【助けて】呼吸使えるけど、オサレが使えない【転生】   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

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え、その顔で兄様?

「と、いうことで参りました朽木さんのところ」

「何がということで、だ! バカモノ!」

 

 俺は朽木さんの収容されている懺罪宮という場所にやってきた。

 目の前には、白い和服を纏った朽木さんが、檻越しに俺のことを呆然と見ている。

 お? 惚れたか?(超自画自賛)

 

「どうやってココに……」

「どうやっても何も、正面からこっそりと」

「正面からこっそりは、こっそりなのか……?」

 

 結構な情報収集と、この騒ぎのお陰で朽木さんがここに閉じ込められていることも、処刑が早まったことも話に聞いた。

 なぜ早まったのか、という点に関しては調べきることができなかった。

 なんか偉い人たちの決定だから、下の人達には理解できないらしい。

 

 というか結構死神さんたちって序列に厳しい感じなのね、しっかりしているというか前時代的と言うか。

 

「確かに目の前に現れた時は驚いたが、看守もどうやって」

「こう、トンって」

「トンでなんとかなるほどのものではなかったと思うがの……」

 

 気絶させてからは、適当に刀で立っているように見せかけている。

 遠目で見れば少しうつむいている程度にしか映らないだろう。

 

 というか、気絶させるくらいならわけない。

 霊圧とか意味不明なものに頼るのではなく、研ぎ澄まされた手刀が物をいうのだ、こういう時は。

 

 こらっ、手刀は砥げないとか言わないの! 目の前でやってるの見たこと在るんだから!

 

「ま、そこらへんは良いんだけどさ」

「良い話かの……」

「率直に聞くけど、出る?」

「……この檻から、ということかの?」

「まぁ、それもそうだし。

 この尸魂界から、って意味でも」

「出られるのか?」

 

 朽木さんの表情は明るくない。

 まぁ、一護から話を聞いた感じでは、朽木さんが助けを求めたわけじゃない。

 

 アイツのしようとしていることは、死神という世界へのいちゃもんだ。

 

 我儘。

 

 それを通そうとココに来ている。

 そしてそれに賛同するものが居た。

 で、俺はというと、

 

「ぶっちゃけ、助けてほしくはあるの?」

「ッ?!」

 

 絶賛反対。

 正確に言うと、ちょうど半々だったのが、朽木さんの顔を見て反対になった。

 

 だって、朽木さんの表情はまるで、

 

「助けてほしくなさそう」

「そ……それはそうであろう。

 死神としてのルールを破ったのだ。

 裁かれるのは必然」

「ふーん」

 

 休憩でもするか、と腰を下ろす。

 少し硬い地面だ。

 コンクリに似たような、硬い匂いがする。

 陽の光は最低限。

 周りは白い壁に覆われて、

 

「話そう」

 

 お話には割りかし最適だ。

 

「は?」

「話そう。

 俺、我妻源氏と朽木ルキアで」

「……こんな状況で、か?」

「こんな状況で」

 

 少しの間だけ、俺は話し相手になろう。

 

 俺は朽木ルキアという人間をそんなに知らない。

 それこそ、学校での猫を被ったあの姿しか知らない。

 だからこそ、俺は今一度知る必要がある。

 

「話せば、心が決まるかもしれない」

「何の心だ」

「出るか、居るか」

「……」

 

 沈黙は金、とは言うけど、この沈黙の意味を悟れるほど俺は人付き合いは得意ではない。

 

「……空座町に来たのはなんでだっけ」

「そ、それは私が空座町の地区を担当することになったからだ」

「それってさ、虚討伐の?」

「そうだ。

 私が赴任してからは虚の出現の頻度は高かったがな」

「あ、流石にあんな頻度で出るわけ無いか」

「そうだろう。

 人の命は限り在ることと同時に、虚の数も限りが在る。

 あんなに出ては死神がいくら居ても敵わない」

 

 朽木さんは、俺の言葉に最初は動じたが、普通に返してくれる。

 学校でのあの猫をかぶった感じではなく、いつも通りと言った感じ。

 

「実際さ、朽木さんって死神的にどのくらいの強さなの?」

「……並程度、といった程度だな。

 鬼道に関してはそこそこ優秀である自信はあるが、剣の腕に関しては並かそれ以下、だな」

「偉くないの?」

「まぁ、何も強さだけで序列を決めるものではない。

 家柄や知能、知恵も必要になってくる」

「ってことは努力して偉くなったタイプなのか、朽木さんは」

「……いや、私は家柄が良かったのだ」

 

 少し落ちたトーンに、俺は返す言葉を一瞬見失った。

 

 いや、だって家の話とかする流れじゃなかったよね? これ?

 俺のせい???

 

「ま、まぁ家柄のことはいらないよ。

 難しそうな話だし」

「……こういうことを知りたいのではないのか?」

「確かに環境がどうだったから性格がどうとかは分かるけど、結局は中身の問題だし」

「そういうものかの?」

「そういうもん」

 

 まぁ、そうじゃなかったら転生者とかやってられませんて。

 転生者じゃなかったら鬼滅だとか思う前に死んでるよ???

 

「あ、一護って死神でも強いほうなの?」

「まだ私ほどではないかもしれないな。

 斬魄刀の名も聴けていない。

 先程話した鬼道も使えていない。

 アホほど大量な霊圧と戦いのセンスだけで乗り切っているという状況だ。

 それこそ、ピンチになった時の霊圧の量は隊長にも勝るほどだと思う」

 

 

 こう聞くと結構朽木さんって頭いいなぁ、と思う。

 普通に観察眼に関しては素晴らしい。

 

「それこそ、そうだな。

 あやつがより強者との戦いを経験すれば、私などすぐに抜かれる」

「なら、楽しみにしてな」

「は?」

「あいつ、結構強くなってるから」

「……そうか」

 

 少し諦めた表情をする朽木さんに、苦笑いを俺は返す。

 そんな中、朽木さんは唐突に、

 

 

「……それでいうなら、源氏殿もどんな訓練を受けてきたのか?

 私の見る限り、それは教えてもらう剣技ではなかろう」

 

 俺のことについて聞いてきた。

 結構今までは俺のことなんか興味ないのかと思っていたけど、朽木さんからしても俺の存在は気になる、ってこと?

 

 ……俺、朽木さんになにかしたっけ?

 別に最初以外あんまり接点ないけど。

 

 というか俺の戦っている姿見られたっけ?

 

「気になる?」

「気にならないほうがおかしいであろう」

「確かに」

 

 虚を獲物ありでも屠れる男とか確かに怖いわ。

 

「俺の正体は……」

 

 

「正体がなんであれ、そんなものは関係ない」

 

 

 飛び退く。

 

 朽木さんの檻の前……俺が先程まで居たところに、人がいた。

 それは奇妙な金飾りをした、白い羽織を羽織った男。

 

 背には六の漢数字をデカデカと表している。

 

 その男が、俺の居たところの、首に当たるところを横薙いでいた。

 もし俺が動かなければ、死んでいた。

 

「久しぶり?」

「挨拶などいらぬ」

「釣れない」

 

 俺の気さくな挨拶に、男は応じない。

 俺の脚が地面に着くかつかないかのタイミングで、男の姿が消えた。

 

 背後がチリチリする。

 移動では間に合わない。

 

 攻撃されるであろうところに刀を置く。

 

 突如、衝撃。

 

 俺の体は前方に吹き飛ばされる。

 

 そっちは懺罪宮の出口。

 

 何にもぶつかることはなく、俺の体は懺罪宮から叩き出される。

 

 懺罪宮の目の前は長く不安定な橋が存在している。

 

 危うげに着地を決める。

 橋の不安定さに舌打ち。

 振り返る。

 

「今の一撃で死なぬとは、あの死神の男よりはやるのだな」

「あの男ってのは、一護のことか?」

「さぁ、知らぬ」

「そっか」

 

 もし一護なら、この程度の斬撃躱せなきゃココに来る前に死んでいる。

 だけど、わざわざ敵に塩を送ることもないので黙っておく。

 一護、次にさっきのやられた時、反撃しろ、ガッツリ。

 俺が許す。

 

「貴様は尸魂界のものではないな?」

「まぁ、いずれ来るもの、ですね」

 

 死んだら。

 

「ならば、今来ても変わらぬだろう」

 

 瞬間、男の高速移動……瞬歩が行われる。

 死神の戦闘に関して、浦原さんから教えてもらった高速移動方法、瞬歩。

 

 ぶっちゃけ霹靂やん、と最初は思った。

 

 けどちょっと違うのね、これ。

 

「避けるか」

「もちろん」

 

 瞬歩は歩法。

 

 霹靂一閃は踏み込み。

 

 多分最高速なら霹靂一閃で、取り回しなら瞬歩なんだろうなって思った。

 

 またも首元を通り過ぎる刀をしゃがんで躱しながら、思考をする。

 

 相手は恐らく隊長と呼ばれる部類の人間。

 一応夜一さんの話によれば、出会ったらすぐに逃げろ、とのことだ。

 もちろん一人だったら逃げてる。

 けど、今回は近くに朽木さんがいる。

 

 逃げるにも、もう一度来るのは面倒だし、もしかすると暫定危険人物とブッキングする可能性もある。

 

 一番は朽木さんを攫って逃げることだけど、今のところココを逃げる方法が存在しない。

 夜一さんたちが来るのを待つのが安牌だけど、何時来るのかが分からない。

 

「随分余裕にしているのだな」

「ん? あぁ、ちょっと」

 

 考え込んでいると、男が話しかけてくる。

 なんだよ話す価値なし、的な判断してきた癖に。

 

「前回はわざとやられたふりをしていたのか」

「ま、まぁそうだよ?」

 

 思わず動揺して死にかけるが、躱す。

 

 現在俺が隊長と呼ばれる人間とやりあえているのは、修行の成果。

 

 現在俺は『息抜き』の状態で刀を躱している。

 別に手を抜いているというわけではなく、立派な戦術としての『息抜き』だ。

 

「貴様の狙いは何だ、ルキアか」

「? 知りたいの?」

「何、ココまでやれるのならば、聞くに値する」

「え、教えるわけ無いって」

「そうか、ならば本気で行こう」

 

 お、ギアが上がるか。

 

 やっぱ背後から来る……いや、

 

「っぶねぇ」

「よくわかったな」

 

 正面だ。

 

 そうだよ、この人隠密うまいやん。

 いきなり俺の近くに現れるし、音鳴らないし、瞬歩なめらかだし(浦原比較)

 

 息抜きのレベル上げてよかったぁ

 

 息抜きは力を抜く。

 

 これはもはや霊力を排出する行為であり、生物的には衰弱している状態だ。

 だけど、その分体は些細なことに生存本能を働かせる。

 その結果、俺の避けは一段階レベルが上がっている。

 

 このおかげで、隠密行動をする敵に対しても一つも当たらないをできるようになってきた。

 

「ならば」

「やめてください! 兄様!」

 

 距離を取る男。

 どうするか決めあぐねている俺は、様子を見るが、後ろから声が聞こえる。

 それは先程まで居た懺罪宮の中から聞こえる。

 

 後ろを振り向き、目を凝らすと、檻の中の朽木さんがこちらに向かって叫んでいた。

 

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