○○を教えるスネイプ先生   作:ギャグなんてこりごりだ

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Bloodborne学を教えるスネイプ先生

「ああ、左様。ハリー・ポッター。我らがお馴染みの――選ばれた赤子だ」

 

 薄暗がりのようにじっとりとした声がハリーの名を呼んだ。まるで愛した女と大嫌いな男の間に生まれた唯一の子どもで、その親が二人とも自分のせいで死んでおり、その事実を子どものほうは知らないのに一人で勝手に複雑な感情を抱いているかのようだった。

 

「このクラスでは、Bloodborneの冒涜的な感動と、圧倒的な絶望を学ぶ。ここでは栗本チャレンジのような馬鹿げたことはやらん。これでも獣狩りかと思う諸君が多いかもしれん。ふつふつと沸く上位者の血、ゆらゆらと立ち昇る獣臭さ、フロムの繊細な力、心を惑わせ、感覚を狂わせる魔力……」

 

 褒めているのか貶しているのかわからない。ハリーとロンはハーマイオニーにちらりと目をやった。ハーマイオニーはロックハートの作品を真に受けるほど本を信じているのだ。

 

「諸君がこの見事さを真に理解するとは期待しておらん。我輩が教えるのは、ヤーナムの夜を永遠にし、地底をマラソンし、豚のケツにさえフィストファックをする方法である。――ただし、ガスコイン道場で挫折するウスノロどもより諸君らがまだましであればの話だが」

 

 大演説のあとはクラス中が一層静まり返った。2015年にフロムソフトウェアが世に送り出したPS4用ゲームソフトであるBloodborneは、ヴィクトリア朝イギリスを舞台にしたゴシックホラーアクションRPGだ。ほとんどのカジュアルプレイヤーを拒絶する超高難易度にもかかわらず、その世界観とゲーム性から無数のゲーマーを魅了してやまない。

 

「ポッター! ノコギリ鉈に属性血晶を加えると何になるか?」

 

 初期武器の1つである頼れる相棒に、攻撃属性を変える強化パーツを加えると何になるって?

 ハリーはロンにちらりと目をやったが、ロンは呪われたトゥメルの冒涜でアメンドーズ相手に沼っていた。ハーマイオニーはビルゲンワースの学徒なので空中に高々と手を挙げた。

 

「わかりません」

 

 スネイプは口元でせせら笑った。唇をめくりあげたりはしなかった。

 

「過去:過酷な運命なだけではどうにもならんらしい。ポッター、もう一つ訊こう。青ざめた血を探してこいと言われたら、どこを探すかね?」

 

 ハーマイオニーが思いっきり高く、椅子に座ったままで挙げられる限界まで高く手を伸ばした。ハリーには青ざめた血が一体何なのか見当もつかない。実際のところ、秘匿を暴いたあとのヤーナムの空の色を指しているのか、上位者の血を指しているのか、今でも解釈が分かれていて誰も見当がつかないのだ。

 

 マルフォイ、クラッブ、ゴイルが身をよじって笑っているのを、ハリーはなるべく見ないようにした。後に落ち着きのある仲間として成長するマルフォイにとっては黒歴史になる振る舞いだし、クラッブは死ぬ。

 

「わかりません」

「クラスに来る前にトロコンしようとは思わなかったわけだな、ポッター?」

 

 ハリーは頑張って、冷たい目をまっすぐに見つめ続けた。ダーズリーの家にいたころ、フィッグばあさんの飼う猫が本当にただの猫なのか疑ってダドリーと追いかけまわしたことならある。スネイプは秘密を暴くことが常に正しいとでも思っているのだろうか。

 

 スネイプはハーマイオニーの手がぷるぷる震えているのをまだ無視していた。

 

「ポッター、処刑隊と聖歌隊の違いは何だね?」

 

 この質問でとうとう啓蒙が高いハーマイオニーは椅子から立ち上がり、地下牢の天井に届かんばかりに手を伸ばした。

 

「わかりません。ハーマイオニーがわかっていると思いますから、彼女に質問してみたらどうでしょう?」

 

 生徒が数人笑い声をあげた。ハリーとシェーマスの目が合い、シェーマスがウィンクした。シェーマスは嘯いたものだ――「つまらないものは、それだけでよい魔法ではあり得ない」

 

 しかし、スネイプは不快そうだった。

 

「座りなさい。……教えてやろう、ポッター。ノコギリ鉈は初期武器の中でも優れた汎用性とDPSを発揮するうえ、モーションも素直だ。通常の血晶石のスロットが物理強化に最適でないことだけが難点だが、これを逆手にとって属性化することで獣と上位者の両方に対応することができる。青ざめた血が一体何なのか、その疑問に多くの狩人が頭を悩ませ、脳に瞳を得んとしてきた。解釈とは呪いのようなものだ。呪いと海に底は無く、故にすべてを受け容れる。解釈に筋が通るならガス娘生存ルートもまた実在するのだ。処刑隊と聖歌隊はどちらも教会のキチガイだが、処刑隊は車輪で血族を肉塊にしたことで有名であり、聖歌隊は星のアイドルであるエーブリエタースたその囲いであることで有名である。どうだ? 諸君、なぜ今のを全部ノートに書きとらんのだ?」

 

 一斉に羽根ペンと羊皮紙を取り出す音がした。その音に被せるように、奇妙な檻を被ったゼノフィリウス・ラブグッドが奇声を発した。

 

「オーウ、マジェスティック!」

 




ネタ募集にたくさんの応募ありがとうございました。そして、皆様には申し訳ないのですが、再び不定期更新になります。ご容赦ください。
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