野獣がレネと出会い、レネが公爵の屋敷で働くことが決まった翌日、野獣はレネを木村たちに紹介した。その時の境遇をレネ本人から聞いた木村たちも、野獣ほどではないが涙した。それを見てレネはまたも戸惑ったが、少なくとも空手部全員が善人であることははっきりと理解したという。因みにユミナが王女であることを知って軽く卒倒しかけたのは、まぁ余談である。
そうして、幾ばくかの月日が流れた。その間、時に修行し、時にレネとスゥ、冬夜たちも誘って遊びに行ったり、そして時に冒険者としての仕事をこなす日々。忙しなくも充実した日々を、野獣たちは送っていた。
そして今日この日。空手部だけでなく、冬夜たちも一緒にとある場所に集まっていた。その場所というのが、
「せぇい!!」
「ふぅんっ!!」
―――ズダァンッ
かつての空手部を想起させられる、子爵邸の道場である。
ぶつかり合う、拳と木刀。相対するのは三浦、ソードレック子爵。鍛え抜かれた三浦の拳と真剣と見紛ってしまう程に鋭い子爵の木刀から発生する衝撃波。二人は競り合うことなく即座に跳んで後退、身構え、再び打ち合う。奏でられる拳と木刀がぶつかり合う音と二人の気合いの声が、道場に木霊する。
二人から離れた位置の床に座りながら見守る野獣たち。冬夜と琥珀、エルゼ、リンゼも、初めて見た和風の道場に先ほどまで興味津々だったのが、今や目の前で繰り広げられる組手の迫力の前に押し黙る。いつもは三浦の頭の上が定位置のポッチャマも、この時ばかりはユミナに抱きかかえられていた。
「ぬおぉっ!」
「はっ!」
子爵の鋭い振り下ろしを即座に上段回し蹴りで軌道を逸らし、三浦は回転の勢いを乗せて再び回し蹴りを子爵に見舞う。が、風に乗せた鎌の如しそれを子爵は頭を下げて回避。無防備になった三浦に今度は下段からの逆袈裟で襲うも、三浦は常人では見切れない剣速の一撃を身体を逸らして避けた。
「おぉぉっ!!」
「らぁっ!!」
子爵の追撃の右からの横なぎ。それを三浦は避けるのではなく、右肘と右膝で木刀の刃を挟むようにして止める。ガヅンという、凄まじい音が道場に響く。
「なんと……っ!」
これには驚く子爵。その隙を逃さない三浦は、木刀を挟んだまま身を捻った。その際、木刀を放す。そうなると、遠心力に乗せられた子爵は前のめりによろけ、無防備となる―――が、あえて勢いに抵抗することなく、前方へ転がって勢いを殺し、すかさず膝を着いて立ち上がった。
「ぬぅ……!」
子爵は三浦の追撃に備えたが、三浦は慎重に状況を見定め、追撃せずに留めた。
僅か十秒足らず。この短い時間の間に繰り広げられた攻防は、常人では成しえない達人の域そのものだった。誰かが息を呑む音が聞こえる。
「はぁぁっ!!」
「おぉぉっ!!」
再び始まる猛攻。三浦の四肢から繰り出される乱打。子爵の木刀による縦横無尽の刀捌き。互いに殺気はない、ただそこにあるのは熱迸る闘気が渦巻く。
「「しゃあっ!!」」
その終わりもまた、唐突だった。
互いの呼気と共に放たれた、拳の突きと袈裟がけの振り下ろし。拳は子爵の鼻先に、木刀は三浦の首元の薄皮一枚に、ピタリと止まる。互いの武器から放たれる風圧のみが二人の身体に叩きつけられた。これが真剣勝負であれば、子爵の顔面は陥没、三浦は肩から腰までばっさりだ。
数秒。二人は動かない。野獣たちが見守る中、やがてどちらともなくゆっくりと動き出し……各々得物を下げて直立、腰を曲げて頭を下げ、礼を交わした。
それが、この熱気渦巻く組手終了の合図であった。
「うむ……見事だ、三浦殿」
「ふぅ~……子爵さんもすごかったゾ~これ!」
厳つい顔が穏やかな物となった子爵と、閣下モードによる凛々しい顔から一転して普段の顔となった三浦が、互いを称賛した。
「す、すっご……息、できなかったわ」
「……」
「いやぁ、すごいなぁ。あんな組手、僕初めて見たよ」
あまりに真剣に見ていたせいで呼吸を忘れてしまいそうになっていたエルゼは、どうにか息を整えながら言葉を発する。対し、リンゼの方はいまだ衝撃から復帰できず、硬直していた。冬夜はいち早く復帰して、先ほどまでの二人の激しい組手をちゃっかり録画していたらしく、再生して見直していた。
「しかし、驚いたな。三浦殿が突然私と組手がしたいと言い出すとは、予想外だった」
手ぬぐいで汗を拭いながら子爵は言う。今回の組手をしたいと言い出したのは三浦の方。子爵も忙しい身であるが、事前に三浦からそう申し出をされたとなれば、子爵の武人としての血が騒ぐというもの。急ピッチで仕事を終わらせ、こうして三浦と相まみえることができた。
「子爵さん、忙しい時にお願い聞いてくれてありがとな~。対剣術における迫真空手の動きをおさらいしたかったから、お陰で助かったゾ!」
「いやなに、私も久方ぶりにこのような熱い戦いができて実に満足だ……しかし、無手の相手がこれほど厄介だとは思っていなかったな。野獣殿も凄まじかったが、三浦殿もまた見事な腕よ……」
「照れるゾ~これ! けど子爵さんの剣めっちゃ重かったゾ~! まだ腕が痺れてるよ」
互いの実力を褒め合う三浦と子爵。あれだけ激しい運動を繰り広げたにも関わらず、多少の汗をかいた程度の二人の実力の高さを垣間見たエルゼはため息を一つついた。
「初めて会った時から思ってたけど、やっぱ三浦の強さって半端ないわね……参考になるかと思って見学に着いてきたけど……」
「そりゃ三浦先輩は迫真空手の世界大会準優勝者だからなぁ。めちゃくちゃ強いのは当たり前だって、はっきりわかんだね」
「世界大会で準優勝、ですか!?」
野獣の言葉に衝撃を受けたリンゼが思わず聞き返す。
「ええ、あの時の試合は迫真空手史上にも残る程のすごいものでしたよ……三浦先輩もあと一歩ってところでしたけども」
「それは……凄まじいものでしたでしょうね」
『なるほど、人間というものも侮れんな』
「ポチャ(せやろ?)」
先ほどの組手もまた見事なものだったが、木村が語るその試合がどのようなものか、ユミナは想像もつかない。そのユミナの腕の中でポッチャマはユミナと琥珀の賞賛を我がことのように満足気にうんうんと頷いていた。
「…………」
そして一人、八重はそんな達人の二人を……もとい、三浦をじっと見つめていた。その目は他の見学している面子とは違い、どこまでも真剣なものだった。
「……? 八重さん、なんだか怖い顔してるけど大丈夫?」
「……え?」
しかし、その顔は真剣を通り越している物に見えた冬夜に気遣われた八重は、一拍遅れて反応する。
「あ、いや……だ、大丈夫でござる。お気になさらず……」
「そう? なら、いいんだけど」
ただそう答える八重に、それ以上冬夜は何も言わなかった。その時だけ、八重は表情を和らげた……が、三浦へと顔を戻すと、また同じような顔になる。
やがて、八重はおもむろに立ち上がる。そして、互いの気になった点を指摘して改善点を模索するため話し合いを始めた三浦と子爵へと歩み寄った。
「八重さん?」
突然立ち上がった八重に木村が戸惑いの声を上げる。それに応えることなく、八重は子爵の前に立った。
「ん? どうした八重殿?」
八重に気付いた子爵。そして八重は、子爵に頭を下げた。
「失礼、子爵殿。組手の直後であることは重々承知でござるが、これから拙者と一手、お願いしたく……」
「ほぉ?」
「あ」
「え、八重さん!?」
唐突の申し出。子爵はやや驚き、三浦も間の抜けた声を上げた。見学していた木村たちも同じく。
「私は構わんが……ふむ」
じっと、子爵は八重を見つめる。顔だけでなく、八重の立ち振る舞いを含め、全身を見る。数秒、沈黙が流れる。
「……よかろう。以前刀を交えた時からどれほど成長しているか、改めて見せてもらおうか。三浦殿、審判を頼む」
「いいゾ。八重ちゃん、頑張ってな~!」
三浦からの声援を受ける八重。いつもならその声に応える八重だったが、
「…………」
「ん?」
何故か応えず、無言。手にした木刀を正眼に構え、真っすぐ子爵を見据える。いつもと違う八重に三浦はやや戸惑いながらも、審判を務めるために子爵と八重から距離を離した。
「わかっていると思うが、遠慮はいらんからな」
「……元より、そのつもりでござる。遠慮などしたところで、子爵殿には到底敵わぬゆえ」
軽口のつもりの子爵に、八重はどこまでも真剣な面持ちで言う。子爵はそれに対して特にリアクションもせず、仁王立ちで八重と相対した。そして、
「では……始め!」
「でやぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
三浦が手を振り下ろすと、八重は気合いと同時に子爵へと飛びかかっていった。
~36分4秒後~
「んじゃ、俺らは今から帰るわけだけど、実は家に美味いお菓子あるんだよなぁ。冬夜、お前らどう?(お茶会)」
「僕ら? 僕らこれから依頼があるんだけど、まぁ出発まで多少時間あるから……うん、少しだけお邪魔させてもらおうかな? みんなもいいよね?」
「わ、私は冬夜さんとお姉ちゃんに付いていくので……」
「いいわねぇ。仕事前の景気づけに」
『主の意のままに』
「お、いいゾ~これ!」
「多めにティーセットを買っておいて正解でしたね、木村さん」
「そうですね」
「ポッチャ(お菓子食い放題ショーのはじまりや)」
子爵邸を後にし、帰る道すがらに雑談を交えて歩く野獣たち。いつもの王都の街並を眺めつつ進む、いつもの光景だ。
「…………」
「……八重ちゃん、元気出すゾ」
が、一つだけ違うのは、共に歩くメンバーの一人こと八重がいつものようにみんなに混ざることなく、暗い顔をして俯き気味で少し遅れて歩いているということだった。努めて明るく振舞っていた三浦が八重を気遣う。
八重が落ち込んでいる理由は明白、先ほど意気込んで子爵に挑むも、ものの見事に返り討ちに合ったためだ。三浦たちから見ても、八重の実力は以前よりも確かに上がっていた……が、やはり経験が豊富な子爵に軍配が上がったのだった。
「そ、そうですよ八重さん! 子爵も以前より強くなっていたって太鼓判を押していたじゃないですか!」
「そうそう! あの子爵にかます一撃、すごかったよな~! こう、シュシュシュシュ~的な?」
「野獣さん、それすごさ伝わってないと思います……」
『相変わらず語彙が微妙な奴だな……』
続いて木村と野獣もフォローに回る……野獣のフォローの意味のわからなさにユミナと琥珀はツッコんでいたが。
「……申し訳ありませぬ、皆様方。拙者が至らないばかりに気遣わせてしまい……」
「ま、まぁまぁ八重さんも落ち込まないでよ。木村さんたちの言うように、前より気迫すごかったと思うよ?」
「そうよ、自信持ちなさいって! そもそも子爵は聞けばアンタのお父さんから手ほどき受けてた人だったんでしょ? そう簡単に年季の差には勝てないわよ」
「そうですよ。気長にいきましょう」
冬夜たちも八重を慰める。対して八重は「面目ない……」と、どんよりした空気を纏ったまま返事をした。
「……八重さん、今回はショックが大きいですね……僕らから見ても善戦してたと思ったんだけどなぁ」
「ん~、つっても自分の中で納得いかないことがあるんなら、まぁ多少はね? じゃけん立ち直るまで待ちましょうね~(大人の対応)」
木村と野獣が八重に聞こえない程度で話す。こうなったらもう時間が解決するのを待つしかなかった。
微妙にぎこちないまま、一行は家がある住宅街に入る。やがてすでに見慣れた二階建ての我が家に辿り着くと、野獣がいの一番に玄関の扉を開けた。
「ただいまーっと」
「あ、皆さんおかえりなさ~い!」
パタパタとリビングから玄関まで来て出迎えてくれたのは、ラピスとは違うもう一人のメイド、セシルだった。明るい茶髪に糸目の女性で、冷静なラピスとは正反対のおっとりした笑顔が特徴の女性だった。あと色々と豊満だった。
「おっすセシルさん! 今日はお客さん連れてきたから、お菓子とお茶用意してくれませんかぁ?」
野獣が冬夜たちを連れてきたことを伝えると、セシルは「まぁ」と少し驚いたように言った。
「今日はお客様が多い日ですね~」
「多い日? どういう意味っスか?」
「ええ、実は皆様に会いに来られたとかで、お客様がお越しになられてるんですよ~」
「俺らに客ぅ?」
一体誰だと、野獣が問おうとした……が、それは問う前に向こうから姿を現す。キュッキュッという特徴的な足音がしたかと思うと、セシルの足元から顔を覗かせる。その顔を見て、野獣は「ファッ!?」と声を上げた。
「お前、ポーラじゃねぇか!?」
驚愕する野獣に、件の存在である熊のぬいぐるみポーラは「よっ!」とばかりに右手を上げた。ポーラがここにいる、ということは、セシルの言うお客様は一人しかいない。
「あら、おかえりなさい。遅かったじゃない?」
そのお客様が、ポーラに続いてリビングから玄関へ。フリルのついたゴスロリを身に纏った銀髪のツインテールの少女。野獣たちにとって馴染みのある人物、妖精族のリーンが、いたずらっぽく微笑んでいた。
~1分14秒後~
「お待たせしました~。冷たいお紅茶しかありませんでしたが、よろしいでしたか~?」
「あ、ありがとうございます」
食卓用のテーブルの席に着いている冬夜とエルゼとリンゼの前にコップに入れられたアイスティーを配るセシル。冬夜は礼もそこそこに、改めて来客用としても機能するソファに座るリーンと、テーブルを挟んで対面する形で座る空手部一行を見やった。
「なんだよ。来るなら来るって手紙の一つでも寄越せばよかったのに(予想外)」
「そうだよ。ポーラちゃん一人で来たのかと思って焦ったゾ~」
「そんなわけないでしょ、バカね。まぁ連絡しなかったのは悪かったと思ってるわ」
野獣に対しては悪びれることなく、そして三浦の天然発言には呆れ交じりに応えた。
「……まぁ、リーンさんがここにいるのも気にはなるんですが」
そして木村はというと、リーンの隣に座る人物へ視線を向けた。
「なんでシャルロッテさんもここに?」
「あ、あはは……」
木村が疑問を呈した相手は、ベルファストの宮廷魔術師であるシャルロッテ。予想外の人物に驚く木村に、シャルロッテはどう答えればいいかと苦笑した。尚シャルロッテを最初見た時、徹夜で魔法談義に付き合わされた冬夜は顔が強張った。
代わりに、リーンがしれっと答えた。
「ああ、彼女は私の弟子よ」
「ファッ!?」
「えぇ!? そうだったんですか!?」
「スゲ~偶然だゾ~これ!」
「まぁ」
「確かに意外でござるな……」
意外な関係性に、野獣たちは口々に驚愕の声を上げた。
「は、はい。師匠には魔法のことに関して色々と手ほどきを受けてきて……今でも頭が上がりませんわ」
やや怯えがちに話すシャルロッテ。その目はチラチラとリーンを見ている。
「そうよねぇ。この妖精族の長である私から色々手ほどきを受けて、幸せ者よね?」
「は、はい……私は幸せ者です……」
ニヤリと笑うリーン。それに目を逸らしながら頬を赤らめるシャルロッテ。
「そういう……関係、だったのか……(百合)」
「いや、あたしらは何を見せられてるわけ?」
驚愕する野獣と、理解できないのか思わずエルゼがツッコんだ。
「あ、あの、リーンさんは妖精族、なんですよね? ……その、妖精族特有の羽が無いように見えるのですが……」
と、ここで一つ疑問を抱いたリンゼが、おずおずと手を挙げながら言った。
「あ、そうだ。確かにお前羽どうしたんだよ? 何? 抜いたの? ストレス?」
「んなわけないでしょうが。光魔法で見えなくしたのよ」
追従する野獣に対して呆れながら言うリーンは、パチンと指を鳴らす。すると、リーンの背中が光りだし、見慣れた薄い羽が見えた。
「お~、すごいゾ~これ! どんな原理なのか知りてえなぁ?」
「あれじゃないですか? 光の屈折を利用したとか。鏡で周りを映すような原理だと思います」
「あら、あなた優秀ね。その原理で合っているわよ」
「…………??????」
「三浦殿、あまり深く考えない方がよいと思うでござるよ」
「ポチャ(バカじゃねぇ?)」
木村の推理にリーンが賞賛する。その横で原理を知りたがっていた張本人は頭の上に大量の?を浮かべまくっていて八重とポッチャマに呆れられていた。
「……ところであなたたちはどなたかしら?」
と、ここでようやく冬夜たちに興味を持ったのか、リーンが聞く。気にするのが遅いことに、冬夜たちはがくりと脱力した。
「い、今更聞くのか……まぁいいや。僕は望月冬夜。こっちは召喚獣の琥珀」
「ガウ」
「エルゼ・シルエスカよ。よろしく」
「い、妹のリンゼ・シルエスカです」
リーンに名乗っていく冬夜たち。ふとリーンが「あら」と呟き、冬夜をじっと見つめた。
「……な、なに?」
「ふーん……なるほど、あなたがね……ま、今はいいか」
「……?」
ふい、と顔を逸らしたリーンに、冬夜は意図が読めずに疑問符を浮かべた。それを気にすることなく、リーンはティーカップを持ち上げて紅茶を口に含む。
「さて、じゃあそろそろ本題に入ろうかしら。私があなたたちを訪ねてきた理由は二つ。まず一つは、先日の一件についての話よ」
「先日の一件……
木村が言う奴……忘れもしない、二度に渡り空手部を苦しめた水晶の魔物。あの後、村に残って調査隊と共に調べていたリーンの口から語られる話に、野獣たちは身構えた。
「結論から言うと『わからない』……この一言に尽きるわね。ミスミドの王宮魔術師が総動員して、あの魔物の残骸を調べたわ。結果、あの物質はこの世界のどこにもない鉱物から作られている、ということしかわからなかった」
「マジかぁ……まぁ、よくわからない亀裂から出てきたしね、しょうがないね(妥当)」
あんな不可解な亀裂から現れたのだから、その結果には納得がいく。納得はいくが、何かわかればよかったという気持ちが木村たちにないわけでもなかったため、少し落胆した。
「ええ……けど驚いたわ。あなたたち、ベルファストでも似たような魔物と戦った経験があるんですってね? どうりであの時、対処法を心得ていると思ったわ」
「え、何で知って……あぁ、なるほど」
木村が疑問を呈そうとしたら、リーンは横目でシャルロッテを見やった。伝えたのは公爵にだが、その公爵から王宮に話がいったのだろう。当の本人は気まずそうにしていたが、まぁ話したところで害はなかったので気にしないでおいた。
「けど、あの亀裂のことを知らなかった辺り、ベルファストでは出現方法が違ったみたいね?」
「ええ、はい。僕たちが見つけたわけではありませんが、別の冒険者たちが元王都跡地の地下遺跡で像のように放置されていたのを発見して、うっかり復活させてしまったみたいです。当の冒険者たちはその時一人を除いて亡くなってしまいましたが……」
「ついでに言うと、こないだ戦った奴は蛇っぽかったけど、そん時戦った奴はコオロギみたいな奴だったんだよな~。あの時はホント苦労したぜ」
木村の説明に補足するように、野獣が当時を思い返してしみじみとした。
「……一つ、調べている上で思い出したことがあるのよ。私がまだ小さかった頃、一族の長老から聞いたお話があってね」
「お話、ですか?」
「ええ。どこからともなく現れた悪魔が、この世界を滅ぼしかけたとか……その悪魔は半透明の身体を持ち、不死身の悪魔だったとか。結局、悪魔は現れた時と同じようにどこかへと消えていき、世界は何事もなく元に戻ったらしいわ」
「ファッ!? 半透明で不死身とか、まんまあいつじゃねぇか!?」
驚愕する野獣。リーンは飲み干した紅茶のカップをソーサーに小さく音を鳴らしながら置いて、続ける。
「もう長老は亡くなっているし、その長老も子供の時に聞いた御伽噺だって言ってたから、その悪魔があの魔物というのはわからない。ただ、あなたの言うように、共通点は多いわ……その悪魔の名を『フレイズ』と、そう呼んでいたそうよ」
「フレイズ……」
その名を木村は反芻する。そのフレイズがあの水晶の魔物だとしたら、どうして今になって現れるようになったのかがわからなかった。だが、一つ木村にもわかることがある。あの魔物は一体や二体だけでなく、まだ複数いる可能性が高い。もしまたあんな存在が大勢現れるようなことがあれば……想像するに恐ろしい話だった。
「まぁ、脅威ではあるけど倒せない相手じゃないっていうのは二度戦ってきてわかってるから、また出てきたら叩けばいいだけの話じゃねぇ?」
「お、そうだな。また出てきたらみんなで頑張れば大丈夫だゾ~これ!」
そんな木村の不安を読み取ったかのように、楽観的に野獣と三浦が言う。相変わらず現状を理解しているのかしてないのかわからない先輩二人だったが、二人が言うように倒せない相手ではない。不安を抱いていた木村の胸中は氷解していくように楽になっていった。
「……確かに、先輩たちの言う通りですね。それに、今の僕たちが考えたところでどうしようもないのは事実ですし」
その魔物がフレイズなのかどうか、まだ判断材料が足りない。考えたところで全て憶測の域を出ないのは事実だ。思考放棄するつもりはないが、今の木村たちには何もすることができなかった。
「失礼いたします~。お茶のおかわりはいかがですか?」
「ええ、いただくわ」
話が区切られたことを察したセシルが、ティーポットを手にリーンに問う。リーンの承諾と共に静かにカップに紅茶が注がれ、注ぎ終えたセシルは後ろへ下がる。
「ありがと……それで、話は変わるんだけど」
気を取り直したリーンは、真剣な面持ちから一転、悪戯っぽく笑う。
「私ね、オリガの代わりにミスミド大使としてこの国に滞在することになったから、ちょくちょく遊びにくるわ。よろしくね?」
「あ、ふーん(察し)。それでここにいんのか」
野獣はチラとシャルロッテを見る。心なしか先ほどより縮こまっているように見えなくもなかった。
「ええ。あとあなたと、そしてそこのあなた。あなたたち、ゲートが使えるんだっけ?」
木村と冬夜に視線を送るリーンに、木村は思わず目を見開いた。
「え、何で知って……」
「すいません、それも私です……」
「シャルロッテさん?」
「あ、ゲートに関しては僕がシャルロッテさんに教えたよ」
「冬夜くん?」
申し訳なさそうに言うシャルロッテとしれっと悪びれなく言う冬夜に、木村はピキっと額に血管が浮いた。木村がゲートを使えるということを知っているのは、ミスミドでも国王含めた重鎮数名だけの秘密だったのだが、ここに来て冬夜がさらっと木村を売っていた事実。シャルロッテがリーンと関わりがあることを知らなかったとはいえど、ここに来て冬夜をシャルロッテの魔法談義の生け贄にした仕返しをされるとは思っていなかった。
「……言っておくけど、あなたあの戦いの時に田所と一緒にゲートを使ってどこかへ行っていたでしょ?」
「あ」
「あ」
「木村さん……」
呆れるリーン。木村と野獣は「そういやそうだった」と完全に忘れていた顔をし、木村の横ではユミナも呆れていた。つまりシャルロッテが言うも言わないも、リーンには木村がゲートを使えることを知っていたということだった。
「……それで、あなたたちに提案があるんだけど」
「提案ですか?」
「私の弟子になる気、ある?」
「「いや全然(即答)」」
木村と冬夜の声が完全にハモった。シャルロッテを見ていた二人からすれば絶対遠慮したい話だった。
「そこまで拒絶することないじゃない……私、傷ついちゃったわ」
「よく言うぜ。そんな神経してねぇだろお前よ」
「あら、よくご存知で」
ヨヨヨと泣き真似するリーンに野獣がジト目で言うと、すぐに顔を上げた。泣いた跡すらない。
「……まぁ、弟子云々の話は冗談よ。無理矢理っていうのは好きじゃないし」
「その割には目が本気だったようにも見えたんですが……」
木村がツッコんだが、リーンは聞こえなかったのか返事しなかった。というか聞こえないふりをしているのではないかと木村が勘ぐった。
「実は、あなたたちに連れてってもらいたいところがあるのよ。その場所は古代遺跡でね」
「古代遺跡? もしかしてフレイズに関連するんですか?」
「さぁ? ……と言っても、私もフレイズのことを思い出してから、その遺跡もフレイズと関わりがあるかもしれないって考えるようにはなったわね。それも含めて、遺跡に用があるの」
言って、紅茶を飲んでから続けた。
「連れて行って欲しい遺跡がある場所は、遥か東方、東の果て。独自の文化を築いている島国よ」
「東の島国? ……え、それって」
もったいぶるリーンの説明に、木村が八重へと顔を向けた。八重もまた、東の島国と聞いて驚く。
「ええ……あなたの故郷でもある、神国イーシェン。そこへ連れて行って欲しいの」
「え……えぇ!? イーシェンでござるか!?」
ここに来て、自分の故郷の名を出された八重は予想してなかったのか慌てる。ただ、野獣と三浦は、八重とは違う反応を示していた。
「イーシェン…………なぁ、八重? イーシェンって、米ある?」
「こ、米、でござるか? ええ、寧ろイーシェンの主食は米でござるが……」
「……八重ちゃん、味噌って知ってるゾ?」
「し、知ってるでござるが……それが?」
突然の質問に、八重はきょとんとする。が、この答えを聞いた野獣と三浦は、
「FOO! やったぜ! ベルファストに来てからはパンしか食ってなかったし、久々に米食えるぞ米!!」
「いいゾ~これ! 味噌汁とか焼き魚とか、あとやっぱおにぎりも食いてえなぁ俺もなぁ~!」
「米があるってことは、酒もあるってことっスよねぇ!? ビールやワインも勿論いいけど、やっぱ日本酒! 大吟醸! 飲みてえっスよねぇ!!」
「お~! 鳳凰美田とかスゲ~美味かったゾ~! あとやっぱぬる燗とか最高だゾ~これ!!」
「行っちゃいます? 行っちゃいましょうよ~! 酒! 味噌汁! RICE! 酒! 味噌汁! RICE! つって!!」
「……なんでそこまで騒げるのかしらこの二人は……」
テンション爆上がりの二人。そんな二人を、周りはポカンと見る。リーンは何でそこまで騒々しくなれるのかわからず、らしくもなく若干ビビっていた。
「いや、ちょっと待ってください! イーシェンって、ここから東の果てにあるんですよね? どう考えてもミスミドと比べて遠すぎますよ。色々準備とか必要じゃないですか?」
木村の言うように、今回はミスミドへ赴くのとはわけが違う。何せイーシェンはベルファストとミスミドを隔てるガウの大河の比ではない、海の向こうだ。海へ行くまでも遠い上にその海を越えなければいけないのだ、一週間やそこらでたどり着けるとは到底思えない。
「あ、そっかぁ……(消沈)」
「そういやそうだな……今すぐ行けるわけじゃないね。しょうがないね……(落胆)」
今すぐ飛んでいくつもりだった二人はわかりやすくテンションを下げて座り直した。わかりやすい二人である。
「ああ、それなら問題ないわ。そこでゲートの話が出てくるから」
「え、ゲート?」
リーンの言う意味がわからず、木村は聞き返した。
「あなたたち、ゲートの特性は勿論把握しているわよね?」
「ええ、一度訪れた場所にしか飛べないという欠点はありますね。それで不便に感じたことはあまりありませんが……けど、イーシェンには行ったことないから、ゲートを使うのは無理ですよ」
「その欠点を消せる無属性魔法があるのはご存知?」
「え?」
予想外の話に驚く木村に、リーンは続ける。
「無属性魔法『リコール』っていう魔法なんだけど、他人の心を読み取って記憶を回収する魔法があるの。これを併用すれば、読み取った記憶を元にゲートを使ってその場所へ飛べるはずよ」
「ファッ!? マジかよ、そうすりゃマジもんのどこでもドアじゃねぇか!」
「お~、木村ドラ〇もんになれるゾ~これ!」
「いやなりたくはないです……っていうより、そんな魔法があるんですね……無属性ってホントになんでもありだなぁ」
しょうもない魔法が多い中、空間転移や状態異常回復といった、まさに神の御業とも思えるようなすごい魔法があったりと、両極端な無属性魔法に、木村は感心すればいいやら呆れればいいやら、複雑な気持ちを抱いた。
「……なるほど、そのリコールを木村さんに教えて、八重さんの心を読んでイーシェンへ行こうという話になるんですね?」
「そういうことよ」
ここでユミナが疑問を口にする。リーンはそれに対して隠すでもなくあっさりと答える。
「心を読む魔法かぁ……うーん、なんか人のプライバシーを覗く魔法とか、あまりいい印象ないなぁ」
便利な魔法だが、そういった魔法に軽い抵抗感を覚える木村だが、リーンがそれを否定する。
「その点なら安心していいわよ? リコールは記憶を渡す方が許可した記憶しか回収できないから、見られたくない記憶までは読まれることはないわ」
「……なんかそれ、都合よすぎる……よすぎない? ゲートと合わせて使うためだけにしか使えねえんじゃね?」
「知らないわよそんなの。文句あるならこの魔法を作った製作者に言いなさい」
「(いや別に文句とか)ないです」
随分と不便なようなご都合主義な魔法だと思った野獣の苦言に言い返すリーン。まぁ、野獣の言葉はこの場にいる全員が口にせずとも内心思っていた。
ただそれでもやはり、心を読む魔法となると微妙な気持ちになる木村。どうするべきかと、疑問を口にしようとした。
「……木村殿、是非ともリコールを拙者に使って欲しいでござる」
「え……」
が、ここで予想外の人物から推奨される。心を読まれる方である八重が、木村を真っすぐ見ていた。
「八重ちゃん?」
これには隣にいた三浦も驚き、思わず声をかけた。
「いや……僕としては八重さんがいいなら別に……けど、なんで」
八重の意図がわからず、問いかける木村。それに八重は言葉を濁すことなく答える。
「拙者は旅に出てからしばらく、実家へ顔を出してはござらん。これを機に一度、家族へ顔を出しに行きたいと、そう思った次第でござる。そのためならば多少の記憶、読まれたとて平気でござる」
なるほど、一度里帰りしたいということならば、八重の言うことももっともだった。それにリーンの言うように、読まれたくない記憶は読めないのならば、そこまで身構えることもない……木村は八重に「わかりました」と返した。
「そういうことなら、使ってみます。少し待ってください」
「お願い申す」
木村は魔導書を広げ、頭で念じる。その間、八重は真剣な面持ちで木村を待った。
「…………」
その八重を、三浦はじっと見つめる。三浦は八重の言葉に嘘がないということを見抜いていた。
ただ、それだけではないような気がしてならないのも、また事実。それを口にしたとて、恐らくはぐらかされるだろうと思い、三浦は何も言わなかった。
「――――よし、出た!」
魔導書のページが捲れ、新たな魔法名がそこに連なる。リコールの魔法と、その魔法の詳細が綴られた。リーンの語られた内容と概ね同じだった。
「お、行けたか木村ぁ?」
「はい……まぁ、心読む魔法っていうのは気分はよくはないですけど、イーシェンでお米が手に入ればカラエ使ってカレーライス作れるじゃないですか(満面の笑み)」
「お前カレー目当てかよぉ!? どこやったんだよ良心よぉ!」
「木村の良心に勝つとか、木村のカレー愛が恐ろしいゾ……」
「………………」
「ユミナ殿~。もしかして『そんな木村さん可愛い』とか思ってるでござるか~?」
「ポチャ……(恋は盲目)」
げに恐ろしきはカレー欲である。
「あ、そうだ。冬夜ぁ。お前らもイーシェン一緒に行くか?」
「僕たち? 僕たちは今から依頼があるから、ごめん、一緒には行けないかな……」
「あ、そっかぁ。タイミング合わないなぁ」
「ホントごめん。正直、イーシェンとか僕も興味あるから行きたい気持ちは山々なんだけど……」
申し訳なさそうに言う冬夜。冬夜も平行世界とはいえど日本出身であるために、イーシェンには強い関心はあるだけに、誘いに乗れないのは無念なのは野獣たちから見ても明らかだった。
「しょうがねぇな~。じゃあまた行ける時になったら俺のスマホに連絡入れろよな~? 木村と迎えに来てやるからさ!」
「うん、そうさせてもらうよ」
『遥か東の国ですか……私としても気になるところではあったのですが、主の傍にいること以上に大事なことはありません』
「あたしたちもイーシェン行きたかったなぁ……ま、仕事が大事よね」
「ごめんなさい皆さん……」
「大丈夫ですよ、またみんなで行きましょう」
琥珀とエルゼ、リンゼも残念に思い、ユミナがフォローした。
「……そろそろいいかしら? 早速だけど、その子から記憶を読み取ってもらえる?」
わいわい騒ぐ彼らをリーンは急かした。別に急ぐことはないが、一々騒いでいたら話が進まない。
「あ、すいません……と言っても、記憶を読み取るってどうするんですか?」
聞いてくる木村に、リーンは口の端を持ち上げた。
「簡単よ。リコールは相手に接触して心に触れてその記憶を自分の中に回収する魔法よ。接触といえば、何ていったって口づけが一番よね?」
「はぁっ!?」
「ちょ」
「えぇぇぇぇ!?」
木村が驚き、八重が戸惑い、ユミナが絶叫する。
「冗談よ」
「冗談にしては性質悪すぎじゃありませんかねぇ……?(ドン引き)」
「リーンちゃん、そういう嘘はよくないゾ?」
してやったり、というようなリーンに野獣がジトっとした目で見やり、三浦は子供に諭すようにリーンに言った。
「はいはい、とりあえず二人は対面に立って。そして手を握る」
「は、はい」
「うぅ、ちょっと緊張するでござる……」
木村と八重は向かい合って立ち、互いの手を握る。木村は八重との付き合いは長い分、別段意識することはない……ないのだが。
「じーーーーーっ……」
背後の
「は、早く終わらせましょう八重さん」
「し、承知したでござる。リーン殿、次は?」
八重もユミナに恐怖し、リーンに次はどうするか聞いた。その声は焦燥に満ちていた。
「えーっと、そうねぇ……」
リーンとしてはこの状況を楽しみたいところだったが、とっととイーシェンに行きたいがために断念。話を続ける。
「二人とも目を瞑って。八重の方はイーシェンの情景を思い浮かべるのよ。なるだけ鮮明な場所がいいわね。そしたら木村は八重と額を合わせてリコールを発動させるのよ」
言われ、八重は瞳を閉じて意識を集中させる。木村も同じく意識を魔力に集中させつつ、八重に額を合わせた。そして、
「リコール」
魔法を唱える。途端、木村の脳裏に流れ込む、見覚えのない、けれども日本育ちの木村にとっては馴染みのある景色。
大きな木。その木の足元には鳥居。そこに鎮座する祠と、左右で祠を守るように立つ狛犬。
まるでそこに立っているかのような錯覚を覚える木村。これがリコールかと、魔法の効果を実感する。
「―――見えました」
木村と八重が同時に目を開く。そしてすぐにさっと離れた。その間にも、ユミナの視線が痛かったためだ。
「あら、もう終わり?」
「アンタ、ホント性格悪いわね……」
ニヤつくリーンに、エルゼが呆れながら言う。それに異論を唱える者はこの場にいなかった。
「じゃあ、早速回収した記憶を思い浮かべてゲートを開いてもらえる?」
「わ、わかりました……ゲート!」
木村は手を翳し、魔法を唱える。空間に光る穴が開き、人が通れる大きさになると、木村がまず先にゲートを潜っていった。
ゲートの先の地面に足を着ける。さくり、という草の音。完全にゲートから抜け出ると、木村の目の前に広がっていたのは、先ほど八重の記憶を読み取った際に見た光景。森の中にある大きな木に、狛犬に守られた鳥居と祠。木々の間から見える空は青く、そして木々の間から見える遠くの景色には田園が広がっている。
「ここが……」
呟く木村の後ろ、続けてゲートを潜ってきた八重も木村の横に並ぶ。そして目の前の景色を見て、頷く。
「間違いござらん。ここは拙者の生まれ故郷、イーシェン。実家のあるハシバの外れ、鎮守の森でござる」
そう断言する八重。同時、彼らを歓迎するように、そよ風が吹いて森の葉を揺らした。
東の果ての島国イーシェン。空手部はついに、日本に近しい大地へと足を踏み入れたのだった。
イーシェン編ではガンガン戦いたいゾ~これ!
今後の活動についてではなくお気楽アンケート開催。アニメ異世界スマホのEDでスマホ太郎がヒロインたちに手を差し出すシーン、差し替えるとしたら誰がいい?
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スマホ太郎(アニメ主人公)
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望月冬夜(原作主人公)
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野獣先輩
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三浦
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木村