起きたらドデブスの魔女に生まれ変わっていた俺の話、聞いてくれる?   作:サイスー

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臆病な心

 俺は昔から人に向けて自分の話をすることは不得手だった。

 自分の話となると、なによりも簡単そうに思えてなによりも難しかった。

 

 つっかえつっかえなうえに、時間軸も前後して、おまけにぼそぼそと自信のない声色で、自分でも穴があったら入りたいくらいに情けない話し方だった。喉に声が張りついて時々裏返ったが、ダリアは意外にも笑ったりしなかった。

 聞きづらいし、要領を得ない話だったろうに、彼女は最初のマシンガントークが嘘のように聞き手に徹し、適宜質問して話を促してくれた。

 俺は始終苦い顔をしていたが、真剣な顔をして頷いてくれるダリアに励まされてなんとか今までの経緯を話しきる。

 一仕事を終えたような謎の達成感と緊張でいっぱいになる。

 

「そんなことが……。魔女の常識では到底信じられないけれど、そうね。使い魔は主に嘘を吐くことができないから、カリステファス様が言ったという、あなたが他の世界から来た魂、ってことは信じざるを得ないのかもしれない。

 けれどね、おかしいのよ。普通魂と肉体は切っても切り離せない存在で、そんなに当たり前に身体を動かすことなんてできないはずよ」

 

 曰く、身体に形があるように魂にもまた器という形がある。

 小さすぎても大きすぎてもいけない、身体の見かけとはまた違った器と魂とがぴったりと一致しているものだという。だから魂と身体にズレが生じたアンデッドや、無理矢理に入れ物と魂とを合成したキメラなどはすぐに崩れるのだと説明される。

 

 パズルのピースがぱちりとはまるように、奇跡的なまでにぴったりと器と魂とが合っている。そうでなくてはおかしいのだが、そんなことがあるというのもあり得ないことだという。

 だが、そんなあり得ない状況が俺の身に起きている。

 

「偶然が絡みあってこうなったのか、それとも誰かが意図してこうなったのか……どちらなんでしょうね」

「ええ、どうかしら。まだ判断材料に欠けるところはあるけれど、あなたはどう思う?」

 

 当たり前のように俺の意見を求めてくれて、俺は自分の気持ちに対してどうしたいのかと再度尋ねた。心の声を知らぬ間に無視し続けていると、いつのまにか心の声は聞こえなくなっていて。

 

 どうしたいか、なんて考えたのはいつぶりだろう。

 

 意見を求められて答えるのは、自分の考えではなく、人がどう言って欲しそうか、であった。同意をして欲しそうならば同意をするし、大抵の人はそうだった。俺は自分の意見を言い、反論されては、結局同意をして欲しいだけなのだろう? と考えることをやめていた。

 

 だがダリアは紛れもなく自分の意見を求めてくれている、と感じた。

 

 俺はいつだってそうだ。変わったつもりでいたけれど根本のところでは変わっていなかったのだと気付かされる。

 

 グラジオラスの身体に宿ってしまったから、そのなかで出来ることを考える。ダイエットといい魔力の練磨といい、自分なりに俺は出来ることをやっていたつもりだった。だがそれは俺がしたい、と心から願ったものではなく、ただ最善手を選んでいるにすぎないと気づいた。

 

 だって俺は、カロスになにも尋ねていない。

 なにか知っているに違いないのに、聞けば教えてくれたかもしれないのに、彼が言いたくなさそうなことは聞かなかった。遠回しにグラジオラスのことを調べたこともあったが、それだってカロスに自分の気持ちを伝えるのが、鬱陶しがられるのが嫌で逃避の先の選択肢であった。

 

 俺はあのとき、どうしてやたらめったら人に嫌われているんだろうと不思議に思っていた。

 疑問を解消することは結果として出来たが、それは魔界の有能な一族がいたからに他ならない。そんな便利な存在は日本にはいない。じゃあ日本で同じようなことになっていたら、俺はどうしただろう。

 きっと、見て見ぬふりをしたまま心の奥底にそっとしまっていただけに違いなかった。

 

 俺はどうしたいんだろう。なにがしたいんだろう。

 自分の考えに没頭しかけるが、根気強く待ち続けてくれているダリアの存在を思い出す。

 

「偶然、とはあんまり考えづらいと……思います」

 

 自分の意見だ、と認識して発言する。ただそれだけでばくばくと心臓が激しく高鳴る。

 

「そうね。わたくしも同じ考えよ」

 

 さらっと同意されて、なぜか俺はほっとしていた。

 彼女の意見がどうであれ、俺の意見に変わりはないというのに。

 

 やっぱり俺は、根っこのところでは臆病な豚のままだった。

 少しは痩せてきて、行動を変えて、良い方向へと進んでいると思っていたけれど。俺の努力は、果たして正しかったのだろうか。

 

 相談しろ、とダリアは言ってくれた。

 それは幼馴染であるグラジオラスへかけた言葉であろうが、歯にものを着せぬ物言いの彼女は真っ直ぐで、俺の話を真剣に聞いてくれるダリアの存在はとても貴重だった。俺は彼女のことをこの短時間ですでに信頼できる人だと確信していた。

 俺は本日二度目の勇気を振り絞った。

 

「俺のしてきたことは……あっていたんでしょうか?」

「なに? どういうことかしら」

「俺は日本に生まれて普通に生きてきただけの……なんの変哲もない、普通の男なんです。俺は、俺が出来ることを必死に努力してきたつもりで……なにが言いたいんだろうな……はは。ははは……」

「これでいいのか、が不安なのね」

「え……あ、その、通りです」

 

 俺は不安だったのだ、と気づく。

 この背筋がぞわぞわとして落ち着かない感覚は、不安か。

 

「誰しもが大なり小なり不安を抱えて生きているものよ。

 不安に思うのは、あなたがそれだけ懸命に生きているから。けれどあなたは誰よりもあなたを信じてあげねばならないのよ。この行動でいいんだと信じることこそが自信。

 グラディス……彼女も少しばかり人の意見に振り回されすぎるきらいはあったけれど……それは優しさの延長であって、悪く思ったことはないわ。彼女は口に出さなくても、自分の意思はしっかりと持っていたし」

 

 ダリアが遠い目をする。

 

「あなたが誰よりも努力する姿を、わたくしはとても美しいと思っていたわ。だからあなたの体型を口さがなく言うやつに傷つくあなたを見ていられなくて……。

 ああ、ごめんなさい……わたくしこそ、なにを話しているんでしょうね。

 すっかりグラディスに話しているような気分になってしまったわ。あなたって、ほんとうにグラディスにそっくりだから」

「いいえ」

 

 しっかりとした魔女の仮面がはがれ、ちらりと垣間見えるのは幼馴染の顔。

 グラジオラスへと向けた言葉なのだろうが、すっと俺の心のなかに入り込んできて、染み渡った。

 それは彼女が一生懸命に伝えようとしてくれている、と心から感じたからであった。

 

 自分を信じることが、自信。

 

 俺は自分の努力が無駄ではなかったと、自信をもたないといけないんだ。

 

「話を戻すわね。稀有な事象に巻き込まれたあなたに、特別な意識はないの? 例えばなにか思い当たる節とか」

「思い返してみても……特にはないです。

 デブなくらい……? ごめん」

「あなたが謝ることではないわ。あなたをグラディスの身体に宿らせた者が悪いのよ。あなただって被害者じゃない。どうして謝るのよ」

「……ごめん」

「またそうやってすぐに謝る」

「……うん」

 

 ごめん、と言いかけてやめる。

 次言ったら張り手が飛んできそうだ。

 

 口をついて出てくる薄っぺらい謝罪の言葉に自嘲する。

 

 謝れば、責められないから。

 謝れば、折れていけば、それ以上言及されることがないから。

 俺は逃げていたんだ。

 

 俺は自分に自信が持てない。

 どうやったらそんなに自信がもてるんだろう? と根拠もなく自信満々に間違ったことを言いふらす人を見て不思議だった。

 

 俺は彼らとは違って、大勢の人の前にいくと身体が震えて止まらないし、自己主張することすら難しい。

 

 我の強い人間が嫌いだった。人のことを考えずに言葉の槍を突き刺す者が嫌いだった。だけど俺はそんなやつらにもへらへらと安い笑顔を振りまいていた。怖かったからだ。そんなやつらに理不尽に言い募られるのは怒りよりも恐怖が先立つ。

 

 暗い顔をする俺に、ぐっと唇を噛むダリア。なにか言いたげで、でもなにも言わない。……はぁ、と大きくつかれたため息に俺はビクリと身体を震わせた。そのため息が怖くて仕方ないのだ。いま彼女はなにを考えていて、俺のなにに失望したのだろう。

 

「……あなたがわたくしの言うことを素直に聞いてくれるものだから、すこし言い過ぎてしまったようね。傷つけてしまっていたら、ごめんなさい」

「ううん、いや……全然大丈夫です」

 

 彼女の謝罪にはきちんと心がこもっている。

 俺の暗い態度を見て、それを俺のせいにはせず、己の行動が原因だと謝罪する。

 簡単なことではない。

 人はなにかあれば、すぐに人のせいにする生き物だから。

 

 彼女は己の言動が人に及ぼす影響の大きいことを理解していて、俺の様子をしっかりと見てくれている。

 なんてすごい魔女なのだろうと素直に思った。

 

「当事者であるあなた以外に、このことを知っているのは誰?

 本物のグラディスの魂はどこへ行ったのかしらね」

「それはカロスだと、思います。……」

 

 本物のグラジオラスの魂は、契約に従いカロスに食べられた、だなんて軽々しく伝えられる内容ではなかった。

 口籠もると、ダリアはしばらく俺の言葉を待ってくれていたが、続かないことを悟って言う。

 

「少し聞いてみただけよ。別に正しい答えを求めてなんかないわ。もっと肩の力を抜きなさい。

 言い忘れていたけれど、タメ口でいいわよ」

 

 違う。俺はその正しい答えを知っているんだ。

 ただ、あなたが悲しむだろうと思って、どういう風に伝えるのが正解なのかがわからないだけで。

 

「早くその獣を捨ててカリステファス様を呼び戻しなさい。そうしないことにはなにも始まらないわ。

 あなたの話の通りだと、カリステファス様はなにかをご存知で、それをあなたは知らなくてはならないわ。

 わたくしも、できることであれば手伝うわ。

 なにもあなたに恩を着せよう、というわけではないのよ? わたくしもグラディスには色々と言いたいことがあるから」

 

 恥ずかしそうにほおを染め、視線をそらしつつ言うダリアは照れている様子だった。

 ダリアはグラジオラスの親友であって、俺の親友ではない。偽物の俺を詰るどころか手伝うと申し出てくれているのがどれだけありがたいことか。

 そうはわかっているけれど、わがままなことに俺は切なさを感じてしまった。

 幼馴染がすでにいなくなってしまっていると知れば、彼女はどれほど深く落ち込むことだろうか。

 

 ひょこっとポケットから顔をだすフリージアを見下ろす。ポケットのなかに収まったフリージアをそっと片手で救い上げると、なぅん? と愛らしい声をあげ、俺を見あげている。

 キラキラと澄んだサファイアの瞳がしばらく俺の目をじぃっと見つめている。

 

 フリージアは薬草園に迷い込んだとき、怪我をしていた。

 その怪我もすっかり治って、艶やかな毛並みの血統書つきの猫みたいだ。

 もとから人懐っこい子猫だったが、カロスがいなくて寂しくなかったのはフリージアがいてくれたからだ。

 一緒に寝て、一緒にご飯を食べて。

 そんなフリージアを捨てる? 無理だ。

 だって、フリージアはなにも悪いことなんてしていない。全然邪な気配だってしない。

 

「フリージア」

 

 フリージアはちろっと俺の指を舐めて「なぁ」と鳴いた。丸く大きな目が細められる。

 俺の手にちょこんと収まっていた子猫は、ぴょんと床に飛び降りた。

 

 小さな足をとてとてと動かしてしっかりとした足取りで離れていく。

 

 迷いのない足取りを見て、フリージアは、ただの散歩でもなんでもなく、もう2度と帰ってこないつもりなのだと確信した。

 

 フリージアは言葉を解する利口な猫だ。今までの会話を聞いて、きちんと理解をして。

 そうして去ることを選んだんだ。

 

 俺は、違う。出ていって欲しいなんて思っていない。

 俺は、俺は--!

 

「フリージア!!」

「なうん」

 

 振り返り、ひょろりと尻尾を振る。ばいばい、と言っている気がした。

 

「待って、フリージア!! 行かないでくれ!!

 俺は、お前にそばにいて欲しい!!」

 

 フリージアのために開けたままにしていた窓に足をかけ、ひょんっと飛ぶ。

 俺は窓へと転がるように走った。

 

 小さな白い猫は草原を駆けている。

 

「待てってば! フリージア!! お前の家はここだろ!」

 

 すでに俺のなかでフリージアはとても大切な存在になっていた。たった2週間程度しか一緒にいなかったが、やわらかくて小さな存在は俺の心を慰めてくれた。

 あんな小さな子猫がどうやって外の世界で生きていけるんだ。

 

 あの優しい子猫は、俺のために身を引いたんだ。

 俺が、煮え切らない態度ばかりするから。

 

 俺はフリージアを追いかけるべく、扉へと向かった。

 

「待って。行ってどうするの? カリステファス様を呼び戻すためにはあの子には去ってもらわないといけないのよ。

 それとも、あなたは魔力をわけた使い魔よりも、あの獣のほうが大切だというの?」

 

 ガツンと頭を殴られる思いだった。

 どちらが大切とかではない。どっちも大切な存在だ。だが、フリージアがいるためにカロスが家を出たことは真実。

 

 子猫くらい毛嫌いしなくても。

 違う。きっとフリージアはただの子猫なんかじゃない。姿形こそ愛らしい子猫ではあるが、魂は純粋な猫ではないのだろう。猫は人の言葉を理解しない。

 

 カロスやダリアが邪な存在、と言ったって、俺にとってはそうではなかった。

 なにひとつ悪いことをしていないし、今日だって落ち込んでいた俺に花を摘んできてくれた優しい子だ。

 カロスのことも大切だし、フリージアのことも大切。どちらのほうが大切か選べ、と言われても、選ぶことなんてできない。

 

 俺は、静止を振り切って外に出た。

 

「待ちなさい!」

 

 後ろでダリアの声がする。彼女の言っていることは正しい。そんなことは百も承知だが、ここでフリージアを見捨てたら俺は一生後悔すると思った。

 

 辺り一面見渡しても、白い子猫の姿はない。

 

 闇雲に走り出そうとする俺の肩をそっと掴んでとめたのは「主様」懐かしい声だった。

 

「カロス……」

 

 なんだよ、こんなタイミングで帰ってきやがって。まるで本当にフリージアが邪魔で帰れなかったみたいじゃないか。

 振り返ると、長身痩躯の青年が。

 ムカつくほどに整った容姿に懐かしい、嬉しい、寂しかったと心が震える。

 

 カロス、痛々しいくらい痩せてるじゃん。

 壮絶なまでの美貌は研ぎ澄まされ、神様が作った彫刻のようにも見えた。

 

 使い魔がそばにいないと、みたいなダリアの言葉は本当だったんだ。もともと白い肌をしていたが、今にも倒れそうなくらいに真っ白だ。

 

「すぐに根をあげると思っていましたが、随分と長いこと粘りましたね」

 

 カロスが長い指先で俺の頬をなでる。

 自分だってしんどかったくせに、そのことにはまるで触れないままに。いつもみたいに俺のことを詰ればいいのに。詰ってくれたら、どれたけ気持ちが楽になるだろうか。

 なあ、わかってんだろ? どうせ俺の心を読んでいるんだろう?

 

「あんな畜生をそれほどまでそばに置いておきたいのですか?」

「あ……当たり前だ!」

「わたしよりも?」

「…………」

 

 なにも答えられずに俯く俺は卑怯だ。

 

「冗談ですよ。いつものあなたらしくもない。憎まれ口はどうしたんです。

 少々手荒な真似をしましたが、探し物はこれですね?」

 

 そう言って、カロスは垂らしていた手を持ち上げた。

 

「フリージア……?」

 

 カロスは白い子猫を掴んでいて、腹のあたりを掴まれた白い猫がくったりと眠っている。

 首には赤色の首輪がつけられていた。

 

 扉から出てきたダリアがカロスの手のなかで眠る子猫を見て呟く。

 

「すごい……なんて強い力の首輪……。これ、さっきのと同じ獣なの?

 すっかり気配が抑えられているわ。これなら猫に見える……」

 

 そうは言いつつも少し遠いところから、フリージアを観察するダリア。

 彼女にフリージアは、なにに見えていたのだろうか。

 

「お前……まさか、フリージアと一緒に暮らす方法を探してくれていたのか……?」

「使い魔たるもの、無茶な主様の要望でも応えねばなりませんから」

「もう……なんだよ。言ってくれりゃよかったじゃねーか……。

 勝手に消えたりして、なんだよ……。

 ……りがと」

「はい?」

「ほんと……、ほんとにありがとうな。

 やっぱお前は腹立つくらいに有能だわ」

 

 俺にはその首輪がどれほどすごいものなのかはわからない。

 だが集中すると、その首輪にとてつもない魔力が込められていることはわかった。魔力が感じられるようになったのは、日々魔力操作の修行をしていた成果である。

 

「礼など不要です。

 主様がわたしなしに生活できず、アレを手放すことになればいいと願っておりましたから」

「さらっとヤンデレ発言するのな。

 ははっ……でもほんと、ありがとう。

 俺さ……お前がいなくて、ほんとに寂しかった。

 お前が今までどんだけ俺のことを一生懸命世話してくれていたのかわかった。

 戻ってきてくれて、ほんとにありがとな」

「なにか悪いものでも食べましたか? 気持ち悪いですね」

「気持ち悪いだろ? 慣れてくれ。

 俺も……ちゃんと自分の気持ちは伝えるようにしようと思ったんだ」

 

 ダリアがにこりと微笑み、頷いてくれる。

 

 そうですか、と遠いところを見ながら言うカロスの耳はわずかに赤かった。

 俺はカロスの手を、両手で包み込んだ。不思議そうな顔をするカロスに、魔力を流していく。

 やつれたカロスは魔力不足だ。ならば俺の魔力を与えればいいと思ったのだ。

 

「おや……魔力操作ができるようになったんですか」

「あんまり微量は調整できないけど、ある程度はな」

「そうですか……この2週間、あなたもまた無駄にはせずに、よく努力されたのですね。

 魔界の生き物では到底考えられないことです」

 

 いつも通りに左右対称の綺麗な笑みではあったが、カロスの赤い瞳はいつもよりも温かく見えた。

 

「なあ、カロス。聞きたいことがあるんだ」

 

 笑みを浮かべるカロスを真っ直ぐに見据えて、俺は震える声を絞り出した。

 

 

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