ありふれた錬成師とありふれない魔槍兵で世界最強   作:ゴルゴム・オルタ

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投稿が遅れに遅れてしまいお楽しみにしていた読者の方々、本当に申し訳ありません。

遅れた理由としましてはシナリオの大幅な予定変更にキャラ設定の追加、その他多くの調整もあり遅れてしまいました。
自分としては納得のいく形になったと思っています。

それともう一つ報告する事ですが、気分転換でやっていたウマ娘でライスシャワーの育成に専念していたところ、当初の予定より大幅に遅れてしまいました。
ライスシャワーを一日3回育成する工程を2週間連続でやり続け、何度も失敗を重ねる度に諦めずにやり続けた結果、見事URAファイナルズで優勝いたしました。
ラストの直線でミホノブルボンとグラスワンダーに抜かれ3位になりもう駄目かと思ったところで、ゴールまで残り200の所で、固有スキル『ブルーローズ・チェイサー』で抜き返し、クビ差でミホノブルボンと差をつけ1位に輝きました。
ミホノブルボンが最後まで強敵となって立ち塞がりハラハラドキドキでした。
結論から言えば、ライスシャワーは失敗を重ねても諦めずに育成するプレイヤーを救うヒーローとなるウマ娘だと言うのが育成してきて分かりました。

これを読んでいるライスのお兄様方にお尋ねしたい事があります。
私も、ライスちゃんのお兄様の一員になれたのでしょうか?

☆9評価をして頂いたナツカンドル様。
本当にありがとうございます


Lovin' You Lovin' Me

戦いが終わり、ウルの町へと戻った俺達を待っていたのは、ウルの町に住む人々からの喝采と称賛の声であった。

彼等から見た俺達は町の危機を救った英雄に見えるのだろう。

町の住民から重鎮達だけでなく、駐在している兵士や冒険者ギルドの職員までもが拍手と喝采の嵐が町を凱旋する俺達を迎えてくれた。

町に着く頃には体も少し動けるようになったのか、優花はコハクと並んで俺の横を歩いていた。

その光景にやや戸惑いつつも軽く手を振って答える事にした。

こう言った事は俺自身、生まれて初めてな事もあり何ともむずむずするというか、くすぐったい感覚だ。

それは俺だけでなく、ハジメやユエ、シアにコハクとティオも同様であった。

最初の時はどうなるかと思ったが、何事も無く事が済んで良かったと思っている。

俺としては、町を守るのは二の次でありコハクや優花を守る事が出来ればいいと考えていたのだが、こう言ったのも悪くないと思っていた。

そう思いつつも俺達は宿屋へ向かう中、コハクは少し用事があると言い俺とは別行動をとる事になった。

なんでも、優花によって湖へぶっ飛ばされた清水を拾いに行くと言うのだ。

出会ってから4ヶ月経つが、人間嫌いのコハクとは思えない行動に驚きと疑問を浮かべるが、万が一にも清水が死んでしまえば畑山先生に多大な精神的負担が掛かるのは明白だ。

その事を考慮すれば、誰かが救助に行くのは順当であるが、それがよりにもよってコハクが行うとは思わなかった。

そう考えている内に、コハクは行動を開始していた。

重力魔法の応用か、足裏に力場を構成し湖の水面を疾走していくのであった。

そうこうしている内に俺達は、宿屋へと到着した。

一旦部屋へ戻り、一息着こうとした俺を優花が引き留めたのだった。

 

「ねえ、竜也。この後どうするの?」

「そうだな。風呂入って、部屋で休んで食料の買い出しとかだな。あと、宿屋の亭主さんに鰻料理のレシピを教える位か・・・」

「それなら、一緒に町を回っていかない?竜也に案内したい場所があるから」

「俺と?ああ、いいぞ。たまには二人でデートするのもいいな」

「デートって!?もう竜也ったら!!」

 

俺とのデートの約束を交わした優花は顔を赤面させるのであった。

そんな姿に俺は愛らしく思いつつも、風呂に入る準備を済ませるのであった。

宿屋のオーナーさんあるフォス・セルオさんが気を利かせていたのか、風呂場の準備を済ませてくれていた。

その気遣いに感謝しつつも俺は風呂に入る事にした。

因みにハジメ達はと言うと、俺より早く風呂に入っていたのか脱衣所ですれ違った。

ハジメの傍にユエとシアが侍っており、年頃の男子が憧れる両手に花状態で俺と出くわした。

 

「よう、ハジメ。もしかして、3人で風呂に入っていたのか?」

「ああ、まあ・・・な。元々俺一人で入るつもりだったんだけどな・・・」

「・・・なるほどな。ユエとシアが途中から入ってきたと・・・」

「うん。どうせならハジメとが良いから」

「私もユエさんと同感ですぅ!」

「そうか。」

 

男一人に女二人の間柄で、尚且つ風呂場で何があったかまでは聞かないが、ハジメの横にいるユエとシアの様子を見れば大体の事は察しがついた。

ハジメはと言うとやや気恥ずかしい物の満更でも無く、ユエとシアに至っては幸せそうな表情でいた。

見ていて甘ったるくユエとシアの周りには花畑のビジョンが見えていた。

見かけに寄らずハジメは女性関係に関しては後手ではあるが、一度大切だと思った人物には温かく大事にする男だ。

特別な存在はユエが担っているものの、そう遠くない内にシアもハジメの大切な人となると俺は確信した。

ハジメたちと別れ、脱衣所で服を脱いだ俺は体を洗い浴槽に肩を浸かっていた。

大人数が宿泊する宿屋なのもあり風呂場は大きめであり、浴槽は大人が数人は入れる程広かった。

 

「はぁ・・・・良い湯だ。朝風呂ってのも悪くないもんだ」

 

数万の魔物との戦いはそれなりに疲れはするものの、大迷宮の攻略と比べると難易度は段違いである。

今回戦った魔物は、大迷宮に生息する魔物達と比べ見劣りすような相手であった。

数の多さが厄介だが、ただそれだけだ。

限られた空間が多かった大迷宮内では威力を絞って戦わないと自身や仲間を巻き込みかねない大技を、遠慮無くぶっ放せることが出来て俺自身それなりに満足いく戦いだった。

これまでの事を思い返しつつ、自身の体を癒すようにのんびりとしていた時であった。

風呂場の出入り口である扉がガララッと音を立てて開いた。

コハクが入ってきたのかと思い、音がする方へ視線を向けると其処にいた人物に俺は言葉を失った。

 

「えっと・・・・お邪魔・・・します」

「優・・・花!?」

 

視線の先には衣服を脱ぎ、白いタオルで体を巻いた優花が立っていた。

俺は視線の先にいる優花の体付きを無意識のうちに凝視していた。

元居た世界から長い付き合いもある幼馴染であり、それなりに異性として認識していたが優花の体付きを見て改めて驚いた。

4か月程前にこの世界に召喚された頃の優花の体格はごく普通の一般女性と左程変わらなかったのだが、この町に来て再会した優花に明らかに大きな変化を感じた。

まず一番目についたのは優花の体付きである。

今の優花は、アスリート顔負けの体格へと変わっており、体に必要ない無駄な物が削ぎ落され引き締まった体になっている。

言うなれば女性特有の柔らかさを持ちつつ、何か目標を持って鍛え上げられた鋼の肉体になっていた。

次に目を行くのがスタイルの良さだ。

やや細身ではあるが、以前と違い格段に良くなっている。

北の山脈地帯へ移動する際に、シュタイフで二人乗りした時に背中に感じた柔らかさは、服越しであっても見た目以上に弾力があった。

出る所が出て、引っ込む所が引っ込んだと言うありふれた物言いではあるが、思わず唾を飲み込むような非常に肉付きが良くなっている。

目測で測ってみた所、スリーサイズはB86/W54/H87と言ったところか。

 

「・・・あんまりマジマジ見ないでよ。・・・・えっち」

「えっと、その・・・すまん。あんまりにも良い体だったからその・・・」

「あぅ・・・」

 

俺の凝視する視線に気が付いたのか、優花は何処か恥ずかしそうに腕で胸元も抑えていた。

オルクスの隠れ家で何時も一緒にいたコハクで女性の裸は見慣れているとはいえ、まさか風呂場に優花がやって来るなど思いもしなかった為、俺は浴槽を出て風呂場を立ち去ろうとした。

 

「待って!!」

「っ!!」

 

立ち去ろうとした俺の手首を優花の手が握り締めた。

どうするんだと思い優花の方を見ると、俺の手首を握っている反対の手で体を巻くタオルを握りつつこう言ってきた。

 

「えっと・・・その・・・一緒にお風呂・・・入っちゃダメ?」

「駄目とは言わないが・・・・急にどうしたんだ?」

「竜也ってずっとコハクさんと一緒だったんでしょ?その、食事するときも寝る時だって」

「ああ。そうだが・・・・」

「ならその・・・私とだってお風呂入ってもいいよね?」

 

そう言うと優花は俺の手首を離し、背中から抱き締めて来た。

前回は服越しで合ったが、今回は大胆にもタオル越しに俺の背中を抱きしめてくるのであった。

見た目以上の柔らかさと弾力を持った優花の胸部装甲が、俺の背中に自己主張しを本能を刺激してくた。

例えるのなら、全身を鎧の様に皮膚を固くした巨人が、巨大な壁を目掛けてショルダータックルするかの如く俺の理性を削り取って来るのだ。

一瞬、前屈みになりそうだったが鋼の精神で堪える事にした。

このままで埒が明かないので、俺は観念したかのように脱力した。

 

「・・・・わかった。一緒に入るか優花?」

「うん!」

 

俺は優花と風呂に入るべく浴室に留まる事にした。

一旦、俺の背中から離れた優花は何故か驚いた表情を取っていた。

どうかしたのかと思い疑問を持ち聞いてみる事にした。

すると優花は意外な言葉を口にするのであった

 

「ねえ、竜也・・・何時の間に刺青を背中に彫ったの?」

「刺青?何の事だ。俺は刺青なんてした覚えなんてないぞ」

「でもその・・・竜也の背中にあるよ」

 

優花に言われて、風呂場に備え付けられている鏡で背中を見るのであった。

俺自身、刺青なんて彫った記憶など無い。

元居た世界でも、この世界に来てからもした覚えなど無いからだ。

いざ鏡で自分の背中を見ると驚くべく光景が鏡に映っていた。

 

「・・・・何だこれ!?」

 

俺の背中には優花の言う通り刺青があった。

鏡で見た俺の背中には、彼岸花の様に紅蓮の炎を連想させる鮮やかな赤見を帯びた黒狐と、雪の様に白く美しい色合いの白狐が映っていた。

黒と白の九尾の狐はまるで、竜と虎が戦うように強い者同士が激しく戦うかの様な姿であった。

だが、俺には何となくその姿が争っていると言うより、お互いに尊重しつつも力強く俺の背中を守っているようにも見えた。

何時の間に俺の背中に刺青を彫ったのかは分からないが、それを行ったものに心当たりがある。

 

「竜也の背中の刺青を彫ったのって、まさか・・・コハクさんなのかな?」

「・・・・たぶんな」

 

コハクの奴、何時の間に俺の背中に刺青を彫ったんだ?

どんな意図で俺の背中に刺青を彫ったかは知らないが、時間があれば聞いてみようと思った。

そう考えつつも、俺は腰掛けに座り優花に体をを洗ってもらうのであった。

泡立ったタオルで俺の体を優花は洗ってくれていた。

ややぎこちないが、丁寧に背中だけでなく腕や肩、上半身の前の方へと手を回して洗うのであった。

俺の体を洗いつつ背中に彫ってある刺青を優花がじっと見つめていた。

視線を背中に感じつつも優花は俺にこう言ってきた。

 

「やっぱりコハクさんは凄いなぁ。」

「コハクがどうかしたのか?」

「えっとね、これを見て分かったの。コハクさん、竜也の事を本気で愛しているんだって」

「そうなのか?」

「うん。きっとそうだよ」

 

俺には赤と白の九尾の狐にしか見えないと思っていたのだが、同じ女性の観点なのか優花には意図が見えたようだ。

俺の背中を洗いつつも優花は俺にコハクの意図を教えてくれた。

背中に彫った刺青にはコハクからの一種のメッセージであると。

それは、俺の背中を守るだけでなく生涯を共に過ごしていき、愛し続けると言うコハクなりの決意と誓いであるという物だ。

言葉で愛を伝えるのは簡単だが、それが見せかけでも無ければ偽りでは無いという事を、刺青と言う形で示したかったというコハクからの意思だと優花はそう俺に言った。

白い九尾の狐は言うまでも無くコハクだが、赤い九尾の狐は恐らくコハクのお姉さんの事を示しているのが分かる。

500年前に行方不明になったコハクのお姉さんを必ず見つけ出して、自身同様に俺に家族として迎え入れて欲しいと言うコハクなりの希望を込めた願いとにも感じた。

無論、俺だってそのつもりである。

コハクのお姉さんが生きている事を願っているのは俺も同じだ。

 

「ねえ、竜也。コハクさんはこれからもずっと竜也の背中を守っていくんだよね?」

「ああ、コハクがそう願うのであれば俺はコハクを家族としてだけじゃなく、愛する人として守り続ける気だ」

「なら私は、これからもずっと、何があっても竜也の傍で支えて行くよ!」

「もちろんだ。俺だって優花の事はこれから何があっても守っていく。もう二度と絶対に離したりなんかしねぇよ」

「竜也・・・うん!大好きだよ!!」

「俺もだ優花!」

 

再び優花は俺の背中を抱きしめるのであった。

こうして俺と優花はこれからもお互いに支え合って生きていく事を決めるのであった

背中に彫られた九尾の狐の刺青も何処か微笑ましそうであった。

そうこうしている内に、俺の体は洗い終わり、優花の番となった。

 

「それじゃ今度は俺が優花の体を洗う番だな」

「えっと・・・いいの?」

「俺だけして貰ったら不公平だろ。それと、そろそろいいか?」

「なにが?」

「タオル・・・はだけているぞ」

「っ!!!!!!!」

 

俺を再び抱き締めたのは良いが、勢い余ってタオルがはだけて床に落ちていた。

つまり今の優花は裸で俺の背中に密着している状態である。

今度はタオル越しでは無く直接、優花の柔らかく大きく実った二つの丘が俺の背中に直撃している状態だ。

これにより俺の理性は再び優花によってゴリゴリと削りに削られ崩壊寸前になっていた。

その事に気が付いた優花は顔を赤面させていた。

鏡越しではあるが、そんな仕草を取る優花に俺は微笑ましくも愛らしく感じるのであった。

 

一旦間を置いた俺と優花は、立ち位置を交代し洗い流しを再開する事になった。

腰掛けに優花が座ると、俺は片膝をついて石鹸で泡立てしたタオルで優しく洗っていく。

洗っている途中で優花に、「随分と慣れているんだね」と言われ「まあな」と返すのであった。

オルクスにいた時にはほぼ毎日、俺とコハクは交互にお互いの体を洗い合っていた為、割と慣れた物である。

ここに来てある問題に直面する。

それは、優花の上半身である前の部分をどうするかである。

コハクで見慣れている筈なのだが、相手が優花だと思うとやや躊躇いを覚えるのだった。

俺は前の方はだけは優花にしてもらおうかと尋ねたら、意外な言葉が返ってきた。

 

「少し恥ずかしいけど・・・竜也にしてもらいたいの・・・ダメ?」

「いいのか?俺で・・・・」

「竜也になら・・・いいよ。それに・・・こんな事、竜也以外には頼めないから・・・」

 

年相応に恥じらいはあるのだが、その言葉を聞いて俺は前の方も洗う事にした。

優花の脇から手を回し、優しく丁寧に洗っていく。

タオル越しではあるが、優花の体を触っていくと鍛えられつつも美しさに磨きが掛かっていた。

特に足腰が強く鍛えられ、手首や足首に柔軟性もあるのが分かった。

優花が俺にしたように背中から肩や腕まで優しく洗っていく。

当の優花はと言うと、俺に体を触られていることに緊張しているのか、借りてきた猫の様に大人しくなっていた。

特に胸の部分にタオルが当たると、「ひゃう!!」等と声を上げていた。

コハクとは風呂場で何度か男女の秘め事を経験しているが、公共の風呂場でそう言う事をするわけにもいかず、何とか理性を保ちつつ優花の体を洗っていくのであった。

全身を丁寧に洗い終え、掛け湯で洗い流した俺と優花はゆっくりと浴槽に入るであった。

最初はお互いの肩を合わせていたのだが、優花は大胆なのか繊細なのかよくわからない行動をとってきた。

それは俺の太腿に柔らかい尻を上に載せて座ってきたのだった。

当然ながら、俺の胸板には優花の背中が当たるのである。

俺はと言うと、腰から手を回し優花を優しく包むように抱きしめた。

 

「竜也・・・大好き♡」

「俺もだ・・・優花」

「嬉しい!キスして・・・いい?」

「ああ、俺も優花としたい」

 

優花を横に向けつつも俺はそう答えて唇を重ねるのであった。

優花が俺の太腿に乗りながら体勢を変えずに深い口づけを交わしていく

何処と無く優花は満足気味ではあったが、俺としては生殺しに近い物であった。

それは、太腿に優花の柔らかい尻が当たっていることにより、男の生理現象が発動していたからだ。

流石にこればっかりは隠しきれない為か、優花もそれに気が付いていたのかお互い、顔を赤くするのであった。

何とも言えない空気が俺と優花に漂う中、そろそろ上がろうかと俺が言い優花も同意した。

しまりの無いと言えば無いが、入浴はそれなりに楽しめたので良かったとする。

俺と優花は浴槽を出ることにし体をバスタオルで吹き、脱衣所で着替える事にした。

流石に着替える所はお互いに背を向け合いながら行った。

恋人関係になったとはいえ、幼馴染の感覚が抜けきれず何とも気恥ずかしい物であった。

だが少しだけ、お互いに一歩前へ進めたのは確かであった。

湯上りの優花は何処と無く色っぽく感じるのであった

 

風呂から上がった俺は、オーナーさんとの約束を果たすべく厨房で鰻料理のレシピと調理法を教える事にした。

この世界にも鰻がいるのは驚きだが、調理法さえ工夫すれば食べられる魚であると言うのを教える事にした。

オーナーさんもこの齢で真新しい事が学べるとは良い物だと感心し、積極的に俺に質問してきた。

手帳のようなものにレシピや調理法を書き、あとは実践していく事にした。

宿屋の亭主として長年料理に関わっている事もあり、飲み込みも良く手際が良かった。

短時間であるが基本的な事をすっかりマスターしたオーナーさんは俺が教えた鰻の蒲焼きだけでなく、『鰻の白焼き』もメニューとして出品できるぐらいまでに上達していた。

 

「蒲焼きだけでなく白焼と言うのもあるとは、鰻とは奥が深い魚ですな」

「ええ、俺達の故郷ではそれ故に人気もあり、非常に美味でもあります」

「なるほどですな。ただ気を付けるとすれば篠崎様が懸念している、獲り過ぎないことですな」

「はい。美味しいが故に獲り過ぎてその数が少なくなってしまったら食べられなくなってしまいますのでご注意ください」

「分かりました。漁業組合の方々には私から話を当しておきますのでご安心ください」

「よろしくお願いします。」

 

俺とオーナーさんとの一部始終を優花だけでなく、クラスメイトの面々と畑山先生が見ていた。

何か用があるのかと思い話しかけてみる事にした。

 

「どうかしたのか?腹でも減ったか?」

「いやそうじゃないんだが・・・」

「その、篠崎達は明日にはこの町を出るんだよな」

「ああ。この町に来たのはウィルの身柄を保護するためだしな」

 

忘れがちにはなるが、俺達がこの町に来たのはそれがメインの目的である。

目的が達成した以上、この町に踏み留まる理由はない。

本来は大迷宮の攻略が目的だが、少しだけ回り道をして今に至っている。

この町で優花達と再会できたのは偶然でもあり運命でもあると俺は考えている。

ハジメはと言うと、目的が達成した以上今日にでもこの町を出ると言ったが、外壁で魔物との戦いが終わった後にユエとシアの説得もあり、今日までこの町に滞在するとだけ言った。

恐らくハジメなりの譲歩なのだろう。

俺から見たハジメはというと、奈落に堕ちて俺とユエに出逢うまでは孤独で生きる事に必死であり、心に余裕が無い様子に見えていた。

だが、ユエと言う大切で特別な存在に加え、俺とコハクと言う仲間ができ共に地上へと這い上がって、傍で支えるユエや共に行動するようになったシアの影響もあり、若干ではあるが心に余裕が出来てたように見える。

一人で抱え込まずに仲間や傍に居る人と話し合うまでになり歩み寄る姿勢さえとるようになった。

元居た世界の頃と比べたら別人に見える程に変わったようだが、誰かを思う優しさと心の強さは全く変わっていないと俺は思う。

話は逸れたが、俺の所へやってきたクラスメイト達と話をする事にした。

用件を聞くと、この世界に来て間もない頃に交わした約束を持ち出してきた。

それはと言うと、故郷の料理である和食をこの世界で再現した料理が食べたいと言うのであった。

俺自身忘れたわけじゃないが、そう言う事もあったなと思い返した。

 

「なあ篠崎、実際の所いけそうか?どうなんだ?」

「こっちの料理もそれなりに食べて慣れてきたつもりなんだけどさ、米食ってると時々日本の料理を思いだすんだよ」

「優花っちの料理もおいしいけどさ、篠崎君の料理も食べてみたいなって思って・・・」

「篠崎君の料理が凄く美味しいって優花ちゃんも言ってたから」

 

クラスメイト達の意見も最もだ。

この世界に来て4ヶ月経つがそろそろ故郷の料理が恋しくなるのは前々から分かっていた。

以前より考え、懸念していたホームシックと言う案件がここに来て顔を覗きこんできたのだ。

このままでは本格的に症状を出す前に何とか手を打たねばならない。

まあ、必要な材料は概ね揃っている以上できない事では無い。

そう考えた俺はある事を決断する。

 

「そうだな・・・材料次第で何とかできないことも無いぞ。」

「マジか!?ホントのホントなんだな!?」

「ああマジだ。今夜あたりに作るから期待して待ってろ」

「よっしゃあ!!楽しみに待ってるぞ」

「篠崎君、ありがとうございます。今夜の晩御飯は先生も楽しみにしています!!」

「良いですよ先生。今夜は期待して待ってください」

 

こうして俺はクラスメイト達に故郷の料理を作る約束をウルの町で果たす事となった。

昼間の間に必要な材料やらを買い出しするべく、俺は優花とデートをするのも兼ねて町へ向かう事にした。

その為にも一旦準備をするために部屋に戻ろうとした時であった。

湖の方からコハクが水面を疾走しながら帰ってきた。

コハクの手にはローブの首根っこを掴まれ白目を剝いて意識を失っている清水の姿があった。

岸まで辿り着くとコハクは清水を遊び飽きた玩具を捨てるかのように砂浜へと放り投げた。

倒れこんだ清水に畑山先生とクラスメイトが寄って来る。

 

「一応ではあるがその小僧は生きてはいるぞ。とは言えある意味死んでいるのと変わらんがな」

「えっ!?コハクさん・・・・それは一体どういう意味ですか?」

「そのままの意味だ。少なくとも寝首を駆られる心配は無いから安心しろ」

 

畑山先生にそう告げると、コハクは踵を変えその場を後にした。

相変わらず俺やハジメ達以外の人間には距離を取るスタンスは変わらないが、コハクらしいと言えばらしくもある。

クラスメイトや畑山先生が唖然とするも、清水を介抱し宿屋へ連れ込むのであった。

清水の事は先生達に任せ、俺は優花と町へデートする事にした。

 

ウルの町はと言うと活気に満ち溢れていた。

時刻は昼頃もあるが、つい半日前まで町の危機が迎えようとしていたとは信じられない程に賑わっていた。

昼飯は宿屋で食べても良いが、折角なので町を散策しつつ出店や屋台などで出回っている食べ物を食べ歩きしながら済ませる事にした。

パッと見た限り元居た世界で出回っているお祭りの屋台が行列となって町の通りに溢れていた。

俺の傍に並んで歩んでいる優花も楽しそうな表情であった。

歩きながらも、優花はこれまであった事等を話してくれるのであった。

クラスメイト達が王宮の私室で塞ぎ込む毎日を送る中、体を鍛えるべく鍛錬を始めた事。

そんな中で、王族親衛メイド隊の統括でもあり、元金ランク冒険者でもあるメイド長であるベルファストさんによるレクチャーを受け、効率よく実践的な鍛錬のもとで投擲技術が飛躍的に向上したこと。

その名前には俺も聞き覚えがある。

確かまだ王宮にいた頃の話だ。

厨房を借りて故郷の料理の研究をしていた時に知り合ったメイドさんだ。

艶があり絹のように柔らかく、繊細な白髪に蒼く透き通った瞳をしたスタイルの超が付く美人のメイドさんだ。

彼女の肩書きであるメイド長は決して伊達でなく、ありとあらゆる家事に精通しているパーフェクトなメイド長である。

俺が今日の料理をこの世界で再現する話を持ち掛けた所、興味を持ったのか俺の研究に協力してくる姿勢を持ってくれた。

御蔭で故郷の料理第一弾である『肉じゃが』が完成する日程が予定よりも早く出来上がったのは彼女の協力もある。

彼女以外の王族親衛メイド隊に所属するメイドさん達とも知り合う切欠を得て、生活面を含むあらゆる形でサポートしてくれたり等、感謝の言葉が絶えないものだ。

 

「竜也はもしかしてベルファストさん以外のメイドさんを覚えているの?」

「ああ、もちろんだ。ニューカッスルさん、エディンバラさん、シェフィールドさん、シリアスさん、ダイドーさん、キュラソーさん、カーリューさん、グラスゴーさん、ケントさん、サフォークさん、ハーマイオニーさん、グロスターさん。皆個性豊かだけど素敵な人達だよ」

 

余談ではあるが、実はと言うと俺自身、王族の面々の顔と名前は覚えていなかったりする。

王族面々よりもメイドさん達の方がはるかに魅力的だからだ。

そんな事を話しつつも、目的地に近づいて来たのであった。

町の通りにある出店を見て回り楽しみつつ、優花が俺に言った案内したい場所と言うところへとやってきた。

其処は町の中にある小さな雑貨店であった。

何でも優花が俺に紹介したいのはこのお店の店長さんだそうだ。

優花の話だと、このウルの町に来たばかりの頃、体を鍛える為に自主トレをやっている所知り合って、その人の指導の下でトレーニングをしたのだと言う。

その人の指導の下でトレーニングをした甲斐もあり、体力だけでなくスタミナが以前より格段と向上したとの事だ。

店の看板には『雑貨店Spica(スピカ)』と書いてあった。

見た感じはごく普通の雑貨店なのだが、店の横にある立て掛けてある大きな看板の絵の内容に目が釘付けになった。

その看板の絵には人が地面に犬〇家状態で上半身が埋まっており、絵の横には『冷かし厳禁!!』『店で商品を買わない奴はダートに埋めるぞ!』と書かれていた。

初見である俺には意味不明な看板だが、何故か記憶に残る印象を感じた。

 

「なあ、優花、この店本当に大丈夫か?」

「大丈夫だよ。店長さんちょっと変わっているけど凄く良い人だから。」

 

優花はそう言うも俺は不安以外何も感じなかった。

とは言えここで立ち止まっていてもしょうがない為、店の中に入る事にした。

ドアを開けて中に入ると、来客を知らせるベルが店内に鳴り響いた。

お店の中は至って普通であったが、陳列されている商品はどれもごく普通のものであった。

運動シューズや運動着にジャージ、何故か馬の足裏に装着する蹄鉄が多数あったりした。

 

「店長さ~ん!優花です!いませんか~?」

「お~う!!今行くぜぇ!!!」

 

優花が店の奥に声を掛けると中から元気の良い返事が返ってきた。

店の奥から足音がやって来る音が聞こえた。

この店の店主なのだろうと思い音がする方へ顔を向けた。

そして現れた店主の姿に俺は驚いた。

背丈が170センチほどあり、切り揃えられた長く美しい芦毛の銀髪をたなびかせ、抜群のプロポーションを誇る美女が現れた。

服装は赤地に白いラインの入った長袖のジャージ姿と言う斬新な物であった。

俺は店の店主の姿に驚く中である箇所に気が付いた。

それは頭に馬の耳と腰に尻尾が生えている事であった。

てっきり馬の亜人族の人が店を構えているのかと思ったが、俺はそれよりも目の前の店主から放たれる異質な何かを感じた。

 

「紹介するね竜也。この店の店長さんをやっている・・・」

「ピスピース!!雑貨店スピカの店長をやってるゴルシちゃんだぞ~!!」

「・・・・」

 

優花の紹介を遮って、両手でピースサインを作ると眩い笑顔と元気のある声で勝手に自己紹介を始めるのであった。

俺は余りにインパクトある自己紹介に声を失った。

 

 




次回予告『UNLIMITED IMPACT』

優花ちゃんとのイチャラブシーンは如何でしたか?
壁とコーヒーの貯蔵は足りましたか?
コーヒーが苦手な方には激辛麻婆豆腐をご用意いたしますのでご安心を(笑)

原作の優花ちゃんとの変更点は、凄くスタイルが良くなったことです。
現時点のスリーサイズに付きましては、ウマ娘のミホノブルボンと同格となっています。
本来であれば一話にまとめる予定でしたが、私の文才の無さと尺の不足もあり、次回も優花ちゃんとのイチャラブ回が続きます。

次回はなんと優花ちゃんの新衣装をお披露目する予定です。
この新衣装もウマ娘の勝負服となりますがどのウマ娘かは秘密にさせておきます。
強いて言うなればG1レース日本ダービーを制したウマ娘の勝負服とだけ言っておきますので乞うご期待ください。
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総合評価:1125/評価:6.35/連載:30話/更新日時:2018年04月10日(火) 22:42 小説情報

黒の剣士に憧れし者 連載中止(作者:孤独なバカ)(原作:ありふれた職業で世界最強)

家が剣術教室だった飯塚昴は一度剣術に限界を感じ剣の道を離れてしまう▼しかし親友の南雲ハジメに借りたライトノベルに憧れ二刀流の剣士として復活したのであった▼そして異世界に召喚されハジメとの災難だらけの旅をしている


総合評価:738/評価:6.56/未完:38話/更新日時:2020年01月14日(火) 23:59 小説情報

忍びの王(作者:焼肉定食)(原作:ありふれた職業で世界最強)

八重樫流裏道場▼高校一年生で引き継いだ少年原口快斗は男子生徒の人望を集めてクラスの二代トップとして人気を集めていた。▼幼馴染が二人と狂った同居人、そして高校生のクラスメイトを引き連れ異世界に転移する▼そしてそこでステータスを開くと▼天職 王▼と書かれてあった。▼ここではweb版と書籍版の混合小説となっております。原作前に少しかかりますがご了承ください。▼ネタ…


総合評価:2274/評価:7.35/連載:30話/更新日時:2020年08月05日(水) 08:38 小説情報

ありふれた黒幕で世界最凶(作者:96 reito)(原作:ありふれた職業で世界最強)

前世を暗殺者として生きた転生者、湊莉零斗。▼彼の幼馴染にして親友、南雲ハジメ。▼騒がしくも楽しい日常は突如として崩れる。▼これは、そんな二人が歩む、最強にして最凶の物語。▼「行こうか、相棒」▼「あぁ!」▼『俺たちの未来のために!』▼


総合評価:542/評価:5.47/連載:96話/更新日時:2025年11月21日(金) 02:54 小説情報

ありふれた職業で世界最強~いつか竜に至る者~(作者:【ユーマ】)(原作:ありふれた職業で世界最強)

突然、異世界『トータス』に召喚された主人公とそのクラスメイト達。みな、各々に戦う力、《天職》に目覚める中、主人公に発現した《天職》はあまりありふれなさすぎて、運用方法や訓練方法その他諸々が不明。結果、ありふれた職業を発現した友人共々、無能の烙印を押される事となる。これはそんな彼らのトータスでの旅路の物語▼※以下、注意事項です。▼・この小説はweb版と漫画、ア…


総合評価:4135/評価:7.91/連載:68話/更新日時:2020年12月15日(火) 21:43 小説情報


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