【助けて】呼吸使えるけど、オサレが使えない【転生】 作:ぬー(旧名:菊の花の様に)
「どうすっかな」
「なんだよ」
「いや、俺暇だなって」
一護の様子を見に行くと、そこには結構厳しい怪我を負った姿があった。
一緒に居た知らない人……岩鷲さんと花太郎さんが言うには副隊長とやりあって勝利したけど、結構な手傷を負ったらしい。
俺だったら無理する感じだけど、花太郎さんが治療できるというので、甘んじて受け入れろと話したが、
「俺暇やん」
「そりゃピンピンしてるからな」
「いや、その前死にそうになってたけどね?」
俺が暇になった。
正直、俺一人で朽木さん救出してもいいのだが、
「そういえば、こっから脱出する方法って知ってんのか?」
「あー……。
夜一さんが知ってる」
「マジか……。
俺知らないぞ……」
ということで救ったとしても一人で朽木さんを連れながら夜一さんと合流して脱出しないと行けないという事になっている。
それは流石にきついので、人数揃えて夜一さんに見つけてもらうほうが早い気がしているので、現状俺は暇だったりする。
「ちなみにさ、ここまでどうやって来たんだ?」
「ん? 見てなかったのか? 空」
「空?」
「俺ら空から入ってきたんだよ」
「は?」
正直、俺は一護たちがここまで来る時に普通に寝ていたので、どうやって入ってきたのか知らない。
もしかしたら来るときと同じ方法で帰れると思ったが、
「遮魂膜、っていう結界に似たものが存在するんです。
基本的には外界からの敵を遮断するために利用していますが……」
「それを姉ちゃんの開発した砲台を利用して、消えないほどの高密度の霊子で入ってきたってわけよ」
「なるほどよくわからん」
とりあえず、何らかの装置を使わないと空から侵入することはできない、と。
「ちなみに花太郎さんは、旅禍の人数とかは聞いてる感じ?」
「あ、僕らは治療専門なので、敵を倒すとかその手の情報はあんまり……。
あと、さん付けは大丈夫です」
「……あ、そう?
じゃあ花太郎ってなんで協力してる感じ?」
「先程も話したんですが……」
そこから始まったのは、花太郎と朽木ルキアの、少しの出会いと、少しの経験の話。
その話は、きっと一護も先に聞いていて、それを聞いたからこそ、
「うっし、早めに治してくれ」
「は、はい!」
「お、潔い」
「確かにいの一番に助ける、とは思ってるけど、俺は死んでアイツを救いたいわけじゃねぇ。
生きて、アイツの目の前にいかないといけないんだよ」
ええやん。
俺は立ち上がり、小部屋を後にする。
「どうしたんだ?」
「せっかくだし修行。
こっち来て気づきを得た」
「珍しいな」
「まぁな」
俺は成長しない。
その代わり、相手を理解すること、見切ることに注力する。
弱いからこその戦い。
だけど、いつまでも弱いままでいたいわけではない。
「っし、ものにするか」
座禅をする。
集中。
常中:無呼吸
☆☆☆☆☆
「っし、行くか」
「最初は治療途中で抜けると思ってたけど、意外と素直なんだな」
「……確かに、途中で終わろうとは思ってた」
「えぇ……」
「でも、時間はまだある。
それに源氏の言う通り、ここで準備を怠りたくはねぇ」
治療から四時間。
幸いなことに、ここは四番隊しか使っていない通路。
それに、地下深くに存在するため、霊圧も届きにくい。
そんな要素が重なり合って、一護の回復は誰にも邪魔されることなく終了した。
「それにしても源氏ってやつ、一度も一護のこと見に来なかったな」
「気遣いじゃないでしょうか?」
「……多分だけど」
岩鷲のボヤキに、花太郎は好意的な解釈をするが、一護は苦笑いをしながら小部屋から出ていく。
しばらく歩いていく。
それに岩鷲と花太郎はついていく。
「どこ行くんだよ」
「源氏のとこ」
「分かるんですか?」
「まぁ、今は結構わかりやすいな。
気配隠されるとわからないんだけど、戦っているときは結構分かる」
「そんなもんか?」
「まぁな」
三人で話しながら歩いていると、岩鷲と花太郎は異質な気配に気づく。
まるで、爆弾。
たどり着いた三人の思い立った感想は、それだった。
水路にある小さな小部屋。
これもまた、この水路に隣接してある休憩所の一種なのだが、そこに源氏は座っていた。
胡座……いや、座禅と行ったほうが良いのか、そんな姿勢をしていた源氏は、妙な雰囲気を身にまとっていた。
触れれば爆発しそうな霊圧。
それは、外に向けられたものではなく、内に、内に溜め込まれた霊圧。
この部屋に来て分かる、その静まり具合。
強きものほど強さは理解される、とは言うが、ここまで近づかないと理解できないというのが不自然。
「よっ。
何してんだ?」
「ん? あぁ、もう四時間か。
かなり瞑想してたからわからんかったわ」
「こっちは全快だけど、そっちはどんな感じだ?」
「ぼちぼち。
いまいち新しい技術が難しくて」
「新しい技なんて覚えたのかよ」
「型、とかではないな。
むしろ俺の強化的な」
一護は平然と話しかけるが、二人からすればヒヤヒヤするものである。
目の前にあるのは、膨大な霊子を抱えた爆弾のようなもの。
強い、ではなく恐ろしい。
これをただ霊圧として放つだけでもかなりの威力であろう。
それこそ、先程の副隊長を有に超えるほどのものである。
「にしても、この部屋の感じも源氏のせいなのか?」
「部屋の感じ?
あぁ、確かに出てったやつが充満してるし、俺も吸ったまんまだったわ」
岩鷲と花太郎には何を話しているのかはわからないが、何かをしているからこの状態になっているということは容易に想像が着く。
「その状態、普通に解除できるのか?」
「あ、岩鷲さん……
別に大丈夫ですって。
長い時間かけて吐き切りますんで」
「えっと、それって……」
「あ、そっか。
一護以外は知らないのか。
俺の技的なやつ。
周囲の霊子を取り込むんだよ」
ここで花太郎は違和感を抱く。
彼自身が治癒という特殊な技術を習得しているからこそわかったことだが、周囲の霊子を取り込む、ということの違和感。
本来、死神はその魂から出る霊力を使用して闘う。
それこそ、それが顕著に形として出るのが、斬魄刀。
そして、一般の魂は、これができない。
できたとしても、それこそ小さな灯火程度。
それなのに、彼の霊圧はこの近さでないと知覚できないにしろ、隊長に迫るほどの霊圧。
それを、外部から取り込んでいる?
それでは、まるで……
「ふぅ」
その瞬間、源氏の体から霊圧がゆっくりと吹き出していく。
ゆっくりと、静かに。
風の流れのように、鮮やかに。
「……」
そしてそれは、彼の呼吸が止まった後も続いていく。
一分経過しただろうか。
その頃には、先程のようなはちきれそうな爆弾のような感じはなくなり、最初に会った頃の今にも消えてしまいそうな霊圧の源氏が残っていた。
「すまんね。
かなり遅くて」
「使えるのか?」
「いや、現時点では全く。
遅い、集中必要で実践なんて無理そう」
「残念だな……」
「でもできるとは思う。
それこそ、コツさえ掴めばって感じ」
一護は霊圧を感知する感覚に疎い。
だからこそ、先程の源氏のような指向性のないゆるやかな力の移動は感知していない。
花太郎は、その光景に少し現実離れを覚えつつも、
「さぁ、先程の道から再度出て、懺罪宮を目指しましょう」
「あぁ」
「おっけい!」
「もう行っちゃうか」
薄暗い地下水道で、四人の声が小さく響く。