【伊アオ】「伊之助とアオイのほわほわもみじ狩り」【鬼滅の刃二次創作】 作:?がらくた
2000文字くらい執筆済みだったのですが、4000文字くらいは欲しいかなーと思い、時間がかかると言ってしまいました。
ただダラダラ書いてもしょうがないですし、伝えたいことは大雑把でも書けていると感じ、さっと投稿することにしました。
以前も言いましたが、執筆スピードが本当に躁うつのような感じで、ここまで筆が乗ることはめったにないんです。
早く書き上げる時は適当に書いて校正もしねぇし、1日時間を置いて文章を見返しもしねぇし、誤字脱字も直さねぇしという、全創作者に喧嘩を売るスタイルでやっております。
ただ誤字脱字ではなく小説に使用できない文字があったりする (なろうでも経験) ので、それは気がついたら修正します。
しったげきれい の しつ が使えず、やむなく激励に編集しました。
主と怪我人のいなくなった蝶屋敷の医務室にある薬品は、あれから使われることなく、そのまま放置されていた。
部屋や医療関連の蔵書には埃が溜まり、掃除をしていないのが一目でわかる。
いつまでも、しのぶに依存してはいけない。
いつかは片付けないといけないと頭では理解していても―――ここに来ると、亡き女主人を思い出してしまうのだ。
無惨との激戦の後、月日が流れた医務室の椅子にはしのぶではなく、洋服のアオイが座っていた。
「怪我の調子はどうです? お変わりないですか?」
「お前らのお陰で、すぐにでも退院できるぜ」
伊之助はおもむろに立ち上がると首を振り回したり、元気だとアピールした。
痛いのを我慢する性格ではないのは、彼との付き合いで理解していた。
だが、万が一もある。
「ちょっと触診しますね」
アオイは、わざと力を込めて触ってみた。
痛みが残っていれば表情に出るだろう。
体にあちこち傷は残っているが、クマに襲われた怪我は寛解(かんかい)に向かっているようだ。
「問題なさそうですね。念のため、あと数日様子を見ましょうか」
「しのぶの真似、板についてきてんな」
「そうですか」
真似と言われても、アオイは淡々としていた。
猿真似でも一人の命を救えたならいい。
「あの。この前は見苦しい場面をお見せして、すいませんでした」
「病室の前でぎゃんぎゃん泣くとか、患者の俺様への配慮がなってねぇな!」
「なんですって、伊之助さんだって泣いてたくせに!」
「うるせぇ、俺は泣いてねぇ!」
強がる彼に、つい意地になって言い返す。
「本当に素直じゃないですね、もう! あなたの相手は疲れます」
「お前に言われたくねぇよ」
「悪かったですね! 可愛げがなくて!」
睨み合うとアオイの心の中に、怒りよりも可笑しさが込み上げた。
正反対の部分もあるが、自分も彼も案外似た者同士。
喧嘩をしても、本心から嫌っているわけではなさそうだ。
「……ふふ、すいません。こんな言い合いできるの、伊之助さんくらいですから」
「俺様に楯突くのはお前くらいだぜ。用は済んだか?」
立ち上がる彼をアオイは呼び止めると、彼女に従って椅子に座り直す。
「伊之助さん、あなたに最初に伝えておきたかったんです。私、しのぶ様の研究を引き継ごうと決めました」
「研究?」
「はい。そのためにも女学校に通って勉強するつもりです。伊之助さんと遊ぶ暇も、今後なくなるかもしれません」
「いいんじゃねーか、お前らしくて。しのぶも喜ぶと思うぜ」
励ましの言葉に背中を押され、アオイは揺らぎかけていた決意を固める。
故人の思いなど忘れて、適当に生きる選択肢もあった。
これから進む未来は、茨の道がはてしなく続いている。
それでも、この道を選んだ後悔はなかった。
(……カナヲも伊之助さんも応援してくれる。挫けそうになったら支えてくれる。きっと私はしのぶ様を越えられないけど……それでも……)
「これからは互いに忙しくなりますね。会うことも……」
「俺様は定期的にここにくるぜ。カナヲやガキの様子も気になるからよ」
曇りない瞳で伊之助は云う。
〝一丸となって戦った記憶まではなくならねーからよ〟
カナヲに優しく労われ、伊之助に激励され、三人娘にはいつも元気を貰っている。
彼の言葉が、木漏れ日のような暖かな日々で、実感できたような気がした。
(そういえば、あれはどういう意味だったんだろう)
アオイはかねてより気になっていた疑問を、彼に投げかける。
「もみじ狩りに誘ってくださった日、言いましたよね。私としのぶ様の、どこが似てると思いました?」
「ああ、それか。しのぶの笑顔からは強い殺気がした。俺に向けられたものではなかったけど。きっと家族の仇が、ずっと腹に据えかねてたんだな」
「……」
「でもな、俺と指切りした時の笑顔。あれまで噓じゃねぇ。そう思いたいだけかもしんねーけど」
笑顔の裏の隠された彼女の真意に、伊之助は気がついていたらしい。
アオイも、それとなく察していた。
カナエも喪ってから、しのぶは片時も笑顔を崩さなかった。
アオイも最初は、気にも留めなかった。
皆にカナエが亡くなった心配をかけまいと、無理に笑顔を作っているだけだと。
彼女の死を受け入れて消化できれば、元のしのぶが戻ると、心のどこかで信じていた。
しかしそれが1ヶ月、1年と続けば、いくら鈍感な人間でも察しがつく。
―――姉を模倣していたことに。
しのぶは最後まで血を分けた姉に囚われたまま、本当の自分を隠したまま、この世を去った。
髪飾りが家族の証だというのは方便で、自分たちは偽りの家族でしかなかったのではないか。
身寄りのない女たちの傷の舐め合いが、ただの家族ごっこが、なんの気休めになったのか。
生きている間、何をしてあげられたのか。
ほんの少しでも、彼女の深い傷を埋められたのか。
至らない過去のアオイが、今のアオイを責め苛む。
「なんかに常に怒っててよ。でも時折見せる優しさとかまで、噓じゃねぇんだ。そんなとこがしのぶに似てんなぁ、ってな」
「そうです。しのぶ様は常に怒っていらっしゃった。炭治郎さんも、そう言っていましたし」
「俺も母ちゃんを食った鬼には、冷静でいられなかった。しのぶを責めることはできねぇな」
母親を殺された伊之助は童磨を倒して、踏ん切りがついたのだろう。
敵を討つ手助けになれたしのぶにも、積年の恨み晴らして後悔はないはず。
それだけは唯一の救いだ。
「私は医療でも体術でも、しのぶ様には遠く及びません。私、しのぶ様の背中を一生見続けるかもしれません……」
そう胸の内を明かす。
アオイの弱音を聞いて
「やるって決めたんだろ? だったらやるしかねぇだろ。届くか届かないかなんて関係ねぇ。やるしかねぇんだよ」
「厳しいなぁ、伊之助さんは。今だってどうしようもなく辛いのに」
伊之助の鼓舞を耳にしたアオイは、力なく笑う。
進むと決めた夢を曲げそうになる自分も、弱い自分も全て曝け出すような微笑みで。
「でも言いたいことを吐き出して、すっきりしました。溜まっていた膿が全部出た気分です。迷惑をおかけしました」
「そうか」
「まだ自信が持てなくて。患者の伊之助さんにこんなこと言ってすいません」
「また好きなだけ泣けばいいだろ。この屋敷にいる連中が、お前を責める訳ねぇしな」
「……はい!」
心なしか輝いて見える。
「弱味噌なお前に山の王である俺様から、ありがたい言葉を送ってやる。ちょとつもうし……」
「猪突猛進だ、ですね」
「よく分かってきたじゃねぇか。山の女王になる日も、そう遠くはねぇな」
「なんですか、それ。伊之助さんったら、おかしい」
突拍子も無い台詞に吹き出していると、医務室に風呂敷を背負った三人娘の声がした。
伊之助は窓の外から、学校帰りの彼女たちに目を向けると
「チビ助たちが帰ってきたみたいだな。あいつらの遊び相手してやるか」
立ち上がって、扉へと向かっていく。
この機会を逃せば、感謝の気持ちを伝えられないままだ。
胸のわだかまりが溶けていったのは、間違いなく彼のお陰だ。
アオイは去り際に
「伊之助さん、ありがとうございます! 気にかけてくれた皆のお陰で、私、少しずつ自分のこと許せそうな気がします! だから、その……!」
ドアに向かう伊之助の背中に、思いの丈を告げる。
伊之助は振り向きもせず、軽く手を挙げて、彼女の言葉に応えた。
「……これからも遊びにきてくれますか!? 私と童(わらわ)遊びしてくれますか!?」
「おう! アオイがまた辛気くさい顔してたら、狭苦しい屋敷から連れ出してやるわ。じゃあな!」
「……!」
そういうとアオイの心に、爽やかな風が吹き抜ける。
親を亡くした私にとって、ここは全てだった。
この場所で医療を学び、この場所で剣術や体術の研鑽を積み、この場所でたくさん苦しみ抜いた。
でも心まで、蝶屋敷に囚われる必要などないのだ。
粗暴で、無神経で、非常識。
傍若無人で、やりたい放題生きている。
しかし心の中にずかずか入り込んでくる伊之助に、アオイは悪い気分はしなかった。
むしろ彼がいるとアオイの胸は、心地よい高揚感でいっぱいになるのだった。
長らく更新停止していたのは、精神の不調の影響です。
反応がないと面白いのかとか、つまらないんじゃないかとか、時間の無駄だとか、いろいろと考えてしまうわけです。
一次創作なんて、それで毎回エタってます。
なので反応くれる方はありがたいですね。
この場を借りて、読んでいただいた皆さんにお礼申し上げます。