鬼滅の波紋疾走 JOJO'S BIZARRE ADVENTURE PartEX Demon Slayer   作:ドM

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2020/11/19 19:00頃
執筆途中だった方を投稿してしまったみたいなので19:20頃に修正しました!!
誠申し訳ない……(´;ω;`)

後、思いついたネタねじ込んだので那田蜘蛛山編は次回になります!

屋敷の婆ちゃんの名前判明したので変更しております!


初めてのパウ

 待ちに待った朝がやってきた。朝焼けが見え始めた頃、誰が起こすでもなく炭治郎は飛び起きた。

 

 伊之助は飛び起きた炭治郎の気配で目覚めかけており、善逸は「禰豆子ちゃぁん……」と寝言を呟きながらぐっすり眠っていた。

 

 一方、ジョジョが眠っていた布団は既にもぬけの殻だ。先を越された。

 

「おはようございます……」

「おはようございます!」

 

 寝室の襖を出てすぐの縁側で、家主であるひさと鉢合わせた。ジョジョと同じく既に起床していたようだ。炭売りが生業だった炭治郎もかなり早起きな方だが、年長者たちが一枚上手だった。

 

「こちら、お召し物でございます」

「ありがとうございますっ!」

 

 察しの良いひさが、綺麗に洗った隊士服と羽織を用意してくれた。どうやったのか不明だが、しっかりと乾いている。寝室に戻って大急ぎで着替えてからひさに浴衣を渡すと、既に用意されていた履物を履いて中庭に飛び出した。

 

「おはようタンジロー、やっぱり君が一番乗りだったね」

「おはようございます! ジョジョさん!」

 

 ジョジョは目覚めもばっちり、既に準備万端と言った様子で待っていた。

 

「あれ、ジョジョさんその恰好……!」

 

 炭治郎は、ジョジョの服装に大きな変化があったことに気付く。

 

「これかい? ふふ、似合うかな?」

 

 驚くべきことに、ジョジョは鬼殺隊隊士服を身に纏っていた。服の大きさは、巨漢であるジョジョにもきっちり合わせてある。ただし、従来の隊士服とは大きく異なる点があった。

 

「青い……。青い隊士服なんて初めて見ました!」

 

 その隊士服は、鮮やかな青色で、背の『滅』の白字も刻印されていなかった。一言で言うなら青い学生服である。

 

「君が起きる少し前に、黒い頭巾を被った鬼殺隊の人と、ロープのような首飾りを付けた鎹鴉(かすがいがらす)がお金と一緒にわざわざ持ってきてくれたんだ。凄く言葉の上手な鴉だったなぁ。タンジローのおかげで、ぼくのことが知られてるみたい」

「給金も出たんですね! 良かった! 隊士服もすごく似合ってます!」

 

 今までは、新婚旅行中に着ていた正装のままだった。エリナとの思い出の衣装だ。なるべく傷つけたくなかったので、非常にありがたい配慮だった。

 

 余談だが、やけに言葉の巧い鎹鴉からは給金を言い値でいくらでも出すとも言われている。流石に遠慮して、持ってきた分だけを受け取ったが。ジョジョは、これで炭治郎達に何か御馳走できると上機嫌だ。

 

「ありがとう。うん、すごく動きやすいよ! それにとても丈夫だ!」

 

 ジョジョが腕をぐるぐる回したり、上段蹴りを空に放って動きを確かめながら言う。

 

 鬼殺隊隊士服は高性能だ。下級の鬼程度の一撃ならば容易く防ぐほどの頑丈さを有しており、軽さ、動きやすさ共に申し分ない。成り行きから鬼退治に貢献しているジョジョにとってもうってつけの服である。

 

 炭治郎は服がもらえたことを素直に喜んでいるが、これは特例中の特例だった。

 

 前提として、ジョジョは鬼殺隊の所属ではない。言ってしまえば部外者である。部外者の、それも外国人に隊士服が支給されたのは、鬼殺隊の歴史上でも前代未聞のできごとだ。

 

 後に炭治郎達も知ることとなるが、あの言葉の巧い首飾りを付けた鎹鴉が来たことも、一部の隊士からすればひっくり返るような出来事なのである。

 

「鬼殺隊の人は要望があれば好きな色に変えていいって言ってたんだけど、最初に持ってきたこの色を気に入ってね。なんだかしっくりくるんだ」

 

 

 ──好きな色の隊士服と好きな金額を用意する。

 

 

 直球なアプローチであった。ジョジョの討伐記録も炭治郎の鎹鴉、天王寺松衛門がしっかりと残しており、既に鬼殺隊中枢にまで届いている。その為、まだ面識がないにも関わらず、評価は極めて高い。

 

 ジョジョは、十二鬼月の一人、下弦の参である病葉を無傷で倒した。これだけで、鬼殺隊トップクラスの精鋭、"柱"に就任する条件を既に満たしているのだ。ガッチガチの実力主義である鬼殺隊としては、なんとしても引き入れたい人材だった。

 

 尚、既にジョジョは、無惨を倒すまで日本に滞在し続ける覚悟である! 

 

「だー! 先を越されたぁ!!」

「いででで!? 伊之助! 髪引っ張るな! 引っ張るのやめろ!!」

「うるせぇ! 悶絶がさっさと起きねぇからだ!」

「悶絶って俺のことか!? お前のせいで禰豆子ちゃんに朝の挨拶できなかっただろうがぁ!!」

 

 服のことを話していると、伊之助が善逸を引きずってやってきた。朝から騒がしいものの、二人とも隊士服に着替え終わっている。伊之助は相変わらず猪頭に上半身裸の恰好で、物凄く強引な様子だが、善逸が着替えるまでは待っていたらしい。

 

「おはよう、善逸、伊之助」

「二人ともおはよう。だめだよイノスケ、髪の毛引っ張ったら……」

「じゃ、次からは鼻か耳を引っ張ってやる」

「千切る気かぁッ!? せめて腕にしろ! 腕!」

 

 振り回されるのは確定事項のようだ。

 

「それよりじょうすけ! お前なんかやる気だな? 何するんだ! 言え!」

「名前また間違ってるし、まず服に触れろよ……。ジョジョさん隊士服貰ったんですね。なんか青いけど……」

「うん、とても動きやすいよ。イノスケ、今日はみんなで修行をしようと思うんだ」

「修行ぉ? お前みたいに強くなれるか?」

「なれるさ!」

「おう! やってやらあッ!」

「勿論、俺もやります!」

「……」

 

 炭治郎と伊之助は見るからに乗り気だ。善逸は顔が青い。思いっきし困難(ハード)なヤツであることを確信していたからだ。

 

(逃げようかな)

 

 などと善逸が考えていると、寝室の影から視線を感じた。

 

「ねねね、禰豆子ちゃんッ!!」

「禰豆子も起きたのか。もう日が昇るから、こっちに来たら危ないぞ」

 

 襖の隙間から、禰豆子がこちらをジーッと覗いていた。その表情は悲し気で、見ているだけで心配になってしまう。

 

(ね、禰豆子ちゃんが悲しそうに俺を見ている!? に、逃げないよ! 俺は逃げないからね!)

 

 禰豆子が悲しそうなのは、昨日も含め、ジョジョと炭治郎に構って貰えそうにないからである。

 

「……ジョジョさん。俺にもやらせてくださいッ! 男ならどんな困難だって乗り越えなくちゃなりませんから!」

「ゼンイツ! よく決心してくれたね!」

 

 知らぬが仏であった。

 

「それでジョジョさん。何をやるんですか?」

「一番は肺の強化かな」

「肺……。呼吸を強くするってことですね!」

「うん。ほら、ぼく達の戦い方って、呼吸が要になっているだろう? "波紋の呼吸"と"全集中の呼吸"。戦法は異なるけれど、肺や精神力、そして集中力が重要なのは共通している。だから、ぼくがやっていた呼吸の鍛錬を活かした修行にしよう。これは、三人の強化にも繋がると思うんだ。マツエモンも暫くは大丈夫って言ってたから」

「ジョジョさんがやっていた訓練ですか!」

「ああ! きっと役に立つと思う! それに、身体能力、筋肉の方は三人ともしっかり鍛えられているから、うまくいけば何倍も強くなれるんじゃあないかな?」

「ハハハ! いいねいいね! んで、一番ってことは二番もあるなぁ! 二番はなんだ?!」

 

(い、伊之助が数字を理解している……!?)

 

 善逸、また失礼な理由で電流走る。

 

「鋭いねイノスケ。二番はね、"常中"が出来るようになることさ」

「ジョウチュウゥ? なんだそれ」

「昨日、ぼくが常時"波紋の呼吸"で活動していたのはタンジローに話したよね。あれを"全集中の呼吸"で、みんなにも出来るようになって貰おうかと思って」

「……え゛?」

 

 善逸が汚い高音で聞き返した。流石の炭治郎と伊之助も難しい顔だ。伊之助に関しては、何故か猪頭の表情が変わっているので分かる。

 

「常時"全集中の呼吸"……」

 

 炭治郎は、昨日の話で何をするかはある程度予想がついていた。だが、"全集中の呼吸"による負担は生半可なものではない。身をもって知っているだけに、果たして本当にできるものか不安だった。

 

「じょ、ジョジョさん、ジョジョさん。それってめっちゃくちゃきついんじゃ……」

「そうらしい……。首飾りをつけた鎹鴉が教えてくれたんだ。最上位に位置する実力者が身に着けてる奥義で、これを"常中"って言うそうだよ」

「常中……。ジョジョさんはこの奥義を習得していたようなものなんですね」

「"波紋の呼吸"でだけどね」

「……!」

 

 炭治郎は手が震えた。武者震いだ。もし、ジョジョの話す"常中"を使いこなせれば、自身が知る圧倒的強者達に追いつける可能性がある。

 

 冨岡義勇。鱗滝左近次。ジョナサン・ジョースター。全員"常中"を習得しているのは間違いないだろう。

 

 極めて困難な道のりだが、"やらない"という選択肢は存在しなかった。伊之助も、ジョジョが会得していると知ってやる気が増したようだ。

 

「習得には、極めて強力な肺活量が必要なんだ。肺の強化を一番とした理由がこれだね」

「なるほど」

「ぼくは、信念さえあれば人間に不可能はないと信じている。三人は、揺るぎない信念も、類稀な才能もある。戦いを通して成長していることも実感した。だから、君達なら絶対に習得できる!」

「ジョジョさん……」

 

 ジョジョは、炭治郎達なら"常中"を習得できると信じていた。ならば、自分たちもその言葉を信じて突き進むまででだ。

 

「な、なんで俺までそんな期待されてんの……。俺、みんなと比べ物にならないでしょう?」

「そんなことはないさ。ぼくが君たちを上回るものがあるとするなら、経験の差だけだよ」

「ほ、本当かな……?」

 

 ジョジョが断言するが、善逸は信じきれていない様子だ。

 

「先に言っておくよ。今回の修行は、とても過酷なものになる。やるかい?」

「やります! やらせてください!」

「怖くなんかねぇぞ!!」

「……………………やります」

 

 善逸、すごく迷ったが承諾。二言はなかった! 

 

「よし、じゃあ実際にやってみようか」

 

 いよいよ、ジョジョは具体的に何をするのか話すようだ。果たしてどれほど過酷な修練が待ち受けているのか。炭治郎達は固唾を飲んで言葉を待った。

 

「三人で"全集中の呼吸"を維持しながら……」

「はい」

 

 

 ──ぼくと戦うんだ。

 

 

「ぎゃぁ────ッ!?」

 

 善逸は叫んだ。最強の味方が、最強の敵になってしまった。

 

「木刀でございます」

 

 すかさずひさが、縁側の淵に木刀を四本立てかけた。炭治郎に一本、善逸に一本、伊之助に二本の計四本だ。この時ばかりはひさをちょっと恨んだ。

 

「今回、ぼくも攻撃する。ちょっと()()()かもしれないけど……」

 

(……く、()()()? ()()じゃなくて?)

 

「大丈夫です! 是非お願いします!」

「上等ォ!!」

「待って待って! こ、心の準備が!?」

 

 善逸の疑問は余所に、話がどんどん進んでいく。

 

「最初は出来なくてもいい。とにかくやってみることが大事だ。ぼくは大丈夫だから、手段は問わない! 色々やってごらん!」

「……はいっ! ジョジョさん! 胸をお借りしますッ! お願いします!」

「ウオッシャアアアアアアア!! 猪突猛進ッ!!」

「……」

「さあ、こい!」

 

 炭治郎と伊之助は木刀を手に取ってジョジョ目掛けて突撃した。

 

 

コオオオオオオオオオオオ

 

ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

 

カァァァァァァァァァァァ

 

 

 ジョジョ、炭治郎、伊之助が呼吸を発動させ、ぶつかり合おうとする。

 

「……」

 

 善逸はちらりと寝室の方に視線を向ける。

 

「ムー」

 

 禰豆子がまだこっちを悲しそうに見ている。可愛い。

 

 ここで逃げたらかっこ悪いなんてもんじゃなかった。

 

「……あああああああやりますよやればいいんでしょぉ────―ッッ!!」

 

 

シィィィィィィィィィィ

 

 

 善逸が雷の呼吸を発動させて、ヤケ気味に突撃した。善逸がここまで大胆な行動に移れたのは、禰豆子の視線、死にはしないという希望的観測、三人への密かな敬意と憧れによるところが大きかった。とはいえ、善逸もやはり、性根は剣士であった。

 

「雷の呼吸! 壱の型! 霹靂一閃!!」

 

 

ド ン ッ ! 

 

 

「ッ!」

 

 ジョジョは驚嘆する! 

 

(速いッ!? タンジローとイノスケに一歩遅れていたのにッ!)

 

 居合抜きのポーズを取った善逸が超高速で突撃してきた。雷霆の如き神速で、首目掛けて斬撃が飛ぶッ! 

 

「くっ!?」

 

 当たる直前、人差し指と中指に波紋を集中させ、滑らせるように受け流す。これは、くっつく波紋、反発する波紋とはまた異なる。いわば、滑る波紋だ! 

 

「うわぁっ!?」

 

 勢いを受け流された善逸は、ジョジョに背を向ける形となる。

 

(すごい……。 想像を絶する圧倒的速さだ! ここまでとは!)

 

 ジョジョの認識は間違っていなかった。善逸も実力者だ。現状、三人の中でもトップと言っていい。だが、霹靂一閃の弱点はすぐさま明らかになった。外した後の隙が大きいのだ。

 

「!」

 

 だが、隙だらけだった善逸に反撃をする前に、炭治郎と伊之助がジョジョ目掛けて攻撃を繰り出した! 

 

「獣の呼吸ゥ! 弐ノ牙ァ!  切り裂きィ!」

「水の呼吸! 漆ノ型! 雫波紋突き!」

 

 どちらも、気合いの籠った一撃だ。ジョジョ目掛けて攻撃することに抵抗は感じられない。それは、木刀如きでこの人がどうにかなるとは到底思えないという、絶大な信頼であった。

 

 足元を狙って、獣が喰らい付くが如き交差する斬撃が炸裂する! 次いで炭治郎は、上から突き技を用いて突っ込んだ! 鋭い鉄砲水を思わせる、激しい一突きだ。

 

「ッ!」

 

 即興とは思えぬ連携! 炭治郎は、一足先に攻撃を繰り出した伊之助を見てから、すかさず技を選択したのだ。

 

(巧い! やはりタンジローは、観察力がずば抜けている! だが!)

 

「はっ!」

「!?」

「なにぃ!?」

 

 ジョジョは、伊之助の切り裂きに合わせてほんのちょっぴり跳ねる! 着地した両足は、伊之助の木刀が交差する瞬間を狙って踏み抜いたッ! 

 

「ぐ、動かねぇ!」

 

 バツの字で交差する木刀の真ん中を踏みつけられたまま、全く動かない。

 

(なんだ!? つ、突きが滑るッ!?)

 

 炭治郎の一撃も、善逸と同じように微かに光る二本指で受け流された。溶けかけた雪の上を掠めたかのような勢いで滑り、そのまま前へつんのめった! 

 

「隙ありッ!」

 

 ジョジョの反撃が、炭治郎と伊之助を同時に襲う! 

 

(こ、小指ッ!?)

 

 ジョジョは、どういう訳か二人の腹から突き上げるように小指を突き刺したッ! 

 

 

ド ズ ッ ! 

 

 

「ぐぅっ!?」

「がはっ!?」

 

 炭治郎と伊之助は、肺の中の空気を一つ残らず押し出された感触を覚えた! 不思議と、突き刺された痛みは感じない。だが、空っぽになり、空気を渇望する肺は想像を絶する息苦しさをもたらした! 

 

「い、今の内に……。雷の呼……」

 

 善逸は、炭治郎と伊之助に気を取られている隙を狙って霹靂一閃を発動させようとした。

 

「そして君もだッ! ゼンイツ!」

「ギャー! 俺は遠……グェェ!?」

 

 

ド ズ ッ ! 

 

 

 だが、目論見を看破されたジョジョに正面を向いたところで小指を突き込まれたッ! 

 

「うぅ……!」

「ぐぐ……!」

「か……!」

 

 三人はしゃがみ込んで、暫く息ができない状態に苦しんだ。

 

(……よし、今だ!)

 

 その時、頃合いを見計らったジョジョが叫んだ! 

 

「"全集中の呼吸"ッ!」

 

「!」

「!」

「!?」

 

 

ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

 

カァァァァァァァァァァァァァァァァァ

 

シィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ

 

 

 それは、多くの訓練と実戦による、本能的な反射だった! "全集中の呼吸"により、空になった肺の下へと、膨大な酸素が供給されるッ! 活力が湧いた三人は、すぐさま立ち上がった! 

 

「こい!」

 

「い、壱の型! 霹靂一閃ッ!」

「壱ノ牙ァ!  穿ち抜きィ!」

「弐ノ型!  水車!」

 

 善逸の居合切り、伊之助の突き、炭治郎の縦回転斬りがほぼ同時にジョジョ目掛けて繰り出された! 上段、中段、下段、隙の無い一撃ッ! 

 

 

ガッッッ!!! 

 

 

「……見事!」 

「はっ!」

「あ、当たった!?」

「こいつぁ!?」

 

 三人は驚いた。腕と足によるガード越しとは言え、ジョジョに一撃当てることに成功した! 更に、連続して型を発動したにも関わらず、負担を感じないどころか、むしろ威力まで増していたのだ! 

 

「だが、油断は禁物だッ!」

 

 

ド ズ ッ ! 

 

ド ズ ッ ! 

 

ド ズ ッ ! 

 

 

 ジョジョの小指突きで、再び三人が悶絶したッ! 

 

(ごめんよ……。だが、思った通りだ。彼らは全集中の呼吸が体に染みついている。空っぽになった肺に少量の波紋。こうすれば"全集中の呼吸"による負担が軽くなり、尚且つ効率が増すッ!)

 

 しかし、これは三人が天才的才能を持っているからこそ見出した荒業だ。一般的な隊士には到底使えないだろう。恐らく拷問にしかならない。

 

「……」

「……」

「……」

 

 だが、苦しむ三人の目は光を失っていない。それどころか、善逸すらも闘志をむき出しにしている。たった一合の打ち合いで、強くなる実感があったからだ。炭治郎と伊之助は分かり切っていたことだが、善逸も、苦しみに対するメンタルは非常に強い。

 

「ふふ……」

 

 

・ ・ ・ ・ ・

 

 

『教えてください波紋の使い方を!!』

 

『どんな苦しみにも耐えます!』

 

『どんな試練も克服します!』

 

『いやだと言っても無理やり教えるわ!!』

 

『よォし、やったなジョジョ!』

 

『それが基本! 利用法はまだまだあるぞッ!!』

 

 

・ ・ ・ ・ ・

 

 

 懐かしい記憶が蘇る。

 

(ツェペリさん。貴方も、こんな気持ちだったのでしょうか)

 

 闘志を燃やす若き剣士たちの姿に、つい笑みがこぼれる。

 

「続けるかい?」

「……ごほ、お願いしますッ!!」

「……猪突……猛進ッ!!」

「や、やってみます。見てて! 禰豆子ちゃんッ!!」

 

 鍛錬は始まったばかりだ。ジョジョは、これから三人がどれほど強くなるのか、楽しみで仕方がなかった。

 

 




大正の奇妙なコソコソ噂話

ジョジョ宛の隊士服で青色をチョイスしたのはお館様の勘らしいよ!

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