不死となってしまい、蔑まれることを恐れ、人々に見つからぬよう生きてきた女の物語。

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どうも、風見です。前作は、物語の展開を記したものを紛失してしまい、身勝手ではありますが、削除させていただくこととなってしまいました。
今作は前作と大きく内容が異なってしまっています。
申し訳ありませんでした。
それでは、本編をどうぞ。


題名のない物語

 今は昔、あるところに女が一人の女がいた。

女は悲しいかな、悲劇というにふさわしいような人生を送ってきた。

女は貴族のもとに生まれたが、それゆえに不死の薬などというものに出会うような機会があってしまったのだ。

永遠の命という誘惑に駆られ、それを飲んでしまい、不老不死となった彼女を待っていたのは、孤独な生であった。

彼女が薬を飲んで、しばらくして、彼女の家は貴族とは言えぬまでに失墜した。

不死という体になったことで、人々から忌み嫌われ、迫害を受けることを避けるために山へと逃げることにした。

しかし、人間の恐怖心というのはそんなものでは治らない。

彼女は人々に追われ、何度も捕まり、何度も殺された。

しかし、不死となった彼女はただ苦痛を味わうばかり。

そして何度も隙を見ては逃げ出した。

彼女は楽になりたかった。

そのために、妖怪退治を始めた。

そういった妖の類であれば、自身を殺す手がかりとなりえるものがあると考えたからだ。

しかし、いづれの妖も、彼女を殺すには至れなかった。

それどころか、彼女は自ら炎を纏うことができるようになった。

そして、彼女は各地を転々とし、人間の追手から逃れながら生きていった。

 

 そして百年が経った。

なおも死ぬことのできない彼女のもとに、一人の少女が歩み寄った。

少女は女がもたれかかっていた木に、ちょうど背を合わせるように座り込んだ。

「どうしてここにいるの?」

と彼女は問うた。

女は答えた。

「死ぬための方法を探している」

そして今度は女が問うた。

「どうしてここに来たの?」

少女は答えた。

「生きるための方法を探している」

女は少女に目を向けた。

少女は真っ白だった。

髪も、肌も、体の外面ほとんどが。

人に見つからぬよう生きてきた彼女が、この少女についてはこの限りでなかったのは、

直感でこのこの少女と自らに通ずる部分のあることを感じていたからなのかもしれない。

「一緒に来ないか」

女は少女に問うた。

「一緒に行きましょう」

少女は答えた。

 

 それから、二人の旅は始まった。

一人は生きるために。

……一人は死ぬために。

しかし、女は少女の前では自らを殺めることをしなかった。

自分よりはるかに幼い、しかも生きようとしてる少女の前で、

そんなことはできなかったのだ。

やがて、二人はよく言葉を交わすようになった。

一年も過ぎた時、彼女らは旧知のように打ち解けていた。

ある時、女は少女に問うた。

「どうして生きる方法を探すの?」

少女は答えた。

自身はこの見た目と生まれて間もなく起こった災害のせいで忌み子として扱われ、

最初はかばってくれた親さえも、ついには自分を殺そうとしたことを。

もはや自分は人としては生きていないのだと。

だからこそ、生きようとするのだと。

……しばらくして、少女は女に尋ねた。

「どうして死のうとするの?」

女は答えた。

自らの不死であること、それ故に何度も殺され、ついには妖さえも倒すことのできる身となったことを。

 

女が語り終えたとき、少女は目に涙を浮かべていた。

女は少女を抱きしめた。

そして少女もまた、女を抱きしめた。

女は幾年ぶりかの温もりを感じていた。

少女もまた、幾年ぶりかの温もりを感じていた。

 

 そうしてまたしばらくたったころ。

女は少女に問うた。

「人とは、どうなれば死ぬのだろうと」

しばらく考えて、少女は答えた。

人は、忘れられたころに死ぬのだと。

もはや誰からも覚えられていないものは、それは幽霊と同じだと。

故に、死んでいるのと同義だと。

その答えに、女はこう返した。

「ならば、わたしはお前を忘れない。幾年が経っても、お前は生きられる」

少女は笑顔で、

「ありがとう」

と返したのだった。

 

 しかしこの翌日。

少女は病に倒れてしまった。

女はどうするべきかもわからず、ただ少女を横にしてやることしかできなかった。

ただ慌てふためく女をみて、少女は手を添え、こういった。

「大丈夫、あなたが忘れてさえくれなければ、私はそれでいい」

しばらくして、少女は息を引き取った。

しかし、その顔は安らかだった。

女は少女の亡骸を抱きかかえ、自分ごと炎で包んだ。

やはり彼女は死ぬことはなく、そこにあったのは少女の遺骨。

女はそこに墓を建て、そしてしばらく涙を流し続け、三日ほどしてその場を後にした。

 

 まもなく彼女は現世より消え、幻想郷にたどり着く。

友も多くできて、退屈のしない毎日を過ごしている。

しかし、彼女は、あの真っ白な少女を片時も忘れてはいなかった。

ある時、女は教鞭をとる友人に字を習い、文章を書くことにした。

彼女は、いや私は今、こうしてあの少女が忘れられないよう、この物語を書いている。

あの忌み子としてまともに名を呼ばれることなく、名のなかった彼女にちなみ、私はこの物語を

「題名のない物語」

とすることにした。

 

 




読んでいただきありがとうございました。
自らの表現の誤りや、構想の向上させる方法などの参考となりますので、良ければ感想を書いてくださるとうれしいです。

それではまたいつか、お会いしましょう。

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