【リレー】今日もカオスなもんじゃ焼き   作:リレー小説実行委員会

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 おぉ待たせしまぁぁぁぁぁしっ!!!!
 もんじゃ焼き、メガ盛りじゃぁぁぁぁぁぁあっ!!

 いろはちゃんのオリジナル中二病詠唱が出てくるので、苦手な人は飛ばし読みだぜ!(ブラバはあくまでも勧めない女)

 戦闘シーン、書きたかったけど気力がなかったのだ!
 ご勘弁・のり弁・ほっともっと!(←?)

(天爛 大輪愛)





蟲獣(ちゅうじゅう)使い・参の遺影(いえ) (天爛 大輪愛 作)

 

 

「うふふ……そうですか、偵察、終わったんですね?」

 

 先日現れた、異形の存在。

 それが、何者かに優しくなでられて____そのおぞましい姿とは対照的に、子猫のように大人しくなっている。

 

 その『何者か』は、どうやら女性のようで、まだ声変わりをしきっていないあたり、中学生……多めに見積もって、高校生ほどだろうか。

 

「……ふむふむ、普通の男の子どころか、なんか馬鹿っぽい、と……。 ____私は、そんな方の家系に、今まで悩まされてきたんですか? それこそ馬鹿馬鹿しい」

 

 女の子の、濃い紫色の虚ろな瞳に、敵意の籠った光が宿る。

 

蟲獣(ちゅうじゅう)使いの称号にかけて」

 

 折り紙で作った、紫陽花の(がく)を模した髪留め____そして、右肩から羽織った、さらりとした白い絹の衣……それらが、微風になびいて、日光をゆらりと反射する。

 

裏秋月家・(さん)遺影(いえ)____第44代当主・秋月 東雲(しののめ)

 

 東雲は、異形を再び数回撫で……それから、浅めにゆっくりと呼吸を1度して、参の遺影の先祖と契るかのように、芯の通った声で1人、宣言した。

 

「我が家系が積年の不幸、私の手にて覆し、平安な未来を(もたら)してみせます!」

 

 

 

********************

 

 

 ____美星祭まで あと15日!!

 

 

「気合い、入ってるなぁ……」

 

 いろはは、生徒会室付近の、『カウントダウンカレンダー』を見て、感嘆の声を上げた。

 

 

「……ここで何やってるんですか?」

 

「へっ!?」

 

 そんないろはに声をかけたのは、織斑先生。

 

「ここの生徒では……明らかに、無いわよね?」

 

 現在いろはは、自分の在籍している中学の制服を着て、ここに訪れている。

 当然、怪しさMAXである……。

 

「場合によっては、不法侵入で警察沙汰になるけど____」

 

「ぇ、あっ、そのぉ……わ、私っ! 神浜市立大学附属中学校3年っ……た、環いろはです!」

 

「中学生……? そもそも、神浜なんて地名、あった……?」

 

「えっと、遠いところから来たので……ともかく……私は、知り合いの秋月流くんに、用事があって来たんです」

 

「……なるほど……丁度、中に、生徒会長(ながれ)がいるから、本当に知り合いかどうか確かめて____」

 

いょお~~~いっ!! 先生、どうした?」

 

「「! ……」」

 

 先生が流を呼ぼうとすると、ジャストタイミングで本人がガラッとドアを開けて、飛び出してきた。

 

「な、流くん……!」

 

「! ……いろは!」

 

 流がいろはの名を呼ぶと、先生は「本当に知り合いだったのね……」と、驚き半分・安心半分で、職員室に向かっていった。

 

「流くん、その、私、説明したいことがあって……」

 

「……俺も、かなり聞きたいことがある。 遠慮なく入ってくれ」

 

「わかった」

 

 いろはは、流とともに、学祭用の小道具で雑然としている生徒会室に入室する。

 中には、生徒会メンバーだけでなく、『世界征服について考える会』(のどか除く)もいた。

 

 

 ……。

 

「____環いろはです。 神浜市を中心とした魔法少女の組織・『神浜マギアユニオン』のリーダー……そして、世界を1つにし、平穏と幸福を遍く齎すことを目標とする慈善的組織・『オールインワン』の一員として、活動しています」

 

 

「……魔法少女云々に関しては、一先ず置いておくとして、神浜市って、一体何?」

 

 ナミの質問に、流も乗っかる。

 

「俺も、それをまず聞きたかった。 神浜っていったら、元々は、ここと隣接した都市だったはず……だけど、いつの間にか、存在が抹消されていて____時間を戻す前も、いろはが俺に声をかけるまで、俺自身も、神浜市のことを忘れていた。 何が起こっているんだ?」

 

 彼の問いに、いろはは、「私も、そのことを説明しようと思ってたから」と、特にあぐねる様子もなく、答え始めた。

 

 

「『hasegawa因子』によって、この世界が二分した時……魔法少女やプリキュア、その他一部の人々が____『オールインワン』や『ComeTrue』などの組織ももれなく____世界の歪みの影響を受けて、『みっつめのセカイ』に、移されてしまいました。 何故かワーキングプア侍さんだけ、取り残されちゃってたけど……

 

「『みっつめのセカイ』……?」

 

 はい、と、いろはは短く頷く。

 

h()a()s()e()g()a()w()a()()()()()()()()()()()の手によって、これ以上影響を受けないように____と、この次元に、自動防御機能が働いたんです。

 ……よって当然、その世界は、hasegawaさんズの息のかかっている 流くんたちのいない世界。 でも……そのせいで、『みっつめのセカイ』には、本来あってはならない不幸が起こり始めました。 流くんの徳で今までは抑えきれていたものが、徳の効果が遮断されて、制御が利かなくなったためです。

 その『抑えなければならない存在』は何なのか、それは____この次元・正式名称Roman von Hameln(ハーメルンの物語)にとっても特異中の特異(トップ・オブ・イレギュラー)____先述の『ComeTrue』という凶悪な組織です」

 

「! ……ナハトムジークの組織……」

 

「うん……。 そのナハトムジークも、その不幸に巻き込まれる運命になっていて……あなたが再び大人になれば、わかることだと思うけど……」

 

 話を続けます、といろは。

 

「何故、ComeTrueが生じたのか____アカシックレコードを司る方たちが調査した結果……hasegawa因子の他に、『セカイのカタチを変える』ことによって生じる粒子、『ポテンシア』が大きく関わっていることが、わかりました。 それが、日々、加速的に増えていっていることも」

 

 だけど____

 

「この次元の『性質』上、ポテンシアは、どうにも減らすことはできませんでした……そこで、せめて、増加のスピードを抑えられるように、アカシックの方々は、hasegawa因子の関わりが薄い『みっつめのセカイ』の時間を、ゆっくり流していくことにしたのです。

 『みっつめのセカイ』は、全くこの世界と繋がりがないわけじゃないから……あわよくば、この時間の操作に影響されて、こっちの世界のポテンシアの増加も抑えられるかもしれないと、期待して……」

 

「あっ! だから、いろはは、時間を戻す前に会った時も、姿が中学生のまんまだったのか!」

 

 そうだね____笑顔で相槌を打ったいろは。

 しかし、次に口を開くときには、その笑みは消え、表情を陰らせていた。

 

「でも、ComeTrueも、hasegawa因子も、一筋縄ではいかない相手でした。

 ……ところで、ポテンシアには、両極的な性質があります。 『正のポテンシア』『負のポテンシア』です。

 ____ComeTrueは、負のポテンシアから生まれただけじゃない……自らも、負のポテンシアを創り出していく存在でした。 普通は、こんなことは起こりえないんです____ポテンシアは、『1つ上の次元』からの介入によって、生み出される粒子なのに……。

 お陰で____静かな池に微生物が繁茂していくように____時の流れの勢いを失った『みっつめのセカイ』では、負のポテンシアの濃度が高まっていきました。 それこそ、未来を書き換えてしまうほどです。」

 

 

 ……長い。 流石に、長い。

 流は、頭の中で、そうツッコんだ。

 

 長いわ。

 本当に、この俺がそれだけの情報量を一気に詰め込めると思ってんのか……?

 ……そう言いたかったけど、仲間が真剣な顔で頷いているのを見て、とりあえず頑張ってついていくことにした。

 

 コレ覚えられるキャパがあるなら、普通に受検勉強用の知識を入れたいけどなぁ……。

 

 

「hasegawa因子もhasegawa因子で、『みっつめのセカイ』の状況なんか意に介さない程の猛威を振るっていました。 それはもう、大型台風が17個同時に、日本列島へ道場破りにやってきたぐらいの怒涛の勢いです。

 私、こんなに震え上がったの、妹が実は『(ネタバレ防止規制)』だった時くらいですよ?」

 

 

 知るか。

 わからん例えを出すな。

 ピー音がかかっちゃうような話を出すな。 アニレコ民に優しくして差し上げろ。

 

 っていうか、何で17という中途半端な数字にした?

 

 

「____え? 何? 実は、『割れた鏡が変化したコンパクトで大人に変身して、ラスヴェガスのあらゆる男女を飼いならした、伝説のS嬢』だったと?」

 

 をい飯島ァ!!!!

 

「 ち が い ま す 」

「妹さんとアッコちゃんとラスヴェガスへの風評被害がえげつない」

 

 いろはと摩利による同時ツッコみが入り、彼は総意によって廊下に放り出されてしまった。

 南無阿弥陀仏(テクマクマヤコン)

 

 

(うい)はいたって純情可憐ですからね……こほん、話を戻します。」

 

 いろはは、再び真面目な表情を作って話し始めた。

 

「hasegawa因子は……この世界の時の流れを、私たちの思惑とは真逆に、あまりにも進めてしまいました。 その分、世界の形も大幅に変わり、正のポテンシアが過剰量、蓄積されていきました。 さて____ここで問題、及び敗者復活戦です。 真逆の性質のポテンシアは、互いにどういう反応を起こすでしょうか? 飯島さん?」

 

 いろはがドアの向こうに声をかけると、飯島が、扉を勢い良く開けて入室してきた。 ……何故か、制服が葉っぱと土だらけになっているが……。

 

 

「多分だけど、『引力が発生する』んじゃないかな? 陽イオン・陰イオンにしろ、磁石のN極・S極にしろ、同じものには斥力____退け合う力が発生して、逆のものには引力____引きつけあう力が発生しているからね。

 ……もっと欲張って解答してみれば、『その後、2つがくっついて混ざりあってしまう』……とかになるんじゃない? 酸と塩基は中和したら水と(えん)になる____その程度ならまだいいけど、ポテンシアの場合は、何かしら出来ちゃいけないものが出来ちゃうんじゃない? もしくは、化学でいう『中和熱』みたいに、反応の際に何かがサブで発生して、それが不都合だ……とか」

 

 

「……す、すごい……全部、正解です」

 

「フンス☆ (-H-)」

 

「正解……ですけど、どうしたんですか、その格好……」

 

「ん? ……あぁ、()()()()()()()101匹のワンちゃんがいたから、めちゃくちゃに戯れてた。 超電磁砲(レールガン)の撃ち方でも一緒に特訓しよっかな~って思って

 

「ひゃ、ひゃくい……!?」

 

 ……と、とりあえず、ご着席ください……と、いろはは、ドン引いているのを隠せない様子ではあるが、説明を再開した。

 

 

「正のポテンシアと負のポテンシアは、光と闇のような存在。 互いに干渉してしまうと、光と闇の境目が曖昧になって、混沌(ケイオス)状態になってしまいます。 ____今は、宇宙の秩序(コスモス)ができていて……例えば、そこに黒板があったり、流くんがいたり……と、物の見分けがはっきりつきますが____混沌(ケイオス)というのは、『そこにあるのに判別できない』……様々な色の絵の具をぐちゃぐちゃに混ぜ合わせたせいで元の色がわからなくなってしまったような、状態というわけです」

 

 

「えぇーっと、アレか? TVで、なんかの事件の取材の時、周りの風景にめっちゃモザイクかけるだろ? あるけどわからないって、あんな感じ?」

 

 流が頭を抱えながら聞くと、アルトが助け舟を出した。

 

「そういう捉え方でもいいが、ちょっと違うな。 ……昔、こういう歌が詠まれたんだが____

  『幽霊の 正体見たり 枯れ尾花』

 ____幽霊っていうのは、超常的な、説明のつかない得体の知れない存在だ……基本的にはな。 対して、枯れ尾花は、枯れたススキの穂のことだ、なんてことはない、冬になれば、そこらの土手に()()()()ある。

 『混沌』状態になるっていうのは、この歌の逆が発生するってこと、つまり……

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()____それが、ススキだけじゃなくて、全部に……お前の好きなプロテインにも、俺にも、お前自身にも起こるってわけだ」

 

「おおおスゲェ!! みんな幽霊みたいな()()()()()()()になっちまうのか! それはそれで面白そうだな!」

 

 目をシイタケにする流に、ナミからお叱りが飛ぶ。

 

「言ってる場合!?」

 

「冗談だよ、悪い悪い。 世界がダメんなると、どれだけ大変かは、俺だってよくわかってるつもりだよ」

 

「……あっ、そう言えば」

 

 ここで、いろはが思い出したように呟いた。

 

「死亡扱いになっている『本屋のファンキー爺さん』……『みっつめのセカイ』で見かけたような」

 

「____それ、ホントッ!?」

 

 ……突然、そんな声とともに、ドアがスパーン!と開かれる。

 

「「「「のどか(本屋ちゃん)(諸星さん)!」」」」

 

「ファンキー妻子さんが、代理でお店を開けてくれることになったから、復活できたの!」

 

 ハセ・ガワさんの新作、面白かったわ……購入特典の短編『おっかさんといっしょ』も! と、のどかはほおを紅潮させている。

 

「……小さい頃から、ファンキー爺さんにはお世話になってきたわ____出遅れちゃって申し訳ないけど、私にも協力させてほしい!

 そして、流くん……素晴らしく壮大な話ね、『事実は小説よりも奇なり』とはよく言ったものだわ*1……いよいよ世界征服を考えてるっぽくなってきたじゃない____燃えるわね!!」

 

「! ……おぅ! メラメラのメラメランチョだぜ!」

 

「そんな『らくがきんちょ』みたいな……」

 

 室斑のツッコみに、生徒会室内の雰囲気が、より和やかになる。

 

「ぃよし、いろは、じゃんじゃん続き話してくれ!」

 

「わかった____『反応の際に何かがサブで発生する』に関しては、単純に、エネルギーですね。 満員電車で誰かが動くと、誰かが押されて、それが周りにも広がっていくように……水面の波紋のように、ドミノ倒しのように……混沌(ケイオス)化した際に発生したエネルギーで、この次元内の他の世界にも影響が及び____最悪の場合、『Roman von Hameln(ハーメルンの物語)』自体が、完全に崩壊しかねません。

 ……この組織『オールインワン』は、本来は、単に世界を平和的に統一するために走っていましたが____これを知ってからは、アカシックの方々と手を結び、『Roman von Hameln(ハーメルンの物語)』の崩壊を防ぐために、動き始めました。 私が入会したのも、この活動を知ったためです。

 ……この間は、デミスが思わぬ手助けをしてくれましたが、本来なら、『他次元への干渉』は、次元のバランスを崩す危険行為。 時間を戻す行為は、もう出来ません____今回が、まさにラストチャンスです」

 

 どう? ……いろはは、流に問う。

 

「あなたも、そして、生徒会や『世界征服について考える会』の皆さんも、オールインワンに入って、このミッションの成功を、より強固にしませんか?」

 

 仲間たちは、一斉に流に視線を注いだ。

 ……彼の口から答えが出るまで、そう長くはなかった。

 

「____やだね」

 

「……一応、理由を聞いてもいい?」

 

「俺は……()()()()世界を征服したい。 オールインワンに協力はするし、是非ともしてもらいたいが……『身内』には、ならない。 絶対だ、先祖代々の夢だからな」

 

 ふふっ……、いろはは、小さく笑う。

 

「やっぱり、流くんはそうじゃなきゃ! ____時間を戻す前の一時期、情熱を失っていたみたいでヤキモキしたけど、もう心配ないね!」

 

「おぅ! 香川で修業してきたからな! ……なぁ____」

 

 ____皆、提案……ひとつ、いいか?

 

 流は仲間たちをぐるっと見渡し、問いかける。

 仲間たちは、無言で、力強く、頷いた。

 

「生徒会と、『世界征服について考える会』で合併して、俺たちだけの組織、作らねぇか?」

 

 採決をとりましょうか____虚が、前に進みでる。

 

「賛成の者……おもっきし、拍手ですッ!」

 

 ……パチ……

 パチパチパチパチパチパチパチパチ!!

 

「____全員賛成により、この案は可決されました。 ……ですって、流」

 

「……! おぅっ! サンキューベルマッチョな、皆!」

 

 ____では……。

 こほん、と、流は1回、咳払いをする。

 

「ここに____」

 

 

Very Uni-Merge(ベリー ユニ・マージ)

 

 

「____略して、VUM(ヴァム)の結成を宣言します!!」

 

 

「……うん、いいと思う! 文法滅茶苦茶だけど

 

「言葉の響き的にも、悪くないですね、先輩。 文法滅茶苦茶だけど

 

「Merge____『合流』か。 リーダー()の名前も入ってて、いいじゃないか。 文法滅茶苦茶だけど

 

「をいぃッ!!??」

 

 メンバーからの総口撃(こうげき)に、たじたじになる流に、いろはが失笑しながら声をかける。

 

Very(まさしく)最高に流くんらしい組織名だね! 文法滅茶苦茶だけど

 

「はははっ、中3にまで言われてんぞー」

 

「ぐはっ!?」←流に42のダメージ

 

 流が、血反吐____ではなく、丁度口に含んでいたグレープジュースを吹き出す。

 のどか、ナミ、摩利、ルカから、「(きたな)っ!?」と悲鳴が上がる……。

 

 

 ……きちんと自分で後始末をしてから、流は再び皆の前に立った。

 

「そんじゃ、結成を記念して、こう……丸く並んで、手を重ねて『おーっ!』ってするか!」

 

 彼の声に、いろは除く全員が、円状に並びだす____

 

 ____ドーンッ!!!!

 

「「「「 !!?? 」」」」

 

「地震……じゃねーな。 グラウンドからだ! 行くぞ!」

 

「おぅ!」

「了解……!」

「OK!」

「わかった!」

「えっ!? ちょっ……えっ!?」

 

 十人十色な返事をして、『Very Uni-Merge』のメンバーは、流の後に続く。

 

 

「っ……!」

 

 いろはも、並走しながらソウルジェムをかざして変身する。

 それを間近で見た飯島が、感動して声を上げた。

 

「おぉっ! 本当に変身した!」

 

オールインワン・『呼子鳥のいろは』____行きますっ!」

 

 いろはの名乗りに、流がサムズアップする。

 

「『二つ名』って良いな! 俺らも何か考えるか!」

 

「呑気にしてる場合じゃないだろ、まだ地響き続いてる!」

 

 あんまりコレ放っとくと、美星祭できなくなるぞ____と、摩利が窘めた。

 

「だな……おし! 全速前進!!」

 

 VUMのメンバーといろはは、猛スピードで会談を駆け下りていった……。

 

 

********************

 

 

「……おや? おやおや、まぁまぁ……一般人さんが揃いも揃って、何の御用です?」

 

「____うっせぇ! ともかく、学校を壊すんじゃねぇ!!」

 

 ……現在、グラウンド。

 

 VUMメンバーといろはは、地響きを起こした主である、中学生ほどの女の子と対峙していた。

 女の子は、虫のような異形を使役して、今なお、グラウンドを壊し続けている。

 

 

「(……あれっ?)」

 

 いろはは、少女の姿を見て、強烈な既視感に襲われた。

 それもそのはず。

 実は、この女の子は、『流月 秋』の奥さんにおける『異世界の同一人物(パラレルツイン)』。

 イメージCV.早見沙織さんである。

 

 

「あなたが____秋月流くんですね? 丁度いい、私、あなたを殺しに参ったんですから♪」

 

「……いきなり物騒なこと言ってくるな……ともかく、そんな大層なこと堂々としに来たなら、まず名を名乗るってのが筋じゃねーの?」

 

 おや! と、女の子は手で口元を覆い、笑う。

 

「それもそうですね、私ったら、うっかりさんです♪」

 

 女の子は、その虚ろな瞳を微かに細め、ふわっとした声で名乗りを上げた。

 

「私は____裏秋月・参の遺影(いえ)・第44代当主____秋月 東雲です♪」

 

 東雲は、肩にかけた衣を翻し、丁寧にお辞儀をする。

 

「以後、お見知りおきを____って言っても、あなたには『以後』なんて無いんでしたね、私に殺されるんですもん? またまたうっかり、失礼いたしました♪」

 

「……ご丁寧にありがとな。 ____俺は、秋月 流。 世界征服を目論む組織、『Very Uni-Merge』のリーダーだ」

 

「おやぁ、組織を立ち上げなさったんです?」

 

「あぁ、()()()()な。 その結成式を、お前が邪魔しやがった」

 

「 た っ た 今 ! 」

 

 東雲は、おかしくて堪らないとでも言うように、プッと噴き出す。

 

「出来立てほやほやの、一般人さんの楽しい同好会に、何の力があると言うのです?」

 

「____それ以上、その気色(わり)ぃ喋り方すんな」

 

 流が、低い声で(しず)かに言うと、彼の背後から人影が飛び出し、東雲に襲い掛かる。

 

「っ!? お人形さぁん!」

 

 東雲は、素早く使役していた異形を呼び寄せ、自身の盾にした。

 

「……チッ、この虫もどき、なかなか硬いな」

 

 そう呟きながら、流たちの元にバックステップで戻ってきた人影は、室斑であった。

 彼を見て、東雲は嘲りの感情を一切隠さず、口角を上げる。

 

「おやおや、武術がお上手な一般人さんもいらっしゃるんです? 愉快愉快、実に賑やかなお遊戯ですねぇ」

 

「黙れといっただろ」

 

 流は、眼を据えて東雲を鋭く睨んだ。

 

「あいつが、どれだけ普段から鍛錬を積んでるかも知らないで……いや、別に知らなくてもいいが、仲間を散々馬鹿にしやがって____」

 

 お前は絶対____

 

「____(ゆる)さない」

 

 

 流がそう、言葉を真っすぐ東雲に向かって突き刺した____それと同時に、辺りが桃色に強く発光しだす。

 

 

「____我が名は、親人(ひと)求めの呼子鳥

 強さと慈愛を以て空白を満たし 観測(みはか)りし命運を手に沈黙を破れ

 (すべ)てを目守(まも)り (たよ)りに澄まし

 満つる現在(いま)はただ(うご)き叫ぶのみ

 永き停止から醒めし我が身は その名を(えだち)(やつ)すらむ

  色は (にほ)へど 散りぬるを

 此の花は常のものに有らず されば此度 須臾の合間(なか)

 光の如く 咲き駆けぬべし____

 

 拓いてッ! イシュタル・グレィティアッ!!

 

 いろはは、左手に装着しているクロスボウを天に向かって放つ。

 (くう)を裂いて打ちあがった矢は、幾つにも分かれ、VUMのメンバーたちに降り注ぐ。

 

「私がこの人と戦ってもいいんですが、当人のターゲットは流くんです。 そして私が、他の魔法少女と『コネクト*2』した時の魔法の特性が『仲間の強化』____コネクトをしていない時でも()()()()()()できないかなって思って、新しい魔法を作る特訓をしていたんですが……ジャストタイミングでしたね!」

 

 いろはが、ドヤ顔スマイルで見つめる先には、全身が淡いピンク色に輝く、VUMメンバーたちがいた。

 

「おおお(すげ)ぇ、凄ぇ、凄ぇ! なんかめっちゃ漲ってくる!!」

 

「中二病詠唱も馬鹿にできないのね~!」

 

「……気をつけろ、力を得ても、制御できなければ元も子もない」

 

 室斑の冷静な言葉に便乗して、東雲が思いっきり煽ってくる。

 

「うふふ、そぉですよ~? でも、皆さん、なんと可愛らしいことでしょう! まるで、新しい玩具(おもちゃ)を貰った幼子みたいで、とても微笑ましいことです♪」

 

「なんだコイツ……!」

 

「落ち着け、摩利。 憤るのは構わないし当然だが、必要以上に頭に血を登らせると、お前の()()()()がさっさと燃え尽きちまうぞ」

 

「ん……室斑お前、さっきから凄いな……」

 

「さんきゅ」

 

 そうお礼を述べて構えなおす室斑の後ろで、虚が不安げにしている。

 

「でも……私、こういう実戦なんて、初めてで……せめて足を引っ張らないよう、立ち回れるでしょうか……」

 

「初めてなのは、大体皆、そうなはずです。 とにかく、基本的に防衛に徹しましょう。 みんなの安全が一番なんですから」

 

 そんな彼女に、ルカが緊張交じりの声をかけた。

 

「そーゆーこって。 ともかく皆、無茶して怪我とかすんなよ……!」

 

 流の声に、全員、無言でコクンと頷く。

 

「____おや、もう茶番さんはお終いなんです? では……参りますねっ♪」

 

 東雲が、朝焼けの中にたなびく雲のように緩やかな動きで____しかし、残像を残すほど素早く、駆け出した。

 

 

********************

 

 

 ____『みっつめのセカイ』 オールインワン・本部

 

 

 この組織のリーダーである、ハセ・ガワ氏は、スマホを両手にガシッ!と持って、眉間にしわを寄せていた。

 

「____今を時めく Vtuber・テンジクボタン____ですか……」

 

 彼が見ているのは、『TEN j-Dチャンネル』の主・2.5次元からやってきた女の子の『テンジクボタン』による生配信。

 

『うん、うんっ……☆ ボタンも、Vの世界(2.5次元)から、3次元の皆のこと、見てるよぉ~っ……☆』

 

「何が2.5次元でしょうか、白々しいですね……あなたは、4()()()由来の存在じゃないですか」

 

『____そうだ、今、人間さんは、文化祭のシーズンみたいだねぇ……☆ 成功するといいねぇ、頑張れ~っ……☆』

 

「……よくも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、そんなことが吐けますね……」

 

 いつも、組織のメンバーの前で見せる、時々厳しいながらも 常ににぎやかな態度はどこへやら____彼は、じっと画面を睨み続けていた……。

 

 

********************

 

 

 ____グラウンド

 

 

「そぉ~いっ、じょいっ!!」

 

 『お人形さん(例の異形)』を、フザけた言葉を叫びながら、むんずと掴んで投げる流に、

 

「……。 この人、冗談抜きでお遊戯か何かと勘違いしてません……?」

 

と、東雲が、呆れ半分……いや、呆れ全部でコメントした。

 

「いーやっ、全力だね!」

 

 にんまりしながら、流は東雲に向かって右拳に力を籠める。

 

「俺は、物事に対しては、中途半端じゃなくて、オールウェイズ・真剣・三丁目の夕日でブチ当たる質でね! 俺たちの大事なものが係ってるなら、尚更そうだ!」

 

「っ!」

 

 流の重い一撃を、拳銃を横にして受けることで分散し、東雲は、瞬時に距離をとって銃を連射する。

 

「そうです!」

 

 無差別に撃たれる弾を避けながら、ルカが叫ぶ。

 

「流先輩は、全てにおいて馬鹿なんです!」

 

「えぇ、馬鹿真面目で、馬鹿正直で!」

 

 ナミが同調すると、摩利も強気な笑顔で……

 

「馬鹿丁寧で!」

 

 虚も額から汗を垂らしながら……

 

「筋肉馬鹿で!」

 

 室斑が、起き上がった『お人形さん』に容赦ないパンチラッシュを浴びせながら……

 

「天然馬鹿で!」

 

 飯島が、何故かウサギの大群から逃げ回りながら……

 

「とんでもねぇ馬鹿力で!」

 

 のどかが、小説でかじった拳法の立ち回り方をやてみながら……

 

「感情豊かで、悲しいときは馬鹿泣きするし!」

 

 いろはが、クロスボウを、室斑に当たらないよう、お人形さんに向かって連射しながら……

 

「嬉しいときは、こっちにまで嬉しい気持ちが移っちゃうくらい、馬鹿笑いするし!」

 

「____兎に角……だ!」

 

 アルトが、地面をおもっきしブン殴って、お人形さんの下にクレーターを作りながら、力強く言い放った。

 

「うちのリーダーは、馬鹿みたいな馬鹿中の馬鹿だけど、愛すべき馬鹿____つまり、俺たちみんな、アイツをだいす……慕ってるってことだ!!」

 

「をい、今、なんで『大好き』って言いかけたの、言い直した!?」

 

「気恥ずかしいからに決まってるだろ!」

 

 高校生にもなって、男友達に『大好き♪』って言えるか! と、アルトが流にツッコみ返しした。

 

「そっか! 俺は、いろはとメンバー皆、大好きだ!」

 

「凄いなお前、堂々と!」

 

「……喋るのもそこそこにして、流くん! そろそろ、あの怪物を倒せそうだよ!」

 

 いろはの呼びかけに、流がハッとしてそちらを向くと、お人形さんは、立ち上がるのもままならず、かなりよろめいていた。

 

「よっしゃ____いろは、このメンツで一番決定打を与えられんのはお前だ! 一発、ドカンとよろしく頼むぞ!」

 

「わかった!」

 

 いろはは、クロスボウに魔力をチャージし、必殺技を放つ。

 

「ストラーダ・フトゥーロ!!!!」

 

 その矢は桃色の軌跡を残しながら、鋭く放物線を描き、異形の頭を穿った。

 

「________!」

 

 お人形さんこと異形は、耳障りな断末魔の叫びをあげ、風解していく……。

 

 ……。

 

「……よくも」

 

「「「「 ! …… 」」」」

 

「よくも、よくもよくもよくも! 私の可愛いお人形さんを、消し炭にしてくれちゃいましたねぇ?」

 

 セリフに反して、東雲は____にぃっっっこりと、笑みを顔に張り付けている。

 

「では、お礼に、この学校____()()()()()()()()()()()?」

 

 その言葉を言い終わるか否かの内に、東雲はゴツい大砲(ハンディタイプ)を取り出し、校舎に向かって構える。

 

 彼女は、ゆっくりとエネルギーをチャージしだした。

 

「! ……させるか!」

 

「流! むやみに突っ込むな!」

 

 摩利が流の襟ぐりをひっつかんで止める。

 

「あんなハンディタイプの奴でも、フルチャージなら馬鹿デカい校舎を壊せるらしい____ってことは、少ししかチャージされてなくても、お前、無策で立ち向かえば、ブッ放されて大怪我じゃ済まないぞ!」

 

「……そうだな。 いろは、今の俺たちって、バリアとか張れるか?」

 

 流の質問に、いろはが答えるには……。

 

「張れないことはないよ。 イシュタル・グレィティアのパワーをいっぱい手に集中させて、前方で展開すれば……」

 

「おっしゃ! じゃ、それで行くぞ! 集めんのは、いろは由来のパワーだし……なんかこう、合体バリアとかも作れんだろ!」

 

「話し方馬鹿っぽいけど、内容はなんか頭いい……!?」

 

 ナミが ドーモ君みたいな顔芸をしつつ驚く中、とりあえず皆で集まって、手にエネルギーをチャージしていく。

 

「おやおやぁ? 何を無意味なご相談されてたんですぅ? 私、もう、いつでも学校壊せますけど♪」

 

 相変わらず、東雲が、ガッツリ煽ってきながら、大砲(ハンディタイプ)を構える。

 

「じゃ、せいぜい絶望してください♪ 秋月流____あなたを嬲り殺すのは、それからです♪」

 

「皆、準備いいか!」

「「「「おぅ(あぁ)(うん)(はい)!」」」」

 

 

「それじゃ、学校さん、さよならです♪

 イグニッショ~ン♪♪♪ 」

 

 東雲が大砲を放った瞬間、いろはとVUMのメンバーは、迅速に、放たれた方向に移動し、バリアを展開する。

 

「____なるほどぉ、バリアですかぁ♪ 一番単純明快な対策ですねぇ! でもそれ、いつまで持つんですぅ?」

 

 クスクスと笑う東雲の視線の先には、大粒の汗を浮かべながら、大砲のエネルギーを打ち消そうと苦戦している、一同がいた。

 

 バチバチとエネルギーがせめぎあう中、一同は目がつぶれないように、目を細めて防御している。

 そろそろ持久戦は限界が来るか____そう考えた流は、皆に指示を出す。

 

「皆! 力を揃えて、一気に押し返せ! ____せぇのっ!」

 

「「「「 えぇぇぇぇぇぇぇぇぇいっ!! 」」」」

 

 

 途端____爆音とともに、この場にいる全員の視界が、真っ白に染まった…………。

 

 

********************

 

 

 ____オールインワン・本部

 

 

『それじゃあ皆、バイバ~イ……☆』

 

 そんなテンジクボタンの声の後、配信の終了を示す画面。

 

「なるほど……散々世界をかき回しておいて、よくもこんな呑気にできるものです」

 

「お褒めの言葉、ありがとう……☆」

 

「! ……おや、呼ばれて飛び出てってヤツですか」

 

「そーゆーこと……☆」

 

 いつの間にか、ハセ・ガワ氏の隣に、年頃の少女が満面の笑みで立っていた。

 

「余程、ボタンのことが嫌いなようだね、ハセ・ガワさん……☆」

 

「当たり前です、『アカシックの次元』から抜け出し、散々、レコードの改変という悪事を働いているのですからね……」

 

「でも、それは____色々と世界を派手にひっくり返しちゃってる点では、あなたの『写され見』さんも、同じようなものじゃないかな……☆」

 

「……。 hasegawa氏は、hasegawa氏____その『写し見』であろうと、私は私です。 何が言いたいかというと、彼と私は実質アカの他人で____そもそも、あなたの行為と彼のソレとは意図も何もかもが全く違う。 一緒にしないでいただきたい」

 

 そんな詭弁がまかり通るなら言わせてもらうが____あなたの写され見も、散々ポテンシアを生み出しているじゃないか、と、ハセ・ガワ氏は反論した。

 

「あぁ~……☆ そうだね、じゃ、やっぱりボタンたち、仲良くしちゃ、ダメ?」

 

「冗談じゃありません。 私が何のために、あなたの故郷(アカシックの次元)と提携しているとお思いですか?」

 

 ハセ・ガワ氏が、ボタンをじろりと睨む。

 

「んー……☆ 混沌(ケイオス)化と次元の崩壊を防ぐためじゃないの~……☆」

 

「ここに来てトボけないでください。 勿論、その理由もありますが……そういう枝葉のソレの大元の理由……そう____『3次元の執筆者(ライター)』を誘導し、hasegawa因子やポテンシアとかいう、至極面倒な()()()()()()()を生み出してくれた……あなた裏流月(りるつき) 裏秋(うらあき)を捕らえる為____という答えが欲しかったんですよ、私は。」

 

「ふぅ~ん……☆ 思ったより やり手だねぇ、裏秋くんのことにも気付いているなんて……☆ でも、まだ仲間いるんだけどねぇ~____まっ、取り敢えず、お見逸れ、お見逸れぇ~……☆」

 

 ヘラヘラと笑うボタンに、ハセ・ガワ氏は、ややムッとする。

 

「人を馬鹿にするのもいい加減にしなさい。 ____ですから、今……」

 

「……『今ここで、あなたを捕らえさせていただきます』って言いたいのかな……☆ 甘い甘ぁい____私が瞬時に、しかも無防備でここに来たの、不思議じゃなかったのかなぁ……☆ コレ____ただのホログラムだからね、バイバ~イ……☆」

 

 ボタンはそう、一方的に喋って、勝手に消えるが____ハセ・ガワ氏は、しかし、不敵に笑っている。

 

「……人の話は最後まで聞けと、習わなかったのですかね? ____『ですから、今ここにいる あなたのホログラムに、私は、GPSのようなモノを取り付けさせていただきました』____ごく少量かつ微粒子状なので、あまりにも遠くだと位置をドンピシャしにくい分……あなたもソレを取り除きにくい」

 

 ……ハセ・ガワ氏は悠々と、小説のアイデア帳を開く。

 

「だから、『人を馬鹿にするのもいい加減にしなさい』と言ったでしょう? ……そう遠くない内、あなたも裏秋も、きっちり懲らしめてやりますから____震えて待っていてくださいね♪」

 

 彼の愉快げな笑い声が、この ただっ広く、日の光差し込む朗らかな部屋の雰囲気に違わず……緩やかに響いた。

 

 

********************

 

 

 ____再び グラウンド

 

 

「っはぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」

 

 流は、肩で息をしながら、仰向けに倒れていた。

 

「……皆、大丈夫か……?」

 

 彼の声に、メンバーらが、続々と起き上がりだす。

 

「異常なし____砂粒が肌に掠ったくらいで、傷らしい傷もないし……強いて言えば、すごく疲れただけだ」

 

「同じくです」

 

「俺も、そんな感じ」

 

 そんなメンバーたちと流に、起き上がったいろはは、「あくまで念のため、だけど」……と、回復魔法を、全員にかけた。

 

「ありがとな*3、いろは____あっ、そうだ、東雲の奴は……!?」

 

 流が慌てて目を向けると……当人は、歯を食いしばりながら、少しよろめきつつ立ち上がっている途中だった。

 

「____私、は……どうし、ても……!」

 

 ……しっかりと立ち上がりきってから、彼女は再び言葉を紡ぎだす。

 

「この、裏秋月家・参の遺影に脈々と流れ続け、年々積み重なっている『不幸』を消してしまいたい! その為に来たのに……他の、『(いち)()()遺影(いえ)』に出し抜かれる、その前に……!」

 

 東雲は、虚ろな双眸を恨みで満たし、カチャリと新たな武器を取り出す。

 

「まぁ、いいです____手段なんかいくらでもあるんです。 この『スポナー』で、新たなお人形さんを……!」

 

「! ……また学校壊す気か! もうこれ以上はやめろ!」

 

「そう言われて、大人しくやめる馬鹿がいるとすれば、あなたぐらいなものですッ! ____おいでなさい、私のお人形さん!」

 

 彼女はスポナーを起動し、何体も異形を召喚する。

 

「さぁ! 滅茶苦茶にしてしまいなさいッ!」

 

 東雲(ご主人)の指示で、グラウンドに留まらず、近くの生垣なども壊しに向かう『お人形さん』たち。

 

「! ……その小庭園は、うちの教頭先生が大事にしている……!?」

 

 ____いろは! ……流は、半分悲鳴のような声で頼む。

 

「もう1回、『イシュタル・グレィティア』、かけてもらえねぇか?」

 

「……ごめんなさい、さっき、このソウルジェムを浄化する為のアイテム*4のストックを使い切っちゃって……」

 

「浄化……?」

 

「うん、魔法を使うとか、色々な要因で、ソウルジェムが濁ってしまうんだけど____これが完全に濁りきってしまうと、私たち魔法少女は、死んだも同然になってしまうの。 それを防止するアイテムも数個あったけど、さっきの戦いで使い切っちゃって____イシュタル・グレィティアをもう1度放ってしまえば、ソウルジェムが濁りきってしまうかもしれないから……」

 

「……わかった、いろはに死んでほしくない、頼むのはやめる。 そもそも、いろはは、VUMメンバー外だしな……逆に、ここまでの協力ありがとな____でも……」

 

 流は、破壊されていく周囲を、苦い顔で見つめる。

 

「こんなの、黙って見てられるわけ…………ぉ……」

 

 突然、流の目の焦点が合わなくなり、彼は力が抜けたように、ストンと倒れこむ。

 

「先輩!」

「おいっ!」

 

 ルカと飯島が驚いて彼の体を支える____

 

 

 ……。

 

 ____流。

 

「……」

 

 ____流、起きんかい

 

「……ふぁ? あれ……ここは……?」

 

 辺りを見渡せば、そこは終わりの見えない真っ白い空間。

 

「しかも、この声……」

 

 ____そう、わしや

 

「お地蔵様! どうして……?」

 

 ____そりゃあまぁ、敬虔な信者のために決まっとるやろ。

 

「! ……ってことは!」

 

 ____あぁ、東雲をしばくために、力を貸したるわ。 ……ただし

 

「ん?」

 

 ____お前は覚えとらんやろけど、わしは前に一度、お前の体を()()()借りて、色々助けたことがある。

 

「おっ! そうだったのか! サンキューベルマッチョ!」

 

 ____せやけど、そういうことが出来るのは、基本一度きりや。 ましてや、スピリチュアルに無縁なお前に、そないなこと何べんもやりよったら、『流』自身が壊れてしまう。

 

「……つまり?」

 

 ____力は貸したるし、お前に乗り移ったるけど、お前の人格は起きたままにさしてもらう。 アドバイスはするが、お前自身で考えて、キチンと動け。 できんのやったら……

 

「やる! 絶対やる」

 

 ____おっ?

 

「学校を守る手があるなら、大抵は何でもやってみせるつもりだったし____俺は組織のリーダーになったんだ。 そういう奴は、主体的に動いてナンボだろ?」

 

 ____ぃよし、よく言うた。

 

「ってことは……!」

 

 

 ……。

 

 

「……」

 

「あっ、目を覚ました!」

「流!」

 

 仲間たちが安堵の声を漏らす中、流は無言で立ち上がり____一歩、踏み出す。

 

「……流、くん……?」

 

 いろはが心配して声をかける中、彼は静かに目をつむって、ゆっくりと開く。

 

 ____彼の眼は、()()()のように金色に染まっていた、が……。 加えて、その金色に、流水のような清い水色の差し色が入っている。

 

 

 彼は、ゆっくりと、力強く東雲のもとに歩いていく。

 

「い……今更なんです? もう学校は壊れる()()です! 潔く諦めたらどうですか!」

 

「____絶対、嫌だね」

 

 流のその声は、水面に一つ小石を投げ込んだかのように、滑らかに、(しっか)りと辺りに響く。

 

 

「諦めるもんか。 こう見えてさ、俺____」

 

 

 

 

 

 

 

 

「____すごく 怒ってるんだよな」

 

 

 

 

 さだめを変える『流れ』が、今、津々と湧き出し始めた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ____To be continued……

 

 

 

 

 

 

*1
一同「いや、ここ、小説の中の話なんだけど……」

*2
神浜市にある『調整屋』でソウルジェムをいじくられた魔法少女の間でのみ、繋がることによって発動する魔法

*3
笑いを取る気力は、無かった。

*4
『グリーフシード』という






 作者さまのページ↓
 https://syosetu.org/user/310554/


 大輪愛さま、執筆お疲れさまでした♪

 ……というか、もう本当カオスになって来ましたね! この小説!w
 ちょっと待ってプリーズ! いま私すんごい頭がこんがらがってますヨ!?
 誰か図で! 図で説明してくれッ!(笑)

 ただよく分からないなりに、「おーなんか盛り上がって来たー♪」っていうのは感じるの!
 めっちゃ面白かったし、読んでて胸が熱くなった! ――――それが私のジャスティス!!!!
(また何回か読んで、設定の理解に努めますネw)

 そして美星祭も、あと15日後に迫りました!
 これ3710さんの手番がくる頃には、開始出来るんじゃないかな? 念願の学園祭の様子を、3710さんご自身に書かせてあげられるんじゃないかな?

 まぁ日数とか、そこら辺の帳尻は、『ぜんぶ私の番でなんとかしますゆえッ!』
 みんなは自分の思う通りに、自由に書けばいいゾ! お父さんに任せておきなさいっ!(?)

 ではではっ、4番手お見事でしたっ♪ 大輪愛さまありがとぉ~う!

(hasegawa)




☆もんじゃ焼き掲示板☆


 テンジクボタンちゃん、私から見ても、『ウゼェ!』仕上がりになっちゃいました~!

 ……ってわけで、(話を)ブン投げるどころか、ブン殴ったで♪
 私、『世界が云々』系の話、だぁいすきなんです☆
 砂原石像さんの執筆パゥワを信じて、こんな壮大な話にしちゃいました!

 ……次こそは、あのストーリーを書きたいなぁ……そのためにも、流くんには、生物学的に早く大人になってもらわねば!

 お祭りまで、あと15日!
 皆様! 盛り上がっていきますよ~っ!!

(天爛 大輪愛)


※このお話から続く番外編。
・【スピンオフ】わしの名はファンキー爺さん。
 https://syosetu.org/novel/245415/4.html
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