鬼滅の波紋疾走 JOJO'S BIZARRE ADVENTURE PartEX Demon Slayer   作:ドM

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未知との遭遇

 町外れ。石垣と漆喰と瓦屋根の塀と、加工した木材の塀に挟まれた通り道。その真ん中を陣取るように、少年と、怯える青年がいた。少年は器用なことに黒い刀身の刀を抜刀したまま、着物を着た黒い長髪の女性を抱えている。

 

和巳(かずみ)さん、この人を抱えて傍に立っていてください! 俺の間合いの内側なら守れるので!」

 

 怯える青年和巳に、助け出した女性を預け指示を出す。

 

 少年は、赤みがかった黒い短髪と瞳。左額に大きな赤い痣を持ち、赤い日光が描かれたらしき耳飾りを付けている。身長165㎝、体重61㎏。黒い学生服のような衣装に緑と黒の市松文様の羽織を身に着け、背中には木材と少量の黒鉄で作られた高さ1メートル程の木箱を背負っていた。その表情は険しい。

 

 名は竈門炭治郎。人を食らう悪鬼の討伐を生業とする政府非公認組織、"鬼殺隊"の新人隊士だ。

 

 鬼殺隊として初の任務に就き、討伐対象である鬼と遭遇し、攫われていた女性の救助に成功した。だが、肝心の鬼は水面にいるかのように、地面へと潜り身を潜めている。

 

 "血鬼術"だ。個体によって、様々な特殊能力が存在する。

 

 炭治郎は、鬼の繰り出した血鬼術に、自身の長所である鋭い嗅覚で対抗し、潜む鬼の位置を探り当てようとする。

 

ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

 

 逆巻く風のような息を発する。

 

「水の呼吸 伍の型……」

 

 "全集中の呼吸" それは、一度に大量の酸素を血中に取り込むことで瞬間的に身体能力を上昇させ、強大な力を持つ鬼に対抗しうる鬼殺隊が用いる技だ。

 

 炭治郎が使うのはその流派の一つである"水の呼吸"。水の如く変幻自在な歩法が特徴であり、それによって如何なる敵にも対応できる。他流派に比べ使い勝手が良く、鬼殺隊隊士の多くは水の呼吸を使う。

 

 その呼吸法と日輪刀により、炭治郎は鬼を迎え撃つ。

 

 だが、技は不発に終わる。

 

 己の技と鬼がぶつかり合う直前、嗅ぎ慣れない匂いがこちらに近づいてくることに気づいた。飛び出す直前であった鬼も隠れたままだ。炭治郎に緊張が走る。

 

(不味い!? 誰かがこっちに来る! 和巳さん達の傍を離れるわけにはいかないのに……!)

 

 足音は徐々に大きくなっていく。明らかにこちらへ向かっている。それもかなりの速さだ。このままでは潜伏する鬼の餌食になってしまうだろう。

 

(この匂い、鬼が移動した!?)

 

 最悪の事態だった。こちらに向かっている相手の方へ、鬼が動き出した。炭治郎は少しでも早く、ここに来てはいけないことを知らせる為、声を張り上げる。

 

「来ないでくれ! 来てはいけない! 来たら殺さ……れ」

 

 現れた人物を目にした瞬間、叫ぼうとした言葉が途切れる。

 

(……この人)

 

ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド

 

 叫ぶのを止めたのには理由があった。彼の彫りの深い表情からは決意と闘志が満ち溢れ、この場の状況を明らかに理解しているのだ。更に、修行を終えて間もない炭治郎ですら理解できてしまう程、圧倒的な強者の貫禄を備えていた。場の空気を支配されたような気さえする凄味がある。

 

 目が合った。迷いなき覚悟を目に宿した男は、こちらを見て一度頷いた。

 

(すごい……。なんて()()()人なんだ!)

 

 炭治郎は現れた人物をそう評した。筋骨隆々の大男だ。腕の筋肉だけでも自分の頭が優に収まる。左手には何やら砂のような色をした器を掲げており、見慣れない仕立ての服には乾いた血痕がそこかしこにこびり付いている。

 

(鬼がすぐそこにいるというのに、安心感がある! 和巳さんの表情も心なしか和らいでいる。この人も鬼を倒しに……? いや待て! 日輪刀を所持していない!)

 

 日輪刀。日光に当てる以外の方法で、人喰い鬼を倒すことができる唯一の武器であり、鬼殺隊隊士の基本装備。この刀で頸を落とすことにより、鬼を殺せるのだ。炭治郎が抜刀している黒色の刀もソレだ。

 

 鬼殺隊の主戦力達は"全集中の呼吸"による技と"日輪刀"を用いて、鬼を殺傷せしめる。それ以外の攻撃では足止め以外の意味を成さない為、炭治郎は現れた人物がいくら強くとも鬼には対抗できないと判断する。

 

 しかし、その心配が杞憂であったことを、すぐに理解することとなる。

 

コオオオオオオオオオオオ……

 

「!?」

 

 それは、正に未知との遭遇! 

 

(ぜ、全集中の呼吸!? でも刀は持っていないし……。腕が光っている! しかもあの人が発する匂い……。まるで日輪刀じゃないか!!)

 

 炭治郎はその嗅覚と優れた観察力で理解した。

 

 あの"呼吸"は、"全集中の呼吸"であり"日輪刀"なのだ!

 

 何という奇妙な技であろうか! しかし、敵は尚も地面に潜んだまま。どのように対抗するのか、炭治郎には分からなかった。

 

 波紋の呼吸とは! 仙道とも呼ばれる。独特の呼吸法により血液中のエネルギーを蓄積し、生命エネルギーを活性化させる能力! 生み出される生命エネルギーは、独特の振動を持ち、水や地面に奇妙な波紋を起こす事から波紋の呼吸と呼ばれている。

 

 波紋の呼吸で生み出されるエネルギーは、太陽光と同じエネルギーであり、太陽に弱い吸血鬼はその身を溶かし、消滅させるほど強力! 

 

 つまり、日に弱い鬼に対しても極めて有効な武器となり得るのだッ! 

 

 大男が片膝を突き、右手を地面に叩きつけた。それは、地面を伝わる波紋疾走。

 

藍色の波紋疾走(インディゴブルーオーバードライブ)ッ!!」

「い、いんでーごぶるおおばあどらいぶ?」

 

 見たことも聞いたこともない技だ。どういう言語なのか皆目見当つかない。

 

ブワアアアアアアァァァァァァ

 

(じ、地面に日輪刀の匂いが広がっていく!)

 

「ウギャアアアアアアアアアア!?」

 

 三人の鬼が、たまらず地面から飛び出した。角が一本の鬼、二本の鬼、三本の鬼だ。黒い長髪に忍び装束と帯のような髪飾りを付けており、三人とも角以外は全く同じ容姿だ。体が溶けかかっている。

 

(三人!? 鬼は基本的に群れないと聞いた。だけど、この鬼達は全く同じ匂い。一人の鬼が三人に分裂しているんだ!)

 

「う、うごご、ぐげぇ……。な、なんなんだよぉぉ!あいつはぁぁぁぁあ!?」

 

 二人の鬼は足が溶けて身動きが取れなくなっている。比較的軽傷だった一本角の鬼がこちらに向かってくる。大男から逃げるかのような、破れかぶれの突撃であった。

 

(落ち着け! 一人だけ!)

 

 炭治郎は自分に言い聞かせて、鬼に対抗する。

 

ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

 

「見えたぞ! 隙の糸! 水の呼吸! 伍ノ型 干天の慈雨!」

 

 突っ込んでくる一本角の鬼目掛け、すれ違いざまに横一線の斬撃を繰り出す。それは、優しい霧雨の如き、水の一閃だった。

 

「ぐ……」

 

 立ち止まった一本角の鬼の首がゴロリと落ちる。遅れて胴体が両膝をついて倒れた。その骸は崩れ落ち、黒い灰となり、始めから存在していなかったかの如く消失していった。残されたのは、身に着けていた衣装のみ。

 

(そうだ! 残っている鬼に聞かなくては!)

 

 生き残っていた鬼達も体が溶けてなくなりつつある。炭治郎は、探し求めていた情報を得る為、身動きが取れなくなった鬼に日輪刀を突き付けて問いかける。

 

「鬼舞辻無惨について知っていることを話してもらう」

「い、言えない……」

 

 二本角の鬼は、怯えた表情で震えながら答えた。三本角の鬼は、その名を聞いた瞬間に歯をガチガチと鳴らしながら震えだした。

 

「言えない!言えない!言えない!ぐえぇ……」

 

 同じ言葉を繰り返しながら、二本角の鬼の体が朽ちていく。大男の技が致命傷となっていたようだ。程なくして、三本角の鬼も消滅していった。

 

(ああ……。また何も聞き出せなかった)

 

 何の情報も得られなかったことに、炭治郎は悔しい表情だ。

 

(だけど、あの大きな人のおかげで、和巳さん達も、俺も()()()も無傷で済んだ……。お礼を言わなきゃ)

 

 先ほど見せた技は本当に凄かった。地中全てで巨大な日輪刀を振るうが如き一撃に、炭治郎は感服する。

 

「あの……え!」

 

 恩人に声を掛けようと思うや否や、大男は此方に近づき無邪気な笑顔で炭治郎の両手を力強く握った。

 

「Thank you! You're amazing! Please tell me your name!」

「ゑ゛?!」

 

 それは、正に未知(えいご)との遭遇!

 

 




大正の奇妙なコソコソ噂話

藍色の波紋疾走(インディゴブルーオーバードライブ)は、小説『JORGE JOESTAR』でリサリサ先生が使った技だぞ!


Q:炭治郎は介錯用の技である伍の型 干天の慈雨を何故使ったのですか?

A:伍の型 干天の慈雨ですが、実は炭治郎は初手で沼鬼に使おうとして不発に終わってる描写があります。伍の型……と言いかけたところに3人の沼鬼が出て捌の型 滝壺を放つところです。不発に終わってた技がきちんと炸裂してた方がifっぽいかと思って、敢えて使っております。

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