異世界空手部・やわらかスマホの裏技   作:コッコリリン

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第四章スタート。ようやっとミスミドへの旅行もとい冒険へ出発する章。獣人の獣耳とかは好きなんですけど、私レベルになるとやっぱ『テイルコンチェルト』とか『ソラトロボ』クラスの方が好きなんスねぇ。

まま、(そんなことはどうでも)ええわ。

今回は短め。原作とほぼ同じ展開ですねクォレハ……。


第四章
27.迫真空手部、お城へ向かう


 スライム騒動から三日後。特にこれといった出来事もなく、無難に依頼をこなしたり、空いた時間で特訓したり、或いは五人と一匹で遊びに出かけたりと思い思いにすごしてきた。

 

 そして晴れた日の朝、王都にある迫真空手部一行の拠点である宿屋の一室にて。

 

「国王陛下から手紙?」

 

「はい。今朝に早馬で届けられました」

 

 朝食を終えて各々今日はどう過ごすかを話し合っていた時、ユミナから父から手紙が届けられたと伝えられ、全員手紙を持つユミナに注目が集まった。

 

「ふーん、王様からは何て来てんの?」

 

「例の毒殺事件を解決に導いた功績として、木村さん、野獣さん、三浦さんに爵位を授与したいとのことです」

 

「爵位!?」

 

 野獣からの質問にユミナが答えると、八重が椅子を蹴って立ち上がって驚愕した。

 

「爵位って……つまり僕たちが貴族になるってことですか?」

 

「ええ、そうなります」

 

「え~? めんどくさ……俺はいいや」

 

「俺も面倒だから嫌だゾ」

 

「う~ん、僕も正直貴族なんて柄じゃないし、先輩たち同様面倒だし、辞退で」

 

「ちょ……!?」

 

 普通の庶民が国王から受け取る物の中で最も名誉であるとされている爵位を、遊びの誘いを断るが如くあっさり辞退するという三人に、さすがの八重も愕然とした。それも断る理由が『面倒くさい』というあんまりな内容だった。木村に至っては貴族になってしまえばそれこそ結婚話がより確実性を帯びてしまうということも懸念していた。ただ、ユミナはある程度予測できていたらしく、大したリアクションは無かった。

 

「っていうか何で俺と三浦先輩も受け取ることになってんだよ。ここは普通王様の毒消した木村が受け取るべきだって、はっきりわかんだね」

 

「そうだよ。俺たち付いてっただけだゾ」

 

「ポチャ(漁夫の利)」

 

「そんなことないでしょう。先輩たちがいたからこそ、バルサ伯爵の悪事を暴くことができたんですから」

 

「そうですよ? ミスミドとの同盟が最悪の形で破棄されるところだったのを寸前で止めたのですから。いわばあなた方は救国の英雄です」

 

「あ、そっかぁ」

 

「そういうもんなのかねぇ? ……まぁどの道(貴族になんてなる気は)ないです」

 

「当たり前だよなぁ?」

 

「当たり前じゃないでござる!?」

 

 何てことのない風に会話する三人に思わず八重がツッコんだが、三人はどこ吹く風。

 

「う~ん、断ってもいいみたいなのですが、その場合ですと公式の場で理由を挙げて辞退して欲しいとのことなのですが……」

 

「めんどいじゃダメ?」

 

「さすがにそれは……」

 

 野獣の内容では説得力が無さ過ぎてさすがにユミナも苦笑した。

 

「じゃあ冒険者稼業の方がいいっていう理由はどうかゾ?」

 

「それもどうかと思うんですけど……けどそれ以外思いつかないしなぁ」

 

「いえ、三浦さんの案で通ると思います。お父様も無理強いはしませんでしょうし」

 

「そ、それでいいんでござるか……? まぁ、それでいいんでござろうな……うん」

 

 爵位授与の断る内容が呆気らかんとしすぎていて、八重は軽く眩暈がしていた。それでいいのだろうかと思わなくもないが、受け取る側である三人が拒否している上に他ならぬ王女であるユミナがいいと言っているのだ。もう考えるだけ無駄だろう。

 

「あ、それと八重さんも王宮に来て欲しいとのことらしいです」

 

「え、拙者も!? 何故ゆえ!?」

 

 が、ここでユミナに話を振られて八重は焦った。

 

「それはもちろん、八重さんも迫真空手部の一員だからです。と言っても、単純に私がお世話になっているからお礼がしたいという理由のようですけど」

 

「いえいえいえいえ!? お、畏れ多いでござる! 拙者はここで留守番してるでござる!!」

 

 最近は八重もだんだん図太くなってきたと周囲は思われているが、それでもまだまだ野獣たち三人のような面の厚さは備えてはいない。一国の主と対面するなど、緊張でガチガチに固まってしまうだろう。

 

「大丈夫だって安心しろよ~! ヘーキヘーキ、ヘーキだから! 王様すっげぇ気さくだから問題ないって!」

 

「そうだよ。八重ちゃんも王様と仲良くなって欲しいゾ~!」

 

「親戚の家に遊びに行くわけじゃないでござるよ!?」

 

 反論する八重だが、彼女もなんだかんだ言って公爵家に行くのに何の疑問も抱かなくなった時点で「お前が言うな」感が強いということも記載しておく。

 

「まぁまぁ八重さん。先輩二人に便乗するわけじゃないんですけど」

 

「あ、おい待てぇい(江戸っ子)。便乗は俺のアイデンティティだゾ」

 

「三浦さん、そこにアイデンティティを見出すのはどうかと思いますよ?」

 

 変なところにこだわる三浦にユミナはやんわりと言った。それを放置して木村は続ける。

 

「王様と知り合っておくのは、八重さんとしても何かと都合がいいと思いますよ? 何かあっても助けを求める先が増えるということはメリットなんですから」

 

「し、しかし……」

 

「ええ。木村さんの言う通り、色々融通は利かせてくれる筈です。勿論、悪事に関しては許されませんけど」

 

「悪事など、そのようなことは断じてせぬ!」

 

「当たり前だよなぁ? 八重ちゃんのような優しくていい子がそんなことするわけないゾ~!」

 

「ポチャポチャ(当たり前)」

 

「う……」

 

 冗談めかして言うユミナに思わず真剣に反論するも、屈託なく三浦に言われて赤面する八重。同時、逃げ道を塞がれつつあると気付いた八重は、やがて肩を落とし脱力した。

 

「……承知したでござる。けど、国王の前で妙なことはせぬように!」

 

「言われなくても大丈夫だって! 信じてくれよな~頼むよ~」

 

「野獣殿は己の所業を振り返ってみてはどうでござろう?」

 

 一番礼儀から縁遠い人間から言われたって信じられる筈もなく、ジト目で野獣を見やる八重なのであった。

 

「……ところでいつ頃に行くんですか?」

 

 と、木村がユミナに聞くと、呆気らかんとユミナは答えた。

 

「今からです」

 

「見切り発車ってレベルじゃねーぞ!?」

 

 今日の予定はどうするかと考えていた矢先、突然の王との謁見というでかすぎる用事ができてしまった。

 

 

 

 

〜11分4秒後〜

 

 

 

 

 とりあえず準備を済ませ、木村がゲートを開く。

 

「いや、正直な話こんな形での入城っていうのは予想外すぎるんですけど……」

 

「構いませんよ。それにこちらの方が手っ取り早いですし」

 

 そう言いながら、ユミナを先頭にしてゲートを潜る一行。ゲートを開いた場所は、ユミナの部屋である。と言っても、ユミナのプライベートルームというわけではなく、客をもてなすための応接室みたいなものだ。すでに前もって王から許可は得てあるとは言えども、やはり畏れ多い気持ちが強い。肝心のユミナは平然としているため、木村が気にし過ぎと言われても仕方ないのだが。

 

 ともかく、王が待つ部屋へ向かうべく部屋を出る。当然と言えば当然だが、最初部屋を警備していた兵士に怪訝な顔をされるも、ユミナの姿を認めると恭しく頭を下げて警戒が解かれた。

 

「毎度~」

 

「お疲れ様だゾ~」

 

「ポチャチャー(ご苦労様)」

 

「突然お邪魔してすみません」

 

「あ、いえ」

 

 警戒が解けた瞬間にフレンドリーに挨拶する三人に条件反射で返事をした兵士を尻目に、一行は相変わらず豪奢な回廊を歩く。前回は王の毒を治すために急いでいたのもあってゆっくり見物することは叶わなかったが、今は特に急ぎの用事もないため、調度品や絵画をのんびり見ることができる。

 

「お~、やっぱりお城の中は立派だゾ~! この油絵とかスゲ~綺麗だゾ~!」

 

「この壺、いいセンスしてんねぇ!(適当に誉める)」

 

「先輩、価値わかってないでしょ?」

 

「せ、拙者が王宮に……うぅ、覚悟していたつもりが……」

 

 三浦は美術館に来てるかのようなテンションではしゃぎ、野獣は適当感丸出しに立派な壺などを誉めるも無知なことがバレバレで木村に呆れ交じりに言われる。八重は……お察し。

 

 そうしてしばらく歩き続けると、回廊の奥にある立派な扉の前に辿り着く。左右に控えていた兵士がユミナに向かって頭を下げ、一人が扉を開いた。

 

 広々とした部屋の中央に敷かれた立派な絨毯。その上に置かれた椅子に座って茶を飲みながら本を読んでいる王と、その横に立つレオン将軍の姿があった。

 

「おお、ユミナ。帰って来たか」

 

「お父様!」

 

 ユミナに気付いて椅子から立ち上がり、駆け寄ったユミナを抱きしめる王。普段は大人びている彼女も、こうして見ると年相応の少女である。そんな親子の抱擁を少し離れた位置で見守る空手部一行に気付いた王は、彼らに声をかける。

 

「久しいな、迫真空手部の諸君。待っていたぞ」

 

「オッス王様! 元気そうで何よりだぜ!」

 

「ご無沙汰してるゾ〜!」

 

「ポッチャ(よう)」

 

「ご容赦ください国王陛下。こいつら何度言っても口を改めないんです……」

 

「ハハハ、気にするな木村殿」

 

 気にします、という言葉は飲み込む。フランク過ぎる彼らを受け入れる国王も考え物かもしれないと思いながら。

 

「して、後ろの彼女が君たちの仲間か?」

 

「そうだゾ~。八重ちゃんって言うんだゾ」

 

 王が八重の姿に気付き、三浦が嬉しそうに紹介する。当の八重は片膝を着き、すでに緊張してガチガチになっていた。

 

「そうか……その服装からして、イーシェンの者か?」

 

「はっ! こ、九重八重と申しまする! 国王陛下にお会いできて光栄でござる!」

 

「八重固くなってんぜ?」

 

「いや固くなりもしますって。これが普通なんですよこれが」

 

 野獣に対してそう言う木村だったが、八重の反応が何だか新鮮に思えて来てしまうようになってしまった時点で軽い自己嫌悪に陥ってしまった。

 

「そう固くならなくともいい、頭を上げて楽にしてくれ。遠路遥々とよく来てくれた」

 

「ぎょ……御意」

 

 片膝は着いたままで頭を上げる八重。しかし彼女の周りは頭どころか膝も着いていないという、妙な光景であった。

 

 と、ここで木村の背中がバシンと強く叩かれた。

 

「よく来てくれたな、空手部の諸君! また会えて嬉しいぞ!」

 

「お~、将軍さんも相変わらず元気そうだゾ~これ!」

 

 叩いた犯人はレオン将軍だった。豪快に笑い、挨拶代わりに背中を強く叩かれて木村は顔を一瞬顰めるも、将軍には伝わっていない。野獣と三浦もまた背中に熱い洗礼を受けたが、動じていない様子だった。

 

「しかし、お前さんたちはかなり鍛えられているな。どうだ? 儂が直々に特訓をつけてやろうか? この後軍部での訓練があるぞ!」

 

「(せっかくですけどいら)ないです」

 

「すいません、僕は魔法の方が性に合ってるんで……」

 

 レオン将軍の誘いを受けたものの、面倒臭がりな野獣は言わずもがな、木村の戦い方は魔法による後方援護であるため、丁重に断る。ただ一人、ノリノリな者がいた。

 

「お、いいゾ~それ! 最近訓練もまんねり気味だったし、俺行きたいゾ~!」

 

「ポッチャ!(同行)」

 

「おお! 三浦殿はやる気か! いいだろう、後で城の訓練場にまで来るがいい! 久々に腕が鳴るわい!」

 

 乗り気な三浦が誘いに乗ってくれたことで心底嬉しそうに笑うレオン将軍。元々空手部にいた頃から三浦は三人の中で一番練習に熱を入れていたため、レオン将軍を見てその頃のことを思い出したのだろうか。野獣と木村は漠然とそう思った。

 

「ところで君たち、爵位の件なのだが……」

 

 と、ここで本来の目的を王から問われ、三人は王と向き直る。

 

「貴族とかいや~キツイっス(素)」

 

「俺も爵位はいらないゾ。冒険者している方が楽しいしな~」

 

「すいません、せっかくのご厚意なのですが僕も……」

 

 嫌そうに答える野獣とのんびりしつつもハッキリ告げる三浦、そして申し訳なさそうな木村とそれぞれ違う返答の仕方だったが、中身は同じ。そして王はユミナ同様、大体わかっていたとばかりに笑った。

 

「そうだろうと思っていたよ。君たちは貴族という枠組みには収まらないだろうとな。ただまぁ、余も王であるために形だけでも爵位授与をする必要があったのだよ。恩人に何も報いのない王というのも、それはそれで、な」

 

「へ~、王様ってのも大変なんスね~」

 

「当たり前だよなぁ?」

 

「ポチャ」

 

 他人事と言った風に相槌を打つ野獣と三浦とポッチャマ。木村は苦笑し、ユミナは小さく笑う。そしてさっきからずっと黙っている八重は顔が青くなっていた。

 

「おぉ、そうだ。木村殿、シャルロッテから伝言を預かっているのだが」

 

「はい? シャルロッテさんから、ですか?」

 

 と、ここでレオン将軍が思い出したかのように言う。

 

「この間木村殿が紹介してくれた者なのだが、彼は素晴らしいと言っていたな。無属性魔法をいくつも使える他、彼のおかげで古代精霊言語を読み解けるようになったらしく、随分と喜んでいたぞ……さすがに徹夜させてまで魔法について語るのはどうかとは思ったが」

 

「…………」

 

 木村は先日、シャルロッテの頼み通りに無属性魔法をいくつも使いこなす冬夜を紹介してやったが、まさか徹夜させられていたとは思っていなかった。今度パレントで何か奢ってあげようと決めた。

 

「それで伝言の内容なんだが、その時に作ってくれた古代言語解読アイテムをさらに作成してくれないかということらしい」

 

「あ~……わかりました。また伝えておきますね」

 

「ああ、頼んだぞ。なんだか最近のあいつ、あれ以来勢いが凄まじいからな」

 

 怒涛の勢いで魔法について語るシャルロッテの話を辟易しながら聞いている冬夜の図がイメージできたが、またシャルロッテから呼び出しがかかっていると伝えたらどのような反応をするのだろうか……木村は冬夜に同情の念を抱いた。

 

「まぁ、とりあえずだ。後日爵位授与式を執り行う。今は全然構わないが、その時はさすがに言葉遣いは正しておいてくれないか?」

 

「はい、わかりました。こいつらの脳に叩き込んでおきます」

 

「拙者も協力するでござる」

 

「ファッ!? ウーン……」

 

「嘘だよ……」

 

「ポチャ……」

 

 爵位授与式は公の場。今までみたくフランクな態度は慎まなければいけない。野獣と三浦の性格を知っている木村と八重は、その日までに礼儀を叩き込むことを強く決意した。そんな二人を見て、野獣と三浦は嫌な予感がビンビンして顔を強張らせた。

 

「ではその日の予定と段取りを決めていくか……と、その前に」

 

 ふと王は、傍に立つユミナを手招きし、彼女に小声で話しかけた。

 

「ユミナや。木村殿とはどうだ?」

 

「はい。まだ進展はありませんが、よき関係を築いていると思います。やっぱり木村さんは素敵な殿方です」

 

「そうか。その調子で頑張りなさい。私たちも孫の顔が見たいからな」

 

「フフ、わかりました。けど焦っては木村さんに嫌われてしまうかもしれないので」

 

「すいません丸聞こえです。僕のいないところでやってくれません?」

 

 何故ゆえに本人を前にそういう話をするのかと木村はげんなりしていた。というより本当に両親公認だったのかとまざまざと見せつけられ、外堀が埋められて行っているような気がしてならない木村。

 

 ふと木村は、まさかこの国王、ユミナと魔法の才能を持つ自分を結婚させてこの国に取り込む気じゃあるまいなと疑念を抱いた。そうだとすれば意外と強かである。だが貴族になればユミナとの婚姻の話が円滑に進むと言うのに、爵位を断られても平然としている辺り、真偽が測りかねた。

 

 そうして、その日は授与式の段取りの取り決めや、当日着る服を着合わせをしたりと慌ただしく過ごした。そして後日、授与式が執り行われたのだが……その時に木村は、野獣と三浦が自分が預かり知らぬ場所で王と繋がっていたことを思い知ることとなったのであった。

 




次回、迫真空手部ついに……みたいな。

今後の活動についてではなくお気楽アンケート開催。アニメ異世界スマホのEDでスマホ太郎がヒロインたちに手を差し出すシーン、差し替えるとしたら誰がいい?

  • スマホ太郎(アニメ主人公)
  • 望月冬夜(原作主人公)
  • 野獣先輩
  • 三浦
  • 木村
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