虹色に輝く世界で ~あなたは残された時間を何に使いますか?~   作:トミザワ

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さすがに一年一話ペースはマズいので頑張ります....。


12話 波乱の夏

「あー......」

 

夕食後の片付けも終え、布団にうずくまり先ほど自身が発言した内容を振り返る。

 

 

 

『必ず皆さんの夢を叶えます』

 

 

 

 

「ああああああああああ!」

 

 

 

なーにが必ず叶えますだよ。選挙前の政治家か。しかも陰キャの僕ががどうやって叶えるんだよ。マジで政治家みたく記憶にございませんって誤魔化すか?てかマジで記憶無くしたい。というか過去の自分に往復ビンタしてやりたい。

 

 

 

 

 

コンコン

 

 

 

「裕介君いる?」

 

 

扉の向こうから上原さんの声がする。あんな発言をした手前、顔を合わすのが気まずいが扉を開ける。

 

 

「ど、どうかしました?」

 

「侑ちゃん来てない?さっきから見当たらないんだよね...。」

 

そんな男がいる部屋に女子一人で来る訳ないだろとツッコミそうになったが、我慢する。

 

 

「き、来てないですね...。スマホも連絡つかないんですか?」

 

「そっか...。侑ちゃんスマホ部屋におきっぱなしで...」

 

 

どうやら本当に行方不明らしい。

 

 

「「.........」」

 

沈黙が続く。いや気まずいって....。この状況で沈黙する事ある?『そっかー。いないなら他の所探すね』で解散じゃないん?なんでこの人僕の部屋に居座るん?

 

 

「じ、じゃあさ!」

 

沈黙を破ったのは上原さんだった。

 

 

 

「ふ、ふたりで一緒に探さない?」

 

 

「はい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「「.......」」

 

 

 

拝啓、母上殿

 

 

 

 

 

僕は今真っ暗闇の校舎を女の子と二人きりで歩いています。そこに会話はありません。怖いです。助けてください。

 

いや聞きましたよ?なんで?ってそしたら『二人で探した方が早く見つかるかもしれないじゃん?』と言われました。でも一緒に行動してたら意味ないと思います。でも僕は手分けして探しましょ。とは言わない。べ、別に夜の校舎が怖いって訳じゃないんだからね!

 

 

「あ、あのさ!」

 

「は、はいいいいい!」

 

またもや沈黙を破ったのは上原さんだった。

 

「裕介君は中学校の頃、どんな感じだったの?」

 

「え?」

 

突然の質問に一瞬固まってしまった。そういえば以前も中学時代について聞かれた事があったような。

 

「い、今と変わらないですよ...」

 

 

とっさに嘘をついてしまった。実際には半分嘘で半分本当の事である。

 

ここでいじめられてましたとか言ってみろ。「あー....ご、ごめんね」みたいな死ぬほど気まずい空気になる。

 

「そ、そっか...。た、体育祭とかってどんな種目やったとか覚えてる?」

 

 

「っ!」

 

 

 

上原さんがいったいどういう意図でその質問をしてきたのかわからない。

 

 

 

 

 

 

 

体育祭

 

 

 

 

 

忘れもしない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの日を境に僕はいじめられるようになった。

 

 

 

 

 

「ご、ごめんね!変な事を聞いて」

 

 

 

 

一体今自分がどんな顔をしているのかわからない。ただ上原さんはなんとなく僕の顔を見て察したのだろう。

 

 

 

「「.......」」

 

 

またもや沈黙状態が続く。

 

 

 

 

 

コツコツと僕と上原さんの足音だけが校舎に響く。お世辞にも上原さんとは仲良い関係とは言えない。そもそも二人きりで話すのも二回目だし、友達の友達みたいな関係がしっくりくるだろう。

 

 

だからこそ不思議に思う。何故わざわざ僕を呼び出したのか何故毎度中学時代について聞いてくるのか。ただ話す事がないから適当に話のネタとして聞いてきたのかもしれないが、気になってしまう。

 

 

もういい。どうせ気まずいのは変わらない。あえてこっちからさりげなく質問してみるか。

 

 

 

「あ、あの。上原さんはどこ中なんですか?」

 

 

 

「.......」

 

 

しかし返事がない。え?無視?ここにきて?中学の時のトラウマ蘇るからやめて欲しいんだが?

 

 

「う、上原さん?」

 

恐る恐る上原さんの方を見ると、彼女は少し上を向いて呆然としていた。そして彼女が見つめている視線の先を追う。

 

 

「えっ......」

 

 

視線の先は吹き抜けになっている二階廊下。

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高咲さんと中川さんが抱き合っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

えっ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なにこれ

 

 

 

 

 

 

どゆこと?

 

 

 

 

 

二人はあれなん?そーいう関係なん?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、上原さん」

 

 

 

僕は上原さんに視線を戻す

 

 

 

「え」

 

 

 

上原さんの顔は愕然としていた。ただ驚いているのではない。明らかにショックを受けている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え?

 

 

 

 

 

 

 

あれなん?

 

 

 

 

 

 

 

 

もしかしてそーいう感情抱いてた系?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

現在時刻23時40分、恐らく同好会メンバーは全員寝ているはず。

 

 

 

 

 

 

 

さっきの光景が目に浮かぶ。

 

 

「み、見てはいけないものを見てしまった......」

 

 

あの後、上原さんは何事もなかったかのように部屋に戻った。ただあの悲しそうな顔は全然隠しきれてなかった。

 

 

 

 

いやまじであの二人って付き合ってたん?女子同士そーいうのって実際あるん?でも女子校だからありえるのか....。それに上原さんもあの表情は絶対そういう事だよなぁ....。

 

 

 

やっぱり三角関係?ってやつか...。やっぱり今日見た事は綺麗さっぱり忘れた方がいいよな?

 

 

 

アカン。気になりすぎて全然眠れない。

 

 

 

 

 

 

コンコン

 

 

 

 

 

 

 

ノックする音が聞こえる。

 

 

 

 

え?もうすぐ深夜の0時だぞ?こんな時間に誰がなんの用だ?

 

 

 

 

 

 

 

まさか....さっきの件についてもみ消しにきたのか!?

 

 

 

 

「ゆ、裕介先輩....いますか?」

 

 

扉の向こうから桜坂さんの声がする。とりあえず中川さん、高咲さん、上原さんの三人じゃないことに安堵する。

 

 

「かすみんもいますよ~?」

 

 

扉を開けると、そこには中須さんに背中を押される桜坂さんの姿があった。

 

 

どうやら中須さんに連れて来られたようだ。

 

 

 

しかし一体何の用で.....。まさか!罰ゲームで僕の部屋に入れられるとかそういうのだろ!

 

 

 

 

『じゃんけん負けたから罰ゲームでしず子は一時間裕介先輩の部屋で添い寝で!』

 

『うわ....。負けちゃったよ最悪...。裕介先輩と一時間も二人きりなんて...』

 

 

 

あれ...妄想なのに目から汁が....。

 

 

 

「ご、ごめんなさい...おやすみの所ご迷惑でしたよね?そ、それでは私たちは戻りますね!」

「ちょっとしず子!」

 

 

自室に戻ろうとする桜坂さんを中須さんは必死に制止する。

 

 

「せっかくのチャンスを無駄にする気?」

「ち、チャンスって....」

「こーいうところで引いちゃうのがしず子の悪い所だよ!」

 

 

 

何やらゴニョゴニョと話しているが、本気で罰ゲーム説が濃厚になってきた。

 

 

泣いていいですか?

 

 

「いいから!行くの!」

 

そう言って中須さんは無理やり桜坂さんを僕の部屋に入れようとする。

 

 

その時だった

 

 

 

「「キャッ!」」

 

 

部屋の電気を消していたせいで桜坂さんと中須さん二人して段差につまずき僕の方に倒れてくる。

 

 

 

 

 

僕は咄嗟に目をつむる

 

 

そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

唇に柔らかい感触を感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は恐る恐る目を開ける。

 

 

 

 

 

 

「ッ!~~~~///」

 

 

そこには唇に手を当てて顔を真っ赤にしている中須さんの姿があった。

 

 

 

どうやら桜坂さんは上手く体制を立て直し、中須さんはそのまま僕に倒れこんでしまったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかしマズい事になった。

 

 

 

 

 

事故キスが許されるのは二次元と超絶イケメンに限ると法律で明記されている。

 

 

「え、え...あえ」

 

 

とにかく謝罪したいのだが、あまりの事に言葉が出ない。てか頭が回らない。

 

 

「裕介先輩!かすみさんも大丈夫ですか!?」

 

 

 

どうやら桜坂さんはこの事態に気づいてないようだ。

 

 

「か、かかかかかすみんはこれでし、失礼しますね!」

 

「え、ちょ....」

 

「し、失礼しましたぁぁぁぁぁ!」

「か、かすみさん!?」

 

中須さんは顔を真っ赤にしながら勢いよく部屋を飛び出る。桜坂さんもそんな中須さんを追いかけ、結局僕一人たけ取り残される事になった。

 

 

 

 

 

これ僕人生終わったくね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

皆様おはようございます。

 

 

 

当然一睡もする事ができませんでした。当然ですよね。

 

 

 

 

 

そして僕はなぜか今鬼ごっこをしています。

 

 

「はぁはぁ....」

 

病人に鬼役はしんどいって....。

 

 

 

 

最初はただのランニングで僕は計測係だったのだが、宮下さんの案で急遽鬼ごっこをする事になったのだ。だとしてもなんで計測係の僕まで参加させられてるん?

 

 

「し、しんどい...」

 

 

まずい....とにかく誰か捕まえなければ永遠に鬼役をやらなければならない。早く逃げ役になってどこかで休憩したい...。

 

 

ガサガサ

 

 

「ん

 

 

 

?」

 

 

すぐ近くの植木に人の気配がする。てか少し植木から姿が出ている。誰だかわからないが、とりあえず僕の体力が限界なのでさっさと捕まってもらおう。

 

 

 

「隙あり!」

 

 

僕は一気に距離を詰めてタッチする。

 

 

 

「「あっ........」」

 

 

 

タッチしたのはまさかの中須さんだった。

 

 

 

 

「あ、あははー...。つ、捕まっちゃいました.../ //」

 

 

中須さんは顔を真っ赤にしながらわざとらしく笑う。しかし目は合わせてくれない。

 

 

 

これマジで終わりや。絶対昨日の件で怒ってますやん。

 

 

 

『最悪...。かわいいかすみんが陰キャなんかに汚されちゃいました....』なんて思ってるに違いない。

 

 

いやむしろそれで済んだらマシな方だ。

 

 

これが同好会のメンバーにバレてみろ。

 

『最低....』

 

 

『そんな事する人だと思わなかったよ...』

 

 

『かすみさん...。怖かったよね...』

 

 

となるに違いない。それどころか.....

 

 

 

『あなたを強制わいせつ罪で訴えます!理由はもちろんお分かりですね?』

 

 

もしかしたら訴えられたり、警察に通報の可能性も...。

 

 

 

「ち、ちょっと裕介先輩も逃げるなり、なんか言ってくださいよ!」 

 

 

ど、どうする?もういっそのこと土下座して許してもらうか?それか示談金を払うか....。

 

 

ガシッ

 

 

 

そんな事を考えてると誰かに肩を掴まれる。

 

 

 

「え?」

 

 

その正体は彼方先輩だった。

 

 

 

 

 

「捕まえたよー?」

 

 

 

 

 

え?鬼って僕以外にもいたの?

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

みなさまごきげんよう

 

 

 

僕は今プリズン(部室)にぶち込まれてます。いつからケイドロに変わってたん?まぁ涼しい部屋に入れるのはめちゃくちゃありがたいですけどね。

 

 

 

「ねーね裕介君、見てよこれ」

 

 

囚人番号一番の高咲さんがパソコンの画面を僕に見せてくる。

 

 

そこにはダイバーフェスで歌う朝香先輩の姿があった。

 

 

「再生回数10万....」

 

 

かなりの高視聴率だった。それにいいね数やコメントの反応もかなり良い。それだけあのステージで多くの観客を魅了してたと言うことだ。

 

 

「私さ、あのステージを客席から見てたんだけど、あーいうライブをやりたいんだよね。学校とか関係なく、スクールアイドル好きな人が楽しめる。そういうライブがしたいんだよね。」

 

 

みんなが楽しめるライブ....。きっと高咲さんの夢なんだろう。

 

 

「まぁそんなライブ難しいし、できないんだけどね」

 

 

高咲さんは笑いながら言う。

 

 

 

 

 

 

『必ず皆さんの夢を叶えます』

 

 

昨日の発言を思いだす。

 

 

 

 

 

 

「できますよ」

 

 

「え?」

 

 

僕の発言に高咲さんは目を丸くする。

 

 

「色々な学園を巻きこんでスクールアイドル好きのためのフェスをやりましょう。そこで各メンバーがやりたい事をやるんです。ライブだけじゃない。宮下さんのダジャレ大会でもいい。彼方先輩のお昼寝でもいい。アイドルもファンも楽しめるようなお祭りをやりましょう」

 

 

 

 

いや違う

 

 

 

 

「僕が必ず作ります」

 

 

 

 

 

 

 

人生最期の夏は波乱の夏じゃないと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                        続く

 

 





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