗な花。どうしたの? スゥ」
「今まで目が見えなかった母上に綺麗な物を贈りたくって、一生懸命考えたのです! 母上に喜んで欲しくって……」
「スゥ……ありがとう。とっても嬉しいわ」
「母上……! この花はわらわの大切な友たちも一緒に選んでくれたのじゃ! だから喜んでくれて、わらわも嬉しいのじゃ!」
「まぁ、フフフ」
スゥシィが母親であるエレンに贈った花は六本。赤い花、青い花、水色の花、黄色い花、白い花……そしてスゥ自身が選んだ薄桃の花。翌日、公爵夫妻の寝室の窓辺に置かれた花瓶には、美しく咲き誇る六色の花が飾られていたという。
スゥシィの秘密の場所はこちらが勝手に作ったオリジナルでございまする。所謂蛇足的な。だって原作だとレイムさん射抜いた射手姿見せんかったもん。だからこういうの付け足してもいいじゃない。
次回、みんな大好きあの人が登場(挑発)
っていうかスマホの活躍少なスギィ! 活躍させなきゃ(使命感)
今後の活動についてではなくお気楽アンケート開催。アニメ異世界スマホのEDでスマホ太郎がヒロインたちに手を差し出すシーン、差し替えるとしたら誰がいい?
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スマホ太郎(アニメ主人公)
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望月冬夜(原作主人公)
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野獣先輩
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三浦
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木村