【助けて】呼吸使えるけど、オサレが使えない【転生】   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

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※BLEACHの世界では連載初期はスマホないです(ガラケー)


オサレじゃないジジイ

 ヤバい

 

 何がやばいってこの状況がヤバい。

 

 現在俺は、帰る直前である。

 いつもの流れだと、今日は啓吾と水色も特に何もない感じ(昼に話してた)だから、ファストフード店にでも誘われるだろう。

 

 適当にダベって、ポテトかじりながら、ゲーセンにでも寄って帰る。

 

 うん、良い高校生だ。

 

 しかし、おそらく今日はそれが叶わない。

 

 なぜなら明らかに一護が俺の事をチラチラ見ているのだ。

 ホモビなら始まるわ。

 

 失礼。

 

 そんな感じで、現状一護に昨日の事を聞かれるのは確実。

 どの段階で気絶したのかは知らないが、俺が虚を倒したのは目撃されたはずだ。

 

 どうして?

 

 あんな人間をゴミのように扱う化け物を倒した俺に出る感想だろう。

 

 そして一護は色々と思う。

 

 俺が過去のことを話したがらない様子だったり、体育とかで呼吸の調整ミスって超人技かましたことだったり。

 

 その結果俺はどの様に映るだろうか。

 

 多分、多分一護はまだ死神になってないから分からないだろう。

 

 そんな相手に俺はなんと説明すればいいだろうか。

 

 化け物見た後だから、呼吸の訓練で3年間山篭りしてたって言っても伝わる?

 

 …………いや無理だろ。

 100無理だろ。

 

 呼吸を知っていたとしても分からんだろ。

 俺だって戦う対象知らされてないのに訓練してたんだ(鬼だと思い込んでいた)

 

 だから正直なんて言うかマジで悩んでいる。

 

 いやどうしよう。

 ゆっくり片付けながら、憂鬱なため息をつく。

 

 左手だから面倒臭いと思いながら、背後から近づく一護の気配に心が沈む。

 

「なぁげん……」

 

「あ、ちょっと待って」

 

 一護から声をかけられそうになった瞬間、電話が鳴っているのが見えた。

 

 着信音は切っているので音が鳴り響く、なんてことは無いが、カバンの中で光っているのが見えた。

 

 本来なら無視してもいいのだが、今回は電話をかけてきた相手が悪い。

 

『我妻丈』

 

 同じ苗字を持つ相手からの電話。

 

 俺は両親が生まれて直ぐに死んでしまった。

 さらに親戚も居ないことから、同じ姓を持つ人間は一人しかいない。

 

「わりい」

 

 荷物を置いて、携帯だけ持って教室から出ていく。

 

 ナイスクソジジイ。

 

 心の中でそう叫びながら、俺はトイレに向かった。

 

 誰もいないことを確認して、個室に入る。

 

「なに?」

『遅い』

「学校、普通、携帯使っちゃダメ」

『面倒臭いのぉ。

 便利なものは使わんと』

「知らんがな」

 

 開口一番ディス。

 若干ムカつくが、この軽い口喧嘩が俺とジジイの普段のスタイル。

 

 ジジイからすれば子供の可愛い口答え。

 

 俺からすれば殺したい相手に本気の殺意の言葉。

 

 そういうことだ。

 

「で?」

『おぉそうじゃった。

 ちょっと用があっての』

「なんの?」

『お主、戦ったそうじゃの?』

「…………誰から聞いた?」

 

 今更隠す必要は無い。

 ジジイに隠したところで意味は無い。

 

『昨日行ったじゃろが、病院』

「あ、確かに」

 

 昨日俺は一護を送った後、ジジイの紹介した病院に行った。

 ジジイの紹介、ってことは当然、ジジイの知り合いがいるわけで、

 

『聞いた感じ、無刀使って無理して腕ぶっ壊したんじゃろ?』

「まぁ」

『それはそれは』

 

 電話越しにジジイのほっほっほ、という爺らしい笑い声が聞こえる。

 ムカつく。

 

『うむ……。

 話をしてて、聞きたいことが出てきた』

「なに?」

『お主、なんで化け物の正体を聞かないのじゃ?』

 

 あ。

 

 やったわ。

 

 知ってるから聞いてなかったけど、確かに。

 普通聞くよな。

 

 俺もそう思う。

 

「……なんか、別にいいかなって」

『ほう、何故じゃ』

「分からんし」

『儂ならば知っていてもおかしくはなさそうじゃが?』

「倒せるならまぁ、大丈夫だし」

『腕を怪我しているが?』

「次は逃げる」

 

 なんか要領を得ない答えになってしまったが、ぶっちゃけ今後戦いたいとは思わない。

 

 俺部外者だし。

 

 昨日は一護助けるためだったし。

 

 多分一護死神になったら俺出番ないでしょ。

 

『相も変わらず自分本位な考え方じゃのぉ』

「友達位を救えれば上々」

 

 まぁ俺が殺されそうとか、啓吾はいいけど他の友達死にそうだったらまぁ助ける。

 自分死なないのなら(大事)

 

『本当は儂に勝てるようになってからと思ってたんじゃが……』

 

 電話越しのジジイの声は心配そうな声だ。

 ……なんか不穏だ。

 

 なんか、俺の脳内アラートが反応している。

 

 これ、フラグ?

 

『今日』プツッ

 

 今日って言ったよな?

 今日なんかあるのか?

 

 ジジイからの提案とか不安要素しかない。

 てっきり愚痴でも聞かされるのかと思ってたわ。

 

 あのジジイなんか今日本に居ないらしくて、やれ海外は……とたまに俺に愚痴の電話をよこす。

 

 今日は一護との会話を避ける為に使わせてもらったけど、なんかやばそう。

 具体的には分からんけど……なんか鬼出てきそう。

 

 "お前の使命は鬼という名の虚狩りじゃあ!"

 

 うわぁ…………ありそう。

 

 鬼っぽくないけどこの世界の怪物って虚だけだよな?

 

 携帯が鳴る。

 

『我妻丈』

 

 うわぁ……

 

 無視しよ。

 

 これなら一護にトンデモ過去話するほうがマシだわ。

 

 ちらりと携帯を確認する。

 

 メールが一件。

 

 差出人は、『我妻丈』

 

 メールには既読とかないので、一応確認する。

 

『差出人:我妻丈

 件名:死ね

 本文

 今日下の地図の場所に来い。

 今すぐ。

 さもなくば殺す』

 

 いや下に地図ないんだけど、ちゃんと添付しろやクソジジイ。


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