今回は長い会話回です。私はねぇ! こういったねぇ! 作品が違うキャラ同士の会話とかが大好きなんだよ!!(似非サイコパス)
けどめっちゃ難産でした……具体的に言うとお便秘三日m(カチャ、パーン!)
「うん、おいC! いい料理の腕してんねぇ!(グルメ)」
「旨いゾ~これ! このパスタとかどことなくラーメンみたいな味するな~」
リフレットにある『パレント』という喫茶店に来た一行。気になっていた店はどうやら冬夜たちの知り合いがやっている店ということで案内されたその店の料理に野獣と三浦が舌鼓を打っている間、木村たちは互いに向かい側に座り、双方のことについて話し合う。
「じゃあ、アンタたちは王都の冒険者ギルドで同じチームとして動いてたの?」
エルゼが手元の紅茶のカップを手に取りながら向かい側に座る八重に質問し、八重は小さく頷いた。
「左様でござる。拙者、こちらの三人と共に『迫真空手部』としてギルドの依頼をこなしていたでござるよ」
「は、迫真空手部……って、何?」
何だか異様な名前だと思った冬夜は若干顔を引きつらせながら聞くと、木村は苦笑しながら返した。
「まぁ、僕らが元々そういう部に所属していたからそう名乗ってるだけなんですけどね。何だかいつの間にかチーム名みたいな感じで広まっちゃいまして……」
「へぇ~……今更だけど、なんか意外っていうか、異色っていうか……どう見てもむさ苦しい男三人と女の子一人っていう組み合わせは、まぁ冬夜が勘違いしちゃうのも無理はないっていうか……」
「お、お姉ちゃん、失礼だよ……」
エルゼの率直な意見に、リンゼが静かに窘める。木村も自覚はあるのか、「いやぁあはは」と曖昧に笑って誤魔化した。
「元々、拙者は武者修行の旅をしていたでござる。その道中、ガラの悪い輩に襲われ、拙者の油断で危機に陥ったところを三人に救われたでござるよ。そんな縁から今日に至るまで、行動を共にしているでござる」
「そう言えば何だかんだ一緒になって結構経つよな~。もう八重がいて当たり前って感じだよな。お前どう?(同調圧力)」
「ま、まぁ……拙者も三人と一緒にいるのが楽しいというのは否定しないでござる」
「八重ちゃんはもう俺たち迫真空手部の一員だからな~。俺たち皆で一つだゾ」
「まぁ、けどその子の言う通り見た目的には違和感半端じゃないのは否定しませんけどね……」
確かに外見は厳つい男三人と可憐な少女一人という組み合わせは異様ではあるが、彼らの会話を聞いているだけで四人の結束の強さが伺える。現に八重は彼らのことについて心の底から楽しそうに語っているし、三人も八重含めて互いのことを信頼し合っている。そりゃ誘拐されたとなったら全力で追いかけてくるわけだ……と冬夜たち三人は思った。
「あ、そう言えば、考えてみたら僕たちちゃんと自己紹介してなかったよね」
「そういやそうだったわね……うっかりしてたわ」
「そうだよ」
「いや何でそこでアンタが便乗してんですか三浦先輩」
冬夜が思い出したように言ってから、改めて一行と向き直った。
「改めて、さっきはごめん。僕は望月冬夜。冬夜が名前で、望月が苗字です」
「エルゼ・シルエスカよ。よろしく。こっちは双子の妹の……」
「リンゼ・シルエスカです。よろしくお願いいたします」
三人がそれぞれ名乗り、野獣たちも食べる手を一旦止めた。
「俺は田所。あ、けど皆から野獣って言われてるから野獣って呼んで、どうぞ」
「三浦だゾ。よろしくな~」
「木村ナオキです。木村でいいですよ」
「改めて、九重八重と申す。それからこちらが……」
八重がチラと見た先。そこでは、
「ポッチャ、ポッチャ(必死)」
ポッチャマが必死に魚のソテーを丸呑みしようと必死になっていた。
「三浦殿の相棒、ポッチャマ殿でござる」
「ポチャ……ポチャ(挨拶)」
けふり。そんな小さなゲップを一つして、ソテーを食べ終えたポッチャマが片羽をピッと上げた。
「か、かわいい……! あ、あの、ちょっと撫でてみても……?」
「ん? ポッチャマがいいなら全然いいゾ」
「ポチャ(許可)」
実は初めて見た時からポッチャマの姿にときめいていたリンゼが、三浦の相棒ということで三浦に許可を願う。三浦の言葉にポッチャマが頷くと、花咲くような笑顔と共にリンゼはポッチャマの頭を優しく撫でた。
「あ……すごいフワフワしてる……かわいい……」
「ポッチャァ(恍惚)」
「あ、次。次あたしも……!」
隣で見ていたエルゼも我慢できず、リンゼの次を願い出た。
「なんだポッチャマ嬉しそうじゃねぇかよぉ?」
「当たり前だよなぁ? ポッチャマは撫でられるのが大好きなんだゾ~」
「割と女の子のこと好きですよね、ポッチャマ」
「お前ノンケかよぉ!?」
ポッチャマとじゃれる双子を見ながら笑う三人を見て、冬夜が苦笑する。
「あ、ところで冬夜殿も名前が後ろで家名が前でござるな? 拙者と同じイーシェンの出でござるか?」
「え? あ、えっと……まぁ、近い感じかな」
と、突然八重から質問され、冬夜は少し言葉を濁しつつ答えた。そうして一口紅茶を啜る。
「ん? もしやイーシェンではないのでござる? となると、もしかして日本という場所でござるか?」
しかしここで予想外の国名が出て、飲みかけていた紅茶をむせかけた。
「っ……! な、何で日本の名前が……」
「三浦殿が以前、出身地を口にしていたでござる。確か日本の下北沢? というところらしいでござるが」
「下北沢……」
冬夜は顎に手を添え、思考する。彼の記憶の中にある街に、下北沢という名はある。もしや野獣たちは……そう考えていたところ、三浦が「ん?」と自身たちを見ている冬夜に気付いた。
「どうしたゾ? 俺の顔に何か付いてるかぁ?」
「あ、いいえ、何でもないですよ……うん、まぁ、多分同じみたいなもの、かな?」
三浦に返しつつ、八重の質問に答える冬夜。内心では(まだ決めつけるのは早計かな……)と考えていたが。
「へぇ、アンタたちも冬夜と同じ場所出身なんだ。偶然ね……日本ってどこか知らないけど」
撫でるだけじゃ飽き足らず、ポッチャマを抱き上げながらエルゼが言う。ポッチャマは相変わらず恍惚としていた。
「少し気になっていたんですが、木村さんゲートを……無属性魔法を使ってましたね……他にも色んな魔法も。いくつの属性が使えるんですか?」
リンゼがふと木村に尋ねると、木村は「えーっと」と考えながら答える。
「一応全属性は使えますね。無属性もいくつか。まぁ言っても、まだまだ使える数は少ないけれど」
「「え」」
「え?」
ピシッと硬直した双子を見て、謙遜していた木村も「あれ、失言だった?」と固まる。
「ん? どうしたゾ?」
「い、いえ……ぜ、全属性って、ホントですか?」
「え、はい。本当です……な、何? 何かまずいんですか?」
「いや、そうじゃないんだけど……冬夜以外にも全属性魔法の適正がある人間がいることにびっくりしてるのよ」
「私の三属性だって珍しい方だと思ってたのに……しかも無属性魔法だって、一人一つで同じ魔法を使える人は滅多にいないというのに……何だか今までの常識が覆された気分、です……」
リンゼとエルゼが信じられない物を見るような目で木村を見る。対し、木村は内心愕然としていた。
(ま、マジか……全属性使えるのって、珍しいことだったのかよ……これって、神様補正っていう奴なのかな……)
「へぇ、珍しいのか。普段木村の魔法見てきた俺らからすりゃ普通だったけどなぁ」
「けど木村が全属性使えるおかげで俺たち何回も助けられたんだから確かにすごいゾ~」
「……今更ながら、木村殿の魔法の豊富さは確かに異常でござるなぁ……と言っても、拙者も三人と行動を共にしていたらそんな疑問も無くなったでござるが」
「まぁ、僕も正直、最初はそんな深く考えなかったなぁ」
のほほんとする野獣と三浦、八重が言うと、冬夜もまた紅茶を啜りながら何てことのないように言った。
「……もしかしてだけど、アンタたちの住んでた場所って超人だらけ? 全属性使える人間が二人もいるとか尋常じゃないわよ?」
「んなわけねぇだろ? まぁ俺の剣の師匠って一秒に1000回切ったりするらしいけど、多少はね?」
「俺らの先生も蹴りで山動かしたって言われてるゾ~」
「案外眉唾ものかと思ってましたけど、あの人ならできそうですよね」
「やっぱり超人じゃないの! 道理で冬夜含めて強い筈だわ!!」
「お、お姉ちゃん、お店の中だよ……気持ちはわかるけど」
「いや、さすがの僕もそういう人たちは知らないけど……」
たまらずエルゼが叫んだことで店中から注目を集め、リンゼが窘めた。冬夜に至ってはそんな人間と同列に扱われて内心複雑だったりする。
「まま、俺らの国のこととかどうでもいいじゃ~ん。それよりもさぁ、お前らのことも教えてくれよな~頼むよ~」
「そうだよ。冬夜くんたちもスゲー強くてびっくりしたゾ~。どうやって強くなったのかとか知りてえなぁ」
「正直、僕も驚きましたよ。野獣先輩と三浦先輩を相手取ることができるなんて並の人じゃできないんですから」
「それは……確かに、気になるでござるな」
どうでもよくない、とは思いはしつつも、一行からそう言われて案外悪い気はしないエルゼは、いまだ胸の中にポッチャマを抱きつつ頬を紅潮させた。
「……ま、まぁ、あたしたちばっかり質問するのもあれだしね……」
「そうだね。と言っても僕らはこれといって大したことはしてないんだけど」
言って、冬夜は自分たちのことを語る。
のんびり気ままに旅をしていた冬夜がここ、リフレットの街に立ち寄った時、エルゼとリンゼがチンピラに詐欺紛いの取引でいちゃもんをつけられていたところを冬夜が助けたことが切っ掛けで三人は行動を共にするようになった。その後、冒険者ギルドに登録し、この街を拠点にする形で日々活動をしていた……簡単に説明すればこういうことらしい。
「へぇ、じゃあ冬夜くんも僕らと似たような感じですかね。僕らも新天地目指して旅をしてたんですよ」
「けど無一文でさぁ。おかげでこの街ではほとんど滞在できなかったんだよなぁ。飯にも困ってたし、本当大変だったぜ。お前どう?」
「あ、僕は縁があってお金が手に入りましたから大丈夫でした」
「は?(威圧)」
「先輩、こればっかりは運ですから仕方ないでしょうが」
「クゥ~ン……(嘆き)」
「……なんか、ごめん」
境遇的には同じだというのに何だこの差は、と野獣が嘆くのを見て、冬夜は思わず謝った。
「まぁ、あたしは昔っから特訓とかしてきたからねぇ。それなりには強いって自覚はあるわけよ」
「わ、私は自分が強いとは思ってませんが、一応それなりには……」
「謙遜しなくても大丈夫ですよ。おかげで僕は魔法がたくさん使えるって内心自惚れていたところを自覚できたんですから」
「そうだよ。リンゼちゃん、木村より年下なのにすごいゾ~それ」
「拙者は魔法に関しては詳しくはないでござるが、木村殿を圧倒するのは流石でござる」
「そんな魔法の腕しちゃってさ、誇らしくないのかよ?(攻め口調の褒め言葉)」
「い、いえ、その……うぅ」
「あぁもう、そこまで! この子そういう褒め殺しとか苦手なんだから自重してよね」
四人からの賞賛に顔真っ赤にして俯いたリンゼを見かねてエルゼが制止する。悪気はないが、さすがに可哀想だと感じた三人はそれ以上言うのをやめた。
「あ、そっかぁ……けどエルゼちゃんもすごいゾ~。あのパワー滅茶苦茶すごかったもんな~」
「閣下モードの三浦さんの膝着かせたんスよね? それって……勲章ですよ?」
「え? いや、あたしは別に……っていうか、あの姿『閣下モード』っていうんだ……」
標的が自身にシフトされ、エルゼは照れで頬を掻く。
「三浦殿を? それはすごいでござるな……束になったリザードマンを蹴散らす程の実力を持っているのに……」
「僕も三浦先輩が負けるところなんて想像できませんでした。そう考えたらやっぱりエルゼさんの実力も相当ですよね!」
「いや、そんなことないわよ? だってあの時の三浦……さんって戦う意欲なかったみたいだから……」
「謙遜することないゾ~。迷ってたのも俺の修行不足のせいだからなぁ。あと俺のことは三浦でいいゾ~!」
「そ……そう? あ、ありがと……」
口々にそう言われては、エルゼもリンゼ程ではないにしても妙に居た堪れない。まぁ、悪い気はしなかったが。
「こういうのって何ていうんかなぁ……あ、わかった! ゴリr」
「フンッ!!」
バキィ!(野獣の顔面を叩きのめす音)
「アァァァァァ……」
「当たり前だよなぁ?」
「自業自得です」
「弁解の余地なしでござる」
「ポチャ(同意)」
女の子に対して言う言葉じゃないことを口走ったせいでエルゼから正拳突きをもらった野獣は前が見えねえ状態となったが、そんな彼を空手部全員は誰も労わることはしなかった。リンゼはあわあわしており、冬夜は「うわ、痛そう……」と若干引き気味だった。
「……それで、冬夜殿はどこでそんな力を身に着けたでござる?」
そんなことは置いといて、八重が冬夜に話を振る。聞きに徹していた冬夜は突然話を振られ、少し戸惑いながらも口を開く。
「え!? えっと……僕はまぁ、いつの間にか?」
「え~? そんな答えじゃ納得できないぢゃん?(ギャル)」
「そうだよ」
「……あれ? 顔、戻ってる……」
冬夜の言葉に異議を唱えた野獣に便乗する三浦。尚、今さっきまで陥没していた筈の野獣の顔面が元に戻ってることに気が付いたリンゼが小声で呟くも誰も聞こえなかった。
「とは言われてもなぁ……そうとしか言いようが……」
「まぁまぁ二人とも。僕らにだって説明できないことはありますし、追及しないであげましょうよ」
言いにくそうにしている冬夜を見かね、木村が先輩二人を窘めた。まだ若干不服そうだったが、それもそうかと思い直してそれ以上の追及は止めておいた。
「すいません、ありがとうございます木村さん」
「気にしないでください。僕だって魔法について云々は説明できないのは同じだから」
木村の魔法の力は神様からもらった力だ、と言っても信じられないだろうという思いから誰にも説明できない。そういうこともあって、冬夜には一種の仲間意識的な物が芽生えていた。
「ハハ……あ、ちょっと気になったことがあるんだけど、どうやってここまで来れたの? 確かにゲートの魔法は一度行った場所に行ける能力があるけど、追跡機能とかそういうのは無かったと思うんだけど」
ふと、冬夜が八重を追ってゲートを開いた野獣たちに聞く。あの魔法は一度行ったことのある場所へ転移することができる魔法ではあるが、人を探すための効果はないはず。だというのに、野獣たちは八重の居場所を探り当てたことに、冬夜は疑問を抱いていた。
「あぁ、それは野獣先輩のお陰ですね」
「野獣さんの?」
木村の言葉にどういう意味かと冬夜が言うと、野獣は懐からある物を取り出した。
「これこれ。こいつのお陰なんだよな~」
「布……ですか?」
野獣が手に持っていたのは、ハンカチにも見える布。それが何なのかわからず、リンゼが首を傾げた。
「ただの布じゃないんだぜ? 見とけよ見とけよ~?」
言って、野獣が布に指を数回押し付けていく。すると、
「っ!?」
「わ、布が……!?」
「形が変わっちゃった……?」
布は一瞬で硬質化し、スマートフォンへと早変わりした。初めて見た三人は驚く。特に冬夜は顔が強張る程の驚愕を見せていた。
「それは、すまーとふぉん、でござるか? 何故それが?」
野獣が取り出した物は銀のカラーリングのスマートフォン。それを見て首を傾げる八重。
「これには俺が身内って認めた奴を追跡する能力が備わってるんだよな~。おかげで八重がリフレットの近くにいるのがわかったから追えたんだよ」
「前にリフレットの街を通っててよかったゾ~」
「み、身内……でござるか?」
「そうだゾ。八重ちゃんは迫真空手部の一人だから追跡することができたんだゾ」
「だからって悪さに使わないでくださいよ先輩。八重さんは女の子なんですから」
「するわけねぇだろ。犯罪者じゃあるまいし」
「遠野さんをレ○プしようとしてた人が何言ってんですか」
「はぁ!? 俺が遠野を!? んなわけねぇだろ大事な後輩をよお!?」
「ん? じゃ何で家に睡眠薬用意してたゾ?」
「遠野が最近寝付き良くないって言うから自宅デートついでにあげようと思って用意してたんスよ。俺も寝苦しい時とか使ってるし、多少はね?」
「……じゃあ媚薬は?」
「え? そりゃデート中にそういうことになったら一緒に盛り上がるために……フヘヘ」
「や、野獣殿からどことなく乙女のような雰囲気が……(引き)」
「普通にその顔キモいんでやめてくださいよホントに(切実)」
「っていうか遠野ならともかく八重に悪さして何になるってんだよ旨味ねぇだろ」
「それどういう意味でござる野獣殿?」
「おっぶえ!?(刹那の見切り) お前ここで小刀はやめルルォ!!(警告)」
「八重さん、怒らせると結構怖いですね……」
「木村それブーメランだゾ……」
「ポッチャ(同意)」
そんな和気藹々(ちょっぴり殺伐)な空手部のやり取りを、冬夜はじっと見ていた。もとい、その視線は野獣のスマートフォンに注がれていた。
「冬夜? どうしたのよ?」
「……え? いや、な、なんでもないよ」
エルゼに声をかけられ、慌てて視線を外す冬夜。と、リンゼが思い出したかのように言う。
「あ、そう言えば冬夜さんも同じ物持ってましたよね?」
「ファッ!? マジか!」
「え、ええっと……これなんだけど」
言って、冬夜は懐を漁る。そこから出てきた物は、黒い板状のアイテム……ちょうど野獣と同じ、色だけが違うスマートフォンだった。
「おぉ、冬夜殿もすまーとふぉんを持っていたでござるか!」
「すごいゾ~これ! この世界にもスマートフォンあるんだなぁ」
「この世界?」
「いやいや、スマートフォンを持ってるのってこの世で野獣先輩だけかと思ってたんですよ! いやぁびっくりしたな~!」
三浦の失言に反応したリンゼに慌てて木村がフォローを入れる。油断も隙もあったもんじゃない。
「本当、奇遇よね~。っていうかこんな道具作れるアンタたちの住んでたところがすごいと思うんだけど」
「スゲーだろ、このスマホ。最新機種だからハンカチにも使えるんだぜ?」
「どう考えてもいらない機能なんだよなぁ……」
エルゼに自慢気にスマホを見せる野獣だが、木村はスマホのやわらか形態の必要性が全く見出せなかった。
「あ、そうだ。ところで三人もギルドで働いてるんだよなぁ? 今ランクどこゾ?」
と、ここで唐突に三浦が冬夜たちに質問をする。
「え? 僕たちはこの間ランクが『紫』になったところだけど……」
「ならちょうどいいゾ。俺らも今『紫』だから、よかったら今度一緒にギルド組んで依頼受けようゾ」
「え……あなた方と、ですか?」
「あたしたちは別にいいけど……でも、いいの?」
三浦の提案に、リンゼとエルゼが思わず聞き返した。今はこうして共にテーブルを囲ってはいるが、あんな形の出会い方をしてすぐに、というのもあって、少々後ろめたい気持ちから来る言葉だった。が、
「全然大丈夫だゾ。さっきお互い謝ったし、こうして一緒に飯食ってる時点で俺たちはもう赤の他人なんかじゃないゾ。それに俺は三人のこともっと知りたいゾ〜! なぁ?」
「そうですねぇ……まぁお互い過去のことは水に流して、一緒に協力するってのはありだよなぁ。何だかんだで最近依頼の難易度上がってるし、多少はね?」
「僕も異議なし、ですね。それに、魔法の知識が豊富な人がいれば、僕もいい勉強になりそうです!」
「拙者も三人と戦った冬夜殿たちの戦い方を間近で見たいでござるし……拙者も三浦殿に賛成でござる」
「ポッチャ!(賛成)」
「お、ポッチャマも組みたいって言ってるゾ~!」
空手部の誘いを受け、エルゼとリンゼはまだ少し迷っているようだった。二人は同時に冬夜へと視線を向け、意見を仰ぐ。三人の中で主導権は冬夜にあるらしく、冬夜は二人の視線を感じるや否や、頷いて返した。
「僕は賛成、かな。あんなことがあった後だけど、皆いい人でこうして誘ってくれるのはありがたいし、難しそうな依頼でもこの人数ならこなせそうだと思う」
「……まぁ、冬夜が言うなら」
「そうですね……」
冬夜の言うことも一理あるが、彼らの実力をもっと間近で見たいという気持ちもあった二人は、冬夜の意見に従う形で彼らの誘いを受けることにした。
「いいねぇ! これで一緒に働く仲間が増えたぜ!」
「いいゾ~これ! よし、じゃあ今日は奢ってやるぜ! みんないっぱい食べろよ~!」
「FOO! ゴチんなりまーす!」
「え!? そんな、それはさすがに……」
テンションが上がった野獣と三浦だが、そこまでしてもらうのは申し訳ないとリンゼが遠慮しようとした。
「気にしなくっていいゾ~! それにここでの年長者は俺なんだから、たまには年上っぽいことさせて欲しいゾ~!」
「やったぜ。じゃあお姉さん、ビールビール!」
「(喫茶店なのでお酒なんてものは)ないですよ?」
「ファッ!?」
「嘘だよ……」
「いや当たり前でしょ」
「そもそも何で飲む必要があるんですか(正論)」
「あっても絶っ対飲ませないでござる(確固たる意思)」
店員である女性からそう返されてガーン! という明らかにわかりやすいリアクションをしてショックを受ける野獣と三浦の二人を見て、エルゼと木村は呆れながら言った。そして彼らの所業を知っている八重に至っては固い決意めいたものを感じた。
「あ、けれどお客さんたちの食べっぷりは見てて気持ちがよかったので、サービスにアイスクリームお付けしますね?」
言って、店員はお盆の上にガラスの容器に入った白いアイスクリームを人数分乗せ、一行のテーブルの上に置いて行った。
「やった! アエルさんさっすがぁ!」
「ありがとうございます、アエルさん」
「いえ、冬夜さんたちにはいつもお世話になっていますから」
礼を言うエルゼと冬夜に、アエルと呼ばれた店員は小さく笑いながらそう返した。
「アイスアイス!」
「お~冷えてるか~?」
「大丈夫っスよ、バッチェ冷えてますよ!」
「先輩、アイスなんですから冷えてて当然でしょ……あ、けどホントおいしいですねこのアイス」
「うむ、初めて食するが、冷たくて甘くてまことに美味な風味で……おかわりでござる(2杯目)」
「え、もう食べたんですか!?」
「ポッチャ!?」
そうして彼らはしばらく互いの親交を深めるために、店内で迷惑にならない程度に騒いだのだった。
余談だが、冬夜たちはともかくとして野獣は遠慮など知らず、そして八重は八重で健啖家であるが故に三浦は財布の中身を見て「アッアッアッ」と顔を青くしていた。
〜1145141919秒後〜
「いや~すっかりご馳走になっちゃったわね」
「その、ありがとうございます三浦さん。今度こちらからお礼しますから……」
「気になんかしなくていいゾ……(悲観)」
「も、申し訳ないでござる三浦殿、拙者自制が効かぬ故……」
「なんだ八重も俺らと大して変わんねえじゃねぇかよ~」
「僕らも暴飲するのは控えなきゃですけど、八重さんも暴食控えてくださいね?」
「うぅ……返す言葉がないでござるぅ……」
「ポッチャ(慰め)」
喫茶店から出た一行。エルゼとリンゼが財布が軽くなった三浦に礼を言う傍ら、八重は申し訳なさと木村に注意されて肩を落とし、それをポッチャマに慰められていた。因みに八重並に食った筈の野獣に反省の色はない(人間の屑)
と、ここで木村の肩に軽い衝撃が走る。それに気づき、木村は振り返った。
「冬夜くん?」
木村の背後に立っていたのは冬夜だった。先ほどまでの人の良さそうな顔とは違い、何か思い詰めたような顔で木村を見つめる彼は、はっきりと口にする。
「すいません、少しお話したいことがあります……三人に」
「……そうですね。僕も聞きたいことがあるんです」
冬夜が聞きたいことが何なのか、木村には何となくだが察することができた。恐らく、こちらの疑問と同じことだろう。
そう気付いた木村は、野獣と三浦に呼びかける。
「野獣先輩、三浦先輩。ちょっとお話したいことがあるんですがいいですか?」
「んあ? どしたぁ木村ぁ?」
「何ゾ?」
「ええ、ちょっと……すいません、八重さん。ちょっと僕らだけ外します」
二人を呼んだ木村が八重にそう言うと、ポッチャマを胸に抱いたまま八重は首を傾げる。
「木村殿? 如何されたでござる?」
「いえ、ちょっと男同士で話したいことがありまして……すぐ終わりますから」
「冬夜も? 何の話なのよ?」
「あぁ、大したことじゃないんだ。聞きたいことがあって……少し待ってて」
エルゼもまた冬夜を訝し気に見るも、曖昧な返事だけしてその場を離れる。木村たちも同様、喫茶店からやや離れた場所へ。
八重たちに聞こえない位置まで来ると、改めて冬夜は三人と向き直る。
「単刀直入に聞かせていただきます……あなたたち三人は、僕と同じ境遇ですね?」
「……そうか、やっぱり冬夜くんも……」
「おいおい、お前らだけで話進めんなよ。俺にもわかるように言ってくれよな~頼むよ~」
「そうだよ。俺も何のことかチンプンカンプンだゾ」
察せていない先輩二人に、木村は呆れてため息をついた。
「あのさぁ……いいですか、よく聞いてください。こちらの冬夜くんは僕たちと同じ境遇……それが意味するものが何か、あなたたちだってわかるでしょう?」
「いや全然(即答)」
「ポッチャマ」
「……一回だけしか言いませんよ」
どうしてこういう時はほんと頼りにならないんだこの人たちは……内心うんざりしつつ、木村はその意味を答えた。
「冬夜くんは僕たちと同じ、神様によってこの世界に転生させられた人間だってことです」
「……ファッ!?」
「あ、そっかぁ(なんとなく把握)」
野獣は驚愕し、三浦はわかっているのかわかってないのかわからない顔で返事した。
「マジかよ!? 何でわかったんだよ木村ぁ!」
「考えてみてくださいよ。この世界の文明レベルはよくて中世レベル。野獣先輩の持ってるスマートフォンとは別に、冬夜くんもスマートフォンを持ってるんですよ? スマートフォンなんていうこの世界にとってオーバーテクノロジーとも呼べる代物が世界に二つもあるなんてありえますか?」
「僕も最初、あなたたちが日本から来たって話を聞いてもしかしたらって思ったんだけど、野獣さんがスマートフォンを持ってるのを見て確信しました。あなたたちもまた、神様の手でこの世界に送られた人間なんだって」
「はぇ~……なんか運命的(ベートーヴェン)」
「あ~……やっとわかったゾ」
「理解するの遅すぎませんか三浦先輩」
そんな彼らのやり取りを前にして、冬夜は苦笑した。
「でも、本当に驚いたよ。あなたたちまで神様の手違いで死んでこの世界に来るなんて……野獣さんの言うように、ある意味運命、なのかな?」
「いや~俺もびっくりだぜ! お前もまさか神様のせいで死んじまってたんだなぁ! あの神様、何人の人死なせてんだぁ?」
「まぁ、僕も野獣先輩と同じ意見ですね……最初の印象も正直よくはなかったですし」
「そうだよ。第一声が『君たち死んじゃったんだよね。ごめんごめん!』だからな~」
「……え?」
と、ここで冬夜が疑問符を浮かべた。
「あの、一つ聞きたいんだけど……あなたたちを転生させた神様の外見って、どんな感じでした?」
「外見ですか? 見た目は完全渋谷歩いてそうなチャラ男でしたね。GOって名乗ってました」
「なんかビデオカメラ構えて男の裸体撮ってその映像ばら撒くぞって脅しそうな感じだったよなぁ(原作知識)」
「まぁ最終的には願いを聞いてから俺たちをこの世界に生き返らせてくれたけどな~」
冬夜の質問に答えた三人。だが冬夜は、難しい顔をして顎に手を添えて考え込んだ。
「……僕とは違う」
「え? それってどういう……」
「僕をこの世界に転生させてくれた神様は、見た目は完全なお爺ちゃんでした。第一声も『本当に申し訳ない』って、僕に深々と頭を下げて謝ってくれたんです。願いを聞いてくれたっていう共通点はあるけど、あなたたちの言う神様とは全くの別人でした」
「ファッ!?」
「あっ」
「え、何それは……」
冬夜の語る神様の外見と謝り方を聞いて、三人は驚愕、意味不明、困惑といった感情に囚われる。明らかにGOと外見的特徴と態度が違う。
「……どういう意味ゾ?」
「まさか同一人物が姿変えてたとか? 神様ならありえるだろ」
「わ、わかりません……今は憶測の域を出てないし……」
口々に疑問の声を上げる三人。しかし冬夜は思いのほか冷静で、野獣に声をかける。
「すいません野獣さん。そのスマートフォン、機種名はなんと言います?」
「え、これか? Ahhh! Ndroid810っていう奴だけど」
「……それって、世界的に有名ですか?」
「当たり前だルルォ? このやわらか機能は世界に一つだけの技術なんだぜ?」
「もっと他に技術の使い方あるでしょうに……」
「……まさか」
野獣の自慢に木村が呆れている間、冬夜にはある仮説が思い浮かんだ。
「……僕のスマートフォンも、実は販売されたばかりの最新型の機種なんです。同じく、開発元の会社が大々的に宣伝していた有名な物です」
「え? それって……」
「それから……少なくとも僕は野獣さんのスマートフォンの存在を知りません」
「ファッ!? この素晴らしいスマートフォンを知らない!? お前遅れてんねぇ!」
「すいません先輩黙っててください。えっと、つまりそれが意味するのは……」
木村が野獣を黙らせ、冬夜に続きを促した。
「後、これも確認させてください。今から僕は今の首相の名前を言います。そちらも同じく首相の名前を同時に言ってくれますか?」
「い、いいけど……」
「じゃあ、言いますよ……せーの」
冬夜が合図を送り、三人は同時に記憶の中にある首相の名を声を大にして言った。
「〇〇太郎!」
「「「
「……え、何ですかそれは」
「え、首相の名前だけど」
何その……何? ともう一度聞きなおそうとしたが、話が進まないので冬夜は咳払いを一つ……そして、首相の名前を聞いて確信に至った。
「……多分、これで間違いないと思います」
そして……あまりにも荒唐無稽だが、しかし転生という神の御業を体験している身として、ほぼ確信している考えを三人に告げた。
「僕たちは同じ日本でありながら、違う世界の日本から来た……つまり、お互い平行世界から来た、ということかもしれません……」
ちゅーわけで、望月兄貴の住まう世界と空手部の住まう世界は別物という設定でこの話は進めていきますけど、この設定が活かされる日が来るのかと聞かれればどうすっかなぁ俺もなぁ……(曖昧)
(後この世界線の野獣先輩は普通に恋する男(おとめ)なので昏睡レ○プするような性根の腐った先輩では)ないです。そんな奴が子供に好かれるわけないから当たり前だよなぁ?
今後の活動についてではなくお気楽アンケート開催。アニメ異世界スマホのEDでスマホ太郎がヒロインたちに手を差し出すシーン、差し替えるとしたら誰がいい?
-
スマホ太郎(アニメ主人公)
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望月冬夜(原作主人公)
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野獣先輩
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三浦
-
木村