自衛官だったけどクローンになったのでジェダイを救ってみた   作:みどり色

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皆さん、お疲れ様です。
みどり色です。

ようやく、ようやく最終回です。
少し長めですが最後の最後までお付き合い頂けると幸いです。


最終話 終戦

<惑星ボガーノ>

 

「おいBD、今度こそ間違いないんだろうな?」

 

「~~~♪」

 

「文句が言いたい訳じゃないんだけどな、さっきも同じこと言っていたぞ?」

 

BD-1は自信たっぷりな様子でポーズを取って魅せ・・・違う。

ポーズを取って見せてくる。

BDのセンサーでは今度こそ間違いなくここに“ある”というのだ。

しかし何度も空振りだったことから、俺はコイツへの信用が地に落ちかけている()

まあ今回外れだったとしても、当たりが出るまで続ければ良いんだ。

なんたって時間はたっぷりとある。

 

俺はボガーノ製?の高性能バトルドロイドに指示を出し、掘削機の準備をさせる。

何をしているのかって?

勿論温泉を掘っているのだ!!!

 

もう何度聞いたか分からない掘削機の起動音を皮切りに、地面がどんどんと掘り進められていく。

ボガーノのヌシのような存在である超巨大な非知覚生物の“ビノグ”が飽きもせず、興味深そうにこちらを観察している。

ここの連中には昔からビノグに手を出さないように厳命を出しているし、それを知ってか知らずかビノグも必要以上にこちらに介入してくることもない。

最近ではよく接近してくるくらいだ。

 

「おーい、そこのB-2」

 

「はい、マスター?」

 

俺は掘削作業をしている1体のB-2バトルドロイドに声を掛ける。

B-1バトルドロイドを改造した高性能なボガーノ製のB-1は、今ではB-2の名で呼ばれている。

灰色の体色を持つB-2はB-1と完全に切り離す必要があるくらい性能差があるし、見た目もかなりマッシブだからな。

普通のB-1も一緒にされたらたまったものじゃないだろう。

 

「最近ビノグがよく近づいてくる気がするんだが、お前たち餌とか与えていないよな?」

 

「・・・イエ、ソンナコトハ、アリマセン(いえ、そんなことはありません)」

 

「おい、急に機能がグレードダウンしたのはどういうことだ」

 

ったくコイツら、変に賢くなりやがって()

ビノグは生態が解明されていない。

俺達には平気な食い物でも、ビノグにとっては何が毒になるかわからないんだ。

タティスかカラーニ辺りにキツく言っておく必要があるな。

 

 

俺達が無駄話をしていると、掘削機が巨大な岩盤を貫いたようだ。

地下の圧力が高かったようでガスが音を立てて噴き出してきた。

っていうことは・・・・・

 

「ジャックポットおぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 

 

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□一年前

 

<デス・スター エンペラーズ・タワー最上階>

 

ヘルメット内にエマージェンシーを報せる警告音が鳴り響いている。

このクソッタレな頭痛は身体に受けた強い衝撃だけが原因じゃないだろう。

俺は頭を押さえるが手に伝わってくるのはベスカーのヒンヤリとした感覚だけだ。

そもそも俺はヘルメットの類が嫌いだ。

ってそんなことを言っている場合じゃないな。

 

俺は周囲を確認するとそこはメイン・リアクターに続くエネルギーシャフトで、管理なんかで使われる足場だった。

冷静に解説しているがエネルギーシャフトからは絶え間なく火花が散り、爆発も続いている。

っていうかパルパは?

まあ、十中八九落ちたんだろうけど。

とにかく今はここから脱出するのが先だ。

 

俺はジェットパックを起動して空高く舞い上がる———ことはなかった。

はぁ!?

なんだよこんな時に!

 

俺は背面に装備されているジェットパックを外して確認する。

・・・まあ、アレだ。

壊れてるな。

火花が出てるってことは壊れてるんだよね?

機械苦手だからよく分からん()

 

動かないんだから壊れているに決まっているが、ブラウン管テレビよろしくとりあえず叩いてみる。

結果として動くどころか俺の手が痛くなっただけだった。

クソッタレ。

 

上を見上げてみるが出口?入口?は遥か遠くだった。

登ることも考えたが脱出までどう考えても間に合うとは思えない。

いっそのこと降りてみるか?

・・・直径を余裕で100㎞を超えるデス・スターだ。

結果は俺の腫れあがっている手を見るよりも明らかだろう()

 

ああ、もう!!

全部あのくそパルパのせいだよ!!!

どうせ死ぬなら一瞬でくたばってしまう方がどんなにラクか。

 

もう一度上を見上げる。

うーん、何度見ても距離は変わらない。

当たり前か()

とりあえず登ってみますかね。

何もしないで死ぬよりも、最後まで足掻いて死んでやる。

 

俺は壁に手を掛けようとして思い出す。

グラップリングフックありますやん()()()

 

普段全く使わないからファーストラインから外してバックパックにぶち込んでいたやつがある筈だ。

俺は装備している改造型のDC-17mブラスター・ライフルにグラップリングフックを装着して射出する。

普通のブラスターにはポン付けできないんだけど俺のは特殊作戦用に改造した物だからな。

さっき使った実弾モードへの切り替えなんかもできる優れモノだ。

まあその分重量は増えているけど。

 

そんなことを考えている間にもみるみるうちにケーブルが伸びていき———止まった。

出口まであと半分という所で。

 

くそっ!

なんだよもう!!

俺が何したっていうんだよ!!!

 

もはや怒りを通り越して涙が出そうだ。

いや、前向きになろう。

“半分しか”と考えるのか“半分も”と考えるのかは大きな違いだ。

とりあえず半分はショートカットできるんだ。

 

俺は再び上を向く。

するとその時、何かが接近してくるのが目に入る。

 

あれは—————

 

「BD!?」

 

「~~~♪」

 

愛らしい姿で登場したBD-1だったがコイツは俺を運びながら飛ぶなんてことはできない。

だが無意味にここに現れるとも思えない。

 

「手土産があるんだろ?」

 

「~~~♪」

 

BDはその場で回転すると、どこからともなくグラップリングフックを取り出した。

恐らくARCSの誰かから預かったんだろう。

 

「偉いぞBD!」

 

BD-1はケーブルと脚部を接続し、俺がそこに掴まるともの凄い勢いで上昇していく。

さすが探査などに秀でたドロイドだ。

サバイバルもお手の物だな。

その後、ケーブルが途切れるまで上昇した所で再びグラップリングフックを射出することでなんとか地上に出ることで成功した。

 

辺りはパルパの稲妻で酷いことになっている。

それにアナキンもいない。

ここには事切れたサヴァージ・オプレスが倒れているのみだ。

モールも逃げたのかもしれないな。

俺もさっさとずらかることにしよう。

 

 

 

 

エレベーターで下のフロアに出ると、多くのストームトルーパーや帝国のバトルドロイドが倒れている。

皇帝の危機に駆け付けたって所だろうがアディス達に食い止められたんだろう。

 

その後、シャトルがある離着陸パッドまで向かう道中でもストームトルーパーの死体やバトルドロイドの残骸が散らばっていた。

アイツらが敵を掃除してくれたんだろうな、非常にスムーズだ。

っていうかいよいよデス・スターも限界のようだ。

さっきから爆発による振動や崩壊が始まっているようだからな。

 

そして来た時と同じ離着陸パッドに到着する。

 

「これも貴様の仕業か!!」

 

どこか聞き覚えのある声に振り返ると、待機状態のTIEファイターの傍に立つ帝国軍将校が目に入る。

 

「なあBD、お前の知り合いか?」

 

「~~~?」

 

「違うのか?」

 

うーん、見た覚えはあるような気はするんだけどなぁ・・・

誰だったかな?

っていうか急いでるから今はやめて欲しいんだけど()

 

「あー・・・悪いな、今ちょっと急いでるんだ。誰だか知らないが用があるなら連合国軍の窓口まで頼むわ」

 

っていうかデス・スターが崩壊しかかっているのは誰でも分かる筈だろ?

なんで無駄に時間を掛けるんだ。

他のストームトルーパーなんかは次々に脱出しているぞ?

 

「ランパートだ! エドモン・ランパート中将!!」

 

「 ? —————あぁ・・・ご無沙汰しております中将閣下?」

 

「き、貴様・・・」

 

俺の『・・・どちら様?』という反応にランパートは怒り心頭のご様子だ。

さすがに名前を聞いてからは思い出したが、それまではマジで誰か分からなかった。

中将のくせに影薄いんだよなアイツ()

コイツはコルサントのEMP発生装置関連の事件でヴェネター級に同乗していたが、自分だけポッドで脱出したんだよな。

その後行方不明扱いになっていたけど、案の定帝国に合流していたってことだ。

まあスパイ疑惑も上がっていたし、上手く逃げたってことだな。

運だけは良い奴だ。

(参照:第99話~)

 

「それで、俺になんの用だ? 皇帝は死んだぞ? それにこのデス・スターも終わりだ。アンタも俺なんかに構っていないでさっさと逃げた方が良いんじゃないか?」

 

「皇帝陛下が? ・・・ふっ、それは良いことを聞いた。それに貴様に言われるまでもなくそうするつもりだ」

 

大方、皇帝に成り代わるつもりなのかもしれないがどう考えても無理だろ(笑)

いや、人の夢を笑ったら失礼か・・・ぷっ(笑)

 

「おいおいやめとけって、どう考えてもガラじゃないだろ?」

 

「なんだと・・・?」

 

ランパートは荒い動作でTIEファイターに乗り込んでいく。

なんだ?

やる気か?

 

付き合ってやる義理はないが、脱出する前に撃ち落されても困るからな。

っていうかモブのあいつと心中なんて御免なんだが()

 

TIEが起動し、宙に浮かび上がる。

あ、やべ。

ジェットパック壊れてるんだった・・・

飛べないとさすがにキツイぞ?

ベスカーといえども戦闘機に搭載される火器を防ぐことは不可能だ。

 

TIEに装備されている2門のレーザー・キャノンが俺に狙いを定める。

まさかこんな所で、それもこんな奴にやられるとはな・・・

いや、最後まで抵抗してやる。

 

俺は改造型のDC-17mブラスター・ライフルをフルオートで撃ち込む。

だがその全てはTIEファイターの装甲に弾かれる。

シールドもなく、紙装甲で知られるTIEファイターだが、さすがに対人火器ではダメージにもならない。

だからと言って走って接近しようにも、その間にバラバラにされるだろう。

 

万事休すだな。

まあ目的自体は達成したしな。

ここで死んでも、死にきれないって程じゃない。

エネルギーシャフトから多少寿命が延びただけの話だ。

 

俺はブラスターを撃ちながら覚悟を決める。

TIEのレーザー・キャノンの砲身内が光り出すのが見える。

・・・温泉入りたかったなぁ。

 

 

その時、ランパートが乗ったTIEファイターが突然爆散する。

俺は目の前で起きたことが信じられずにDC-17mブラスター・ライフルを見る。

まさか天文学的な奇跡が重なって・・・?

 

すると後方から巨大な物体が出現する。

というかTIEが爆散するタイミングで現れたんだな。

振返るとそれは連合国軍のARC-170 スターファイターだった。

ファイターのハッチが開くと“意外な”人物が搭乗していた。

 

「コマンダー、乗って行きますか?」

 

「おま、オッド・ボール!?」

 

「どうやら地獄に行きそびれたようです」

 

『まあこのままだと今度こそ地獄に行くことになりそうですが』と付け加える。

もうデス・スターは限界だった。

 

「詳しいことは後ほど」

 

「了~解だっ!」

 

俺はARC-170 に飛び乗るとすぐに計器の確認に入る。

その間にオッド・ボールはハッチを閉めて全速力で宇宙空間に脱出する。

 

「アディス達は?」

 

「スカイウォーカー将軍と共に脱出されております」

 

「なんだよ、置いていくなんて冷たい奴らだ」

 

「『・・・雑魚は引き受ける』、『だから早く帰ってこい』とヒュメルとアディスが」

 

「アイツら・・・」

 

「オーリーは———」

 

「いや、アイツのはいい」

 

「ふっ、イエッサー」

 

その時、デス・スター全体に爆発が広がったかと思うと中心から巨大なエネルギーが発生する。

いよいよだな。

 

「オッド・ボール、艦隊の集結ポイントは?」

 

「サー、変更ありません」

 

「よし、ハイパースペースに入るぞ」

 

後方でデス・スターの爆散を感じながら、俺達は連合国艦隊に合流するためにハイパースペースに突入する。

長きに渡った戦争も、ようやく終わりを迎える。

 

 

 

________________________________________

 

 

 

□現在

 

<惑星ボガーノ 温泉施設>

 

ボガーノの天然温泉を掘り当ててから少し経ち、周囲は温泉らしい景観に仕上がっていた。

ウチの子たちは仕事が早くて助かる。

まあ気を利かせて余計なことまで手を出すのは玉に瑕だが・・・

 

だって俺の像とかいらなくね!?

誰だよ折角の風情にクローンの像作ろうって言った奴!?

しかも無駄にデカくて無駄に目立つんだけど!?

 

そこには皇帝?のような奴を倒し、まるで神話に出てくる英雄のような佇まいのクローンの石像が、それはもう立派な、音を出す訳でもないのにそれはもう喧しい像がそそり立っている。

そそり立つ?

うーん・・・・・

 

と、とにかく俺のせっかくの桃源郷がこの像のせいで台無しだ。

速やかに撤去しなくてはいけない。

このミッションは何よりも優先される。

間違いなく、誰が何と言おうと、必ず、完璧に遂行しなくてはいけない。

 

だが今は—————

 

「とりあえず温泉入ろ☆」

 

 

 

 

「っ、あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁぁぁ・・・・・」

 

額にタオルを乗せて身体を投げ出し、耳まで温泉に浸かった俺は目を閉じて長年の夢を堪能する。

そこまで硫黄臭くなく、熱すぎないのも俺好みだ。

あまり温度が高いと長く入っていられないからな。

俺は長湯なんだ(誰得情報)

 

というか、どうして温泉に入ると“あ”に濁点が付いてしまうのだろうか?

だがそんなことはどうでもいい。

周囲にはまるでフォース・スクリームのような声が響き渡っているが、今ここにいるのは俺だけだ。

気にすることはない。

気にすることはないぃぃぃぃ

あぁ気持ちいいぃ・・・溶けちまいそうだ。

 

この世界に来てどれくらいだ?

クローン戦争開戦からすぐに来て終結まで約3年、その後に連合国と帝国の戦争が終結するまでに3年?くらいか?

デス・スターの一件から何かと忙しくて1年経ってるからトータル7年くらいか。

まともに休むことなく7年戦い続けていたのか。

冷静に考えて、よく死ななかったよなぁ・・・

 

最初は何もかも勝手が違って気持ちを追い付かせるのが大変だったが、知識とかその辺は元々この身体が覚えていたからその辺はあまり苦労しなかったのも助かった。

とにかくこの身体にも『お疲れさん』って言ってやることにしよう。

 

 

暫くそうして温泉を堪能しながら今までのことに思いを馳せていると、突然湯に波紋を感じる。

俺の心(?)に土足で踏み込んで来る不届き者がいるようだな。

ここはガツンと言ってやらねば。

 

「あのー、すみませんが—————」

 

少しずつ湯煙が晴れてくるとその人物のシルエットが露になってくる。

っていうか、この惑星に他の人間種はいないよな?

誰かが来るって予定も無かったし。

 

「今はちょっとプライベートな時間でして・・・」

 

ガツンとは?

というツッコミは置いておいてくれ・・・今はそんなことはどうでもいいのだ。

何故なら湯気の向こうから現れたのは—————

 

「っんん、美女っっっ?!」

 

現在置かれている状況に理解が追い付かない。

というか、俺の頭はこのような状況に対応できるようにはできていない。

なぜ灰色長髪全裸の爆美女が微笑みを浮かべながら俺の方に近づいてくるのだろうか?

それに重要な所だから念のために共有しておくが、“かなり”のボンでキュッでボンだ。

 

大事なことなのでもう一度言っておく。

か な り のb

 

 

 

 

灰色の美女(仮名)は俺のすぐ隣で湯に浸かっている。

小心者の俺は隣に視線を移すことができない。

その代わり目線を正面に固定して己の視野角を限界まで使い、なんとか男の桃源郷(?)を拝するための努力をする。

俺の目は限界まで見開かれ、穴が開くのではと錯覚してしまう程の眼力で正面に視線を固定している。

正面を見ながら横を見ることってできませんかね?(錯乱)

 

だが俺はこのとき確信した。

この世界には神が存在すると。

これは7年もの戦いをくぐり抜けた褒美なのだと!

ありがとう神様!!

今まで神とか全く信じてなかったけど、これからは毎日お祈りとお供え物をします!!!

俺が守りもしない約束を勝手にしていると灰色の美女が口を開く。

 

「あの像———」

 

「はい、像です!!」

 

「?」

 

これだけは分かる。

俺はやらかしたと。

 

「あの像ですが、お気に召していますか?」

 

どう考えても今の俺はヤバい奴だ。

夢を金で買うことのできる某ネズミの独裁国家よろしく、温泉の前にテメーの巨大な石像を建て、さらには挙動不審、現在進行形で視漢の現行犯(視線を用いた痴漢)、さらには意味不明の言葉を発するというフルコンボを達成している。

もう一度言う。

今の俺は間違いなくヤバい奴だ。

見かけても絶対に関わっていはいけない奴だ。

 

「いえ、あの像は決して自分が造ったわけでは無くてですね! いつ壊そうかと考えを巡らせていた所であります!!」

 

「壊す? そうですか・・・・・」

 

『であります』ってなんだよ()

というかこの美女は何故悲しそうな顔をしているんだ?

そもそもどちら様?

 

「あの・・・失礼ですが貴女は———」

 

そう声を掛けようとすると灰色の美女(仮名)はぶつぶつと独り言を呟いている。

『マスターの為に』、『素晴らしい傑作』、『マスターの石像キーホルダーに石像饅頭、石像クッキー』『マスターの裸体』『これからはずっと一緒』などなどetc・・・

 

俺は一気に血の気が引いていくのを感じると同時に灰色の美女の姿にしっかりと目を向ける。

あぁ、とんでもない爆ny———落ち着け()

 

彼女の灰色の長髪、これはウチのドロイドのメインカラーと同じだ。

ボガーノ軍のドロイドは灰色のボディをしている。

これはARCSがまだゴーストやSと呼ばれていた初期のアーマーの色に倣ったものだ。

そしてよく見ると長髪の中に黄色のアクセントがある。

これはスーパー・戦術・ドロイドの特徴だ。

そして眼鏡を掛けさせれば非常に似合うであろう美人な顔立ちは、どこか“アイツ”を思い起こさせる。

 

「まさか、タティス・・・?」

 

「はい! タティスにございます!」

 

勘弁してくれぇぇぇぇ

え?

なに?

なんでそんなエr———違う。

いや違くはないか・・・。

ってそうじゃなくて!

 

「おまっ、何がどうなったらそんなことになるんだ?!」

 

「限りなく生身の人間に近いボディに換装しました。外部センサーや冷却・加熱機能で呼吸や体温、発汗を、振動モーターで脈拍や鼓動も再現。さらに損傷時の反応として疑似血液による出血も可能です。その筋ではHRD、ヒューマン・レプリカ・ドロイドと呼ばれているようです」

 

「・・・・・」

 

俺は開いた口が塞がらなかった。

全く理解が追い付かない。

え、暫く見ないと思ってたらそんなことしてたの?

 

「もっと早くこのボディに換装したかったのですが、マスターの“好み”をしっかりと把握するのに時間が掛かってしまいまして・・・」

 

—————は?

おい、ちょっと待て。

今なんて言った?

 

っていうか頬を赤くさせながら困ったように身体をクネクネさせるな!!

・・・あぁ、ものすんっっごい谷m

 

「軍属であるマスターはこの長きに渡る戦争の影響で、女性と関わることが極端に少ない生活を送っておられました。その中でも、マスターの発言や視線の動き、思考パターンなどを分析して集計した結果がこの身体なのですっ!!」

 

『なのですっ!!』

じゃねーよ!!

 

「事実、今こうしている間もマスターは隙あらば私の身体を舐めまわすように見ておられます」

 

「みみみみ、み、見てねーし?!?!」

 

「恥ずかしがることはありません。この身体は元々マスターのもの・・・満足するまでマスターの“癖”にお付き合いいたします。まずは目で楽しまれるのですね?」

 

「もうやめて?! 分かったからこれ以上はもうやめて?!?!」

 

「なるほど、分かりました」

 

「分かってくれたか、良かった」

 

「目だけでは不足ということですね?」

 

どうしよう。

全く分かっていなかった。

 

「この身体で一番苦労したと言っても過言ではない機能を使う時が来たようですね」

 

覚悟を決めたような横顔も非常に美人だ。

そして汗なのか、湯なのか分からんが首筋を伝っている雫と長髪を耳にかけて俯いている姿は非常に官能的に映る。

なぜだろう、これ以上ないほど無駄に高性能なところに腹が勃つ。

・・・・・ん?

 

「見た目が絶世の美女でも、この世のものとは思えないほどの“カラダ☆”をしていようとも、人工物であることは変えることのできない事実です」

 

ダメだ、ツッコミが追い付かない。

 

「ですが安心してください! このタティス、マスターをがっかりさせるようなことは致しません!!」

 

なぜだろう、もの凄く嫌な予感がする。

 

「子を成すことはできませんが、“行為”自体は可能です。もっと言うと“具合”も最高、生身の人間ではもう満足できなくなる程に仕上がっています。それに妊娠しないということは好きなだけ中にd—————」

 

「言わせねぇーよ?!?! っていうかマジでやめろ!! それ以上はマジでR指定変更しないといけないから!!! っていうか一番苦労したのそこかよ!?」

 

「さあマスター、その“エネルギーパック”が空になるまで思う存分お付き合いいたします!! というか抱いてえぇぇぇぇぇ」

 

ぎやぁぁぁぁぁぁ

 

 

 

 

「お前たち、何やっているんだ?」

 

「おうおう、レイレイも色々お盛んな時期なのね♪」

 

「・・・・・」

 

俺とタティスが全裸で揉み合いをしている所にARCSの連中が現れる。

・・・っていうかこの状況で“揉み合い”というワードチョイスはアカン気がする。

それとヒュメルさん?

無言で汚物を見るような視線を向けるのはやめて頂けますか?

 

「あーんマスター、皆さんが見ているのに大胆♪」

 

「くそ、この変態ドロイド! 誰でもいいからこいつを引きはがしてくれ!!」

 

「・・・はぁ、いいから早く服を着ろ。ユラーレン大将から呼び出しだ」

 

「ユラーレンが?」

 

現在ARCSとしては帝国軍の残党による治安悪化の対処という任務を受けている。

今まで通り、ある程度自由にできる権限を与えられているから割と好きにやらせてもらっている。

まあ“それなり”の成果を上げているから少しサボったくらいでとやかく言われる筋合いは無い。

だが連合国軍のトップであるウルフ・ユラーレンから直々の呼び出しとなると無視するわけにはいなかない。

 

「え、なに? サボって温泉掘っていたのがバレた?」

 

いやそんな筈はない。

徹底した情報管理をしているからバレる可能性は限りなく低いはずだ。

そもそも連合国は惑星ボガーノの存在すら感知していない・・・はず。

 

「お前自覚はあるんだな・・・って違う。やっと“宣言”されるんだ」

 

「あぁ、そういうことか」

 

 

 

________________________________________

 

 

 

□惑星コルサント

 

先の帝国によるコルサント襲撃事件・・・例のEMP発生装置の件だが、あれから一年が経過し、コルサントは以前と変わらない程に復興が進んでいる。

大規模な戦闘が発生せず、各方面の復興に力を注げたのも大きいだろう。

 

そして、今俺達が集められているのにも理由がある。

連合国軍はそれぞれ大別された部隊毎に集まっていた。

他の星系などに駐屯している部隊も現地で整列し、映像を通してこちらの状況を見ているだろう。

 

コルサントの連合国軍基地は、我が軍の中心といえる施設だ。

しかしだからと言って、さすがに連合国全軍を収容できる規模ではない。

コルサントに集まっている大部分の部隊は連合国軍集合地に集結しているが、それとは別に“主要”な部隊は銀河元老院前広場に呼び出されている。

 

 

<銀河元老院前広場>

 

「ねえレイレイ、なんで俺ちゃんたちは“こっち”なのよ? 目立たないように後ろの方にいようと思っていたのに」

 

「お、珍しく気が合うじゃないか。俺も後ろの方でテキトーに終わるのを待とうと思っていたんだ」

 

「・・・今からでも遅くない」

 

「はぁ———お前たち、少しは大人しくできないのか?」

 

戦争終結に大きな役割を果たしたクローン・トルーパー、その中でも特に大きな戦果を上げたとしてARCSである俺達は軍の方ではなく“こっち”に呼び出されている。

もっと言うと、俺の直属である第117コマンド大隊の選抜メンバーが副官であるライズ指揮の下、見事な動作で終結していた。

他にも501や212、104大隊なんかの主要な部隊の選抜者もこの場にいる。

だが今回は俺達は“ARCS”としてこの場にいるからな。

部隊の指揮はライズに丸投げだ。

 

「コマンダー、集合終わりです」

 

「お、おう。っていうかお前ワザとだろ?」

 

「はて、身に覚えがありません」

 

俺達がこの場に居たくないという声は他部隊の連中に丸聞こえだったし、同時に奴らが笑いを堪えていたのも知っている。

そんな中、不要と分かっていて俺に報告してくる辺りライズは“良い性格”をしている。

他の連中も、もはや隠そうとせずに笑ってやがる()

 

「おいレイ、そんなお前に朗報だ」

 

「お、さすがレックス。良い話はウェルカムだぜ」

 

501を指揮しているコマンダー・レックス殿のことだ。

さぞかし良い話なんだろう。

 

「“99”の連中は“向こう”にいるらしいぞ?」

 

「クソっ! アイツらだけ上手くやりやがって!」

 

『不良分隊は向こうにいる』という割とどうでもいいような、それでいて腹が立つような絶妙な情報につい悪態が出てしまう。

俺の脳裏に勝ち誇ったような人を小馬鹿にしたような表情を浮かべるハンターらの顔が浮かぶ。

 

「おい、そろそろ始まるぞ」

 

「はいはい、コーディーはいつでも真面目なのね」

 

「そうやって肩に力が入っていると老けるぜ、コーディーちゃん♪」

 

「・・・俺が悪いのか?」

 

俺とオーリーの連携に思い悩むような表情を浮かべるコーディー。

だから、そういう所が真面目だってことだ。

 

俺達の会話を聞いて笑っていたトルーパーらだったが、式が始まる瞬間にはしっかりと切り替える。

軽い感じで集合しているが、これは戦争において非常に重要な役割を持つんだ。

 

『七年前、惑星ジオノーシスで突如として始まったクローン戦争、あれから共和国の形も変わりました』

 

巨大なモニターに映し出されているのは銀河元老院議長を務めるベイル・オーガナだった。

彼はクローン戦争、そして帝国との戦いについて語っている。

この七年という歳月の中で共和国は一部の分離主義者達と合流することで銀河連合国という集合体に変化した。

さらにパルパティーンを中心に共和国から離反した者達と、さらに分裂した分離主義勢力が銀河帝国樹立を宣言したことで【連合国VS帝国】という構図が出来上がったのだ。

 

そんな中で行動抑制・・・違ったな。

行動強制チップによってクローン・トルーパーの一部が帝国に寝返り、独立星系連合のバトルドロイドと合わせて帝国軍ができあがったり、ボガーノ艦隊が連合国軍と合流したりと色々あった。

 

他にも偽デス・スター?の囮作戦によって主要なジェダイが軒並み戦死したのも大き過ぎる出来事だった。

今でもジェダイ・オーダーはその体制の立て直しに苦労しているという。

なんで他人ごとなのかって?

だってアソーカからの又聞きだもん()

 

とにかくそういった出来事を議長であるベイル・オーガナが色々と振り返ると同時に、軍属やジェダイ、そして国民に対して感謝の言葉を述べている。

何のためかって?

それは勿論———

 

『戦争の終結をここに宣言いたします!!』

 

って訳だ。

議長の戦争終結の宣言と同時に惑星中で歓声が上がる。

いや、『銀河中で』だな。

ファイターが色とりどりのスモークを噴射し、各地で花火が上がっている。

長きに渡る戦争がようやく終わったんだ。

どうも実感が湧かないけど()

 

まあこれで戦いが無くなるという訳じゃない。

国対国、戦争という名の戦いは終わったのかもしれないが、帝国の残党なんかによるテロや、各地での紛争が無くなる訳ではない。

というか一生無くならないだろう。

知らんけど()

 

 

 

 

「さーて、式も終わったことだし戻るとするか」

 

俺は固まった身体をほぐすように腕を伸ばしながら口を開く。

別に特定の誰かに言った訳でもないが、いつも最初に反応するのはアディスだ。

 

「レイ、俺はここに残ることにする」

 

「俺ちゃんもそうしようかな、皆で銀河中周るのも悪くはないけどさ」

 

「・・・俺も別行動だ」

 

別に畏まって言った訳じゃない。

世間話をするような気軽さだ。

だが俺は今生の別れを宣言されたような気分になる。

 

「ジャンゴ・フェットの遺伝子テンプレートとカミーノのクローン施設が破壊されて、次世代のクローンが生まれてこなくなったことで、遅かれ早かれクローンではない軍人が必要だ」

※参照:第83話

 

『それを鍛える人員もな』とアディスが言葉を続ける。

 

「まあガラじゃないけどさ、俺ちゃんの華麗なガンスピンを継ぐ奴がいても良いかもなって。俺ちゃん並みは無理でも・・・まあ近いくらいにはさ」

 

「・・・俺はボバと地下を洗う」

 

オーリーもアディスに協力して次世代の兵士を訓練することに決めたようだ。

ヒュメルの言う“地下”とは裏の世界含めた意味だろうな。

軍で動くよりも裏の世界に精通したボバ・フェットと協力した方が成果が出しやすいってことだろうな。

 

「———なんだよ、働き者だなお前たちは。気楽で快適な隠遁生活を夢見ていたのは俺だけか?」

 

文字通り生まれた時から一緒で、それこそ24時間365日何年も離れることはなかった。

戦争中は途中で離ればなれにもなったが、こうして今では4人一緒に居られる。

かと思えばまたバラバラか。

 

「ああ、そうかよ。お前たちの顔を見なくて済むようになるんだ、せいせいするぜ。ムスタファーでもホスでもダソミアでもどこでも行っちまえ」

 

「早い者勝ち!? じゃあ俺ちゃんダソミア~♪」

 

「軒並み過酷な惑星だな・・・ちなみにダソミアは魔女たちの亡霊が出るそうだぞ?」

 

「・・・・・え?」

 

アディスのツッコミを受けながらショックを受けているオーリー。

ムスタファーとホスの過酷な自然環境、そしてグリーヴァスによってダソミアの魔女たちが狩りつくされたという噂からダソミアを選んだようだが残念だったな。

 

「お前、オバケの類は苦手だr」

 

「うん」

 

食い気味だな。

というか・・・ダメだ。

冗談を言っていても心から笑うことができない。

俺って実は結構寂しがり屋だったのか?()

 

「・・・レイ」

 

徐にヒュメルが口を開く。

 

「・・・俺達は共に在る。例えどこにいようとも」

 

3人はヘルメットを外し、俺に視線を向ける。

・・・くそっ、俺の方がずっと年上だってのに。

 

「ああ、分かってるさ。また会おう、兄弟達」

 

 

 

________________________________________

 

 

 

<惑星コルサント ジェダイ聖堂>

 

 

 

ジェダイ聖堂の中に存在するある一室、そこでは幼いジェダイ・イニシエイト達がライトセーバーの訓練をしていた。

指導しているのは700年という一般的な人間種には想像もつかないほどの長い年月、ジェダイの育成に携わって来たヨーダだ。

 

「休憩」

 

彼の一声で訓練が中断される。

多種多様な種族の子供たちが集まっている中でヨーダが特に注意して見守っているイニシエイトが二人いる。

 

一人は利発で活発、明るい雰囲気を持った男の子で、今も同世代の友人たちと様々なことで盛り上がっている。

もう一人は一目で分かる知的さと上品さを兼ね備えた女の子だが、先程の男の子に負けず劣らない好奇心を感じさせる。

 

その場に白いチュニックと茶色のローブという伝統的な装いの騎士が現れる。

目には黒い布が巻かれており、この人物が視覚に頼らない生活を送っていることが分かる。

 

「マスター・ヨーダ」

 

その騎士、アナキン・スカイウォーカーはヨーダに声を掛けながら頭を下げる。

彼の装いは若干の汚れが見受けられ、聖堂を離れていたことが察せられた。

 

「おおマスター・スカイウォーカー、いつ戻ったのじゃ?」

 

「つい先ほど」

 

「その足で“あの子たち”の様子を見に来たという訳じゃな? うん?」

 

「いえ、そういう訳では・・・」

 

「隠すで無い。あの子たちは非常に上手くやっておるよ」

 

ヨーダは『ほっほっほっ』と軽い笑い声を上げる。

4歳になるルークとレイアはここ最近になってオーダーに迎え入れられた。

ジェダイ評議会のメンバーとして生き残っているのはヨーダ、オビ=ワン、そしてアナキンの三人だけだった。

マスタークラスの多くが先の戦争で命を落としており、態勢の立て直し、そして次世代のジェダイの育成というのが今のオーダーでの優先事項だった。

 

「ルークとレイアを受け入れて下さったのは意外でした」

 

「意外かの? 緑茶を飲んでいるとより深くフォースと対話ができるのじゃ。ほっほっほっ」

 

アナキンもそれを受けて柔らかい笑みを浮かべる。

そこには形骸化し、凝り固まった近年のジェダイ・オーダーは存在していなかった。

それが何故なのかは誰にも分からない。

だがアナキンは思わずにはいられない。

“ある一人のクローン”が見つけて来たあの苦い緑色の液体が無関係ではないと。

 

「でも僕は苦手だな・・・」

 

「ん? 何か言ったかの?」

 

「いえ、何でもありま———」

 

「パパー!!」

 

その時、休憩中だったルークが父親を見つけたようで声を上げながら駆け寄ってくる。

それに気づいたレイアも同じように駆け出しながら兄を注意する。

 

「ルーク、公の場では控えなさい! これはマスター・スカイウォーカー」

 

そう言いながら洗練された所作で挨拶をするレイア。

対照的なルークは妹の“小言”など全く響いていなかった。

 

アナキンはその目で二つの太陽を見ることはできなかったが、フォースを通して眩しいほどの光と暖かさを感じていた。

 

 

アナキンはレイのことが頭に浮かぶ。

戦争の序盤、惑星クリストフシスの戦いで初めて出会ってから様々な戦場を共にした。

普通のクローンとは全く違う彼に何度救われたか分からない。

勿論戦場でもそうだが、一番は自分の理解者、友として傍に居続けてくれたことだ。

誰にも共有できない悩みを、彼は共感し、理解してくれた。

その存在が無ければ、今頃パルパティーンの下にいたかもしれない。

彼は自分がどれほどの影響を周囲に与えているか理解していない。

だがそれも彼の良いところなんだろう。

 

もう一度、アナキンは二つの太陽に意識を向ける。

二人は打算などない無条件の、真の愛を向けてくれる。

そこに暗黒面が入り込む余地はなかった。

 

彼は幸せだった。

これ以上ないほどに—————

 

『ありがとう、レイ』

 

アナキンは心の中で感謝の意を示すのだった。




はい、お疲れ様でした。

遡ってみると投稿開始が2020年10月14日ということで完結までに5年近く掛かったことになるんですね。
初めての執筆作品であり、ハーメルン自体の使い方もよく分からずでしたが何とか完結まで来ることができました。
これもひとえに皆様の応援があったからこそです。
本当にありがとうございました。

ちなみにレイ君はボガーノ艦隊の高性能バトル・ドロイドを使って銀河中に荷物を届ける【銀河急便】と惑星スカリフの観光事業化に成功して一財産を築いたとか築いていないとか・・・・・

それでは皆さん、長い間ありがとうございました。
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