鬼滅の波紋疾走 JOJO'S BIZARRE ADVENTURE PartEX Demon Slayer   作:ドM

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火曜日から我がスタンド『有給休暇』の能力が発動するので更新頻度が上がります


その輸血の運命

 妙にしおらしくなった愈史郎と共に、竈門兄妹とジョジョが珠世の拠点に到着した。二階建て、和洋折半の木造建築だ。窓は遮光されており、入口の上に目を象った御札がピンで固定してある。あれが人避けの血鬼術だろうか。

 

「お邪魔します!」

「オ邪魔シマス」

「も、戻りました……」

「おかえりなさい。あら、愈史郎、具合が悪いの?」

「いえ、大丈夫です……」

「……?」

 

 珠世は洋式の背もたれ付き木製椅子に座っている。着物の上から医療用に白い割烹着を着用していた。その姿を見た愈史郎はちょっと元気になった。

 

 傍らにある患者用のベッドで、鬼化した青年に襲われた妻が眠っている。

 

「あっ、大丈夫でしたか。お任せしてしまいすみません」

「この方は大丈夫ですよ」

 

 炭治郎は、患者の治療で取り込み中だと判断したが、問題ないらしい。

 

「竈門炭治郎です。こっちは妹の禰豆子」

「ジョナサン・ジョースタート申シマス」

 

 改めて、二人は自己紹介をする。名乗る前に別行動となったからだ。

 

「あの、珠世さん。鬼になってしまった人は……」

「ご主人は別室で寝かせています。もう血肉に飢えることもありません。後は私の方で処置をすれば人としての生活に戻れるでしょう。(ひとえ)に、ジョースターさんのおかげです」

「ソレハヨカッタ……」

「本当に良かったです。流石ジョジョさんだ!」

「君達コソ。二人ガイナカッタラモット怪我人ガ増エテイタヨ」

 

 お互いの健闘を称え、場所を畳部屋に移す。禰豆子は8歳程の肉体に変化し、畳をごろごろ転がっている。それはさておき、珠世には聞きたいことがたくさんある。

 

 炭治郎とジョジョが珠世から話を伺う。彼女は、人を喰らうことなく生活できるよう、無惨の影響を受けないよう、自身の体を改造しているそうだ。

 

 愈史郎は、人命救助のため本人承諾の下で珠世が鬼にした。200年以上かかったそうで、二人は少量の血液で生きていけると言う。

 

 驚いた拍子に珠世の年を聞こうとした炭治郎が愈史郎にしばかれた。珠世に窘められ、愈史郎は威勢よく返事をした。何故怒られて元気になっているのか炭治郎には分からなかった。

 

「タンジロー、レディーノ年齢ヲ聞イタラ失礼ダヨ」

「うう、気を付けます。ゲホ」

 

 血液は、近隣住民からお金で買い取って確保しているそうだ。ゴロゴロするのに飽きた禰豆子が、胡坐で座るジョジョの足にのしかかってきた。

 

「ヨシヨシ」

「ムー」

 

「輸血……。血液を買い取ってるんですか」

「勿論、彼らの体に支障が出ない量です」

 

 珠世の話を聞いて、禰豆子をあやしていたジョジョが何か考え込み始めた。構ってくれなくなったことに不満気な禰豆子がジョジョの頬を手でペチペチしていると、ジョジョが顔を上げた。何かを思い出したようだ。空振った手は禰豆子のおでこに当たった。

 

「こら、禰豆子。ジョジョさんの顔を叩いたらダメじゃないか」

「気ニシナイデ。ソレヨリ、思イ出シタンダ。輸血、聞イタコトガアル」

「知っているんですか?」

「ウン。昔、祖国ノ医者ガ人カラ人ニ血ヲ移ス治療ヲ試ミタコトガアッタンダ。余リ成功シナカッタミタイダケド……」

「ブランデル医師のことですね。それは恐らく、血液型が合っていなかったのでしょう。血液には種類があります。もし、同じ種類の血液でなかった場合、拒絶反応によって死亡することもありますから」

「ソウダッタンデスカ」

「へぇー……」

 

 二人は、また一つ賢くなった。炭治郎は若干眩暈を覚えているが。

 

 後にこの知識が鬼殺隊に広まり、とある関係者が研究した結果、隊士の生存率が大きく向上することとなるのだがこの時は知る由もなかった。

 

「ぐー……」

「ああ、禰豆子、そんなとこで寝たらジョジョさんが動けないぞ」

「フフ、構ワナイヨ。オ話ガ退屈ダッタノカナ? ネズコ」

 

 禰豆子はジョジョの胡坐の上で寝息を立て始める。

 

(全く、禰豆子はジョジョさんに会ってからすっかり甘えん坊になってしまったなぁ……)

 

 炭治郎は、禰豆子を優しく見つめた後、珠世から一番聞きたかった情報を尋ねた。

 

「珠世さん、禰豆子を人に戻す方法はありますか? 鬼になってから何年か経ってるんですけど……」

「ボクモ、非常ニ気ニナリマス」

 

 二人は、固唾を呑んで珠世の答えを待つ。

 

「あります」

 

「!」

 

「ただ、今の時点では鬼を人に戻すことはできない。私たちは必ず、その治療法を確立させたいと思っています。ジョースターさんのおかげで、鬼舞辻の血液を採取することができました。そう遠くないうちに、禰豆子さんを人間へ戻すことができるでしょう」

「オオ……!」

 

 ジョジョと炭治郎は、喜色満面になる。

 

(禰豆子……)

 

 寝息を立てる禰豆子の手を、炭治郎がそっと握ると、両手で握り返してきた。

 

「キブツジノ血……。ムザンノ血液ガ特効薬ニナルト言ウコトデスカ?」

「仰る通りです。ですので、あなた達にお願いしたいことがあります」

「引キ受ケマス」

「俺もできることがあれば!」

 

 禰豆子の治療に希望が湧いてきた為か、二人はやる気満々である。

 

 珠世のお願いは極々単純だった。禰豆子の血を調べさせてほしいこと。引き続き鬼からも血液を採取してほしいことだった。

 

「研究ッテ、種類ヲ問ワズ標本(サンプル)ガタクサン必要デスカラネ……」

「はい……」

「?」

 

 そう言って、ジョジョは考古学を専攻していた大学時代へ思いを馳せる。炭治郎にはよく分からなかった。だが一つだけ炭治郎にも理解できたことがある。

 

「それなら、禰豆子だけじゃなく、もっとたくさんの人が助かりますよね?」

「……そうね」

 

 珠世は優しく微笑む。炭治郎がドキっとしていると、愈史郎が睨みつけてきた。変なところで鋭い男である。

 

「そして、もう一つお願いがあります。ジョースターさん、あなたの血も調べさせてほしいのです」

「ボクデスカ?」

「あなたの"波紋の呼吸"は太陽に近い力だけでなく、生命そのものにも大きな影響を与えているように見受けます。ですので、貴方の血液も何かしら研究に役立つ可能性が高い。私の予想が正しければ、研究次第で鬼への有効な対策になるでしょう」

「ソウイウコトナラ、喜ンデ」

「太陽に限りなく近いということは、恐らく血鬼術も……」

 

「!?」

 

 珠世がそう言いかけていると、愈史郎が何かに気づいた。

 

「ふせろ!!」

 

 愈史郎が叫ぶと同時に、轟音が響く! 

 

 人の頭より小さいぐらいの謎の球体が、部屋の壁をぶち破ったのだ! 球体には幾何学的な花の紋様が入っている。毬だ。所狭しと跳ね回る毬が、天井、壁、畳、扉と縦横無尽に破壊していく。さながら鉄球のようだった。

 

 愈史郎は珠世を庇い、炭治郎は禰豆子を庇う。ジョジョは毬の軌道を見極め、全員が避けたことを確認しながら、やり過ごした。

 

(毬……!?)

「くっ……。鬼舞辻の手下か!?」

 

 大穴が開いた壁の向こう側には、女の鬼がいた。

 

 髪は黒。首のあたりでざんばらに切っており、末端部分が赤い。(だいだい)色の着物に無地の真っ黒な羽織姿だ。両手には先ほど投げたものと同じ毬を持っている。攻撃の主と見て間違いない。

 

「タンジロー、気ヲ付ケテ! モウ一人鬼ガイル!」

「はい!」

「ちっ、見つかってしまったのう、じゃが……」

 

 ジョジョが見つけたのは男の鬼だった。黒く坊主に近い短髪で、黄色い着物。肩に黄色い線の入った黒い羽織、大粒の数珠に似た首飾りを身に着けている。常に目を閉じており、その両手からは瞳が矢印型になった目をギョロリと覗かせている。

 

矢琶羽(やはば)、見つかるとは間抜けじゃのう、キャハハ!」

朱紗丸(すさまる)、言うとる場合か! やるぞ」

 

 女の鬼は朱紗丸、男の鬼は矢琶羽と言う名のようだ。

 

「キャハハ! 耳飾りの男とえげれす人。お前らじゃ!」

「俺とジョジョさんを狙って……!?」

 

 朱紗丸が、突いていた毬をジョジョ達目掛けて投擲した! 跳ねた毬を再び避けるが、突如奇怪なことが起こる! 

 

「コレハッ!?」

 

 毬が突如として軌道を変えた。物理学的にありえぬ、不自然な挙動で愈史郎の顔面に迫ったのだ! 

 

「危ナイッ!」

「愈史郎さん!!」

 

 この破壊力では当たってしまえばひとたまりもないだろう。 

 

(だめだっ! 間に合わない!)

 

 炭治郎は、今から起こるであろう惨事に顔を顰める。庇おうにも愈史郎と自分、ジョジョの距離では何かする前に直撃してしまう。

 

 

 ──だが、そうはならなかった! 

 

 

「ズームパンチッ!!」

 

 

ググ────────ン

 

 

ドゴォッ!! 

 

 

「何?」

「なんじゃとぉ!?」

 

 ジョジョの腕が伸びた! 伸びた拳が、愈史郎に迫る毬を弾き飛ばした! 

 

(まさか伸びる腕に助けられるとは……!)

(あれは……。関節を外したのね……)

(これは! ジョジョさんが道中説明してくれた技……)

 

 ズームパンチ! 関節を外し、腕を伸ばして相手を迎撃する、ジョジョの得意技! 関節を外した痛みは波紋で和らげている。元々大きな体格を持つジョジョの放つズームパンチは、圧倒的なリーチを誇るッ!

 

「……今の内に! 禰豆子!! 奥で眠っている女の人と男の人を外の安全な所へ運んでくれ!!」

 

 体を大きくした禰豆子が患者の眠る部屋へ走り去っていった。

 

「チッ、一発弾いたぐらいで……。なんじゃとっ!?」

 

 朱紗丸は再び驚く。

 

「毬が、溶けとる……」

「ぬう、これは」

 

 ジョジョに殴られた毬が、シュウシュウと音を立てて消滅したのだ。血鬼術を消し去られた。朱紗丸と矢琶羽は見たことも聞いたこともない奇術に怯んだ。

 

「ジョースターさん。やはり、貴方の波紋の力は、血鬼術を消滅させることができる。それと、私達は鬼です。守っていただかなくて大丈夫」

「珠世様には俺がいる! お前は目の前の敵に集中しろ!」

「分カリマシタ!」

 

(そうか! 血鬼術も太陽に弱いのか! だから、ジョジョさんの波紋の力であの毬が消滅した! あの時、地面に潜る鬼が飛び出した理由は、苦しいからだけじゃなかったんだ!)

 

 となればこちらが有利だ。

 

「行くぞ!」

「チィッ! ならばもう一度毬を作れば良いだけのことじゃ! この十二鬼月である私に殺されることを光栄に思うがいい!」

「十二鬼月?」

「鬼舞辻直属の配下です!」

「直属……。手強ソウダ……。ダガ、ソレデモ立チ向カウマデッ!」

 

 炭治郎とジョジョが二人並んで戦闘態勢を取る。

 

 朱紗丸が着物をはだけ、胸のサラシが露わになる。メキメキと音を立て、全身の血管が沸騰するように脈打つと、腕が生えた。六本に増えた腕から血鬼術の毬を生成すると、ここからが本番だと言わんばかりに、腕を振りかぶった。

 

 

 

 ──嘘はよくないな、朱紗丸

 

 

 

「ッ!?」

「おぬし、いえ、貴方は……」

「ッ……!? 新手の鬼ッ!」

 

 鬼が一人増えた。ジョジョと炭治郎は新たな鬼を警戒する。

 

 陰から現れたのは、縦線の入った黄色い着物を着た、矢琶羽に似た髪型の鬼だった。顔は痩せ気味で、目つきが鋭く、瞳孔は小さい。額と頬にバツ印の傷跡、とがった耳には円形のピアスが二つずつ付いており、首に白い布を巻いている。

 

「お前は十二鬼月ではないだろう。俺を差し置いて名乗るとはどういう了見だ?」

「も、申し訳ありません……」

 

 矢琶羽と朱紗丸が頭を下げ、鬼に道を譲る。現れた鬼が二人よりも格上であることは火を見るより明らかであった。

 

(空気が重い。毬を投げてきた鬼よりも更に濁った匂い……。喉が焼け付くような……。体が重たくなったみたいだ。ヤツはいったい……!)

 

 炭治郎の体から冷や汗が止まらない。息は荒くなり、剣を持つ手が震える。確信する。この鬼は、今まで戦ってきたどんな相手よりも遥かに強い。

 

(勝てるのか……。俺は……。弱気になったらダメだ! やるしかない!)

 

 左目の小さな瞳孔には縦書きで"下参"と刻まれていた。

 

「俺は病葉(わくらば)。十二鬼月だ」

 

 

 




大正の奇妙なコソコソ噂話

 輸血の概念が国内に入ってきたのは大正八年・西暦1919年と言われているよ!

 輸血法が一般に大きく知られることとなるのは、それより更に後の昭和五年・西暦1930年頃。当時の首相が暴漢の発砲で大怪我を負って、輸血によって一命をとりとめたのがきっかけと言われているらしいぞ!炭治郎が初耳な訳です。

 ちなみに、珠世様が知ってるのは我流で身に着けたからです。たぶん

 次回、病葉(わくらば)死す! お楽しみに!
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