『そーわそわーふーわふわーちょっと待って準備ちゅ
こんなもの!!!!(RRM)
「う~ん……」
「ポチャ!」
意識が覚醒する。ぼんやりとする頭のまま重い瞼を開くと、まず目に飛び込んできたのは、空と同じような青い体毛を持つ不思議な生物のつぶらな瞳だった。
「……ポッチャマ殿?」
「ポチャァ(安堵)」
三浦の相棒、ポッチャマが八重の顔を覗き込んでいる。三浦に代わって見守るために八重の傍にずっといたポッチャマは、八重が目覚めたのを確認するやいなや、ホッとしたとばかりに短い羽で汗を拭う仕草をした。見た目は愛玩動物のような姿をしているというのに、やることがいちいち人間臭い。思わず吹き出してしまいながらも、そっとポッチャマのフワフワの頭を撫でた。
「あいたたた……皆は、どうしてるでござろう?」
冬夜に誤解を解こうとした矢先に背後から突っ込んできた何かに吹っ飛ばされてから先の記憶がない。いまだ身体の節々が痛むも、ポッチャマがここにいるということは三浦たちもいるのだろう。そう考え、八重は顔を顰めつつゆっくりと上体を起こした。
そして驚く。八重の目の前に広がる草原や道が焼け焦げていたり所々穴が空いていたりとひどい有様だ。そして何より意味がわからなかったのは、
「アァァァァァァァ、ハァ、ハァ、ァァァァァ」
「うぅ……」
そんな惨状のど真ん中で痙攣しながら倒れ込んで変な声で呻く野獣と、仰向けのまま目を回している冬夜の姿だった。
「……え、何これは……でござる」
「ポチャ(禿同)」
今の今まで気絶していたために状況がチンプンカンプンな八重にとって唯一出てきた困惑の言葉に、ポッチャマが小さく頷くのだった。
結局、野獣と冬夜の戦いの決着は相討ち、という形で片が着いた。野獣の鉄拳が冬夜の顎を打ち抜き、冬夜の無属性魔法パラライズが野獣の身体を捉え……それが同時に起きた。そうして後に残ったのは、魔法によって身体の神経が麻痺して痙攣するしかできない野獣と、脳に強い衝撃を受けて気絶した冬夜が地面にそれぞれ倒れ込んでいる……そんな光景だった。
「と……冬夜……!?」
「野獣……!」
それを目の当りにして驚愕するのは、少し離れた森から三浦の肩を持つ形で戻ってきたエルゼと、彼女に支えてもらいつつ痛む身体に鞭打って立つ三浦。そして、
「そんな……冬夜さんが……!」
「野獣先輩!」
唯一無傷というリンゼと、魔力の消費によってフラつきながらもどうにか立っている木村であった。
エルゼとリンゼからすれば、今まで全属性魔法をいくつも使いこなし、それでいて実力もあり、自身たちだけでなくギルドからも信頼が篤い冬夜が倒されたことに愕然とし、三浦と木村もまた、野獣程の人間が地に伏せた事実を信じられないとばかりに驚いていた。
「オォン……アォン……」
「う……く……!」
そんな彼らの前で、何とか身体を動かす野獣と、目を覚ますもいまだ頭が揺れる中で刀を支えに立ち上がろうとする冬夜。理由は共通、目の前の相手にまだ立ち向かおうとする意思だった。
「や……やりますねぇ……(賞賛)」
「あ……あなただって……あんな形で突っ込んでくるなんて、予想してませんでしたよ」
野獣の眼光鋭い視線を受けつつ、冬夜も不敵に笑う。お互い、震える身体のまま再び対峙した……が、そこから一歩も動けなかった。まだ足が思うように動かないためだ。
「だけどなぁ……悪人なんかに負ける気は無いからね……しょうがないね……(不屈の闘志)」
「それは……こっちの台詞だ……!」
野獣は必死に足を動かそうとし、冬夜も刀を地面から引き抜く。いまだ衰えぬ戦意をもう一度ぶつけんと、二人は睨み合った。
「……ねぇ、ちょっと待って欲しいんだけど。何かおかしくない?」
「エルゼ……?」
が、そこに水を差したのは、冬夜の仲間であるエルゼだった。どういう意味かと、野獣と冬夜がエルゼを見る。
「あたしもさっきこの人と戦ったんだけど、どう考えても悪人だとは思えないのよね……滅茶苦茶強かったけど、なんか、冬夜の言うゴロツキとは全然違うというか……」
「そうだな……俺も同意見だ野獣。一度拳を交えてわかったが、この子の拳には邪気がない。お互い何か行き違いがあるのではないか?」
「三浦先輩……けどさぁ」
三浦がエルゼに便乗し、野獣も戸惑う。さらに別の方からも声が上がった。
「わ、私もお姉ちゃんたちと同じです。この人、こんなボロボロになってまで戦って……なんだかまるで、何かを守ろうとする意思を感じました」
「冷静になった今ならわかるんですけど、この子は僕の身体を気遣いながら戦っていました。そんな子と一緒にいる人が悪い奴だとは、僕も思えないですよ」
「リンゼまで……」
「どういうこったよ」
お互いの陣営からの異論に、冬夜と野獣が戸惑う。内心、彼らの言葉にも一理あるのではと、お互いぶつかり合った今なら思える。だがいかんせん、一度抜いた剣を収めるには、決定的な何かが無い……そんな時に、
「ま、待って欲しいでござる二人とも!」
「ポチャ!」
もう一人の声が上がった。
「八重! 無事だったか!」
「八重さん!」
野獣と冬夜の間に立ち塞がった八重を見て、三浦と木村が喜色の声を上げる。だが八重は、ポッチャマを胸に抱えたまま、何故か泣きそうな顔をしている。そして、
「戦うのをやめて欲しいでござる! これは誤解なんでござる~!」
この戦いに意味がないことを、全員に聞こえるように説明し始めた。
〜8分10秒後〜
「え~っと、つまり……あなた、八重が転んだところにこの人たちが助け起こそうとしていたのを、冬夜の目からは強引に連れ去ろうとしている風に見えたから咄嗟に連れ出して……」
「僕たちが駆け付けた時に八重さんが気を失っていたのは、野獣先輩が飛び出した際の衝撃で撥ね飛ばしたから……」
エルゼと木村が、八重から聞いた説明と双方の話をまとめる。すでに戦いによって受けた傷はリンゼと冬夜、木村の回復魔法によって消えており、全員五体満足で立っていた。
そして、この戦いの本当の原因が何かを考え……すぐに答えが出た。
「つまり……」
ギッ! とエルゼと木村が原因である二人を睨みつけた。
「全部アンタの勘違いのせいじゃない!!」
「先輩が八重さんを吹っ飛ばしたからややこしくなったんじゃないですか!!」
二人……つまるところ冬夜と野獣が正座をしながら二人の怒鳴り声を聞いてビクゥと肩を震わせた。
「……ごもっともです、はい」
「いやでもさ~、俺の場合は事故じゃん。あんなところに八重が立ってるなんて思わないじゃん? だから俺悪くないじゃんよ~?」
「いや確かにアンタの人を助けようとする精神は立派だしあたしだってすごいと思うわよ? そこは認めてる。けどねぇ! 物事には理由ってもんがあるでしょうが!」
「普通人を吹っ飛ばしたら気付くでしょう! それだけ必死だったって言われたらそれまでですけど、じゃあ僕のさっきまでの頑張りは何だったんだって話になるじゃないですか! こっちは魔力使いすぎてクッタクタなんですよテメェ!」
「か……返す言葉もないです、はい」
「いや木村のそれ八つ当たり入ってる……入ってない? っていうか足に砂利がめり込んで痛いですね、これは痛い……」
エルゼと木村の説教を受けてますます縮こまる冬夜と野獣。事の発端は冬夜の勘違いだが、それをさらにややこしくさせたのは野獣。つまりこの戦いには戦う理由もいがみ合う必要も、何一つ存在していなかった。それがわかったからこそ冬夜は何も言い返すことができず、野獣は力なく反論するしかできない。ただ、固い地面の上に正座しているせいで足が痛いが、そんな文句も聞いてくれない程に二人が怒り狂ってるのを見て結局それも強く言えず。
そんな光景を前に、リンゼと八重がオロオロし、三浦は閣下モードのまま腕を組んでただ見ているだけ。ポッチャマは八重の腕の中で欠伸していた。
「まぁ私たちも非がないってわけじゃないけど! それでも切っ掛けが切っ掛けともなれば怒りたくも」
「やめんかぁ!!」
「「っ!?」」
エルゼの説教を遮る形で響くのは三浦の一喝。空気が震えるレベルの声に、エルゼと木村だけでなく、その場にいる全員が思わず口を閉ざした。そして全員の視線が三浦へ集中する。
「……確かに事の発端はそこの彼の勘違いだっただろう。しかしそれは、ひとえに八重を、危機に陥っている人がいると思って助けたいという意思の下の行動だった」
険しくも男らしい顔の三浦が冬夜を見据え、続いて野獣へと視線を移した。
「野獣は八重を吹っ飛ばしたが、それは八重という友を助けたいと思うあまりに周りが見えていなかった、ということだ」
威厳溢れる三浦の言葉。誰も何も言えず、ただ固唾を呑んで彼が何を言い出すつもりなのかを、黙って見ている。
「そして俺たちもまた、互いのことを何も知らずにただ無意味な戦いを繰り広げただけだった……これらに対し、我々ができることは、たった一つのみ。それは……」
ゴクリ。誰かが生唾を飲み込む音がする。次にどんな言葉が飛び出すか、何をすべきか……三浦の言葉を、ただ待った。
そして、
「みんなお互いに『ごめんなさい』ってすればいいだけだゾ~」
「「だぁぁぁぁぁっ!?」」
一瞬で閣下モードからいつもの三浦に戻っての言葉に、一瞬で脱力した三浦除く全員がスリップがかかったようにずっこけた。
「ん? どうしたゾ?」
自分を除く全員がギャグマンガの如くすっ転んで三浦が頭の上に?が出て来る。それに対して一早く飛び起きたのはエルゼだった。
「ってアンタ誰!? え、ホント誰!? さっきの男の人はどこ!? いつの間に入れ替わったっての!?」
「ん? 俺は俺だゾ。それにしてもずっと同じ顔ってのはスゲ~キツかったゾ~」
「キツかったって何!? そっちが素なの!? うっそでしょアンタ!?」
「あ~、やっぱり初めて見る人はそう思うでござるよなぁ……」
閣下モードと普段の三浦の違いを前にしたエルゼの反応は至極まともだと、改めて八重はうんうんと頷いた。
「で、でも、言っていることは事実ですよね……?」
パニックを起こしている姉と違い、比較的落ち着いているリンゼは、三浦の性格のギャップに戸惑いつつもその言葉に同意する。
「そうだよ。皆悪気があったわけじゃないんだから、ちゃんと謝れば許し合える筈だゾ」
そして続けて三浦が言った。まず自分たちが何をしなければいけないのか改めて気付かされた野獣と冬夜は、少し気まずそうにしながらも、改めて向かい合った。
「その……勘違いをして、本当にすみませんでした」
「いや、俺も……悪かったな~勢いのままに殴っちゃってさぁ……」
そして、互いの非を認めて頭を下げ合った。
「さっきは僕もごめんなさい。まだ魔法の加減とか色々未熟で危ない目に合わせちゃいました……」
「い、いえそんな。私もちゃんと話し合えばって思ってたので……私こそ、本当にごめんなさい!」
木村もリンゼに謝罪し、リンゼもまた木村に頭を下げた。
「う…………まぁ、その……あたしも、ごめんなさい。思いっきり殴り飛ばしちゃったわ……もっと冷静になればこんなことには……」
「全然平気だゾ~。それより俺こそ本気になって奥義使っちゃってごめんなぁ。もう大丈夫かゾ?」
「へ、平気よ。もう回復したし……ってやっぱまだ戸惑うわね。さっきと全然違うし……」
エルゼもまた三浦にしたことに責任を感じて謝罪。三浦は呆気なく許し、エルゼもまた三浦の性格の違いにいまだ慣れずとも許した。
「……せ、拙者は誰に謝ればよいでござろう?」
「ポチャ?」
そして八重はというと、一人蚊帳の外みたいな疎外感を味わっていた。
「いや八重さんは謝る必要ないでしょ。巻き込まれたも同然なんだから」
「当たり前だよなぁ? 八重ちゃん何も悪くないゾ~」
「そうそう。ってか撥ねて悪かったな八重。許してくれよな~頼むよ~」
「僕も事情を聞かずにごめん。元は僕のせいだから」
三人と冬夜に言われ、少し納得いかないまでも「しょ、承知……」と小声で返した。
こうして全員、互いに謝り終わったところで、三浦がポンと手を叩いた。
「よ~し、これで皆仲直りしたし、せっかくだから皆でご飯食べようゾ。腹減ったなぁ」
「いいですね、自己紹介ついでに行きましょうか」
「昼飯まだでしたもんね~。あ、そうだ。ここら辺リフレットの近くだしぃ、リフレットの店行きません? こないだは金無くって何もできなかったけど今なら金溜まっちゃってさぁ」
「いいゾ~それ。旨いもんあるかな~?」
「前にリフレットに少しだけ滞在してた時に美味しそうなお店見つけましたよ。そこに皆で行きませんか?」
「FOO! 楽しみぃ~! でかしたぜ木村ぁ!」
「あ、そっかぁ、行きてぇなぁ」
「じゃけん今から皆で行きましょうね!」
「お、そうだな」
そんなことを話しながら、三人はワイワイとリフレットに向かって歩いていく。先ほどまでのドンパチなんてまるで無かったようなそんな彼らに対し、謝罪こそしたものの何とも言えない気持ちになる冬夜たち。エルゼなど困惑の色を隠せないでいた。
そんな時、エルゼは軽くポンと肩を叩かれ、振り返る。侍装束に身を包んだ八重がポッチャマを抱いたままそこに立っており、
「何事も、慣れ……でござるよ?」
「ポチャ」
何とも達観した風な顔でそんなこと言うもんだから、口から困惑が言葉となって「……えぇ」と漏れ出たのであった。
Q.なんでこんな話書いたん?
A.私が書きたかったからに決まってんだろ(開き直り)
少しだけ日間15位にいた衝撃の事実。嬉しいけどどういうことなの…(呆然)
あともっと語録増やして、どうぞ(自分に鞭打つ)
今後の活動についてではなくお気楽アンケート開催。アニメ異世界スマホのEDでスマホ太郎がヒロインたちに手を差し出すシーン、差し替えるとしたら誰がいい?
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スマホ太郎(アニメ主人公)
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望月冬夜(原作主人公)
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野獣先輩
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三浦
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木村