【助けて】呼吸使えるけど、オサレが使えない【転生】   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

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呼吸使えたとしてもチャドは理解できない

「また一緒にいる。

 キミたちずいぶん仲いいんだねぇ」

 

 俺と一護の漏れた声には気を止めず、水色は一護と朽木さんの二人でいるのを指摘した。

 

 確かに、学校内では朽木さんと一護がどんな関係なのかということは噂になっている。

 俺もかなりの数を聞くが、一護が怖いからか事実は分からぬまま、という感じだ。

 

「アホ。

 これが仲いいように見えるか?」

「そういうならそうなんだろうけど……。

 一護って周りの目を気にしたほうがいいよ?」

「そんなもん気にしてればとっくに髪を黒く染めてるよ」

「確かに」

 

 水色が一護の隣に座る。

 

 朽木さんは何やらジュースと睨み合っているせいで、気づいていない様子だ。

 

「こんにちは! 朽木さん!」

「こんにちは……。

 えっと……小島くん……?」

「あったり!

 まだ自己紹介してないのによく覚えててくれたね」

 

 外から見ていても、この水色のコミュニケーション能力は凄まじいと思う。

 こういうのがあるから水色は周囲に女に絶えないんだよな。

 

「改めて。

 小島水色15歳!

 趣味は「女あさり」……ったく源氏はひどいなぁ」

「いや事実だろ」

「一護までそんなこと言ってぇ。

 僕は年上しか興味ないから同年代の子は安全なんだよー?」

 

 水色の自己紹介に乱入しながら、俺は円を書くように一護の対面に座る。

 

 啓吾も俺が座ったことにより、円をかくように座ろうとしていたことに気づく。

 

「あ、俺は我妻源氏。

 ……俺ってどんな特徴ある?」

「「「びっくり人間」」」

「びっくり人間?」

「……俺としては非常に不本意だよ、それ」

 

 座り込んだ啓吾も、水色も、一護さえも俺のことをそう話す。

 

 びっくり人間。

 

 それは俺が学校に入学して付けられてしまった不本意なあだ名だった。

 

 きっかけは些細な目立ちたい精神だった。

 

 学校で目立つには、運動ができれば手っ取り早い(自分調べ)

 

 その時の体育は、身体能力テストだった。

 一護を始め、変に身体能力が高い連中が存在した。

 そのため、素の身体能力ではなんともならないことに気づき、常中の呼吸をひっそり使った。

 

 テストの内容は50メートル走。

 

 俺の隣は普通の奴らばかり。

 

 スタートの合図とともに、俺の姿は消え、1秒経つか立たないかの段階でゴールした。

 

 ……まず言い訳をさせてもらうと、呼吸における手加減は非常に難しい。

 一回本気でやってみた時は、いくらを潰さないくらいの力でようやっとシャーペンが壊れなかった。

 

 それを知る前の俺は、軽く走ればいいだろうという心持ちで望み、クラスひいては教員の目をぶっこ抜いた。

 

「50メートル走では瞬きよりも早く。

 サッカーではボールを亡き者に。

 野球ではバッターボックスが消滅」

「盛りすぎだろそれ。

 ふざけるのもいいかげんにしろよ啓吾ハハハ」

「……あながち間違ってないけど」

「何いってんだよ水色ハハハ」

「ちょっとだけだろ、盛ってるの」

「黙れ一護」

「俺にだけ扱いがひどくないか?!」

 

 ちょくちょく試していたら付いたあだ名がびっくり人間

 試すのも悪かったけど、この世のものが弱いのが原因だろ(暴論)

 

「まぁ俺のことは適当で大丈夫。

 危険性ないからさ」

「確かに。

 むしろ傷つけられているもんね」

 

 スッ

 

「なんで無言でウインナー投げる構えしてるのよ源氏」

「構えたくなった」

「やめろやめろ二人共。

 ……あ、こいつ啓吾。

 …………うん」

「おぉい?!

 なんで俺だけそんな淡白な説明なんだよ?!」

「そんな説明することあるか?」

「確かに水色と源氏に比べると俺って特徴ないのは分かるけど!

 ちょっとくらいはあるだろ?!」

 

 ウインナーを下げ、食べる。

 確かに啓吾は俺らの中では特徴がないように見える。

 しかし、こいつがいるからこのグループができたと行っても過言ではない。

 

 憎めない、人の中心にいるやつ。

 それが啓吾だ。

 

「っていうか俺のことはいいんだよ!

 俺としては転校生さんがここにいるのが気になるんだよ!」

「ん? あぁ、別にいいだろ」

「まぁ確かに別に理由は置いといてもいいけど朽木さんこんな男の園にようこそ!!! ありがとう!!!」

 

 啓吾が涙を流して朽木さんに親指を立てる。

 ……若干引いているけどまぁ大丈夫だろう。

 

 そこで人の気配を感じる。

 誰かはわからないが、恐らくこの様子では……

 

「おい黒崎ぃ!?」

 

 誰だおま。

 

「今日こそ決着つぶべへぇっぇぇぇぇ?!?!」

 

 いや誰だおま。

 

「流石に出てきた瞬間に吹き飛ばすのはよくないんじゃないか? チャド?」

「……そこで黒崎を吹き飛ばすやらなんやら話していたから」

「それなら大丈夫だろ」

「なんで啓吾がドヤ顔しているのよ」

「いいじゃねぇか水色ぉ」

 

 そこに現れたのは、浅黒の肌を持った巨人がいた。

 彼は茶渡泰虎。

 俺らのグループの一人。

 あんまり俺は接点はないが、彼こそ空座第一高校における超人の一人である。

 

 素の身体能力では絶対に敵わない自信がある。

 

 そんな彼は、唐突に現れた金髪不良さんを吹き飛ばした。

 なんで人一人をそんな玩具みたいに吹き飛ばせるのか不思議でならないが、こいつはそういうやつなのだと諦めることにした。

 

「あれ? チャド怪我してるじゃん」

 

 そんな中、チャドが怪我をしていることに俺は気づく。

 チャドは基本的に怪我が絶えない。

 一護とは別の方向で血の絶えないやつだ。

 

「頭のは昨日、鉄骨が上から落ちてきた」

「「「鉄骨?」」」

 

 流石に初めて聞いた。

 鉄骨が上から落ちてくる。

 なんで生きてるんだこいつ(疑問)

 

「それで手のこれは……さっき昼飯買いに行ったときに、オートバイと正面衝突した」

「何してんだテメーは?!」

 

 ……なんでこいつは生きてるんだ(超疑問)

 

「で、オートバイの人が重症だったから、病院まで運んできた」

「今日は授業に来ているから遅いのおかしいと思ったんだけど、そういうことだったのね……」

「なぜ生きるのか(省略)」

 

 今までも散々思い知らされたが、チャドは不思議生命体だ。

 ほんと。

 いや呼吸使えるお前が何言ってるんだという話だけど、ほんとまじで。

 

「よっと」

 

 チャドは一通り話し終わり座り込む。

 その拍子に背後にある何かを地面に降ろした。

 

 カチャ。

 

「なにそれ?」

「コンニチハ

 ボクノナマエハ シバタユウスケ!

 オニイチャンノナマエハ?」

 

 しゃべるインコだった。

 

 気になるもん持ってくるじゃんチャド(乗り気)


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