【助けて】呼吸使えるけど、オサレが使えない【転生】   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

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15年前に読んだ漫画覚えてるやつとかいる???

 入学してからしばらく経ち、俺は普通の高校生活を営んでいた。

 

 ……黒崎一護? BLEACH?

 

 そんなもんは知らん!!!

 俺は地獄のような特訓で得た、優れた身体能力で華やかでモテモテの高校生活を贈りたいんだ!!!(欲望)

 

 前世の学生生活とかあんまりパッとしなかったから良いだろ?!(半ギレ)

 

 と思っていた。

 

「おっす、ゲンジ

 そんな景気悪そうな顔してどうしたのよー」

「うるへー啓吾。

 フラれたんだ見て分かれよクソヤロウ」

「いやそんな机に突っ伏した状態で何を理解しろってんだよ……」

 

 実際待っていたのは、この学校での俺の埋もれ具合。

 

 俺の身体能力は高い。

 それは確かだ。

 呼吸を抜きにしても、結構な身体の力を身に着けた自身がある。

 

 だけど、この学校には上がいるのだ。

 

 黒崎一護、茶渡泰虎。

 あの二人、俺の呼吸を使わない状態での身体能力より運動神経良いとかまじどうなってんのよほんと。

 それにアイツラ頭良いせいで俺の普通の成績がまるでマイナスポイントみたいに……

 

「ゲンジおはよー。

 フラれたの?」

「水色おはよう。

 ……な?」

「なんで俺を見るんだゲンジ?!

 なんだそのなんでお前は理解できないんだという目は?!」

「え、この状態のゲンジを見てフラれたの分からなかったの?」

「水色ぉ?! お前に関してはなんでわかったの?!」

 

 目の前にいるのは、浅野啓吾と小島水色。

 多分BLEACHでの主要キャラ……だったはずだ。

 

 正直、BLEACHに関して俺はそんなに知らない。

 

 漫画もアニメも見たことはあるのだが、転生する前の話。

 ビジュアルは覚えているので、なんとか主要キャラの顔くらいは覚えている。

 だから正直これから出てくるキャラの名前とかは覚えていない。

 

 ……いや、最初からBLEACHの世界、とかだったら全部覚えてようとしたよ?

 けどさ、この世界を鬼滅の世界だと思っていたから鬼滅の知識は忘れないようにしていたんだよね。

 徒労だったけど。

 

「おはよっす」

「イチゴぉ?! 助けてみんなが俺を虐めヘブシっ!?」

「いきなり来んなよ怖いわ……」

 

「おはよーイチゴ」

「おっす水色。

 今日は早いんだな」

「いやぁ。恵ちゃんが朝早い出勤だからね……」

「相変わらずだなお前は……」

 

「○ね」

「なんで源氏はこんなに好戦的なんだよ……」

「フラれたから……じゃないのか?」

「それなのにイチゴにそんな態度取るってことは……」

「またお前のせいでナァァァァァァ?!?!」

「ってうぉい?!」

 

 高校生活をエンジョイする。

 そう決めた俺は、女の子にアタックしている。

 

 まだ高校に入学してから長い時間経ってないのに告白した回数は、3回。

 

 結果?

 見ろよ、こうして男どもとつるんでるぜ?ハハッ

 

「「あ」」

「なんでそんなに俺に突っかかってくるんだよ?!」

「……ハ?」

 

 前世も含め、童貞付き合いの経験のない俺は、攻めの姿勢を取ることにした。

 そう、告白するのだ。

 俺の今のスペックは悪くない。

 

 だからこそ目指したリア充生活……っ!!

 

「『私……黒崎くんが好きだから……ッ』」

「啓吾正座」

「えっ」

「なかなか似てるからむしろムカつくねそれ」

「えっ」

「流石にないと思うぞケイゴ」

「えっ」

 

 この状況を理解してくれる人は、おそらく『呼吸使えば良いのでは?』とか思っているのだろう。

 だけどそんな人達に言いたい。

 

 俺は三年間死ぬ気で呼吸を使えるようになり、死ぬほど強くなった。

 

 おそらく呼吸を使えば瞬きよりも先にこの教室にいる人を殺せるだろう。

 それくらいの力量はあるつもりだ。

 

 だからこそ、

 

 呼吸使うと手加減が超難しいんだこれ。

 ほんと、一回だけ体育のサッカーで呼吸使ってやろうとしたときは災難だった。

 

 どう頑張ってもボールが消失する。

 俺の蹴りでどうしてもボールが消失する。

 

 こんなもの使って人とぶつかったら死ぬでしょ、まじで。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 朝の戯れも過ぎ、いつもの日常が過ぎる。

 

 正直、一護とかその周辺と付き合っていれば、危険なことに遭うのはなんとなく察知できる。

 そりゃ、この世界はBLEACHの世界なのだから、黒崎一護という主人公を中心に回っている。

 

 だから俺は本来は主要キャラから離れて静かに暮らしたほうが良いと思う。

 

 でも、

 

「一護、今日も行くんか?」

「ん? あぁ」

「ゲンジ、イチゴと帰るの?」

「そうそう、今日はこいつに教えてほしいことあってなー」

「そっかぁ。

 今日は僕無理だなー」

「水色はさっさと女のところに行ってこいよ」

「ハハハ、嫉妬はだめだよゲンジー」

「はぁ?」

 

 放課後。

 俺は一護に話しかける。

 途中水色が話しかけてきたが、ついては来ないようだ。

 俺の睨みに笑いで返しながら、水色は教室を去る。

 

「あら? 啓吾は?」

「ねぇちゃんに頼まれたもんがある、だとよ」

「あいつも災難だな……」

「ま、そう言ってやんなよ。

 あいつのねぇちゃんいい人だし」

「あったことないな……」

「だろうな。

 あいつのねぇちゃんケイゴに容赦ないし、ケイゴも友達会わせたくないだろうし」

 

 一護の準備が終わり、二人揃って教室を出る。

 しばらく二人で歩き、目的の場所に向かう。

 

 着いたのは、俺の家でも一護の家でもない。

 

 そこは、電柱。

 

 本来なら誰もいないはずの、なんてことない電柱なのだが、

 

「あ」

「は?」

 

 俺と一護は、視線を下に向け、声を上げる。

 

 下においてあったのは、花瓶。

 

 倒れた花瓶。

 勢いよく倒れたのだろう、割れ、花が飛び出している。

 

「ヒック」

 

 聞こえる啜り泣き。

 

 俺と一護は電柱の影を見ると、

 

「ヒック……ヒック……」

 

 頭から血を流した女の子が、しゃがみこんで泣いていた。


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