【助けて】呼吸使えるけど、オサレが使えない【転生】   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

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俺より一護のほうがやばい(責任添加物)

「ああぁああぁああぁぁぁぁ!」

 

 説明しよう!

 

 今、俺は壁を登っている!

 

 なぜかって????

 

 それは俺の友達に殺されそうだからだよ!

 

「一護ぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

 ジジイとの戦いの最中、俺は策略により足を踏み外し、一護が入っている穴の中に落ちた。

 結構ちゃんと足を踏み外したから、キレイに落下していった俺は、後頭部を何かと打ち付けた。

 

 結果として数秒の意識の跳躍に遭遇してしまったわけだが、流石は俺というか俺の生き意地の汚さというか、数秒で気絶から復活した。

 

 自然で気を失うとか睡眠以外ありえないので、本能で起きた俺は、何に衝突したのかを理解する。

 

 一護だ。

 

 一護の頭と奇跡的なマッチングをして、俺は数秒気を失った。

 下敷きにしていたことに申し訳無さを感じ、体を避けたその時、

 

 ボウッッッッッッッッッッ!

 

 台風が発生した。

 

 いや、正確には台風が発生なんてしていない。

 まるで台風の中のような錯覚に見舞われた。

 

 それは霊圧の暴風雨。

 

「は?」

 

 思わず立ち上がり、台風の中心地を無意識に見る。

 そこにあったのは、

 

「一護?」

 

 寝転んでいる一護の姿だった。

 

「源氏殿! 離れて!」

 

 情報の処理が追いつかない俺の頭に、声が届く。

 鉄裁さんの声。

 穴の中には一護と鉄裁さんがいたのか。

 

 え、ちょっと何してたの?

 

 そんなことを思ってもおかしくはないが、今はそんな状況ではない。

 とりあえず離れると、

 

「はぁ!!」

 

 鉄裁さんが何かを唱えているのは聞こえる。

 それに呼応して、周囲の空気が変わる。

 

 なにかが起こるのは理解できる。

 一護の周囲を囲もうとしている力の動き。

 

 それの中に入ってはまずい。

 直感に従い、距離を取ろうとすると、

 

「くぅっ!」

 

 鉄裁さんの苦悶の声が聞こえる。

 その原因は、一番一護に近い俺ははっきりと分かる。

 

 一護の力の流出が多すぎて、鉄裁さんの力の流れが阻害されている。

 

 これでは何をしようにも遮られる。

 

「源氏殿! 逃げてくだされ!」

「え、てっさ……」

 

 鉄裁さんの声はすぐさま理解出来、逃げようとも思った。

 だが、鉄裁さんの声を聞いたからこそ、鉄裁さんも逃げれるのか、という疑問が俺の足を一瞬止めた。

 

 しかし杞憂というかなんというか、鉄裁さんはしっかりと一護の周囲を囲おうとした力を自分の周囲に固定していた。

 

 あれは防御するよ、という意思表示。

 

 察し。

 

 次の瞬間、

 

 爆発。

 

 景色がスローモーションに見える。

 

 息抜きをやめた。

 

 全力で呼吸した。

 

 とりあえず後ろに走った。

 

 壁があったから垂直に走った。

 

 そして俺は、後ろから思い切り背中を押された。

 

 

「一護ぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

 

 今日で何回天井とぶつかるんだよ俺。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 60時間。

 これが意味するところは、残りが半日を切ったということ。

 

 様子を見に来た浦原。

 後ろには二人の子供がいる。

 

 

「あいつ、どうしてるかな」

「何か動きがあったら鉄裁さんから連絡が来るはずなんで、まだ動きはないと思うスよ」

 

 

 ジン太の言葉に浦原は至って普通に返事をするが、その胸中は少し穏やかではない。

 自分でけしかけたとはいえ、それは勝算合っての発破であり、それで失敗することは可能性として少しとしか捉えてはいない。

 

 だからこそ、連絡が一つもない、というのはあまりよろしい事態ではない。

 

 長い長いはしごを降り、ようやっと足をつけた地面。

 あたりを見渡しても生気のないこの空間に、浦原は少し懐かしい思いになりながらも、何もせずに立っている丈に声をかける。

 

「どうしたんスか?」

「少し休憩だ」

「そうでスか」

 

 丈が戦っていないところを見て、少し意外そうにしながら、浦原は次に思いついた疑問を口にする。

 

「あら? 源氏さんは?」

「あいつならばそこだ」

「そこ?」

 

 丈が指差す先を目で追う浦原。

 

 そこは、浦原が手伝ってもらって作った穴。

 その作った目的は、今ここに降りてきた目的と同じ。

 

 つまりは、

 

「えぇ?!

 源氏さんを落としたんスか!」

「いやいや、自分で落ちただけだ」

「そんな言い訳がましいことを言わないでください!」

 

 この穴は特別製であり、生身の人間が落ちたところでなにか起こるということはないが、一護になにかあっては困る。

 というか、落ちた源氏よりも一護のほうが心配になってくる。

 

 浦原からの我妻源氏の評価は、だいぶ変わっていった。

 

 最初は利口な子供で、身の丈をわきまえている人。

 

「大丈夫じゃろ、あいつなら」

「黒崎さんには何かあるかもしれないっすよね?!」

「ふむ、孫のことは心配してくれんのか?」

「今更?!」

 

 今では、変態。

 

 あれだけのシゴキとシゴキを受けても生きている。

 不思議な生命体。

 

 しかも生き残れば残るほどにしぶとくなっていく。

 

 まるでゴ……これ以上は本人の名誉のためにやめてあげよう。

 

「「「っ?!」」」

 

 

 そんな失礼なことを思ったから、というわけではないが、事が起こる。

 台風。

 そう言うに然るべき、霊圧の暴風が穴の中から吹き荒れる。

 

 危ないことは理解しているが、それが危ないものだと理解しているからこそ、覗きたくなる。

 浦原は何が起こったのかと不安に思いながらも、確信はあった。

 

 黒崎一護が何かをした。

 

 それだけは確信めいた予想だった。

 

「一護ぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

 数秒。

 

 霊圧の嵐が起きて、ほんの数秒。

 

 次の瞬間には、人が飛び出してきた。

 

 鯨の潮吹きに巻き込まれたみたいに。

 

 

 膨大な霊圧が起こした爆発とも言える現象に、浦原は固唾を飲む。

 

 

「おいおい、何だこいつは……」

 

 ジン太も、なまじ理解できるからこそ分かる、大きさ。

 ウルルも声を出さないながらも、その様子を肌で感じている。

 

 上がる土煙に、何かがいるのを理解する。

 それは、人影。

 

「おい、あれ、オレンジ頭だよな?」

 

 ジン太のつぶやきは、誰にも答えられない。

 

 浦原は佇み。

 

 ジン太、ウルルは立ちすくみ。

 

 我妻丈は立ちはだかる。

 

 そんな様子の観客に、声が響く。

 

「なんだよ? おめでとうもなしか?」

 

 声。

 

 それは、ここに来れなかったものの声。

 

 そして、その声がするということは、

 

「オレンジ頭!」

 

 ジン太の声。

 そして、そこにいたのは、

 

「ふうっ」

 

 黒崎一護……死神の姿だった。

 

 しばらく手を握ったりして、体を動かした一護。

 

「オメデトウさ~ん!」

 

 パチパチと手をたたきながら近づいてくる浦原。

 その様子を体を動かしながら一護は聞いている。

 

「ちゃんと死神になれたじゃないっすか!

 レッスン2はクリアっすね!」

 

 その言葉の終わりとともに、一護は手元の斬魄刀の柄尻で浦原の顔面をどつく。

 

「目が痛いっ!」

「やかましいわ!」

「ふふふ……

 俺が戻ってきたのが運の尽きだぜ……」

 

 腕を組み、凄む一護。

 

「俺は誓ったんだ!

 生きて戻ったら、テメーをぶっ殺すってな!」

「へぇ」

 

 目元から手を離し、凄む一護に浦原は、

 

「それはスイマセン。

 それはあとになると思いまス」

「は?」

「だって、次のレッスンは……」

 

「…………ぉぉぉぉぉぉおお!」

 

 浦原の言葉を遮るように聞こえる、怒声。

 

 それは徐々に近づく。

 

 一護も、浦原も顔を上げ、気づく。

 

 上空から人が降ってくる。

 

「親方! 空から男子高校生が?!」

「浦原さんっ?!」

 

 ボケた浦原に対して、一護はすかさずツッコミをするが、そんな場合ではない。

 普通の人が上空から落ちて、無傷なわけがない。

 

 普通なら死んでしま……

 

 スタ

 

 一護の思考の最中に、源氏は地面に降り立つ。

 その音、衝撃はともにまるで軽くジャンプをしたときのようなもの。

 

 まるで意味のわからない光景に一護は呆然としながらも、

 

「てめぇ一護!

 お前のせいで死にそうだったぞ!」

「は?」

「は? じゃないの!!! 人が! 俺が死にそうになったの!」

 

 一護の脳のキャパシティは、ツッコミという許容量を遥かに凌駕し、ショートした。

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