異世界空手部・やわらかスマホの裏技   作:コッコリリン

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ここまで書くのにスゲ~キツかったゾ~。


36.迫真空手部、そして邪竜

 

 

『ヴォエッ!!』

 

 野獣と琥珀が駆け出した瞬間、竜は炎弾を吐き出す。しかし、それは一人と一頭に向けてではなく、天へ向けて放たれた。炎弾は竜の頭上で停滞したかと思うと、一瞬の縮小の後に破裂。小さな火の球となって放射線状に散り、地上へと降り注ぐ。

 

『フッ! ハッ!』

 

「ヌッ!」

 

 一つ一つが子供の頭程の小さな火。だが当たれば火だるまになることは確実な死の雨を、琥珀と野獣は小刻みに動いて回避していく。ランダムに落ちて来る火を避けながら竜へと肉薄し、野獣は大剣を振りかぶった。

 

「ファッ!?」

 

 が、竜は寸前で後ろへ跳び回避。図体の割に俊敏な竜に驚愕する野獣。そして竜は跳ぶと同時に翼を動かし、そのまま飛行。低空を飛びながら再び口から炎を溜め込んでいく。

 

『っ! 乗れ!!』

 

 嫌な予感がした琥珀は、咄嗟に野獣に呼びかける。返事することなくすぐさま応えた野獣は琥珀の背に飛び乗った。

 

『ヴォエヴォエヴォエヴォエヴォエヴォエヴォエヴォエ!!』

 

 琥珀の予感は的中。竜の口から吐き出されたるは今までの巨大な炎弾ではなく、それよりも一回り小さい炎弾。それらを連続で野獣たちへ向けて吐き出し続けた。

 

『飛ばすぞ、振り落とされるな!』

 

「しっかり頼むぜぇ!」

 

 野獣を背に乗せた琥珀は竜の周りを回るようにして駆け出す。琥珀が通った場所から立て続けに小さな爆発が発生し、爆風が野獣と琥珀を襲うが、爆風に乗るかのようにさらに琥珀の足は早くなっていく。

 

 全身の傷が痛む。だが琥珀はそれをおくびにも出さない。白帝の意地と誇りにかけ、走り続ける。

 

『奴の上に跳ぶ! その瞬間に攻撃しろ!』

 

「ん、おかのした!」

 

 大剣の柄を強く握りしめる野獣。琥珀は竜の炎の嵐が一旦止んだのを見計らい、その場で急カーブ。竜へ向かって走り、地を蹴って高く跳躍した。宙へ飛び上がった琥珀の上で、野獣は大剣を大きく振るった。

 

「オルルァッ!!」

 

 竜の脳天に叩きつけられる重い刃。案の定、硬い鱗に守られて傷一つ付かない。だが、強力な鈍器となった大剣を脳に食らって揺さぶられたことで、竜は軽い脳震盪を起こし、宙でフラつく羽目となった。

 

『ハッ!』

 

 竜の頭を足場にし、再び跳躍する琥珀。そして野獣もまた大剣を振り上げ、そして、

 

「いくぞぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

 勢いよく、竜の右の眼目掛けて振り下ろす!

 

『ア″ア″ア″ア″ア″イタイイタイイタイィッ!!』

 

 手応えあり。野獣の一撃は確かに竜の瞳を縦一文字に切り裂き、今度こそ片目を潰した。

 

「やったぜ」

 

『油断するな。片目を潰した程度では奴は止まらないぞ』

 

 地表に着地した琥珀の上で野獣がガッツポーズをするも、琥珀がまだ致命的ダメージを与えていないことを伝える。

 

 右目から夥しい量の血を流しながら、空中で首を振るって痛みから逃れようとする竜。その際、口から吐き散らかすように炎弾を乱射し始めた。

 

「おっぶぇ!!」

 

『おのれ、またしても!』

 

 咄嗟に姿勢を下げ、頭の上ギリギリを通過した炎弾に肝を冷やす野獣。忌々し気に呟いた琥珀は再び疾走。炎弾を避け、時折命中しそうになっては野獣が大剣を振り払って炎弾を散らす。やがて竜は荒れ狂うのをやめ、走り回る琥珀を追って滑空する。

 

『ダイナマイッ!!(削岩)』

 

 そして鋭い爪を振り下ろし、ブルドーザーもかくやと言わんばかりに土を削り、石を破壊しながら琥珀と野獣へ迫る。琥珀はそれをギリギリで回避。長い爪痕を残してから再び宙へ飛び上がった竜は身を捻って身体を再び琥珀へ向け、口を開いた。

 

『何度も何度も、いい加減にしつこい!』

 

 琥珀が毒づく。もはや野獣たちの周りは草原とは呼べずに焼野原となっており、焦げ臭い臭いが鼻をつき、そこかしこで炎が上がっている。竜の基本的な攻撃なのかもしれないが、いい加減肌を焼く程の熱気をこれ以上増やさないで欲しいところだ。

 

「……一か八か、やってみるか」

 

 口を開き、熱を溜め込み始める竜を見て、野獣は琥珀から下りながら呟く。先ほど、竜が地面を削ったことで辺りに散らばった土と石。そのうちの一つ、拳大の石を拾い上げた野獣は、正面の竜を見据えた。

 

 竜が口を開いた瞬間。それすなわち、攻撃のチャンスでもある。尋常ではない程に硬く、攻撃を通さない鱗。しかし例え表面は頑丈でも、中身はどうか。竜に限らず、人間しかり他の動物しかり、口腔内はどう足掻いても防御のしようがない、一種の急所だ。反撃の糸口を掴むためにも、そこを狙ってみる価値はある。

 

 ただ問題は、あそこにうまく命中させることができるのかという点だ。野獣に野球経験があれば別だが、球技など小学生のお遊戯レベルでしかやったことがない。つまりまんま初心者だ。竜の口はでかいが、離れた位置から投げ込むのは至難の業だ。

 

(けど、やるっきゃねぇよなぁ)

 

 やらないよりやってみろ。自分にそう言い聞かせ、野獣は石を握りしめる。脳裏にイメージするのは、自分が応援しているソフトボールの投手。見様見真似で、野獣は投げる構えを取った。

 

 その時、野獣の身体が自然と動く。スマホで観た動画に映っていた選手の動きをそのままトレースしたかのように滑らかに、そしてまるでベテランのように使うべき筋肉、(ボール)の握り方が手に取るようにわかる。理解できる。

 

(どうなってんだこりゃ?)

 

 先述したように、野獣は球技は初心者だ。知識すらもない。迫真空手部の実力者とは言えども、投げる時の筋肉の動きなどわかる筈もない。内心で野獣は戸惑う。

 

 が、今はあれこれ考えるよりも動く方が先だ。今にも炎を撃ち出してこようとしている竜へ意識を集中、狙うは無防備にも晒している、発射口である牙が生え揃った口の中。野獣は脳内の動きをそのままに身体に伝えるように、腕を素早く一回転。遠心力を乗せ、

 

「シューッ!!」

 

 石を投げ飛ばす。

 

 プロの選手並の速度で飛んでいく石。そしてその石は真っ直ぐ、野獣が狙った場所……炎を吐き出そうとしている竜の口腔内へ!

 

『―――――ッ!!』

 

 突然飛来してきた石が口の中を通り、喉へと飛び込んできてはさすがに竜も驚き、条件反射で口を閉ざす。その瞬間、発射間際だった炎が行き場を無くした結果、竜の口の中で爆発した。

 

『ヴォエッ!? オゥエッ!?』

 

 ズズゥン……地響きと共に、竜が地面へと落下。口から煙を吐きながら、竜は悶え苦しんだ。

 

『……お前、今のは狙ってやったのか?』

 

「ふたいたいは……(曖昧)」

 

 琥珀が野獣のピッチングを目の当りにし、驚愕で固まる。当の野獣も、まさか熟練の技術力が無ければできない『狙った場所へ向けて投げる』を成し遂げたことで呆然としていた。

 

『アァモウ……イタインダヨォォォォォッ!!』

 

 右目を潰され、口の中は火傷し、竜は激怒して空気を震わす咆哮を上げた。絶対に許さない。目の前の小さき獲物をただ喰らうだけでなく、血祭にあげてやる……そんな残虐な決意の下、竜は翼を大きく動かした。

 

 その瞬間、

 

 

 

「オルルァッ!!」

 

「とりゃぁぁぁっ!!」

 

 

 

 翼の膜に、二度も衝撃が走った。

 

『ニョ!?』

 

 突然、自慢の翼が傷つけられたことで、僅かに浮いていた身体が地面へと落下する。竜は愕然とし、原因を探した。

 

「八重ぇっ!!」

 

「承知っ!!」

 

「冬夜!! リンゼ!!」

 

「光よ穿て、輝く聖槍、シャイニングジャベリン!!」

 

「炎よ来たれ、紅蓮の炎槍、ファイアスピア!!」

 

 その原因を見つける前に、再び竜へと迫る一つの影と、飛来する光の槍と炎の槍。影が手に持つ刀の切っ先を、残された左目へと突き出す。回避が遅れ、竜の左目にズブリと、刀が埋め込まれていった。

 

 さらに先ほど衝撃が走った右の翼の膜へ、光と炎の槍が同時に命中。頑丈にして柔軟で、剣すら通さない筈の翼の膜。しかし、それぞれ高熱を宿した槍によって膜の組織が破壊され、それによって槍は貫通。翼に大きな穴が空く結果となってしまった。

 

『デアイタイッ!!』

 

 視界はゼロ。おまけに飛行しようにも翼の大穴によって風を受け止める機能を失い、空へ舞い上がることができない。竜は両目からも血を流し、口からの唾液と共に辺りにまき散らした。

 

「っと」

 

 そして、竜から視界を奪った功労者は膝を曲げて着地。飛行能力を奪った者たちも琥珀と野獣へ駆け寄ってきた。

 

「野獣、無事か!」

 

「ポ、ポチャ……(疲労困憊)」

 

「琥珀!」

 

「三浦先輩! お前らも!」

 

『主……!』

 

 今まで炎の消火作業を急いでいた三浦たち。いまだ炎は残ってはいるものの、彼らの必死の作業によって野獣と琥珀の下へ駆けつけることが可能な程に炎の勢いは弱まっていた。

 

「琥珀……! そんな、ひどい怪我だ! 今すぐ回復を!」

 

 琥珀に駆け寄った冬夜は、回復魔法を唱えようとする。が、琥珀はそれを止めた。

 

『主、私の回復は後回しで。今が奴を仕留めるまたとない好機、このまま反撃しましょう!』

 

「いや、でもその怪我は……! 鼻血まで……」

 

『ご安心ください。私は白帝。この程度の怪我で動けなくなる程、軟ではありません』

 

「あとついでなんだけどよ、その鼻血は琥珀が自分で」

 

『余計なこと言うなバカタレ。噛むぞ』

 

「すんません許してください何でもしますから!(何でもするとは言ってない)」

 

「……? なんか、変ね……」

 

 琥珀の自傷について言いかけた野獣を止める琥珀の口調から以前のようなギスギスした物が感じられず、エルゼが疑問符を浮かべた。

 

「確かに琥珀殿の言う通り、今がまさに好機でござる」

 

 八重は竜の血が付いた刀を振るい、血を払う。今の竜は、黒竜と同じく空を飛べないただのでかい蜥蜴と化した。畳みかけるならば、今しかない。

 

「ならば、今度こそ奴に引導を渡してやろう……!」

 

「はい!」

 

 先ほどエルゼと共に飛び蹴りを放った三浦は、再び拳を構えて竜を見据える。リンゼも杖をかざし、魔法の詠唱準備に入った。

 

「みんな、行こう!」

 

「オッケー!」

 

『主がいれば、百人力だ!』

 

「行きますよ~行く行く!!」

 

 冬夜の号令の下、全員揃った一行は、いまだ暴れる竜へ駆ける。トップバッターは三浦。助走で一気に勢いをつけると、宙高く飛び上がる。右拳を引き、そして思いきり竜の横っ面を殴りつけた。

 

「オルルァッ!!」

 

 ドゴンッ! そんな重々しい音をたて、竜の顔が歪む。さらに、

 

「どりゃあああああっ!!」

 

 もう一つオマケと、エルゼのブースト込みの鉄拳も三浦と同じ個所に叩きつけられた。連続で殴られ、今度は仰け反るように吹き飛ぶ竜。いかに頑丈な鱗であろうと、衝撃までは逃せない。

 

「ポッチャアアアアアアア!!(ド根性みずてっぽう)」

 

 さらにオマケにポッチャマの超高圧水流が命中。無様にも竜は倒れ込んだ。

 

「畳みかけるぞエルゼ!!」

 

「合点!!」

 

 二人は地面に着地、すぐさま三浦は竜の右側へ、エルゼは左側へと回った。すぐさま起き上がり、取り囲む陣形を取った二人を薙ぎ払うべく、竜は身体を回転させて尻尾で迎え撃とうとした。

 

「スリップ!!」

 

「氷よ絡め、氷結の呪縛、アイスバインド!!」

 

 が、冬夜とリンゼが同時に魔法を発動。竜は冬夜のスリップの魔法陣によって再び前のめりに転ばせ、その隙に足元が凍り付く。頑強な氷によって転んだまま動きを止められた竜は、防ぐ手立てを失った。

 

「はぁぁぁぁ……っ」

 

 呼吸を整え、拳を構える三浦と、

 

「ブースト……っ」

 

 強化魔法を唱え、拳を構えるエルゼは、

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァァァァァ!!」

 

「全っっっ開ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 

 竜の左右の横っ腹、鱗が覆われていない僅かな部分に、拳による怒涛の連打を叩き込んでいった。三浦の鍛え抜かれた筋肉から繰り出される拳と、エルゼのブーストによって強化された拳からなる打撃音の狂騒曲、そして凶悪な打撃の嵐、嵐、嵐! 互いの身体が悲鳴を上げようが構わない。一撃一撃に力を込めて、ただひたすらに殴り続ける。

 

『アーボ! アーボ!(悲鳴)』

 

 逃れようにも足が動かない。飛ぼうにも翼は穴が空いていて意味がない。ただ内臓に響く衝撃の連打を喰らい続けるしかなく、竜の口からこみ上げてきた胃液が飛び出してきた。

 

『イタインダヨォォォォォッ!!』

 

 それでも、逃れたいという本能が働いたのか、飛べない翼を必死に動かす竜。だが飛べはできなくとも、それは強烈な鈍器となって左右の二人を襲った。

 

「ちぃっ!」

 

「あぶなっ!?」

 

 危機一髪、攻撃を中断して跳び退り、翼の一撃を二人は回避した。足元の氷も砕かれたことで、竜は自由を取り戻す。

 

『イタイノニ……コノヒトタチオカシイ……!(戦慄)』

 

 だが腹部に喰らったダメージは抜けておらず、いまだフラフラな状態で立ち上がることすらままならない。

 

「くそ、もう一回スリップで……!」

 

 冬夜が再び竜を転ばせようと、竜へ右手を翳す。が、それに待ったをかける者が。

 

「冬夜、頼む! 合図を送ったら俺にスリップをかけてくれ!」

 

「え……はぁ!?」

 

 突然、野獣が冬夜にそう頼んだことで、意図が読めない冬夜は素っ頓狂な声を上げた。何の真似だと問う前に、野獣が一足飛びで走り出す。

 

 竜は痛む身体を押して、四肢を踏ん張って立ち上がった。視界は塞がれているが、いまだ爬虫類特有の感覚は失ってはいないようで、野獣の接近に気付き、唸り声を上げた。

 

 野獣は大剣を握りしめ駆ける。そして幅跳びの要領でジャンプしたかと思うと、

 

「今だ冬夜!!」

 

「っ! スリップ!!」

 

 冬夜へ向けて叫び、野獣の考えがわからないままにスリップを唱えた。瞬間、野獣の着地点に白い魔法陣が展開される。

 

 このままでは野獣は滑って転んでしまう……誰もがそう思った。

 

 だが、野獣との付き合いがまだ短い者たちは忘れていた。野獣は色々と規格外だったということを。

 

「んなぁっ!?」

 

 スリップをかけた冬夜本人が、目の前の光景に一番驚いていた。エルゼとリンゼも、彼の行動に度肝を抜かれていた。

 

 それは何故か?

 

「シュ~ッ」

 

 片足で着地するやいなや、もう片足を後ろへ上げ、両手を広げて華麗に滑り出したからだ。さながらアイスリンクの上を滑るスケート選手のような見事なフォームで、走るよりも圧倒的な速度で竜へと迫る。

 

 まさかのスリップを氷代わりにして移動するとは思ってもいなかった冬夜たち。それは竜も同じで、急激に速度を上げた野獣に慌てふためき、炎弾で迎え撃とうと口を開いた。

 

「させはせぬ!!」

 

『おおおおおおおッ!!』

 

 そうはさせじと、琥珀に跨った八重が横から飛び出してくる。そして琥珀が竜の顎下へと滑り込むようにして通り抜ける際、八重が刀を振り上げた。

 

「やぁっ!」

 

 八重の刀が、竜の下顎に打ち据えられる。傷こそ浅いが、突然の痛みに思わず竜は首を上へ上げた。隙としては、ほんの僅かな時間でしかない。

 

 だが、野獣にはそれで十分だった……いや、十分過ぎた。

 

「じゃけんトドメ……!」

 

 野獣は滑りながら、大剣の切っ先を突き出す。狙うは一か所。いまだ血が流れ出ている、竜の喉元……琥珀が噛み千切ろうとしていた、竜の中で一番薄い急所。

 

 そこへ風となった野獣……否、『撃竜槍と化した先輩』となった野獣は、

 

 

 

「行きましょうねっっっ!!」

 

 

 

 疾走の勢いをそのままに、急所に向かって大剣を渾身の力を込めて突き刺す!!

 

 

 

『ア″ア″ア″ア″ア″イタイイタイタイィッ!!』

 

 ゾブリと、大剣の刃が半ばまで埋まり、血がより一層流れ出す。肉と肉を断つ感覚が手元に伝わり、野獣は顔を顰めるが、それを振り払って野獣はさらに剣を押し込めていく。竜は悲鳴のような咆哮を上げるも、それは徐々に情けない、弱々しいものへと変化していく。

 

『ネ~モウムリ~モウホントイタイ!!』

 

「痛いだとぉ? ふざけんじゃねぇよ! お前が襲った人たちの方がもっと痛かったんだYO!!」

 

 無慈悲にも罪なき村人を襲った竜が、痛みに泣き喚く。この竜は戯れに命を奪った。ここで逃せば、この竜は確実に他の人を襲う……そんな確信が、野獣にはある。

 

「お前の命……いいよ、来いよ! 胸にかけて胸に!!」

 

 好きで命を奪うわけではなくとも、結果は同じ。それをわかっていても、その手は止めない。奪った命、この胸に抱いて生きていってやる。その覚悟を持って、

 

 柄元まで沈んだ大剣を持つ手を、

 

 

 

「ンアッーーーーーーーーーー!!」

 

 

 

 思いきり、押し下げていった。

 

 首元から胸部にかけて、縦にバッサリと切られた竜の身体。噴き出す血が地面を汚していく中、

 

 

 

「AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAモウイヤダアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァ……………」

 

 

 

 竜は天へ向けて咆哮する。これまでのよりも遥かにでかい咆哮は、徐々に尻すぼみになっていく。

 

 暴虐と破壊の衝動に駆られるまま暴れ周り、無辜の民を傷つけた邪悪な竜。強大な力を振るうも、自分よりも小さな存在でしかない人間の剣により、最後の断末魔の咆哮を上げ、やがて地面を揺らしながら倒れ込んだ。

 

 全生物の中でも上位に位置する竜は、流れ出た己の血の海の中に沈む。その身体からは命の灯はとうに消え、身体は躯となり、二度と動き出すことはなかった。

 

 

 

 短くも長く感じた竜との死闘は、野獣たちの勝利で幕を閉じたのだった。




邪竜戦はもっと早くに終わる予定だったんですがねぇ……?

まま、ええわ。

次回、木村サイド。木村サイドも次回で終わりだから、次回も見とけよ見とけよ~。

今後の活動についてではなくお気楽アンケート開催。アニメ異世界スマホのEDでスマホ太郎がヒロインたちに手を差し出すシーン、差し替えるとしたら誰がいい?

  • スマホ太郎(アニメ主人公)
  • 望月冬夜(原作主人公)
  • 野獣先輩
  • 三浦
  • 木村
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