鬼滅世界にエインフェリアを求めてレナス・ヴァルキュリアが来たお話しです。

VP側の時代背景とは全く違いますが、温かい目みて頂ければ…

今書いてるほうの息抜きで、思いつきです。




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日本の不死者の元に戦乙女が来たようです。

 

 

 

 

 運命の三女神の次女であるレナス・ヴァルキュリア。

 

 自らの主神である、アース神族の王オーディンより、「神々の黄昏(ラグナロク)」が近いことを聞かされたレナスはこの戦いに備え、戦力となる英雄達の魂【エインフェリア】を求めて、人間界ミッドガルドへ赴くよう、命を受けた。

 

 オーディンは未来を語るという「ユーミルの首」から「ラグナロク」が近いと聞き、これを敵対しているヴァン神族との全面戦争だと判断したためだ。

 

 エインフェリアを集めるために、死に瀕した彼らの元に現れては彼らの死に様を見届け、時には助太刀しつつ、その魂を集めていくレナス。

 死後、英霊となった彼らを集め、鍛え、英雄として相応しい能力を身につけさせてから、天界に送り届けるのがその任務。

 

 その任務と同時に、本来神界にあるべきはずのアーティファクトを、アスガルドにいるオーディンへと献上する事もある。

 そう言ったアーティファクトはミッドガルドに蔓延る不死者であったり、冥界のヘラが送り込んでくる魔物であったりが悪用している場合も多く、そう言ったモノ達を滅する事も任務のひとつ。

 

 そして今、死にゆく魂の声を聞き、エインフェリアとなる英霊を求めて小さな島国へと辿り着いた。

 その国は、現在は大正時代と呼ばれ、夜な夜な【鬼】と呼ばれる不死者の現れる、日本と言う国だった。

 

 

ーーーーーー

 

 

 私は、負ける…

 

『多分しのぶは、あの鬼に負ける』

 

 そう、言おうとしてやめてくれたんだよね。

 

 私はどうやらここまでのようだ。

 失血で立てず、左の肺もざっくり切られ息もできない。

 

 カナヲがここにいないのが残念だけど…

 私の身体をコイツが喰えば…

 

 

──── ピキィィーーーーン ──

 

 

 自らの命を諦めたその時、

 鈴の音のような、透き通った綺麗な音──

 

「しっかりしなさい、しのぶ。泣く事は許しませんよ。」

 

「姉さん…?」

 

 そこには確かに、私の姉が、胡蝶カナエが立っていた。

 

「随分と、汚いトコロだな。」

 

「ここがカナエの故郷なの?……汚いし、最悪なんだけどぉ。」

 

 誰…?

 

 大男の方はとてつもなく大きな剣を持った、藍色の甲冑を着ている。鈍く光る赤い双眸(そうぼう)は獣にしか見えない。

 もう一方は、金色の長い髪、西洋の魔術師かなにかが持っていそうな杖を持っている。綺麗な顔だが、有り余る自信が顔に張り付いており高飛車にしか見えない女。

 

 なんで姉さんが、こんな人たちと…?

 それにもう死んでいるはずじゃ…

 

下賤(げせん)な不死者が。魂を冒涜(ぼうとく)した罪は重い…」

 

 長い銀色の髪を持つ、蒼穹(そうきゅう)の西洋鎧を着た、まさに女神と呼ぶに相応しい女性が舞い降りる。

 

「あれあれあれぇ?綺麗な女の子がいっぱい。これは鳴女(なきめ)ちゃんにありがとうってちゃんと言わなきゃだ。」

 

 上弦(じょうげん)の弐【童磨(どうま)】は虹色の瞳を見開きニヤリと笑みを溢す。

 

「ヴァルキリー、手加減しなくて良いんだろう?」

 

 童磨に対し、背中にあった自身の二倍はあろうかと言う大剣を片手で乱暴に持つと、肩を回し好戦的な笑みを浮かべる男。

 

「しのぶ、立ちなさい。ヴァルキリー様が、私を導いてくれたように、私があなたを導くわ。」

 

「ゔぁる…きりー…?」

 

 聞き覚えのない単語と発音。

 導くと言う意味も理解できず、呆然と聞き返す。

 

「アリューゼ、ここはカナエに。」

 

 銀色の髪を靡かせるヴァルキリーは大男に引くよう声をかけると、アリューゼと呼ばれた彼はあからさまに肩を竦めた。

 

「しのぶ、私の仇は、私が取るから。泣かないで、姉さんはしのぶの笑った顔がすきなんだから。」

 

 姉さんはそう言って、童磨のもとへと一歩踏み出した。

 あの時の、昔と同じ言葉…

 

「んんん〜?君は、俺が喰べ逃した子だねぇ。嬉しいなぁ。わざわざ俺のために戻ってきてくれるなんて。」

 

「私の身は既にヴァルキリー様に捧げた……私は神の敵を、あなたを切るのみ。」

 

 姉さんは刀を抜き放ち構える。

 唯一鬼を殺すことのできる刀である日輪刀(にちりんとう)、ではない…それでは鬼は殺せない。

 そんなことを、(はしら)を努めた程の姉が知らないはずがないのだが……

 

「姉さん!それじゃあ…!?」

 

 叫ぶ私の顔の前に、透き通るように白い肌をした手が現れる。

 その手の持ち主、ヴァルキリーと呼ばれる女性が、何も言わず私を見つめていた。

 

 言葉は必要なかった。心で理解ができたから。

 

 大丈夫だと──黙って見ていろと──

 

 まさに女神、その全ての所作が、

──美しい。

 

「君じゃあ俺を倒せない事は十分わかってるとおもったんだけどなぁ。── 後ろの子はどうだい?」

 

「うるっさいわねぇ、一丁前に人語を使わないでくれる?化け物にモテてもぜんっぜん嬉しくないわ。」

 

「メルティーナさん、ありがとうございます。でも、この鬼は、私が滅します。」

 

 抜き放った刀を腰ダメに、突きの体勢をとる姉さん。

 それは、ダメだ。突きだと私もやったけどあの鬼は倒せない…

 

「無限の剣閃、あなたに見えるかしら?

 ──奥義 千光刃(せんこうじん)

 

 踏み込んだ足は地面を大きくえぐる程の強さ。

 私の最速よりも、もっと早い速度で童磨へと襲いかかる。

 

 前後左右上下、あらゆる角度から襲いかかる斬撃。

 

「ぐぅぅ…なぜ!?なぜ俺の血鬼術(けっきじゅつ)が発動しないッ!!?」

 

「発現する予兆を切っているからですよ…」

 

 血鬼術を使う間も無い。

 正に光が如く、千はあろうかと言う斬撃。

 

 これなら、あいつは……

 

「なん……」

 

 本当に気色悪い。もうお前の声など聞きたくない。

 

「「とっととくたばれ糞野郎」」

 

 姉さんと、声が揃った。

 

 光に切られていく童磨。

 とうとう首も落ち、朽ち果て消えていく体。

 

「浄化などと、生易しいことは言いません。──消えろ。」

 

 そう言い放った姉さんの言葉と同時に、私が殺すことを願い続けていた鬼は、この世から完全に消滅した。

 

「………」

 

 どうやったのかはわからない。

 なぜ日輪刀でもない刀で鬼を倒せたのかも。

 なぜ死んだはずの姉さんがこうして目の前にいるのかも。

 

「この場所は不死者の臭いが強い……魂の冒涜者をあるべき場所へと還しにいきましょう。」

 

 端正な顔を僅かに歪めるヴァルキリー。

 その顔には鬼への嫌悪感が見て取れる。

 

「えぇー!?カナエのわがままは終わったんだから、もうこんなとこ出ましょうよ!」

 

「…俺はまだ暴れてねぇ。さっさと次行くぞ。」

 

 メルティーナと呼ばれた女性はあからさまに嫌がっており、アリューゼは獰猛な笑みを浮かべて言う。

 

「ヴァルキリー様、ありがとうございます。」

 

「カナエ、勘違いしないで。オーディン様に背く者たちを滅するためよ。あなたの想いは関係ないわ。」

 

「それでもですっ♪ヴァルキリー様も絶対笑ったほうがかわいいですよ♪」

 

 ニコニコと笑う姉と、鬱陶しそうにしているヴァルキリー。

 

 女神のように美しい女性、

 獣のように獰猛な雰囲気を醸し出す大男、

 発言に毒しかない自信家の女性、

 最後に、私の姉。

 

 この時はまだ、こんな凸凹な四人が本当に鬼の始祖まで滅してしまうとは、思っても見なかった。

 

 


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