【助けて】呼吸使えるけど、オサレが使えない【転生】   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

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霊媒師☆ドン観音寺☆

「「ボハハハハー!!!」」

「あぁ、ドン観音寺ね」

 

 ファミレスの件から少し経った、暑い夏の日。

 登校すると、啓吾と水色が既に登校していた。

 今日は俺も登校が遅かったせいだろう。

 

 それにしても二人共早くない?

 

 まだ教室に人そんなにいないよ?

 

「源氏って一護と違ってこういうのに難色示さないから面白くないよなぁ」

「また飽きないな、二人共……」

「いやさ、一護って霊媒体質のことあんまり誇らしそうにも嬉しそうにもしないから、そういうのが垣間見える瞬間って面白くて」

「言わんとすることは分かるが、俺は友達として止めておくぞ―」

 

 ドン観音寺。

 今テレビで話題沸騰中のタレントで、水曜夜八時からやっている心霊系番組のカリスマ霊媒師……らしい。

 

 結構見ている人の割合が多いからか、当然うちの学校でも流行っている。

 

「確か、来るんだっけ? ドン観音寺」

「おぉ、さすがは情報早いな」

「情報で遅れると会話付いてけないし、女子と仲良くできないからな」

 

 最近虚絡みのことに駆り出されることは多いが、俺は普通の学園生活を彼女という最高のスパイスとともに過ごしたい。

 そのためには情報収集を怠る気は一ミリもないし、俺が流行りに対して難色を示すことなんてない。

 

 教室には俺に続いて、というか登校ラッシュの時間帯が来て、続々と教室に人が集まってくる。

 クラスメイトは教室に入るなり、友達たちと話し始めている。

 その様子は少しウキウキしていて、まるで祭りがある前のようだ。

 

 クラス全体が妙に浮足立っている。

 

「源氏は行くのか?」

「俺?」

「そうそう、源氏って中学の時とか僕らと違うから、この手の話題ってどうなのかなって」

 

 俺は山で過ごした中学時代のせいで、みんなとはまるで接点がない。

 だからこそ、この手の心霊の話題が啓吾と水色の間で上がったのもこれが初めてだ。

 

「一応、源氏も見える人って設定じゃん」

「啓吾、なんで俺だけ設定なんだよ」

「一護は少しそれ関係でトラブル起きてるから見えるのは何となく分かるんだけど、源氏はそこらへん何も知らないからなぁ」

 

 啓吾の純粋な言葉に、少し警戒を強める。

 中学の頃の話は作り話にしているため、思い出さないといけない。

 もし万が一にも、複数人に違う中学の話をしてしまった日には、面倒なことになる。

 

 そのため、警戒しているが、

 

「でもその感じじゃ、一護とは違ってこの手の話題に関してはそんなに嫌な感じを示さないらしいね」

「……っあぁ。

 見える、って言っても一護ほどでもないからな。

 そんなはっきり見えるわけでもないし」

「そうなんだ。

 初めて聞いた、そんな話」

「別に人に話したところで分かってもらえるようなことでもないし、一護にあってからようやく確信したんだよ」

「「へぇ」」

 

 本当は一護と同じくらいにはっきり見えるのだが、俺も一護と同じくらいの霊媒体質だとしれれば、俺は本当に一護の劣化版と成り下がってしまう。

 

 それだけは阻止しないといけない。

 

「ま、ドン観音寺嫌いじゃないし、普通に見に行きたいな。

 場所どこ?」

「えっと……廃病院で……8時だったね」

「廃病院って……ほとんど隣町じゃねぇか」

「俺は家から近いから助かってるけど、それなら俺の方の町にしてほしかったよ」

「まぁ住所は空座町にあるから仕方がないねぇ」

 

 そんな感じで談笑していると、一護が登校したのか、井上さんにドン観音寺絡みをされていた。

 

 そこにすかさず入る有沢。

 

 ……あぁ、有沢は知ってるのか、一護が嫌いなこと。

 

「「ボハハハハー!!!」」

 

 あいつら……いつの間に……。

 

 一護の表情が曇ったのを確認しながらも、俺は集団に混ざりに行く。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

「「来てんじゃん!!!」」

「うるせぇ黙れ殺すぞ」

 

 あの後、どれだけ口説き落としても一護は一緒に行く、ということに対して首を縦に振らなかった。

 

 ま、昔からこれだけ幽霊がはっきり見えていたらなおさらか、と思いながら、俺は一護への口説き落としを途中でやめさせた。

 

 それがどうしてこんなところに……というところで、背後のみんなを見て察した。

 

「「ボハハハハーッ!!!」」

 

 一護のお父さんと、一護の下の妹……確か名前は遊子ちゃんだったか。

 あの二人がドン観音寺のポースをしている。

 恐らくはあの二人に付いてきたのだろうか。

 

 あれ? でもあの二人が霊が見えなくて、一護の上の妹……夏梨ちゃんが見えるんじゃなかったっけ?

 

 なんでその二人が……

 

「あの」

「ん?」

「確か……我妻さん、でしたよね」

「あぁ、うん。

 どうしたの?」

 

 一護と啓吾、水色の言い合いを遠巻きから見ている(ちなみにチャドもいる)と、話しかけられた。

 

 夏梨ちゃん。

 この前は入院したときに看病で見てくれたことを思い出した。

 流石に看護師、とまでは行かないが、さすがは医者の娘、手際は良かった。

 

「確か我妻さんも見える……んですよね?」

「あぁ。

 一護ほど、ってことはないけど、それなりに」

「それなら……なんで来たんですか?」

「……暇だったし、興味がないわけじゃないから……かな」

「あ、ごめんなさい。

 一兄があんまりこういうの好きじゃないって聞いてて、でも学校で見える友達がいるってのは聞いてたからつい……」

「良いってことよ。

 俺は生まれた頃から、とかじゃないから一護たちと違ってあんまり苦労はしてないからね」

「そう……なんですか」

 

 夏梨ちゃん的には、一護以外の見える人というのが初めてなのだろう。

 俺に興味を持つのは自然だ。

 それでも、入院のときから知ってたけど、礼儀正しいな。

 

 こんくらいの年齢の時の俺なんて森の中で野性味を発揮していただけだぞ(修行)

 

「あ、行っちゃった」

「俺もだ」

 

 そんなことを話しているうちに、各々が見やすいところに向かったらしい。

 啓吾と水色が見つからな……あ、チャドで見つけたわ。

 

「それじゃあ、また」

「今度は遊びに来てください」

「あはは、ありがとう」

 

 お互いに手を振りながら、解散する。

 

 そしてチャドにもうそろそろ声をかけれるだろうと思ったその瞬間。

 

「こんにちはー」

「……浦原さん???」

 

 俺の背後から浦原さんが声をかけてきた。


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