【伊アオ】「伊之助とアオイのほわほわもみじ狩り」【鬼滅の刃二次創作】 作:?がらくた
途中で更新を一切しないという創作者にあるまじき行為を取っていましたが、その不誠実さは、これでチャラということでお願いします。
急にめちゃくちゃ投稿頻度が上がってビックリしたと思いますが、一番それに驚いているのは、書いている自分自身でした。
遅筆な人間が連日小説を投稿して、心身ともに疲れてしまいました。
ちょっとゆっくり休んで、またやるきが戻ったら、二次創作でも投稿します。
鬼滅の刃ではないですが、今考えているのは
・レスト×ドルチェ (ルーンファクトリー4)
・ペパー×アオイ (ポケモンスカーレット、バイオレット)
です。
コメントくださった方々や特に何もしてはいないけれど楽しみに読んでくれた多くの読者様、ブログに続きが見たいとの言葉をかけてくださった龍頭竜尾様。
この場を借りて、お礼申し上げます。
って、前書きが長すぎる!
季節は冬を迎えると無惨討伐から、ちょうど一年の歳月が過ぎていた。
伊之助が屋敷を訪れなくなった期間は、時間にして一月ほどだが、アオイの胸はぽっかりと穴が開いたような気持ちだった。
会いたいという思いは風船みたいに、ずっと膨らみ続けている。
勉強もなんだか身にならず、やることなすこと空回りしている気がする。
(……伊之助さん)
アオイがぼーっとしていると
「きゃーーーーーー!!!」
三人娘の叫び声が木霊した。
声は台所の方からだ。
驚いた彼女は、咄嗟に悲鳴のした方角へと急いだ。
「どうかした?!」
「アオイーッ! なんで俺だけの飯を用意してねーんだ! 腹減った、今すぐ作れ!」
駆けつけると、伊之助が怒鳴り散らしている。
幻でも見ているのかと彼女は何度も瞬きをしたが、目の前の猪頭の半裸の少年は、視界から消えていない。
「伊之助さん……本当に伊之助さんなんですか?」
「山の王を忘れたのか。お前、記憶力悪すぎだろ! そんなんじゃ人の名前も覚えられないぞ!」
伊之助ではあるまいしと、突っ込む気力すら沸かなかった。
彼がまた屋敷に訪れた現実が信じられず、アオイは暫くの間、呆然と立ちすくむ。
私を嫌ってしまったわけではないのか。
「伊之助さんがいないと、蝶屋敷は静かすぎますからね~。アオイさんと伊之助さんの元気な声が聞こえてこそ、蝶屋敷って感じです~」
「……アオイ。久々に伊之助が来たんだから、席を外したら?」
「ありがとう、カナヲ。そうさせてもらおうかな」
以前の彼女なら突っぱねていた親切心も、今の彼女は素直に受け入れられた。
「伊之助さん、着替えたいので少し待っていただけますか?」
「ハァ? 別にお前の割烹着なんざ見慣れて……」
「女の人には綺麗でいたい時があるんです。ダメですか」
「……わかった。早く済ませろよ!」
居間で待つ伊之助に一秒でも長く会いたい。
アオイはすぐさま私服の白のブラウスに黒のスカートの洋装へと着替える。
彼の前では割烹着姿ではなくて、自分が一番美しいと思える服装で着飾った私を見てほしい。
年相応におしゃれしたくなったのも、彼のお陰かもしれない。
髪を整える鏡に映るアオイは、満面の笑みだった。
居間に向かうと、二人は場所を蝶屋敷の庭に移した。
「伊之助さん、今までどこで何をしてたんですか?」
「なんだ、俺様がいなくて寂しかったのか。心まで弱味噌だな」
「だったらいけませんか!? 伊之助さんがいないと私……」
「な、なんか今日のお前、いつもと違うな」
冷静に考えれば、告白しているようなものだ。
けれども溢れ出す会えなかった不安を、抑えるのは不可能だった。
「今まではずっと定期的に遊びにきてくれたのに、急に来なくなったから心配で。出掛け先で怪我をさせてしまったのが、よほど堪えたのかと」
「あぁ? 怪我したのは熊が襲い掛かってきたせいだろ。何言ってんだ、お前」
「なら、どうして……」
「もう隠す必要もねーな。じゃーん、秋の意匠を施した冠だ。すごいだろ。これ作ってたらよぉ、思いの他時間がかかっちまったんだよ」
どんぐり、松ぼっくり、ツガ。
秋の果実をふんだんに使った見事な冠は、離れていた期間に、相当な時間を要したことが窺えた。
「炭治郎たちにどんぐりが虫に食われてねぇか、処理の仕方を教わったり……」
自分のために丹精込めて作られたとはにわかに信じ難かったが、記憶を遡るといくつも思い当たる節があった。
三人娘にどんぐりや松ぼっくり、ツガを集めるよう指示を出していたこと。
善逸と禰豆子が隠し事をしていたこと。
―――全てはこれのためだったんだ。
彼女はぱちぱちと瞳を見開くと、瞳に涙が溜まっていく。
「三人に私に内緒で話をしていたのも、まさかこのために……?」
「そういやガキ共にも協力させたな。アイツらには、ちゃんと褒美をやらねぇとな」
「う……うう……」
感極まり、アオイは泣き出す。
「突然どうした。そんなに嫌だったかよ」
「……違うんです、すごく嬉しくて」
月並みで嘘偽りない一言を口にする。
伊之助はそんな彼女に、二の句を継いだ。
「鬼殺隊にいた頃は、いつもお前の泣いた表情と怒った表情しか見たことないからな。別の顔をしてほしかったんだ。自分でも上手く説明できない気持ちなんだがよ」
伊之助は自分を憎からず思っている。
愛情の証が、ずっと音信不通だった恨みつらみは何処かに吹き飛んでいた。
「あの頃は怒鳴ってばかりで申し訳ありませんでした。けど一番嫌いだったのは自分だったんだって、今になって分かります。私、伊之助さんに八つ当たってみっともないですよね」
「俺様も化け物蜘蛛にやられた時、煉獄が亡くなった時は心が折れかけたけどよ。弱味噌な自分も自分だぞ」
「はい」
アオイは適度に周りに頼って、今まで蔑んでいた自分を、鞭打ってきた自分を少しづつ大事にできている。
肩肘張らずに自然体でいられるのも、支え合った仲間とのかけがえのない時間があったからだ。
「本当はもっと早くやりたかったんだ。でも怪我しちまったせいで冬になっちまった。こんな季節外れの冠、いらねぇか」
「そんなことありません! 一生懸命作った冠、大事にします」
「お、おう」
力強く否定すると、伊之助はたじろぐ。
そんな彼を眺めていると、入院中にカナヲが病室の前でアオイに語りかけた言葉の数々が脳裏に蘇る。
うんと頷くしかなかった、彼女の言葉を。
「……視力のない今でもわかる。アオイは眉間に皺を寄せてるんだろうね」
「アオイには幸せになってほしいの、この世界の誰より……これじゃアオイには届かないかな」
「幸せになっていいんだよ。私にはアオイの気持ちは分からない。でも私の知ってるアオイは、何故かすぐ側にある幸せから遠ざかろうとするの」
「人から後ろ指を差されても幸せになってほしい……アオイとあの三人は、しのぶ姉さんが残してくれたかけがえないものだから」
幸せになってほしい。
自分で自分を追い詰めて生きてきた彼女には、カナヲのたった一つの願いを、簡単には受け入れられなかった。
鬼殺隊で数々の鬼の首を刎ねた伊之助と、恐怖のあまり前線を退いた自分は釣り合わない。
蝶屋敷を、これからどう切り盛りしていくかの目処すら立っていない。
仄かに抱いた恋慕の情も、炭治郎への気持ちを誤魔化すための嘘かもしれない。
しのぶを超えるという夢も、ゴールは未だ遠い。
鬼の消えた世界でも、依然としてアオイの問題は山積みだ。
こんな中途半端な気持ちで、伊之助の好意に応えていいのだろうか。
冠に向けられたアオイの手は、それを掴もうとするのを一瞬躊躇する。
すみ、きよ、なほの三人が伊之助と遊ぶ姿に、アオイはかつて両親と暮らしていた頃の自分を見た。
弁当の中身の取り合いを諫めたことも、植物を観察しながらした取り留めのない無駄話も、伊之助や三人娘と一緒になって遊んで童心に返ったひと時も。
どれもが幼い少女だった彼女が、切望していた日常の1ページだった。
両親と共に描いていくはずだった幸福は、鬼に奪われた。
けれどカナヲや三人娘、かまぼこ隊の皆との騒がしい日々は間違いなく幸福だった。
(ああ、失っているばかりではないんだ。過去がどんなに悲惨でも、未来は作っていけるんだ)
この先がどうなるか、分からない。
けれど明るい今を見せてくれた、この人となら―――秋の冠に手を伸ばすアオイに、もう迷いはない。
「伊之助さん、ありがとうございます。ずっと大事にします」
「二、ニヤニヤすんな。ほら、とっとと受け取れよ! いらねぇなら、そこらへんに捨てるからな!」
「言われなくても誰にも渡しませんよ。これは私の宝物なんですから」
そういうとアオイは朗らかな笑顔で、目と鼻の先にある幸せを掴み取る。
戦えない自分は生きる価値がない。
それはそんな風に自分を責めた彼女が、輝かしい未来への一歩を歩みだすかのような、大きく小さな変化だった。
伊之助とアオイのほわほわもみじ狩り 完
これにて終わりです。
恋愛経験などなく、そもそも男なので女の子の気持ちは理解できません。
ですが
伊之助やアオイちゃんのこういう所が好きだ!
小説版のアオイちゃんの心情描写は、心にくるものがあった!
という部分を詰め込んだので、そこを創作を通して感じてもらえたら嬉しいです。
本編にはない描写のある小説版の設定も合わせて、そこらへんをツギハギしながら、なんとか1作品の中編小説にまとめられたかと思います。
恋愛小説の体で執筆したものの、描写の大半がアオイちゃんの苦悩に割かれており、一人の少女の成長物語として読む方も多いかもしれません。
小生は決めた!
人を喰うのはやめて、これからは創作活動に専念するぞ……!
無惨 「お前には失望したぞ、響凱」
響凱 「ひ、む、無惨様……ぎゃあああああ!」
茶番も二次創作も完結